特許第6622883号(P6622883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6622883金属またはプラスチック加工工具用圧力センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622883
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】金属またはプラスチック加工工具用圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 7/00 20060101AFI20191209BHJP
   G01L 7/16 20060101ALI20191209BHJP
   B29C 45/77 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   G01L7/00 L
   G01L7/16
   B29C45/77
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-194102(P2018-194102)
(22)【出願日】2018年10月15日
(65)【公開番号】特開2019-74528(P2019-74528A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2018年12月20日
(31)【優先権主張番号】17196594.0
(32)【優先日】2017年10月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ターニャ ハット
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5631409(JP,B2)
【文献】 欧州特許第2445696(EP,B1)
【文献】 特公昭55−42693(JP,B2)
【文献】 特表2001−503528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
B29C45/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属またはプラスチック加工工具(15)用の圧力センサ(10)であり、
(a)前記工具(15)に接続可能なセンサハウジング(1)と、
(b)前記センサハウジング(1)内に配置された圧力変換器(7)と
を備える圧力センサ(10)であって、
(c)前記圧力センサは、第1の鋳造適合性マーク(4)を有する第1の前面(3)を有し、
(d)前記圧力センサ(10)はさらに、第2の鋳造適合性マーク(6)を有する第2の前面(5)を有し、
(e)前記第1の前面(3)および前記第2の前面(5)は、互いに対して調整可能である
ことを特徴とする、圧力センサ(10)。
【請求項2】
前記第1の前面(3)は、前記圧力変換器(7)に動作可能に接続される、請求項1に記載の圧力センサ(10)。
【請求項3】
前記第2の前面(5)は、前記第1の前面(3)を完全に取り囲む、請求項1または請求項2に記載の圧力センサ(10)。
【請求項4】
前記第1の前面(3)と前記第2の前面(5)とは、実質的に共通平面(11)に配置される、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の圧力センサ(10)。
【請求項5】
前記第2の鋳造適合性マーク(6)を有する前記第2の前面(5)は、ブッシング(2)上に配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の圧力センサ(10)。
【請求項6】
前記ブッシング(2)は、前記センサハウジング(1)と接触していることを特徴とする、請求項5に記載の圧力センサ(10)。
【請求項7】
前記ブッシング(2)は、前記センサハウジング(1)に固定接続されることを特徴とする、請求項6に記載の圧力センサ(10)。
【請求項8】
前記第1の前面(3)は、前記第1の前面(3)が前記センサハウジング(1)に対して回転可能であるように、調整要素(8)上に配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の圧力センサ(10)。
【請求項9】
前記ブッシング(2)は、前記センサハウジング(1)に固定接続されること、および前記ブッシング(2)は、前記調整要素(8)を取り囲むことを特徴とする、請求項8に記載の圧力センサ(10)。
【請求項10】
前記第1の前面(3)は、前記センサハウジング(1)に固定接続されることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の圧力センサ(10)。
