特許第6622907号(P6622907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6622907電源装置、電子機器、および、舶用アプリケーション実行システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622907
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】電源装置、電子機器、および、舶用アプリケーション実行システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20191209BHJP
【FI】
   H02M3/28 K
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-514520(P2018-514520)
(86)(22)【出願日】2017年4月18日
(86)【国際出願番号】JP2017015620
(87)【国際公開番号】WO2017188069
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2018年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-91223(P2016-91223)
(32)【優先日】2016年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木下 陽平
(72)【発明者】
【氏名】吉井 大志
(72)【発明者】
【氏名】長野 寛
(72)【発明者】
【氏名】劉 文海
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−005018(JP,A)
【文献】 特開2000−184733(JP,A)
【文献】 特開平08−317645(JP,A)
【文献】 特開2002−300734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のバッテリーに接続される電源電圧入力端子と、
一次側コイルが前記電源電圧入力端子に接続された絶縁型トランスと、
前記電源電圧入力端子に接続され、前記電源電圧入力端子の入力電圧を計測する電源制御デバイスと、
前記電源制御デバイスで計測された電圧値を、前記絶縁型トランスの二次側に送信する通信部と、
前記一次側コイルに対する電圧印加時間を制御するスイッチング素子と、
該スイッチング素子を制御する制御ICと、を備え、
前記電源制御デバイスは、
前記電圧値が正常値の範囲内でなければ、前記制御ICに対する電源オフ制御を実行し、
前記制御ICに対する電源オン制御に対応づけられた第1の電源状態フラグと、前記制御ICに対する電源オフ制御に対応づけられた第2の電源状態フラグと、のいずれかを記憶する不揮発性メモリを備え、
前記入力電圧によって起動し、前記不揮発性メモリから前記第1の電源状態フラグを検出すると、前記制御ICに対する電源オン制御を実行する、
電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記電源制御デバイスに接続される電源スイッチをさらに備え、
前記第1の電源状態フラグは前記電源スイッチのオン状態に対応付けられ、前記第2の電源状態フラグは前記電源スイッチのオフ状態に対応付けられる、
電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源装置であって、
前記電源制御デバイスに接続される電源スイッチをさらに備え、
前記電源制御デバイスは、
前記入力電圧によって起動し、前記不揮発性メモリから前記第2の電源状態フラグを検出すると、前記電源スイッチの押下の検出の待機状態となり、
該待機状態において前記電源スイッチの押下を検出すると、前記制御ICに対する電源オン制御を実行する、
電源装置。
【請求項4】
請求項乃至請求項のいずれかに記載の電源装置であって、
前記電源制御デバイスは、前記制御ICのクロック制御信号を生成する数値制御発振器を備え、
前記制御ICは、前記クロック制御信号に応じて前記スイッチング素子を制御する、
電源装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電源装置と、
前記絶縁型トランスの二次側コイルに接続された二次側回路と、
該二次側回路から電源供給されたアプリケーション実行部と、
前記アプリケーション実行部に接続された表示部と、を備え、
前記アプリケーション実行部は、前記通信部から前記電圧値を受信して、前記電圧値を前記表示部に表示させる、
電子機器。
【請求項6】
請求項に記載の電子機器であって、
前記アプリケーション実行部は、舶用のアプリケーションを実行する、
電子機器。
【請求項7】
請求項に記載の電子機器を複数備え、
前記バッテリーと、
前記バッテリーに接続されたブレーカースイッチと、
