特許第6622653号(P6622653)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622653
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】スプライン伸縮軸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/06 20060101AFI20191209BHJP
   F16D 1/02 20060101ALI20191209BHJP
   B62D 1/20 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   F16D3/06 Z
   F16D3/06 E
   F16D1/02 110
   F16D1/02 210
   B62D1/20
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-112791(P2016-112791)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-219085(P2017-219085A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000167222
【氏名又は名称】光洋機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 剛司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和司
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/137036(WO,A1)
【文献】 特開2011−173464(JP,A)
【文献】 特開2010−190412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/02
F16D 1/06
F16D 3/06
B62D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の外歯部を環状に有する金属芯材、および金属製の内歯部を環状に有する金属筒材の何れか一方からなる製造用中間体の所定の軸方向領域において周方向の円周等配に配置される一部の歯溝を円周等配に配置された複数のマスキング部材によってそれぞれ覆うマスキング工程と、
前記歯部の表面に合成樹脂を供給して樹脂層を形成し、前記複数のマスキング部材で覆われた前記周方向の一部の歯溝の内面を円周等配に配置された複数の金属露出部として残す樹脂被覆工程と、
前記樹脂層が形成された製造用中間体を前記複数の金属露出部を介してブローチに対して芯合わせした状態で、前記製造用中間体と前記ブローチとをプレスフィットで軸方向に相対摺動させることにより、前記樹脂層を削って樹脂被膜を形成する被膜形成工程と、を含むスプライン伸縮軸の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記マスキング工程では、前記複数のマスキング部材の一端間を連結する連結部材が、前記製造用中間体の軸方向の端面に当接されるスプライン伸縮軸の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、前記マスキング工程では、各前記マスキング部材は、前記連結部材によって片持ち状に支持された状態で、前記連結部材の持つばね性によって対応する歯溝に弾性的に押圧されるスプライン伸縮軸の製造方法。
【請求項4】
請求項1において、前記マスキング工程では、各前記マスキング部材は、磁気吸引力で対応する歯溝に保持されるスプライン伸縮軸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスプライン伸縮軸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばステアリング装置のインタミーディエイトシャフトでは、路面からの振動をステアリングホイールに伝達しないように軸方向の変位を吸収する機能が要求される。
また、ステアリングホイールが一端に連結されるステアリングシャフトでは、位置調整のために、軸方向に伸縮する機能が要求される。このため、インタミーディエイトシャフトやステアリングシャフトとして、スプライン伸縮軸が用いられる。
【0003】
この種のスプライン伸縮軸では、内軸と外軸とをスムーズに摺動させ、且つガタつきを生じないことが必要である。そこで、内軸の外歯部および外軸の内歯部の何れか一方の歯面に樹脂被膜を形成している。
通例、例えば外歯部を有する金属芯材軸の表面に流動浸漬法等で樹脂層を形成した後、樹脂層が形成された製造用中間体をダイスに挿通して、余剰の樹脂を削り取ることで、樹脂被膜を形成している。
【0004】
ダイスに挿通するときに製造用中間体とダイスとが芯合わせが不十分であると、樹脂被膜の膜厚が周方向位置によって不均一になる。その場合、長期の使用で膜厚の薄い側が早期に摩耗して消滅し、金属の地肌が露出するため、スプライン伸縮軸がスムーズに摺動できなくなる。このため操舵フィーリングが悪化する。
