(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623013
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20191209BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20191209BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-185568(P2015-185568)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2017-59482(P2017-59482A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年6月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔刊行物名〕 製品を掲載したカタログ 〔公開者名〕 岩崎電気株式会社 〔発行年月日〕 平成27年8月 〔刊行物等〕 〔展示会名〕 サイン&ディスプレイショウ2015 〔公開者名〕 岩崎電気株式会社 〔主催者名〕 一般社団法人日本屋外広告業団体連合会、関東地区屋外広告業組合連合会 〔開催日〕 平成27年8月27日から8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000126274
【氏名又は名称】株式会社アイ・ライティング・システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】為定 圭一
(72)【発明者】
【氏名】野本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤野 秀一
【審査官】
安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−134311(JP,A)
【文献】
特開2006−286615(JP,A)
【文献】
特開2014−093129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の照射面を照明する照明器具であって、
前面に出射開口を有し、基準軸である横軸を前記照射面の基準軸に略平行に合わせて前記照射面を一端部側から照明するように設置される器具本体と、
前記器具本体の内部に設けられた椀状の反射鏡と、
前記反射鏡の底部に配置された光源モジュールと、を備え、
前記反射鏡は、前記光源モジュールからの光を前記照射面に照射する設置状態で前記光源モジュールの光軸方向から見て、前記一端部の方向に向かって斜めに設けられた切り欠き部を有することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記切り欠き部は、前記反射鏡の設置状態で、前記横軸と直交する縦軸に対して対称位置に2箇所設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記反射鏡の反射面は放物面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記切り欠き部は、前記反射鏡の設置状態で、前記光源モジュールの光軸を通る前記横軸の方向から15°から35°を中心として、40°から60°の範囲の幅を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の照明器具。
【請求項5】
前記切り欠き部は、前記光源モジュールからの光で前記切り欠き部を介して出射する光が前記器具本体の出射開口から直接出射する光軸方向の高さ範囲まで設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の照明器具。
【請求項6】
前記切り欠き部から出射した光が、隣接する前記反射鏡に遮光されないように、前記光源モジュール、及び、前記反射鏡を、前記横軸の方向に沿って複数並べて配置したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の照明器具。
【請求項7】
前記反射鏡の開口部から出射する光を前記横軸の方向に広げるレンズを設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の照明器具。
【請求項8】
前記出射開口を覆い、前記光源モジュールからの光を拡散する拡散カバーを前記器具本体の前面に設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の照明器具。
【請求項9】
