(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、印刷物に通常照明下で見える印刷と、フラッシュ光等の光源で見える印刷とを重ねて印刷物に印刷したメディアでは、2つの表現の印刷が重なっているため、通常照明下で見える印刷が、フラッシュ光のための表現を隠すことになり、あるいはギミックのための表現が通常照明下でも見えてしまって、いわゆるネタバレを起こして変化に乏しく、十分なギミック効果が得られないものであった。また、印刷物に通常照明下で見える印刷と、フラッシュ光等の光源で見える印刷とを重ねて印刷物に印刷するため、一度の印刷(1パス)では印刷できないものであった。
【0006】
本発明は、印刷物に通常照明下で見える印刷と、フラッシュ光等の光源で見える印刷とを同一の印刷装置で、一度に印刷(1パス)することができるギミック表現メディアの製造方法及びギミック表現メディア用のデータ処理方法を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のギミック表現メディアの製造方法は、光透過層を有する印刷用媒体を用いて、前記印刷用媒体にギミック効果を演出する印刷層を形成するギミック表現メディアの製造方法であって、前記印刷用媒体の前記光透過層を部分的に覆って光を遮断する光遮断層を前記印刷用媒体に形成する光遮断層形成工程と、前記光遮断層上に反射絵柄を形成する反射絵柄印刷工程と、前記光透過層を透過する光に色の変化を与えて前記ギミック効果を演出するためのギミック印刷層を形成するギミック印刷工程と、を有し、前記光遮断層形成工程は、ストライプ状またはドット状の格子パターンを用いて前記印刷用媒体の光透過層を覆うように前記印刷用媒体の上に前記光遮断層を配置する工程とし、前記反射絵柄と、前記ギミック印刷層と、を前記ストライプ状またはドット状の前記格子パターンで互いに隣接して配置し、前記反射絵柄を形成する前記反射絵柄印刷工程と前記ギミック印刷工程とを同一の印刷装置を用いて共通の画像データを用いて一つの工程で(1パス)で行う、ものである。
【0008】
また、前記印刷用媒体の前記光透過層は、反射光下では黒色反射する層であって良い。前記反射絵柄と前記ギミック印刷層との間に反射光下では黒色反射するネタバレ防止ゾーンを形成する工程を含んで良い。前記光透過層を透過する光を、紫外線発光体、蓄光体、ソルバトクロミック蛍光色素、応力発光体、再帰反射媒体、自然太陽光のいずれかにより得るものであって良い。
【0009】
また、更に上記課題を解決するため、本発明のギミック表現メディアの製造方法は、印刷用媒体にギミック効果を演出する印刷層をプリントするギミック表現メディアの製造方法であって、前記印刷用媒体に発光インクを用いて前記ギミック効果を演出するためのギミック印刷層を形成するギミック印刷工程と、前記印刷用媒体を部分的に覆う光遮断層を前記印刷用媒体に形成する光遮断層形成工程と、前記光遮断層上に反射絵柄を形成する反射絵柄印刷工程と、を有し、前記光遮断層形成工程は、ストライプ状またはドット状の格子パターンを用いて前記印刷用媒体の一部を覆うように前記印刷用媒体の上に前記光遮断層を配置する工程とし、前記反射絵柄と、前記ギミック印刷層とは、前記ストライプ状またはドット状の前記格子パターンによって隣接して配置し、前記反射絵柄を形成する前記反射絵柄印刷工程と前記ギミック印刷工程とを、同一の印刷装置を用いて共通の画像データを用いて一つの工程で(1パス)で行うものである。
【0010】
また、本発明のギミック表現メディアの製造方法は、前記印刷用媒体の前記光透過層は、反射光下では黒色反射する層であって良い。前記反射絵柄と前記ギミック印刷層との間に反射光下では黒色反射するネタバレ防止ゾーンを形成する工程を含んで良い。前記発光インクを、紫外線発光体、蓄光体、ソルバトクロミック蛍光色素、応力発光体、のいずれかを含むインクとして良い。
【0011】
また、更に、上記課題を解決するため、本発明のギミック表現メディアの用のデータ処理方法は、印刷用媒体にギミック効果を演出する印刷層をプリントするギミック表現メディアを印刷するためのデータ処理方法であって、前記印刷用媒体を部分的に覆う光遮断層の上に反射絵柄を形成する反射絵柄印刷用の印刷データと、前記ギミック効果を演出するためのギミック印刷のためのギミック印刷データと、を作成するに際して、前記反射絵柄印刷用の印刷データと前記ギミック印刷のための前記ギミック印刷データとをストライプ状またはドット状の格子パターンを用いて互いに隣接させて一つの共通の画像データに組み合わせて印刷データを形成して、同一の印刷装置を用いて一つの工程で(1パス)で前記反射絵柄印刷と前記ギミック印刷とを行う印刷データ構成とするものである。
【0012】
また、本発明のギミック表現メディアの製造方法では、前記反射絵柄と前記ギミック印刷との間に反射光下では黒色反射するネタバレ防止ゾーンを設けた印刷データを形成して良い。ギミック印刷工程及び反射絵柄印刷工程は、同一のインクジェット印刷工程用の印刷データであって良い。
【0013】
上記本発明の製造方法によって得ることができるギミック表現メディアの基本構成は、観察する者への表現として、ギミック媒体(印刷物)に通常照明下で見える反射絵柄印刷を見せておき、次に観察する者の目に直接照射する光による表現を行うために予め準備印刷しておいたギミック印刷により、反射絵柄印刷とは異なる表現を現出させてギミック表現を行うものである。ギミック表現のためのギミック印刷は、光を当てると(スマートフォン等でフラッシュ撮影するときなど)メディアの最後部に設けた再帰反射要素が照射された光を反射して、この光がギミック印刷により様々な色の表現を現出し、通常照明下で見える反射絵柄印刷とは異なる表現を表すものである。