製造用中間体とダイスとを正確に芯合わせするためには、製造用中間体に所定長さ以上の軸長の範囲に金属露出部があれば、その金属露出部を用いて芯合わせが可能である。
【0005】
例えば、特許文献1では、内軸のスプライン軸部を、合成樹脂膜が被覆された第1軸部と、第1軸部よりも先端側に配置された金属軸部である第2軸部とで構成している。特許文献1の金属軸部である第2軸部を芯合わせに用いる場合には、芯合わせの精度を向上することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2015/137036号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、金属軸部である第2軸部は、合成樹脂膜が被覆された第1軸部よりも小径であり、外軸の内歯部とは噛み合わされない。すなわち、第2軸部の軸長が、内軸と外軸との噛み合い長さに含まれないため、噛み合い長さも短く(少なく)なり、耐摩耗性に不利である。また、全長に制約のあるスプライン伸縮軸では、伸縮ストロークが制限されることになる。
【0008】
本発明の目的は、伸縮ストロークを確保しつつ長期にスムーズな摺動を実現できるスプライン伸縮軸を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、金属製の外歯部(62)を環状に有する金属芯材(60)、および金属製の内歯部(62P)を環状に有する金属筒材(60P)の何れか一方からなる製造用中間体の所定の軸方向領域(L1;L2)において周方向(Y1)の円周等配に配置される一部の歯溝(G)を円周等配に配置された複数のマスキング部材(70;70P;70R;70Q;70S)によってそれぞれ覆うマスキング工程と、前記歯部の表面に合成樹脂を供給して樹脂層(43A;53PA)を形成し、前記複数のマスキング部材で覆われた前記周方向の一部の歯溝の内面を円周等配に配置された複数の金属露出部(44;54P)として残す樹脂被覆工程と、前記樹脂層が形成された製造用中間体(40A;50PA)を前記複数の金属露出部を介してブローチ(80;80P)に対して芯合わせした状態で、前記製造用中間体と前記ブローチとをプレスフィットで軸方向に相対摺動させることにより、前記樹脂層を削って樹脂被膜(43;53P)を形成する被膜形成工程と、を含むスプライン伸縮軸(5;5P)の製造方法を提供する。
【0010】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、前記マスキング工程では、前記複数のマスキング部材(70;70P;70S)の一端(70a;70Pa;70Sa)間を連結する連結部材(71;71P;71S)が、前記製造用中間体の軸方向の端面(61a;61d)に当接されてもよい。
【0011】
請求項3のように、前記マスキング工程では、各前記マスキング部材は、前記連結部材によって片持ち状に支持された状態で、前記連結部材の持つばね性によって対応する歯溝に弾性的に押圧されてもよい。
請求項4のように、前記マスキング工程では、各前記マスキング部材は、磁気吸引力で対応する歯溝に保持されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、被膜形成工程では、樹脂被覆工程で形成された円周等配の金属露出部を用いて、製造用中間体をブローチに対して精度良く芯合わせすることができる。このため、被膜形成工程において、均一な樹脂被膜を形成することができる。したがって、スプライン伸縮軸において、長期にスムーズな摺動を確保することができる。また、金属露出部が配置される軸方向位置と同じ軸方向位置に配置される樹脂被膜も摺動領域として利用できるので、噛合する歯部が多くなり、樹脂被膜の耐摩耗性が良くなると共に、十分な伸縮ストロークを確保することができる。
【0013】
請求項2の発明では、製造用中間体に対して複数のマスキング部材を一括して装着でき、作業性がよい。また、連結部材が製造用中間体の軸方向の端面に当接することで、マスキング部材を製造用中間体の軸方向に正確に位置決めすることができる。このため、金属露出部の軸方向位置を精度良く設定することができる。
請求項3の発明では、連結部材のばね性を用いてマスキング部材を歯溝に保持することができる。
【0014】
請求項4の発明では、各マスキング部材を歯溝に容易に着脱し、保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の製造方法により製造されたスプライン伸縮軸が中間軸に適用されたステアリング装置の概略構成の模式図である。
図2】第1実施形態に係る中間軸の一部破断正面図である。
図3図2のIII−III断面の拡大図である。
図4図4(a)は、第1実施形態に係る内軸の側面図であり、図4(b)は、図4(a)のb−b断面図であり、図4(c)は、図4(a)のc−c断面図である。
図5図5(a)〜(g)は、第1実施形態において内軸の製造工程を示す概略図である。
