特許第6622901号(P6622901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クラリアント・インターナシヨナル・リミテツドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622901
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】極性修飾籾殻ワックス
(51)【国際特許分類】
   C08F 289/00 20060101AFI20191209BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20191209BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   C08F289/00
   C08L101/00
   C08L91/06
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-500779(P2018-500779)
(86)(22)【出願日】2016年7月14日
(65)【公表番号】特表2018-520245(P2018-520245A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2016066726
(87)【国際公開番号】WO2017009408
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2018年2月15日
(31)【優先権主張番号】102015213187.4
(32)【優先日】2015年7月14日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016211452.2
(32)【優先日】2016年6月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ブレーマー・マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】カン・アラン・ハリル
(72)【発明者】
【氏名】ハウック・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ホーナー・ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ゲーレス・シュテファニー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー・ローゼマリー
(72)【発明者】
【氏名】フェル・ライナー
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−080602(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0170346(US,A1)
【文献】 特開平01−167387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 283/02−289/00
C08L 1/00−101/14
C08F 2/44
C08F 8/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
α,β−不飽和一価もしくは多価カルボン酸またはそれらの誘導体の群から選択される1つまたは複数のグラフトコモノマーを用いる非修飾籾殻ワックスのフリーラジカルグラフト化により得ることができる、極性修飾籾殻ワックスであって、2〜120mg KOH/gの酸価、20〜500mPa.sの90℃で測定される溶融粘度および40〜90℃の滴点を特徴とする極性修飾籾殻ワックス
【請求項2】
グラフトコモノマーとして無水マレイン酸が使用されることを特徴とする、請求項に記載の極性修飾籾殻ワックス。
【請求項3】
精製籾殻ワックスから出発する、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスを製造するための方法。
【請求項4】
加水分解、アルコーリシス、エステル化、アミド化、けん化、エトキシル化、無水物形成または脱カルボキシル化の群から選択される1つまたは複数の方法に従う誘導体化によって、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスから得ることができる、誘導体化生成物。
【請求項5】
けん化が金属酸化物、金属水酸化物または金属炭酸塩を用いて行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスのけん化生成物。
【請求項6】
水性分散体の製造のための、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/または請求項4に記載の誘導体化生成物の使用。
【請求項7】
溶媒をベースとする分散体の製造のための、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/または請求項4に記載の誘導体化生成物の使用。