前記ブレーカースイッチと前記複数の電子機器との間に接続され、前記バッテリーの電圧を前記複数の電子機器に分配する分配器と、を備えた、
舶用アプリケーション実行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源からの入力電圧を機器に応じた電圧にして出力する電源装置、および、当該電源装置を備えた電子機器および舶用アプリケーション実行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的な電子機器は、直流電圧によって駆動している。このような電子機器に対する外部電源としては、直流電源または交流電源がある。また、外部電源の電源電圧と電子機器の駆動電圧とは、同じ場合もあり、異なる場合もある。したがって、電源回路は、外部電源からの入力電圧を、機器に応じた駆動電圧に、必要に応じて変換して、出力する。
【0003】
具体的な例として、特許文献1に記載のスイッチング電源回路では、スイッチングトランス(絶縁型トランス)の一次側に、交流電圧が供給されており、このスイッチング電源回路は、スイッチングトランスの二次側から、駆動電圧として直流電圧を出力する。また、特許文献2に記載の電圧発生装置では、絶縁型の昇圧トランスの一次側に、直流電圧が供給されており、この電圧発生装置は、昇圧トランスの二次側から、駆動電圧として直流電圧を出力する。
【0004】
上述の外部電源として、交流電源であれば商用電源があり、直流電源であればバッテリーがある。バッテリーは、設置場所が固定された電子機器に利用できるだけでなく、設置場所が移動する電子機器にも容易に利用できる。このため、バッテリーは、自動車、船舶等の移動体の電源として多く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−275344号公報
【特許文献2】特開2015−23735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バッテリーは、電圧の発生源である材料が低下すると、出力電圧が低下していき、最終的に直流電圧を供給できなくなってしまう。この場合、電子機器に駆動電圧を出力できなくなってしまう虞がある。したがって、バッテリーの出力電圧を計測して監視することは、重要である。移動体の場合、特に船舶の場合、バッテリーを容易に充電、交換することができず、バッテリーの出力電圧を計測して監視することは、より重要である。
【0007】
しかしながら、上述のスイッチング電源回路および電圧発生装置を含む従来の電源回路では、絶縁型トランスの二次側の電圧を計測しており、絶縁型トランスの一次側の電圧を直接に計測していない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、外部電源からの入力電圧を、容易に計測して、ユーザに通知できる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の電源装置は、電源電圧入力端子、絶縁型トランス、マイコン、および、通信部を備える。電源電圧入力端子は、外部のバッテリーに接続される。絶縁型トランスは、一次側コイルが電源電圧入力端子に接続されている。マイコンは、電源電圧入力端子に接続され、電源電圧入力端子の入力電圧を計測する。通信部は、電源制御デバイスで計測された電圧値を、絶縁型トランスの二次側に送信する。
【0010】
この構成では、絶縁型トランスの一次側の電圧が電源制御デバイスによって直接計測される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部電源からの入力電圧を、容易に計測して、ユーザに通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電源装置の機能ブロック図
図2】異常電圧の対処のフローチャート
図3】制御ICに対する電源オン制御のフローチャート
図4】制御ICに対する電源オフ制御のフローチャート
図5】本発明の第2の実施形態に係る電子機器の機能ブロック図
図6】本発明の第3の実施形態に係る電源装置の機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施形態に係る電源装置および電子機器について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る電源装置の機能ブロック図である。
【0014】
図1に示すように、電源装置10は、電源電圧入力端子Pin、絶縁型トランス110、スイッチング素子111、制御IC112、一次側の電圧供給ライン113、マイコン114、レギュレータ115、分圧回路116、電源スイッチ117、通信部118、二次側回路119、および、フォトカプラ121を備える。なお、本実施形態では、マイコン114を用いる態様を示すが、FPGA、CPLD等のデバイスを用いてもよく、マイコン114およびこれらのデバイスが、本発明の「電源制御デバイス」に対応する。
【0015】