【請求項11】
金属またはプラスチック加工工具(15)であって、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の圧力センサ(10)が配置される、工具(15)。
【請求項12】
前記工具(15)に取り付けられた前記センサハウジング(1)は、前記工具(15)に対して調整可能である、特に回転可能であることを特徴とする、請求項11に記載の工具(15)。
【請求項13】
金属またはプラスチック加工工具(15)を製造または後付けする方法であって、
(a)前記工具(15)内に凹部を形成する、または露出させるステップと、
(b)請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の圧力センサ(10)を前記工具(15)内の凹部に取り付けるステップと
を含む、前記方法。
【請求項14】
射出成形品の製造の枠組みの中における、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の圧力センサ(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項に記載の金属またはプラスチック加工工具用の圧力センサに関する。本発明はさらに、金属またはプラスチック加工工具に関する。さらに、本発明は、金属またはプラスチック加工工具を後付けするための方法に関する。さらに、本発明は、本発明の圧力センサの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサは既知であり、様々な形で使用されている。圧力センサの用途の1つの分野は、金属およびプラスチック加工に関する。つまり、圧力センサは、例えば、射出成形の間に工具によって囲まれたスペースの圧力を測定することができるように、金属およびプラスチック加工工具内で使用される。測定された圧力は、射出成形プロセスを制御および最適化するために使用される。したがって、このようにして製造された射出成形品の品質が改善される。例えば、スイス特許第573592(A1)号では、適切な圧力センサが知られている。これは、圧力ピストンのすぐ後ろに位置する円筒状の測定要素を備えた圧力センサである。測定要素は、受動的または能動的であり得、圧電式、ピエゾ抵抗式、誘導式または容量式測定方法に従って動作し得る。圧力センサは、工具の穿孔に挿入され、圧力センサのハウジング本体は、取付ボルトを用いて工具の接触面に長手方向に押圧される。工具のスペース内で測定される圧力は、圧力ピストンに影響を及ぼし、測定要素によって力として取得される。当該技術水準に含まれるこのような圧力センサを、以降、従来の圧力センサと呼ぶ。
【0003】
同様に、識別スタンプとも呼ばれる日付スタンプは、金属およびプラスチック加工において既知である。日付スタンプは、射出成形の間に射出成形品に日付印を刻印するために使用され得る。このようにして、射出成形品は、例えば、特定のバッチに対する結果を引き出せるようにすることによって追跡することができる。文書化が必要な部品や安全部品のような多くのプラスチック製品の場合、日付スタンプを取り付けることが必須である。例えば、このような日付スタンプは、国際公開第2010149417(A1)号に開示されている。外側ブッシングの前面には、12ヶ月の数字のようなマークを有する。ブッシングによって取り囲まれた旋回可能なアクチュエータはさらに、例えば、矢印や年のようなマークを有する。ブッシングに対してアクチュエータを回転させることにより、このようにして任意の日付スタンプが作成され得る。日付スタンプはさらに、通常、工具内に位置する穿孔に取り付けられる。当該技術水準に含まれるこのような日付スタンプを、以降、従来の日付スタンプと呼ぶ。
【0004】
金属およびプラスチック加工工具内の圧力センサおよび日付スタンプの取付スペースは、圧力センサまたは日付スタンプのいずれかを取り付けることができるが、両方を同時に取り付けることができないように制限されている場合が多い。そのため、圧力センサを取り付けることができない場合、射出成形品の品質を損なう可能性がある。日付スタンプを取り付けることができない場合は、文書化の必要な部品または安全部品を製造することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】スイス特許第573592(A1)号