図6図6(a)は、第1実施形態において、マスキング部材が装着された金属芯材の要部の概略側面図であり、図6(b)は、図6(a)のb−b断面図であり、図6(c)はマスキング部材を含むユニットの側面図である。
図7】本発明の第2実施形態の製造方法により製造されたスプライン伸縮軸としての中間軸の要部の軸直角断面の拡大図である。
図8図8(a)は、第2実施形態に係る外軸の側面図であり、図8(b)は、図8(a)のb−b断面図であり、図8(c)は、図8(a)のc−c断面図である。
図9図9(a)〜(g)は、第2実施形態において外軸の製造工程を示す概略図である。
図10図10(a)は、第2実施形態において、マスキング部材が装着された金属筒材の要部の概略側面図であり、図10(b)は、図10(a)のb−b断面図であり、図10(c)はマスキング部材を含むユニットの側面図である。
図11図11(a)および(b)は、それぞれ本発明の第3実施形態および第4実施形態に係るマスキング工程における金属芯材の概略断面図である。
図12図12(a)は本発明の第5実施形態に係るマスキング工程における金属芯材の概略側面図である。図12(b)は、樹脂被覆工程を経て得られた製造用中間体の概略側面図である。
図13図13(a)は本発明の第6実施形態に係るマスキング工程における金属芯材の概略側面図である。図13(b)はマスキング工程に用いられるマスキング部材を含むユニットの斜視図である。
図14図14(f1),(g1)は、第2実施形態の図9(f),(g)の樹脂被膜形成工程の変更形態としての第7実施形態の樹脂被膜形成工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施の形態の添付図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の製造方法により製造されたスプライン伸縮軸が、中間軸(インターミディエイトシャフト)5に適用されたステアリング装置1の概略図である。
【0017】
図1に示すように、ステアリング装置1は、ステアリングホイール2が一端に接続された操舵軸(ステアリングシャフト)3と、操舵軸3の周囲に配置されたステアリングコラム20とを備える。
また、ステアリング装置1は、自在継手4を介して操舵軸3と接続されるスプライン伸縮軸としての中間軸5と、自在継手6を介して中間軸5と接続されたピニオン軸7と、ピニオン軸7のピニオン7aと噛み合うラック8aを有する転舵軸としてのラック軸8とを備えている。
【0018】
ピニオン軸7およびラック軸8を含むラックアンドピニオン機構によって、ステアリングギヤ機構A1が構成されている。ラック軸8は、車体側部材9に固定されたハウジング10によって、車両の左右方向に沿う軸方向(紙面とは直交する方向)に移動可能に、支持されている。ラック軸8の各端部は、図示していないが、対応するタイロッドおよび対応するナックルアームを介して対応する転舵輪に連結されている。
【0019】
操舵軸3は、同軸上に連結された第1操舵軸11と第2操舵軸12とを備えている。第1操舵軸11は、スプライン結合を用いて、トルク伝達可能に且つ軸方向に相対摺動可能に嵌合されたアッパーシャフト13およびロアーシャフト14を有している。アッパーシャフト13およびロアーシャフト14の何れか一方が内軸を構成し、他方が筒状の外軸を構成している。
【0020】
また、第2操舵軸12は、ロアーシャフト14と同伴回転可能に連結された入力軸15と、自在継手4を介して中間軸5と接続さされた出力軸16と、入力軸15および出力軸16を相対回転可能に連結するトーションバー17とを有している。
ステアリングコラム20は、車体側部材18,19に固定されている。ステアリングコラム20は、図示しない軸受を介して操舵軸3を回転可能に支持する。
【0021】
ステアリングコラム20は、軸方向に相対移動可能に嵌め合わされた筒状のアッパージャケット21および筒状のロアージャケット22と、ロアージャケット22の軸方向下端に連結されたハウジング23とを備えている。ハウジング23内には、操舵補助用の電動モータ24の動力を減速して出力軸16に伝達する減速機構25が収容されている。
減速機構25は、電動モータ24の回転軸(図示せず)と同行回転可能に連結された駆動ギヤ26と、駆動ギヤ26に噛み合い出力軸16と一体回転する被動ギヤ27とを有している。駆動ギヤ26は例えばウォーム軸からなり、被動ギヤ27は例えばウォームホイールからなる。
【0022】
ステアリングコラム20には、車両後方側のアッパーブラケット28および車両前方側のロアーブラケット29を介して車体側部材18,19に固定されている。アッパーブラケット28は、後述するコラムブラケットを介してステアリングコラム20のアッパージャケット21に固定可能とされている。アッパーブラケット28は、車体側部材18から下方に突出する固定ボルト(スタッドボルト)30と、当該固定ボルト30に螺合するナット31と、アッパーブラケット28に離脱可能に保持されたカプセル32とを用いて、車体側部材18に固定されている。
【0023】
