特許第6622585号(P6622585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622585
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/00 20060101AFI20191209BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20191209BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   F16L3/00 H
   F16L1/00 C
   F16L1/00 D
   E03C1/12 Z
   E03C1/12 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-255798(P2015-255798)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-120092(P2017-120092A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年8月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 積水化学工業株式会社のポータルサイト(http://www.eslontimes.com/system/)において、平成27年12月1日に掲載した、製品「クウチョウハイパーCH」のホームページ(http://www.eslontimes.com/system/items−view/210/)にカタログを発表した。 カタログのURL http://www.eslontimes.com/system/access/file/item=210/type=4/id=4705/
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺地 信治
(72)【発明者】
【氏名】三二 敏文
(72)【発明者】
【氏名】星野 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】梅山 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】大道 康之
(72)【発明者】
【氏名】大沼 浩身
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−316927(JP,A)
【文献】 特開2007−217896(JP,A)
【文献】 特開2008−285854(JP,A)
【文献】 実開昭60−183777(JP,U)
【文献】 特開2007−217895(JP,A)
【文献】 特開2015−017497(JP,A)
【文献】 特開平10−183704(JP,A)
【文献】 特開2014−098305(JP,A)
【文献】 特開2017−057969(JP,A)
【文献】 特開2017−115379(JP,A)
【文献】 特開2006−342564(JP,A)
【文献】 特開2013−167140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00
E03C 1/12
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層建ての建物の内部で、各階を貫通して上下に延びる縦管と、
該縦管の下端部から横方向へ延びる横管と、
前記縦管の下端部と前記横管の端部とを接続している継手部材と、を有する配管構造において、
前記縦管を、最下階の床面よりも上側の位置で縦管の少なくとも横方向への動きを規制する第一の固定部と、
前記横管を、最下階の床面よりも下側の位置で横管の縦方向への動きを規制する第二の固定部とを備え、
前記縦管には拡径部が設けられ、前記拡径部は、電気熱融着継手であると共に、
前記縦管は、前記拡径部を介して前記第一の固定部によって、上下方向の位置を固定するように位置規制されており、
前記第二の固定部は、前記継手部材よりも上側の位置に設置されて、前記横管を上から支持することを特徴とする配管構造。
【請求項2】
