【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する本発明のステントによって達成され、特に、いくつかのセルが残りのセルと比較して前記ステントの長手方向に細長い形態で延長されて、前記ステントの面取り前面端部が形成されることよって達成される。
【0008】
面取り端部は、細長いセルにより形成され得る。この点で、長手方向に延びた細長いセルにより、面取り端部を形成するために追加のセルは必要とされない。細長いセルによって、他の管状体と同様に、面取り領域内のセルの同様の配置を選択することも可能になる。
【0009】
細長いセルは、特に、ステントの剛性のあるリジッド部にのみ存在することができる。加えて、ステントは、例えば、可撓性のあるフレキシブル部および/または固定部を備える。細長いセルに関する以下の説明は、リジッド部に関する。
【0010】
追加のセルの回避により、特に半径方向の高い配置力をもたらすことができるステントの構造が得られる。このようにして、例えば分岐部付近の血管を確実に支持することが可能となる。したがって、本発明によるステントは、分岐部の領域、例えば、総腸骨静脈の合流部における静脈閉塞の場合、総腸骨静脈の上部領域の下大静脈に挿入することができる。ステントは、この目的のために12mm以上の直径を有することができる。ステントは、好ましくは12mm〜18mmの直径を有することができる。
【0011】
追加のセルによる分配は、面取り角度を可変に固定することをさらに可能にする。すなわち、この角度が細長いセルの相対的な伸長によって固定できるからである。
【0012】
面取り領域は、分岐部後に血管内に実質的に突出することなく、全体的に中空器官を分岐部まで確実に支持することを可能にする。
【0013】
セルは、1つまたは複数の接続部によって、1つまたは複数の他のセルに接続されることができる。セルの長さは、2つの接続部の間の長手方向の間隔として理解することができ、それぞれの接続部のそれぞれの中心を考慮する必要がある。セルは、前記切り込み部とそのそれぞれの境界要素とを含み、前記接続部は境界要素に属する。
【0014】
本発明によるステントでは、複数の接続部を用いて少なくとも一部のセルをそれぞれ互いに接続されることができる。3つまたは4つのそれぞれの接続部は、特に、面取り領域および/または細長いセルに設けられてもよい。したがって、保持効果は、このようにして達成され得る半径方向の配置力のために特に高くなり得る。
【0015】
ステントは、限界温度以上の貯蔵形状を採用した記憶金属から製造することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、説明、従属請求項および図面から理解することができる。
【0017】
第1の有利な実施形態によれば、細長いセルの少なくともいくつかは、特に、長手方向と平行にまたは略平行に延びる直線または略直線に沿って配置される。これは、例えば、直線上に互いに並んだ少なくとも1つまたは2つのセルを設けることができることを意味する。2つを超えるセルでは、これらのセルの少なくとも1つの少なくとも2つの接続部は、2つのさらなるセルの延長セルに直接接続されることができる。細長いセルの2つのそれぞれの接続部は、特に直線上にある。
【0018】
さらなる有利な実施形態によれば、細長いセルは、複数のグループ、特に9つのグループに分割可能であり、各グループのセルは、それぞれ直線または略直線に沿って配置され、これらの直線は、長手方向と平行または略平行である。全部で12のグループのセルを提供することができ、9つのグループでは伸長したセルを有する。かかるグループの画定により、グループ間の中間スペースは、それ自体がセルを形成することができる。
【0019】
したがって、セルの配置は、各セルが直線または略直線に沿って配置されるように選択することができる。さらに、セルは、これらの系統の1つに対して対称的に形成することができる。したがって、特に、他のセルに対して傾いているかまたは回転しているセルは存在しない。このようにして回転されたセルによる構造の弱化を回避することができる。
【0020】
グループ内の全てのセルは、特に、各々は、長手方向に見て同じ長さ又は略同じ長さを有することができる。あるいは、異なる長さを有するセルをグループ内に設けることもできる。
