【実施例】
【0017】
本発明に係る引出しおよび該引出しを備えたキャビネットの実施例を
図1〜3において説明する。本発明の実施例の引出しおよび該引出しを備えたキャビネット1は、
図1〜3に示すように、主引出し2と、その上方に配置された内引出し3とを有する。
【0018】
主引出し2と内引出し3は、主引出し連結部6と内引出し連結部7とから成る連結部材8によって、連結した状態で引き出すこともできるし、連結しないで、個々に引き出すことも、またキャビネット1内に押し込むことも可能である。
【0019】
例えば、主引出し連結部6と内引出し連結部7が閉じた状態から主引出し2を前方に引き出す際に、連結部材8によって、内引出し3も共に連結した状態で引き出すことができる。場合によっては、主引出し2と内引出し3の連結が解除された状態で、それぞれキャビネット1内に入り込んだ状態から、主引出し2のみを引き出すこともできる。
【0020】
また、主引出し2と内引出し3が共に開いた状態から、連結部材8による連結を解除して、内引出し3のみを独立してキャビネット1内に押し込んで閉じることができる。さらに、内引出し3のみが閉じられた状態から、内引出し3を再度、引き出して開くことができる。
【0021】
主引出し2は、
図1(a)に示すように、前壁部11、後壁部12、左右の両側壁部13および底壁部14を有する。主引出し2の後壁部12は、その高さ寸法は、主引出し2の側壁部13の高さ寸法よりも大きく設定されている。
【0022】
これによって、後壁部12を、詳細な後記するが、その後面に設けた後記する緩衝材30を介して内引出し3のストッパー27と当接可能とし、後壁部12とストッパー27とが、移動規制部33を構成する。
【0023】
後壁部12は、
図1(c)に示すように、後壁部12の後面に、主引出し連結部6がビスなどで固定されている。本実施例では、主引出し連結部6は、金属板で形成され、後で詳記する内引出し連結部7として設けられるマグネットに吸着される。
【0024】
内引出し3は、
図1(a)に示すように、前壁部18、後壁部19、左右の両側壁部20および底壁部21を有する。そして、内引出し3には、
図1(c)に示すように、その底壁部21の後端部の下面に台座24を介して内引出し連結部7が取り付けられている。この内引出し連結部7は、主引出し連結部6である金属板に対面し吸着するマグネットである。
【0025】
また、内引出し3には、
図1(b)に示すように、その底壁部21の前端部の下面にストッパー27が固定されている。ストッパー27は、水平部28と垂直部29とを備え、側面視で┐型をしている。水平部28がビスなどで底壁部21の下面に固定され、垂直部29の後面に緩衝材30が取り付けられている。
【0026】
垂直部29は、主引出し2の後壁部12の上端より下方まで延び、その後面に、緩衝材30が主引出し2の後壁部12と当接する位置に取り付けられている。内引出し3のストッパー27と主引出し2の後壁部12は、互いに当接し、内引出し3の前壁部18が、主引出し2の後壁部12より後方側に移動しないための移動規制部33を構成している。
【0027】
(作用)
以上の構成から成る実施例の引出しおよび該引出しを備えたキャビネット1の作用を、その使用方法などを通して、以下に説明する。主引出し2を前方に引き出すと、主引出し連結部6と内引出し連結部7が互いに吸着した連結状態で、
図2(a)に示すように、内引出し3も前方に引き出される。
【0028】
ここで、内引出し3に収納物品を収納して内引出し3のみを閉じる場合、或いは、主引出し2に収納物品を収納するために内引出し3のみを閉じる場合には、
図2(b)に示すように、内引出し3をキャビネット1内に押し込む。すると、
図3(a)、(b)に示すように、内引出し3のストッパー27の垂直部29は、緩衝材30を介して、主引出し2の後壁部12に衝突する。
【0029】
この衝突の際に、緩衝材30によって衝突が緩衝されることで、衝突音が低減され、衝突する部分の破損などが防止される。また、移動規制部33を構成するストッパー27と主引出し2の後壁部12が互いに当接することによって、内引出し3の前壁部18は、主引出2しの後壁部12よりも後方側への移動が規制されるので、内引出し3はキャビネット1の奥まで移動しない。
【0030】
特に、移動規制部33は、主引出2しの後壁部12を両側壁部20より高く設定し、内引出し3にはストッパー27を取り付けるだけでよいので、移動規制のための構成がシンプルである。
【0031】
そのために、再度、使用者が内引出し3を前方に引き出して収納物品の収納や取り出しをする場合には、キャビネット1の内方に手を入れて手探りで内引出し3を引き出すなどの面倒がなくなり、引き出し易くなる。
【0032】
従って、主引出し2から収納物を取り出したり、主引出し2内へ収納をした後に、内引出し3を引き出して、内引出し3に対する収納物の取り出しや収納がし易くなり、キャビネット1の使い勝手が良い。
【0033】
そして、前方に引き出していた主引出し2を閉じるためにキャビネット1内に押し込むと、主引出し2の連結部6が、内引出し3の連結部7と吸着し、その後は連結した状態でキャビネット1内に押し込んで、主引出し2および内引出し3は、キャビネット1内に完全に入り込んだ状態で閉じることができる。
【0034】
なお、本発明は、本実施例では連結部材を有する引出しで説明したが、これに限らず、連結部材を備えない引出し(例えば、
図4に示す従来例に示す引出しなど)にも適用することもできる。
【0035】
以上、本発明に係る引出しおよび該引出しを備えたキャビネットを実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【0036】
例えば、ストッパーの取り付け位置は内引出しの前壁部の下方付近が好ましいものの、これに限定されるものではない。また、内引出しの前壁部を下方に伸ばして主引出しの後壁部とともに移動規制部を構成しても良いし、内引出しと主引出しの双方にストッパーを設ける構成としても良い。