前記拡散カバーは型押しガラスであることを特徴とする請求項8に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の発光素子を光源として備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED等の発光素子を光源として用いて、看板などの平面的な照射面を照射する照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような照明器具では、十分な照度を得るために、複数の光源を使用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使用する光源の数を減らして十分な照度を得るためには、例えば放物面を有する椀状の反射鏡を用いることによって、軸光度を上げて明るさを確保するということができる。看板などの照射面を照明する照明器具は、照射面の下縁部や上縁部等の縁部に配置され、一方の縁部から、この一方の縁部に対向する他方の縁部方向に光を照射する。そのため、反射鏡を用いて軸光度を上げて明るさを確保しようとした場合には、照明器具に近い縁部の隅部が暗くなるという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、反射鏡を用いて軸光度を上げるとともに、照射面の隅部での明るさを確保することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明は、
平面状の照射面を照明する照明器具であって、前面に出射開口を有し、基準軸である横軸を前記照射面の基準軸に略平行に合わせて前 記照射面を一端部側から照明するように設置される器具本体と、前記器具本体の内部に設けられた椀状の反射鏡と、前記反射鏡の底部に配置された光源モジュールと、を備え、前記反射鏡は、前記光源モジュールからの光を前記照射面に照射する設置状態で前記光源モジュールの光軸方向から見て、前記一端部の方向に向かって斜めに設けられた切り欠き部を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、上記照明器具において、前記切り欠き部は、前記反射鏡の設置状態で、前記横軸と直交する縦軸に対して対称位置に2箇所設けられていてもよい。
【0007】
また、本発明は、上記照明器具において、前記反射鏡の反射面は放物面を有していてもよい。
【0008】
また、本発明は、上記照明器具において、前記切り欠き部は、前記反射鏡の設置状態で、前記光源モジュールの光軸を通る前記横軸の方向から15°から35°を中心として、40°から60°の範囲の幅を有していてもよい。
【0009】
また、本発明は、上記照明器具において、前記切り欠き部は、前記光源モジュールからの光で前記切り欠き部を介して出射する光が前記筐体の出射開口から直接出射する光軸方向の高さ範囲まで設けられていてもよい。
【0010】
また、本発明は、上記照明器具において、前記切り欠き部から出射した光が、隣接する前記反射鏡に遮光されないように、前記光源モジュール、及び、前記反射鏡を、前記横軸の方向に沿って複数並べて配置してもよい。
【0011】
また、本発明は、上記照明器具において、前記反射鏡の開口部から出射する光を前記横軸の方向に広げるレンズを設けてもよい。
【0012】
また、本発明は、上記照明器具において、前記出射開口を覆い、前記光源モジュールからの光を拡散する拡散カバーを前記器具本体の前面に設けてもよい。
【0013】
また、本発明は、上記照明器具において、前記拡散カバーは型押しガラスであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、照射面を照明する照明器具であって、前面に出射開口を有し、基準軸である横軸を前記照射面の基準軸に略平行に合わせて前記照射面を一端部側から照明するように設置される器具本体と、前記器具本体の内部に設けられた椀状の反射鏡と、前記反射鏡の底部に配置された光源モジュールと、を備え、前記反射鏡は、前記光源モジュールからの光を前記照射面に照射する設置状態で前記光源モジュールの光軸方向から見て、前記一端部の方向に向かって斜めに設けられた切り欠き部を有するため、反射鏡を用いて軸光度を上げるとともに、切り欠き部から出射する直接光で照射面の隅部を照明して、照射面の隅部での明るさを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態の照明器具を正面側から示す斜視図である。
【
図3】反射鏡の構成を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図である。
【
図4】反射鏡を取り付けた状態を示す照明器具の斜視図である。
【
図5】反射鏡を有する照明器具の構成を示す図であり、(A)は照明器具の設置形態を示す模式図、(B)は照明器具によって得られる配光を示す図である。
【
図6】レンズを取り付けた状態を示す照明器具の斜視図である。
【
