特許第6622660号(P6622660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622660
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】位置誘導システムおよび飛行体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/005 20060101AFI20191209BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20191209BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20191209BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20191209BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   G08G1/005
   G01C21/26 P
   B64C13/20 Z
   B64C39/02
   B64C27/08
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-121387(P2016-121387)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-227946(P2017-227946A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 武
【審査官】 武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−074275(JP,A)
【文献】 特開2015−131713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/005
B64C 13/20
B64C 27/08
B64C 39/02
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置を備える車両と、前記車両の特定位置に配置された飛行体と、利用者が携帯する携帯端末とを備える位置誘導システムにおいて、
前記車載装置は、
前記車両の特定位置を第1の位置情報として検出する第1位置検出手段と、
前記第1の位置情報を前記飛行体に送信する第1送信手段と、を備え、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の位置を第2の位置情報として検出する第2位置検出手段と、
前記第2の位置情報を前記飛行体に送信する第2送信手段と、
前記利用者が操作する操作部と、を備え、
前記飛行体は、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報を受信する受信手段と、
前記操作部からの指示により、前記第2の位置情報と前記第1の位置情報に基づいて、前記携帯端末の位置と前記特定位置との間を往復飛行する飛行制御手段と、
を備えることを特徴とする位置誘導システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記飛行制御手段は、初期状態において前記特定位置に配置されていた前記飛行体を前記携帯端末の位置に向けて飛行する第1の飛行制御を行った後、前記飛行体を前記特定位置に向けて飛行する第2の飛行制御を行うことを特徴とする位置誘導システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記飛行制御手段は、前記操作部から前記飛行体の飛行を折り返す旨の指示が送られてきたときに、前記第2の飛行制御を行うことを特徴とする位置誘導システム。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記飛行体は、前記飛行体の位置を検出する第3位置検出手段を備え、
前記飛行制御手段は、前記飛行体の位置と前記携帯端末の位置との間の距離が所定距離以上離れないように前記第2の飛行制御を行うことを特徴とする位置誘導システム。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項において
前記飛行制御手段は、飛行途中で1回あるいは複数回のホバリングを行うように前記第2の飛行制御を行うことを特徴とする位置誘導システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、
前記車載装置は、前記車両が駐車されたことを検出する駐車検出手段を備え、
前記第1送信手段は、前記車両が駐車されたとき、前記第1の位置情報を前記飛行体に送信することを特徴とする位置誘導システム。
【請求項7】
車載装置を備える車両の特定位置に配置された飛行体において、
前記車載装置から前記特定位置を受信する第1受信手段と、
携帯端末の位置を受信する第2受信手段と、
前記携帯端末からの指示により、前記携帯端末の位置と前記特定位置との間を往復飛行する飛行制御手段と、
