(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
フェルールと、
前記フェルールを収容する内側ハウジングと、
外面にキーを有し、前記内側ハウジングを第1状態で収容可能であるとともに、前記内側ハウジングを前記第1状態から反転させた第2状態で収容可能な外側ハウジングと
を備え、
前記内側ハウジングは、爪部を有する内側弾性片を有し、
前記外側ハウジングは、前記爪部の引っ掛かる掛止部と、外側弾性片とを有し、
前記爪部を前記掛止部に引っ掛けることによって、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとを固定したハウジングラッチ状態にすることが可能であり、
前記外側弾性片を押圧して変形させ、前記外側弾性片から力を受けた前記内側弾性片を変形させることによって、前記爪部を前記掛止部から外して前記ハウジングラッチ状態を解除したハウジング解除状態にすることが可能である
ことを特徴とする光コネクタが明らかとなる。このような光コネクタによれば、極性変換時に外側ハウジングの破損を抑制することができる。
【0012】
前記内側ハウジングの外面の両面には、前記第1状態又は前記第2状態であることを示す表示部が形成されていることが望ましい。これにより、内側ハウジングを反転させたときに、フェルールの向き・配置に合わせて表示部を表示させることができるため、光ファイバの結線関係の確認が容易になる。
【0013】
前記外側ハウジングには、前記表示部に対向する位置に窓が形成されていることが望ましい。これにより、内側ハウジングに形成された表示部を、外側ハウジングの窓越しに視認することができる。
【0014】
前記外側ハウジングに取り付けられたタブを有し、前記タブは、操作部と、前記外側ハウジングに対して回転可能に前記タブを支持する回転部と、前記操作部と前記回転部とを連結する連結部とを有し、前記連結部は、前記外側弾性片を押圧する突起部を有することが望ましい。これにより、外側弾性片を押圧するときに、ピン等の工具が不要になるため、便利である。
【0015】
前記連結部は、前記突起部の位置を示すマークを有することが望ましい。これにより、突起部の位置を確認しやすくなる。
【0016】
前記フェルールを保護するキャップを有し、前記キャップは、前記外側弾性片を押圧する突起部を有することが望ましい。これにより、外側弾性片を押圧するときに、ピン等の工具が不要になるため、便利である。
【0017】
前記内側ハウジングは、単心用の前記フェルールを2本収容しており、前記外側ハウジングに収容される前記内側ハウジングを前記第1状態から前記第2状態に反転させることによって、前記キーに対する2本の前記フェルールの配置を変更可能であることが望ましい。これにより、極性変換可能な2連式光コネクタを構成できる。
【0018】
前記内側ハウジングは、複数本の光ファイバを保持する前記フェルールを収容しており、前記外側ハウジングに収容される前記内側ハウジングを前記第1状態から前記第2状態に反転させることによって、前記キーに対する前記光ファイバの配置を変更可能であることが望ましい。これにより、極性変換可能な多心光コネクタを構成できる。
【0019】
(1)フェルールと、爪部を有する内側弾性片を有し、前記フェルールを収容する内側ハウジングと、前記爪部の引っ掛かる掛止部と、外側弾性片とを有し、外面にキーを有し、前記内側ハウジングを収容する外側ハウジングと、を備えた光コネクタを準備すること、(2)前記爪部を前記掛止部に引っ掛けることによって、前記内側ハウジングを第1状態で前記外側ハウジングに固定すること、(3)前記外側弾性片を押圧して変形させ、前記外側弾性片から力を受けた前記内側弾性片を変形させることによって、前記爪部を前記掛止部から外し、前記外側ハウジングから前記内側ハウジングを抜去すること、及び、(4)前記内側ハウジングを前記第1状態から反転させた第2状態で前記外側ハウジングに挿入し、前記爪部を前記掛止部に引っ掛けることによって、前記内側ハウジングを前記第2状態で前記外側ハウジングに固定すること、を行うことを特徴とする光コネクタの極性変換方法が明らかとなる。このような光コネクタの極性変換方法によれば、極性変換時に外側ハウジングの破損を抑制することができる。
【0020】
===第1実施形態===
<アダプタ111について>