【特許文献2】国際公開第2010149417(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、小さな工具または取付スペースの限られた工具であっても、可能な限り省スペースで、かつ有利な方法で、圧力測定と日付刻印の両方を可能にする適切な装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題の解決策は、請求項1の特徴によって定義される。本発明によれば、金属またはプラスチック加工工具用の圧力センサは、工具に接続可能なセンサハウジングを備える。さらに、圧力センサは、センサハウジング内に配置された圧力変換器を備える。さらに、圧力センサは、第1の鋳造適合性マークを有する第1の前面を有する。さらに、圧力センサは、第2の鋳造適合性マークを有する第2の前面を有する。第1の前面と第2の前面は、互いに対して調整可能である。
【0008】
本発明の圧力センサは、金属またはプラスチック加工工具内の1つの凹部または穿孔のみに取り付けることができるので、省スペースである。さらに、工具内への本発明の圧力センサの取り付けは、工具内に形成しなければならないのが1つの穿孔のみであるので、時間を節約し、費用を節約し、より簡単である。本発明の圧力センサは、これまでの従来の圧力センサまたは従来の日付スタンプのみを含む工具の後付けにも適している。すなわち、工具は、既に、本発明の圧力センサを挿入するのに使用可能な穿孔を有し、圧力測定と日付刻印の両方が可能である。さらに、単一の部品のみ、すなわち保管しなければならないのは本発明の圧力センサのみであり、2つの異なる部品、すなわち、従来の圧力センサと日付スタンプを保管しなくてもよくなるので、在庫保管が用意になる。
【0009】
本発明の解決策は、圧力センサが圧力センサ製造業者によって小型化されることおよび/または日付スタンプが日付スタンプ製造業者によって小型化されるということに基づくのではなく、圧力センサ内に日付スタンプを組み込むことに基づくので、全く新しいアプローチである。
【0010】
金属またはプラスチック加工工具は、具体的には、射出成形品を製造するために使用され得る鋳型である。
【0011】
センサハウジングは、少なくとも本発明の圧力センサの従来の部品を包囲する。本発明の圧力センサの従来の部品は、圧力測定に関係する。従来の圧力センサのセンサハウジングは、測定面を有する。本発明の圧力センサの動作中、従来の圧力センサのこの測定面は、測定される圧力に「直接」または「間接的に」さらされる。「直接」または「間接的に」測定される圧力は、測定面に影響を及ぼす。この場合、「直接」という用語は、従来の圧力センサの測定面が、圧力が測定される媒体と接触することを意味する。用語「間接的」は、従来の圧力センサの測定面と圧力が測定される媒体との間に圧力伝達要素が存在し、要素が媒体および従来の圧力センサの測定面の両方と接触するので、この「間接的な」ケースでは、従来の圧力センサの測定面が、圧力が測定される媒体と接触しないことを意味する。
【0012】
市販されている従来の圧力変換器は、圧電式、ピエゾ抵抗式、誘導式、容量式および/または電位差式の圧力変換器および/または抵抗線歪みによる圧力変換器のような圧力変換器として使用され得る。圧力変換器は、測定面に作用する圧力を力として取得する。
【0013】
従来の圧力センサ内に日付スタンプを組み込んで構成され得る本発明の圧力センサは、圧力が測定される媒体と接触する。この接触領域を前面と呼ぶ。前面は、異なる領域、すなわち、少なくとも第1の前面と第2の前面とに分割される。第1の前面と第2の前面とが一緒になって、本発明の圧力センサの前面全体を構成することが可能であり、つまり、このことは、前面全体が表現可能なマークに利用可能であるという利点になる。しかしながら、第1の前面と第2の前面とが一緒になって前面全体よりも小さい前面を構成することも可能である。これは、上述したように、センサハウジングの測定面が、圧力が測定される媒体と直接接触するケースであり、またこの測定面が第1の前面または第2の前面と同一でないケース、すなわち、測定面に鋳造適合性マークがないケースであり得る。さらに、1つまたは複数の追加の前面に1つまたは複数の追加の鋳造適合性マークを設け、1つまたは複数の追加の前面を互いに対して、および/または第1の前面ならびに/もしくは第2の前面に対して、調整可能にすることが可能である。
【0014】
第1の鋳造適合性マークおよび第2の鋳造適合性マークは、有利には、1つまたは複数の英数字および/または1つまたは複数の矢印のような1つまたは複数の標識を含む。鋳造適合性マークは、ベース領域に対する窪みおよび/または隆起によって形成され得る。本発明の圧力センサの前面を見ると、鋳造適合性マークは鏡像反転したように見えるかもじれない。
【0015】