電源電圧入力端子Pinは、電源ケーブルを介して、分配器23に接続されている。分配器23は、ブレーカースイッチ22を介してバッテリー21に接続されている。なお、図示していないが、分配器23は、電源装置10とは異なる少なくとも1つ(少なくとも1つと記載すれば、1つの場合を含みますので、このままで問題無いと考えます。)の電子機器の電源装置にも接続されている。分配器23は、分配器23にそれぞれ接続された複数の電源装置にバッテリー21の電圧を供給する。
【0016】
絶縁型トランス110は、一次側コイル1101と二次側コイル1102とを備える。一次側コイル1101と二次側コイル1102との巻き数比は、バッテリー21の電圧と、電源装置10の出力電圧との比によって決定されている。
【0017】
一次側コイル1101の第1端は、電圧供給ライン113を介して、電源電圧入力端子Pinに接続されている。一次側コイル1101の第2端は、スイッチング素子111を介して接地されている。
【0018】
二次側コイル1102は、二次側回路119に接続されている。二次側回路119は、絶縁型トランス110を用いた一般的なスイッチング電源回路の二次側回路の構成を備える。二次側回路119の具体的な回路構成は、省略する。二次側回路119は、二次側制御部(図示せず)を備える。二次側制御部は、二次側電圧、すなわち、電源装置10の出力電圧を検出して、出力電圧が一定になるようにフィードバック信号を生成する。
【0019】
フォトカプラ121は、二次側回路119の二次側制御部と、一次側の制御IC112とに接続されている。フォトカプラ121は、二次側制御部からのフィードバック信号を、制御IC112に伝送する。
【0020】
制御IC112は、スイッチング素子111に接続されている。制御IC112からオン信号を受信している期間は、スイッチング素子111は導通し、制御IC112からオン信号を受信していない期間は、スイッチング素子111は開放している。なお、スイッチング素子111が制御IC112からオン信号を受信していない期間は、制御IC112が起動しており制御IC112からオフ信号(オン信号と異なる状態の信号)を受信している期間、または、制御IC112が起動していない期間のいずれであってもよい。
【0021】
また、制御IC112は、フィードバック信号に応じて、スイッチング素子111の開放、導通を制御する。このように、フィードバック信号に応じて、スイッチング素子111の開放時間と導通時間とが調整されることによって、一次側コイル1101の電圧印加時間は制御され、一次側コイル1101に流れる電流は調整される。一次側コイル1101に流れる電流が調整されることによって、二次側コイル1102に流れる電流は調整され、二次側電圧は所望の電圧値に調整される。
【0022】
マイコン114は、レギュレータ115を介して、電圧供給ライン113に接続されている。レギュレータ115は、電圧供給ライン113の電圧から、マイコン114の駆動電圧を生成して出力する。この駆動電圧は、マイコン114に供給され、マイコン114は、この駆動電圧によって駆動する。
【0023】
マイコン114は、制御IC112、分圧回路116、電源スイッチ117、および、通信部118に接続されている。マイコン114は、電圧計測端子、A/D変換部、および、EEPROM等の不揮発性メモリ1140を備える。なお、マイコン114は、他の端子、演算部を備えているが図示および説明を省略している。
【0024】
マイコン114は、制御IC112に対する電源オン制御および電源オフ制御を実行する。具体的には、マイコン114は、電源オン制御として、制御IC112に対して制御IC用駆動電圧PWを供給する。一方、マイコン114は、電源オフ制御として、制御IC112に対する制御IC用駆動電圧PWの供給を停止する。制御IC112は、制御IC用駆動電圧PWが供給されている期間、動作し、上述のスイッチング素子111の制御を実行する。
【0025】
不揮発性メモリには、電源状態フラグが記憶されている。電源状態フラグは、互いに異なる第1の電源状態フラグと第2電源状態フラグとを有する。第1の電源状態フラグは、制御IC112に対する電源オン制御に対応づけられており、第2の電源状態フラグは、制御IC112に対する電源オフ制御に対応づけられている。例えば、第1の電源状態フラグは「H(1)」であり、第2の電源状態フラグは「L(0)」である。
【0026】
マイコン114は、制御IC112に対する電源オン制御を実行すると、第1の電源状態フラグ「H(1)」を不揮発性メモリ1140に記憶する。マイコン114は、制御IC112に対する電源オフ制御を実行すると、第2の電源状態フラグ「L(0)」を不揮発性メモリ1140に記憶する。不揮発性メモリ1140を用いることによって、マイコン114に駆動電圧が供給されていても、マイコン114に駆動電圧が供給されていなくても、電源状態フラグの状態を変える更新を行わなければ、電源状態フラグは状態保持される。
【0027】
