(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622641
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】燃料噴射弁
(51)【国際特許分類】
F02M 61/16 20060101AFI20191209BHJP
【FI】
F02M61/16 Z
F02M61/16 F
F02M61/16 M
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-75342(P2016-75342)
(22)【出願日】2016年4月4日
(65)【公開番号】特開2017-186936(P2017-186936A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年2月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荒木 健
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−299957(JP,A)
【文献】
特開2003−161222(JP,A)
【文献】
特開2001−336464(JP,A)
【文献】
特表2009−512806(JP,A)
【文献】
特表2006−514211(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0041976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00−71/04,
G06K 19/00−19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に燃料を噴射する燃料噴射孔が形成された本体部と、
前記本体部の上面部から側方に突出する突出部と、
を備え、
前記突出部の上面に情報が印字されていて、
前記突出部は、前記上面部とは別体で形成されていて、
前記突出部は、
前記本体部の外周をクランプするクランプ部と、
前記クランプ部の外周の一部から側方へ突出する突片と、
を備え、
前記突出部の上面に印字された前記情報は、前記突片の上面に印字されていて、
前記本体部に燃料を供給する燃料供給口と、
前記本体部から余剰燃料を排出する燃料排出口と、
前記燃料噴射孔を開閉する開閉装置と、
前記開閉装置への通電に用いられる通電口と、
を備え、
平面視において、前記突片は、前記燃料供給口、前記燃料排出口及び前記通電口と重ならない位置に配置されていることを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記情報の少なくとも一部は2次元コードで印字されており、
前記突出部の上面に印字された前記2次元コードは、前記本体部の前記上面部の上面に跨がらずに印字されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
前記突出部は、前記突片の下面と前記クランプ部の外周とを接続するリブを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
前記本体部の外周又は前記突出部の内周の一方に形成された突起と、
前記本体部の外周又は前記突出部の内周の他方に形成され、前記突起が挿入された凹部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項5】
前記突出部及び前記上面部のうち、前記情報が印字されている部材は合成樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンコントロールユニット等の制御装置に入力する個体情報が印字された燃料噴射弁(インジェクタ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々のセンサーの入力値に基づいて、エンジンコントロールユニット等の制御装置が燃料噴射弁の燃料の噴射量を制御するディーゼルエンジンの制御方法が知られている。この際、各センサーは個体差を有するため、同一状態を検出する場合でも、センサー毎に出力値が異なる。このため、制御装置は、制御に使用するセンサーの個体情報を記録し、センサーからの入力値を補正して、燃料噴射弁の制御に用いている。
【0003】
そこで、従来のガスセンサーには、本体側面に個体情報を2次元コードで印字したものが提案されている(特許文献1参照)。2次元コードを読み取り装置で読み込むことにより、制御装置へガスセンサーの個体情報を入力することが容易となる。
【0004】