ギミック表現のためのギミック印刷は、観察する者の目に直接照射する光による表現であるので、再帰反射要素が照射された光を反射する仕組みのほかに、電飾看板を利用することもできる。
電飾看板の場合、再帰反射メディアの代わりにバックライト(電飾)を点け、観察する者の目に直接照射する。バックライト(電飾)を点滅させたり光の強弱をつけ、この電飾看板の光をギミック印刷で図柄等を着色してギミック表現を行う。また、室外と室内との明暗差を使って太陽光を利用すると、室内から太陽光を見る時に、この太陽光をギミック印刷(図柄等)で着色してギミック表現ができる。
本発明では、一つの側からの観測を主にしているが、室外と室内との明暗差を使う場合には、両面(室外側と室内側の両面)から観測できるので、本発明における(白色の)光遮断層が、両面から見えるように、(白色の)光透過層302の裏側の光遮断層に対向する面に反射絵柄印刷を行うことができる。すなわち、実施例に示すように上面(第10図の上側)の反射絵柄印刷に加えて、光透過層302の裏側の光遮断層に対向する面(光遮断層の裏側が見える面から(例えば第10図の場合は下側)からも見えるように)反射絵柄印刷を行うと、室外側と室内側の両面から図柄の変化(反射光のバラエティが増し、さらなるギミックが楽しめる。
【0014】
また、ギミック媒体(印刷物)においては、スマートフォン等でフラッシュ撮影するときなどの光に反応するように印刷用媒体に印刷した発光インクによる光を用いるギミック印刷の構成も利用できる構成を対象としている。印刷物に通常照明下で見える印刷は、観察する者の目に直接照射する光を遮断する光遮断層を設けて、ギミック印刷を隠し、光遮断層に反射絵柄を形成して反射絵柄印刷とする。反射絵柄印刷用の印刷データとギミック印刷のためのギミック印刷データとをストライプ状またはドット状の格子パターンを用いて互いに隣接させて配置構成する。光遮断層もストライプ状またはドット状の格子パターンを用いる。反射絵柄印刷用の印刷データとギミック印刷のためのギミック印刷データとをストライプ状またはドット状の格子パターンを用いて互いに隣接させて配置構成することで、一つの共通(一枚)の画像データに組み合わせて印刷データを形成し、同一の印刷装置を用いて一つの工程で(1パス)で反射絵柄印刷とギミック印刷とを行うことを可能とするものである。
【発明の効果】
【0015】
上述のような、ギミック表現メディアの製造方法、あるいはギミック表現メディアを印刷するためのデータ処理方法では、反射絵柄印刷用の印刷データとギミック印刷のためのギミック印刷データとを基本的には重なることなく配置して構成しているので、より高いギミック効果が得られる。ギミック効果の下地として不可欠な反射絵柄印刷と、ギミック効果に必要な時に光を用いて演出がなされるギミック印刷との2つの印刷を行う時に1パスで印刷でき、2回印刷に比べて印刷装置と印刷媒体によるズレで、2つの印刷が重なりやズレが発現せず、より自由度の高い図柄が綺麗に印刷でき、ギミック効率が高まる。
【0016】
また、観察する者の目に直接照射する光による表現として、印刷用媒体の光透過層から透過する光または印刷用媒体に印刷した発光インクによる光を、着色してギミック効果を演出するためのギミック印刷は、黒を背景とするか、または黒い色(黒に近い色を含むが限定されない)に着色した透明な媒体(透明なプラスチックシート)等を用いて、反射光下では黒色反射する層にしておくことで、反射光下ではギミック印刷が目立ちにくくなりネタバレ防止ができる。また、反射絵柄とギミック印刷層との間に反射光下では黒色反射するネタバレ防止ゾーンを形成すると、更にネタバレ防止ができる。
【0017】
観察する者の目に直接照射する光による表現(ギミック印刷として)は、紫外線発光体、蓄光体、ソルバトクロミック蛍光色素、応力発光体、再帰反射媒体、等を発現する発光インクを用い、あるいは背面からの自然太陽光等を使用することができる。
【0018】
ギミック効果を出すため、ギミック印刷は、黒を背景とするか、または黒い色(黒に近い色を含むが限定されない)に着色した透明な媒体(透明なプラスチックシート)等を用い、反射光下では黒色反射する層とし、更には反射絵柄とギミック印刷層との間に反射光下では黒色反射するネタバレ防止ゾーンを形成すると、更にネタバレ防止ができるが、観察する者の目には、通常照明下で見える反射絵柄印刷が目の錯覚で暗く見える場合が生じるので、通常照明下で見える反射絵柄印刷を、当初に原図の図柄より明るく印刷する補正が、効果を高める場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明を実施するための具体的な内容(その1)
図1は、本発明の1番目の実施例であるギミック表現メディアの各層を機能別に分解して示す図、
図2は、同実施例におけるギミック表現メディアの部分拡大断面図、
図3(a)は、同実施例において通常(常時)見え方(表現)を示すメディアの平面図、
図3(b)は、同実施例においてフラッシュ撮影の時の見え方(表現)を示すメディアの平面図、
図4は、同実施例において、さらには、前記ギミック光透過層上にインクジェットで印刷される黒色インクでのギミックカムフラージュ層を示す部分拡大平面図である。
図を用いて、本発明の実施例としてのギミック表現メディア及びその製造方法を以下に説明する。
本実施例としてのギミック表現メディア100は、背面に黒色の反射層2を備え、再帰反射要素3を内包する再帰反射メディア1上に形成される各層から構成される。各層は、すなわち再帰反射メディア1上に配置され再帰反射メディア1の再帰反射光に色の変化を与えてギミック効果を演出するため所定のパターン4を備えた光透過性のギミック印刷層5、再帰反射メディア1の再帰反射光を部分的に遮断する光の遮断層6、及び光の遮断層6上に印刷され常時に反射絵柄7(文字やパターン等を含む)を見せる最前面の反射絵柄印刷層8である。
【0021】