図1は、収容台100の斜視図である。収容台100は、収容棚に収容される台である。不図示の収容棚には、複数の収容台100が上下方向に積層されて収容されることになる。収容台100には、複数のアダプタユニット110が収容されている。
【0021】
図2は、アダプタユニット110の説明図である。図中では、アダプタユニット110の一部が破断されており、アダプタユニット110の内部が示されている。
【0022】
以下の説明では、光コネクタ1の着脱方向を「前後方向」とし、光コネクタ1をアダプタユニット110に挿入する方向を「前」とし、アダプタユニット110から光コネクタ1を抜去する方向を「後」とする。また、アダプタユニット110の複数のアダプタ111の並ぶ方向を「左右方向」とし、後から前を見たときの右側を「右」とし、逆側を「左」とする。また、前後方向及び左右方向に垂直な方向を「上下方向」とし、光コネクタ1のキー突起311の側を「上」とし、逆側を「下」とする。
【0023】
アダプタユニット110は、光コネクタ1を着脱可能なアダプタ111を複数の備えたユニットである。ここでは、アダプタユニット110は、6個のアダプタ111(ポート)を有している。アダプタ111は、光コネクタ1を接続する部位(ポート)である。アダプタ111の挿入口に光コネクタ1を挿入すると、光コネクタ1の光ファイバとアダプタ111内の光ファイバとが光接続されることになる。各アダプタ111は、キー溝112と、一対のスリーブ113と、一対のラッチ爪114とを有する。
【0024】
キー溝112は、光コネクタ1の向きを制限するための規制部である。キー溝112は、光コネクタ1のキー突起311を受容する受容部でもある。キー溝112は、光コネクタ1のキー突起311に適合するように形成されており、キー溝112にキー突起311を合わせることによって光コネクタ1の上下方向の向きを規定する。ここでは、キー溝112は、アダプタ111の上側の内壁面に形成されており、前後方向に沿った溝状に形成されている。但し、アダプタ111の規制部は、光コネクタ1の向きを制限できれば、キー溝112のような溝形状に限られるものではなく、例えば切欠状に形成しても良い。
【0025】
スリーブ113は、光コネクタ1のフェルール10(
図3参照)を挿入するための筒状の部位である。スリーブ113の他端にはアダプタ111のフェルール10(不図示)が挿入されており、アダプタ111の挿入口に光コネクタ1を挿入すると、光コネクタ1のフェルール10がスリーブ113に挿入されて、フェルール同士が突き合わされて、光コネクタ1の光ファイバとアダプタ111内の光ファイバとが光接続されることになる。後述するように光コネクタ1が2個のフェルール10を有するため、各アダプタ111には2個のスリーブ113が設けられている。
【0026】
ラッチ爪114は、アダプタ111に挿入された光コネクタ1を固定する部位(コネクタ用ラッチ部)である。ラッチ爪114は、後側に向かって延び出た片持ち梁状の部位であり、左右方向に弾性変形可能な部位である。一対のラッチ爪114は、スリーブ113を左右方向から挟むように配置されている(
図2には、一対のラッチ爪114のうちの一方のみが図示されている)。ラッチ爪114は、光コネクタ1(詳しくは
図3に示す引掛部21)に引っ掛かることによって、アダプタ111に挿入された光コネクタ1を固定する。以下の説明では、ラッチ爪114が光コネクタ1を引っ掛けた状態のことを「コネクタラッチ状態」と呼ぶことがある。ラッチ爪114は、光コネクタ1のコネクタ解除部331(
図3参照)によって外側に押し広げられることによって、光コネクタ1から外れ、これにより、コネクタラッチ状態が解除され、アダプタ111から光コネクタ1を抜去することが可能になる。以下の説明では、コネクタラッチ状態が解除された状態のことを「コネクタ解除状態」と呼ぶことがある。
【0027】
<光コネクタ1の構成>
図3は、第1実施形態の光コネクタ1の斜視図である。
図4Aは、第1実施形態の光コネクタ1の上面図である。
図4Bは、第1実施形態の光コネクタ1の側面図である。
図5A及び
図5Bは、光コネクタ1の前部の上面図である。
図5A及び
図5Bでは、外側ハウジング30の一部が破断されており、内側ハウジング20の一部(内側弾性片22など)が示されている。なお、
図5Aには、内側弾性片22及び外側弾性片333の変形前の状態が示されている。また、
図5Bには、内側弾性片22及び外側弾性片333の変形時の状態が示されている。
【0028】