図7】レンズを有する照明器具の構成を示す図であり、(A)は照明器具の設置形態を示す模式図、(B)は照明器具によって得られる配光を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る照明器具1の斜視図である。
図2は照明器具1の分解斜視図である。照明器具1は、平面状の照射面Sを照明するために用いることができる投光器であり、例えば看板用照明として用いることができる。照明器具1は、
図1、及び
図2に示すように、器具本体10を備え、器具本体10を挟むように設けられた取付アーム25によって、所定の取り付け箇所に回動自在に取り付けられる。
【0017】
器具本体10は、
図2に示すように、一方の面が開口する有底の矩形箱状の筐体11と、この筐体11の内部に設けられる光源モジュール12と、を備えている。光源モジュール12は、発光素子の一例たるLED素子6をLED基板7の上に密集配置して面状の発光部を形成した高出力LEDである。光源モジュール12には、チップオンボード(COB)型のLEDを好適に用いることができる。この構成によれば、少ない数の光源モジュール12で、高出力の照明器具1を実現することができ、器具本体10の小型化を図ることができる。筐体11の底部には、光源モジュール12が、筐体11の長手方向(後述する器具横軸X方向)に沿って、複数(本実施形態では2つ)並べて配置されている。さらに、筐体11には、光源モジュール12の配光を制御する椀状の反射鏡14が設けられる。筐体11は、反射鏡14が内部に納まる適宜の深さに形成される。光源モジュール12は、反射鏡14の底部15に配置され、発光面12Aを反射鏡14の底部15の開口15Aに臨ませて配置されている。また、筐体11の内部には、筐体11の底面20と出射開口13との間に、底面20と略平行に遮蔽板39が設けられる。遮蔽板39は、筐体11内部の構造が後述する前面カバー40を介して外部から見えないように設けられる。遮蔽板39には、反射鏡14の底部15が挿入される適宜の大きさの孔39Aが設けられる。また、遮蔽板39には、反射鏡14の一対の固定脚の先端に設けられた爪部19が係止される係止孔39Bが形成される。
【0018】
筐体11は、熱伝導性に優れた材料から形成され、例えばアルミダイキャスト製とすることができる。また、筐体11には、光源モジュール12が取り付けられる光源取付部21が筐体11の底面20に一体に形成される。筐体11の背面には、光源モジュール12からの発熱を放熱する複数の放熱フィン(不図示)が設けられる。光源モジュール12からの熱は、光源取付部21に伝熱され、さらに光源取付部21から底面20を介して放熱フィンに伝熱されて外部に放熱される。また、筐体11の背面30には、不図示の放熱フィンの周囲を囲む背面ガード50が取り付けられる。背面ガード50は、樹脂製とすることができ、筐体11の背面に備えられた構造物を保護するとともに、放熱フィンや筐体11の背面30の充電部への手指の接触を防ぐ。また、背面ガード50には、複数のスリット51が設けられる。スリット51は、このスリット51を介して背面ガード50の内側に指が入り込まないサイズに形成される。また、このスリット51を介して放熱フィンの熱が背面ガード50の外部に放熱される。
【0019】
筐体11は、光源モジュール12の発光面12Aの正面に位置する前面11Aに前面開口11Bを有する。筐体11の前面11Aには、前面開口11Bを覆う前面カバー40が設けられる。前面カバー40は、光源モジュール12からの光を拡散する拡散カバーであり、前面カバー40には、強化処理した型押しガラスなどの光拡散性を有するガラスを好適に用いることができる。前面カバー40は筐体11の前面に、例えば接着により水密に固定される。
前面カバー40は、筐体11の外側方向から枠状のカバー押さえ41によって筐体11に対してさらに押さえられる。カバー押さえ41の開口は、照明器具1の出射開口13を構成し、光源モジュール12からの光は、出射開口13から筐体11の外に出射される。カバー押さえ41は、樹脂材から形成され、筐体11の前面11Aに、例えば接着により水密に固定されると共に、ねじ等の固定具によって固定される。カバー押さえ41は、筐体11の前面11Aとの間に防水パッキン等のシール材を有して固定具によって固定されていてもよい。この構成によれば、たとえ前面カバー40、及び、カバー押さえ41と、筐体11の前面11Aとの接着が弱くなっても、前面カバー40の落下や、筐体11内部への浸水を防ぐことができる。
【0020】
反射鏡14の開口部24には、開口部24から出射する光を所定の方向に広げるためのレンズ22が取り付け可能に構成されている。反射鏡14の反射面16は放物面を有し、レンズ22は、この放物反射面16の回転軸を中心とする略円形状に形成されている。レンズ22は、反射鏡14の開口部24の周縁に設けられたフランジ部23に固定される。なお、図示は省略するが、レンズ22は、反射鏡14の開口部24から出射する光が通る位置に、前面カバー40と一体に設けられている構成であっても良い。また、レンズ22は、筐体11から延ばしたアームによって支持されている構成であっても良い。