ロアーブラケット29は、ステアリングコラム20のロアージャケット22に固定されている。また、ロアーブラケット29は、車体側部材19から突出する固定ボルト(スタッドボルト)33と当該固定ボルト33に螺合するナット34とを用いて、車体側部材19に固定されている。
スプライン伸縮軸としての中間軸5は、内軸40と、内軸40とスプライン嵌合される外軸50とを含む。内軸40と外軸50とは、互いにトルク伝達可能であり、軸方向X1に相対摺動可能である。外軸50は、自在継手4を介して操舵軸3(具体的には第2操舵軸12の出力軸16)と接続される。内軸40は、自在継手6を介してピニオン軸7に接続される。
【0024】
本実施形態では、外軸50がアッパーシャフトを構成し、内軸40がロアーシャフトを構成する。ただし、内軸40がアッパーシャフトを構成し、外軸50がロアーシャフトを構成してもよい。
また、本実施形態では、本発明の製造方法により製造されたスプライン伸縮軸が中間軸5に適用された場合に則して説明するが、前記スプライン伸縮軸が第1操舵軸11に適用され、第1操舵軸11がテレスコピック調整機能や衝撃吸収機能を果たすものであってもよい。また、前記スプライン伸縮軸が、操舵補助力を用いないマニュアル操舵のステアリング装置に適用されてもよい。
【0025】
図2は、中間軸5の一部破断正面図であり、図3は、図2のIII−III断面図である。
図4(a)は第1実施形態に係る内軸の側面図であり、図4(b)は図4(a)のb−b断面図であり、図4(c)は図4(a)のc−c断面図である。
図2および図4(a)に示すように、内軸40は、軸方向X1の一端40aから所定長の範囲に、スプライン軸部41を有する。図2に示すように、外軸50は、スプライン軸部41とスプライン嵌合されるスプライン穴部51を有する。
【0026】
図2に示すように、スプライン軸部41の表面は、内軸40の中心軸C1の周囲に配置される。スプライン軸部41の表面には、外歯部としての雄スプライン42が軸方向X1にストレートに延びて形成されている。
図4(b)に示すように、内軸40は、金属芯材60を含む。金属芯材60は、スプライン軸部41の芯材となる金属製のスプライン軸部61を有し、スプライン軸部61の表面には、金属製の外歯部としての雄スプライン62が形成されている。
【0027】
図4(b)および図4(c)に示すように、スプライン軸部41の表面には、金属芯材60の表面が露出する一部の領域としての金属露出部44を除いて、樹脂被膜43が形成されている。
すなわち、図4(a)に示すように、スプライン軸部41の軸方向X1の端部41aから軸方向X1の所定長(少なくとも10mm以上)の範囲にある軸方向領域L1において、図4(c)に示すように、周方向Y1に並んで配置される全歯溝のうちで、円周等配に配置された複数箇所(本実施形態では2箇所)の歯溝Gの内面に、金属露出部44(金属芯材60の雄スプライン62の歯面に相当)が配置されている。すなわち、金属露出部44は、スプライン軸部41の周方向Y1の円周等配の2箇所に配置される。
【0028】
外軸50は金属製で、図2および図3に示すように、外軸50のスプライン穴部51の内面は、外軸50の中心軸C2(図2参照)の周囲に配置される。スプライン穴部51の内面には、内歯部としての雌スプライン52が、軸方向にストレートに延びて形成される。図3に示すように、内軸40の雄スプライン42の樹脂被膜43で形成される歯面42tが、外軸50の雌スプライン52の金属製の歯面52tと噛み合わされる。
【0029】
図4(a)において、スプライン軸部41の金属露出部44が設けられる軸方向領域L1も、外軸50に対する摺動領域として利用される。すなわち、軸方向領域L1内の樹脂被膜[図4(c)における樹脂被膜43]と外軸50の雌スプライン52とは、軸方向X1に相対摺動する。
図5(a)〜(g)は、内軸40を製造する工程を示している。
【0030】
まず、鍛造工程[図5(a)]で、素材を鍛造することにより、図5(b)に示すように、雄スプライン62を有するスプライン軸部61が形成された金属芯材60を得る。
次いで、図5(c)に示すように、金属芯材60にマスキング部材70を取り付ける。具体的には、金属芯材60の概略側面図である図6(a)に示すように、金属芯材60の雄スプライン62の径方向に対向する2箇所の歯溝Gに、それぞれマスキング部材70を装着する。
【0031】
図6(a)のb−b断面図である図6(b)に示すように、各マスキング部材70は、断面が円形である。ただし、マスキング部材70の断面は、台形その他の多角形形状である棒材であってもよい。
各マスキング部材70の一端70aは、直線状の連結部材71によって互いに連結されている。これにより、複数のマスキング部材70と連結部材71とを含む一体のユニットUが形成されている。このため、マスキング部材70を一括して金属芯材60に取り付けることができて、作業性がよい。なお、連結部材71は無くてもよい。
【0032】
図6(c)は、自由状態のユニットUの側面図である。図6(c)に示すように、連結部材71は、両マスキング部材70の一端70aを片持ち状に支持している。自由状態のユニットUでは、両マスキング部材70の他端70bどうしの間隔が、両マスキング部材70の一端70a間の間隔よりも小さくなっている。