前記第一の固定部は、前記拡径部によって前記縦配管に係止固定されていることを特徴とする請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記縦管は、ポリエチレン管、ポリブテン管、または、ポリプロピレン管であることを特徴とする請求項1に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多層建ての建物の内部に、各階を貫通して上下に延びる縦管を設けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この縦管の下端部には、エルボ状の継手部材を介して横方向へ延びる横管が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−283814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような配管構造では、縦管全体の重量と縦管内を流れる水の水圧とが縦管の下端部の継手部材に作用されることになる。
【0006】
更に、縦管や横管に温水などを流した場合、縦管や横管は温水の熱によって熱伸長することになり、この縦管や横管の熱伸長による荷重も、縦管の下端部の継手部材に作用されることになる。
【0007】
そして、この縦管の熱伸長によって縦管と横管との角度が変化するようにエルボ状の継手部材が変形されることで、配管構造自体がダメージを受ける可能性があり、縦管が水圧に耐えられなくなるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決することを、主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
多層建ての建物の内部で、各階を貫通して上下に延びる縦管と、
該縦管の下端部から横方向へ延びる横管と、
前記縦管の下端部と前記横管の端部とを接続している継手部材と、を有する配管構造において、
前記縦管を、最下階の床面よりも上側の位置で縦管の少なくとも横方向への動きを規制する第一の固定部と、
前記横管を、最下階の床面よりも下側の位置で横管の縦方向への動きを規制する第二の固定部とを備え、
前記縦管には拡径部が設けられ、前記拡径部は、電気熱融着継手であると共に、
前記縦管は、前記拡径部を介して前記第一の固定部によって、上下方向の位置を固定するように位置規制されており、
前記第二の固定部は、前記継手部材よりも上側の位置に設置されて、前記横管を上から支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、熱伸長に対して配管構造を保護できるようになる。この際、拡径部は、横管の熱伸長に拘らず、縦管の左右方向の位置を固定するために使用できるものとなる。また、拡径部は、縦管の熱伸長に拘らず、縦管の上下方向の位置を固定するための位置基準としても使用できるものとなる。そして、第一の固定部を、縦管に電気熱融着継手によって設けられた拡径部に係止固定させることにより、第一の固定部と縦管との間に位置ズレが生じなくなる。また、第二の固定部が継手部材の上側から横管を支持することにより、地盤に凹凸があるような場合でも、縦管および継手部材を適切に支持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施例にかかる配管構造を備えた建物の全体構成を示す側面図である。
図2図1の縦管の床貫通部分の拡大図である。
図3図1の最下階における縦管および横管の状態を示す拡大側面図である。
図4図3の第一の固定部を示す拡大側面図である。
図5図4の第一の固定部の斜視図である。
図6図5の第一の固定部の平面図である。
図7】第二の固定部の側面図である。
図8】別の第二の固定部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図8は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0013】
<構成>以下、構成について説明する。
【0014】
図1は、多階建ての建物1を示している。この多階建ての建物1の内部に、以下のような配管構造2を設ける。
【0015】
この配管構造2は、
多階建ての建物1の内部で、各階を貫通して上下に延びる縦管3と、
この縦管3から各階ごとに横方向へ延びる横管4とを有するものとされる。
【0016】
ここで、多階建ての建物1は、少なくとも3階建て以上の建物1とされる。この場合、多階建ての建物1は、1階(1F)から10階(10F)までの10の階層を持つものとされているが、建物1の階層は、これに限るものではなく、10階より高くても良いし、または、低くても良い。また、地下階を含んでも良い。この建物1は、鉄筋コンクリート製のものとされており、各階の間は、鉄筋コンクリート製の床面11(階層間隔壁となる床スラブ)によって、それぞれ仕切られている。
【0017】
上記した配管構造2は、例えば、建物1の内部に温水を供給するための給湯配管を構成するものなどとされる。
【0018】
縦管3は、図2に示すように、主管となるものであり、床面11に形成された貫通孔部12を通すようにして設置される。縦管3における貫通孔部12の貫通部分には、熱膨張性の耐火材13が巻装されると共に、その上からモルタル14で埋め戻される。
