特許第6622914号(P6622914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622914
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/90 20130101AFI20191209BHJP
【FI】
   A61F2/90
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-522848(P2018-522848)
(86)(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公表番号】特表2018-525189(P2018-525189A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2015066895
(87)【国際公開番号】WO2017012673
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】518025489
【氏名又は名称】オプティメド メディツィニッシェ インストゥルメンテ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OPTIMED MEDIZINISCHE INSTRUMENTE GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィシャー ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】ネニッヒ エルンスト
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0277377(US,A1)
【文献】 特開2007−090074(JP,A)
【文献】 特開2010−233933(JP,A)
【文献】 特許第5695259(JP,B1)
【文献】 国際公開第2012/008579(WO,A1)
【文献】 特表2007−531601(JP,A)
【文献】 特表平11−511345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/90
A61M 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管、尿管、食道、結腸、十二指腸または胆道の中空器官に経管的に移植するため第1の断面直径を有する圧縮状態から拡大した第2の断面直径を有する拡張状態に変形することができる実質的な管状体を含むステント(10)であって、
前記ステント(10)は前記管状体によって形成された境界要素(22)によって画定される複数のセル(18,18a,18b)を含み、
前記ステント(10)の前面端部(24)は、周方向においていくつかのセル(18,18a)が残りのセル(18b)と比較して前記ステント(10)の長手方向に細長く延長されて、セル端により全体として滑らかな傾斜した形状形成され、
前記細長いセル(18,18a)記長手方向(L)に平行または略平行に延びる直線または略直線に沿って配置されていること
前記細長いセル(18,18a)は、複数のグループに分けられ、各グループのセル(18,18a)は、それぞれ前記長手方向(L)に平行または略平行に延びる直線または略直線に沿って配置されていること、
隣接するグループのセル(18,18a,18b)の長さは、周方向において最大から最小まで減少することを特徴とするステント。
【請求項2】
前記直線は、互いに平行または略平行に延びていることを特徴とする請求項に記載のステント。
【請求項3】
それぞれ同数のセル(18,18a,18b)が、各グループにおいて、前記長手方向の軸線に関して垂直に延在する断面平面から前記前面端部(24)まで設けられていることを特徴とする請求項またはに記載のステント。
【請求項4】
最大長さを有するセル(18a)は、前記ステント(10)の中心軸に関して最小長さを有するセル(18b)に対向して配置されていることを特徴とする請求項1乃至いずれか一項に記載のステント。
【請求項5】
前記セル(18,18a,18b)の少なくともいくつかは、接続部(20,20a)によって互いに接続され、前記接続部(20a)は、長セル(18a)の間のみに長く形成されていることを特徴とする請求項1乃至いずれか一項に記載のステント。
【請求項6】
少なくとも1つのマーカ(28,28a)はイレット形態で前記前面端部(24)から遠ざかるように延び、前記マーカ(28,28a)は非対称形状を有することを特徴とする請求項1乃至いずれか一項に記載のステント。
【請求項7】
前記マーカ(28,28a)は、前記長手方向(L)において前記ステント(10)の最も長い範囲と最も短い範囲との間の領域に配置されていることを特徴とする請求項に記載のステント。
【請求項8】