電源スイッチ117は、例えば押下型のタクトスイッチである。マイコン114は、電源スイッチ117の押下を検出して、制御IC112に対する電源オン制御または電源オフ制御を実行する。具体的に、マイコン114は、制御IC112に制御IC用駆動電圧PWを供給していない状態において、電源スイッチ117の押下を検出すると、電源オン制御を実行する。マイコン114は、制御IC112に制御IC用駆動電圧PWを供給している状態において、電源スイッチ117の押下を検出すると、電源オフ制御を実行する。なお、これらの電源オン制御および電源オフ制御の詳細は後述する。
【0028】
分圧回路116は、複数の抵抗器を備える。複数の抵抗器(図1では2つの抵抗器)は、電圧供給ライン113と接地電位との間に直列接続されている。例えば、図1であれば、分圧回路116は、直列接続された第1の抵抗器と第2の抵抗器とを備える。第1の抵抗器と第2の抵抗器との接続点は、マイコン114の電圧計測端子に接続されている。
【0029】
マイコン114は、次の方法によって入力電圧Vinを計測する。マイコン114は、電圧計測端子としてA/D(アナログ/デジタル)変換端子を備える。マイコン114は、電圧計測端子に印加されたアナログの電圧を、デジタルの電圧値に変換する。すなわち、マイコン114は、電圧供給ライン113の電圧(電源電圧入力端子Pinの入力電圧Vin)を分圧回路116で分圧したアナログの分圧電圧を、デジタルの分圧電圧値に変換する。
【0030】
マイコン114は、デジタルの分圧電圧値から、入力電圧Vinに対応するデジタルの入力電圧値を得る。例えば、マイコン114の不揮発性メモリには、デジタルの分圧電圧値とデジタルの入力電圧値とのリファレンスチャートが記憶されている。マイコン114は、デジタルの分圧電圧値を得ると、デジタルの分圧電圧値とリファレンスチャートとを照らし合わせて、デジタルの入力電圧値を得る。
【0031】
これにより、電源装置10は、絶縁型トランス110の一次側に配置されたマイコン114によって、電源装置10の入力電圧Vinを、容易な回路構成で且つ直接に計測できる。
【0032】
マイコン114は、デジタルの入力電圧値を、通信部118に出力する。通信部118は、デジタルの入力電圧値を、電源装置10の外部に送信する。これにより、電源装置10は、絶縁型トランス110の一次側で計測した電源装置10の入力電圧Vinを、ユーザに通知できる。なお、図示していないが、電源装置10に表示部等の通知部を備え、当該通知部を用いて入力電圧Vinを通知してもよい。
【0033】
なお、マイコン114は、所定の時間間隔で継続的にデジタルの入力電圧値を得てもよい。この際、通信部118は、複数のデジタルの入力電圧値を逐次送信してもよく、所定個数ずつまとめて送信してもよい。
【0034】
また、電源装置10のマイコン114は、次に示す各種の電源制御を実行する。
【0035】
(異常電圧への対処)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電源装置のマイコンによる異常電圧の対処のフローチャートである。
【0036】
マイコン114は、電圧供給ライン113の電圧、すなわち入力電圧Vinを計測する(S101)。マイコン114は、入力電圧Vinが下限閾値電圧THVL未満であることを検出すると(S102:YES)、制御IC112に対して電源オフ制御を実行する(S105)。マイコン114は、入力電圧Vinが上限閾値電圧THVHよりも高いことを検出すると(S102:NO→S103:YES)、制御IC112に対して電源オフ制御を実行する(S105)。言い換えれば、マイコン114は、入力電圧Vinが正常値の範囲内(下限閾値電圧THVL以上、上限閾値電圧THVH以下)でなければ、制御IC112に対して電源オフ制御を実行する。この場合、マイコン114は、電源状態フラグFLを「H(1)」から「L(0)」に更新して、不揮発性メモリ1140に記憶する。
【0037】
マイコン114は、入力電圧Vinが下限閾値電圧THVL以上であることを検出し(S102:NO)、入力電圧Vinが上限閾値電圧THVH以下であることを検出すると(S103:NO)、制御IC112に対して電源オン制御を実行する(S104)。
【0038】
このような処理を実行することによって、電源装置10に対する低電圧保護および過電圧保護、すなわち、異常電圧への対処が容易に且つ確実に実現される。この際、絶縁型トランス110の一次側に配置されたマイコン114で入力電圧Vinを直接計測し、マイコン114で低電圧保護および過電圧保護の判定を実行することによって、低電圧保護および過電圧保護の回路構成を簡素化できる。
【0039】
(電源オン制御)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る電源装置のマイコンによる制御ICに対する電源オン制御のフローチャートである。
【0040】