【0021】
反射鏡14は、
図2、
図3に示すように、周縁の一部に切り欠き部17を有している。切り欠き部17は、
図3(A)に示すように、光源モジュール12の光軸L方向から所定の角度以上(例えば30°以上)の範囲を切り欠いて形成される。この切り欠き部17により、光源モジュール12からの光のうち、光軸L方向から所定の角度以上の光が反射鏡14の反射面16に入射することなく、切り欠き部17から直接出射するように構成されている。切り欠き部17が設けられる光軸L方向からの角度範囲は、光源モジュール12からの光が反射鏡14で反射されることなく直接出射した場合に、筐体11の内面で反射されてしまう光の角度によって設定され、筐体11のサイズや形状、光源モジュール12の発光面12Aの大きさによって適宜に設定することができる。つまり、切り欠き部17は、光源モジュール12からの光で切り欠き部17を介して出射する光が筐体11の出射開口13から直接出射する光軸L方向の高さ範囲まで設けられている。
【0022】
また、切り欠き部17は、
図3(B)に示すように、光軸Lを通る反射鏡横軸xから15°から35°を切り欠き中心αとして、40°から60°の範囲の切り欠き幅βで形成される。さらに、切り欠き部17は、反射鏡横軸xに直交し、光軸Lを通る反射鏡縦軸yに対して対称位置に2箇所設けられている。なお、反射鏡14が本実施形態のように、放物反射面16を有する場合には、光軸Lは、反射面16の回転中心Oと同一線上を通ることは言うまでもない。
【0023】
なお、筐体11の内部には、切り欠き部17から出射した光が、隣接する反射鏡14の外周面や反射面16に入射して遮光されないように、光源モジュール12、及び、反射鏡14を、適宜の間隔で器具横軸X方向に沿って複数並べて配置している。
【0024】
反射鏡14は、切り欠き部17を避ける位置に設けられた一対の固定脚18,18を有する。固定脚18は、反射鏡14の光軸L方向に延びる寸法である高さ寸法と略同じ高さ寸法に形成され、下端には爪部19が設けられている。反射鏡14は、固定脚18を弾性変形させて、下端を係止孔39Bに挿入し、爪部19を遮蔽板39の係止孔39Bに内側から引き掛けて係止させ、取り付けられる。
【0025】
図4に示すように、反射鏡14は、反射鏡横軸xが、照明器具1の器具横軸Xに対して略平行に配置される。なお、反射鏡横軸xと、器具横軸Xとは、同一線上に配置されている構成であっても良い。また、
図4では、反射鏡14の設置構成を明確に示すために、前面カバー40の図示を省略しているが、実際の使用状態では、筐体11の前面11Aには前面カバー40が設けられている。本実施形態では、照明器具1は、略矩形平面状の照射面Sを照明するように設置され(
図5(A)、
図7(A)参照)、照射面Sの一端部(上端、下端、左右の横端のいずれか)60側から、照射面Sの全体を照明する。光源モジュール12の配列方向に沿って延びる器具横軸Xは、照明器具1を設置する際の基準軸であり、照明器具1は、この器具横軸Xを照射面Sの照射基準軸Wと略平行に合わせて設置される。
図5(A)、
図7(A)に示したように、照射面Sが略矩形平面状であり、この照射面Sの上端部に照明器具1を設置して用いる場合には、照射基準軸Wは、照射面Sの上端縁に沿う方向に延びるものと定義される。なお、1台の照明器具1で、照射面Sを照明する際には、設置する端縁の略中央に照明器具1を設置して用いることで、照射面Sを効率よく照明することができる。なお、照射面Sの大きさに応じて、複数の照明器具1を並べて配置して用いることができることは言うまでもない。
【0026】
照明器具1は、反射鏡14の切り欠き部17が、照明器具1が設置された照射面Sの一端部60の方向に向くように設置される。つまり、照明器具1が照射面Sの上端部に設けられる場合には、反射鏡14の切り欠き部17は光軸L方向から見て斜め上方向に位置するように配置され、照明器具1が照射面Sの下端部に設けられる場合には、反射鏡14の切り欠き部17は光軸L方向から見て斜め下方向に位置するように配置される。同様に、照明器具1が照射面Sの左端部に設けられる場合には、反射鏡14の切り欠き部17は光軸L方向から見て斜め左方向に位置するように配置され、照明器具1が照射面Sの右端部に設けられる場合には、反射鏡14の切り欠き部17は光軸L方向から見て斜め右方向に位置するように配置される。
【0027】
照明器具1は、
図4に示したように、光源モジュール12からの光を反射鏡14単体で制御する構成、または、
図6に示したように、光源モジュール12からの光を反射鏡14とレンズ22との組み合わせで制御する構成とすることができる。光源モジュール12からの光を反射鏡14単体で制御する構成は、
図5に示したように、縦長看板等の縦長の照射面Sを照明する際に好適に用いることができる。
図5(A)は、幅4m、高さ6mの看板の上端中央部に照明器具1を一台設置した状態を示す。