少なくとも2つのマーカ(28,28a)が前記前面端部に設けられ、前記マーカ(28,28a)は、前記テント(10)の軸線に関して互いに対向して配置されていることを特徴とする請求項またはに記載のステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空器官、特に血管、尿管、食道、結腸、十二指腸または胆道に経管的に移植するためのステントに関し、第1の断面直径を有する圧縮状態から拡大した第2の断面直径を有する拡張状態に変形できる実質的な管状体を含み、該管状体によって形成された境界要素によって画定された複数のセルを含むステントに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのステントは、病的に変化した中空器官の再開通に使用される。この点に関して、ステントは、圧縮状態でデリバリカテーテルを介して治療されるべき中空器官内の位置に導入され、健康な中空器官の直径に対応する直径まで異なる大きさで拡張され、中空器官、例えば血管壁の保持効果が達成される。
【0003】
かかるステントは、例えば、管状体の壁に複数のスリットのような開口部が切り込まれ、ステントの拡張時に複数の菱形の開口部が形成されるように製造され得る。該開口部と共にその境界要素はセルと呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステントが中空器官の分岐部の近くに挿入される場合、全体として滑らかな外郭形状に形成された端部(chamfered end)すなわち面取り(チャンファ)端部を有するステントを使用することができる。かかるステントは、血管例えば静脈を、分岐までのすべての側面で例えば、さらなる静脈の開口部まで支持することを可能とする。
【0005】
それらの保持効果を確実にするために、ステントは、血管壁によって及ぼされる半径方向の力の作用を打ち消すのに十分な半径方向の整列力を発揮できなければならない。半径方向の配置力が典型的にそこで減少するので、整列力は、特に面取り端部の領域において加わる。
【0006】
従って、本発明の目的は、面取り領域に高い半径方向の配置力をも提供する最初の種類のステントであって、それによりステントの展開時のねじれが確実に排除されるステントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する本発明のステントによって達成され、特に、いくつかのセルが残りのセルと比較して前記ステントの長手方向に細長い形態で延長されて、前記ステントの面取り前面端部が形成されることよって達成される。
【0008】
面取り端部は、細長いセルにより形成され得る。この点で、長手方向に延びた細長いセルにより、面取り端部を形成するために追加のセルは必要とされない。細長いセルによって、他の管状体と同様に、面取り領域内のセルの同様の配置を選択することも可能になる。
【0009】
細長いセルは、特に、ステントの剛性のあるリジッド部にのみ存在することができる。加えて、ステントは、例えば、可撓性のあるフレキシブル部および/または固定部を備える。細長いセルに関する以下の説明は、リジッド部に関する。
【0010】
追加のセルの回避により、特に半径方向の高い配置力をもたらすことができるステントの構造が得られる。このようにして、例えば分岐部付近の血管を確実に支持することが可能となる。したがって、本発明によるステントは、分岐部の領域、例えば、総腸骨静脈の合流部における静脈閉塞の場合、総腸骨静脈の上部領域の下大静脈に挿入することができる。ステントは、この目的のために12mm以上の直径を有することができる。ステントは、好ましくは12mm〜18mmの直径を有することができる。
【0011】
追加のセルによる分配は、面取り角度を可変に固定することをさらに可能にする。すなわち、この角度が細長いセルの相対的な伸長によって固定できるからである。
【0012】
面取り領域は、分岐部後に血管内に実質的に突出することなく、全体的に中空器官を分岐部まで確実に支持することを可能にする。
【0013】
セルは、1つまたは複数の接続部によって、1つまたは複数の他のセルに接続されることができる。セルの長さは、2つの接続部の間の長手方向の間隔として理解することができ、それぞれの接続部のそれぞれの中心を考慮する必要がある。セルは、前記切り込み部とそのそれぞれの境界要素とを含み、前記接続部は境界要素に属する。
【0014】
本発明によるステントでは、複数の接続部を用いて少なくとも一部のセルをそれぞれ互いに接続されることができる。3つまたは4つのそれぞれの接続部は、特に、面取り領域および/または細長いセルに設けられてもよい。したがって、保持効果は、このようにして達成され得る半径方向の配置力のために特に高くなり得る。
【0015】
ステントは、限界温度以上の貯蔵形状を採用した記憶金属から製造することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、説明、従属請求項および図面から理解することができる。