光コネクタ1は、光ファイバを接続するためのコネクタである。本実施形態の光コネクタ1は、単心用フェルールを2本備えた2連式コネクタ(デュプレックスコネクタ)である。光コネクタ1は、フェルール10と、内側ハウジング20と、外側ハウジング30と、タブ40とを有する。
【0029】
フェルール10は、光ファイバの端部を保持する部材である。ここでは、フェルール10は、単心用の円筒形フェルールである。但し、フェルール10は、複数の光ファイバを保持しても良く、例えばMTフェルールでも良い。光コネクタ1は、一対のフェルール10を有している。一対のフェルール10は、左右方向に並んで配置されている。
【0030】
内側ハウジング20は、フェルール10を収容する部材である。内側ハウジング20の前側には開口が形成されており、この開口からフェルール10が前側に突出して露出している。内側ハウジング20は、「プラグフレーム」や「プラグハウジング」と呼ばれることもある。内側ハウジング20の後側にはブーツ50が取り付けられている。ブーツ50は、光コード3を保護する部材である。内側ハウジング20は、引掛部21と、内側弾性片22と、表示部23とを有する。
【0031】
引掛部21は、アダプタ111のラッチ爪114(
図2参照)の引っ掛かる部位である。引掛部21は、内側ハウジング20の左右の側面から外側に突出した部位である。引掛部21にアダプタ111のラッチ爪114(
図2参照)が引っ掛かることによって、コネクタラッチ状態となり、光コネクタ1がアダプタ111に固定される。また、引掛部21に引っ掛かったラッチ爪114を外すことによって、コネクタ解除状態となり、光コネクタ1がアダプタ111から抜去可能になる。引掛部21は、アダプタ111のラッチ爪114(
図2参照)とともに、コネクタ用ラッチ部を構成する。
【0032】
内側弾性片22は、後側に向かって延び出た片持ち梁状の部位であり、内側に向かって弾性変形可能な部位である。内側弾性片22は、爪部22Aと、受け部22Bとを有する。
【0033】
爪部22Aは、内側ハウジング20を外側ハウジング30に対して固定するための部位(ハウジング用ラッチ部)である。爪部22Aは、内側弾性片22の外側の側面から外側に向かって突出した爪状の部位である。爪部22Aは、外側ハウジング30の掛止部332に引っ掛かることによって、内側ハウジング20を外側ハウジング30に対して固定する。以下の説明では、爪部22Aが外側ハウジング30の掛止部332に引っ掛かり、内側ハウジング20が外側ハウジング30に固定された状態のことを「ハウジングラッチ状態」と呼ぶことがある。内側弾性片22が内側に弾性変形することによって(
図5B参照)、外側ハウジング30の掛止部332から爪部22Aが外れ、これにより、ハウジングラッチ状態が解除され、外側ハウジング30から内側ハウジング20を抜去することが可能になる。以下の説明では、ハウジングラッチ状態が解除された状態のことを「ハウジング解除状態」と呼ぶことがある。爪部22Aには、後側ほど外側に突出する傾斜面が形成されている。このような傾斜面を爪部22Aが有することにより、外側ハウジング30に内側ハウジング20を挿入するときに徐々に内側弾性片22を内側に弾性変形させることができるため、外側ハウジング30に内側ハウジング20を挿入し易くなる。
【0034】
受け部22Bは、内側弾性片22を内側に変形させる力を外側ハウジング30から受ける部位である。受け部22Bは、片持ち梁状の内側弾性片22の自由端側(後端側)の部位である。
図5Bに示すように、受け部22Bが外側ハウジング30の外側弾性片333から力を受けることによって、内側弾性片22が内側に弾性変形することになる。
【0035】
表示部23は、光ファイバの結線状態を表示する部位である。言い換えると、表示部23は、光コネクタ1の極性を表示する部位である。ここでは、表示部23は、2本のフェルール10のそれぞれに対応させて「A」と「B」のアルファベットで表示されているが、これに限られるものではない。例えば、表示部23が、「1」や「2」などの数字で表示されても良いし、矢印などの記号で表示されても良いし、識別可能な色(識別色)で表示されても良い。本実施形態では、表示部23は、内側ハウジング20の上下の両面に形成されている(後述)。内側ハウジング20の表示部23は、外側ハウジング30の窓312越しに、視認可能である。
【0036】