【請求項8】
プラスチックにおける潤滑剤添加剤としての、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/または請求項4に記載の誘導体化生成物の使用。
【請求項9】
プラスチックの着色用顔料マスターバッチ調製物のための分散剤としての、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/または請求項4に記載の誘導体化生成物の使用。
【請求項10】
プラスチックおよび木材あるいはプラスチックおよびガラス繊維の複合材料における接着促進剤としての、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/または請求項4に記載の誘導体化生成物の使用。
【請求項11】
異なるプラスチックのブレンドにおける相容化剤としての、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/または請求項4に記載の誘導体化生成物の使用。
【請求項12】
ホットメルト接着剤における、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/または請求項4に記載の誘導体化生成物の使用。
【請求項13】
溶媒含有ペーストにおける、請求項1または2に記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/または請求項4に記載の誘導体化生成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α,β−不飽和一価もしくは多価カルボン酸またはそれらの誘導体での非修飾籾殻ワックスのフリーラジカルグラフト化により得ることができる、極性修飾籾殻ワックスに関する。
【背景技術】
【0002】
籾殻ワックスまたは米糠ワックスは、籾米の処理における副産物として得られる。それは米糠の抽出により得られ、天然に存在するエステルワックスの群に属する。ここにはさらに、同様に植物性成分から得ることが可能なカルナウバ−、サトウキビ−、カンデリラ−、ヒマワリ−、樹皮(Baumborken)−およびワラロウタイプ(Strohwachstyp)のワックスも数え入れられる。さらなる天然に存在するエステルワックスは化石系原料から単離され、ここで特に褐炭から得ることができるいわゆるモンタンワックスは、化学精製用の出発生成物として、技術的に重要な意味を有する。
【0003】
上記のワックスは主に長鎖カルボン酸と長鎖アルコールとのエステルからなり、さらに特に樹脂様成分および呈色成分を含む。エステル形態で存在する長鎖カルボン酸およびアルコールの鎖長は、天然のエステルワックスでは通常C22〜C34の範囲であり;鎖は偶数の炭素原子を有する。遊離カルボン酸の含油量は低い。それらの組成に基づいて、そのようなワックスの極性は比較的低い。従って、高い極性、特に高い酸官能性を必要とする用途のためには、それらは十分に適してはいない。これらの用途には、例えば、水性または他の極性媒体におけるワックス分散体の製造が含まれる。
【0004】
エステルワックスの極性は、原則的に、加水分解による開裂、酸もしくはアルカリ触媒による開裂によって高めることができ、これにより遊離カルボン酸および遊離アルコールの混合物が生じる。その場合、2つの成分はほぼ同一の量で存在し、すなわち混合物全体の酸官能性は制限される。エステルワックス分子の開裂およびそれに伴う分子量の半減はさらに、多くの生成物特性の変化(一部は不利な)をもたらす。例えば揮発性が上昇すると、例えばプラスチック添加剤としての使用の際には、高い処理温度では問題が生じる。
【0005】
極性のさらなる増加のために、加水分解による開裂後に、アルコール成分をカルボン酸に酸化することができる。これは長年モンタンワックスに関する産業上のプラクティスであり;ここで酸化剤としては通常硫酸クロムが使用される。天然の籾殻ワックスまたは米糠ワックスの酸化のための類似の方法がWO2014060081(特許文献1)に記載されている。ここでの欠点はまたもや、分子の大きさがほぼ半減することである。硫酸クロムの使用はさらに、技術的な手間および費用がかかり、そして職業衛生上の要求が多い。
【0006】
モンタンワックスの極性を増加させる別の方法が、DE OS 407245(特許文献2)から公知である。これによると、気流の吹き込みにより2から81mgKOH/gへの酸価の増加が達成される。空気により非特異的に進行する酸化は、分解およびそれによる揮発性の副生成物の形成をもたらす。
【0007】
日本特許出願JPH01167387(特許文献3)には、パラフィンワックスまたはカルナウバワックスを不飽和カルボン酸またはそれらの無水物を用いてフリーラジカルによりグラフト化できることが記載されている。得られた生成物は、パラフィンベースの印刷用インク調製物(「熱転写インク」)用の添加剤として使用され;それらは、調製物に含有される(カーボンブラック−)顔料粒子の分散を改善する。無水マレイン酸を用いたカルナウバワックスの反応ではグラフト収量が低く、グラフト生成物は暗く変色する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2014060081