マイコン114は、電圧供給ライン113を介して駆動電圧が供給されると起動する(S201)。例えば、図1に示す場合、ブレーカースイッチ22は開放であると、バッテリー21から電源電圧入力端子Pinに、入力電圧Vinは供給されない。この場合、マイコン114に駆動電圧が供給されない。したがって、マイコン114は起動せず、電源装置10は動作しない。この状態で、ブレーカースイッチ22が導通になると、バッテリー21から電源電圧入力端子Pinに入力電圧Vinが供給され、マイコン114に駆動電圧が供給され、マイコン114は起動する。
【0041】
マイコン114は、不揮発性メモリ1140に記憶された電源状態フラグFLを読み出し、電源状態フラグFLが「H(1)」であることを検出すると(S202:YES)、入力電圧Vinの状態検知に移行する。
【0042】
マイコン114は、電源状態フラグFLが「L(0)」であることを検出すると(S202:NO)、電源スイッチ117の押下の検出の待機状態となる(S203)。
【0043】
マイコン114は、電源スイッチ117の押下を検出すると(S204:YES)、入力電圧Vinの状態検知に移行する。マイコン114は、電源スイッチ117の押下を検出していなければ(S204:NO)、電源スイッチ117の押下の検出の待機状態を維持する(S203)。
【0044】
マイコン114は、入力電圧Vinの状態検知に移行すると、入力電圧Vinを計測する。マイコン114は、入力電圧Vinが正常値の範囲内(下限閾値電圧THVL以上、上限閾値電圧THVH以下)にあることを検出すると(S205:YES)、制御IC112に対して電源オン制御を実行し(S206)、電源状態フラグFLを「H(1)」で更新する(S207)。なお、マイコン114は、入力電圧Vinが正常値の範囲内でないことを検出すると(S205:NO)、待機状態となる。
【0045】
(電源オフ制御)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る電源装置のマイコンによる制御ICに対する電源オフ制御のフローチャートである。
【0046】
マイコン114は、電源スイッチ117の押下を検出するまでは、電源装置10の通電状態を維持する。(S301:NO)。
【0047】
マイコン114は、電源スイッチ117の押下を検出すると(S301:YES)、正常終了処理と強制終了処理を並行的に実行する。
【0048】
(正常終了処理)
マイコン114は、電源スイッチ117の押下を検出すると(S301:YES)、カウントダウン処理を実行する(S311)。カウントダウンで設定される時間は、電源装置10を正常終了させるために設定した時間である。
【0049】
マイコン114は、カウントダウン中に押下が中断されたことを検出すると(S312:NO)、電源装置10の通電状態を維持し、電源スイッチ117の押下の検出待機状態となる。
【0050】
マイコン114は、カウントダウン中に押下が継続したこと(カウントダウン処理の終了まで押下が継続したこと)を検出すると(S312:YES)、電源状態フラグFLを「H(1)」から「L(0)」に更新する(S313)。
【0051】
マイコン114は、所定時間(例えば、約10秒)、ウェイト処理を実行し(S314)、制御IC112への制御IC用駆動電圧の供給を停止する(S302)。これにより、マイコン114は、電源装置10の正常終了処理を実行する。
【0052】
(強制終了処理)
マイコン114は、電源スイッチ117の押下を検出すると(S301:YES)、押下の継続時間tをカウントアップする(S321)。マイコン114は、継続時間tが閾値時間THt以下でないことを検出すると(S322:NO)、電源装置10の通電状態を維持し、電源スイッチ117の押下の検出待機状態となる。閾値時間THtは、電源装置10を強制終了させるために設定した閾値時間である。閾値時間THtは、正常終了処理のカウントダウン処理で設定される時間よりも長い。
【0053】
マイコン114は、継続時間tが閾値時間THt以下であることを検出すると(S322:YES)、電源状態フラグFLを「H(1)」から「L(0)」に更新する(S323)。
【0054】
マイコン114は、制御IC112への制御IC用駆動電圧の供給を停止する(S302)。これにより、マイコン114は、電源装置10の強制終了処理を実行する。
【0055】
このように、上述の処理を実行することによって、電源装置10を正常にまたは強制的に終了できる。なお、上述の電源オフ制御の処理では、正常な終了と、強制的な終了とを選択できるが、正常な終了と強制的な終了の少なくとも一方を実行できればよい。
【0056】
また、電源スイッチ117の押下を検出したことによって、制御IC112に対する電源オフ制御が実行され、電源状態フラグFLは「L(0)」で更新される。一方、ブレーカースイッチ22を開放にした場合は、入力電圧Vinが供給されなくなり、制御IC112に対する電源オフ制御が実行されずに、電源装置10は強制的に終了となる。したがって、この場合は、電源状態フラグFLは「H(1)」で維持されている。
【0057】