外側ハウジング30は、内側ハウジング20を収容する部材である。外側ハウジング30は、内側ハウジング20に対して後方にスライド可能である。また、ハウジング解除状態になると、外側ハウジング30から内側ハウジング20を抜去可能になる。外側ハウジング30の前側には開口が形成されており、開口からフェルール10が前側に突出して露出している。外側ハウジング30は、「スライダ」や「つまみ」と呼ばれることもある。外側ハウジング30は、上部31、下部32、及び一対の側部33によって角筒状に構成されている。
【0037】
外側ハウジング30の上部31には、キー突起311と、窓312が形成されている。
【0038】
キー突起311は、光コネクタ1の上下の向きを特定するための部位(キー)である。光コネクタ1をアダプタ111(
図2参照)に挿入するときに、光コネクタ1のキー突起311をアダプタ111のキー溝112に合わせることによって、光コネクタ1が誤った向きに挿入されることを抑制できる。外側ハウジング30に形成されるキーは、キー突起311のような形状に限られるものではなく、他の形状でも良く、凸形状に限られるものでもない。
【0039】
窓312は、外側ハウジング30に形成された貫通穴である。窓312は、内側ハウジング20の表示部23に対向する位置に形成されている。これにより、内側ハウジング20の表示部23が、外側ハウジング30の窓312越しに、視認可能になる。
【0040】
外側ハウジング30の側部33には、開口部33Aと切欠部33Bが形成されている。開口部33Aは、内側ハウジング20の引掛部21を外側に露出させるための開口である。開口部33Aの後縁は、内側ハウジング20の爪部22Aの引っ掛かる掛止部332となる。切欠部33Bは、U字形状に形成された切り欠きである。U字形状の切欠部33Bによって、片持ち梁状の外側弾性片333が形成されている。
【0041】
外側ハウジング30の側部33は、コネクタ解除部331と、掛止部332と、外側弾性片333とを有する。
【0042】
コネクタ解除部331は、内側ハウジング20の引掛部21に引っ掛かっているラッチ爪114(
図2参照)を外側に押し広げる部位である。コネクタ解除部331は、前側ほど外側に突出する傾斜面を有している。光コネクタ1がアダプタ111に接続されたコネクタラッチ状態のときに外側ハウジング30を後方にスライドさせると、コネクタ解除部331の傾斜面によってラッチ爪114が外側に押し広げられて、引掛部21からラッチ爪114が外れてコネクタ解除状態になり、これにより、アダプタ111から光コネクタ1を抜去することが可能になる。
【0043】
掛止部332は、内側ハウジング20の爪部22Aの引っ掛かる部位である。掛止部332に内側ハウジング20の爪部22Aが引っ掛かることによって、内側ハウジング20が外側ハウジング30に対して固定される。ここでは、掛止部332は、開口部33Aの後縁に構成されている。但し、掛止部332を別の部位に構成しても良い。掛止部332は、内側ハウジング20の爪部22Aとともに、ハウジング用ラッチ部を構成する。
【0044】
外側弾性片333は、前側に向かって延び出た片持ち梁状の部位であり、内側に向かって弾性変形可能な部位である。ここでは、外側弾性片333は、U字形状の切欠部33Bによって形成されている。外側弾性片333は、内側ハウジング20の受け部22Bと対向する位置に配置されている。外側弾性片333が内側に押されると、外側弾性片333が内側ハウジング20の受け部22Bを内側に押して、内側ハウジング20の内側弾性片22が内側に弾性変形することになる(
図5B参照)。これにより、外側ハウジング30の掛止部332から内側ハウジング20の爪部22Aが外れてハウジング解除状態になり、外側ハウジング30から内側ハウジング20を抜去することが可能になる。
【0045】
本実施形態では、外側ハウジング30は、内側ハウジング20を反転させて収容可能である。
図3に示す状態では、外側ハウジング30は、表示部23の左側に「A」、右側に「B」が表示された状態で、内側ハウジング20を収容している。以下の説明では、この状態のことを「第1状態」と呼ぶことがある。また、後述するように(
図7C参照)、外側ハウジング30は、表示部23の左側に「B」、右側に「A」が表示された状態で、内側ハウジング20を収容することもできる。以下の説明では、内側ハウジング20を第1状態から反転させた状態のことを「第2状態」と呼ぶことがある。このように、本実施形態の表示部23は、第1状態又は第2状態であることを示している。