【0019】
縦管3には、鋼管よりも熱伸長量の大きな樹脂管が用いられている。この樹脂管には、例えば、ポリエチレン管、ポリブテン管、ポリプロピレン管、塩化ビニル管、架橋ポリエチレン管、ポリプロピレン複合管、ポリエチレン複合管などを使用することができる。なお、縦管3は、必ずしも全体が樹脂管でなくても良く、縦管3の一部や継手を鋼管としても良い。
【0020】
これらのうち、ポリプロピレン複合管や、ポリエチレン複合管は、例えば、内側から順に、少なくとも、温水を通すための第一の樹脂層、熱伸縮を抑えるための繊維強化層、後述する電気熱融着継手45(図3参照)と融着するための第二の樹脂層、を積層した多層構造のもの(多層管)などとすることができる。第一、第二の樹脂層と、繊維強化層に用いられる樹脂とは、同一の樹脂材料を含むことが好ましい。繊維強化層には、ガラス繊維や炭素繊維等、または、ワラストナイト等の無機繊維などの繊維を含有させたポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。ポリエチレンやポリプロピレンの線膨張係数は10×10−5/℃以上で熱伸長量が大きいため、繊維強化層の厚さや繊維添加量としては、多層管の線膨張係数が10×10−5/℃以下、より好ましくは5×10−5/℃以下となるように調整することが好ましい。多層管の線膨張係数を上記の値とすることで熱伸縮を小さくすることができる。
【0021】
更に、第二の樹脂層の外側に、接着層を介して、酸素バリア層を設けることができる。接着層は、第二の樹脂層と酸素バリア層とを接着するために設けられる。酸素バリア層は、配管構造2に対して接続される金属部品、例えば、空調機の内部配管などの錆びを防止するために設けられる。酸素バリア層には、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂やアルミニウムなどを用いることができる。なお、酸素バリア層は第二の樹脂層の外側に限るものではなく、第一の樹脂層の内側や、第一の樹脂層と繊維強化層の間や、繊維強化層と第二の樹脂層の間などに設けることができる。
【0022】
横管4は、この場合、図3に示すように、各階における床面11の下面側(即ち、下階の天井部分)に沿って配設される横枝管(または分岐管)となっていると共に、吊具15を用いて床面11から吊り下げ支持される。横管4には、縦管3と同じ管部材(鋼管や樹脂管)を用いることができる。
【0023】
縦管3に対する横管4の接続部には、チーズなどの分岐継手が用いられる。上記縦管3と上記横管4との接続部の近傍には、上下方向にオフセットした形状のオフセット部51が設置される。このオフセット部51は、2個のエルボ型継手55をクランク状に組み合わせたものとされる。「オフセット」とは、横管4などにおいて継手部材などを用いて異なる軸を構成するように接続することで、縦管3が変位した場合でも、横管4で当該変位を所定程度まで吸収することができるようにした構成のことをいう。
【0024】
なお、縦管3と横管4の外側には、必要に応じて断熱材16が取付けられる。この断熱材16は、縦管3における貫通孔部12の貫通部分に対して設けることもできる(図4参照)。この断熱材16については後述する。
【0025】
また、図1に示すように、縦管3の下端部には、エルボ状の継手部材17を介して主管の一部を構成する横管18が接続されている。この横管18も、各階の横管4と同様の吊具15(図7参照)を用いて床面11の下面側から吊り下げ支持されている。ここで、エルボ状の継手部材17は、90度に屈曲したものとされている。
【0026】
そして、以上のような基本的または全体的な構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えている。
【0027】
(1)上記縦管3を、最下階の床面11aよりも上側の位置で縦管3の少なくとも横方向への動きを規制する第一の固定部21と、
上記横管18を、最下階の床面11aよりも下側の位置で横管18の縦方向への動きを規制する第二の固定部23(図8参照)とを備えるようにする。
【0028】
ここで、最下階の床面11aは、地下階を含めて縦管3が貫通している各階の床面11の中で最も下側となる床面11のことである。継手部材17および横管18は、最も下側の床面11よりも下側の床下スペース24に配設される。また、縦管3の少なくとも横方向への動きとは、横管18の熱伸長による縦管3の左右方向の動きのことである。横管18の縦方向への動きとは、縦管3の熱伸長による横管18の上下方向の動きのことである。なお、建物1の最下階にはポンプなどの冷温水式空調設備が設置されていることが多く、これらの設備付近において縦管3の熱伸長量が大きいと、縦管3と冷温水式空調設備との接続部分にかかる負荷が大きくなる。第一の固定部21および第二の固定部23を最下階の床面11a近くに設けるのは、この負荷を抑制するためである。第一の固定部21および第二の固定部23については後述する。
