(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622688
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F01N 5/02 20060101AFI20191209BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20191209BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
F01N5/02 B
F01N3/20 A
F01N3/24 L
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-251930(P2016-251930)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-105216(P2018-105216A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2018年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100127801
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 慎也
(72)【発明者】
【氏名】丸山 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】由利 信行
(72)【発明者】
【氏名】清水 元寿
(72)【発明者】
【氏名】江繋 健一
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−091212(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19817342(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を収容する有底状のケース部と、
前記ケース部内に設けられた排ガス流路と、を備え、
前記排ガス流路を流れる排ガスから前記流体に伝熱する熱交換器であって、
前記排ガス流路は、
前記ケース部内を通る第1排ガス流路と、
前記ケース部内の前記流体が収容された空間で前記第1排ガス流路の周囲を旋回する螺旋状の第2排ガス流路と、を有し、
前記第1排ガス流路と前記第2排ガス流路は直列接続され、
前記第1排ガス流路は、前記排ガスの成分を処理する触媒を収容する触媒収容室と、前記触媒収容室を囲み前記触媒収容室の周りに前記排ガスの流路を形成する有底状の内筒と、によって構成され、
前記内筒の外周面には、前記第2排ガス流路の前記内筒に面した凹凸形状に倣う凹凸部が形成されている、熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記第2排ガス流路は、1本の流路によって構成されている、熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱交換器であって、
前記内筒の底面は、前記ケース部の底部に形成された凸部にて一点支持されている、熱交換器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱交換器であって、
前記ケース部の底部とは反対側には、前記第1排ガス流路から前記第2排ガス流路に連通した空間を形成する蓋部が設けられ、
前記蓋部の内面には、前記第2排ガス流路の流入口に指向する溝が形成されている、熱交換器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器であって、
前記第1排ガス流路と前記第2排ガス流路は直接接続されている、熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関等の排ガスの熱を利用する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発電機に接続された内燃機関の冷却水を排気熱と熱交換させて昇温する熱交換器を備えたコージェネレーション装置が記載されている。特許文献1に記載の熱交換器では、排気ガスを通す伝熱管が、冷却水の水路内に上下に連結され、冷却水は伝熱管を螺旋状に流れて排気と熱交換している。また、特許文献2にも、内燃機関から排出される排ガスと冷却水との間で熱交換を行う熱交換器が記載されており、当該熱交換器には、冷却水の水路内に複数の伝熱管を上下に連結した構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−293448号公報