【0017】
第1の有利な実施形態によれば、細長いセルの少なくともいくつかは、特に、長手方向と平行にまたは略平行に延びる直線または略直線に沿って配置される。これは、例えば、直線上に互いに並んだ少なくとも1つまたは2つのセルを設けることができることを意味する。2つを超えるセルでは、これらのセルの少なくとも1つの少なくとも2つの接続部は、2つのさらなるセルの延長セルに直接接続されることができる。細長いセルの2つのそれぞれの接続部は、特に直線上にある。
【0018】
さらなる有利な実施形態によれば、細長いセルは、複数のグループ、特に9つのグループに分割可能であり、各グループのセルは、それぞれ直線または略直線に沿って配置され、これらの直線は、長手方向と平行または略平行である。全部で12のグループのセルを提供することができ、9つのグループでは伸長したセルを有する。かかるグループの画定により、グループ間の中間スペースは、それ自体がセルを形成することができる。
【0019】
したがって、セルの配置は、各セルが直線または略直線に沿って配置されるように選択することができる。さらに、セルは、これらの系統の1つに対して対称的に形成することができる。したがって、特に、他のセルに対して傾いているかまたは回転しているセルは存在しない。このようにして回転されたセルによる構造の弱化を回避することができる。
【0020】
グループ内の全てのセルは、特に、各々は、長手方向に見て同じ長さ又は略同じ長さを有することができる。あるいは、異なる長さを有するセルをグループ内に設けることもできる。
【0021】
異なるグループのセルによって形成される線は、好ましくは、互いに平行にまたは略平行に延びる。
【0022】
それぞれ等しい量のセルは、さらに好ましくは、各グループにおいて、長手方向軸線に垂直に延在する断面平面から面取り前面端まで設けられる。半径方向の配置力は、ステントの長さにわたって実質的に一定であるグループ内においてそれぞれ等しい数のセルを設けることによって達成され得る。同じ数のセルを、好ましくは、ステントのリジッド部の各グループに設けることができる。
【0023】
ステントのいわゆる平坦投影において認識され得るそれぞれの角度は、特に、同数のセルの使用時におけるセルの接続部によって形成され得る。角度は、周方向(すなわち、平坦投影の中の直線)と直線によって決定され、直線はセルの接続部を通って延びる。これは、それぞれのセルの少なくともいくつかの接続部が、平坦な投影内の直線上にあることを意味する。角度は、ステントの面取り端部に近づくほど大きくなり、好ましくは、4つ、5つ、または6つの角度が設定される。
【0024】
セルの端部は、面取り端部自体の平坦投影において直線を形成することはできないが、正弦曲線に近似する曲線を画定することができる。平坦投影におけるかかる正弦曲線は、3次元ステントにおける正確に平面の切断表面を有する傾斜した開始カット(面取り領域)をもたらす。
【0025】
セルは、第1の角度が20°〜24°の範囲にあり、第2の角度が37°〜44°の範囲にあり、第3の角度が48°〜52°の範囲にあり、第4の角度が60°〜64°の間の範囲内にあり、第5の角度が63°〜67°の間の範囲にあり、第6の角度が69°〜73°の間の範囲にあるように構成される。最も大きな角度は、特にステントの面取り端部に最も近くであり、最小の角度は、面取り端部から最も遠くにある。さらに、角度0°を設けることができる。これは、接続部が周方向に沿って配置される平坦投影にステントの位置が存在することを意味する。0°の角度は、リジッド部からフレキシブル部(硬質領域から柔軟領域)への変化時に提供することができる。グループのセルは、記載された角度を形成するために異なる長さであり得る。
【0026】
かかる角度の選択により、特に長い耐久性を有する非常に安定なステントを製造できることが判明した。
【0027】
さらなる有利な実施形態によれば、隣接するグループのセルの長さは、周方向において最大から最小まで低下する。最大長さを有するセルは、特に、ステントの中心軸に関して最小の長さを有するセルに対向して配置される。かかる配置によって面取りを生成することができる。
【0028】
セルの少なくともいくつかは、接続部によって互いに接続されることがさらに好ましく、細長いセル間の接続部、特に最長のセルの間のみが細長く形成される。最長のセルの開口部は、細長く伸ばされまたは拡大された接続部により短くすることができ、それによって、すべてのセルの均一な湾曲開口がステントの拡張時に達成され得る。かかる一様な湾曲開口は、半径方向の配置力の均一な分布と特に堅牢なステントとを順にたらすことができる。
【0029】