【特許文献2】DE OS 407245
【特許文献3】JPH01167387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
籾米の処理の枠内において潜在的に大量に入手可能な籾殻ワックスを、例えば使用特性の最適化により、経済的により有用に利用可能にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、籾殻ワックスを、α,β−不飽和カルボン酸またはそれらの誘導体を用いるフリーラジカルグラフト化により、有効なグラフト収量で、幅広い使用可能性を有する、高い極性で比較的明るい色の生成物に転化できることが見出された。特に、本発明の極性修飾籾殻ワックスは、特定の応用技術特性に関して、特に、水性媒体における分散性に関して、利点をもたらすことが判明した。
【0011】
本発明の対象は、α,β−不飽和一価もしくは多価カルボン酸またはそれらの誘導体の群から選択されるグラフトコモノマーでの非修飾籾殻ワックスのフリーラジカルグラフト化により得ることができる極性修飾籾殻ワックスである。
【0012】
本発明の対象はさらに、本発明の極性修飾籾殻ワックスの化学的転化により製造された誘導体化生成物である。
【0013】
本発明のさらなる対象は、本発明の生成物の製造方法、およびそれらの使用である。
【0014】
籾殻ワックスは、籾米(イネ:oryza sativa)の処理において副産物として得られる。実った稲の脱穀において、穀粒に付着した外花穎(Deckspelzen)が除去され、他の不純物に加えてさらなる籾殻構成物質が精米機において分離された後に、米粒はまだ胚芽を含んでおり、いわゆる渋皮によって覆われている。磨いて胚芽および渋皮を取り除くと、研がれた米の他に米糠がもたらされる。これは脂質成分を含み、該成分は大部分が脂肪油からなり、より少ないパーセントがワックス状成分からなる。これらは、圧縮または溶媒抽出により糠から得られた油において見られ、そこから低温での難溶性に基づいて、例えば凝結によって単離される。
【0015】
籾殻ワックスは主に、長鎖飽和非分岐脂肪酸と長鎖非分岐脂肪アルコールとのエステルからなる。酸成分においては鎖長C22およびC24を有するベヘン酸およびリグノセリン酸、そしてアルコール成分においては鎖長C30、C32およびC34が主要素をなしている。
【0016】
本発明の意味において、非修飾籾殻ワックスは、任意の物理的分離手段により米糠から得られるロウ状の成分と理解される。ここで、米糠油から公知の方法、例えば凍結または抽出により単離されるワックス成分が好ましい。これらは、そのまま(「原ライスワックス」)、または機械的または一般的な物理的精製(例えば漂白土および/または活性炭での処理による)の後に、および/または呈色する不純物を過酸化水素での処理により破壊した後に(「精製ライスワックス」)使用することができる。このような精製方法は、エステルワックス構造を大幅には変えない。上記処理ステップはいずれも追加的に、公知の方法に従う分画化に付すことができ、得られた画分から選択されたものを本発明の方法においてさらに処理することもできる。利用できる分画化の方法としては、例えば、有機溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、アセトン、脂肪族の開いた鎖状のまたは脂環式の炭化水素、例えばヘキサンまたはシクロヘキサンまたはそれらの混合物を用いた抽出分離が挙げられる。
【0017】
本発明において適切な籾殻ワックスは、3〜20mg KOH/gの間のDIN EN ISO 2114に従って測定される酸価、50〜130mg KOH/gの間のDIN EN ISO 3681に従うけん化価、70〜87℃の間のDIN 51801−2に従う滴点、および5〜30mPa.sの間の90℃で回転粘度計を用いてDIN 53019に従って測定される溶融粘度を示す。
【0018】
グラフトコモノマーとしては、α,β−不飽和一価もしくは多価カルボン酸またはそれらの誘導体が適しており、後者は酸等価基、例えばエステル官能基、無水物官能基またはアミド官能基を含む。カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸が、カルボン酸の誘導体の例としては、それらのエステルまたはアミド、無水物、マレイン酸の半エステル、例えばモノアルキルマレエート、マレイン酸のジエステル、例えばジアルキルマレエート、またはマレイン酸のアミド、例えばマレイミドまたはN−アルキル置換マレイミドが挙げられる。これらの化合物の混合物もまた使用することができる。マレイン酸およびその誘導体が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。極性成分は、グラフト反応において、エステルワックスを基準として0.1〜20重量%、好ましくは1.0〜15重量%、特に好ましくは5.0〜10重量%の量で使用される。