を備えることを特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場内の車両の駐車位置等の特定位置に利用者を誘導する位置誘導システムおよび飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の現在位置を携帯電話網を介して取得するとともに、携帯電話の現在位置をGPSレシーバから取得し、これらの現在位置とその周辺の地図を携帯電話のディスプレイに表示することにより、広い駐車場に車両を駐車した場合であっても、表示された地図を参照することで、利用者が車両の位置を把握することができるようにした車両位置表示システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−118356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された車両位置表示システムでは、以下に示す状況の場合に、利用者による誤認識が生じやすく、車両位置(特定位置)の把握が難しいという問題があった。
・駐車場内の地図が詳細でない、あるいは、詳細な地図がない。
・周辺にランドマークとなる目印がない。
・周辺に似たような建物が多い。
・駐車場の出入口が複数ある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、利用者による特定位置の把握が容易であって、確実に特定位置に利用者を誘導することができる位置誘導システムおよび飛行体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の位置誘導システムは、車載装置を備える車両と、車両の特定位置に配置された飛行体と、利用者が携帯する携帯端末とを備えている。車載装置は、車両の特定位置を第1の位置情報として検出する第1位置検出手段と、第1の位置情報を飛行体に送信する第1送信手段とを備えている。携帯端末は、携帯端末の位置を第2の位置情報として検出する第2位置検出手段と、第2の位置情報を飛行体に送信する第2送信手段と、利用者が操作する操作部とを備えている。飛行体は、第1の位置情報および第2の位置情報を受信する受信手段と、操作部からの指示により、第2の位置情報と第1の位置情報に基づいて、携帯端末の位置と特定位置との間を往復飛行する飛行制御手段とを備えている。
【0007】
また、本発明の飛行体は、車載装置を備える車両の特定位置に配置された飛行体において、車載装置から特定位置を受信する第1受信手段と、携帯端末の位置を受信する第2受信手段と、携帯端末からの指示により、携帯端末の位置と特定位置との間を往復飛行する飛行制御手段とを備えている。
【0008】
特定位置と(利用者が携帯する)携帯端末との間で飛行体を往復飛行させることにより、利用者は、目視によって特定位置を容易に把握することができ、これにより、確実に特定位置に利用者を誘導することが可能となる。
【0009】
また、上述した飛行制御手段は、初期状態において特定位置に配置されていた飛行体を携帯端末の位置に向けて飛行する第1の飛行制御を行った後、飛行体を特定位置に向けて飛行する第2の飛行制御を行うことが望ましい。これにより、特定位置に収納等された飛行体を用いて、確実に利用者をこの特定位置まで誘導することができる。
【0010】
また、上述した飛行制御手段は、操作部から飛行体の飛行を折り返す旨の指示が送られてきたときに、第2の飛行制御を行うことが望ましい。これにより、利用者が飛行体の存在を確認した後に携帯端末の操作部を操作して飛行体が引き返すようにすることができる。
【0011】
また、上述した飛行体は、飛行体の位置を検出する第3位置検出手段を備え、飛行制御手段は、飛行体の位置と携帯端末の位置との間の距離が所定距離以上離れないように第2の飛行制御を行うことが望ましい。また、上述した飛行制御手段は、飛行途中で1回あるいは複数回のホバリングを行うように第2の飛行制御を行うことが望ましい。これにより、利用者が飛行体を見失わないようにしながら、確実に特定位置まで誘導することが可能となる。
【0012】
また、上述した車載装置は、車両が駐車されたことを検出する駐車検出手段を備え、第1送信手段は、車両が駐車されたとき、第1の位置情報を飛行体に送信することが望ましい。これにより、車両の駐車時の位置を確実に飛行体に送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の車両位置誘導システムの概要を示す図である。
図2】一実施形態の車両位置誘導システムに含まれる車載装置と携帯端末装置の構成を示す図である。
図3】ドローンの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の位置誘導システムを適用した一実施形態の車両位置誘導システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施形態の車両位置誘導システムの概要を示す図である。本実施形態では、利用者Uは、広い駐車場Pに車両Gを駐車させて用事を済ませた後に駐車場Pに戻ってくるが、どこに車両Gを駐車させたかがわからなくなった場合を想定している。このような場合に、車両Gに搭載された飛行体としてのドローン(無人飛行体)300を、車両Gと利用者Uとの間を往復するように飛行させることにより、利用者Uを車両Gの駐車位置まで誘導する。
【0016】
図2は、一実施形態の車両位置誘導システムに含まれる車載装置100と携帯端末装置200の構成を示す図である。車載装置100が車両Gに搭載されている。また、携帯端末装置200は、利用者U自身が携帯している。