【特許文献2】特開2000−257415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記説明した特許文献1に記載の熱交換器又は特許文献2に記載の熱交換器のような、冷却水の水路内を上下に通る伝熱管を複数設けた構造は、十分な熱交換に必要な排ガス流路の長さを保証する一方で、伝熱管の接続箇所が多いために、構造及び製造工程が複雑化するといった課題を有する。
【0005】
本発明の目的は、熱交換を行う排ガス流路の長さを十分に有する簡単な構造の熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
流体(例えば、後述の実施形態での流体B)を収容する有底状のケース部(例えば、後述の実施形態でのケース部2)と、
前記ケース部内に設けられた排ガス流路(例えば、後述の実施形態での排ガス流路10)と、を備え、
前記排ガス流路を流れる排ガスから前記流体に伝熱する熱交換器(例えば、後述の実施形態での熱交換器1,1A,1B)であって、
前記排ガス流路は、
前記ケース部内を通る第1排ガス流路(例えば、後述の実施形態での第1排ガス流路11)と、
前記ケース部内の前記流体が収容された空間で前記第1排ガス流路の周囲を旋回する螺旋状の第2排ガス流路(例えば、後述の実施形態での第2排ガス流路12)と、を有し、
前記第1排ガス流路と前記第2排ガス流路は直列接続さ
れ、
前記第1排ガス流路は、前記排ガスの成分を処理する触媒(例えば、後述の実施形態での触媒6)を収容する触媒収容室(例えば、後述の実施形態での触媒収容室11a)と、前記触媒収容室を囲み前記触媒収容室の周りに前記排ガスの流路を形成する有底状の内筒(例えば、後述の実施形態での内筒11b,11d,11e)と、によって構成され、
前記内筒の外周面には、前記第2排ガス流路の前記内筒に面した凹凸形状に倣う凸部(例えば、後述の実施形態での凸部11be)が形成されている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記第2排ガス流路は、1本の流路によって構成されている。
【0009】
請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は2に記載の発明において、
前記内筒の底面(例えば、後述の実施形態での底面11bd)は、前記ケース部の底部(例えば、後述の実施形態での底部2b)に形成された凸部(例えば、後述の実施形態での凸部2d)にて一点支持されている。
【0011】
請求項
4に記載の発明は、請求項1から
3のいずれか1項に記載の発明において、
前記ケース部の底部とは反対側には、前記第1排ガス流路から前記第2排ガス流路に連通した空間(例えば、後述の実施形態での空間13)を形成する蓋部(例えば、後述の実施形態での蓋部8)が設けられ、
前記蓋部の内面(例えば、後述の実施形態での内面8s)には、前記第2排ガス流路の流入口(例えば、後述の実施形態での流入口12i)に指向する溝(例えば、後述の実施形態での溝8g)が形成されている。
【0012】
請求項
5に記載の発明は、請求項1から
4のいずれか1項に記載の発明において、
前記第1排ガス流路と前記第2排ガス流路は直接接続されている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ケース部内に設けられた排ガス流路は、ケース部内を通る第1排ガス流路と、ケース部内の流体が収容された空間で第1排ガス流路の周囲を旋回する螺旋状の第2排ガス流路とが直列接続されている。このように、第2排ガス流路が螺旋状に形成されているため、十分な熱交換に必要な排ガス流路の長さを保証でき、かつ、第1排ガス流路と第2排ガス流路の接続は直列であるため、構造が簡単な熱交換器を提供できる。
また、請求項1の発明によれば、第1排ガス流路には、排ガスの成分を処理する触媒を収容する触媒収容室が設けられ、触媒収容室の周りには、有底状の内筒によって排ガスの流路が形成されているため、螺旋状に形成された第2排ガス流路の内側のスペースを無駄なく利用できる。この結果、熱交換器を小型化できる。また、請求項1の発明によれば、内筒の外周面に凸部が形成されているため、流体が内筒の外周面と接する面積を大きくでき、熱交換量を増すことができる。また、凸部が第2排ガス流路の内筒に面した凹凸形状に倣うように構成され、内筒の外周面の凹部に第2排ガス流路が配置されているため、熱交換器を小型化できる。
【0014】
請求項2の発明によれば、第2排ガス流路は1本の流路によって構成されているため、第2排ガス流路のための部品点数を削減できる。また、熱交換器における第2排ガス流路の他の箇所との接続は流入口と流出口の2箇所に行えば良いため、熱交換器の製造工程を簡略化できる。
【0016】
請求項