これらの各層の印刷はインクジェットプリンタ(図示しない。)により、直径1ミリメートルから1.2ミリメートル前後の円形のドットパターンを用いてメッシュ状に形成される。ギミック表現メディア100は、最前面に各インクジェット印刷層の保護のためにプラスチック等の保護層9を適宜設ける。また、ギミック印刷層5上に黒色インクで所定の厚みのギミックカムフラージュ層10が形成される。ギミックカムフラージュ層10は、ギミック印刷層5のパターン4が常時において見えるのを防ぐためのものである。ギミック印刷層5の上にギミックカムフラージュ層10を設ける際には、黒色インク等を用いて印刷の厚みを適切に選択する。ギミック印刷層5のパターンが常時では見えにくくすることができる反面、見る人へのギミック光透過層の光量(輝度)が下がるので、ギミック印刷層5の印刷を行う時に色の輝度をあらかじめ上げる補正をして印刷をすることが必要である。これで、相対的に問題が解決できる。黒色インク等を用いてギミックカムフラージュ層10の印刷の厚みを適切に選択する(カットアンドトライする)ことも大切である。
【0022】
再帰反射メディア1は、公知の再帰反射を利用したメディアであり、プリズム又はガラスビーズ(基本的には背面に反射層が必要)などで形成される再帰反射要素3を有している。このため再帰反射メディア1は、相対的に高度な光の反射率を有し、道路標識やナンバープレート等によく用いられる。公知の再帰反射メディアは、背面に白色の反射層を備えている。背面を白色にすることで、反射光量を高め明るさが増すので、業界のスタンダードになっている。しかし、本発明の実施例としてのギミック表現メディア100では、ギミック表現を行うために、原則として背面に黒色の反射層2を備えていることでより良いギミック効果を得ていることに注視すべきである。背面の黒色の反射層2は、印刷により構成しても良いし、プリズム又はガラスビーズなどで形成される再帰反射要素3を定着させるための接着剤等に黒色の接着層を設けて構成しても良い。再帰反射メディア1は上記の例以外に、マイクロプリズム原理の再帰反射素材を用いても良いし、可視状態で黒ベースであれば同じことが再現できる。また、シートだけではなくシルクスクリーンインクで下地を作ることができる。要は、黒色の反射層を備えていることで、フラッシュ撮影等に光を当てた時に、再帰反射メディア1である再帰反射層からの再帰反射光が、よりドラマティックに表現される。背面を白色にすると、常時の時にパターンが見えてネタバレ(フラッシュ撮影等に光を当てた時にのみ見えるべきミック光透過層5のパターンがうっすらと見えてしますこと)しギミック効果が薄れる。再帰反射メディアは、反射ガラスビーズの外側に反射層(アルミ蒸着)が付加された特殊ビーズを用いて構成すると、背面に反射層を設けなくてもビーズ自体が光を反射するので再帰反射効果が得られる。このような特殊ビーズを含むシルクスクリーンインキを用いて再帰反射メディアを構成しても良い。
【0023】
再帰反射メディア1上に形成される各層からなるギミック表現メディア100の製造行程を以下に説明する。まず、前述した再帰反射メディア1が準備され、再帰反射メディア1上に、再帰反射光に色の変化を与えてギミック効果を演出するための所定のパターン4(
図3(b)では桜の花で背景は黒色やピンクの一色になっている)を備えた光透過性のギミック印刷層5がインクジェット印刷により光の遮断層6及びその上の反射絵柄印刷層8以外の部分に(光の遮断層6と重ねない(オーバラップしない)ように)メッシュ状に形成される(ギミック光透過層印刷工程)。ギミック光透過層印刷工程では、ギミック効果を得るため、再帰反射光に色の変化を与えるようにカラーで絵柄のパターン4が、前述したように透光性のインクを用いてインクジェットプリンタにて再帰反射メディア1上に形成される。この結果として再帰反射メディア1に入力し再帰反射した光が所定のパターン4に着色(青色・赤色・黄色で)光のパターン4が表現される(再帰反射メディア1にフラッシュなどの光を当てたとき)。
【0024】
次に前記再帰反射メディア1の再帰反射光を部分的に遮断する光の遮断層6がインクジェット印刷により光透過性のギミック印刷層5を覆わない(重ねない)ようにメッシュ状に形成される(光遮断層印刷工程)。光の遮断層6は、再帰反射光遮断の効果を得るための通常は、白色インクを用いて行う。なお、前記ギミック光透過層印刷工程及び前記光遮断層印刷工程による印刷は重なり部分がないことが必要である。また、ギミック印刷層5と光の遮断層6の全体の面積比率は、50%50%の同面積比率でも良いが、ギミック印刷層5の面積比率が多いとネタバレしやすくなる。ギミック印刷層5の面積比率が少ないとギミック効果が十分でない場合があるので、適宜面積比率を選択する。なお、印刷に重なり部分がないことから、光透過層印刷工程及び前記光遮断層印刷工程による印刷は、同一のインクジェット印刷工程により一回の印刷工程(印刷パス)で行うのも良い。2つの絵柄(印刷パターン)は印刷する箇所が違うのでピッタリと合わせた1つのデータにすることができ、このようにしておけば、1回の印刷工程でズレなく印刷できる。吐出される材料(インク)は、反射絵柄印刷層8への印刷が色の3原色であるシアン・マゼンダ・イエローのインクであり、光透過性のギミック印刷層5の印刷は透光性のインクで印刷されるが、適切に選んでインクジェットプリンタにセットして形成するようにすれば製造工程(印刷パス)が簡略化され印刷の重なりも防げる。
【0025】
また、ギミック印刷層5と光の遮断層6の各層の印刷はインクジェットプリンタ(図示しない。)を用いて、前述のように直径1ミリメートルから1.2ミリメートル前後の円形のドットパターンを用いてメッシュ状に形成されるが、ドットパターンの直径が大きいとギミック印刷層5の目視が常時可能となりギミック表現メディア100としてのギミック効果が薄れるので、直径1ミリメートルが適切である。
【0026】