【0021】
異なるグループのセルによって形成される線は、好ましくは、互いに平行にまたは略平行に延びる。
【0022】
それぞれ等しい量のセルは、さらに好ましくは、各グループにおいて、長手方向軸線に垂直に延在する断面平面から面取り前面端まで設けられる。半径方向の配置力は、ステントの長さにわたって実質的に一定であるグループ内においてそれぞれ等しい数のセルを設けることによって達成され得る。同じ数のセルを、好ましくは、ステントのリジッド部の各グループに設けることができる。
【0023】
ステントのいわゆる平坦投影において認識され得るそれぞれの角度は、特に、同数のセルの使用時におけるセルの接続部によって形成され得る。角度は、周方向(すなわち、平坦投影の中の直線)と直線によって決定され、直線はセルの接続部を通って延びる。これは、それぞれのセルの少なくともいくつかの接続部が、平坦な投影内の直線上にあることを意味する。角度は、ステントの面取り端部に近づくほど大きくなり、好ましくは、4つ、5つ、または6つの角度が設定される。
【0024】
セルの端部は、面取り端部自体の平坦投影において直線を形成することはできないが、正弦曲線に近似する曲線を画定することができる。平坦投影におけるかかる正弦曲線は、3次元ステントにおける正確に平面の切断表面を有する傾斜した開始カット(面取り領域)をもたらす。
【0025】
セルは、第1の角度が20°〜24°の範囲にあり、第2の角度が37°〜44°の範囲にあり、第3の角度が48°〜52°の範囲にあり、第4の角度が60°〜64°の間の範囲内にあり、第5の角度が63°〜67°の間の範囲にあり、第6の角度が69°〜73°の間の範囲にあるように構成される。最も大きな角度は、特にステントの面取り端部に最も近くであり、最小の角度は、面取り端部から最も遠くにある。さらに、角度0°を設けることができる。これは、接続部が周方向に沿って配置される平坦投影にステントの位置が存在することを意味する。0°の角度は、リジッド部からフレキシブル部(硬質領域から柔軟領域)への変化時に提供することができる。グループのセルは、記載された角度を形成するために異なる長さであり得る。
【0026】
かかる角度の選択により、特に長い耐久性を有する非常に安定なステントを製造できることが判明した。
【0027】
さらなる有利な実施形態によれば、隣接するグループのセルの長さは、周方向において最大から最小まで低下する。最大長さを有するセルは、特に、ステントの中心軸に関して最小の長さを有するセルに対向して配置される。かかる配置によって面取りを生成することができる。
【0028】
セルの少なくともいくつかは、接続部によって互いに接続されることがさらに好ましく、細長いセル間の接続部、特に最長のセルの間のみが細長く形成される。最長のセルの開口部は、細長く伸ばされまたは拡大された接続部により短くすることができ、それによって、すべてのセルの均一な湾曲開口がステントの拡張時に達成され得る。かかる一様な湾曲開口は、半径方向の配置力の均一な分布と特に堅牢なステントとを順にたらすことができる。
【0029】
少なくとも1つのマーカは、好ましくは、面取り端部から離れる長手方向に、特にアイレット(eyelet)すなわち針孔形態で延在することが好ましく、マーカは非対称形状を有する。マーカは、X線に対する不透過性が高められた、すなわちX線で特に容易に目に見えるステントの部分であり得る。マーカは、特に、例えば、タンタルで満たされているか、またはタンタルによって覆われているアイレットであり得る。マーカは、非対称形状のために面取り領域に取り付けることもできる。なぜなら、マーカは面取りから離れるように延在することができるからである。
【0030】
換言すれば、マーカは、長手方向においてステントの最長と最短の間の領域に配置することができる。マーカは、X線で特に容易に認識されるように、非対称形状のために十分に大きく設計され得る。さらに、さらなるマーカを提供することができる。面取りの先端にある。さらに別のマーカは、例えば、ステントの最短点で面取り部に取り付けられてもよい。
【0031】