【0019】
グラフト反応のフリーラジカル形成開始のために利用できる補助剤としては、反応条件下で十分な量で遊離基に解離する化合物(「フリーラジカル開始剤」)が挙げられる。特に有機過酸化物、例えばアルキル−、アリール−もしくはアラルキルペルオキシド、例えばジ−tert.−ブチルペルオキシドまたはジクミルペルオキシド、ペルオキシエステル、例えばtert.−ブチルペルアセテートまたはtert.−ブチルペルベンゾエート、ヒドロペルオキシド、例えばtert.−ブチルヒドロペルオキシドまたはクメンヒドロペルオキシドが適している。脂肪族アゾ化合物、例えばアゾ−ビス−(2−メチルプロピオニトリル)または2,2’−アゾ−ビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)も同様に適切である。ジアルキルペルオキシドが好ましく、ジ−tert.−ブチルペルオキシドが特に好ましい。上記フリーラジカル開始剤は、籾殻ワックスを基準として0.1〜5.0重量%の量で使用される。
【0020】
極性成分との籾殻ワックスの反応は、例えば、籾殻ワックスを溶融し、該溶融物にグラフトコモノマーおよびフリーラジカル開始剤を撹拌下で添加するという方法で行うことができる。反応温度は、籾殻ワックスの滴点より高く、好ましくは130〜180℃の間である。計量添加の終了後 −任意選択的に追加的量の過酸化物を添加した後− に、温度を変えてまたは温度を変えないで後反応を続けることができる。反応の間に生成した揮発性部分および過剰な結合しなかったグラフトコモノマーを、例えば留去(任意選択的に真空における)により、不活性ガスを用いたストリッピングにより、または適切な溶媒を用いた洗浄により、またはこれらの処理のうちのいくつかの組み合わせにより、分離する。
【0021】
グラフト反応の効率のための尺度としては、転化した使用グラフトモノマーの割合を表す、いわゆるグラフト収量が使用される。α,β−不飽和カルボン酸またはそれらの無水物を用いてグラフト反応を実施した場合、グラフト収量のための指標としては、グラフトコモノマーの相対的な使用量を基準とした出発物質と最終生成物との間の酸価の差を挙げることができる。
【0022】
極性修飾籾殻ワックスは、2〜120mgKOH/g、好ましくは20〜100mgKOH/g、特に好ましくは30〜80mgKOH/gの、DIN EN ISO 2114に従って測定される酸価を示す。
【0023】
90℃でDIN 53019に従って回転粘度計を用いて測定される溶融粘度は、20〜500mPa.sの間、好ましくは35〜350mPa.sの間、特に好ましくは40〜300mPa.sの間である。
【0024】
DIN 51801−2に従って測定される滴点は、40〜90℃の間、好ましくは50〜90℃の間、特に好ましくは60〜85℃の間である。
【0025】
グラフト反応を通して導入された酸基または酸等価基(saeureaequivalenten Gruppen)は、ワックス原料に元々存在するエステル基と同様に、後続の反応において任意選択的にさらに誘導体化生成物に転化することもできる。そのような誘導体化の例としては、エステル化反応、アミド化反応、けん化反応、エトキシル化反応、脱カルボキシル化反応またはさらに無水物形成が挙げられる。特に籾殻ワックスを不飽和無水物でグラフト化する場合には、ワックス分子に存在する無水物環を加水分解もしくはけん化により、またはアルコールを用いる反応により開環することができ、それによりカルボン酸、セッケンまたはエステルもしくは半エステルを得ることができる。
【0026】
好ましい誘導体化生成物は、金属セッケンである。それらの製造は、基本的に、極性修飾籾殻ワックスを、ワックスに存在する酸官能基または酸等価官能基を部分的にまたは完全にカルボキシレート官能基に転化する金属化合物と接触させる方法で行われる。使用される金属化合物には、好ましくは周期系のIA、IIA、IIIA、IB、IIBおよびVIIIB族の金属、特に好ましくはアルカリ金属およびアルカリ土類金属が含まれる。利用できる金属化合物としては、一般に、酸官能基または酸等価官能基を金属カルボキシレートに転化できるもの、例えば水酸化物または酸化物が考えられる。塩の特性を有する金属化合物、特に揮発性の酸の塩、例えば炭酸塩も使用することができる。しかしながら、水酸化物および/または酸化物が好ましい。例としては、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、ならびに酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムが挙げられる。好ましい製造方法では、金属化合物の加熱した水溶液または水性分散体を仕込み、極性修飾籾殻ワックスを任意選択的に撹拌下で添加する。
【0027】
使用される金属化合物と使用される極性修飾籾殻ワックスとの量比は、少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも20%のけん化度が達成されるように選択される。けん化度は、カルボキシレートに転化した元々存在する酸基または酸等価基の化学量論的割合(%)を示す。
