(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622906
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】クランクケースの上部表面を保護するマスクを洗浄するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B08B 1/04 20060101AFI20191209BHJP
F02B 77/04 20060101ALI20191209BHJP
B05B 3/02 20060101ALI20191209BHJP
C23C 4/02 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
B08B1/04
F02B77/04
B05B3/02 B
C23C4/02
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-512361(P2018-512361)
(86)(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公表番号】特表2018-535082(P2018-535082A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】FR2016052187
(87)【国際公開番号】WO2017042459
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2018年4月13日
(31)【優先権主張番号】1558440
(32)【優先日】2015年9月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シェロンノー, ジェラード
【審査官】
前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−124438(JP,A)
【文献】
特開平05−138361(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02635281(FR,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01772671(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00 − 1/04
B08B 5/00 − 13/00
C23C 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのシリンダバレルの熱噴霧中にクランクケースの上半分の上部面を保護する円筒形のマスク(1)を、洗浄するための方法であって、回転装置を使用して、支え平面(1a)であって、それを介して前記マスク(1)が前記クランクケースの上半分の前記上部面に置かれる、支え平面(1a)と、前記クランクケースの上半分に当接して配置される前記円筒形のマスクの内側エッジと、前記マスク(1)の主要部の前記マスク(1)の前記内側エッジ付近に形成された円形の溝とが、全て同時に洗浄されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
エンジンのシリンダバレルの熱噴霧中にクランクケースの上半分の上部面を保護するマスクを、洗浄するための回転洗浄装置であって、支え平面(1a)であって、それを介して前記マスク(1)が前記クランクケースの上半分の前記上部面に配置される、支え平面(1a)を洗浄するため、前記クランクケースの上半分に当接して配置される円筒形の前記マスクの内側エッジを洗浄するため、及び、前記マスクの主要部の前記マスクの前記内側エッジ付近に形成された円形の溝を洗浄するための、それぞれの専用ツール(3、6、4)のためのハウジングを有する、ツールホルダ(8)で構成されることを特徴とする、回転洗浄装置。
【請求項3】
エンジンのシリンダバレルの熱噴霧中にクランクケースの上半分の上部面を保護するマスクを、洗浄するための回転洗浄装置であって、支え平面(1a)であって、それを介して前記マスク(1)が前記クランクケースの上半分の前記上部面に配置される、支え平面(1a)を洗浄するため、前記クランクケースの上半分に当接して配置される円筒形の前記マスクの内側エッジを洗浄するため、及び、前記マスクの主要部の前記マスクの前記内側エッジ付近に形成された円形の溝を洗浄するための、それぞれの専用ツール(3、6、4)のためのハウジングを有する、ツール(3、4、6)を支持する取り外し可能なヘッド部(2)を受容する、ツールホルダ(8)で構成されることを特徴とする、回転洗浄装置。
【請求項4】
前記ツール(3、4、6)が、前記ツールホルダ(8)又は取り外し可能なヘッド部(2)における前記ツールのハウジング内に直接ねじ留めされることを特徴とする、請求項2又は3に記載の回転洗浄装置。
【請求項5】
前記ツール(3、4、6)が、前記ツールホルダ(8)又は取り外し可能なヘッド部(2)のハウジング内にねじ留めされたカートリッジ(3a、4a、6a)内に装着されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の回転洗浄装置。
【請求項6】
前記ツール(3、4、6)が切削端であることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の回転洗浄装置。