燃料噴射弁も個体差を有するため、同一時間だけ燃料噴射孔を開くように制御した場合でも、燃料噴射弁毎に燃料の噴射量が異なる。このため、制御装置には、燃料噴射弁の噴射量を調整するため、燃料噴射弁の個体情報も記憶させる。したがって、従来、燃料噴射弁にも、例えば2次元コード等で個体情報が印字されている。ここで、燃料噴射弁の個体情報の制御装置への入力は、燃料噴射弁をシリンダヘッドに組み付けた後に行われることも多い。したがって、個体情報の視認性の向上、及び、読み取り装置での個体情報の読み取りやすさの向上のため、燃料噴射弁は、本体部の上面に個体情報が印字されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−212405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、燃料噴射弁には、燃料噴射量を調整するための個体情報以外にも、様々な情報の印字が求められている。様々な情報とは、例えば、エンジンコード、顧客の品番、製造年月日、シリアルナンバー等である。しかしながら、従来の燃料噴射弁は、本体部の上面に十分な印字スペースがなく、これらの情報を印字できないという課題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、従来よりも印字スペースを拡大できる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る燃料噴射弁は、下端に燃料を噴射する燃料噴射孔が形成された本体部と、本体部の上面部から側方に突出する突出部と、を備え、突出部の上面に情報が印字されているものである。
【0009】
この突出部は、上面部とは別体で形成されていてもよい。
【0010】
また、突出部と上面部とを別体で形成する場合、情報の少なくとも一部を2次元コードで印字し、本体部の上面部の上面に跨がらないように、突出部の上面に2次元コードを印字してもよい。
【0011】
また、突出部と上面部とを別体で形成する場合、本体部の外周をクランプするクランプ部と、クランプ部の外周の一部から側方へ突出する突片とで突出部を構成し、突片の上面に情報を印字してもよい。
【0012】
また、クランプ部と突片とで突出部を構成する場合、平面視において、本体部に燃料を供給する燃料供給口、本体部から余剰燃料を排出する燃料排出口、及び燃料噴射孔を開閉する開閉装置への通電に用いられる通電口と重ならないように、突片を配置してもよい。
【0013】
また、クランプ部と突片とで突出部を構成する場合、突片の下面とクランプ部の外周とを接続するリブを設けてもよい。
【0014】
また、突出部と上面部とを別体で形成する場合、本体部の外周又は突出部の内周の一方に突起を形成し、記本体部の外周又は突出部の内周の他方に、前記突起が挿入された凹部形成してもよい。
【0015】
また、突出部及び本体部の上面部のうち、情報が印字される部材を合成樹脂で形成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る燃料噴射弁は、本体部の上面部から側方に突出する突出部を備えている。そして、本発明に係る燃料噴射弁は、突出部の上面に情報が印字されている。このため、本発明に係る燃料噴射弁は、従来よりも印字スペースを拡大することができる。
【0017】
この際、突出部と上面部とを別体で形成することにより、突出部の形状に応じて上面部形成用の金型を変更することが不要となる。このため、突出部を本体部とは別体で形成することにより、燃料噴射弁の製造コストの増大を防止することができる。
【0018】
また、突出部と上面部とを別体で形成する際、本体部の上面部の上面に跨がらないように突出部の上面に2次元コードを印字することにより、本体部の上面と突出部の上面との間に段差ができた場合でも、2次元コードを読み取り装置で読み取る際の読み取り不良を防止することができる。
【0019】
また、突出部と上面部とを別体で形成する際、クランプ部と突片とで突出部を構成し、突片の上面に情報を印字することにより、突片以外の箇所では、本体部から側方へ突出する突出部の突出量を小さくすることができる。このため、シリンダヘッドに燃料噴射弁を組み付ける際、突出部が周囲の部材と干渉してしまうことを防止できる。
【0020】
また、クランプ部と突片とで突出部を構成する場合、平面視において、燃料供給口、燃料排出口及び通電口と重ならないように突片を配置することにより、これらの接続口に配管又は配線を接続する際に突片が邪魔にならず、これらの接続口に配管又は配線を接続することが容易となる。
【0021】
また、クランプ部と突片とで突出部を構成する場合、突片の下面とクランプ部の外周とを接続するリブを設けることにより、シリンダヘッドに燃料噴射弁を組み付けるとき等に突片に衝撃が加わっても、突片が破断してしまうことを防止できる。
【0022】
また、突出部と上面部とを別体で形成する場合、本体部の外周又は突出部の内周の一方に突起を形成し、記本体部の外周又は突出部の内周の他方に、前記突起が挿入された凹部形成することにより、突出部が本体部に対してずれることを防止できる。
【0023】
また、突出部及び本体部の上面部のうち、情報が印字されるものを合成樹脂で形成することにより、印字部分の色と周囲の色とのコントラストが大きくなり、情報の読み取り不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁の上部近傍を
図1及び