【0029】
(2)上記縦管3には拡径部41が設けられるようにする。
そして、上記縦管3は、上記拡径部41を介して上記第一の固定部21により位置規制されるようにする。
より具体的には、上記縦管3に対して部分的に拡径部41が設けられるようにする。
上記第一の固定部21が、上記拡径部41によって縦管3に係止固定されるようにする。
【0030】
ここで、拡径部41は、文字通り、縦管3の径を部分的に拡大したようなものである。拡径部41は、縦管3に対して一体に設けられる。拡径部41は、第一の固定部21の設置位置に対して設けられる。拡径部41は、横管18の熱伸長に拘らず、縦管3の左右方向の位置を固定するために使用できるものである。また、拡径部41は、縦管3の熱伸長に拘らず、縦管3の上下方向の位置を固定するための位置基準としても使用できる。
【0031】
この場合、拡径部41には、例えば、電気熱融着機構を備えた継手(電気熱融着継手45)を使用することができる。この電気熱融着継手45は、電気熱融着継手45を構成する樹脂を熱で軟化・溶融させて樹脂製の配管(縦管3)と融着(または組織が融合した状態で固定)させるようにしたものである。電気熱融着継手45は、融着される配管と同じ樹脂で構成された筒状の継手本体の内面近傍に埋設された加熱コイル46を有すると共に、外面に上記加熱コイル46へ電力を供給するためのターミナル部47を有するものとされる(図4参照)。
【0032】
電気熱融着継手45は、縦管3へ外嵌した状態でターミナル部47に通電して加熱コイル46を加熱させることで、予め表面(の酸素バリア層および接着層)を切削しておいた縦管3(の第二の樹脂層)と熱融着して一体化される。そして、この電気熱融着継手45により、拡径部41は、両端部に縦管3に対する段差部48を有するものとなる。第一の固定部21は、この段差部48を利用して係止固定される。
【0033】
これに対し、第一の固定部21には、例えば、図4図6(主に、図5参照)に示すようなものが用いられる。この第一の固定部21は金属製のものとされる。第一の固定部21は、中間部に縦管3の外径とほぼ等しい内径の半円形状をした凹部を有する2枚の金属バンド部材25を備えており、この2枚の金属バンド部材25を、凹部が向かい合うように重ね合わせてその両端部どうしを一体に固定することで、縦管3の外周に取付け可能な環状の管保持部26と、この管保持部26から径方向へ延びる連結部27と、この連結部27どうしを連結固定可能なボルトナットなどの締結具(固定具28)とを有するクランプ部材とされている。なお、上記した管保持部26の内周面には、縦管3の外周面に傷などを付けないようにするために、ゴム製の保護部材などを介在させるようにする。
【0034】
更に、上記した第一の固定部21における連結部27の位置には、床面11(の上面)に対してアンカーボルト31などで固定可能な所要長さの脚部32が取付けられる(図4参照)。この脚部32は、第一の固定部21の両端部(連結部27)に対してそれぞれ左右一対取付けられている(固定具28によって連結部27に共締めされている)。この場合、脚部32は、電気熱融着継手45よりも長いものとされて、貫通孔部12を跨ぐようにハ字状に開いた状態で取付けられている。なお、脚部32と床面11との間には、断熱材33(図4参照)などを介在させるようにするのが好ましい。
【0035】
この実施例の場合、上下一対の電気熱融着継手45を用いて第一の固定部21を上下から挟着させるようにしている。
【0036】
なお、床面11の貫通孔部12は、電気熱融着継手45が通る大きさにするのが好ましい。
【0037】
(3)そして、図7に示すように、上記第二の固定部23は、上記継手部材17よりも下側の位置に設置されて、継手部材17を下から支持するものとされる。
【0038】
ここで、第二の固定部23は、最も下側の床面よりも下側の床下スペース24の底面に設置された支持台71と、この支持台71に取付けられて、エルボ状をした継手部材17を保持可能な保持部材72とを有するものなどとされる。
【0039】
上記支持台71は、継手部材17の横管18に対する受口部に対して直接下から当接可能な高さを有する支持ブロックなどとされる。また、保持部材72は、継手部材17の横管18に対する受口部の周囲を上から包持可能な逆U字状の包持部材(ボルトまたはバンド)などとされる。この保持部材72は、支持ブロックの上面に対して両腕部をボルト固定される。
【0040】