【0017】
図2に示すように、車載装置100は、GPS受信機110、操作部120、表示部130、制御部140、通信部150を備えている。
【0018】
GPS受信機110は、複数のGPS衛星から送信される信号を受信し、自装置の位置(自車位置)を示す測位データを所定の時間間隔で出力する。
【0019】
操作部120は、テンキーやその他のキーおよび各種のスイッチを含んでおり、利用者の操作指示や各種の入力を受け付ける。タッチパネルで構成した操作部120を用いて、画面に表示したテンキー等を利用者が指等で指し示すようにしてもよい。
【0020】
表示部130は、LCD(液晶表示装置)等で構成されており、操作部120を用いた操作内容や制御部140による制御内容および処理内容などを表示する。
【0021】
制御部140は、車載装置100の全体を制御するためのものであり、ROMやRAMなどに格納された所定のプログラムをCPUで実行することにより実現される。制御部140には、車両位置送信部142および駐車検出部144が含まれている。この車両位置送信部142は、車両の駐車時に、GPS受信機110を用いて検出された車両位置をドローン300に向けて送信する処理を行う。駐車検出部144は、車両が駐車されたことを検出する。例えば、車載装置100の電源切断が指示されたとき(車両のアクセサリースイッチがオフされたとき)に、車両が駐車されたものとして検出される。
【0022】
通信部150は、ドローン300との間で無線接続を行ってデータの送受信を行う。例えば、ブルートゥース(登録商標)や無線LANによる無線接続が行われる。車両位置送信部142によるドローン300への車両位置の送信は、この通信部150を介して行われる。
【0023】
また、図2に示すように、携帯端末装置200は、GPS受信機210、操作部220、表示部230、デジタル−アナログ変換器(D/A)240、スピーカ242、マイクロホン244、アナログ−デジタル変換器(A/D)246、制御部250、通信部260、電話処理部270を備えている。
【0024】
GPS受信機210は、複数のGPS衛星から送信される信号を受信し、自装置の位置を示す測位データを所定の時間間隔で出力する。
【0025】
操作部220は、タッチパネルや各種のスイッチを含んでおり、利用者の操作指示や各種の入力を受け付ける。タッチパネルを用いて、画面に表示したテンキー等を利用者が指等で指し示すことができる。
【0026】
表示部230は、LCD(液晶表示装置)等で構成されており、操作部220を用いた操作内容や制御部250による制御内容および処理内容などを表示する。
【0027】
デジタル−アナログ変換器240は、携帯端末装置200を電話機として使用した際の音声データ等をアナログ信号に変換してスピーカ242から出力する。マイクロホン244は、周囲の音声を集音する。集音した音声は、アナログ−デジタル変換器246によってデジタルデータに変換される。
【0028】
制御部250は、携帯端末装置200の全体を制御するためのものであり、ROMやRAMなどに格納された所定のプログラムをCPUで実行することにより実現される。
【0029】
通信部260は、ドローン300との間で無線接続を行ってデータの送受信を行う。例えば、ブルートゥース(登録商標)や無線LANによる無線接続が行われる。この通信部260と車載装置100の通信部150は、同じ方式で無線接続を行うことが望ましい。ドローン300に備わった通信部(後述する)を車載装置100との間の通信と携帯端末装置200との間の通信とで共通に用いることが可能となる。
【0030】
電話処理部270は、携帯電話機としての処理を行う。例えば、電話処理部270は、基地局との間で発着信処理を行って通話処理やインターネット接続処理等を行う。
【0031】
また、上述した制御部250は、飛行開始指示送信部252、折り返し指示送信部254、利用者位置送信部256、飛行終了指示送信部258を有する。
【0032】
飛行開始指示送信部252は、利用者Uの操作に応じて、利用者Uを車両Gの駐車位置まで誘導する動作の開始を指示する「飛行開始指示」を通信部260を介してドローン300に向けて送信する処理を行う。この飛行開始指示には、その時点でGPS受信機210を用いて検出される携帯端末装置200の位置が含まれている。
【0033】
折り返し指示送信部254は、ドローン300が車両から利用者に向かって飛行してきたことを確認した利用者の操作に応じて、ドローン300の飛行方向を反転させる「折り返し指示」を通信部260を介してドローン300に向けて送信する処理を行う。
【0034】
利用者位置送信部256は、ドローン300が車両Gに向けて飛行を開始した後に、GPS受信機210を用いて検出された自装置位置(利用者位置)を通信部260を介してドローン300に向けて送信する処理を行う。この利用者位置の送信処理は、所定の時間間隔で繰り返し行われる。
【0035】
飛行終了指示送信部258は、ドローン300による誘導動作によって利用者Uが車両Gの近傍(車両Gの位置がわかる位置)まで戻ってきたときに、ドローン300による誘導動作の終了を指示する「飛行終了指示」を通信部260を介してドローン300に向けて送信する処理を行う。
【0036】