最前面に各インクジェット印刷層の保護のためにプラスチック等の保護層9を適宜設ける。また、ギミック印刷層5上にのみ黒色インクで所定の厚みのギミックカムフラージュ層10が形成される。
【0027】
光遮断層印刷工程による光の遮断層6の形成のための印刷は、白色インクで行うが、これは再帰反射光遮断の効果のためと、常時に絵柄や文字を見せるため前面に出てくる反射絵柄7(文字も適宜印刷する。)の印刷を綺麗に行なう(絵柄の発色を良くするため)ためである。一回のインクジェットプリンタによる印刷では再帰反射光遮断の効果が得られない場合があり、2〜3回の印刷が必要になることもある。また、この場合全ての光遮断層印刷工程で白色インクを用いて形成しても良いが、白色インクに黄色色インクを適宜混ぜることで一回の印刷でも再帰反射光遮断効果が得られる場合がある。
【0028】
次に光の遮断層6上に常時に絵柄や文字を見せるため最前面に出てくる反射絵柄7(文字も適宜印刷する。)の印刷を行う(絵柄印刷工程)。光の遮断層6は、白色インクで印刷するので、反射絵柄7(文字も適宜印刷する。)の印刷部分との間にズレがあると、反射絵柄7の後ろから光の遮断層6の白色が見えて目立つことが考えられる。白色が目立たないように反射絵柄7の色部分を大きく(ドットパターンを太らせてズレの部分の白色を吸収する)印刷して白色インクが見えるのを隠すように反射絵柄7の印刷データ(またはプログラム)に工夫が必要な場合がある。
【0029】
また更なるギミック効果の向上の工夫として、ギミック光透過層印刷工程の後に更に、ギミック印刷層5のパターン4が常時において判別(うっすらと見える程度に)される(ネタバレ)ことを緩和(カムフラージュ)するために、ギミックカムフラージュ層10を印刷する(ギミックカムフラージュ層印刷工程)。黒色インクを用いて印刷の厚みを適切に選択することで、ギミック印刷層5のパターンが常時では見えにくくすることができる。ギミックカムフラージュ層10により、見る人へのギミック光透過層の光量(輝度)が下がるが、ギミック印刷層5の色の輝度をあらかじめ上げおいて印刷をすることで、相対的に問題が解決できる。ギミックカムフラージュ層10を印刷する工程では、光の遮断層6上に常時に絵柄や文字を見せるための反射絵柄7(文字も適宜印刷する。)の印刷と重ならないので、同一のインクジェット印刷工程により一回の印刷工程で所定のパターンを形成する工程で同時に行うことができる。
【0030】
ギミック光透過層印刷工程及び前記光遮断層印刷工程は、同一のインクジェット印刷工程により一回の印刷工程で所定のパターンを形成する工程としてよく、製造工程が簡略化され印刷の重なりも防げる。
【0031】
発明を実施するための具体的な内容(その2)
次に、本発明の別の実施例を説明する。
図5(a)は、前述の実施例における工程説明図であり、(b)は本発明の別の実施例の工程説明図である。前述の実施例における同じ構成、工程は説明を略する。この実施例では、ギミック光透過層印刷工程と絵柄印刷工程とを、同一のインクジェットプリンタにより共通の印刷工程により一回の印刷で行なうものである。2つの絵柄(印刷パターン)をピッタリと合わせた1つのデータにしておけば、1回の印刷工程でズレなく印刷できる。本別の実施例の工程では再帰反射メディア1の上に、まず再帰反射光を部分的に遮断する光の遮断層6がインクジェット印刷により形成される(光遮断層印刷工程)。光の遮断層6は、再帰反射光遮断の効果を得るため白色インクを用いて行う。なお、光の遮断層6は後の工程のギミック光透過層印刷工程によるギミック印刷層5の印刷パターン部分を除いて形成され、重なり部分がないことが必要である。本実施例では、光の遮断層6がインクジェット印刷により白インクで2回印刷し充分な厚みの光の遮断層6を形成している。
【0032】
次に光遮断層印刷工程で形成された光の遮断層6上に、常時に絵柄や文字を見せるため最前面に出てくる反射絵柄7(文字も適宜印刷する。)の印刷を行う(絵柄印刷工程)。そして、この絵柄印刷工程では、反射絵柄7の印刷とギミック印刷層5のパターン4のギミック光透過層印刷工程が、同一のインクジェットプリンタを用いて共通のインクジェット印刷工程を一回で行う。反射絵柄7とギミック印刷層5のパターン4(印刷パターン)では印刷する箇所が違うのでピッタリと合わせた1つのデータにすることができ、このように2つの図柄の印刷データをピッタリと合わせた1つのデータにしておけば、1回の印刷工程(印刷パス)でズレなく印刷できる。反射絵柄7は、光の遮断層6以外のところにパターンが形成されるから、同じインクジェットプリンタにより光の遮断層6のパターンの印刷と同時にできる。これで製造工程が簡略化され印刷の重なりも防げる。
【0033】
発明を実施するための具体的な内容(その3)
次に、本発明の別の実施例を説明する。
図6は、本発明の別の実施例であるギミック表現メディアにおいて通常(常時)見え方を表現する絵柄印刷層の反射色による反射色パターンの原画と、原画からストライプ状またはドット状の格子パターン有する反射色パターンを作成される様子を示している。
図7は、同実施例においてフラッシュ撮影の時に表現する機能性メディアの光色パターンの原画と、原画からストライプ状またはドット状の格子パターンが作成される様子を示している。更に
図8を用いて、本実施例のギミック表現メディアのギミック効果の具現を説明する。
【0034】
本実施例におけるギミック表現メディア200は、エネルギーを加えると自発光するかまたは光を反射する機能性メディア201と、常時に絵柄や文字の反射色を見せる絵柄印刷層202とが、ストライプ状の格子パターン203Sまたはドット状の格子パターン203Dを用いて配置される。