したがって、図6(a)に示すように、両マスキング部材70の他端70bどうしの間隔が拡げられた状態で金属芯材60に装着されたときに、連結部材71は、両マスキング部材70の一端70aを支点として他端70bどうしを互いに近づけるように弾性的に回動付勢するばね性を持つ。すなわち、各マスキング部材70は、連結部材71によって片持ち状に支持された状態で、連結部材71の持つばね性によって対応する歯溝Gに弾性的に押圧されている。このため、各マスキング部材70の、対応する歯溝Gに対する保持力を高くすることができる。
【0033】
また、連結部材71は、金属芯材60のスプライン軸部61の軸方向X1の端面61a(金属芯材60の軸方向X1の端面に相当)に当接されて、軸方向X1に位置決めされる。このため、各マスキング部材70が、軸方向X1に精度良く位置決めされる。
次いで、樹脂被覆工程[図5(d)参照]が実施される。樹脂被覆工程では、例えば流動浸漬法が用いられる。すなわち、マスキング部材70が装着された金属芯材60に前処理(例えばプライマー処理)が施された後、金属芯材60が加熱され、加熱された金属芯材60が、樹脂粉末が流動状態にされた流動浸漬槽内に所定時間浸漬される。
【0034】
これにより、樹脂粉末が金属芯材60に付着して熱で溶融することにより、図6(e)に示すように、雄スプライン42Aの表面が樹脂層43Aで形成されたスプライン軸部41Aを有する製造用中間体40Aを得る。
すなわち、金属芯材60の雄スプライン62の表面が樹脂層43Aで覆われて雄スプライン42Aが得られ、その雄スプライン42Aにおいて各マスキング部材70で覆われた一部の歯溝Gの内面が、円周等配に配置された複数の金属露出部44として残される。
【0035】
次いで、図5(f)および(g)に示すように、樹脂被膜形成工程が実施される。樹脂被膜形成工程では、樹脂層43Aが形成された製造用中間体40Aが、複数の金属露出部44を介して環状の表面ブローチ80(ダイスとも言う)に対して芯合わせされる。
具体的には、図5(f)に示すように、円周等配に配置された金属露出部44を製造用中間体40Aの径方向内方へ弾性的に押すボールプランジャ等のセンタリング部材90によって、製造用中間体40Aの中心軸C1が、表面ブローチ80の中心軸C3に対して芯合わせされる。
【0036】
より具体的には、製造用中間体40Aの端面(樹脂層が形成されていない金属芯材の端面)に、中心軸C1を中心とする円孔45が形成されており、その円孔45に保持治具100の円錐状凸部101が挿入される。これにより、保持治具100とセンタリング部材90とが共同して、製造用中間体40Aの中心軸C1と表面ブローチ80の中心軸C3とを芯合わせする。ただし、この芯合わせ方法は一例であって、この方法に限定されるものではない。
【0037】
このように芯合わせされた状態の製造用中間体40Aと表面ブローチ80とを軸方向X1に相対摺動させる。具体的には、図5(g)に示すように、保持治具100を図示しない加圧部材で、表面ブローチ80側へ押圧することにより、製造用中間体40Aを表面ブローチ80の加工孔81内に圧入する。
製造用中間体40Aの圧入に際して、センタリング部材90は、樹脂層43Aに乗り上げるときに、製造用中間体40Aの径方向外方へ弾性的に後退するか、あるいは、金属露出部44の通過直後に、樹脂層43Aと干渉しない位置まで後退してもよい。そうした場合にも、形成される樹脂被膜の膜厚の精度を高くすることができる。その理由は、形成される樹脂被膜の膜厚の精度は、製造用中間体40Aの圧入の初期(食い込み始め)のセンタリングで、ほぼ決定され、その圧入初期では、円周等配で2箇所に配置された金属露出部44に当接するセンタリング部材90によって、製造用中間体40Aの倒れが抑制されるからである。
【0038】
製造用中間体40Aの圧入に伴って、樹脂層43Aの余剰部分43AKが削られ、均一な膜厚の樹脂被膜43[図4(a)参照]を有する内軸40が得られる。
次いで、図示していないが、その後、表面ブローチ80から内軸40を取り出し、内軸40の樹脂被膜43の表面にグリースを塗布する。グリースが塗布された内軸40を外軸50に組み入れ、スプライン伸縮軸としての中間軸5が完成する。
【0039】
本実施形態の製造方法では、樹脂被膜形成工程では、樹脂被覆工程で形成された円周等配の金属露出部44を用いて、製造用中間体40Aを表面ブローチ80に対して精度良く芯合わせすることができる。このため、樹脂被膜形成工程において、均一な樹脂被膜43を形成することができる。したがって、スプライン伸縮軸である中間軸5において、長期にスムーズな摺動を確保することができる。
【0040】