【0046】
本実施形態では、外側ハウジング30に内側ハウジング20を第1状態でも第2状態でも収容可能にするために、内側ハウジング20の外形が前後方向を軸とする回転対称に構成されているとともに、外側ハウジング30の内部形状(内側ハウジング20を収容する収容部)も回転対称に構成されている。更に、内側ハウジング20の一対の内側弾性片22や、外側ハウジング30の一対の外側弾性片333を左右対称に配置するため、内側ハウジング20の外形は、左右対称及び上下対称に構成されているとともに、外側ハウジング30の内部形状(内側ハウジング20を収容する収容部)も左右対称及び上下対称に構成されている。なお、一対の外側弾性片333を左右対称に配置することによって、作業者は、外側弾性片333を内側に押圧させ易くなる。
【0047】
タブ40は、光コネクタ1を引っ張るための部材(プルタブ)である。また、 タブ40は、外側ハウジング30をスライドさせる部材である。このため、タブ40は、外側ハウジング30に取り付けられている。タブ40は、U字形状に形成された部材である。タブ40は、操作部41と、一対の回転部42と、一対の連結部43とを有する。
【0048】
操作部41は、タブ40を操作する部位である。作業者が操作部41を引っ張ると、外側ハウジング30が引っ張られて、外側ハウジング30が内側ハウジング20に対して後方にスライドすることになる(この結果、コネクタ解除部331の傾斜面によってラッチ爪114が外側に押し広げられて、引掛部21からラッチ爪114が外れてコネクタ解除状態になる)。また、更に作業者が操作部41を引っ張ると、アダプタ111から光コネクタ1を抜去することができる。例えば、アダプタユニット110に多数の光コネクタ1が高密度で接続されているとき、作業者が外側ハウジング30を直接摘まんでスライドさせることは難しい状況であるが、作業者がタブ40の操作部41を操作することによって、外側ハウジング30を後方にスライドさせれば、アダプタユニット110から光コネクタ1を抜去させることが容易である。
【0049】
回転部42は、タブ40を外側ハウジング30に回転可能に取り付けるための部位である。外側ハウジング30には不図示の軸穴が形成されており、この軸穴に回転部42の軸(不図示)が挿入されることによって、タブ40が外側ハウジング30に対して回転可能に取り付けられている。
【0050】
連結部43は、操作部41と回転部42とを連結する棒状の部位である。連結部43の一端に操作部41が設けられており、連結部43の他端に回転部42が設けられている。連結部43の長さ分だけ回転部42よりも後方に操作部41を配置することができる。本実施形態では、操作部41をブーツ50よりも後側に配置できるため、仮にアダプタユニット110に多数の光コネクタ1が高密度に接続されていても、作業者は操作部41を操作することが容易であり、アダプタユニット110から光コネクタ1を抜去させる作業も容易になる。連結部43は、突起部431と、マーク432とを有する。
【0051】
突起部431は、外側弾性片333を外側から押すための部位(押圧部)である。突起部431は、一対の連結部43の内面から内側に向かって突出して形成されている。操作部41が光コネクタ1の前側になるようにタブ40を回転させると(後述)、突起部431を外側弾性片333に対向させることができる。
【0052】
マーク432は、突起部431の位置を示す部位である。マーク432は、突起部431の形成位置に形成されており、連結部43の上下面に形成されている。本実施形態では、マーク432を三角形として、突起部431を押す方向も示している。但し、マーク432は、三角形のような記号でなくても良い。マーク432の形成位置は、連結部43の上下面に限られるものではなく、例えば連結部43の側面でも良い。また、マーク432が無くても良い。
【0053】
ところで、本実施形態の光コネクタ1では、外側弾性片333をピンで押圧することによって、ハウジング解除状態にすることも可能である。但し、外側弾性片333をピンで押圧する場合、作業者は、光コネクタ1とは別にピンを用意する必要が生じてしまう。これに対し、本実施形態では、タブ40の連結部43に突起部431が形成されており、この突起部431で外側弾性片333を押圧することによって、ハウジング解除状態にすることが可能である。このため、本実施形態の光コネクタ1によれば、ハウジング解除状態にするとき(外側弾性片333を押圧するとき)にピン等の工具が不要になるため、便利である。