【請求項7】
前記ツールがブラシであることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の回転洗浄装置。
【請求項8】
前記ツール(3、4、6)のうちのいくつかが切削端であり、いくつかはブラシであることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の回転洗浄装置。
【請求項9】
2つのブラシであって、1つ(3)が、支え平面(1a)であって、その上にマスクが置かれる支え平面(1a)を洗浄するためのものであり、単一のブラシ(4、6)が、前記マスクの溝及び内側エッジを洗浄するためのものである、2つのブラシを備えることを特徴とする、請求項7又は8に記載の回転洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のクランクケースの上半分を準備することに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、シリンダバレルの内表面に粒子を熱噴霧する工程の終わりに、エンジンのクランクケースの上半分の上部面を保護するマスクを洗浄することに関する。
【0003】
この発明の1つの主題は、エンジンのシリンダバレルの内側にコーティングを熱噴霧している時に使用されるクランクケースの上半分の上部面を保護するマスクを、洗浄するための方法である。
【0004】
この発明の別の主題は、エンジンのシリンダバレル内にコーティングを熱噴霧している時に使用されるクランクケースの上半分の上部面を保護する円筒形のマスクのための、回転洗浄装置である。
【0005】
エンジンのシリンダバレルの内表面の準備は、コーティングを付着させるというフェーズを経る。コーティングは一般的に、バレルの内側に熱噴霧される。この噴霧は、スプレーノズルによって、シリンダの内表面に向けて方向付けられる。しかし、それにより、他の方向に(すなわち、クランクケースの上半分の上部面に向けて)噴霧される粒子の不規則な散らばりが発生するが、このことは望ましくない。この噴霧のために、クランクケースの上半分の上部面に、通常円筒形の保護マスクを載置することが必要になる。
【0006】
保護マスクは、使用後に、それに噴霧された材料(残留しているスプレーしぶき)を除去するために洗浄される。マスクは次いで、再使用のために保管される。現時点において、マスクの洗浄は、高圧の(high−pressure:HP)スプレーしぶき除去によって実施される。しかし、HPスプレーしぶき除去の品質は一定でなく、そのサイクル時間は長い。なぜなら、大部分のマスクが手作業で再洗浄される必要があるからである。再洗浄の工程は、追加コストの原因となる。追加コストを低減するためには、マスクの寿命を延ばし、かつ、マスクを洗浄するのにかかる時間を短縮することが必要である。
【0007】
この分野の性能目標は、
・最適レベルのマスクの表面状態品質を得ること、
・マスクの寿命を延ばすこと、及び、
・マスクを洗浄するのにかかる時間を短縮すること、である。
【0008】
しかし、スプレーしぶきのマスクへの粘着性は、洗浄工程に、およそ50bar(5MPa)という非常に高い圧力が必要となるようなものである。かかる条件のもとでは、より低いコストで、高圧のスプレーしぶき除去技術を使用してマスクの洗浄を工業化する、現時点で既知の方法はない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、シリンダの上部面を保護するマスクのサイクル時間を短縮すると同時に、次のシリンダバレルの噴霧のために、マスクの清浄性を確保するためのものである。
【0010】
この目的を達成するために、本発明では、支え平面であって、それによってクランクケースの上半分の上部面にマスクが配置される、支え平面と、クランクケースの上半分に当接して配置される円筒形のマスクの内側エッジとを同時に洗浄する、回転装置を使用して洗浄を実行することが、提案されている。
【0011】
好ましくは、この装置は同時に、マスクの主要部のマスクの内側エッジ付近に形成された、円形の溝も洗浄する。
【0012】
この装置は、回転式に駆動されるツールホルダで構成されており、このツールホルダは、支え平面であって、それによってクランクケースの上半分の上部面にマスクが配置される、支え平面と、クランクケースの上半分に当接して配置される円筒形のマスクの内側エッジとを洗浄するそれぞれの専用ツール、及び、マスクの主要部のマスクの内側エッジ付近に形成された円形の溝を洗浄する専用ツールのための、ハウジングを有する。
【0013】
本発明は、添付図面を参照しつつ、後述の、本発明の非限定的な一実施形態の説明を読むことにより、更によく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1Aから1Dはそれぞれ、マスクの平面図、立面図、断面図、及び斜視図である。
【
図4】切削端(cutting tip)又はツールホルダブラシを有するツールのための取り外し可能なヘッド部の第1実施形態であって、切削端又はブラシのねじ留め付けを伴う、第1実施形態を示す。
【
図5】ブラシホルダ又は端部ホルダのカートリッジを伴う、取り外し可能なヘッド部の第2実施形態を示す。
【
図6】
図4及び
図5の取り外し可能なヘッド部であって、そのツールホルダに装着された、取り外し可能なヘッド部を示す。
【
図7】
図4及び