また、金属露出部44が配置される軸方向位置と同じ軸方向位置に配置される樹脂被膜43[図4(c)における樹脂被膜43]も摺動領域として利用できるので、中間軸5として、十分な伸縮ストロークを確保することができる。また、中間軸5の嵌合部全体としての嵌合面積が確保されるので、嵌合部の接触面圧を低減して、耐久性を向上することができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態の製造方法により製造されたスプライン伸縮軸としての中間軸5Pの要部の軸直角断面の拡大図である。図8(a)は、第2実施形態に係る外軸の側面図であり、図8(b)は、図8(a)のb−b断面図であり、図8(c)は、図8(a)のc−c断面図である。
【0041】
図7に示すように、スプライン伸縮軸としての中間軸5Pは、内軸40Pと、内軸40Pとスプライン嵌合される外軸50Pとを含む。内軸40Pと外軸50Pとは、互いにトルク伝達可能であり、軸方向(図7において紙面と直交する方向)に相対摺動可能である。
内軸40Pは金属製である。内軸40Pのスプライン軸部41Pの外面には、外歯部としての雄スプライン42Pが、軸方向にストレートに延びて形成される。
【0042】
外軸50Pは、内軸40Pのスプライン軸部41Pとスプライン嵌合するスプライン穴部51Pを有している。スプライン軸部41Pの表面の外歯部としての雄スプライン42Pと、スプライン穴部51Pの内面の内歯部としての雌スプライン52Pとが嵌合される。
外軸50Pの雌スプライン52Pの樹脂被膜53Pで形成される歯面53Ptが、内軸40Pの雄スプライン42Pの金属製の歯面42Ptと噛み合わされる。
【0043】
図8(b)に示すように、外軸50Pは、金属筒材60Pを含む。金属筒材60Pは、軸方向に貫通するスプライン穴部61Pを有し、スプライン穴部61Pの内面には、金属製の雌スプライン62Pが形成されている。
図8(b)および図8(c)に示すように、スプライン穴部51Pの表面には、金属筒材60Pの内面が露出する一部の領域としての金属露出部54Pを除いて、樹脂被膜53Pが形成されている。
【0044】
すなわち、図8(a)に示すように、スプライン穴部51Pの軸方向X1の端部51Paから軸方向X1の所定長(少なくとも10mm以上)の範囲にある軸方向領域L2において、図8(c)に示すように、周方向Y1に並んで配置される全歯溝のうちで、円周等配に配置された複数箇所(本実施形態では2箇所)の歯溝Gの内面に、金属露出部54P(金属筒材60Pの雌スプライン62Pの歯面に相当)が配置されている。すなわち、金属露出部54Pは、スプライン穴部51Pの周方向Y1の円周等配の2箇所に配置される。
【0045】
図8(a)において、スプライン穴部51Pの金属露出部54Pが設けられる軸方向領域L2も、内軸40Pに対する摺動領域として利用される。すなわち、軸方向領域L2内の樹脂被膜[図8(c)における樹脂被膜53P]と内軸40Pの雄スプライン42Pとは、軸方向X1に相対摺動する。
図9(a)〜(g)は、外軸50Pを製造する工程を示している。
【0046】
まず、鍛造工程[図9(a)]で、素材を鍛造することにより、図9(b)に示すように、雌スプライン62Pを有するスプライン穴部61Pが形成された金属筒材60Pを得る。
次いで、図9(c)に示すように、金属筒材60Pにマスキング部材70Pを取り付ける。具体的には、金属筒材60Pの概略断面図である図10(a)および図10(b)に示すように、金属筒材60Pの雌スプライン62Pの径方向に対向する2箇所の歯溝Cに、それぞれマスキング部材70Pを軸方向から挿入して装着する。両マスキング部材70Pの一端70Paどうしが、直線状の連結部材71Pで連結され、一体のユニットUPが形成されている。
【0047】
図10(c)は、自由状態のユニットUの側面図である。図10(c)に示すように、連結部材71Pは、両マスキング部材70Pの一端70Paを片持ち状に支持している。自由状態のユニットUでは、両マスキング部材70Pの他端70Pbどうしの間隔が、両マスキング部材70Pの一端70Paどうしの間隔よりも大きくなっている。
したがって、図10(a)に示すように、両マスキング部材70Pの他端70Pbどうしの間隔が縮められた状態で金属筒材60Pに装着されたときに、連結部材71Pは、両マスキング部材70Pの一端70Paを支点として他端70Pbどうしを互いに遠ざけるように弾性的に回動付勢するばね性を持つ。すなわち、各マスキング部材70Pは、連結部材71Pによって片持ち状に支持された状態で、連結部材71Pの持つばね性によって対応する歯溝Gに弾性的に押圧されている。このため、各マスキング部材70Pの、対応する歯溝Gに対する保持力を高くすることができる。
【0048】
また、連結部材71Pは、金属筒材60Pのスプライン穴部61Pの軸方向X1の端面61Pa(金属筒材60Pの軸方向X1の端面に相当)に当接されて、軸方向X1に位置決めされる。このため、各マスキング部材70Pが、軸方向X1に精度良く位置決めされる。
次いで、樹脂被覆工程[図9(d)参照]が実施される。樹脂被覆工程では、例えば流動浸漬法が用いられる。すなわち、マスキング部材70Pが装着された金属筒材60Pに前処理(例えばプライマー処理)が施された後、金属筒材60Pが加熱され、加熱された金属筒材60Pが、樹脂粉末が流動状態にされた流動浸漬槽内に所定時間浸漬される。
【0049】
