(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記排出部によって排出されるシートの先端が前記ニップ部を通過する際には、前記第1風量でシートに送風するように前記送風部を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記排出部が先行するシートに対して後続するシートを連続して排出する際に、前記排出部に後続するシートの先端が達する前に、前記送風部の風量の前記第1風量への変更が完了するように前記送風部を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等、積載部に排出されたシートを排出方向に整合処理可能なシート処理装置を備えた画像形成装置である。以下の実施形態においては、画像形成装置として、白黒/カラー複写機(以下、「複写機」という)1000を用いて説明する。
【0015】
本実施形態に係る複写機1000について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機1000を模式的に示す断面図である。
図2は、本実施形態に係るシート積載装置としてのフィニッシャ100を模式的に示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、複写機1000は、シートSに画像を形成する複写機本体600と、シート積載装置としてのフィニッシャ100と、を備えている。本実施形態に係るフィニッシャ100は、複写機本体600に着脱自在に構成されており、単独でも使用可能な複写機本体600に対して、オプションとして使用することが可能となっている。なお、本実施形態においては、着脱自在のフィニッシャ100を用いて説明するが、画像形成装置は、フィニッシャ100と複写機本体600とが一体の構成であってもよい。
【0017】
複写機本体600は、シートSが給送され複写機本体600の下方に配設されたシート収納部602と、シート収納部602に収納されたシートSを給送するシート給送部603と、を備えている。また、複写機本体600は、シート給送部603により給送されるシートSに画像を形成する画像形成部604と、原稿を給送可能な原稿給送装置605と、原稿給送装置605から給送された原稿の情報を読み取るイメージリーダ606と、を備えている。シート収納部602は、シートSを収納する複数のカセット909a,909bを有している。
【0018】
次に、複写機本体600がシートSへ画像を形成する一連のプロセスについて説明する。複写機本体600は、まず、カセット909a,909bに収納されたシートSを、シート給送部603により所定のタイミングで画像形成部604に給送する。画像形成部604は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が形成される感光ドラム914a〜914dを有しており、感光ドラム914a〜914dに形成された各色のトナー像をシートSに転写する。これにより、シートSには、未定着のトナー像が形成される。そして、複写機本体600は、定着器904で未定着のトナー像をシートSに定着することで、シートSに画像を形成する。なお、原稿の情報を画像情報としてシートSに形成する場合、複写機本体600は、原稿給送装置605から給送され、イメージリーダ606により読み取られた画像情報のトナー像を感光ドラム914a〜914dに形成し、シートSに転写する。また、両面印刷の場合、複写機本体600は、反転ローラ905でシートSを反転させた後、反転搬送路に設けられる搬送ローラ906a〜906fにより反転したシートSを画像形成部604に再搬送し、上述の画像形成に係る一連のプロセスを実行する。一連のプロセスを実行した後、複写機本体600は、排出ローラ907によりフィニッシャ100にシートSを排出する。
【0019】
フィニッシャ100は、複写機本体600の下流側に接続されており、複写機本体600から送り込まれた複数枚のシートSを導入し、オンラインでステイプル、サドル処理等ができるようになっている。
【0020】
図2に示すように、フィニッシャ100は、複写機本体600から送り込まれたシートSを入口ローラ対102に受け渡される。このとき、フィニッシャ100は、入口センサ101によりシートSの受渡しタイミングも同時に検知する。フィニッシャ100は、入口ローラ対102によりシートSを搬送し、搬送パス103を通過させながら横レジ検知センサ104によりシートSの端部位置を検知する。ここで、横レジ検知センサ104は、センター(中央)位置に対してどの程度、シートSの横レジ誤差Xが生じているかを検知するセンサである。
【0021】