第1の前面と第2の前面とが互いに対して調整可能であるため、第1の鋳造適合性マークと第2の鋳造適合性マークとは、互いに様々な異なる位置を取り得る。第2の鋳造適合性マークの位置に対する第1の鋳造適合性マークの各位置は、様々な位置に応じて他の鋳造適合性全体マークと異なる特定の鋳造適合性全体マークを形成する。このように、本発明の1つの同じ圧力センサは、第2の前面に対して第1の前面を調整することによって様々な異なる鋳造適合性全体マークを作成するのに使用され、マークは射出成形品上の異なる表示となり得る。異なる鋳造適合性全体マークを使用することによって作成され得る異なる表示の意味は、例えば、日付および/またはバッチ番号であり得る。
【0016】
第1の前面および第2の前面は、好ましくは特定の位置に適合するように互いに調整可能であり得る。これは、適切な方法で配置されたスナップイン要素によって達成され得る。
【0017】
調整は、手動で行われ得る。例えば、鋳造適合性マークの窪みに係合する調整工具を用いて、関係する前面に力を加えることにより、対応する前面を調整することができる。前面を調整するための力の方向は、前面に平行な平面内であり得る。調整はさらに、本発明の圧力センサの長手方向軸を中心としたトルクを加えることによって、前面が前記長手方向軸を中心として回転するように行われ得る。
【0018】
好適な実施形態では、第1の前面が圧力変換器に動作可能に接続される。
【0019】
この実施形態の利点は、第1の前面に加えられる圧力が、圧力変換器が配置されているセンサハウジングの測定面に伝達されるということである。したがって、圧力センサの動作中、第1の前面は、射出成形品に表示を刻印する機能を果たし、さらに第1の前面に第1の鋳造適合性マークが含まれることにより射出成形中に圧力を取得する機能を果たす。
【0020】
第1の前面が測定面を形成する場合、すなわち、第1の鋳造適合性マークがセンサハウジングの測定面に直接配置される場合、圧力センサの特に単純な設計が実現され得る。
【0021】
しかしながら、第1の前面と測定面との間に圧力伝達要素が存在することも可能である。この圧力伝達要素は、以下に説明するように、追加の特徴を有し得る。
【0022】
第1の前面が測定面を形成しない場合、第1の前面と測定面とは互いに前後に配置される、すなわち、圧力が測定される媒体から見ると、第1の前面が前に来て、測定面が後ろになる。
【0023】
非常に小さい測定面の場合には、第1の鋳造適合性マークまたは第2の鋳造適合性マークがそこに配置されていなくても、測定面は、圧力が測定される媒体と直接接触する、すなわち、第1の前面も第2の前面も、強制的に圧力変換器に動作可能に接続する必要がないという点が有利であり得る。
【0024】
別の好適な実施形態では、第1の前面は、第2の前面によって全体的に囲まれている。
【0025】
この実施形態は、例えば、第1の前面が、第2の前面に対する第1の前面の位置に応じて、第1の鋳造適合性マークが第2の鋳造適合性マークの特定の部分を指し示す標識または矢印を有する場合に、特に有利である。
【0026】
第1の前面は、円形であり得る。第2の前面は、第1の前面が配置される円形穴を有し得る。第1の前面は、第2の前面の穴を完全に埋めることができる。
【0027】
第1の前面はさらに、四角形、六角形または十二角形のような多角形の形状であってもよい。第2の前面は、第1の前面が第2の前面の穴を完全に埋めるように、対応する穴を有することができる。
【0028】
しかしながら、第2の前面が第1の前面を一部のみ取り囲むか、または第1の前面によって取り囲まれることは、当然可能である。
【0029】
別の好適な実施形態では、第1の前面および第2の前面は、実質的に共通平面内にある。
【0030】
このように、射出成形中の射出成形品への第1の鋳造適合性マークと第2の鋳造適合性マークとの刻印は、可能な限り同じ高さになる。射出成形部品が不必要に厚くなることは避けられる。
【0031】
しかしながら、第1の前面と第2の前面とが2つの平行であるが離間した平面に配置されることも可能である。この場合、第1の前面は突出し得、例えば、その周囲側壁には、第2の鋳造適合性マークの一部を指し示す突出部があり得、突出部は場合により第2の前面と重なる。
【0032】
第1の前面と第2の前面とが共通平面内に位置する場合、第1の前面と第2の前面との重なり部分がない場合がある。
【0033】
別の好適な実施形態では、第2の鋳造適合性マークを有する第2の前面は、ブッシング上に配置される。
【0034】
ブッシングは、特に管状であり、測定面の領域内のセンサハウジングの外径と等しいかそれより大きい内径を有する。結果として、ブッシングは、既存の従来の圧力センサの使用を可能にし、そのセンサハウジングは、測定面から第2の鋳造適合性マークを有するブッシングを適用するために使用され得る。この場合、ブッシングは、特定の領域においてセンサハウジング上に配置されていれば十分である。