これにより、樹脂粉末が金属筒材60Pに付着して熱で溶融することにより、図9(e)に示すように、雌スプライン52PAの表面が樹脂層53PAで形成されたスプライン穴部51PAを有する製造用中間体50PAを得る。
すなわち、金属筒材60Pの雌スプライン62Pの表面が樹脂層53PAで覆われて雌スプライン52PAが得られ、その雌スプライン52PAにおいて各マスキング部材70Pで覆われた一部の歯溝Gの内面が、円周等配に配置された複数の金属露出部54Pとして残される。
【0050】
次いで、図9(f)および(g)に示すように、樹脂被膜形成工程が実施される。樹脂被膜形成工程では、樹脂層53PAが形成された製造用中間体50PAが、複数の金属露出部54Pを介して環状の内面ブローチ80Pに対して芯合わせされる。
具体的には、図9(f)に示すように、保持治具110によって軸方向X1に移動可能に支持されて付勢部材91Pによって軸方向X1に弾性付勢されたセンタリング部材90Pと、金属表面を有する内面ブローチ80Pの先端部に係合するセンタリング部材90[図5(f)の第1実施形態でのセンタリング部材90に相当]とが用いられる。
【0051】
センタリング部材90Pが、製造用中間体50PAの円周等配に配置された金属露出部54Pに対して係合され、センタリング部材90が、内面ブローチ80Pの先端部における複数の歯溝を径方向内方へ弾性的に押圧することで、製造用中間体50PAの中心軸C2が、内面ブローチ80Pの中心軸C4に対して芯合わせされる。
より具体的には、加工軸81Pを有する内面ブローチ80Pの端面に、中心軸C4を中心とする円孔82Pが形成されており、その円孔に保持治具100の円錐状凸部101が挿入される。これにより、保持治具100とセンタリング部材90とセンタリング部材90Pとが共同して、製造用中間体50PAの中心軸C2と内面ブローチ80Pの中心軸C4とを芯合わせする。ただし、この芯合わせ方法は一例であって、この方法に限定されるものではない。
【0052】
このように芯合わせされた状態の製造用中間体50PAと内面ブローチ80Pとを軸方向X1に相対摺動させる。具体的には、図9(g)に示すように、保持治具100を図示しない加圧部材で、製造用中間体50PA側へ押圧することにより、内面ブローチ80Pを製造用中間体50PAのスプライン穴部51PA内に圧入する。内面ブローチ80Pの圧入に際して、センタリング部材90Pは、内面ブローチ80Pの加工軸81Pの端面と当接することで、製造用中間体50PAの軸方向外方へ弾性的に後退する。
【0053】
内面ブローチ80Pの圧入に伴って、樹脂層53PAの余剰部分が削られ、均一な膜厚の樹脂被膜53P[図8(a)参照]を有する外軸50Pが得られる。
次いで、図示していないが、その後、内面ブローチ80Pから取り外された外軸50Pの樹脂被膜53Pの表面にグリースを塗布する。グリースが塗布された外軸50Pが内軸40Pと嵌合され、スプライン伸縮軸としての中間軸5Pが完成する。
【0054】
本実施形態の製造方法では、樹脂被膜形成工程では、樹脂被覆工程で形成された円周等配の金属露出部54Pを用いて、製造用中間体50PAを内面ブローチ80Pに対して精度良く芯合わせすることができる。このため、樹脂被膜形成工程において、均一な樹脂被膜53Pを形成することができる。したがって、スプライン伸縮軸である中間軸5Pにおいて、長期にスムーズな摺動を確保することができる。
【0055】
また、金属露出部54Pが配置される軸方向位置と同じ軸方向位置に配置される樹脂被膜53P[図8(c)における樹脂被膜53P]も摺動領域として利用できるので、中間軸5Pとして、十分な伸縮ストロークを確保することができる。また、中間軸5Pの嵌合部全体としての嵌合面積が確保されるので、嵌合部の接触面圧を低減して、耐久性を向上することができる。
(第3実施形態および第4実施形態)
図11(a)および(b)は、それぞれ第3実施形態および第4実施形態のマスキング工程で用いるマスキング部材の断面図である。
【0056】
図11(a)のマスキング部材70Qでは、例えば棒状の永久磁石72と、永久磁石72が中央部に埋設されたカバー部材73Qとを含む軸体である。マスキング部材70Qは、断面円形に形成されている。
図11(b)のマスキング部材70Rは、永久磁石72と、永久磁石72が中央部に埋設されたカバー部材73Rとを含む軸体であり、断面台形に形成されている。マスキング部材70Rの台形の一対の脚部70Ra,70Rbの傾斜が、歯溝Gを区画する一対の歯面の傾斜に一致されている。
【0057】
カバー部材73Q;73Rには、耐熱性があり磁性のある材料が用いられる。例えば、磁性体としてのカーボンを含む耐熱ゴムや耐熱樹脂が用いられる。
第3、第4実施形態では、マスキング工程において、磁気吸引力で、各マスキング部材70Q;70Rを歯溝Gに容易に着脱し、保持することができる。
なお、図示していないが、電磁石を含むマスキング部材を用いて、電磁石への通電のオンオフによってマスキング部材を着脱するようにしてもよい。更に、永久磁石のみでマスキング部材を構成してもよい。
(第5実施形態)