図2のA方向から示した側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁の別の一例における、突出部及び上面部近傍を示す縦断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁の上部近傍を
図5のB方向から示した側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁をシリンダヘッドに組み付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の燃料噴射弁に関する実施の形態について具体的に説明する。ただし、以下の実施の形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
なお、以下の各実施の形態においては、燃料噴射孔が形成された端部側を燃料噴射弁の下側とし、燃料噴射孔側の端部とは反対側の端部側を燃料噴射弁の上側として、燃料噴射弁を説明していく。また、以下の各実施の形態では、情報を2次元コードとして印字する例について説明する。
【0026】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁を示す側面図である。
図2は、この燃料噴射弁を示す平面図である。また、
図3は、この燃料噴射弁の上部近傍を
図1及び
図2のA方向から示した側面図である。
【0027】
本実施の形態1に係る燃料噴射弁1は、下端に燃料を噴射する燃料噴射孔11が形成された本体部10を有する。また、燃料噴射弁1は、開閉装置21、燃料供給口22、燃料排出口23、及び通電口24を備えている。開閉装置21は、燃料噴射孔11を開閉するものである。本実施の形態1では、電磁弁を用いた開閉装置21を採用している。開閉装置21の電磁弁は、本体部10内の上部に配置され、本体部10の上部を構成するホルダ12に収納されている。このホルダ12は、合成樹脂で形成されており、通電口24との接続箇所以外が略円筒形状となっている。つまり、燃料噴射弁1における本体部10の上面部13は、通電口24との接続箇所以外が略円筒形状となっており、合成樹脂で形成されている。
なお、本実施の形態1に係る上面部13は、本体部10の上面13aのみを指し示すものではない。本実施の形態1に係る上面部13は、上面13aに加え、該上面13aに連なる側面も含む概念である。
【0028】
燃料供給口22は、本体部10に燃料を供給するものであり、図示せぬコモンレールから延びる配管が接続されるものである。この燃料供給口22は、本体部10の側面に配置されている。燃料排出口23は、本体部10から余剰燃料を排出するものであり、図示せぬ燃料タンクから延びる配管が接続されるものである。この燃料排出口23は、本体部10の上面部13の上面13aに配置されている。通電口24は、開閉装置21への通電に用いられるものであり、図示せぬエンジンコントロールユニット等の制御装置から延びる配線(電力供給線、信号配線等)が接続されるものである。この通電口24は、本体部10の上面部13の側面に配置されている。
なお、燃料供給口22、燃料排出口23及び通電口24の配置は、あくまでも一例である。これらの配置は、エンジンレイアウト等によって適宜変更される。
【0029】
従来、エンジンコントロールユニット等の制御装置が燃料噴射弁の燃料の噴射量を制御するディーゼルエンジンの制御方法が知られている。この際、燃料噴射弁は個体差を有するため、同一時間だけ燃料噴射孔を開くように制御した場合でも、燃料噴射弁毎に燃料の噴射量が異なる。このため、制御装置には、燃料噴射弁の噴射量を調整するため、燃料噴射弁の個体情報が入力される。燃料噴射弁の個体情報の制御装置への入力は、燃料噴射弁をシリンダヘッドに組み付けた後に行われることも多い。したがって、個体情報の視認性の向上、及び、読み取り装置での個体情報の読み取りやすさの向上のため、燃料噴射弁は、本体部の上面に個体情報が印字されている。
【0030】
ここで、近年、燃料噴射弁には、燃料噴射量を調整するための個体情報以外にも、様々な情報の印字が求められている。様々な情報とは、例えば、エンジンコード、顧客の品番、製造年月日、シリアルナンバー等である。しかしながら、従来の燃料噴射弁は、本体部の上面に十分な印字スペースがなく、これらの情報を印字できなかった。
【0031】
そこで、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1は、本体部10の上面部13から側方に突出する例えば平面視円弧状(換言すると鍔状)の突出部30を設けている。この突出部30の上面30aと、上面部13の上面13aとは、段差の無い同一面となっている。なお、本実施の形態1では、突出部30は、上面部13と一体に形成されている。つまり、上面部13を構成するホルダ12を金型を用いて射出成形する際、該金型に突出部30を形成する溝部を形成し、ホルダ12と突出部30とを一緒に射出成形している。そして、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1においては、突出部30の上面30aから上面部13の上面13aに跨がって、情報を2次元コード100として印字している。すなわち、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1は、突出部30を設けることにより、突出部30の上面30a分だけ、2次元コード100つまり情報の印字スペースを拡大している。