【0035】
多角形の中空形材は、例えば、正方形、六角形または十二角形の中空形材をブッシングとして使用することができる。多角形の中空形材は、内部が中空の長手方向延長部を有し、その断面は、その長手方向軸に直交する内側および外側限界線として多角形を有する本体である。
【0036】
多角形の中空形材は、(丸い)ブッシングと比較すると、利点として、多角形の中空形材の内部または外側に位置し得る第1の鋳造適合性マークに対する第2の鋳造適合性マークの所定の位置決めが可能である。
【0037】
別の好適な実施形態では、ブッシングはセンサハウジングと接触している。
【0038】
この場合、ブッシングとセンサハウジングは同心状に配置される。このように、本発明の圧力センサの特に省スペース構造が実現され得る。
【0039】
あるいは、第2の鋳造適合性マークを有するブッシングとセンサハウジングとの間に一定の距離が存在してよい。この距離は、例えば、第1の鋳造適合性マークを有する追加のブッシング用のスペースとなる。このようなブッシングは、回転させることによって互いに対して容易に調整され得る。
【0040】
別の好適な実施形態では、ブッシングはセンサハウジングに固定接続される。
【0041】
この実施形態は、特に容易に製造され得る。
【0042】
ブッシングは、任意の既知の方法を適用して、例えば、ブッシングを強制的にねじ込むことによって、はんだ付けによって、溶接によって、および/または接着によって、センサハウジングに固定接続され得る。
【0043】
しかしながら、既に上述したように、ブッシングをセンサハウジングに固定接続することは必須ではない。ブッシングはさらに、移動することができる状態を維持したままセンサハウジングと接触してもよい、またはさらに一定の距離離間して配置されてもよい。
【0044】
別の好適な実施形態では、第1の前面がセンサハウジングに対して回転できるように、第1の前面が調整要素上に配置される。
【0045】
この場合、調整要素は、センサハウジングの測定面と接触している圧力伝達要素の形態で設計され得る。しかしながら、調整要素は、第2の前面を囲むブッシングまたは多角形の中空形材として設計されてもよい。
【0046】
別の好適な実施形態では、ブッシングはセンサハウジングに固定接続され、第1の前面はセンサハウジングに対して第1の前面が回転できるように調整要素上に配置される。
【0047】
このように、前面の互いの調整が特に容易に実施され得、既存の従来の圧力センサが改造せずに使用され得る。
【0048】
別の好適な実施形態では、ブッシングは、調整要素を取り囲む。
【0049】
この実施形態は、特に省スペースである。
【0050】
別の好適な実施形態では、第1の前面は、センサハウジングに固定接続される。
【0051】
この実施形態も、容易に製造され得る。
【0052】
本発明はさらに、金属またはプラスチック加工工具に関する。本発明の圧力センサは、工具上に配置される。
【0053】
このような工具は、工具内に従来の圧力センサおよび従来の日付スタンプを取り付けるのに工具内の取付スペースが不十分であっても、品質に優れ、例えば、日付スタンプを有する射出成形品を製造するために使用され得る。
【0054】
本発明の圧力センサは、凹部に、特に工具内に位置する穿孔に挿入され得る。本発明の圧力センサは、工具に固定的にまたは調整可能に接続され得る。圧力センサは、ポジティブロックおよび/または摩擦ロックの方法で工具に接続され得る。このように、圧力センサは、長手方向の止め具またはねじ込み式の接続によって工具に接続され得る。
【0055】
別の好適な実施形態では、工具に取り付けられたセンサハウジングは、工具に対して調整され得、特に回転され得る。
【0056】
その結果、工具の特に単純な構造が実現され得る。例えば、測定面が第1の前面を同時に形成するように、測定面には第1の鋳造適合性マークが設けられ得る。そのことにより、第1の前面は、工具に対して調整され得る、特に回転され得るので、第2の鋳造適合性マークを有する第2の前面は、第2の前面に対する第1の前面の調整機能を損なうことなく、工具に固定接続され得る。
【0057】
また、第2の鋳造適合性マークに相当するマークを工具上に直接配置することも考えられる。この場合、圧力センサ上の第2の鋳造適合性マークは絶対的に必要であるとは限らない。しかしながら、第2の鋳造適合性マークは、特に工具を変更しなくても容易に交換可能であるため、本発明の圧力センサ上に、例えば、ブッシング上に第2の鋳造適合性マークを配置するのがより有利である。
【0058】
その他の点に関しては、工具に直接配置される第2の鋳造適合性マークに相当するマークのケースは、この実施形態もまた本発明の理論に属するので、本発明の圧力センサの特殊なケースと見なされるであろう。
