(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記一群の容器の少なくとも一部が前記洗浄区間に存在していることが既知である状態において、レーザ光を試験的に出射させる指令信号を前記レーザセンサに出力し、
前記レーザセンサによって、前記洗浄区間に存在している容器が検知された場合、前記レーザセンサは正常であると判定し、
前記レーザセンサによって、前記洗浄区間に存在している容器が検知されない場合、前記レーザセンサは異常であると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る洗浄装置及び洗浄方法を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態の構成を概略的に示したものであり、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張したり、部材の一部の図示を省略したりしているものがある。
【0010】
≪実施形態≫
<洗浄装置の構成>
図1は、本実施形態に係る洗浄装置100の側断面図である。
洗浄装置100は、ビールや清涼飲料水等の飲料を缶C(容器)に充填する前に、缶Cの内外面を洗浄する装置である。
図1に示すように、洗浄装置100は、リンサー筐体11と、コンベア12a,12b(
図2参照)と、ガイドレール13と、洗浄水噴射ノズル14と、センサ15と、レーザセンサ16と、反射板17と、エア噴射ノズル18と、制御部19と、表示部20と、を備えている。
【0011】
リンサー筐体11は、後記するガイドレール13、洗浄水噴射ノズル14、レーザセンサ16、反射板17、エア噴射ノズル18等が設置される筐体であり、筒状を呈している。リンサー筐体11は、下流側に向かうにつれて高さが徐々に低くなるように傾斜した傾斜部11sを備えている。この傾斜部11sは、缶Cの自重や、上流側の他の缶Cからの押圧力によって、一列に並んだ缶Cがガイドレール13を滑り落ちるように傾斜している。
【0012】
コンベア12aは、リンサー筐体11に向けて缶Cを搬送するものであり、リンサー筐体11の上流側に配置されている。なお、コンベア12aとして、バキュームコンベアやベルトコンベア等を用いることができる。
また、リンサー筐体11で洗浄された缶CをフィラーF(
図2参照)に向けて搬送する別のコンベア12b(
図2参照)が、リンサー筐体11の下流側に配置されている。
【0013】
ガイドレール13は、缶Cの移動を案内するレールであり、リンサー筐体11内に設置されている。ガイドレール13は、例えば、缶Cを上側・下側・左側・右側においてガイドするように延びている。そして、コンベア12aによってリンサー筐体11まで搬送されてきた一群の缶C(例えば、数十個、数百個の缶C)が、一列に整列した状態でガイドレール13に沿って移動し、自重や他の缶Cからの押圧力でリンサー筐体11内を滑り落ちるようになっている。
【0014】
なお、
図1では、缶Cの上側・下側に配置されたガイドレール13の図示を省略している。また、ガイドレール13において、正立状態(缶Cの開口部が上側に臨んでいる状態)の缶Cを倒立状態に回転(ツイスト)させたり、倒立状態の缶Cを正立状態に戻したりするためのツイスト部の図示も省略している。
【0015】
洗浄水噴射ノズル14(洗浄手段)は、洗浄区間Kを移動する一群の缶Cに洗浄水を噴射するノズルであり、リンサー筐体11に設置されている。前記した洗浄区間Kとは、一群の缶Cが洗浄される区間である。
図1に示す例では、リンサー筐体11の上流端から下流端までを洗浄区間Kとしている。
洗浄水噴射ノズル14は、その開口がリンサー筐体11の内部に臨んでおり、制御部19からの指令に従って洗浄水を噴射するようになっている。前記した「洗浄水」として、例えば、塩素水を用いることができるが、これに限定されない。また、すすぎ用の水も「洗浄水」に含んでもよい。ちなみに、すすぎ用の水については、工場によって使用する場合もあるし、また、使用しない場合もある。
【0016】