【0028】
極性修飾エステルワックスおよびその誘導体化生成物に関しては、多数の使用可能性がもたらされる。本発明の生成物の水系または溶媒ベースの分散体は、自動車−、靴−、家具−および床ケア剤における処方成分として、および工業用分散体、例えば表面塗装および船舶塗装用、繊維加工用または柑橘果実コーティング用の工業用分散体のために、使用することができる。水および極性溶媒において改善された分散性が、公知のワックスと比較して有利であることがわかる。分散体の塗布の際に表面上に得られるコーティングは、高い光沢度および高められた滑り摩擦係数を示す。それにより、それらは、光沢および滑り抵抗を増加させるために、例えばケア剤における処方成分として適している。さらに、上記生成物は、ホットメルト接着剤における成分として、プラスチックの着色用顔料マスターバッチ調製物のための分散剤として、添加剤として、例えばプラスチック加工の際の潤滑剤添加剤として、複合材料における、例えばプラスチックおよび木材あるいはプラスチックおよびガラス繊維の複合材料における接着促進剤として、異なるプラスチックのブレンドにおける相容化剤として、または飲料容器および食品容器の内部コーティングにおける接着促進剤として、使用することができる。
【実施例】
【0029】
例:
以下の例は本発明をより詳細に説明するものであるが、これらは具体的に記載された実施形態に発明を限定するものではない。
【0030】
例1〜11
無水マレイン酸を用いたエステルワックスの修飾
表1に挙げたエステルワックス原料500gを、撹拌ユニット、内部温度計、計量添加デバイスおよび蒸留ブリッジ(Destillationsbruecke)を備えたガラス製装置窒素空間に仕込み、溶融させた。該溶融物に、150℃の温度で記載された量の無水マレイン酸を3時間以内で計量添加した。同時に、滴下漏斗から7.5gのジ−tert.−ブチルペルオキシドを滴加した。添加を行った後にさらに1時間150℃で撹拌し、引き続き減圧(20mbar)を適用した後に、揮発性の化合物と未転化無水マレイン酸を留去した。
【0031】
【表1】
表1は、種々のエステルワックスおよびそれらのマレイン化グラフト生成物の特有値を示す。酸価およびけん化価は、無水マレイン酸の使用量とともに増加する。本発明に従う例(籾殻ワックス)の場合のグラフト収量は、本発明に従わない比較例と比較して明らかに高い。(ここで、グラフト収量に関する指標としては、使用した無水マレイン酸1重量%あたりの酸価の増加が使用されている。)さらに、ガードナー色数として測定される生成物の色は、より明るい。
【0032】
例12、13
無水マレイン酸で修飾された精製籾殻ワックスの、水酸化カルシウムでの加水分解およびけん化。
【0033】
例12:
2Lビーカーにおいて、100gの粉末化された、無水マレイン酸で修飾された精製籾殻ワックス(例1から)を、90℃で、510ml蒸留水における19gの水酸化カルシウムの加熱された分散体に、混合物の温度が85℃未満に下がらないようにちりばめて混合した。ろ過および80℃での乾燥の後に、32mgKOH/gの酸価および7.8重量%のカルシウム含有量を有する黄色粉末として生成物が得られた。
【0034】
例13:
7L金属容器において、700gの粉末化された、無水マレイン酸で修飾された精製籾殻ワックス(例1から)を、90℃で、5.0L蒸留水における266gの水酸化カルシウムの加熱された分散体に、混合物の温度が85℃未満に下がらないようにちりばめて混合した。混合物を撹拌下で、室温に冷却した。ろ過および80℃での乾燥の後に、2.1mgKOH/gの酸価および13.0重量%のカルシウム含有量を有する黄色粉末として生成物が得られた。
【0035】
例14〜18
水性のアニオン性分散体の製造
表2に挙げた成分を120℃で撹拌しながら一緒に溶融し、沸騰した脱イオン水を添加し、その後2分間撹拌し、得られた分散体を室温に急速に冷却する(水浴)ことにより、分散を行った。
【0036】
分散体のオレイン酸含有量は、使用したワックスの酸価に合っていた。
【0037】
分散体の固体含有量および透明度を決定した。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
表3に挙げた成分の混合により、自己光沢性分散体を製造した。24μmスキージーを用いて、分散体を黒い紙(試験用カード、Simex GmbH)上に塗布した。乾燥後、滑り摩擦係数および光沢を決定した。本発明の生成物の滑り摩擦係数(および同時に滑り抵抗)は、非修飾籾殻ワックスよりも明らかに高く;これらはグラフトされた無水マレイン酸含有量の割合とともに増加する。修飾された籾殻ワックスの分散体は、非修飾の出発材料と比較して、改善された光沢を示す。
【0040】
例23、24
本発明のワックスの水性非イオン性分散体の製造
表4に挙げた成分を120℃で撹拌しながら一緒に溶融し、沸騰した脱イオン水を添加し、その後2分間撹拌し、得られた分散体を室温に急速に冷却する(水浴)ことにより、分散を行った。
【0041】
24μmスキージーを用いて、分散体を黒い紙(試験用カード、Simex GmbH)上に塗布した。乾燥後、光沢および滑り摩擦係数を決定した。