これにより、マイコン114は、ユーザが電源スイッチ117を用いて電源装置10を装置単体で終了させたことと、ユーザがブレーカースイッチ22を開放したことによって電源装置10への電源供給が強制的に終了したこととを識別して、不揮発性メモリ1140に記憶しておくことができる。
【0058】
マイコン114は、この電源状態フラグを上述の電源オン制御に利用している。
【0059】
上述の電源オン制御と電源オフ制御とを用いることによって、マイコン114は、電源装置10の前回の電源オフの状態に応じて、制御IC112に対する電源オン制御を実現できる。具体的には、電源スイッチ117の押下によってユーザが電源装置10を装置単体で終了させた場合には、電源スイッチ117の押下を検出するまで、マイコン114は、制御IC112に制御IC用駆動電圧を供給しない。一方で、ユーザがブレーカースイッチ22を開放したことによって電源装置10への入力電圧Vinが強制的に終了した場合には、電源スイッチ117の押下を検出せずに、入力電圧Vinが正常値の電圧範囲内になれば、マイコン114は、制御IC112に制御IC用駆動電圧を供給する。
【0060】
これにより、前回、ユーザが意図的に電源装置10の電源オフ制御を行っていれば、ブレーカースイッチ22を導通させても、電源スイッチ117が押下されなければ、電源装置10の電源オン制御が開始されない。一方、前回、ユーザが電源装置10の電源オフ制御を行わずにブレーカースイッチ22を開放した場合には、ブレーカースイッチ22を導通させることによって、電源装置10の電源オン制御が開始する。したがって、ユーザの前回の電源オフの意図が反映された電源オン制御を実現できる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子機器について、図を参照して説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る電子機器の機能ブロック図である。
【0062】
図5に示すように、本実施形態に係る電子機器1は、電源装置10Aと機能部20とを備える。電源装置10Aは、第1の実施形態に係る電源装置10に対して、通信部118がフォトカプラ118Aおよびフォトカプラ122の組に置き換えられた点で異なる。電源装置10Aの他の構成は、第1の実施形態に係る電源装置10と同じであり、同じ箇所の説明は省略する。
【0063】
機能部20は、アプリケーション実行部201および表示部202を備える。アプリケーション実行部201および表示部202は、二次側回路119に接続されている。すなわち、機能部20は、電源装置10Aの二次側に接続されている。アプリケーション実行部201および表示部202は、二次側回路119から駆動電圧を供給されている。アプリケーション実行部201と表示部202とは接続されている。
【0064】
アプリケーション実行部201は、CPU、アプリケーションプログラムが記憶された記憶媒体、を備える。アプリケーション実行部201は、記憶媒体からアプリケーションプログラムを、CPUで読み出して実行することによって、電子機器1で実行する各種のアプリケーションを実行する。例えば、電子機器1が航海機器である場合、アプリケーション実行部201は、船舶の航行に関する各種の舶用のアプリケーションを実行する。この場合、具体的なアプリケーションとしては、GPS測位による航行位置および航跡の生成のアプリケーション、漁労支援情報の生成のアプリケーション等である。アプリケーション実行部201、アプリケーションの実行結果を表示部202に出力する。また、アプリケーション実行部201は、フォトカプラ122を介して、マイコン114に各種の制御信号を送信する。
【0065】
表示部202は、例えば、液晶ディスプレイであり、アプリケーションの実行結果を表示する。
【0066】
電源装置10Aのフォトカプラ118Aは、マイコン114から出力されたデジタルの入力電圧値を、アプリケーション実行部201に出力する。アプリケーション実行部201は、このデジタルの入力電圧値を、表示部202に表示させる。この際、アプリケーション実行部201は、アプリケーションの実行結果とともに、デジタルの入力電圧値を表示することもできる。
【0067】
このように、表示部202にデジタルの入力電圧値が表示されることによって、ユーザは、入力電圧Vinの電圧値を確実且つ容易に視認でき、バッテリー21の残容量を推定できる。
【0068】
特に、電子機器1が航海機器であり、電子機器1およびバッテリー21が船体の装備されている場合、バッテリー21を容易に交換できず、海上でバッテリー21の容量が無くなって電子機器1を利用できなくなる虞がある。しかしながら、上述の構成を備えて、ユーザが入力電圧を確実に且つ容易に視認できることによって、このような電子機器1を利用できなくなることを確実に回避できる。
【0069】