【0032】
ここで、本体部10の上部全体の外形を大きくしても、2次元コード100の印字スペースを拡大することは可能である。しかしながら、燃料噴射弁1がシリンダヘッドに搭載された状態においては、燃料噴射弁1の側方には、カムシャフトやカム等、様々な部品が配置される。したがって、これらの部品と燃料噴射弁1とが干渉することを避けるため、本体部10の外形は極力拡大したくない。一方、本実施の形態1の突出部30の配置位置は、本体部10の上端部となっており、該上端部の外周のみが大きくなる。本体部10の上端部近傍には干渉部品が少ないので、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1は、周囲部品との干渉を抑制しつつ、2次元コード100つまり情報の印字スペースを拡大できる。
【0033】
以上、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1は、本体部10の上面部13に、該上面部13から側方に突出する突出部30を備えている。このため、本実施の形態1に係る燃料噴射弁1は、従来よりも2次元コード100つまり情報の印字スペースを拡大することができる。
【0034】
なお、本実施の形態1では、突出部30及び本体部10の上面部13を、つまり2次元コード100が印字される材料を樹脂で形成した。しかしながら、読み取り装置で認識可能な程度に印字部分の色と周囲の色とのコントラストがでていれば、他の材質を用いてもよい。本実施の形態1では、印字部分の色と周囲の色とのコントラストが大きくなり、2次元コード100の読み取り不良をより防止できるので、突出部30及び本体部10の上面部13を樹脂で形成している。
【0035】
また、本実施の形態1では、情報を2次元コードで印字する例について示したが、情報を文字及び英数字等で印字しても勿論よい。
【0036】
また、本実施の形態1では、電磁弁を用いた開閉装置21を示したが、例えばピエゾ素子を用いた開閉装置を採用してもよい。
【0037】
また、本実施の形態1では、上面部13と突出部30とを一体で形成したが、上面部13と突出部30とを別体で形成してもよい。この場合、例えば、突出部30を合成樹脂等の弾性部材で形成し、部材の弾性力で上面部13の側面を挟み込むことにより、つまりクランプすることにより、突出部30を上面部13に取り付ける。突出部30と上面部13とを別体で形成することにより、突出部30の形状に応じてホルダ12の金型(上面部13形成用の金型)を変更することが不要となる。このため、突出部30と上面部13とを別体で形成することにより、燃料噴射弁1の製造コストの増大を防止することができる。
【0038】
なお、突出部30と上面部13とを別体で形成する場合、以下に示す突起41及び凹部42の構成を追加してもよい。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射弁の別の一例における、突出部及び上面部近傍を示す縦断面図である。
突出部30と上面部13とを別体で形成する場合、突出部30の内周に、例えば円筒状の突起41を形成する。また、上面部13(本体部10)の外周に、突起41が挿入された例えば断面円形状の凹部42を形成する。突出部30が取り付け位置から下方にずれて、上面部13の上面13aと突出部30の上面30aとの間に段差が生じてしまった場合、2次元コード100の印字範囲内にも段差が生じ、読み取り不良が発生してしまう場合がある。また、突出部30が取り付け位置から周方向にずれてしまった場合、2次元コード100にもずれが生じ、読み取り不良が発生してしまう場合がある。しかしながら、上述の突起41及び凹部42を設けることにより、突出部30が取り付け位置からずれてしまうことを防止でき、2次元コード100を読み取り装置で読み取る際の読み取り不良を防止することができる。
なお、突出部30の内周に凹部42を形成し、上面部13(本体部10)の外周に突起41を形成しても同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、上面部13と突出部30とを一体で形成する場合、突出部30の外周形状を大きくしようとすると、金型の突出部30形成用の溝部における樹脂流動性が悪化するため、難しい。一方、突出部30と上面部13とを別体で形成することにより、外周形状の大きな突出部30を容易に形成することができる。これにより、突出部30の上面30aに2次元コード100を印字する際、上面部13の上面13aに跨がらずに印字することができる。つまり、突出部30の上面30aのみに2次元コード100を印字することができる。このように2次元コード100を印字することにより、上面部13の上面13aと突出部30の上面30aとの間に段差が生じてしまった場合でも、2次元コード100を読み取り装置で読み取る際の読み取り不良を防止することができる。
【0041】
実施の形態2.