【0054】
また、外側弾性片333をピンで押圧することによってハウジング解除状態にする場合、外側弾性片333を弾性変形させ過ぎるおそれが生じる。また、外側弾性片333を弾性変形させ過ぎないように外側弾性片333をピンで押圧することは、力加減が難しい。これに対し、本実施形態では、タブ40の連結部43に形成された突起部431で外側弾性片333を押圧するため、外側弾性片333を弾性変形させ過ぎることを抑制できる。また、作業者が突起部431を強く押し込んでも、連結部43が外側ハウジング30に接触し、それ以上に突起部431を押し込むことができなくなるため、作業者は力加減を気にせずに突起部431を押圧することができる。
【0055】
なお、外側弾性片333をピンで押圧する場合には、タブ40に突起部431が形成されていなくても良い。また、光コネクタ1が、タブ40を備えていなくても良い。
【0056】
<極性変換方法>
図6A及び
図6Bは、両端に光コネクタ1を備えた光コネクタ付きコード(パッチコード)の説明図である。
【0057】
図6Aの光コネクタ付きコードでは、キー突起311を上側にして後側から前側に向かって光コネクタ1を見たとき、いずれの光コネクタ1とも、表示部23の左側に「A」、右側に「B」が表示されている。すなわち、
図6Aの光コネクタ付きコードでは、いずれの光コネクタ1とも、第1状態になっている。
【0058】
これに対し、
図6Bの光コネクタ付きコードでは、キー突起311を上側にして後側から前側に向かって光コネクタ1を見たとき、一方の光コネクタ1は、表示部23の左側に「A」、右側に「B」が表示されているのに対し、他方の光コネクタ1は、表示部23の左側に「B」、右側に「A」が表示されている。すなわち、
図6Bの光コネクタ付きコードでは、一方の光コネクタ1は第1状態になっているのに対し、他方の光コネクタ1は第2状態になっている。
【0059】
つまり、
図6Bの光コネクタ付きコードは、
図6Aの光コネクタ付きコードと異なる種類となる。仮に2種類の光コネクタ付きコードを別々に準備すると、在庫管理が不便である。また、仮に、
図6Aの光コネクタ付きコードだけしか準備できない状況下で、
図6Bの光コネクタ付きコードが必要になってしまうと、光コネクタ付きコードを新たに発注しなければならず、作業工期が延びてしまう。そこで、本実施形態では、キー突起311に対するフェルール10の向き・配置を反転させることによって、
図6Aに示す光コネクタ1を
図6Bに示す光コネクタ1に変換可能にしている。以下の説明では、キー突起311に対するフェルール10の向き・配置を反転させることを「極性変換」と呼ぶことがある。
【0060】
図7A〜
図7Cは、極性変換方法の説明図である。まず、作業者は、上記の構成の光コネクタ1を準備することになる。なお、上記の光コネクタ1は、極性変換可能な構成になっている。
【0061】
図7Aに示すように、作業者は、タブ40の操作部41が光コネクタ1の前側になるように、回転部42を軸にしてタブ40を回転させる。このとき、作業者は、タブ40の突起部431が外側弾性片333に対向するように、タブ40を回転させる。なお、突起部431は連結部43の内側に設けられているため、作業者が突起部431を視認し難い状態であるが、本実施形態では連結部43にマーク432が形成されているため、作業者は、マーク432の位置を参考にして、突起部431を外側弾性片333に対向させることができる。このように、連結部43にマーク432が形成されることによって、突起部431を外側弾性片333に対向させる作業が容易になる。また、連結部43にマーク432が形成されているため、作業者は、突起部431で外側弾性片333を押圧するときに、押圧すべき位置を容易に確認できる。
【0062】
図8A及び
図8Bは、
図7Aに示す状態での光コネクタ1の前部の上面図である。
図8Aには、突起部431を押圧する前の状態が示されている。また、
図8Bには、突起部431の押圧時の状態が示されている。
【0063】
作業者が、突起部431の形成位置でタブ40の連結部43を内側に押すと、突起部431が外側弾性片333を外側から押圧し、外側弾性片333が内側に向かって弾性変形する。また、外側弾性片333が内側に押されると、外側弾性片333が内側ハウジング20の受け部22Bを内側に押して、内側ハウジング20の内側弾性片22が内側に弾性変形することになる(