3の発明によれば、内筒の底面は、ケース部の底部に形成された凸部にて一点で支持されているため、第1排ガス流路から内筒及びケース部の底部を介した熱交換器外部への放熱量を低減できる。その結果、熱交換器の熱回収効率を向上できる。
【0018】
請求項
4の発明によれば、蓋部の内面には、第2排ガス流路の流入口に指向する溝が形成されているので、流入口が1箇所であっても、蓋部の内面に沿って流れる排ガスを第2排ガス流路の流入口に効果的に誘導することができ、排ガスの流れを良くできる。
【0019】
請求項
5の発明によれば、第1排ガス流路と第2排ガス流路は直接接続されるため、排ガスが熱交換器に導入されて排出されるまでの経路上には、流体以外の部材に伝熱する箇所がない。このため、熱交換器の熱回収効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の熱交換器の分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態の熱交換器の組み立て状態における、
図1に示すX−X線に沿った垂直断面図である。
【
図3】蓋部内面の第2排ガス流路の流入口に対向する部分の斜視図である。
【
図4】第2実施形態の熱交換器の組み立て状態における、
図1に示すX−X線に沿った垂直断面図である。
【
図5】本発明に係る第3実施形態の熱交換器の分解斜視図である。
【
図6】第3実施形態の熱交換器の組み立て状態における、
図5に示すY−Y線に沿った垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態の熱交換器について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の熱交換器の分解斜視図である。
図2は、第1実施形態の熱交換器の組み立て状態における、
図1に示したX−X線に沿った垂直断面図である。
【0023】
図1及び
図2に示すように、熱交換器1は、熱交換用の流体Bを収容する有底円筒状のケース部2と、ケース部2内に設けられた排ガス流路10とを備える。熱交換器1では、排ガス流路10を流れる内燃機関等から排出された排ガスから、ケース部2内に収容された流体に伝熱することで熱交換が行われる。なお、流体は、内燃機関等の冷却水である。
【0024】
熱交換器1は、全体が円筒状に形成されており、中心線CLを軸とした熱交換器1の一端面と外周面はケース部2によって構成されており、他端面には、排ガス導入管3を略中央に有する蓋部8が設けられる。蓋部8の排ガス導入管3には、内燃機関等から排出された排ガスA1が導入され、ケース部2の底部2bに設けられた排ガス排出管4からは、熱交換済みの排ガスA3が排出される。また、流体Bは、熱交換器1の下方側(底部2bに近接した箇所)に設けられた流入口2iから導入され、熱交換器1の上方側(蓋部8に近接した箇所)に設けられた流出口2uから排出される。
【0025】
排ガス流路10は、ケース部2内に熱交換器1の中心線CLに沿って設けられた第1排ガス流路11と、ケース部2内の流体Bが収容された空間で第1排ガス流路11の周囲を旋回する螺旋状に形成された1本の第2排ガス流路12とを有し、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12は直列接続されている。すなわち、1本の配管が中心線CLを中心に略同心円状に旋回するコイル状ともいえる形状の第2排ガス流路12の内側には、第1排ガス流路11が中心線CLに沿って配置されている。排ガス導入管3から導入された排ガスは、まず第1排ガス流路11を流れる。
【0026】
第1排ガス流路11は、中心線CLに沿って配置された触媒収容室11aと、触媒収容室11aを囲み触媒収容室11aの周りに排ガスの流路を形成する有底円筒状の内筒11bとによって構成される。なお、内筒11bは、ケース部2の底部2bに対して間隔を空けて配置されており、内筒11bの底面11bdは、ケース部2の底部2bの略中央に形成された凸部2dにて一点で支持されている。
【0027】
排ガス導入管3から第1排ガス流路11に導入された排ガスは、まず触媒収容室11aに送られる。触媒収容室11aには、排ガス導入管3から導入された排ガスA1の成分を処理する触媒6が収容されている。触媒収容室11aは、上方から供給された排ガスA1を触媒6によって処理した排ガスA2を下方へ排出するように下面が開口した構造を有する。触媒収容室11aから排出された処理済みの排ガスA2は、触媒収容室11aと内筒11bとの間に形成された連結流路11cを通り、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12をつなぐ空間13に排出される。空間13は蓋部8の内面に対面し、ケース部2の外壁部2aと内筒11bとを連結した上壁部2cには、第2排ガス流路12の流入口12iが1つ設けられている。