横レジ検知センサ104が横レジ誤差Xを検知すると、フィニッシャ100は、シフトローラ対105,106によりシートSを搬送している途中で、手前奥方向にシートSを移動させるシートSのシフト動作をシフトユニット108に実行させる。この、シフトユニット108によるシートSのシフト動作は、横レジ検知処理とも称される。シフトユニット108によるシートSのシフト動作が終了すると、フィニッシャ100は、搬送ローラ対110及びバッファローラ対115によりシートSを搬送する。
【0022】
ここで、シートSを上積載トレイ136に排出する場合、フィニッシャ100は、上パス切換部材118を不図示のソレノイド等の駆動手段により
図2に示す破線の位置に移動する。これにより、フィニッシャ100は、シートSを上パス排出路117に導き、ニップ部Nでシートを挟持して搬送する上排出ローラ対120によって上積載トレイ136に排出する。積載部としての上積載トレイ136にシートSを排出する上排出ローラ対120は、シートを挟持して搬送してからシートを排出する排出部を構成する。また、上排出ローラ対120によってシートSが排出される際にシートSが通過する上パス排出路117は、排出路を構成する。
【0023】
上積載トレイ136へと排出されたシートSは、幅方向揃え部200及び排出方向揃え部としてのトレイパドル300及び突き当て部材85により、上積載トレイ136上でのシートSの幅方向及び排出方向の整合が行われる。ここで、シートSの幅方向の整合を実行する場合、フィニッシャ100は、幅方向揃え部200を駆動し、積載されたシートSの側面を押圧することでシートSを幅方向に移動させて整合する。また、シートSの排出方向の整合を実行する場合、フィニッシャ100は、トレイパドル300を上積載トレイ136上に移動し、積載されたシートSを排出方向上流側に移動させ、突き当て部材85に当接させることで、シートSの排出方向の整合を実行する。なお、以下の記載において、幅方向揃え部200によって揃えられるシートSの幅方向について、一方向側を手前又は手前側とも表記し、他方向側を奥又は奥側とも表記する。
【0024】
一方、シートSを上積載トレイ136に排出しない場合、フィニッシャ100は、上パス切換部材118を
図2に示す実線の位置に移動する。これにより、フィニッシャ100は、シートSを束搬送パス121に導き、バッファローラ対122及び束搬送ローラ対124により束搬送パス121内を通過させる。
【0025】
シートSを中綴じ処理(サドル処理)する場合、フィニッシャ100は、不図示のソレノイド等の駆動手段によりサドルパス切換部材125を
図2に示す破線の位置に移動することでシートSをサドルパス133に導く。そして、フィニッシャ100は、サドル入口ローラ対134によりシートSをサドルユニット135に搬送し、中綴じ処理(サドル処理)を実行する。
【0026】
一方、中綴じ処理(サドル処理)を行わない場合、フィニッシャ100は、サドルパス切換部材125を
図2に示す実線の位置に移動し、束搬送ローラ対124によってシートSを搬送する。フィニッシャ100は、綴じ処理を施す場合、ステイプル部127の処理トレイ138上に順次搬送し、シートSの排出方向及び幅方向の揃え処理を行った後、ステイプラ132による綴じ処理を実行する。その後、フィニッシャ100は、束排出ローラ対130によりシートSを下積載トレイ137に排出する。一方、ステイプル部127で綴じ処理を施さない場合、フィニッシャ100は、処理トレイ138を経由することなく下排出ローラ対128から束排出ローラ対130へとシートSを受け渡し、下積載トレイ137へと排出する。下積載トレイ137へと排出されたシートSは、上積載トレイ136へと排出されたシートSと同様に、幅方向揃え部200及び排出方向揃え部としての突き当て部材により、下積載トレイ137上でのシートSの幅方向及び排出方向の整合が行われる。
【0027】
次に、本実施形態に係る複写機1000を制御するCPU回路部610について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態に係る複写機1000を制御するCPU回路部610のブロック図である。
図4は、本実施形態に係るフィニッシャ制御部618のブロック図である。
【0028】
図3に示すように、CPU回路部610は、ROM612に格納されているプログラム及び操作部601から入力される指示情報に従ってCPU回路部610に電気的に接続されている各要素を制御するCPU611を備えている。また、CPU回路部610は、制御データを一時的に保持する領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM613を備えている。
【0029】