図8B参照)。これにより、外側ハウジング30の掛止部332から内側ハウジング20の爪部22Aが外れてハウジング解除状態になる。
【0064】
図7Bに示すように、作業者は、ハウジング解除状態のときに、外側ハウジング30から内側ハウジング20を抜去する。そして、
図7Bに示すように、作業者は、外側ハウジング30から内側ハウジング20を抜去した後、内側ハウジング20をフェルール10と共に上下反転させる。言い換えると、作業者は、外側ハウジング30から内側ハウジング20を抜去した後、内側ハウジング20をフェルール10と共に、前後方向を軸として180度回転させる。
【0065】
図7Cに示すように、作業者は、上下反転させた内側ハウジング20を、再び外側ハウジング30に収容する。なお、内側ハウジング20を外側ハウジング30に挿入すると、内側ハウジング20の爪部22Aが外側ハウジング30の掛止部332に引っ掛かり、ハウジングラッチ状態(内側ハウジング20と外側ハウジング30とが固定された状態)になる。
【0066】
図7Aと
図7Cの光コネクタ1の表示部23を比較して分かるように、上記の作業によって、第1状態の光コネクタ1を第2状態に変換することができる。すなわち、上記の作業によって、光コネクタ1の極性変換を行うことができる。なお、同様の作業によって、第2状態の光コネクタ1を第1状態に変換することも可能である。
【0067】
===第2実施形態===
図9A〜
図9Cは、第2実施形態の光コネクタ1の説明図である。
図9Aは、光コネクタ1にキャップ60を取り付ける前の様子を示す斜視図である。
図9Bは、光コネクタ1にキャップ60を取り付けた様子を示す斜視図である。
図9Cは、外側ハウジング30から内側ハウジング20を抜去した様子を示す斜視図である。図中には、第1実施形態と同じ部位には同じ符号が付されている
【0068】
第2実施形態の光コネクタ1は、第1実施形態の光コネクタ1と同様に、フェルール10と、内側ハウジング20と、外側ハウジング30と、タブ40とを有する。第2実施形態の光コネクタ1は、更にキャップ60を有する。
【0069】
キャップ60は、光コネクタ1のフェルール10を保護する部材である。キャップ60は、光コネクタ1の前端部に着脱可能な部材である。光コネクタ1にキャップ60を取り付けると、フェルール10がキャップ60に覆われて保護される。
【0070】
キャップ60は、本体部61と、弾性片62とを有する。本体部61は、キャップ60の本体をなす部位である。本体部61には、光コネクタ1のキー突起311に適合した切欠61Aが形成されている。本体部61の左右の側面には、それぞれ弾性片62が設けられている。弾性片62は、本体部61から後側に向かって延び出た片持ち梁状の部位であり、内側に向かって弾性変形可能な部位である。弾性片62は、突起部621を有する。
【0071】
突起部621は、外側弾性片333を外側から押すための部位(押圧部)である。突起部621は、弾性片62の内面から内側に向かって突出して形成されている。本体部61の切欠61Aに光コネクタ1のキー突起311を合わせながら光コネクタ1の前端部にキャップ60を装着すると、突起部621を外側弾性片333に対向させることができる。
【0072】
第2実施形態では、キャップ60の弾性片62に突起部621が形成されており、この突起部621で外側弾性片333を押圧することによって、ハウジング解除状態にすることが可能である。このため、第2実施形態の光コネクタ1によれば、極性変換のためにハウジング解除状態にするとき(外側弾性片333を押圧するとき)に、ピン等の工具が不要になるため、便利である。なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、外側弾性片333をピンで押圧することによって、ハウジング解除状態にすることも可能である。
【0073】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、タブ40の連結部43に突起部431が形成されている。但し、タブ40に突起部431が形成されていなくても良い。また、光コネクタ1が、タブ40を備えていなくても良い。
【0074】
===小括===
第1、第2実施形態では、フェルール10を収容した内側ハウジング20を上下反転させることによって、キー突起311に対するフェルール10の向き・配置を反転させることができる。このため、光コネクタ1の内部からフェルール10や光ファイバを取り出さなくても、簡易な作業で光コネクタ1の極性変換作業を行うことができる。