【0028】
図3は、蓋部8内面の第2排ガス流路12の流入口12iに対向する部分の斜視図である。
図3に示すように、蓋部8の内面8sには、第2排ガス流路12の流入口12iに対向する円形の凹部8pに指向した複数の溝8gが形成されている。なお、溝8gは、凹部8pから離れるほど深さが増すように形成されている。
【0029】
ケース部2の上壁部2cに設けられた第2排ガス流路12の流入口12iには、第2排ガス流路12の一方の開口端が接続される。また、ケース部2の外壁部2aと底部2bと上壁部2cと内筒11bとによって区画された流体Bが収容される空間をコイル状に旋回する第2排ガス流路12のもう一方の開口端には、排ガス排出管4が接続される。
【0030】
以下、本実施形態の熱交換器1の作用について説明する。
【0031】
熱交換器1上部の排ガス導入管3から導入された排ガスA1は、第1排ガス流路11内に流入する。排ガスA1は、触媒収容室11aで成分の処理が行われて触媒収容室11aの下面から排出される。触媒収容室11aから排出された処理済みの排ガスA2は、触媒収容室11aと内筒11bとの間に形成された連結流路11cを通過する。連結流路11cを通過中の排ガスA2の熱は、内筒11bを介して流体Bに伝わる。
【0032】
連結流路11cを通過した排ガスA2は、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12をつなぐ空間13に排出された後、蓋部8の内面8sに設けられた複数の溝8gによって、第2排ガス流路12の流入口12iに案内される。流入口12iから第2排ガス流路12に流入した排ガスは、螺旋状の第2排ガス流路12を通過し、熱交換器1下部の排ガス排出管4から排ガスA3として排出される。第2排ガス流路12を通過中の排ガスの熱は、第2排ガス流路12を囲む流体Bに伝わる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、ケース部2内に設けられる排ガス流路10は、ケース部2の中心線CLに沿って設けられる第1排ガス流路11と、ケース部2内の流体Bが収容された空間で第1排ガス流路11の周囲を旋回するコイル状の第2排ガス流路12とが直列接続されている。このように、第2排ガス流路12がコイル状に形成されているため、十分な熱交換に必要な排ガス流路10の長さを保証でき、かつ、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12の接続は直列であるため、構造が簡単な熱交換器を提供できる。
【0034】
また、第2排ガス流路12は1本の流路によって構成されているため、第2排ガス流路12のための部品点数を削減できる。また、熱交換器1における第2排ガス流路12の他の箇所との接続は流入口と流出口の2箇所に行えば良いため、熱交換器1の製造工程を簡略化できる。
【0035】
また、第1排ガス流路11には、排ガスの成分を処理する触媒6を収容する触媒収容室11aが設けられ、触媒収容室11aの周りには、有底状の内筒11bによって排ガスの流路が形成されているため、コイル状に形成された第2排ガス流路12の内側のスペースを無駄なく利用できる。この結果、熱交換器1を小型化できる。
【0036】
また、内筒11bの底面11bdは、ケース部2の底部2bに形成された凸部2dにて一点で支持されているため、第1排ガス流路11から内筒11b及びケース部2の底部2bを介した熱交換器1外部への放熱量を低減できる。その結果、熱交換器1の熱回収効率を向上できる。
【0037】
また、蓋部8の内面8sには、第2排ガス流路12の流入口12iに指向する溝8gが形成されているため、流入口12iが1箇所であっても、蓋部8の内面8sに沿って流れる排ガスを第2排ガス流路12の流入口12iに効果的に誘導することができ、排ガスの流れを良くできる。
【0038】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態の熱交換器の組み立て状態における、
図1に示したX−X線に沿った垂直断面図である。第2実施形態の熱交換器1Aが第1実施形態の熱交換器1と異なる点は、内筒11dの構造である。この点以外は第1実施形態と同様であり、
図4において、
図2と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。
【0039】
図4に示すように、本実施形態の内筒11dの外周面には、凸部11beが形成されている。凸部11beは、内筒11dの外周面に沿って螺旋形に構成されている。また、中心線CLに沿った凸部11be間の間隔wは、第2排ガス流路12の内筒11dに面した凹凸形状に倣うように構成されている。すなわち、第2排ガス流路12が、凸部11be間に形成された凹部に嵌まり込んだ状態で設置されている。