【0042】
【表4】
表4に挙げた処方に従う精製籾殻ワックスの非イオン性分散はできなかった。極性修飾バリアントは良好に分散できた。
【0043】
例25〜31
ホットメルト接着剤の製造
表5に挙げたワックスを使用して、ホットメルト接着剤を製造した。このために、15.0gのEngage 8407、15.0gのLicocene PP 1502、30.0gのSukorez SU−90、30.0gのLicowax PE 520および10.0gの各々の試験用ワックスの混合物を溶融させ、170℃で1時間撹拌した。
【0044】
例25は、段ボール包装の接着において広く適用される標準的な処方を記載する。
【0045】
例26〜28は、試験用ワックスとして本発明のワックスを使用した例を示す。比較例29〜31のために、本発明には従わない修飾エステルワックスを使用した。
【0046】
特定評価のために、引張接着強さ、オープンタイムおよび硬化時間を決定した。
【0047】
【表5】
本発明のホットメルト接着剤は、より高い引張せん断接着強さを示し、これは接着の安定性を改善する。より大きいオープンタイムは、特に手動での接着の際にまたは短時間の機械停止の際に、接着すべき部分を接合できる前にホットメルト接着剤が硬化しないという利点を有する。これは、同時に硬化時間が短く保持されると、特に有利である。
【0048】
使用した原料:
「精製籾殻ワックス」は、以下の特性を有するShengtao社の漂白され精製された籾殻ワックスである:
酸価: 8.1mgKOH/g
けん化価: 88.2mgKOH/g
ヒドロキシル価: 15.5mgKOH/g
滴点: 78.2℃
溶融粘度(100℃): 17.3mPa.s
【0049】
「Licowax E」は、Clariant Produkte(Deutschland)GmbHの、以下の特性を有する、硫酸クロムで酸化され、エチレングリコールでエステル化されたモンタンワックスである:
酸価: 18.0mgKOH/g
けん化価: 148.8mgKOH/g
滴点: 82.1℃
溶融粘度(90℃): 34.0mPa.s
【0050】
「カルナウバT1」は、以下の特性を有する、カラナウバヤシの葉から得られるTer Hell & Co.GmbHの天然エステルワックス(「Carnaubawax T1 primeyellow」)である:
酸価: 7.0mgKOH/g
けん化価: 97.1mgKOH/g
滴点: 82.7℃
溶融粘度(90℃): 35.9mPa.s
【0051】
「カルナウバT3」は、以下の特性を有する、カラナウバヤシの葉から得られるTer Hell & Co.GmbHの天然エステルワックス(「Carnaubawax T3 light fatty grey」)である:
酸価: 11.9mgKOH/g
けん化価: 93.5mgKOH/g
滴点: 83.6℃
溶融粘度(90℃): 51.0mPa.s
【0052】
「ヒマワリワックス」は、以下の特性を有する、ヒマワリ油から得られるLohia Brothers Private Ltd.の精製ワックス(Sun flower wax Grade H A 1)である:
酸価: 2.8mgKOH/g
けん化価: 102.0mgKOH/g
滴点: 79.3℃
溶融粘度(90℃): 14.0mPa.s
【0053】
「原サトウキビワックス」は、サトウキビのバガスから得られる、以下の特性を有するDeurex AG社のワックス(「Deurex X 50」)である:
酸価: 19.7mgKOH/g
けん化価: 119.0mgKOH/g
滴点: 78.8℃
溶融粘度(90℃) 47.2mPa.s
【0054】
「脱樹脂サトウキビワックス」は、ジクロロメタンを用いた「原サトウキビワックス」Deurex X 50の抽出により、以下のように製造した。200gのDeurex X50および400gのエタノールを仕込み、1時間加熱還流した。引き続き、混合物を50℃に冷却し、撹拌機を止めた。エタノール相を、凝固したワックスからろ過により分離した。ワックスを100gエタノールを用いて45℃で洗浄した。エタノール相から11.0gの褐色の残渣(「樹脂」)を得た。上記ワックスを減圧下で乾燥し、以下の特性を有する183.5gの淡褐色のワックス(「脱樹脂サトウキビワックス」)を得た:
酸価: 18.3mgKOH/g
けん化価: 117.0mgKOH/g
滴点: 83.7℃
溶融粘度(90℃) 97.3mPa.s
【0055】
Licomer M 55は、Michelman,Inc.の水性スチレン−アクリレート−コポリマー−分散体である。
【0056】
Syncera LP 1476は、Paramelt B.V.のLDPEおよびパラフィンワックスの水性エマルションである。
【0057】
Genapol X−080は、Clariant Produkte(Deutschland) GmbHの脂肪アルコールエトキシレートである。
【0058】
Silco FLW L−137は、Silcona GmbH & Co.KGのレべリング添加剤(Verlaufsadditiv)である。
【0059】