【0059】
本発明はさらに、金属またはプラスチック加工工具を製造または後付けする方法に関する。該方法は、工具内に凹部を作成するまたは露出させるステップと、工具内の凹部に本発明の圧力センサを取り付けるステップとを含む。
【0060】
凹部は、具体的には穿孔であり得る。
【0061】
該方法は、例えば、取付スペースの限られた工具であっても、同時に圧力測定と日付刻印とを可能にするという利点を提供する。例えば、工具の異なる場所に2つの凹部または穿孔用のスペースがない場合、取付スペースが制限される。
【0062】
さらに、既に日付スタンプを有するが、圧力測定はできない工具が使用されている。本発明の方法を用いれば、工具を再加工する必要もなく、工具から日付スタンプを取り外して、本発明の圧力センサと交換することができる。別の穿孔を製造するような再加工作業では、通常、工具を射出成形機から取り外す必要がある。このことは、本発明の方法を使用することによって回避され得、その結果、射出成形機の停止時間を最小限に抑えることができる。
【0063】
本発明はさらに、射出成形品を製造する際の本発明の圧力センサの使用に関する。
【0064】
結果として、射出成形品の品質を向上させることができる。
【0065】
以下の詳細な説明および請求項全体から、本発明のさらなる有利な実施形態および特徴の組み合わせが考えられる。
【0066】
実施形態を説明するために使用される図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明の圧力センサの斜視図である。
図2】本発明の圧力センサの長手方向断面図である。
図3】本発明の圧力センサの一実施形態の概略図である。
図4】本発明の圧力センサの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
原則として、図面では、同じ部品には同じ参照番号が付されている。
【0069】
図1は、本発明の圧力センサ10の斜視図を示す。圧力センサ10は、センサハウジング1とブッシング2とを有する。図1に示す圧力センサ10の左側は、測定される圧力の方向を指す側である。測定される圧力の方向を指す側は、第1の鋳造適合性マーク4が配置された第1の前面3を有する。第1の鋳造適合性マーク4は、矢印形状の溝と年度、具体的には、その最後の2桁とを有する。表現しやすくするために、第1の鋳造適合性マーク4の数字は鏡像反転されていない。実際の圧力センサ10では、第1の鋳造適合性マーク4が鏡像反転されるので、射出成形品(図示せず)上の表示は正しい向きで刻印される。ブッシング2上に配置された第2の前面5には、第2の鋳造適合性マーク6がある。この実施形態では、1から12までの数字(例えば、12ヶ月に対応する)が第2の鋳造適合性マーク6として適用される。第1の鋳造適合性マーク4と同様に、第2の鋳造適合性マーク6は、表現しやすくするために鏡像反転されて示されていない。実際の圧力センサ10では、第2の鋳造適合性マーク6は鏡像反転されるので、射出成形品(図示せず)上の表示は正しい向きで刻印される。第1の前面3および第2の前面5は、実質的に共通平面内に配置される。第1の前面3を第2の前面5に対して回転させることにより、第1の鋳造適合性マーク4と第2の鋳造適合性マーク6との位置を互いに対して変更することができる。第1の前面を回転させることにより、具体的には、矢印が現在の月に対応する第2の鋳造適合性マーク6の数字(例えば、12)を指すような方向に回転させることにより、第1の鋳造適合性マーク4の矢印を任意の所望の向きにすることができる。このように、製造月に対応する表示を、射出成形の間に射出成形品に刻印することができる。第1の前面3は、ドライバのような調整工具(図示せず)を用いて、第2の前面5に対して回転され得る。この場合、調整工具のくさび形先端部(図示せず)は、第1の鋳造適合性マーク4の矢状溝と係合して、調整、具体的には、回転運動による第1の前面3の第2の前面5に対する回転を生じさせることができるので、射出成形品上に所望の表示が作成され得る。当然、第1の前面3を圧力センサ10から取り外して、別の第1の前面3と交換し、取り外した第1の前面3の代わりに他方の第1の前面3を圧力センサ10に取り付けることも可能である。このようにして、年数として最後の2桁が1と7である第1の鋳造適合性マーク4を有する第1前面3は、年数として最後の2桁が1と8である異なる第1の鋳造適合性マーク4を有する別の第1の前面3と交換され得る。第1の前面3の取り外しおよび他の第1の前面3の取り付けは、適切な工具を用いて行われる。
【0070】