CPU回路部610には、原稿給送装置605を制御する原稿給送装置制御部614と、イメージリーダ606を制御するイメージリーダ制御部615と、が電気的に接続されている。また、CPU回路部610には、イメージリーダ606で読み取った原稿の情報を画像形成可能な画像情報に変換処理する画像信号制御部616と、複写機本体600を制御するプリンタ制御部617と、が電気的に接続されている。ここで、画像信号制御部616は、外部インターフェイス619を介して電気的に接続された外部コンピュータ620から入力されたプリントデータが出力された場合にも、画像形成可能なデータに変換してプリンタ制御部617に出力可能である。
【0030】
また、CPU回路部610には、ユーザからの操作を受け付ける操作部601も電気的に接続されている。CPU回路部610は、操作部601から坪量やコート紙/非コート紙、シートの搬送方向長さ、搬送方向と直交する方向の長さ等のシート情報がユーザにより入力された場合に、RAM613に入力されたシート情報を記憶する。なお、シート情報は、外部コンピュータ620からも入力可能である。そして、CPU回路部610には、フィニッシャ100を制御するフィニッシャ制御部618が電気的に接続されている。
【0031】
図4に示すように、フィニッシャ制御部618は、CPU(マイコン)701、RAM702、ROM703、入出力部(I/O)705a〜705f、通信インターフェイス706及びネットワークインターフェイス704を備えている。
【0032】
フィニッシャ制御部618は、上述したシートSの横レジ検知処理と、シートSをバッファするバッファリング処理と、フィニッシャ100内においてシートSを搬送する搬送処理と、等の各制御処理を実行する搬送制御部707を備えている。また、フィニッシャ制御部618は、処理トレイ138上のシートSに綴じ処理を実行するためにシートSに排出方向及び幅方向の揃え処理を実行する中間処理トレイ制御部708を備えている。また、フィニッシャ制御部618は、処理トレイ138上のシートSに綴じ処理を実行する綴じ制御部709を備えている。
【0033】
また、フィニッシャ制御部618は、上積載トレイ136又は下積載トレイ137に積載されたシートSを整合する幅方向揃え部200やトレイパドル300を駆動及び制御する各種モータやセンサを有する積載トレイ揃え制御部710を備えている。
【0034】
積載トレイ揃え制御部710の詳細を説明する。積載トレイ揃え制御部710は、幅方向揃え部200によってシートSの幅方向の整合を行う際に、シートSを一方側(手前側)から他方側(奥側)へ向けて移動させるように幅方向揃え部200を駆動する手前揃え部スライドモータM9を備えている。また、積載トレイ揃え制御部710は、幅方向揃え部200によってシートSの幅方向の整合を行う際に、シートSを他方側(奥側)から一方側(手前側)へ向けて移動させるように幅方向揃え部200を駆動する奥揃え部スライドモータM10を備えている。また、積載トレイ揃え制御部710は、幅方向揃え部200をシートSの厚さ方向(上下方向)において適切な位置に位置させるために、幅方向揃え部200を昇降させるように駆動する幅方向揃え部昇降モータM11を備えている。そして、積載トレイ揃え制御部710は、幅方向揃え部200を幅方向又は上下方向に駆動する際の位置の基準となる各ホームポジションを検知する手前揃え部HPセンサS9、奥揃え部HPセンサS10及び幅方向揃え部昇降HPセンサS11を備えている。これらの各モータ及び各センサを用いて幅方向揃え部200を駆動することで、積載トレイ揃え制御部710は、上積載トレイ136又は下積載トレイ137に積載されたシートSの幅方向の整合を実行する。
【0035】
また、積載トレイ揃え制御部710は、トレイパドル300を昇降させるトレイパドル昇降モータM12と、トレイパドル300の上下位置の基準となるホームポジションを検出するトレイパドルHPセンサS12と、を備えている。積載トレイ揃え制御部710は、トレイパドル昇降モータM12及びトレイパドルHPセンサS12を用いてトレイパドル300を駆動して、上積載トレイ136又は下積載トレイ137に積載されたシートSの排出方向の整合を補助する。
【0036】
また、フィニッシャ制御部618は、上積載トレイ136及び下積載トレイ137の位置等を制御するために上積載トレイ136及び下積載トレイ137を駆動及び制御する各種モータやセンサを有する積載トレイ制御部711を備えている。
【0037】
積載トレイ制御部711の詳細について説明する。積載トレイ制御部711は、上積載トレイ136を上下方向に移動させる上積載トレイ昇降モータM13と、上積載トレイ136の上下方向の位置を検知する上積載トレイ位置検知センサS13と、を備えている。また、積載トレイ制御部711は、上積載トレイ136上にシートSが積載されているか否かを検知する上積載トレイシート有無検知センサS15を備えている。積載トレイ制御部711は、上積載トレイ位置検知センサS13及び上積載トレイシート有無検知センサS15の情報を用いて上積載トレイ昇降モータM13を駆動し、上積載トレイ136の位置を適切な位置に設定する。