本実施形態では、一例として、缶蓋(つまり、缶Cの上壁)が設置されていない有底円筒状の缶Cに洗浄水を噴射した後、ガイドレール13のツイスト部(図示せず)によって缶Cを半回転させて倒立状態とし、缶Cに溜まっていた洗浄水を落下させるようにしている。その後、ガイドレール13の別のツイスト部(図示せず)によって缶Cをさらに半回転させて正立状態に戻すようにしている。
【0017】
センサ15(検知手段)は、洗浄区間Kを移動する缶Cを間接的に検知するセンサであり、洗浄区間Kの上流側に設置されている。詳細については後記するが、センサ15の検知結果に基づいて、一群の缶Cが洗浄区間Kから出たか否かが、制御部19によって推定される。
センサ15として、例えば、赤外線センサや近接センサを用いることができる。
図1では、一例として、1個のセンサ15を設ける構成を示したが、これに限らない。例えば、缶Cの搬送経路に沿って、所定間隔を空けて複数のセンサを設置していてもよい。センサ15の検知結果は制御部19に出力され、一群の缶Cが洗浄区間Kから出たか否かを推定する際に用いられる。
【0018】
ちなみに、センサ15によって缶Cが検知されない場合、コンベア12aによる搬送が適切になされていないことを示す異常検知信号をフィラーFに出力し、このフィラーFを停止させるようにしてもよい。このような機能(以下、「異常検知機能」という)を設ける構成において、センサ15は、制御部19からの指令で異常検知機能のオン/オフを切替可能になっている。なお、異常検知機能の詳細については後記する。
【0019】
前記したように、一列に整列した一群の缶Cが、自重及び他の缶Cからの押圧力によって、ガイドレール13に沿ってリンサー筐体11内を移動する。しかしながら、最後尾付近の缶Cは、上流側の他の缶Cからの押圧力が比較的小さい。したがって、洗浄後において最後尾付近の缶Cがリンサー筐体11内に残りやすく、従来技術では、この残った缶Cが次回の他種の缶に混在する可能性があった。これに対して本実施形態では、次に説明するレーザセンサ16及び反射板17を用いて、リンサー筐体11に缶Cが残っているか否かを正確に検知するようにしている。
【0020】
レーザセンサ16は、一群の缶Cがリンサー筐体11から出たと制御部19によって推定された場合において、リンサー筐体11の内部(つまり、洗浄区間K)に缶Cが残っているか否かを検知するセンサである。
図1に示す例では、リンサー筐体11の上流端付近にレーザセンサ16が設置されている。このようにレーザセンサ16を用いることで、長距離でも光が広がらず小スポットのままレーザ光が直進するため、缶Cの有無を高精度に検知できる。
【0021】
また、レーザセンサ16は、回帰反射型のセンサであり、反射板17に向けてレーザ光を出射する投光素子(図示せず)と、反射板17で反射したレーザ光を受光する受光素子(図示せず)と、を備えている。レーザセンサ16は、リンサー筐体11の内部に存在し得る缶Cの略全てを、レーザセンサ16の光軸が貫くように配置されている。
【0022】
反射板17は、レーザセンサ16から出射されるレーザ光を、このレーザセンサ16に向けて反射するように、洗浄区間Kの下流端付近に設置されている。反射板17として、例えば、ポリカーボネート製やアクリル製のものを用いることができるが、これに限定されない。
【0023】
図2は、本実施形態に係る洗浄装置100の平断面図である。なお、
図2では、缶Cの上側のガイドレール13、洗浄水噴射ノズル14、センサ15、エア噴射ノズル18、制御部19、及び表示部20の図示を省略している。
【0024】
図2に示す例では、リンサー筐体11の下流端付近において、ガイドレール13がL字状に屈曲している。そして、缶Cの進行方向左側のガイドレール13が屈曲している箇所に、レーザセンサ16と正対するように反射板17が設置されている。これによって、レーザセンサ16の光軸がリンサー筐体11内の缶Cを貫いて反射板17に達するように、この反射板17を配置できる。
図2に示すフィラーFは、洗浄後の缶Cに飲料を充填する装置であり、コンベア12bの下流側に設置されている。
【0025】
再び、
図1に戻って説明を続ける。