少なくとも1つのマーカは、好ましくは、面取り端部から離れる長手方向に、特にアイレット(eyelet)すなわち針孔形態で延在することが好ましく、マーカは非対称形状を有する。マーカは、X線に対する不透過性が高められた、すなわちX線で特に容易に目に見えるステントの部分であり得る。マーカは、特に、例えば、タンタルで満たされているか、またはタンタルによって覆われているアイレットであり得る。マーカは、非対称形状のために面取り領域に取り付けることもできる。なぜなら、マーカは面取りから離れるように延在することができるからである。
【0030】
換言すれば、マーカは、長手方向においてステントの最長と最短の間の領域に配置することができる。マーカは、X線で特に容易に認識されるように、非対称形状のために十分に大きく設計され得る。さらに、さらなるマーカを提供することができる。面取りの先端にある。さらに別のマーカは、例えば、ステントの最短点で面取り部に取り付けられてもよい。
【0031】
さらなる有利な実施形態によれば、少なくとも2つの非対称マーカが面取り端部に設けられ、特にマーカはステントの軸線に対して互いに対向して配置される。従って、2つのマーカは、ステントの軸線と面取り部の先端とを通って延びるステントの平面に対して対称に配置され得る。非対称マーカは、例えば、かかる配置のためにX線において整列させることができる。その結果、ステントの位置はX線で特に容易に認識される。
【0032】
さらなる有利な実施形態によれば、ステントは、リジッド部に隣接するフレキシブル部を含む。フレキシブル部は、面取り端部に対向して配置される。フレキシブル部は、リジッド部のセルよりも平坦投影においてより大きな面積を有するセルを有することができる。フレキシブル部は、より大きなセルに起因してより容易に曲げることができ、それによって、フレキシブル部は、簡単な方法で中空器官の程度の形状に適合させることができる。フレキシブル部のセルは、好ましくは歯状の境界を有することができる。
【0033】
さらに別の有利な実施形態によれば、ステントは、フレキシブル部に隣接する固定部を含む。固定部のセルは、リジッド部のセルに対応することができ、例えば、菱形にすることができる。固定部は、菱形状のセルのために小さな柔軟性を有することができ、ステントを中空器官のその位置に固定することができる。固定部は、ステントの端部から離れて延びるマーカが取り付けられ得るステントの直線端部を形成することができる。マーカは、アイレットの形状を有することができ、同様に、例えば、タンタルで覆われているか、タンタルで満たされている。ステントは、ステントを中空器官内に導入する際に、固定部のマーカを用いてデリバリカテーテル内に固定することができる。
【0034】
本発明はさらに、ステントを製造する方法に関連し、該方法は、
a)前記ステントが管状材料から切り出され、そして、
b)前記ステントがその拡張状態まで拡張される。本発明の方法は、c)ステントのセルの形状が変化させられ拡張状態で固定されることを特徴とする。
【0035】
個々のセルは、個々のセルの均一な拡張挙動がセルの形状の変化によって達成されるように、それぞれ形状づけることができる。このようにして、拡張時の不均一な力分布のために典型的には非対称かつ過度に拡張する、面取り領域の近傍の短中型セルでは、破断の危険性を特に低減することができる。
【0036】
例えば、鋭角は、菱形の各角部で4つまでの接続部を有する菱形のセルが70°より小さく、好ましくは60°より小さくなるように縮小または変更することができる。これは、構造上の均一な力散逸によって面取り領域の領域におけるより大きな外力にステントがよりよく耐え、ステントの崩壊またはステントの破損のリスクがかなり減少するという結果をもたらす。
【0037】
さらに、この方法を用いることにより、セルの拡張をあまり大きくすることができないようにすることが可能であり、これにより、接続部への損傷を回避することができる。
【0038】
有利な実施形態によれば、締結手段が取り付けられるコアは、コアを広げてステントのセルの形状を変化させ、固定するために使用される。したがって、個々のセルの拡張挙動は、締結手段によって適合させることができる。その結果、セルの形状は、純粋に円筒形のコアの使用時の拡張に対して変化する。かかる円筒形コアは、ステントの引っ張りを容易にする円錐形部分も含むことができる。さらに、拡張は熱を供給しながら起こることができる。
【0039】
締結手段は、特に好ましくは、コアの穴に導入される針またはマンドレルである。針またはマンドレルは、例えば、内部からコアの外に移動することができ、または外部からコアに差し込むことができる。この目的のために、例えば、自動プロセスは、ロボットまたは油圧システムを用いて実施することができるが、セルの手動応用も実施することができる。
【0040】
さらなる有利な実施形態によれば、ステントのセルの変化した形状は、加熱プロセスによって永続的に固定される。かかる固定は、特に、温度上昇時に加熱プロセスによって貯蔵された形状を採用する記憶金属の使用に特に有利である。恒久的固定とは、ステントが圧縮状態に暫定的に変化しても、セルの形状が拡張状態に維持された状態で、ステントの拡張状態におけるステントのセルの形状が固定されると理解されるべきである。ステントを体内に導入すると、ステントおよびそのセルは、体の熱により、製造プロセス中に教えられた形状を再びとることができる。