【0038】
また、積載トレイ制御部711には、上積載トレイ136へシートSを排出する場合に、上パス排出路117におけるシートSの位置を検知するシート検知部としての上パス検知センサS17を備えている。ここで、上パス検知センサS17は、シートSの先端が上パス検知センサS17を通過することでON状態となり、シートSの後端が上パス検知センサS17を通過することでOFF状態となるセンサである。上パス検知センサS17のON状態となることで、積載トレイ制御部711は、シートSの排出速度を用いて演算を実行し、上パス排出路117におけるシートSの位置を算出可能に構成されている。
【0039】
また、積載トレイ制御部711には、排出されたシートSが上排出ローラ対120等にもたれかかった際の異常を検知する上第1検知センサS19と、上積載トレイ136に積載されたシートSの最上面を検知する上第2検知センサS20と、を備えている。また、積載トレイ制御部711は、ユーザが上積載トレイ136に積載されたシートSを取り除いた時等、突然上積載トレイ136に積載されたシートSの最上面高さが低くなった際に、低くなったことを検知する上第3検知センサS21を備えている。
【0040】
なお、積載トレイ制御部711は、下積載トレイ137の位置を制御する構成として、上積載トレイ136と同様の構成を備えている。つまり、積載トレイ制御部711は、下積載トレイ昇降モータM14、下積載トレイ位置検知センサS14、下積載トレイシート有無検知センサS16、下パス検知センサS18及び下第1〜第3検知センサS22〜S24を備えている。
【0041】
そして、フィニッシャ制御部618は、後述する上排出ファン60の風量を制御する風量制御部としてのファン制御部712と、を備えている。
【0042】
次に、本実施形態のフィニッシャ100において、上積載トレイ136へ中綴じ処理及び綴じ処理が実行されていない未綴じ状態のシートSを排出する動作について、
図5〜
図12を用いて説明する。
【0043】
図5は、本実施形態のフィニッシャ100において、上積載トレイ136へシートSを排出する場合にフィニッシャ制御部618のうちファン制御部712以外の構成が実行する各制御処理を示すフローチャートである。
【0044】
まず、フィニッシャ制御部618は、シートSを排出するジョブの投入に伴い、フィニッシャ100を構成する各部材のイニシャライズを実行する(S101)。次に、フィニッシャ制御部618のうち搬送制御部707が、シートSを上積載トレイ136へ搬送するために、入口ローラ対102や、シフトローラ対105,106といった各搬送ローラ対を駆動する。また、搬送制御部707は、上パス切換部材118を駆動し、シートSが上パス排出路117を通過し上積載トレイ136へ搬送されるようにする(S102)。そして、フィニッシャ制御部618においては、上パス排出路117にシートSが搬送されることで、上パス検知センサS17がONになる(S103)。
【0045】
次に、搬送制御部707は、上排出ローラ対120を駆動しシートSを上積載トレイ136へ排出することで、シートSの後端が上排出ローラ対120のニップ部Nを通過する(S104)。ここで、フィニッシャ制御部618は、上排出ローラ対120によって排出されるシートSの排出速度とシートSの排出方向の長さとを用いて、上排出ローラ対120のニップ部NをシートSの後端が通過するタイミングを算出している。
【0046】
次に、フィニッシャ制御部618の積載トレイ揃え制御部710が、トレイパドル昇降モータM12を駆動し、トレイパドル300を降下させる(S105)。
図6(a)に示すように、トレイパドル300の先端には、上排出ローラ対120と同期して反時計方向に回転するパドル301が設けられている。トレイパドル300を降下させた場合、上積載トレイ136上においては、パドル301が上積載トレイ136に積載されたシートSの最上面と当接する。そして、上積載トレイ136上においては、パドル301によって排出方向上流側にシートSが付勢され、上積載トレイ136の排出方向上流側に配設された突き当て部材85にシートSが当接する。これにより、フィニッシャ100は、上積載トレイ136に積載されたシートSの排出方向の整合を実行することができる。
【0047】
次に、積載トレイ揃え制御部710は、幅方向揃え部200によってシートSの幅方向の整合を実行するために、手前揃え部スライドモータM9、奥揃え部スライドモータM10及び幅方向揃え部昇降モータM11を駆動する(S106)。各モータを駆動し幅方向揃え部200を駆動することで、上積載トレイ136上においては、積載されたシートSが幅方向において幅方向揃え部200に当接し、シートSの端部が揃えられることで、幅方向の整合が実行される。
【0048】