Saniprot 94−08は、Clariant Produkte(Deutschland)GmbHの抗菌添加剤である。
【0060】
Wax Emulsifier 4106は、Clariant Produkte(Deutschland)GmbHの脂肪アルコールエトキシレート混合物である。
【0061】
Engage 8407は、Dow Chemical社のエチレン/1−オクテン−コポリマーである。
【0062】
Licocene PP 1502は、以下の特性を有する、Clariant Produkte(Deutschland)GmbH社のメタロセン−ポリプロピレンワックスである:
軟化点: 86.0℃
溶融粘度(170℃): 1760mPa.s
【0063】
Sukorez SU−90は、Kolon Hydrocarbon Industries社の水素化ジシクロペンタジエン樹脂である。
【0064】
Licowax PE 520は、以下の特性を有するClariant Produkte(Deutschland)GmbH社のポリエチレンワックスである:
滴点: 119.2℃
溶融粘度(140℃): 562mPa.s
【0065】
Semi hard micro 75は、以下の特性を有するParamelt B.V.のパラフィンワックスである:
滴点: 75.0℃
【0066】
化学的および物理的特性の決定:
酸価:
酸価はDIN EN ISO 2114に従って決定される。
【0067】
けん化価:
けん化価はDIN EN ISO 3681に従って決定される。
【0068】
滴点:
滴点はDIN 51801/2に従って決定される。
【0069】
軟化点:
軟化点はASTM D36に従って決定される。
【0070】
溶融粘度:
溶融粘度はDIN 53019に従って、回転粘度計を用いて以下のように決定される:
試験すべきワックス溶融物は、共軸二重円筒の間の環状の隙間にあり、共軸二重円筒の一方は一定の回転数で回転し(ロータ)、他方は止まっている(ステータ)。決定されるのは、−所定の回転数における− 環状の隙間における液体の摩擦抵抗に打ち勝つために必要なトルクである。系の幾何学的寸法ならびに決定したトルクの値および回転数の値から、液体に存在するせん断応力およびせん断速度(Geschwindigkeitsgefaelle)および従って粘度を算定することができる。
【0071】
ガードナー色数:
ガードナー色数はISO 4630−2に従って、以下のように決定する:
試験すべきワックスを、試験管(11mm直径、Dr.Lange,ドイツ)中において、アルミニウムブロック中で加熱する。透明な溶融物が生じた直後に、Lico(登録商標)500比色計(Dr.Lange,ドイツ)を用いてガードナー色数を決定する。
【0072】
カルシウム含有量:
カルシウム含有量の決定はDGF−M−IV 4(63)(“Deutsche Einheitsmethoden zur Untersuchung von Fetten,Fettprodukten,Tensiden und verwandten Stoffen”[German Uniform Methods for Analysis of Fats,Fat Products,Surfactants and Related Substances])に従って行う。
150mlビーカーにおいて、60mlのキシレン/エタノール混合物(10:1[v/v])に2.0gのワックス試料を溶解する。該溶液を、0.5Mエタノール性HCl溶液を用いて、最も急な勾配まで滴定する(DL53 Titrator,Mettler,pH電極DGi113−SC).カルシウム含有量の計算は以下の式に従って行う:
Ca%[m/m]=(V[mL] x c[mol/l] x M[g/mol] x T x 100%)/W[g] x 1000ml x N
[式中、
Vは、HCl溶液の消費量
cは、HCl溶液の濃度
Mは、カルシウムの分子量
Tは、HCl溶液のタイター
Wは、ワックスサンプルの重量
Nは、(カルシウムイオンと比較したHClの規定度)
を示す]。
【0073】
固体含有量:
固体含有量は、ハロゲン水分計(HB43、Mettler Toledo)を用いて決定する。
【0074】
透明度:
ワックス分散体を丸型キュベット(直径11mm)に満たし、比色計(Lico 500 Colorimeter、Dr.Lange社)を用いて20℃で透明度を決定する。
【0075】
光沢:
反射率計(Byk Gardnerのmicro−TRI−gloss)を用いて、60°の測定角でDIN EN ISO 2813に従って決定する。測定結果は、単位GU(「グロス単位」(Gloss Unit))で示す。
【0076】
滑り摩擦係数:
滑り摩擦係数は、Thwing−Albert Instruments Company社のFriction−Peel Tester(Model 225−1)を用いてASTM法D2534に従って決定する。そのために、試験すべきワックス分散体でコーティングされた紙を分析機に載せる。引き続き、革で覆われた金属スレッド(349g)を、コーティングされた表面上に載せる。スレッドをその後、一定の速度(15cm/分)でコーティングされた紙の表面に沿って引っ張る。スレッドを引っ張るために必要な力を測定する。決定するのは動的滑り摩擦係数なので、スレッドを動かすために必要な最初の力は無視することができる。