【0041】
本発明は、有利な実施形態および添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明によるステントを拡張状態で示す側面図である。
図2】拡張状態の図1のステントを示す平面図である。
図3図1のステントを平面に投影した切断面図である。
図4】接続部によって画定される角度の例示を伴う図3の切断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1および図2は、ステント10を示す。ステント10は管状のデザインを有し、リジッド部12と、リジッド部12に隣接するフレキシブル部14と、フレキシブル部14に隣接する固定部16とを有する。
【0044】
リジッド部12は、3つまたは4つの接続部20を介して他の菱形状のセル18にそれぞれ接続された菱形状の(閉じた)セル18から形成されている。菱形状のセル18は、金属から形作られたクモの巣状の境界要素22によって画定される。
【0045】
リジッド部12は、中空器官の分岐部(図示せず)でステント10を使用することを可能にする面取り領域24を含む。
【0046】
面取り領域24は、ステント10の端部を形成し、菱形セル18のいくつかが長手方向Lに細長く形成されるように成されている。最も長い菱形セル18は、図面において参照番号18a最も短い菱形状のセル18は参照番号18bで示す。硬質部12には、最短菱形状セル18bと最長菱形状セル18aの3つが長手方向Lにそれぞれ設けられている。最長の菱形セル18は、この点において、ステント10の中心軸に関して短菱形セル18bの反対側に配置されている。最長および最短の菱形セル18a,18bの3つのグループが互いに隣接して(即ち、周方向に隣接して)設けられている。
【0047】
フレキシブル部14には、鋸歯状または歯状の輪郭を有する開放セル26が配置され、ステント10の周方向において見て、より少ない開いたギザギザの歯形セル25が菱形セル18として設けられている。フレキシブル部は、より少数の開いた鋸歯状セル26の使用のために、長手方向Lに関してより容易に変形可能であり、従って、血管等の長さに容易に適合することができる。
【0048】
固定部16は、固定部16の剛性を高める菱形状のセル18によって形成され、ステント10は、中空の器官内でその位置を確実に維持される。
【0049】
面取り領域24と固定部によって形成されたステントの端部との両方に、(図1にそれぞれ3つが見えるが)4つのそれぞれのアイレット形状のマーカ28は設けられている。面取り領域24のすべての4つのマーカ28は、図2において認識できる。
【0050】
面取り領域24のステント10の最長および最短範囲の点に取り付けられた2つのマーカ28は、対称的に形成される。ステント10の平均長さがある面取り領域24には、さらに2つのマーカ28が取り付けられている。これらの2つのマーカ28は非対称的なマーク28aとして形成され、非対称的なマーカ28aの領域は、ステントの最短範囲に向かって延びている。
【0051】
図3は、図1および図2のステント10のリジッド部12を、いわゆる切断面図で示す。その結果、図3は、ステントの材料に導入された面内の切れ目の投影を示す。したがって、線は切れ目を示す。図1および図2に示す菱形セル18を形成するために、ステント10の拡張時に互いからオフセットして平行に延びる複数の直線切れ目を広げることができる。
【0052】
白い領域として示され、線の間に存在する材料領域は、拡張後に接続部20または境界要素22となる。図3は、ステント10のリジッド部12のみを示す。
【0053】
図3では、延長接続部20aが最も長い菱形セル18aの間に設けられ、ステントの拡張時に全ての菱形セル18のより均一な湾曲開口を生成することが認められる。
【0054】
図4は、周方向を有する接続部20によって形成された入射角を有する図3の図を示す。6つの角度α1、α2、α3、α4、α5、α6が示され、これらは、約22°(α1)の角度から約40°(α2)、50°(α3)、62°(α4)および65°(α6)の角度に亘って、約71°(α6)の角度まで連続的に増加している。剛性領域12から可撓性領域14への変化部に配置された直線状の端部線30は、接続部20を通って周方向に延びており、したがって角度0°を画定する。
【符号の説明】
【0055】
10 ステント
12 リジッド部
14 フレキシブル部
16 固定部
18,18a,18b 菱形セル
20,20a 接続部
22 境界要素
24 面取り領域
26 開いた鋸歯状のセル
28,28a マーカ
30 端部線
L 長手方向
α 角度
図1
図2
図3
図4