次に、フィニッシャ制御部618の積載トレイ制御部711が、上第2検知センサS20がONであるか否かを判定する(S107)。この処理において、上第2検知センサS20がONであると判定した場合には(Yes)、積載トレイ制御部711は、上積載トレイ昇降モータM13を駆動し、上積載トレイ136を降下させる(S108)。そして、積載トレイ制御部711は、上第2検知センサS20がOFFになるまで(S107でNo)、ステップS107,S108の処理を繰り返す。なお、上第1〜第3検知センサS19〜S21は、
図6(b)に示すように、上積載トレイ136のうちシートSの排出方向上流側に配設されている。また、いずれのセンサも、遮光状態になることでON状態となり、透過状態でOFF状態となる光学式のセンサから構成されている。
【0049】
上第2検知センサS20がOFFとなった場合(S107でNo)、積載トレイ制御部711は、ステップS104で上排出ローラ対120を抜けたシートSが投入されたジョブにおける最後のシートか否かを判定する(S109)。最後のシートではないと判定した場合には(S109でNo)、フィニッシャ制御部618は、ステップS102に処理を戻す。また、最後のシートであると判定した場合には(S109でYes)、フィニッシャ制御部618は、処理を終了する。
【0050】
次に、上述した未綴じ状態のシートSを上積載トレイ136に排出し、上積載トレイ136にシートSを積載する場合において、ファン制御部712が実行する制御処理について説明する。
図7は、本実施形態のフィニッシャ100において、上積載トレイ136へシートSを排出する場合にフィニッシャ制御部618のうちファン制御部712が実行する各制御処理を示すフローチャートである。
【0051】
まず、ファン制御部712は、ジョブが投入されると上排出ファン60に比較的風量の大きい第1風量V1での送風を開始させる(S121)。つまり、ファン制御部712は、第1風量V1となるような回転数(第1回転数)で上排出ファン60が回転するように上排出ファン60を制御する。本実施形態において、上排出ファン60は、
図8(a)に示すように、上排出ローラ対120の下部近傍に設けられており、上パス排出路117及び上排出ローラ対120のニップ部Nの下方に配置された送風口60aから風が排出される。そして、上排出ファン60は、回転することで風を発生させる羽根車を回転駆動させ、シートSが排出される方向に向けて送風し、シートSの下面に風を当てる。つまり、上排出ファン60は、上排出ローラ対120が搬送している最中のシートの下面及び上積載トレイ136に積載された最上位のシートの上面に沿って風が流れるように送風する。このように、シートSが排出される方向に向けて送風を行う上排出ファン60は、本実施形態における送風部を構成する。
【0052】
次に、ファン制御部712は、上述したステップS103の処理で積載トレイ制御部711の上パス検知センサS17にシートSの先端が検知されてから、L1mm搬送されたか否かを判定する(S122)。次に、ファン制御部712は、上排出ファン60に送風させる風量を第1風量V1から比較的風量の小さい第2風量V2に切り替える(S123)。つまり、ファン制御部712は、第2風量V2となるような、第1風量V1となる回転数よりも少ない回転数(第2回転数)で上排出ファン60が回転するように上排出ファン60を制御する。次に、ファン制御部712は、シートSの後端が上排出ローラ対120のニップ部Nを抜けてから300ms経過したか否かを判定し(S124)、300ms経過していない場合には(S124でNo)、300ms経過するまでS124の処理を繰り返す。そして、300ms経過したと判定した場合には(S124でYes)、ファン制御部712は、上排出ファン60に送風させる風量を第2風量V2から第1風量V1に切り替える(S125)。
【0053】
ステップS121〜S125においてファン制御部712が実行する制御処理の詳細について説明する。本実施形態において、上積載トレイ136は、排出方向上流側に設けられシートSの排出方向に対して比較的急勾配からなる第1面136aを有している。また、上積載トレイ136は、第1面に対して緩勾配からなる排出方向下流側に設けられた第2面136bと、第1面136aと第2面136bとの接続箇所である接続部136cと、を有している。第1面136aは、水平面に対して角度θを有するように傾斜している。このため、上積載トレイ136上においては、第1面136aに積載されたシートSが自重により排出方向上流側に移動可能となっている。
【0054】
そして、上積載トレイ136における接続部136cの位置は、
図8(a)に示すように、上パス検知センサS17から略L1mmの位置となっている。つまり、距離L1は、上排出ファン60からの送風がない場合、上排出ローラ対120で排出されるシートSの先端が、上積載トレイ136に当接する長さに相当する。