【0075】
また、第1、第2実施形態では、外側弾性片333を押圧して変形させ、外側弾性片333から力を受けた内側弾性片22を変形させることによって、爪部22Aを掛止部332から外してハウジング解除状態にすることが可能である。これにより、角筒状の外側ハウジング30の全体(上部31、下部32、側部33)を大きく変形させなくても、外側弾性片333を変形させるだけでハウジング解除状態にすることができるため、外側ハウジング30の破損を抑制することができる。
【0076】
また、第1、第2実施形態では、内側ハウジング20の上下の一方の面には、左側に「A」、右側に「B」を表示した表示部23が形成されるとともに、他方の面には、左側に「B」、右側に「A」を表示した表示部23が形成されており、これにより、内側ハウジング20の上下の両面には、第1状態又は第2状態を示す表示部23が形成されている。フェルール10を収容した内側ハウジング20の両面に表示部23が形成されているので、キー突起311に対するフェルール10の向き・配置を反転させるために内側ハウジング20を反転させたときに、表示部23を反転させることができる。このため、フェルール10の向き・配置に合わせて表示部23を表示させることができる。なお、仮に外側ハウジング30に表示部23を形成した場合には、内側ハウジング20を反転させても表示部23は反転しないため、光ファイバの結線関係の確認が煩雑になる。
【0077】
更に、第1、第2実施形態では、外側ハウジング30に窓312が形成されており、この窓312は、内側ハウジング20の表示部23に対向する位置に形成されている。これにより、内側ハウジング20に形成された表示部23を、外側ハウジング30の窓312越しに視認することができる。但し、外側ハウジング30に収容した内側ハウジング20の一部が露出する場合、その露出した部位に表示部23を形成しても良い。この場合、外側ハウジング30に窓312を形成しなくても良い。
【0078】
また、第1、第2実施形態では、タブ40の連結部43に突起部431が形成されている。これにより、ハウジング解除状態にするとき(外側弾性片333を押圧するとき)にピン等の工具が不要になるため、便利である。また、突起部431で外側弾性片333を押圧することによって、外側弾性片333を変形させ過ぎることを抑制できる。
【0079】
更に、第1、第2実施形態では、タブ40の連結部43に、突起部431の位置を示すマーク432が形成されている。これにより、作業者が突起部431の位置を確認しやすくなる。この結果、突起部431を外側弾性片333に対向させる作業が容易になる。また、突起部431で外側弾性片333を押圧するときに、押圧すべき位置を容易に確認できる。
【0080】
また、第2実施形態では、フェルール10を保護するキャップ60に突起部621が形成されている。これにより、ハウジング解除状態にするとき(外側弾性片333を押圧するとき)にピン等の工具が不要になるため、便利である。また、突起部621で外側弾性片333を押圧することによって、外側弾性片333を変形させ過ぎることを抑制できる。
【0081】
上記の第1、第2実施形態では、光コネクタ1は、単心用のフェルール10を2本備えた2連式コネクタであった。但し、光コネクタ1の内側ハウジング20に収容されるフェルール10の数は、2本に限られるものではなく、2本より多くても良い。
【0082】
また、内側ハウジング20が、単心用フェルールではなく、複数本の光ファイバを保持する多心フェルールを収容しても良い。この場合、外側ハウジング30に収容される内側ハウジング20を反転させることによって、外側ハウジング30のキー突起311に対する光ファイバの配置を変更することができる。例えば、内側ハウジング20が12心のMTフェルールを収容する場合、キー突起311を上側にしたときに、フェルールに保持された12心の光ファイバのファイバ番号が左から順に#1、#2、#3、・・・、#12になる第1状態と、ファイバ番号が左から順に#12、#11、#10、・・・、#1になる第2状態とを、内側ハウジング20を反転させることによって変更できる。
【0083】
===その他===
上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。