【0040】
このように、本実施形態では、内筒11dの外周面に凸部11beが形成されているため、流体Bが内筒11bの外周面と接する面積を大きくでき、熱交換量を増すことができる。また、凸部11beが第2排ガス流路12の内筒11dに面した凹凸形状に倣うように構成され、内筒11dの外周面の凹部に第2排ガス流路12が配置されているため、熱交換器1を径方向に小型化できる。
【0041】
(第3実施形態)
第1実施形態又は第2実施形態では、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12の間に、蓋部8と対面する空間13が存在する。第1排ガス流路11から空間13に排出された排ガスA2は、蓋部8の内面8sに当たった後に第2排ガス流路12へと流れるため、熱交換器1の上面を構成する蓋部8の温度は、排ガスA2からの熱によって上昇してしまう。すなわち、排ガスの熱の一部が熱交換器1の蓋部8から放熱されてしまい、熱交換器1の熱回収効率が低下してしまう。第3実施形態では、熱交換器の熱回収効率を向上するため、主に、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12の接続形態を変更した。
【0042】
図5は、第3実施形態の熱交換器の分解斜視図である。
図6は、第3実施形態の熱交換器の組み立て状態における、
図5に示したY−Y線に沿った垂直断面図である。第3実施形態の熱交換器1Bが第1実施形態の熱交換器1と異なる点は、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12の接続形態、並びに、内筒11e及び蓋部18等の構造である。この点以外は第1実施形態と同様であり、
図5及び
図6において、
図1及び
図2と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。なお、本実施形態の内筒11eの外周面には、第2実施形態と同様の凸部11beが形成されていても良い。
【0043】
図6に示すように、本実施形態では、第1実施形態での第1排ガス流路11と第2排ガス流路12の間の空間13は設けられず、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12とは直接接続される。この接続形態を構成するため、本実施形態の内筒11eの外周面には流出口11oが設けられ、流出口11oには第2排ガス流路12の一方の開口端が接続される。したがって、第1排ガス流路11の連結流路11cを通過した排ガスA2は、第2排ガス流路12に直接流入する。
【0044】
なお、本実施形態の蓋部18は、第1実施形態のように内面に溝は形成されておらず、ケース部2に嵌合された状態では、連結流路11cと流体Bが貯留される空間との間を水密に封止する。
【0045】
このように、本実施形態では、第1排ガス流路11と第2排ガス流路12とは直接接続されるため、排ガスが熱交換器1Bに導入されて排出されるまでの経路上には、流体B以外の部材に伝熱する箇所がない。このため、熱交換器1Bの熱回収効率を向上できる。
【0046】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、第1〜第3実施形態では、第2排ガス流路12の形状を、第1排ガス流路11を中心線として同心的に囲むコイル状としたが、ケース部2が円筒形でない場合、第2排ガス流路12の形状は、コイル状に限らず、ケース部2の形状に応じた他の螺旋形状であっても良い。また、第2排ガス流路12の螺旋構造は、第1排ガス流路11を中心とした一重のコイル状であるが、第1排ガス流路11を中心に二重、三重に重なる螺旋形状であっても良い。
【0047】
また、排ガス流路10を形成する配管形状についても、図示の如く円形でなく、適宜凹凸を備える構造であってもよい。また、蓋部8の内面8sに形成された溝8gは、図示の形態に限るものでなく、例えば、蓋部8の構造などにより適宜変更できるものである。
【0048】
また、上記実施形態においては、内燃機関の排ガスを利用した熱交換器について説明したが、本発明における利用熱源は、内燃機関に限定されるものでなく外燃機関など種々の熱源を利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1,1A,1B 熱交換器
2 ケース部
2b 底部
2d 凸部
6 触媒
8,18 蓋部
10 排ガス流路
11 第1排ガス流路
11a 触媒収容室
11b,11d,11e 内筒
11c 連結流路
11bd 底面
11be 凸部
12 第2排ガス流路
CL 中心線