エア噴射ノズル18(洗浄水除去手段)は、レーザセンサ16からのレーザ光の出射に先立って、反射板17に向けてエア(気体)を噴射するノズルである。より詳しく説明すると、エア噴射ノズル18は、制御部19によって、一群の缶Cが洗浄区間Kから出たと推定された後、反射板17に付着している洗浄水をエアの噴射によって除去するものである。エア噴射ノズル18は、リンサー筐体11において反射板17の付近に設置され、その開口が反射板17に臨んでいる。
【0026】
前記したように、反射板17はガイドレール13に設置されているため、洗浄水噴射ノズル14から噴射された洗浄水が飛散して、反射板17に付着することが多い。仮に、リンサー筐体11の内部に缶Cが残っていない状態で、洗浄水が付着した反射板17にレーザ光が入射すると、付着した洗浄水の界面でレーザ光が屈折したり反射したりする。その結果、リンサー筐体11内に缶Cが残っていないにも関わらず、「缶Cが残っている」との誤検知を招く可能性がある。
これに対して本実施形態では、前記したように、レーザ光の出射に先立って、エア噴射ノズル18から反射板17にエアを噴射するため、反射板17に付着している洗浄水を確実に除去できる。したがって、リンサー筐体11に缶Cが残っているか否かを正確に検知できる。
【0027】
制御部19(制御手段)は、例えば、マイクロコンピュータであり、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路(図示せず)を含んで構成される。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0028】
制御部19は、センサ15の検知結果に基づき、一群の缶Cが洗浄区間Kから出たか否かを推定する機能を有している。また、制御部19は、前記した推定に基づいて、洗浄水噴射ノズル14、レーザセンサ16、エア噴射ノズル18等を駆動したり、表示部20に各種情報を表示したりする機能も有している。
【0029】
表示部20は、例えば、ディスプレイであり、制御部19からの指令に応じて所定の画像を表示する機能を有している。
【0030】
<洗浄装置の動作>
図3は、本実施形態に係る洗浄装置100の制御部19が実行する処理のフローチャートである。なお、
図3の「START」時には、一群の缶Cがコンベア12a,12b(
図1、
図2参照)によって搬送されるとともに、リンサー筐体11内において缶Cを洗浄する「洗浄処理」が行われているものとする。
【0031】
また、
図3では省略したが、例えば、一群の缶Cのうち最後尾の缶Cが、センサ15よりも上流側の所定位置に達すると、スイーパ(図示せず)によって最後尾の缶Cが下流側に押圧されるようになっている。なお、一群の缶Cが所定位置に達したことを作業員が目視で確認して、前記した押圧の操作を行ってもよい。
【0032】
ステップS101において制御部19は、缶払出し処理を実行する。なお、「缶払出し処理」とは、最後尾の缶Cがセンサ15を通過する前に、このセンサ15の異常検知機能をオフに切り替える処理である。
【0033】
図4は、本実施形態に係る洗浄装置100の制御部19が実行する缶払出し処理のフローチャートである。ステップS1011において制御部19は、表示部20に「缶払出し処理中」と表示する。
【0034】
図5は、実施形態に係る洗浄装置100の表示部20におけるリンサー残缶確認画面の表示例である。
図5に示すように、制御部19によって「缶払出し処理中」と表示することで、作業員は、缶払出し処理が実行されていることを把握できる。
【0035】
図4のステップS1012において制御部19は、センサ15の異常検知機能をオフに切り替える。これは、異常検知機能をオンにした状態で、センサ15によって缶Cが検知されなくなると(つまり、最後尾の缶Cがセンサ15を通り過ぎると)、センサ15からフィラーFに異常検知信号が出力され、フィラーFが一時的に停止するためである。前記したように、センサ15の異常検知機能を停止させることによって、まだ飲料が充填されていない残りの缶Cにも飲料を充填できる。
なお、異常検知機能をオフにするタイミングは、スイーパ(図示せず)によって缶Cが押圧された直後でもよいし、缶Cが押圧されてからコンベア12aの搬送速度に基づく所定時間が経過した時点でもよい。また、作業員が手動で異常検知機能のオン/オフを切り替えるようにしてもよい。
【0036】