【0077】
引張せん断接着強さ:
引張せん断接着強さは、DIN EN 1465に従って以下のように決定される:
試験片(Rokoll GmbH社、100x20x0.5mm、蒸気処理ブナ材試験片、かんな仕上げ表面)上に、溶かしたホットメルト接着剤を170℃でへらを用いて平らに塗布し、第2の同様の構造の試験片を20mmの重複した長さにわたってつなぎ合わせる。冷却後に、試料を7日間室温で保管する。引き続き、引張せん断接着強さを決定する(Zwick/Roell社の引張試験装置Z010;引張速度:50mm/分;クランプ留め長さ(Einspannlaenge):115 mm;測定長:50mm)。
【0078】
オープンタイム:
オープンタイムの決定は、170℃で、コーティングされていないボール紙表面上で、塗布された溶融フィルム500μmに基づいて行う。そのために、1秒ごとに紙片(1×5cm)を冷却した溶融フィルム上に押し付ける。溶融接着剤が完全に硬化した後に、紙片を引き離す。接着部分で繊維が完全にはがれない場合、オープンタイムの終了が達成されている。
【0079】
硬化時間:
硬化時間の決定のために、ホットメルト接着剤の軌道を紙片(1.5x12cm)上に塗布し、第2の紙片を重なり合うように押し付ける。所定の時間後に、上記片を引き離す。完全に繊維が裂けることなく、紙を互いにはがすことができる場合には、硬化時間にはまだ達しておらず、引き離せるまで時間を1秒ずつ増加させて新たな試験を実施する。完全に繊維が裂けると、硬化時間が達成されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.α,β−不飽和一価もしくは多価カルボン酸またはそれらの誘導体の群から選択される1つまたは複数のグラフトコモノマーを用いる非修飾籾殻ワックスのフリーラジカルグラフト化により得ることができる、極性修飾籾殻ワックス。
2.2〜120mg KOH/gの酸価、20〜500mPa.sの90℃で測定される溶融粘度および40〜90℃の滴点を特徴とする、上記1に記載の極性修飾籾殻ワックス。
3.グラフトコモノマーとして無水マレイン酸が使用されることを特徴とする、上記1または2に記載の極性修飾籾殻ワックス。
4.精製籾殻ワックスから出発する、上記1〜3のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスを製造するための方法。
5.加水分解、アルコーリシス、エステル化、アミド化、けん化、エトキシル化、無水物形成または脱カルボキシル化の群から選択される1つまたは複数の方法に従う誘導体化によって、上記1〜4のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスから得ることができる、誘導体化生成物。
6.けん化が金属酸化物、金属水酸化物または金属炭酸塩を用いて行われることを特徴とする、上記1〜4のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスのけん化生成物。
7.水性分散体の製造のための、上記1〜6のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/またはそれらの誘導体化生成物の使用。
8.溶媒をベースとする分散体の製造のための、上記1〜6のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/またはそれらの誘導体化生成物の使用。
9.プラスチックにおける潤滑剤添加剤としての、上記1〜6のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/またはそれらの誘導体化生成物の使用。
10.プラスチックの着色用顔料マスターバッチ調製物のための分散剤としての、上記1〜6のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/またはそれらの誘導体化生成物の使用。
11.プラスチックおよび木材あるいはプラスチックおよびガラス繊維の複合材料における接着促進剤としての、上記1〜6のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/またはそれらの誘導体化生成物の使用。
12.異なるプラスチックのブレンドにおける相容化剤としての、上記1〜6のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/またはそれらの誘導体化生成物の使用。
13.ホットメルト接着剤における、上記1〜6のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/またはそれらの誘導体化生成物の使用。
14.溶媒含有ペーストにおける、上記1〜6のいずれか1つに記載の極性修飾籾殻ワックスおよび/またはそれらの誘導体化生成物の使用。