図6において、まず通常(常時)の見え方を表現する絵柄印刷層202の反射色による反射色パターン204の原画204Gが準備され、原画204Gからストライプ状またはドット状の格子パターンを有する反射色パターン204S、204Dが絵柄印刷層202に色の3原色であるシアン・マゼンダ・イエローのインクにより印刷される。反射色による反射色パターン204S、204Dを用いて、(仮に2個のかぼちゃが)インクジェットプリンタ(図示しない。)により印刷される。オフセット印刷でも良い。反射色パターン204S、204Dは、直径0.8ミリメートルから1.2ミリメートル前後の円形のドット状の格子パターン203Dの穴を印刷せずに除いてメッシュ状に形成されるか、または幅0.3ミリメートルから0.8ミリメートル前後のストライプ状の格子パターン203Sを印刷せずに除いてメッシュ状に形成される。この印刷せずに除いた穴やストライプの格子パターンの印刷されない部分に機能性メディア201の光色パターン205を配置する。反射色パターン204S、204Dの様子を
図6で拡大して示す。ストライプ状の格子パターン203Sまたはドット状の格子パターン203Dが、微細なため全体としては原画204Gと変わらないように(2個のかぼちゃが)見える。
【0035】
更に
図7において、フラッシュ撮影の時に表現する機能性メディア201の光色パターン205は、まず原画205Gが準備される。この原画205Gからストライプ状またはドット状の格子パターン203S、203Dを用いて機能性メディア201の光色パターン205Sあるいは205Dを作成する。光色パターン205Sあるいは205Dは、光の3原色である赤色、緑色、青色で図柄や文字が表現される。前述したように反射色パターン204S、204Dは、印刷せずに除いたメッシュ状に格子パターン203S、203Dで形成されているので、その印刷されない部分にちょうど位置合わせして機能性メディア201の光色パターン205(205Sあるいは205D)を配置する。前述したように反射色パターン204は、ストライプ状の格子パターン203Sまたはドット状の格子パターン203Dで印刷されていない部分を有しているので、この印刷されていない部分に、光色パターン205Sあるいは205Dが配置される。
図7に示すようにフラッシュ撮影の時等において表現する光色パターン205(ハロウィーンお化け)の印刷あるいは配置は、
図7の拡大部分では、格子パターン203Sまたはドット状の格子パターン203Dが見えるが、隣接して反射色パターン204S、204Dを配置するので、
図8で示すように通常の環境(太陽光や照明下等)では、光格子パターン203S(またはドット状の格子)が微細なため全体としては、むしろ
図8左のように原画204Gと変わらないように(2個のかぼちゃが)見え、全体としては光色パターン205Sは目立たない。
【0036】
図8で示すように、常態(自然光や電灯下)では、絵柄印刷層202全体として反射色パターン204Sが(仮に2個のかぼちゃ)原画202同様に見える(図左)。そして、エネルギーを加える(フラッシュ発光等)と、機能性メディア201(本実施例では前述した再帰反射メディアを使用している。)が反応して、光色パターン205S(ハロウィーンお化け)が発光あるいは反射光により出現し、
図8右で示すように、反射色パターン204S(2個のかぼちゃ)の後ろからが光色パターン205S(ハロウィーンお化け)が出現して見える。
【0037】
本実施例では、反射色パターン204(2個のかぼちゃ)と、機能性メディア201の光色パターン205とがインクジェットプリンタ(図示しない。)やオフセット印刷で、紙や布、プラスチック上に印刷されるが、機能性メディア201の光色パターン205を避けて、あるいは覆うように機能性メディア201の上に反射色パターン204(2個のかぼちゃ)が印刷されても良い。すなわち機能性メディア201を再帰反射メディアにより構成することで、前述した前の実施例の構造がそのまま適用可能となる。絵柄印刷層202を機能性メディア201上に配置し、機能性メディア201の光色パターン205による表現を部分的に隠す構成とすれば良い。また、機能性メディア201を紫外線発光体、蓄光体、ソルバトクロミック蛍光色素、応力発光体のいずれかを有するメディアにより構成することで、以上に述べた実施例と同様の構成が得られギミック効果が得られる。ストライプ状の格子パターン203Sは、ストライプの方向を、メディアのベースとなる紙や布の印刷時の送り方向に平行に設定すると、反射色パターン204Sと光色パターン205Sのズレの調整が、送り方向に垂直な幅方向のみとなるので、有利である。
【0038】
これらの格子パターン203D、203Sはインクジェットプリンタ(図示しない。)により、メッシュ状に形成されるが、より通常の目視効果を得るため。光色パターン205上に黒色インクで所定の厚みのギミックカムフラージュ層10が形成されても良い。ギミックカムフラージュ層10は、光色パターン205が常時において見えるのを防ぐためのものであるが、ギミックカムフラージュ層10を設ける際には、黒色インク等を用いて印刷の厚みを適切に選択する。機能性メディア201を再帰反射メディアにより構成する場合、前の実施例で説明したように、背面に黒色の反射層2を備えていることに注視すべきである。背面の黒色の反射層2は、印刷により構成しても良いし、プリズム又はガラスビーズなどで形成される再帰反射要素3を定着させるための接着剤等に黒色の接着層を設けて構成しても良い。常時では見えにくくすることができる反面、見る人へのギミック印刷層5の光量(輝度)が下がるので、光色パターン205となるギミック印刷層5の印刷を行う時に色の輝度をあらかじめ上げる補正をして印刷をすることが必要である。これで、相対的に問題が解決できる。黒色インク等を用いてギミックカムフラージュ層10の印刷の厚みを適切に選択する(カットアンドトライする)ことが大切である。
【0039】