また、リンサー筐体11の上流側において、缶Cの搬送経路に沿って複数のセンサを設ける構成の場合、制御部19は、最後尾の缶Cが各センサに達する前に、各センサの異常検知機能を下流側に向かって順次オフに切り替える。例えば、前記した複数のセンサのうち、上流側のセンサによって缶Cが検知されなくなると、制御部19が、下流側のセンサの異常検知機能を順次オフにするという処理を行ってもよいし、また、作業員が手動で異常検知機能をオフにしてもよい。これによって、まだ飲料が充填されていない残りの缶Cにも飲料を充填できるとともに、各センサの異常検知機能のオン時間を最大限に確保できる。
【0037】
なお、
図4では省略したが、センサ15(複数のセンサを設ける場合には、全てのセンサ)の異常検知機能を停止させた後、制御部19は、「缶払出し処理中」の表示(
図5参照)を表示部20の画面から消す。
【0038】
図3のステップS101において缶払出し処理を行った後、ステップS102において制御部19は、センサ状態確認処理を実行する。なお「センサ状態確認処理」とは、レーザセンサ16が正常に駆動しているか否かを確認する処理である。
【0039】
図6は、本実施形態に係る洗浄装置100の制御部19が実行するセンサ状態確認処理のフローチャートである。なお、
図6の「START」時において、一群の缶Cのうち少なくとも一部(最後尾の缶Cを含む)が、リンサー筐体11の内部を移動中であるものとする。例えば、前記したスイーパ(図示せず)によって最終尾の缶Cが押し出されてからそれほど時間が経過しておらず、一群の缶Cの少なくとも一部が洗浄区間Kに存在していることが既知であるものとする。
【0040】
ステップS1021において制御部19は、レーザセンサ16を試験的に駆動させる。つまり、制御部19は、投光素子(図示せず)からレーザ光を試験的に出射させる指令信号をレーザセンサ16に出力する。
ステップS1022において制御部19は、洗浄区間Kに存在しているはずの缶Cが、レーザセンサ16によって検知されたか否かを判定する。洗浄区間Kにおいて缶Cが検知された場合(S1022:Yes)、制御部19の処理はステップS1023に進む。
【0041】
ステップS1023において制御部19は、「レーザセンサ16は正常」であると判定する。
ステップS1024において制御部19は、「レーザセンサ16は正常」であることを表示部20に表示させる。これによって表示部20には、
図5に示す「レーザセンサ」の横側の「正常」が表示される。
【0042】
また、ステップS1022において、洗浄区間Kに存在しているはずの缶Cが検知されない場合(S1022:No)、制御部19の処理はステップS1025に進む。
ステップS1025において制御部19は、「レーザセンサ16は異常」であると判定する。この場合、レーザセンサ16は、故障しているか、又は電源がオフ状態になっている。
【0043】
ステップS1026において制御部19は、「レーザセンサ16は異常」であることを表示部20に表示する。これによって表示部20には、
図5に示す「レーザセンサ」の横側の「異常」が表示される。
【0044】
図3のステップS102においてセンサ状態確認処理を行った後、ステップS103において制御部19は、最後尾の缶Cがセンサ15を通過したか否かを判定する。例えば、制御部19は、センサ15によって缶Cを検知する「検知処理」に基づき、「缶Cなし」の検知結果が所定回数連続した場合、最後尾の缶Cがセンサ15を通過したと判定する。
【0045】
図7(a)は、最後尾の缶Cがセンサ15を通過した後の様子を示す説明図である。
図7(a)に示す「缶Cなし」の検知結果は、次に説明するステップS104の判定処理に用いられる。なお、この時点においてセンサ15の異常検知機能はオフに切り替えられている(S1012:
図4参照)。したがって、センサ15から「缶Cなし」の検知結果が出力されても、フィラーF(
図2参照)は停止せずに駆動し続ける。
【0046】
図3のステップS103において、最後尾の缶Cがセンサ15を通過した場合(S103:Yes)、制御部19の処理はステップS104に進む。一方、最後尾の缶Cがセンサ15を通過していない場合(S103:No)、制御部19はステップS103の処理を繰り返す。