また、上述のように、デジタルの入力電圧値が所定の時間間隔で継続的に得られ、複数回のデジタルの入力電圧値が得られる場合、アプリケーション実行部201は、これら複数回のデジタルの入力電圧値から、複数回のデジタルの入力電圧値の推移状態を、グラフ等にして出力し、表示部202に表示させてもよい。また、アプリケーション実行部201は、複数回のデジタルの入力電圧値の推移状態から、バッテリー21が空になる残り時間を推定し、この残り時間を表示部202に表示させてもよい。この際、デジタルの入力電圧値が一次側のマイコン114で計測されていることにより、バッテリー21の状況に素早く対応した残り時間を得られる。
【0070】
なお、電子機器1が航海機器である場合、電子機器1、バッテリー21、および、ブレーカースイッチ22によって、本発明の「舶用アプリケーション実行システム」が実現される。また、電子機器1が複数であって、それぞれの電子機器1がそれぞれに異なるアプリケーションを実行する航海機器である場合、複数の電子機器1、バッテリー21、ブレーカースイッチ22、および分配器23によって、本発明の「舶用アプリケーション実行システム」が実現される。そして、この際、複数の電子機器1は、それぞれに分配器23を介してブレーカースイッチ22に接続されている。
【0071】
この場合、ブレーカースイッチ22を開放することによって、複数の電子機器1を強制的に終了させる状況もある。この状況では、ブレーカースイッチ22の導通により、複数の電子機器1に対する通電は、同時に再開される。しかしながら、上述の電源オン制御および電源オフ制御を用いることによって、複数の電子機器1毎に、電源スイッチ117の押下による起動、通電による強制的(自動的)な起動が選択される。したがって、複数の電子機器1のそれぞれにおいて、ユーザの前回の電源オフの状況に応じた電源オン制御が実行される。
【0072】
また、上述の第1の実施形態に示した電源オフ制御の正常終了処理は、絶縁型トランス110の二次側に接続された本実施形態に電子機器1のアプリケーション実行部201で実行してもよい。この場合、アプリケーション実行部201は、電源スイッチ117の押下の検出信号を、フォトカプラ118Aを介してマイコン114から受信する。アプリケーション実行部201は、上述のステップS311、S312の処理を実行する。アプリケーション実行部201は、ステップS312でYESの場合、ステップS313に対応する処理として、電源状態フラグFLを「H(1)」から「L(0)」に更新する制御信号を生成し、フォトカプラ122を介して、マイコン114に送信する。マイコン114は、ステップS314のウェイト処理を実行後、制御IC112の電源オフ制御(S302)を実行する。
【0073】
次に、本発明の第3の実施形態に係る電源装置について、図を参照して説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係る電源装置の機能ブロック図である。
【0074】
本実施形態に係る電源装置10Bは、第1の実施形態に係る電源装置10に対して、マイコン114Bによる制御IC112のクロック周波数制御を追加した点で異なる。
【0075】
マイコン114Bは、数値制御発振器(NCO)1141を備えている。マイコン114Bは、数値制御発振器1141を用いて制御IC112のクロック制御信号SNを生成し、制御IC112に出力する。制御IC112は、クロック制御信号SNに同期してスイッチング素子111のスイッチングが実行される。
【0076】
このような構成を用いることによって、制御IC112に専用のクロック発振器を備えなくても、制御IC112は、スイッチング素子11のスイッチング制御を確実に実行できる。これにより、電源装置10Bの回路規模を小さくできる。
【0077】
また、マイコン114Bのクロック周波数は高精度であるので、制御IC112に高精度なクロック周波数を設定できる。これにより、電源装置10Bは、二次側電圧を高精度に制御できる。
【0078】
この際、数値制御発振器を用いることによって、マイコン114Bのクロック周波数と制御IC112のクロック周波数とが整数倍の関係でなくても、制御IC112に正確なクロック周波数を設定できる。
【0079】
なお、上述の各実施形態では、バッテリー21を、電源装置および電子機器の外部電源とする態様を示した。しかしながら、電圧の発生源が経時的に消耗する電源であれば、バッテリー21に置き換えることが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1:電子機器
10、10A、10B:電源装置
11:スイッチング素子
20:機能部
21:バッテリー
22:ブレーカースイッチ
23:分配器
110:絶縁型トランス
111:スイッチング素子
112:制御IC
113:電圧供給ライン
114、114B:マイコン
115:レギュレータ
116:分圧回路
117:電源スイッチ
118:通信部
118A:フォトカプラ
119:二次側回路
121,122:フォトカプラ
201:アプリケーション実行部
202:表示部
1101:一次側コイル
1102:二次側コイル
1140:不揮発性メモリ
1141:数値制御発振器
図1
図2
図3
図4
図5
図6