(4)または、図8に示すように、上記第二の固定部23は、上記継手部材17よりも上側の位置に設置されて、上記横管18を上から支持するものとしても良い。
【0041】
ここで、第二の固定部23は、最も下側の床面の裏面などに取付けられた支持プレート75と、この支持プレート75に取付けられて、横管18の継手部材17に対する差口部の周囲を保持可能な保持部材76とを有するものなどとされる。
【0042】
上記支持プレート75は、最も下側の床面の裏面に対する取付部となる横面部75aと、この横面部75aから横管18の継手部材17に対する差口部の側部へ向けて垂下される縦面部75bとを有するL字状の金具などとされる。また、保持部材76は、継手部材17の横管18に対する受口部の周囲を包持可能な横向きU字状の包持部材(ボルトまたはバンド)などとされる。この保持部材76は、支持プレート75の縦面部75bに両腕部をボルト固定される。
【0043】
(5)また、図2に示すように、少なくとも、固定部21,23が設置されている床面11に対して、上記した加熱膨張型の耐火材13(例えば、登録商標「フィブロック」など)が用いられているが、更に、図3図4に示すように、固定部21,23が設置されている床面11に対し、通常のまたは加熱膨張型の断熱材16を設けるようにしても良い。
【0044】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0045】
この実施例の配管構造2では、縦管3に温水を流すことで、横管4を介して建物1の各階に温水を行き渡らせることができる。
【0046】
この際、温水を流すことによって、縦管3や横管4や横管18は熱伸長される。
【0047】
なお、このような配管構造2は、建物1の給湯設備や冷温水式空調設備などに使用することができる。
【0048】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0049】
(作用効果1)第一の固定部21で縦管3の少なくとも横方向への動きを規制し、第二の固定部23で横管18の縦方向への動きを規制するようにした。これにより、二軸方向に対して継手部材17の動きを規制することが可能となる。よって、縦管3や横管18に高温の流体が流れることで縦管3や横管18が縦方向や横方向へ熱伸長しても、継手部材17およびその周辺を支障なく支持することができるようになる。
【0050】
これにより、縦管3や横管18の熱伸長に対して配管構造2を保護することが可能になる。
【0051】
(作用効果2)縦管3を、(この縦管3に設けられた)拡径部41を介して位置規制させるようにした。具体的には、第一の固定部21を、縦管3に部分的に設けられた拡径部41に係止固定させた。これにより、第一の固定部21と縦管3との間に位置ズレが生じなくなるため、縦管3を拡径部41の位置で建物1に対して上下方向(および左右方向)に完全に位置固定することが可能となる。よって、繰り返しの熱伸縮によって建物1に対する縦管3の全体位置が徐々にズレて行き、建物1内に縦管3が収まらなくなってしまうような不具合をなくすことができる。
【0052】
(作用効果3)第二の固定部23が継手部材17の下側から継手部材17を支持するようにした。これにより、縦管3および継手部材17の真下の位置を地盤などに支持させることが可能となり、縦管3および継手部材17を確実に支持することが可能になる。
【0053】
(作用効果4)第二の固定部23が継手部材17の上側から横管18を支持するようにした。これにより、地盤に凹凸があるような場合でも、縦管3および継手部材17を適切に支持することが可能になる。
【0054】
(作用効果5)また、少なくとも、固定部21,23が設置されている床面11に対して加熱膨張型の耐火材13を用いるようにする。更に、固定部21,23が設置されている床面11に対して通常のまたは加熱膨張型の断熱材16を設けても良い。上述のように、本実施例の配管構造2は、固定部21,23から離れる程変位量が大きくなるという特性を有することから、長期使用において変位量が小さい固定部21,23に近接した床面11に対して加熱膨張型の耐火材13や、通常のまたは加熱膨張型の断熱材16などの部材を別途用いることによって、防火に対する長期信頼性の高いシステムも併せて実現することができる。
【0055】
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0056】
1 建物
2 配管構造
3 縦管
11 床面
11a 最下階の床面
13 加熱膨張型の耐火材
16 (加熱膨張型の)断熱材
17 継手部材
18 横管
21 第一の固定部
23 第二の固定部
41 拡径部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8