【0047】
ステップS104において制御部19は、センサ15の検知結果に基づき、一群の缶Cが洗浄区間Kから出たか否かを推定する。例えば、最後尾の缶Cがセンサ15を通り過ぎてから(つまり、センサ15によって缶Cが検知されなくなってから)所定時間が経過した場合、制御部19は、一群の缶Cが洗浄区間Kから出たと推定する。前記した「所定時間」は、コンベア12aの搬送速度、ガイドレール13の傾斜角度・長さ、缶Cの重さ、缶Cとガイドレール13との間の摩擦力等に基づいて、予め設定されている。
【0048】
一群の缶Cが洗浄区間Kから出たと推定した場合(S104:Yes)、制御部19の処理はステップS105に進む。一方、一群の缶Cの少なくとも一部が洗浄区間Kからまだ出ていないと推定した場合(S104:No)、制御部19はステップS104の処理を繰り返す。
【0049】
ステップS105において制御部19は、洗浄水噴射ノズル14からの洗浄水の噴射を停止させる。
ステップS106において制御部19は、リンサー筐体11の上流側のコンベア12aを停止させる。
なお、洗浄水噴射ノズル14の停止や、コンベア12aの停止を、作業員が手動で行ってもよい。
【0050】
図7(b)は、洗浄水噴射ノズル14及びコンベア12aが停止した状態の説明図である。
このように洗浄水噴射ノズル14及びコンベア12aを停止させることで、一群の缶Cの洗浄後において、洗浄水や電力の無駄な消費を抑制できる。なお、リンサー筐体11の上流側のコンベア12aが停止した後も、下流側のコンベア12b(
図2参照)は駆動し続けており、フィラーF(
図2参照)に向けて缶Cを搬送している。
【0051】
図3のステップS107において制御部19は、エア噴射ノズル18によって、反射板17にエアを噴射する(洗浄水除去処理)。なお、エアを噴射する時間(例えば、5秒間)は、反射板17から洗浄水を適切に除去できるように、事前の実験に基づいて設定されている。
【0052】
図7(c)は、エア噴射ノズル18から反射板17にエアを噴射する様子の説明図である。
このようにエア噴射ノズル18から反射板17にエアを噴射することで、反射板17に付着していた洗浄水がエアで吹き飛ばされ、さらに反射板17の表面が乾燥する。したがって、レーザセンサ16を用いて残缶(リンサー筐体11の内部に残っている缶C)の検知を適切に行うことができる。
【0053】
図3のステップS108において制御部19は、表示部20に「残缶確認処理中」と表示させる(
図5参照)。これによって、作業員は、レーザセンサ16を用いて残缶の有無が確認されていることを把握できる。
ステップS109において制御部19は、レーザセンサ16からレーザ光を出射させる。
【0054】
図7(d)は、レーザセンサ16から出射したレーザ光が反射板17で反射する様子の説明図である。
図7(d)に示すように、リンサー筐体11の内部に残缶が存在しない場合、レーザセンサ16からのレーザ光が反射板17に達し、さらに反射板17で反射したレーザ光がレーザセンサ16に戻る。一方、図示はしないが、リンサー筐体11の内部に残缶が存在する場合、レーザセンサ16からのレーザ光が残缶の表面で反射するため、レーザセンサ16にレーザ光が戻ることはない。
【0055】
図3のステップS110において制御部19は、出射されたレーザ光がレーザセンサ16に戻ったか否かを判定する。つまり、制御部19は、レーザセンサ16の受光素子(図示せず)から所定の電気信号が入力されたか否かを判定する。出射されたレーザ光がレーザセンサ16に戻った場合(S110:Yes)、制御部19の処理はステップS111に進む。
【0056】
ステップS111において制御部19は、リンサー筐体11(つまり、洗浄区間K)において「残缶なし」と判定する。
ステップS112において制御部19は、表示部20に「残缶なし」と表示させる(
図5参照)。これによって作業員は、リンサー筐体11に残缶が存在しないことを把握できる。
【0057】
一方、ステップS110において、出射されたレーザ光がレーザセンサ16に戻らない場合(S110:No)、制御部19の処理はステップS113に進む。