図3は、ドローン300の構成を示す図である。図3に示すように、ドローン300は、通信部310、車両位置受信部320、飛行開始指示受信部322、折り返し指示受信部324、利用者位置受信部326、飛行終了指示受信部328、飛行制御部330、姿勢制御部340、駆動制御部342、モータ344を含んで構成されている。
【0037】
通信部310は、車載装置100内の通信部150および携帯端末装置200内の通信部260のそれぞれとの間で無線接続を行ってデータの送受信を行う。
【0038】
車両位置受信部320は、車載装置100内の車両位置送信部142によって駐車時に送信される車両位置を受信する。飛行開始指示受信部322は、携帯端末装置200内の飛行開始指示送信部252によって送信される飛行開始指示を受信する。折り返し指示受信部324は、携帯端末装置200内の折り返し指示送信部254によって送信される折り返し指示を受信する。
【0039】
利用者位置受信部326は、携帯端末装置200内の利用者位置送信部256によって送信される利用者位置を受信する。飛行終了指示受信部328は、携帯端末装置200内の飛行終了指示送信部258によって送信される飛行終了指示を受信する。
【0040】
飛行制御部330は、ドローン300が車両位置と利用者位置との間を往復飛行するための飛行制御を行う。姿勢制御部340は、GPS受信機やジャイロセンサを含んでおり、ドローン300の位置を検出するとともに姿勢(位置および向き)を制御する。
【0041】
駆動制御部342は、複数(例えば4個)のモータ344を駆動してそれぞれに対応する複数のプロペラ(図示せず)を回転させることにより、ドローン300を所定の向きに所定の速度で飛行させる。
【0042】
上述したGPS装置110が第1位置検出手段に、車両位置送信部142が第1送信手段に、GPS装置210が第2位置検出手段に、飛行開始指示送信部252が第2送信手段に、車両位置受信部320、利用者位置受信部326が受信手段に、車両位置受信部320が第1受信手段に、利用者位置受信部326が第2受信手段に、飛行制御部330が飛行制御手段に、姿勢制御部340が第3の位置検出手段に、駐車検出部144が駐車検出手段にそれぞれ対応する。
【0043】
本実施形態の車両位置誘導システムはこのような構成を有しており、次に、その動作を説明する。例えば、以下に示すステップS1〜S7の手順にしたがって各動作が実施される。
【0044】
(ステップS1)駐車時に、車載装置100からドローン300に車両位置を送信する。具体的には、車載装置100内の車両位置送信部142は、車両が駐車されたことが駐車検出部144によって検出されたときに、GPS装置110を用いて検出された車両位置をドローン300に送信する。この車両位置は、ドローン300内の車両位置受信部320によって受信され、メモリ(図示せず)等に格納されて保持される。
【0045】
(ステップS2)利用者Uは、目的の行動をするために場所を移動し、その後、駐車場Pに戻ってくる。この時点で、利用者Uは、自分が車両を駐めた位置を正確に思い出すことができず、本発明の車両位置誘導システムが使用される。
【0046】
(ステップS3)利用者Uは、携帯端末装置200の操作部220を操作し、飛行開始指示が携帯端末装置200からドローン300に送られる。具体的には、飛行開始指示送信部252は、利用者Uの操作に対応して、GPS受信機210を用いて携帯端末装置200の位置(利用者位置)を特定するとともに、この利用者位置を含む飛行開始指示をドローン300に送信する。この飛行開始指示は、ドローン300内の飛行開始指示受信部322によって受信され、利用者位置がメモリ等に格納される。
【0047】
(ステップS4)飛行開始指示を受け取ったドローン300は、車両Gの搭載位置から離陸し、利用者Uの周辺まで自動飛行する。具体的には、飛行制御部330は、メモリ等に格納されている車両位置と利用者位置を読み出して、車両位置から利用者位置までの飛行経路に沿ってドローン300が飛行するように駆動制御部342に指示を送る飛行制御(第1の飛行制御)を行う。
【0048】
(ステップS5)利用者Uは、飛来するドローン300を目視で確認した後、携帯端末装置200の操作部220を操作し、ドローン300を車両位置まで戻す折り返し指示が携帯端末装置200からドローン300に送られる。これにより、ドローン300の飛行の向きが反転して車両Gに向けた飛行が開始される。具体的には、折り返し指示送信部254は、利用者Uの操作に対応して、折り返し指示をドローン300に送信する。この折り返し指示は、ドローン300内の折り返し指示受信部324によって受信される。飛行制御部330は、現在位置から車両位置までの飛行経路に沿ってドローン300が飛行するように駆動制御部342に指示を送る飛行制御(第2の飛行制御)を行う。
【0049】
(ステップS6)利用者Uは、車両Gに向かって飛行するドローン300を目視で確認して見失わないように、同じ方向について行く。このときのドローン300の飛行速度は、利用者Uの速度(歩行者の一般的な速度)と同程度になるように設定されており、さらに、利用者Uとの間の距離が所定距離以上離れないように制御される。この動作は、例えば、携帯端末装置200内の利用者位置送信部256から定期的にドローン300に送られてくる利用者位置を利用者位置受信部326で受信し、ドローン300の位置と利用者位置との間の距離が所定距離に達した場合には、ドローン300が所定時間その位置でホバリングを行うように飛行制御部330によって制御することにより実現することができる。