さらなる有利な実施形態によれば、少なくとも2つの非対称マーカが面取り端部に設けられ、特にマーカはステントの軸線に対して互いに対向して配置される。従って、2つのマーカは、ステントの軸線と面取り部の先端とを通って延びるステントの平面に対して対称に配置され得る。非対称マーカは、例えば、かかる配置のためにX線において整列させることができる。その結果、ステントの位置はX線で特に容易に認識される。
【0032】
さらなる有利な実施形態によれば、ステントは、リジッド部に隣接するフレキシブル部を含む。フレキシブル部は、面取り端部に対向して配置される。フレキシブル部は、リジッド部のセルよりも平坦投影においてより大きな面積を有するセルを有することができる。フレキシブル部は、より大きなセルに起因してより容易に曲げることができ、それによって、フレキシブル部は、簡単な方法で中空器官の程度の形状に適合させることができる。フレキシブル部のセルは、好ましくは歯状の境界を有することができる。
【0033】
さらに別の有利な実施形態によれば、ステントは、フレキシブル部に隣接する固定部を含む。固定部のセルは、リジッド部のセルに対応することができ、例えば、菱形にすることができる。固定部は、菱形状のセルのために小さな柔軟性を有することができ、ステントを中空器官のその位置に固定することができる。固定部は、ステントの端部から離れて延びるマーカが取り付けられ得るステントの直線端部を形成することができる。マーカは、アイレットの形状を有することができ、同様に、例えば、タンタルで覆われているか、タンタルで満たされている。ステントは、ステントを中空器官内に導入する際に、固定部のマーカを用いてデリバリカテーテル内に固定することができる。
【0034】
本発明はさらに、ステントを製造する方法に関連し、該方法は、
a)前記ステントが管状材料から切り出され、そして、
b)前記ステントがその拡張状態まで拡張される。本発明の方法は、c)ステントのセルの形状が変化させられ拡張状態で固定されることを特徴とする。
【0035】
個々のセルは、個々のセルの均一な拡張挙動がセルの形状の変化によって達成されるように、それぞれ形状づけることができる。このようにして、拡張時の不均一な力分布のために典型的には非対称かつ過度に拡張する、面取り領域の近傍の短中型セルでは、破断の危険性を特に低減することができる。
【0036】
例えば、鋭角は、菱形の各角部で4つまでの接続部を有する菱形のセルが70°より小さく、好ましくは60°より小さくなるように縮小または変更することができる。これは、構造上の均一な力散逸によって面取り領域の領域におけるより大きな外力にステントがよりよく耐え、ステントの崩壊またはステントの破損のリスクがかなり減少するという結果をもたらす。
【0037】
さらに、この方法を用いることにより、セルの拡張をあまり大きくすることができないようにすることが可能であり、これにより、接続部への損傷を回避することができる。
【0038】
有利な実施形態によれば、締結手段が取り付けられるコアは、コアを広げてステントのセルの形状を変化させ、固定するために使用される。したがって、個々のセルの拡張挙動は、締結手段によって適合させることができる。その結果、セルの形状は、純粋に円筒形のコアの使用時の拡張に対して変化する。かかる円筒形コアは、ステントの引っ張りを容易にする円錐形部分も含むことができる。さらに、拡張は熱を供給しながら起こることができる。
【0039】
締結手段は、特に好ましくは、コアの穴に導入される針またはマンドレルである。針またはマンドレルは、例えば、内部からコアの外に移動することができ、または外部からコアに差し込むことができる。この目的のために、例えば、自動プロセスは、ロボットまたは油圧システムを用いて実施することができるが、セルの手動応用も実施することができる。
【0040】
さらなる有利な実施形態によれば、ステントのセルの変化した形状は、加熱プロセスによって永続的に固定される。かかる固定は、特に、温度上昇時に加熱プロセスによって貯蔵された形状を採用する記憶金属の使用に特に有利である。恒久的固定とは、ステントが圧縮状態に暫定的に変化しても、セルの形状が拡張状態に維持された状態で、ステントの拡張状態におけるステントのセルの形状が固定されると理解されるべきである。ステントを体内に導入すると、ステントおよびそのセルは、体の熱により、製造プロセス中に教えられた形状を再びとることができる。
【0041】
本発明は、有利な実施形態および添付の図面を参照して以下に説明される。