ステップS113において制御部19は、リンサー筐体11(つまり、洗浄区間K)において「残缶あり」と判定する。
【0058】
このようにして、センサ15の検知結果(S103)に基づき、一群の缶Cが洗浄区間Kから出たと推定した場合(S104:Yes)、反射板17に付着している洗浄水をエア噴射ノズル18によって除去した後(S107)、洗浄区間Kに缶Cが残っているか否かをレーザセンサ16の検知結果に基づいて判定する(S109〜S111、S113)という一連の「制御処理」が、制御部19によって実行される。
【0059】
ステップS114において制御部19は、表示部20に「残缶あり」と表示させる(
図5参照)。さらに、警報音を鳴らすなどして注意喚起してもよい。これによって作業員は、リンサー筐体11に残缶が存在していることを容易に把握できる。その後、作業員によってリンサー筐体11の蓋(図示せず)が開けられ、前記した残缶が取り除かれる。さらに、作業員によってリセットボタン(
図5:「リセット」の表示に対応)が押されることで、「残缶あり」の表示や警報音が消される。
【0060】
このような一連の処理(S109〜S114)が終了した後、
図3では省略したが、制御部19は、表示部20において「残缶確認処理中」の表示(
図5参照)を消す。なお、洗浄後の缶CにフィラーF(
図2参照)によって飲料が充填され後、シーマー(図示せず)によって缶Cの開口に缶蓋が設置される。
【0061】
<効果>
本実施形態によれば、レーザセンサ16からのレーザ光の出射(S109:
図3参照)に先立って、エア噴射ノズル18から反射板17にエアを噴射することで(S107)、反射板17に付着している洗浄水を確実に除去できる。したがって、リンサー筐体11に缶Cが残っているか否かをレーザセンサ16によって正確に検知できる。
なお、従来は、一群の缶Cの洗浄が終わるたびに、作業員がリンサー筐体11の蓋(図示せず)を開けて、残缶の有無を目視で確認していた。しかしながら、リンサー筐体11の内部は暗いため、残缶を確認しづらく、また、残缶の確認に手間がかかるという問題があった。
これに対して本実施形態によれば、前記したように、洗浄水が除去された状態の反射板17を用いることで、レーザセンサ16によって残缶の有無を正確に検知できるとともに、作業員の手間を省くことができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、最後尾の缶Cがセンサ15に到達する前に、センサ15の異常検知機能をオフにする(S1012:
図4参照)。これによって、センサ15からフィラーFに異常検知信号が出力されないため、フィラーFによって飲料の充填を継続できる。また、例えば、最後尾の缶Cがセンサ15に到達する直前に異常検知機能をオフにすれば、センサ15の異常検知機能のオン時間を最大限に確保できる。
【0063】
また、本実施形態によれば、レーザセンサ16の使用前に、レーザセンサ16から試験的にレーザ光を出射して、レーザセンサ16が正常に駆動しているか否かを判定する(S1021〜S1023、S1025:
図6参照)。したがって、洗浄後に残缶が存在するにもかかわらず、レーザセンサ16の異常によって、制御部19が「残缶なし」と誤判定してしまうことを防止できる。
【0064】
≪変形例≫
以上、本発明に係る洗浄装置100について実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、実施形態では、リンサー筐体11の内部にレーザセンサ16及び反射板17を設ける構成について説明したが(
図1参照)、これに限らない。すなわち、ガイドレール13に沿って移動する缶Cをレーザセンサ16の光軸が貫くように、レーザセンサ16及び反射板17の一方又は両方をリンサー筐体11の外部に設置してもよい。
【0065】
また、実施形態では、リンサー筐体11の上流端付近にレーザセンサ16を設置し、リンサー筐体11の下流端付近に反射板17を設置する構成について説明したが(
図1参照)、これに限らない。例えば、リンサー筐体11の下流端付近にレーザセンサ16を設置し、リンサー筐体11の上流端付近に反射板17を設置してもよい。このような構成でも、実施形態と同様の効果が奏される。
【0066】