反射色パターン204と、機能性メディア201の光色パターン205との全体の面積比率は、50%50%の同面積比率でも良いが、ギミック印刷層5の面積比率が多いとネタバレしやすくなる。反射色パターン204と、機能性メディア201の光色パターン205との間には隙間が無い方が良いが、0、1ミリメートルから0.15ミリメートル前後印刷マージン(色インクで埋める)があってもよく、機能性メディア201の光色パターン205を小さめにしても良い。反射色パターン204と、機能性メディア201の光色パターン205は、同一のインクジェット印刷工程により一回の印刷工程(印刷パス)で行うのも良い。2つの絵柄(印刷パターン)をピッタリと合わせた1つのデータにしておけば、1回の印刷工程でズレなく印刷できる。吐出される材料(インク)を適切に選んでインクジェットプリンタにセットして形成するようにすれば製造工程(印刷パス)が簡略化され印刷の重なりも防げる。
【0040】
発明を実施するための具体的な内容(その4)
図9は、本発明の4番目の実施例であるギミック表現メディアの製造方法の各工程を経て得られるギミック表現メディアを分解して示す図、
図10は、同実施例におけるギミック表現メディアの部分拡大断面図である。本実施例中前述した部品と同じ構成については同一の部品番号を付して説明を略する。本製造方法で得ることができるギミック表現メディアの基本構成は、観察する者への表現として、ギミック媒体(印刷物)に通常照明下で見える反射絵柄印刷を見せておき、次に観察する者の目に直接照射する光による表現を行うために予め準備印刷しておいたギミック印刷により、反射絵柄印刷とは異なる表現を現出させてギミック表現を行うものである。
【0041】
本実施例の製造の対象となるギミック表現メディア300は、背面に黒色の反射層2を備え再帰反射要素3を内包する再帰反射メディア1を備える。再帰反射メディア1の上に配置される印刷用媒体301は光透過層302により構成され、この光透過層302は透明の印刷材(プラスチックフィルム等)が使われる。光透過層302には、再帰反射メディア1の再帰反射光に色の変化を与えてギミック効果を演出するためのギミック印刷303が印刷される。また、印刷用媒体301には、再帰反射メディア1が反射する再帰反射光を部分的に遮断する光遮断層304が設けられる。光遮断層304は白色の印刷層で構成される。ギミック印刷303を観察者から見えにくくするとともに、ギミック効果を演出するため通常照明下で見えるように、光遮断層304の上には反射絵柄印刷305が印刷される。反射絵柄印刷305とギミック印刷303とは、ストライプ状(またはドット状)の格子パターン206を用いて互いに隣接させて配置構成する。
【0042】
上記のようなギミック表現メディア300の製造方法を以下に説明する。
図11は同実施例の製造工程におけるギミック表現メディアの平面図における説明図、
図12は、同実施例における各工程後のギミック表現メディアの平面図、
図13は、同実施例における光遮断層と、反射絵柄印刷3とが形成(印刷)されるときの関係を説明する部分拡大説明図、
図14は、更に別の同実施例におけるギミック表現メディアの部分拡大平面図である。まず光透過層302を有する印刷用媒体301を印刷装置(例えばインクジェットプリンタ(図示せず)の印刷位置に配置する(印刷用媒体301のセット工程)。
図11(a)に印刷用媒体301を示す。印刷用媒体301は、黒を背景とするか、または黒い色(黒に近い色を含むが限定されない)に着色した透明な媒体(透明なプラスチックシート)等を用いて、反射光下では黒色反射する層にして、反射光下でギミック印刷303を目立ちにくくしてネタバレ防止している。
【0043】
次に、印刷用媒体301の光透過層302を部分的に覆い透過する光を遮断する光遮断層304を印刷用媒体301の上に形成(印刷)する(光遮断層形成工程)。
図11(b)に示すように、光遮断層304は白色の印刷層で構成される。次に、光遮断層304の上に自然光の一部を吸収して反射色を現出するインクを用いて反射絵柄印刷305(例えば「かぼちゃ」を印刷(
図11(c)参照)する(反射絵柄印刷工程である)。
【0044】
また、同時に、
図11(d)に示すよう、光透過層302を透過する光に色の変化を与えてギミック効果を演出するためのギミック印刷303を、印刷用媒体301の上に形成(印刷)する(ギミック印刷工程)。ギミック印刷303と、反射絵柄印刷305とは、ストライプ状またはドット状の格子パターン306を用いて互いに隣接して配置し、反射絵柄印刷305を形成する反射絵柄印刷工程とギミック印刷303を印刷するギミック印刷工程とを同一の印刷装置を用いて一つの工程で(1パス)で行う。ギミック印刷303と、反射絵柄印刷305とは、重なっていないので、共通の画像データを用いて一つの工程で(1パス)で行う。
図12に示すように、ギミック表現メディア300は、ギミック印刷303と、反射絵柄印刷305とは、ストライプ状またはドット状の格子パターン306を用いて互いに隣接して印刷される。印刷装置のプリント用の印刷データは
図12に示すように1枚の印刷用データを用いて印刷されるよう構成する。
【0045】
このようにして得られたギミック表現メディア300は、自然光下では、反射絵柄印刷305(「かぼちゃ」など)が見え、スマートフォンなどのフラッシュ光下では、ギミック印刷303(目や口など)が見えるので、ギミック表現となる。
【0046】
光遮断層304と、反射絵柄印刷305とは、共にストライプ状(またはドット状)の格子パターン306を用いて形成(印刷)されるが、光遮断層304の幅w1は、反射絵柄印刷305の幅w2より狭く印刷用媒体301の上に印刷構成している(
図13参照)。これはギミック印刷303が、通常照明下で反射絵柄印刷305の横からはみ出て見えるのを防止するもので、ギミック印刷303を見えにくくするための工夫である。
【0047】