図5の取り外し可能なヘッド部であって、そのツールホルダに装着された、取り外し可能なヘッド部を示す。
【
図8】保護マスク上の作動位置20にある取り外し可能なヘッド部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1Aから
図1Dの保護マスクは、シリンダバレル開口の各々を覆うように、クランクケースの上半分の上部面に載置される。保護マスクの支え平面1aは、バレルの内表面に向けて高温で噴霧されるコーティング生成物がクランクケースの上半分の上部面に噴霧されることを防止するために、シリンダバレルの開口の周りに置かれる。
【0016】
本書で上述しているように、マスク1は、その下部面1aから残留しているスプレーしぶきを取り除くために、再使用されうる前に洗浄される必要がある。
図2の例及び
図3の拡大図を参照するに、マスクの下部面1aの洗浄されるべき複数のゾーンが、マスクの支え平面z1、マスクの溝z2、及びマスクの内側エッジz3に配置されている。
【0017】
図4のツールホルダのヘッド部2は、取り外し可能なヘッド部である。このヘッド部には、3つの異なる洗浄ツール3、4、6が配置される。これらの洗浄ツール3、4、6は、ネジ(図示せず)によってツールの中央部で留め付けられており、ツールのための留め付け穴7が視認できる。
−支え平面z1を洗浄するための第1ツール3、
−溝z2を洗浄するための第2ツール4、
−マスクの内側エッジz3を洗浄するための第3ツール6。
【0018】
取り外し可能なヘッド部2の3つのツール3、4、6は、ブラシ、切削端、又はそれ以外のものでありうる。ヘッド部2は、例えばねじ留めが容易になるように平坦化されたゾーン10aを有する、円筒形のシャンク10によって、(
図6又は
図7に示しているような)ツールホルダ8に固定される。
【0019】
図5の実施形態にも、
図4の3つのツール3、4、6を有する、同種の取り外し可能なツールホルダのヘッド部2を示している。しかし、
図5のツールは、ヘッド部2のハウジング内に直接ねじ留めされるのではなく、カートリッジ3a、4a、6aに装着され、カートリッジ3a、4a、6a自体が、ねじ7によってカートリッジの中央部で、ヘッド部2のハウジング内に固定される。
【0020】
図6のツールホルダ8は、回転駆動機に取り付けられるための、取り付け端部11を有する。ツールホルダ8に
図4の取り外し可能なヘッド部2が配置され、ツール3、4、6は、取り外し可能なヘッド部2のハウジング内に直接ねじ留めされる。
図7では、ツールホルダは、
図5のカートリッジ3a、4a、6aを有する取り外し可能なヘッド部2を受容している。
【0021】
最後に、
図8は、2つのブラシだけを有する、本発明の特定の実施形態を示している。これらのブラシは、マスクの支え平面1aを洗浄するための第1ブラシ3、及び、マスクの溝と内側エッジを洗浄するための、単一の第2ブラシ4、6である。
【0022】
図に示している例とは異なり、ツールホルダ8は取り外し可能なヘッド部を有さないことがある。この場合、ツール3、4、6、又はツールの装着カートリッジ3a、4a、6aは、ツールホルダ8に直接ねじ留めされる。
【0023】
要するに、エンジンのシリンダバレルの熱噴霧中にクランクケースの上半分の上部面を保護する円筒形のマスクを、洗浄するための新規な方法は、中央部を穴が貫通している、内部にツールが挿入されるハウジング、又は代替的に、中央部を穴が貫通しているツールホルダカートリッジを有する、取り外し可能なヘッド部を有するか又は有さない、ツールホルダ本体で構成された、回転装置を用いて実装される。これらのツールは、切削端、ブラシ、又はこの2つを組み合わせたものでありうる。ツールホルダは、取り外し可能なツール支持ヘッド部を受容することも、しないこともある。ツールは、ツールホルダ又は取り外し可能なヘッド部においてツールのハウジング内に直接ねじ留めされるか、又は代替的に、カートリッジであって、それ自体がツールホルダ又は取り外し可能なヘッド部のハウジング内にねじ留めされる、カートリッジ内に装着される。
【0024】
装置は、支え平面1aであって、それを介してマスクがクランクケースの上半分の上部面に配置される支え平面1aと、クランクケースの上半分に当接して配置される円筒形のマスクの内側エッジとを同時に洗浄する。この装置は、マスクの主要部のマスクの内側エッジ付近に通常形成される、円形の溝も洗浄する。
【0025】
切削端は、シリンダバレル内に噴霧された様々なコーティング物質を切削することが可能になる角度で、例えばカーバイド、セラミック、又はCBN(cubic boron nitride:立方窒化ほう素)で作られた切削刃を有する。切削端は、取り外し可能であり、好ましくは、切削端の寿命を延ばすために反転可能である。ブラシも取り外し可能である。ブラシは、ナイロン、鋼、又は複合材料で作られうる。
【0026】
言及されている手法は、三端部洗浄装置である。しかし、本書で上述している非限定的な説明により、本発明は、他の実施形態、及びその代替形態であって、すなわち、
−2つの切削端及び1つのブラシを有する回転洗浄装置、
−3つのブラシを有する回転洗浄装置、
−1つの端部及び2つのブラシを有する回転洗浄装置、
−2つの端部、及び、内側エッジ又は溝のための1つのブラシを有する回転洗浄装置、
−マスクの支え平面のための1つの切削端(又は1つのブラシ)、及び、溝と内側エッジのための1つの共通ブラシを有する回転洗浄装置も、対象とする。