また、実施形態では、洗浄区間Kを移動する缶Cを間接的に検知するセンサ15が、洗浄区間Kの上流側に設置される構成について説明したが(
図1参照)、これに限らない。例えば、近接センサや赤外線センサ等のセンサ(検知手段)を洗浄区間Kの中に設置することで、洗浄区間Kを移動する缶Cを直接的に検知してもよい。また、センサ(検知手段)を洗浄区間Kの下流側に設置することで、洗浄区間Kを移動する缶Cを間接的に検知してもよい。そして、前記したセンサによって「缶Cなし」の検知結果が所定回数続いた場合、制御部19によって、一群の缶Cが洗浄区間Kから出たと推定するようにしてもよい。
【0067】
また、実施形態では、4つの洗浄水噴射ノズル14が、リンサー筐体11の上壁に所定間隔で設置される構成について説明したが(
図1参照)、これに限定されない。例えば、缶Cに対して所定の角度で洗浄水を噴射するように、缶Cの外面洗浄用、及び、缶Cの内面洗浄用の洗浄水噴射ノズル14をリンサー筐体11の側壁や下壁等に設置してもよい。また、洗浄水噴射ノズル14の個数は、3個以下であってもよいし、5個以上であってもよい。
【0068】
また、実施形態では、リンサー筐体11の内部に1個のセンサ15を設置する構成について説明したが、これに限らない。前記したように、缶Cを検知するセンサを複数設けてもよい。
【0069】
また、実施形態では、「洗浄水除去手段」としてエア噴射ノズル18を用いる構成について説明したが、これに限らない。例えば、エア噴射ノズル18に代えて、エアが通流する配管(図示せず)に気体噴射用の電磁弁(図示せず)を設置し、制御部19からの指令信号によって電磁弁を開閉するようにしてもよい。また、前記した「気体」は、エア(空気)であってもよいし、他の種類の気体(例えば、窒素)であってもよい。
【0070】
また、「洗浄水除去手段」として、反射板17に気体を噴射する構成に代えて、例えば、反射板17に付着した洗浄水を電熱器で蒸発させてもよい。また、「洗浄水除去手段」として、反射板17に温風を吹き付けるようにしてもよい。
【0071】
また、実施形態では、一枚の反射板17を設ける構成について説明したが、これに限らない。例えば、リンサー筐体11においてガイドレール13が平面視でL字状に屈曲している構成では、リンサー筐体11の下流端付近に設ける反射板17に加えて、ガイドレール13の屈曲箇所にも第2の反射板(図示せず)を設けるようにすればよい。つまり、レーザセンサ16から出射されるレーザ光が第2の反射板で反射し、さらに下流端付近の反射板17で反射するように構成してもよい。
【0072】
また、実施形態では、センサ状態確認処理(
図3のS102、
図6参照)において、レーザセンサ16が駆動すべきときにオフ状態である場合、「レーザセンサ16は異常」であると判定する処理について説明したが、これに限らない。例えば、レーザセンサ16の出力等に基づいて、レーザセンサ16が停止すべきときにオン状態となっている場合、「レーザセンサ16は異常」であると判定する処理を追加してもよい。
【0073】
また、
図3に示すセンサ状態確認処理(S102)は、前記したように、洗浄区間Kに缶Cが存在することが既知の条件で行えばよいため、例えば、缶払出し処理(S101)に先立ってセンサ状態確認処理を行ってもよい。また、最後尾の缶Cがセンサ15を通過(S103:Yes)した直後にセンサ状態確認処理を行ってもよい。
また、洗浄水の噴射を停止する処理(S105)に先立って、リンサー筐体11の上流側のコンベア12aを停止する処理(S106)を行うようにしてもよい。
【0074】
また、実施形態では、傾斜しているリンサー筐体11において、缶Cを自重で滑り落とす構成について説明したが、これに限らない。例えば、洗浄水等が噴射される際の水圧によって、缶Cを下流側に押し出すようにしてもよい。また、リンサー筐体を傾斜させない構成とし、このリンサー筐体内においてコンベアで缶Cを搬送してもよい。
また、実施形態では、洗浄対象の「容器」が缶Cである場合について説明したが、これに限らない。例えば、缶Cの他に瓶等も「容器」に含まれる。
【0075】
また、実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。