図8(b)に示すように、仮に上排出ファン60による送風を実行しない場合、接続部136cの近傍までシートSの先端が到達すると、上積載トレイ136上の積載シートに排出シートの先端が当接し、排出シートによる積載シートの押し出しが発生し得る。そのため、本実施形態においては、上パス検知センサS17から接続部136cの位置までシートSを排出している間は、上排出ファン60に第1風量V1で送風させることで、シートSの先端が積載シートに当接し押し出してしまうことを防止している。つまり、第1風量V1は、排出シートの先端により積載シートが押し出されることを防止可能な風量である。
【0055】
また、ステップS122の処理において、ファン制御部712は、上パス検知センサS17をシートSの先端が通過してから排出時間Taが経過したか否かを判定することで、シートSがL1mm搬送されたか否かを判定している。ここで、排出時間Taは、シートSの排出速度から設定される時間である。このため、上パス検知センサS17がシートSの先端を検知してからシートSがL1mm排出されたと判定するまでにかかる排出時間Taの値は、排出速度が速くなった場合には小さい値に設定され、排出速度が遅くなった場合には大きい値に設定される。
【0056】
ステップS121〜S125の処理における時間の経過と上排出ファン60が送風する風量の変化との関係を
図9に示す。本実施形態の上排出ファン60は、風量をV1からV2に変化する際に第1応答時間t1が必要であり、風量をV2からV1に変化する際に第2応答時間t2が必要である。つまり、上排出ファン60は、一般的なファンと同様、応答性が低い構成となっている。
【0057】
図9に示すように、ファン制御部712は、シートSの先端がL1mm搬送された時点でステップS123の処理を実行する。ここで、ファン制御部712は、第1風量V1から第2風量V2に切り替えるのに必要な第1応答時間t1が経過する以前に、シートSの後端が上排出ローラ対120のニップ部Nを通過することを避ける必要がある。
【0058】
そのため、ファン制御部712は、シートSの先端がL1mm搬送される排出時間Taを経過した時点から上排出ファン60が送風する風量を第1風量V1から第2風量V2に切り替え開始する。これにより、ファン制御部712は、シートSの後端がニップ部Nを通過する以前に、上排出ファン60が送風する風量を第1風量V1から第2風量V2に切り替え完了可能に構成されている。このように、ファン制御部712は、上排出ファン60が第1風量V1から第2風量V2に切り替えるのに必要な第1応答時間t1と、シートSの排出速度と、を用いて、第1風量V1と第2風量V2とを切り替える制御を開始するタイミングを決定している。
【0059】
ここで、仮にシートSがL1mm搬送された後に第1風量V1から風量0に、すなわち送風を停止するように制御した場合、上排出ファン60が送風する風量は、
図10に示すグラフのように変化する。
図10に示すように、風量の低下により、第2風量V2となる時刻Tbから風量が0となる時刻Tcまでの間、第2風量V2以下の風量で上排出ファン60による送風が実行される。また、時刻TcからシートSの後端が上排出ローラ対120のニップ部Nを通過する時刻Tdまでの間は、上排出ファン60による送風が停止される。このため、時刻Tbから時刻Tdまでにおいては、
図11(a)に示すように、上積載トレイ136上において排出シートの下面が積載シートの上面と摩擦接触する。そして、排出シートの下面と積載シートの上面との間の摩擦μによって、積載シートが排出方向下流側に押し出されてしまうことになる。
【0060】
本実施形態において、ファン制御部712は、上述した通りシートSがL1mm搬送された後に、上排出ファン60の風量が第1風量V1から第2風量V2に切り替わるように制御する。また、第2風量V2に切り替えた後、ファン制御部712は、上排出ローラ対120のニップ部NをシートSの後端が通過して300ms経過するまで、上排出ファン60に第2風量V2での送風を実行させる。これにより、
図11(b)に示すように、ファン制御部712は、排出シートの下面と積載シートの上面との間に空気を介在させて摩擦力が生じないようにするいわゆるエアルブリケーション状態にすることができる。エアルブリケーション状態にすることで、ファン制御部712は、排出シートの下面と積載シートの上面との摩擦接触を防止し、摩擦μによって積載シートが排出方向下流側に押し出されることを防止することができる。なお、積載シートが1枚もない状態で第2風量V2で送風した場合、上積載トレイ136上においては、排出シートが排出された後上積載トレイ136と排出された排出シートの下面との間に空気が介在する。
【0061】