上述の各印刷工程はインクジェットプリンタ(図示しない。)により、幅0.8(好ましくは1ミリメートル)から1.5ミリメートル(好ましくは1.2ミリメートル)までの幅のストライプ格子(円形のドットパターンを用いても良い)を用いて印刷・形成される。ギミック表現メディア300は、最前面に各インクジェットによる印刷の保護のためにプラスチック等の保護層を適宜設ける。ギミック印刷303の上には。更に黒色インクで所定の厚みのギミックカムフラージュ層10が適宜印刷(形成)されても良い。ギミックカムフラージュ層10は、ギミック印刷303のパターンが常時において見えるのを防ぐためのものである。ギミックカムフラージュ層10を設ける際には、黒色インク等を用いて印刷の厚みを適切に選択する。ギミック印刷層5のパターンが常時では見えにくくすることができる反面、見る人へのギミック印刷層5の光量(輝度)が下がるので、ギミック印刷303の印刷を行う時に色の輝度(明るさ)をあらかじめ上げる補正をして印刷をすることが必要である。
【0048】
また、ネタバレ防止の工夫としては、印刷用媒体301の光透過層302を、反射光下では黒色反射する層とするため、黒や、グレーや茶色にするのが良い。また、
図14に示すように、反射絵柄7とギミック印刷303との間に反射光下では黒色反射するネタバレ防止ゾーンを形成すると良い(ネタバレ防止ゾーンを形成する工程)。光透過層302が黒色で形成されていると、その上に何も印刷しない部分を設けることで自然光下では黒に見え、これがネタバレ防止ゾーンとなる。
図14では、見やすくするためギミック印刷303を示さず白く表現しているが、ギミック印刷303がないと光透過層302は黒く見える。
【0049】
本実施例のギミック表現メディア300では、再帰反射要素3を内包する再帰反射メディア1を用いて、フラッッシュ光や、スマートフォンの光を反射して光を得ているが、基本的には、ギミック媒体(印刷物)においては、スマートフォン等でフラッシュ撮影するときなどに反応するように、再帰反射要素3が光を反射すれば良いので、再帰反射要素3に代えて、紫外線発光体、蓄光体、ソルバトクロミック蛍光色素、応力発光体を使用しても良い。また、反射光に代えて、裏面から直接に自然太陽光を受けて光を得るようにしても良い。この場合も、観察する者の目に直接照射する光を遮断する光遮断層304を設け、その上に反射絵柄印刷305を設けて、ギミック印刷303を隠す。
【0050】
再帰反射による光の色変化を利用することに代えて、ギミック印刷303用の印刷媒体301に直接発光インクによる印刷を行い、この発光インクによる発光を利用してギミック印刷303を行う構成も利用できる。この場合も、観察する者の目に直接照射する光を遮断する光遮断層304を設け、その上に反射絵柄印刷305を設けて、反射絵柄印刷305でギミック印刷303を隠す。この場合に、発光インクには、紫外線発光体、蓄光体、ソルバトクロミック蛍光色素、応力発光体を含んだものを使用する。
【0051】
ギミック表現メディアの製造方法、あるいはギミック表現メディアを印刷するためのデータ処理方法では、反射絵柄印刷305用の印刷データとギミック印刷303のためのギミック印刷データとを基本的には重なることなく配置して構成しているので、より高いギミック効果が得られる。ギミック効果の下地として不可欠な反射絵柄印刷305と、ギミック効果に必要な時に光を用いて演出がなされるギミック印刷303との2つの印刷を行う時に1パスで印刷でき、2回印刷に比べて印刷装置と印刷媒体によるズレで、2つの印刷が重なりやズレが発現せず、より自由度の高い図柄が綺麗に印刷できる採用でき、ギミック効率が高まる。
【0052】
ギミック表現メディアの基本構成は、ギミック演出をするため観察する者への表現として、ギミック媒体(印刷物)に通常照明下で見える反射絵柄印刷305と、観察する者の目に直接照射する光による表現を行うために印刷用媒体301の光透過層から透過する光または印刷用媒体301に印刷した発光インクによる光を用いるギミック印刷303と、を有する構成としている。印刷物に通常照明下で見える印刷は、観察する者の目に直接照射する光を遮断する光遮断層304を設けて、ギミック印刷303を隠し、光遮断層304に反射絵柄を形成して反射絵柄印刷305とする。反射絵柄印刷305用の印刷データとギミック印刷303のためのギミック印刷データとをストライプ状またはドット状の格子パターンを用いて互いに隣接させて配置構成する。
【0053】
ギミック表現メディアの製造方法、あるいはギミック表現メディアを印刷するためのデータ処理方法では、反射絵柄印刷305用の印刷データとギミック印刷303のためのギミック印刷データとを基本的には重なることなく配置して構成しているので、より高いギミック効果が得られる。反射絵柄印刷305と、ギミック印刷303との2つの印刷を行う時に1パスで印刷でき、2回印刷に比べて印刷装置と印刷媒体によるズレで、2つの印刷が重なりやズレが発現せず、より自由度の高い図柄が綺麗に印刷できる採用でき、ギミック効率が高まる。
【0054】
本発明は、以下の構成を含む。
ギミック表現メディアの製造方法であって、背面に反射層を備えており再帰反射要素を有する再帰反射メディアと、前記再帰反射メディア上に配置され前記再帰反射メディアの再帰反射光に色の変化を与えてギミック効果を演出するための所定のパターンを備えた光透過性のギミック印刷層と、前記再帰反射メディアの再帰反射光を部分的に遮断する光の遮断層と、前記光の遮断層上に印刷され常時に反射絵柄や文字を見せる前面印刷層と、を有する。
【0055】
インクジェット印刷やオフセット印刷で実現可能である。インクジェット印刷では、微細なパターンを重ねることなく形成できるので、ギミック印刷層と前記光の遮断層とは重なることなく有利に所定のパターンが形成できインク代の節約ができる。また、オフセット印刷では用紙を工夫することにより、正確に色を塗布することも可能となり大量に効率良くギミック表現メディアが得られる。