突出部30と上面部13とを別体で形成する場合、突出部30を例えば以下のように構成してもよい。実施の形態1で示した効果に加え、さらなる効果を得ることができる。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁を示す平面図である。また、
図6は、この燃料噴射弁の上部近傍を
図5のB方向から示した側面図である。
本実施の形態2に係る突出部30は、例えば弾性体である合成樹脂等で形成されており、クランプ部31及び突片32を備える。クランプ部31は、例えば平面視円弧形状をしており、上面部13の側面をクランプするもの、つまり、部材の弾性力で上面部13の側面を挟み込むものである。突片32は、例えば平面視四角形状をしており、クランプ部31の外周の一部から側方へ突出している。そして、2次元コード100は、突片32の上面32aに印字されている。
【0043】
すなわち、本実施の形態2に係る突出部30は、2次元コード100の印字に必要な箇所である突片32以外の箇所では、本体部10から側方へ突出する突出部30の突出量を小さくすることができる。このため、シリンダヘッドに本実施の形態2に係る燃料噴射弁1を組み付ける際、突出部30が周囲の部材と干渉する可能性をさらに低減できる。
【0044】
また、本実施の形態2では、
図5に示すように、平面視において、突片32は、燃料供給口22、燃料排出口23及び通電口24と重ならない位置に配置されている。このため、本実施の形態2に係る燃料噴射弁1は、これらの接続口に配管又は配線を接続する際に突片32が邪魔にならず、これらの接続口に配管又は配線を接続することが容易となる。
【0045】
また、
図6に示すように、本実施の形態2に係る燃料噴射弁1の突出部30は、突片32の下面とクランプ部31の外周とを接続するリブ33を備えている。本実施の形態2に係る突出部30は、突片32のみが突出している構成のため、突片32に衝撃が加わった際、突片32とクランプ部31との接続箇所が破断してしまうことが若干ではあるが懸念される。しかしながら、上述のようなリブ33を設けることにより、シリンダヘッドに燃料噴射弁1を組み付けるとき等に突片32に衝撃が加わっても、突片32が破断してしまうことを防止できる。
【0046】
また、本実施の形態2のように突出部30を構成する場合、次のような効果を得ることもできる。
【0047】
図7は、本発明の実施の形態2に係る燃料噴射弁をシリンダヘッドに組み付けた状態を示す平面図である。
燃料噴射弁1をシリンダヘッドに組み付けた後、燃料供給口22、燃料排出口23及び通電口24には、配管又は配線が接続される。上述のように燃料供給口22、燃料排出口23及び通電口24の配置位置はエンジンレイアウト等によって異なり、これらの接続口と接続される配管又は配線が燃料噴射弁1の上方に配置される場合がある。例えば、燃料排出口23が本体部10の上面13aに形成された本実施の形態2においては、各燃料噴射弁1の燃料排出口23と図示せぬ燃料タンクとを接続する配管50は、燃料噴射弁1の上方に配置されることになる。また、燃料供給口22、燃料排出口23及び通電口24と接続される配管が、燃料噴射弁1の側面近傍に配置される場合がある。
【0048】
このような場合、燃料噴射弁1の上方に配置された配管又は配線に隠れて2次元コードを読み取れなくなることや、燃料噴射弁1の側面近傍に配置された配管又は配線に突出部30が干渉することが懸念される。しかしながら、突片32のみが突出している構成の本実施の形態2に係る突出部30においては、燃料噴射弁1の上方に配置された配管又は配線と平面視において重ならない位置に突片32を配置でき、且つ、燃料噴射弁1の側面近傍に配置された配管又は配線に干渉しない位置に突片32を配置できる。
【符号の説明】
【0049】
1 燃料噴射弁、10 本体部、11 燃料噴射孔、12 ホルダ、13 上面部、13a 上面、21 開閉装置、22 燃料供給口、23 燃料排出口、24 通電口、30 突出部、30a 上面、31 クランプ部、32 突片、32a 上面、33 リブ、41 突起、42 凹部、50 配管、100 2次元コード。