また、上排出ローラ対120のニップ部NをシートSの後端が通過した際に第1風量V1で送風を実行すると、排出シートの着地点が大幅に排出方向の下流側となってしまい、上積載トレイ136から落下する可能性もある。落下しない場合であっても、積載トレイ136において、幅方向揃え部200及びトレイパドル300によって幅方向及び排出方向の整合を行う際に、上排出ファン60から第1風量V1で送風される風の影響を受けて、積載シートの先端の挙動が暴れやすい。このため、第2風量V2に切り替えることなく第1風量V1での送風を継続した場合、上積載トレイ136上においては、積載シートの位置が不安定となりやすく、積載シートの排出方向及び幅方向の位置の安定性(積載性)に欠けてしまう。
【0062】
しかしながら、ファン制御部712は、
図9にも示すように、シートSの後端が上排出ローラ対120のニップ部Nを通過する際には、上排出ファン60から送風される風量を第1風量V1よりも少ない第2風量V2に切り替え完了するように制御している。このように制御することで、フィニッシャ100は、排出シートの着地点が排出方向下流側に大きくずれることを防止している。つまり、第2風量V2は、第1風量V1よりも少なく排出シートの下面により積載シートが押し出されることを防止可能な風量で且つ排出シートの排出方向での位置(着地点)が安定する風量である。
【0063】
第2風量V2の詳細について、
図12を用いて説明する。
図12は、第2風量V2の強さとシートSの坪量との関係をグラフにしたものである。例えば坪量M1のシートのような坪量の小さいシートに画像を形成する場合、第2風量V2の風量が強すぎると軽いシートに強い風を当てることになる。このため、
図12に示すように、積載性が低下し、上積載トレイ136から落下する可能性が高くなる。
【0064】
また、例えば坪量M4のシートのような坪量の大きいシートに画像を形成する場合、第2風量V2の風量が弱すぎると、重いシートに弱い風を当てることになる。このため、
図12に示すように、排出シートの下面と積載シートの上面との間の摩擦μによる積載シートの押し出しが発生する可能性が高くなる。
【0065】
このように、画像が形成されるシートの坪量に応じて第2風量V2を設定する必要がある。そこで、ファン制御部712は、入力部としての操作部601に入力されるシートSのシート情報のうちシートの坪量に基づいて第2風量V2を変更可能に構成されている。特に、坪量の異なる複数のシートに画像を形成する場合には、
図12に示すように、坪量M1〜M4に対応した第2風量V2−1〜V2−4のように、坪量毎に第2風量V2の設定値を設定する必要がある。なお、ファン制御部712は、坪量毎に第2風量V2の設定値を有するほかに、普通紙とコート紙といった紙種毎で異なる設定値を有するように構成されているとなおよい。
【0066】
そして、ファン制御部712は、次回の排出シートの先端が上排出ローラ対120のニップ部Nに突入する以前に、上排出ファン60が送風する風量を第2風量V2から第1風量V1に切り替えるために、切り替えに必要な第2応答時間t2を見越して制御する。つまり、ファン制御部712は、前のシートがニップ部Nを抜けた後に次のシートがニップ部Nに到達するまでの時間が短く生産性が高い場合には、300ms以前にステップS125の処理を開始する必要がある。本実施形態においては、シートSの後端が上排出ローラ対120のニップ部Nを抜けてから300ms経過後にステップS125の処理を実行することで、次回の排出シートの先端が上排出ローラ対120のニップ部Nに突入する以前に風量の切り替えを完了できる。なお、シートSの後端が上排出ローラ対120のニップ部Nを通過してから300ms経過するまでの間においては、上述したステップS105,S106で実行される積載シートの搬送方向及び幅方向を整合する処理が実行されている。
【0067】
ステップS125の処理を実行した後、ファン制御部712は、ステップS104で上排出ローラ対120を抜けたシートSが投入されたジョブにおける最後のシートか否かを判定する(S126)。この処理において、ファン制御部712は、上述した積載トレイ制御部711によるステップS109の処理と同様の処理を実行する。そして、最後のシートではないと判定した場合には(S126でNo)、ファン制御部712は、ステップS122に処理を戻す。また、最後のシートであると判定した場合には(S126でYes)、ファン制御部712は、処理を終了する。
【0068】
以上のように、本発明のフィニッシャ100は、上パス検知センサS17によって検知されるシートSの位置に応じて上排出ファン60の風量を第1風量V1と、第2風量V2とに切り替える制御をファン制御部712が実行する。このため、第1風量V1で送風することで、上排出ローラ対120によって排出されるシートSの先端により上積載トレイ136に積載されたシートが、シートSの排出方向の下流側に押し出されることを防止可能となる。また、第2風量V2で送風するように切り替えることで、上排出ローラ対120によって排出されるシートSの下面により上積載トレイ136に積載されたシートが押し出されることを防止可能となる。さらに、第1風量V1よりも弱い第2風量V2で送風することで、上積載トレイ136に積載されるシートSの着地点が大幅に排出方向の下流側になることを防止可能なため、上積載トレイ136に積載されるシートSを安定して積載可能となる。