【0050】
(ステップS7)利用者Uは、車両Gに到達後、携帯端末装置200を操作し、飛行終了指示が携帯端末装置200からドローン300に送られる。具体的には、飛行終了指示送信部258は、利用者Uの操作に対応して、飛行終了指示をドローン300に送信する。この飛行終了指示は、ドローン300内の飛行終了指示受信部328によって受信される。その後、飛行制御部330は、車両Gの所定位置にドローン300を着陸させる。これにより、利用者を車両位置まで誘導する一連の動作が終了する。
【0051】
このように、本実施形態の車両位置誘導システムでは、車両位置と利用者位置との間でドローン300を往復飛行させることにより、利用者は、目視によって車両位置を容易に把握することができ、これにより、確実に車両位置に利用者を誘導することが可能となる。
【0052】
また、ドローン300において、車載装置100から送られてくる車両位置と、利用者が携帯する携帯端末装置200から送られてくる利用者位置とを取得し、これら車両位置と利用者位置とに基づいてドローン300を飛行させることにより、利用者を確実に車両位置に誘導することが可能となる。
【0053】
また、利用者の誘導先となる位置として車両位置を用いることにより、広い駐車場等に車両を駐車させた場合に、確実に利用者をその駐車位置まで誘導することが可能となる。
【0054】
また、利用者位置として利用者が携帯する携帯端末装置200の位置を用いることにより、利用者の位置の把握が容易となり、確実にこの利用者を車両位置まで誘導することが可能となる。
【0055】
また、携帯端末装置200からドローン300の飛行を折り返す旨の折り返し指示が送られてきたときに、ドローン300が車両に向かう飛行制御を行うことにより、利用者がドローン300の存在を確認した後にドローン300が引き返すようにすることができる。
【0056】
また、ドローン300と携帯端末装置200との間の距離が所定距離以上離れないように、飛行途中で1回あるいは複数回のホバリングを行うようにすることにより、歩行者がドローン300を見失わないようにしながら、確実に車両位置まで誘導することが可能となる。
【0057】
また、ドローン300自体が車両と利用者の間を往復する飛行制御を行うようにしているため、システム構成を簡素化することが可能となる。
【0058】
また、車両が駐車されたことを検出する駐車検出部144を備え、車両の駐車時に、車両の位置情報(第1の位置情報)を飛行体300に送信しており、これにより、車両の駐車時の位置を確実に飛行体300に送ることができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、ドローン300と携帯端末装置200との間の距離が所定距離以上離れないようにするために、ドローン300がホバリングするようにしたが、ドローン300と携帯端末装置200との間の距離に関係なく1回あるいは複数回のホバリングを行うようにしてもよい。この場合には、携帯端末装置200からドローン300に対して定期的に利用者位置を送信する動作を省略してもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、携帯端末装置200からドローン300に向けて折り返し指示が送信されたときに、ドローン300が飛行の向きを反転させるようにしたが、ドローン300自身が利用者位置を把握しているため、ドローン300が利用者周辺に接近したときに、折り返し指示を待つことなく飛行の向きを反転させるようにしてもよい。この場合には、携帯端末装置200からドローン300に対して折り返し指示を送信する動作を省略してもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、車両と両者の間でドローン300を1往復させるようにしたが、2往復以上させるようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、車両位置からドローン300が離陸する場合を考えたが、車両位置以外の特定位置(例えば、個人宅や特定施設)からドローン300を離陸させ、その周囲にいる利用者をこの特定位置に誘導する場合にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
上述したように、本発明によれば、特定位置と(利用者が携帯する)携帯端末との間で飛行体を往復飛行させることにより、利用者は、目視によって特定位置を容易に把握することができ、これにより、確実に特定位置に利用者を誘導することが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
100 車載装置
200 携帯端末装置
110、210 GPS受信機
120、220 操作部
140、250 制御部
142 車両位置送信部
144 駐車検出部
150、260、310 通信部
252 飛行開始指示送信部
254 折り返し指示送信部
256 利用者位置送信部
258 飛行終了指示送信部
300 ドローン
320 車両位置受信部
322 飛行開始指示受信部
324 折り返し指示受信部
326 利用者位置受信部
328 飛行終了指示受信部
330 飛行制御部
340 姿勢制御部
342 駆動制御部
344 モータ
図1
図2
図3