【0056】
また、さらには、前記ギミック印刷層上に黒色インクで所定量印刷され、前記ギミック印刷層のパターンの常時における判別を緩和するため前記ギミック印刷層の上にギミックカムフラージュ層をさらに備えて良い。これは黒色インクを用いて印刷の厚みを適切に選択することで、ギミック印刷層のパターンが常時では見えにくくすることができる。見る人へのギミック印刷層の光量(輝度)が下がるが、前記ギミック印刷層の色の輝度をあらかじめ上げて印刷をすることで、相対的に問題が解決できる。
【0057】
本発明は更に、上記目的を達成するギミック表現メディア製造方法であって、背面に黒色の反射層を備えており再帰反射要素を有する再帰反射メディア上に、前記再帰反射メディアの再帰反射光に色の変化を与えてギミック効果を演出するための所定のパターンを備えた光透過性のギミック印刷層を形成するギミック印刷工程と、前記再帰反射メディアの再帰反射光を部分的に遮断する光の遮断層を形成する光遮断層印刷工程と、前記光の遮断層上に常時に反射絵柄や文字を見せる前面反射絵柄印刷を行う反射絵柄印刷工程と、を有する。
【0058】
また本発明は、ギミック印刷工程の後に更に、ギミック印刷層のパターンの常時における判別を緩和するためのギミックカムフラージュ層印刷工程をさらに備えても良い。また本発明は、ギミック印刷工程及び前記光遮断層印刷工程では、同一のインクジェット印刷工程により一回の印刷工程で所定のパターンを形成する工程で行なってよい。これにより製造工程が簡略化され印刷の重なりも防げる。また、前記ギミック印刷工程及び前記反射絵柄や文字印刷工程では、同一のインクジェットプリンタで一回の印刷工程で行なって良い。製造工程が簡略化され印刷の重なりも防げる。
【0059】
本発明は更に、上記目的を達成するギミック表現メディアであって、エネルギーを加えると自発光するかまたは光を反射する機能性メディアと、常時に反射絵柄や文字の反射色を見せる反射絵柄印刷層とを、ストライプ状またはドット状の格子パターンを用いて配置し、機能性メディアは、自発光または反射する光に色の変化を与えてギミック効果を演出するための所定の光色パターンを備えると共に、常時に反射絵柄や文字を見せる前記反射絵柄印刷層は、反射色による反射色パターンを備え、反射色パターンによる表現と、エネルギーを加えた時に自発光する光色パターンによる表現と、により表現の変化を具現する、構成を備える。
【0060】
本発明は、機能性メディアの背面に黒色の層を設け、あるいは、また同時に、機能性メディアの前面に黒色の透過層を設け前記光色パターンのギミックカムフラージュ層を構成しても良い。また本発明は、機能性メディアを再帰反射メディアにより構成すること、紫外線発光体、蓄光体、ソルバトクロミック蛍光色素、応力発光体のいずれかを有するメディアにより構成することもできる。更に本発明は、反射絵柄印刷層を、前記機能性メディア上に配置し、前記機能性メディアの光色パターンによる表現を部分的に隠す構成、反射絵柄印刷層の反射色パターンを、インクジェット印刷またはオフセット印刷により所定のパターンに印刷することもできる。
【0061】
本発明では、エネルギーを加えると自発光するかまたは光を反射する機能性メディアと、常時に反射絵柄や文字の反射色を見せる反射絵柄印刷層とを、ストライプ状またはドット状の格子パターンを用いて配置し、機能性メディアは、自発光または反射する光に色の変化を与えてギミック効果を演出するための所定の光色パターンを備えると共に、常時に反射絵柄や文字を見せる前記反射絵柄印刷層は、反射色による反射色パターンを備え、反射色パターンによる表現と、エネルギーを加えた時に自発光する光色パターンによる表現と、により表現の変化を具現する、構成を備え、スマートフォン等でフラッシュ撮影するときなど、エネルギーを加えると、常時の反射絵柄や文字とは異なる表現が具現できて、演出効果やプレゼンテーションを効果的に行うメディアを提供することができる効果を有する。
【0062】
本発明は、色の三原色と光の三原色の再現方法の違いを巧みに利用したもので、光はRGBで表現され三色を合わせると白い光に見え、色の三原色はCMYで表現され三色合わせると黒い反射色となる。黒い背面の再帰反射メディアは、常態(フラッシュ光等を当てない時)では黒色に見える。一方、フラッシュ光等を当てた時は、光の三原色で帰ってくるので光は白色に帰って来る(基本黒い光は存在しない)。フラッシュ光等を当てた場合には、再帰反射メディアからの反射光は白く、光透過性のギミック印刷層を通って彩色される。再帰反射メディアにおいては背面に黒い色選んでも黒色で目立たないが、フラッシュ光等を当て反射して帰ってくる時の光はカラー層を通ってその色で光を見ることとなるので、ギミック効果が得られる。ギミックカムフラージュ層を追加しても、この層は黒色なので、さらに目立ちにくいから、ギミックカムフラージュ層の印刷工程をさらに備えても良い。
ギミック表現メディアの製造方法は、ギミック表現メディア300を作成するもので、ギミック表現メディア300は、再帰反射メディア1を備え、再帰反射メディア1の上に配置される印刷用媒体301は、光透過層302を有し、光透過層302には、再帰反射メディア1の再帰反射光に色の変化を与えてギミック効果を演出するためのギミック印刷303が印刷され、印刷用媒体301には、再帰反射メディア1が反射する再帰反射光を部分的に遮断する光遮断層304が設けられ、光遮断層304は白色の印刷層で構成され、光遮断層304の上には反射絵柄印刷305が印刷される。反射絵柄印刷305とギミック印刷303とは、ストライプ状(またはドット状)の格子パターン206を用いて互いに隣接させて配置構成し、印刷物に通常照明下で見える印刷と、フラッシュ光等の光源で見える印刷とを同一の印刷装置で、一度に印刷(1パス)することができる。