【0069】
なお、本実施形態において、ファン制御部712は、シートSの先端がL1mm搬送された場合に上排出ファン60に送風させる風量を第1風量V1から第2風量V2に切り替えるように制御しているが、これに限定されない。フィニッシャ100において、シートSが上排出ローラ対120のニップ部Nを通過している際に第1風量V1で上排出ファン60が送風することは、シートSがニップ部Nで挟持されていることからシートSの積載性に影響を与えない。このため、ファン制御部712は、シートSの先端がL1mm搬送された後も第1風量V1での送風を継続し、シートSの後端がニップ部Nを通過する直前に風量が第2風量V2に切り替わるように制御してもよい。シートSの後端がニップ部Nを通過する直前に風量が第2風量V2に切り替わるように構成した場合、フィニッシャ100は、排出シートの下面と積載シートの上面との間の摩擦μにより積載シートが排出方向下流側に押し出されることをより確実に防止できる。
【0070】
また、本実施形態において、ファン制御部712は、シートSの後端がニップ部Nを通過してから300ms経過した場合に上排出ファン60に送風させる風量を第2風量V2から第1風量V1への切り替えを開始するように制御しているが、これに限定されない。上述したように、シートSの後端がニップ部Nを通過してから300ms経過するまでの間においては、ステップS105,S106(
図5参照)で実行される積載シートの搬送方向及び幅方向を整合する処理が実行されている。積載シートの搬送方向及び幅方向を整合する処理を実行する場合においては、送風の影響を受けることによるシートSの先端の挙動のばらつき等を考慮すると、風量が少ない方が積載シートが排出方向上流側に移動しやすくできる。そのため、ファン制御部712は、シートSの後端がニップ部Nを通過してから300ms経過した以降も第2風量V2での送風を継続し、シートSの先端がニップ部Nに搬送される直前に風量が第1風量V1に切り替わるように制御してもよい。このように構成した場合、フィニッシャ100は、シートSの先端による上積載トレイ136に積載されたシートの排出方向下流側への押し出しを防止しつつ、上積載トレイ136に積載されるシートの積載性をより向上させることができる。
【0071】
また、ファン制御部712は、
図13に示すように、シートSの後端が上排出ローラ対120のニップ部Nを通過した後に、上排出ファン60による送風を停止するように構成されていてもよい。なお、このように構成した場合、前のシートの後端がニップ部Nを抜けてから、次のシートの先端がニップ部Nに突入するまでに、上排出ファン60の風量を風量0から第1風量V1に切り替え完了する必要がある。このため、このように構成するためには、非常に応答性が高いファンを用いるか、又は生産性が低い場合である必要がある。
【0072】
また、本実施形態において、ファン制御部712は、上排出ファン60の風量を第1風量V1と第2風量V2とに切り替えるように制御するが、これに限定されない。上述した通り、上排出ファン60は、応答性が低い構成となっている。また、A4サイズのような搬送方向の長さが短いシートSである場合、シートSの排出時にシートSが排出方向下流側にずれる距離は、第1風量V1による送風であってもあまり大きくない。このため、ファン制御部712は、操作部601から入力されたシートのサイズがA4サイズのような搬送方向の長さが所定サイズよりも短いシートである場合には、風量を切り替える制御を実行せずに第1風量V1にしたままでシートを排出する。そしてA3サイズのような、搬送方向の長さが所定サイズ以上のシートである場合には、シートを上排出ローラ対120が搬送している最中に、上排出ファン60の風量を第1風量V1から第2風量V2に切り替える制御を実行する。このように、ファン制御部712は、上排出ファン60の風量を切り替える制御の実行可否を、シートSのサイズに応じて変更するように構成してもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、代表例として、上積載トレイ136への未綴じ状態のシートの排出動作を用いて説明したが、例えば下積載トレイ137への未綴じ状態のシートの排出動作であってもよい。この場合、フィニッシャ100は、下積載トレイ137にも上排出ファン60と同様の下排出ファンを備える必要がある。また、未綴じ状態のシートに限らず、ステイプルされたシートを排出する際の動作であっても本発明を適用し得る。