この実施形態では、市販の従来のKistler型6182C圧力センサを使用した。圧力センサの寸法、すなわち、そのセンサハウジング2、およびその他の技術的データから、このセンサタイプは、本発明の圧力センサを提供するのに特に適している。
【0071】
図2は、本発明の圧力センサ10の長手方向断面図を示す。センサハウジング1内には、圧力変換器7が配置される。圧力変換器7と圧力が測定される媒体との間には、調整要素8が存在する。したがって、第1の前面3は、圧力が測定される媒体の方向を指す調整要素8の表面領域に対応する。圧力変換器7と調整要素8とは、圧力が調整要素8から圧力変換器7に伝達されるように互いに接続される、すなわち調整要素8と圧力変換器7とは、動作可能に接続される。図2はさらに、調整要素8内の円周方向環状溝9をさらに示している。この環状溝9は、シール(図示せず)を支持する役目を果たし得る。第2の前面5上に配置された第2の鋳造適合性マーク6を有するブッシング2は、センサハウジング1の外側と接触している。ブッシング2とセンサハウジング1とは、同心状に配置される。第1の前面3および第2の前面5は、実質的に共通平面11内に配置される。調整要素8は、ブッシング2によって取り囲まれる、すなわち、完全に半径方向に取り囲まれる。本発明の圧力センサ10は、金属およびプラスチック加工工具15の1つの穿孔内に取り付けられ得る。本発明の圧力センサは、通常、工具15内に取り付けられ得、さらに圧力センサの工具15への取り付けは、Kistler型6182Cセンサの取り付けのように、従来の形態であり得る。
【0072】
図3および図4は、本発明の圧力センサ10の2つの代替形態の概略図である。ここで、図3は、調整要素8がブッシング2内に軸方向に移動可能に配置される実施形態を示す。第1の二重矢印12は、ブッシング2に対する調整要素8の移動を概略的に示すものである。実際には、これらの移動は非常に小さい。さらに、実際には、すなわち、本発明の圧力センサ10の通常動作の間は、図3の状態からずれて、第1の前面3および第2の前面5は実質的に共通平面内に配置され、調整要素8と圧力変換器7は機械的に接触しているので、測定される圧力は調整要素8から圧力変換器7に伝達される。ブッシング2は、センサハウジングに固定接続される。例えば、ブッシング2は、ねじ山14を用いてセンサハウジング1にねじ込まれてよい。調整要素8またはその少なくとも一部は、軸方向だけでなく半径方向にも移動可能にブッシング2内に配置されるので、センサハウジング1およびブッシング2の共通の長手方向軸を中心とした第1の前面3の回転が可能である。調整要素8をブッシング2に対する所定の位置で保持するために、調整要素8とセンサハウジング1との間にスナップインノーズ(図示せず)が取り付けられ得る。
【0073】
図4は、ブッシング2がセンサハウジング1に対して軸方向に移動可能である異なる実施形態の概略図である。この移動は、第2の二重矢印13で示されている。調整要素8は、圧力変換器7に固定接続される。そのため、ブッシング2も調整要素8に対して軸方向に移動可能である。実際には、これらの移動は非常に小さい。さらに、実際には、すなわち、本発明の圧力センサ10の通常動作の間は、図4の状態からずれて、第1の前面3と第2の前面5とは実質的に共通平面内に配置される。
【0074】
結論として、本発明の圧力センサの様々な異なる実施形態があると言える。本発明の圧力センサは、金属およびプラスチック加工工具15内に取り付けるのに工具15内に1つの凹部しか必要としないため、非常に省スペースであるが、圧力測定および日付刻印の2つの機能を提供する。
【0075】
以下では、調整要素8を有さない実施形態についてさらに説明する。この場合、第1の鋳造適合性マークは、測定面上に直接、すなわち測定される圧力の方向を指す圧力変換器の側に直接配置され得る。第1の前面を第2の前面に対して調整可能にするために、第2の前面は、センサハウジングを取り囲むブッシング上に、全面的に半径方向に、および軸方向の特定の領域に配置され得、ブッシングは、センサハウジングに対して回転可能である。第2の前面に対する第1の前面の所定の位置を有する実施形態では、ブッシングとセンサハウジングとの間に、すなわち、第2の前面の反対側のブッシングの端部またはブッシングの内側に、例えば、本明細書内で説明した実施形態には存在しない図3のねじ山14の高さに、スナップイン装置が設けられ得る。
【符号の説明】
【0076】
1 センサハウジング
2 ブッシング
3 第1の前面
4 第1の鋳造適合性マーク
5 第2の前面
6 第2の鋳造適合性マーク
7 圧力変換器
8 調整要素
9 環状溝
10 圧力センサ
11 共通平面
12 第1の二重矢印
13 第2の二重矢印
14 ねじ山
15 工具
図1
図2
図3
図4