図12(a)は本発明の第5実施形態に係るマスキング工程における金属芯材の概略断面図である。図12(a)に示すように、マスキング工程において、金属芯材60のスプライン軸部61の軸方向X1に離隔する2箇所(例えば両端部の軸方向領域)乃至両端部近傍の軸方向領域にマスキング部材(例えば70Q)が装着されてもよい。
【0058】
この場合、樹脂被覆工程を経て、図12(b)に示されるように、軸方向の2位置に金属露出部44が形成された製造用中間体40Aを得ることができる。したがって、図示しない樹脂被膜形成工程において、軸方向の2位置で金属露出部44を介してセンタリングが行えるので、センタリング精度が向上する。
(第6実施形態)
図13(a)は本発明の本発明の第5実施形態に係るマスキング工程における金属芯材の概略断面図である。図13(a)に示すように、マスキング工程において、金属芯材60のスプライン軸部61の軸方向X1の先端部61bには、図6の第1実施形態のマスキング部材70Sを含むユニットUが装着される。また、スプライン軸部61の軸方向X1の他方の基端部61cには、マスキング部材70Sを含むユニットUSが装着される。
【0059】
図13(b)に示すように、ユニットUSは、複数のマスキング部材70Sと、各マスキング部材70Sの一端70Saどうしを連結するC字形状の連結部材71Sとを含む一体のユニットである。図13(a)に示すように、連結部材71Sは、金属芯材60の基端部61cの段付き状の端面61dに当接され、これにより、マスキング部材70Sが、軸方向X1に精度良く位置決めされる。
【0060】
C字形状の連結部材71Sは、図13(b)に白抜き矢符で示されるように、周方向の一対の端部71Saどうしの間隔を拡げるように、弾性変形可能である。このため、マスキング部材70Sをスプライン軸部61の基端部61cに対して径方向から装着可能である。
(第7実施形態)
図14(f1),(g1)は、第2実施形態の図9(f),(g)の樹脂被膜形成工程の変更例としての第7実施形態の樹脂被膜形成工程を示す概略図である。
【0061】
本実施形態の図14(f1),(g1)の樹脂被膜形成工程が第2実施形態の図9(f),(g)の樹脂被膜形成工程と主に異なるのは、下記である。
図14(f1)に示すように、外軸の製造用中間体50PAは、金属露出部54Pが形成された端部を内面ブローチ80P側にして配置される。
内面ブローチ80Pの先端部の外周を内面ブローチ80Pの径方向内方へ押すボールプランジャ等のセンタリング部材90によって、内面ブローチ80Pの中心軸C4が、製造用中間体50PAの中心軸C3に対して、仮に芯合わせされている。
【0062】
このように仮に芯合わせされた内面ブローチ80Pの先端部が、製造用中間体50PAのスプライン穴部61Pの入口に圧入された圧入初期の段階で、当該入口に配置されている金属露出部54Pの働きで、内面ブローチ80Pと製造用中間体50PAとが、精度良く、芯合わせされる。このとき、センタリング部材90は、内面ブローチ80Pから離反していてもよいし、また、金属露出部54Pによる芯合わせに倣うように、弾性的に変位されてもよい。
【0063】
そして、図14(g1)に示すように、内面ブローチ80Pを製造用中間体50PAのスプライン穴部61Pの奥側へ圧入することにより、スプライン穴部61P内に精度の良い樹脂被膜を形成することができる。
本発明は、各前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、図示していないが、マスキング部材を金属芯材60または金属筒材60Pの周方向の3〜5箇所に配置するようにしてもよい。また、マスキング部材の断面は、多角形形状であってもよい。
【0064】
また、マスキング部材によって金属芯材60や金属筒材60Pがマスキングされる位置は、金属芯材60や金属筒材60Pの先端部以外の位置であってもよい。その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0065】
1…ステアリング装置、3…操舵軸、5…中間軸(スプライン伸縮軸)11…第1操舵軸、40;40P…内軸、40A…製造用中間体、41…スプライン軸部、42…雄スプライン(外歯部)、43…樹脂被膜、44…金属露出部、50;50P…外軸、50PA…製造用中間体、51;51P…スプライン穴部、52;52P…雌スプライン(内歯部)、53P…樹脂被膜、54P…金属露出部、60…金属芯材、61…スプライン軸部、61a;61d…端面、62…雄スプライン(外歯部)、60P…金属筒材、61P…スプライン穴部、62P…雌スプライン(内歯部)、70;70P;70Q;70R;70S…マスキング部材、70a;70Pa;70Sa…一端、70b;70Pb…他端、71;71P;71S…連結部材、72…永久磁石、73Q;73R…カバー部材、80…表面ブローチ(ダイス)、81…加工孔、80P…内面ブローチ、81P…加工軸、90;90P…センタリング部材、C1,C2,C3…中心軸、G…歯溝、L1;L2…軸方向領域、U;UP;US…ユニット、X1…軸方向、Y1…周方向
図1
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