図5(B)は、
図5(A)の設置状態での照明器具1の配光を示す。
【0028】
図5(A)に示した設置状態では、照明器具1の反射鏡14は、上述したように、光軸L方向から見て斜め上方向に位置する切り欠き部17を有する。切り欠き部17は、対称位置に2箇所設けられているため、光源モジュール12からの光の一部が、切り欠き部17を介して照明器具1から照射面Sの上端両隅部に向かって放射される。反射鏡14が切り欠き部17を有していない場合には、光源モジュール12からの光が放物反射面の中心軸に略平行な光束線となり、照射面Sの上端両隅部での照度が確保できなくなってしまう。しかしながら、本実施形態によれば、照明器具1が設置された照射面Sの一端部60の方向に向くよう切り欠き部17が設けられるため、照射面Sの当該一端部60の両隅部での明るさを確保することができる。
【0029】
図6は、光源モジュール12からの光を反射鏡14とレンズ22との組み合わせで制御する構成の照明器具1を示す。なお、
図6では、反射鏡14とレンズ22との設置構成を明確に示すために、前面カバー40の図示を省略しているが、実際の使用状態では、筐体11の前面11Aには前面カバー40が設けられている。レンズ22は、上述したように、反射鏡14の開口部24に設けられ、開口部24を介して出射される光源モジュール12からの光を、器具横軸X方向に拡げるように構成されている。開口部24を介して出射される光には、光源モジュール12からの光のうち反射鏡14の反射面16で反射された反射光と、光源モジュール12から直接、光軸Lに略平行に出射される光とが含まれる。
【0030】
光源モジュール12からの光を反射鏡14とレンズ22との組み合わせで制御する構成は、
図7に示したように、横長看板等の横長の照射面Sを照明する際に好適に用いることができる。
図7(A)は、幅4m、高さ3mの看板の上端中央部に照明器具1を一台設置した状態を示す。
図7(B)は、
図7(A)の設置状態での照明器具1の配光を示す。このように、光源モジュール12からの光を光軸Lに平行な平行光に変換する反射鏡14と、反射鏡14の開口部24を介して出射される光を器具横軸X方向に拡げるレンズ22とを組み合わせることで、光源モジュール12からの光を無駄なく利用して、横長の照射面Sを効率よく照明することができる。
【0031】
また、
図7(A)に示した設置状態では、照明器具1の反射鏡14は、上述したように、光軸L方向から見て斜め上方向に位置する切り欠き部17を有する。切り欠き部17は、対称位置に2箇所設けられているため、光源モジュール12からの光の一部が、切り欠き部17を介して照明器具1から照射面Sの上端両隅部に向かって放射される。これにより、照明器具1が設置された照射面Sの一端部60の両隅部の方向に切り欠き部17から出射した直接光が放射され、当該一端部60の両隅部での明るさを確保することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、照射面Sを照明する照明器具1であって、前面11Aに出射開口13を有し、基準軸である器具横軸Xを照射対象の照射基準軸Wに略平行に合わせて照射面Sを一端部60側から照明するように設置される器具本体10と、器具本体10の内部に設けられた椀状の反射鏡14と、反射鏡14の底部15に配置された光源モジュール12と、を備え、反射鏡14は、光源モジュール12からの光を照射面Sに照射する設置状態で光源モジュール12の光軸F方向から見て、一端部60の方向に向かって斜めに設けられた切り欠き部17を有する。
この構成によれば、反射鏡14を利用することで軸光度を上げることができると共に、切り欠き部17から直接光を一端部60の方向に向かって斜めに照射することで、周辺の光量が落ちるのを防ぐことができ、照射面Sの全体を効率よく照明することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、切り欠き部17は、反射鏡14の設置状態で、器具横軸Xと直交する反射鏡縦軸yに対して対称位置に2箇所設けられている。この構成によれば、切り欠き部17から直接光で、器具本体10が取り付けられた照射面Sの一端部60の両隅部を効率よく照明することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、反射鏡14の反射面16は放物面を有するため、光源モジュール12からの光を光軸Lに平行な平行光とすることで、光源モジュール12からの光の利用効率を向上することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、切り欠き部17は、反射鏡14の設置状態で、光源モジュール12の光軸Lを通り、器具横軸Xに平行な反射鏡横軸xから15°から35°を中心として、40°から60°の範囲の幅を有する。この構成によれば、光源モジュール12からの光の一部で、器具本体10が取り付けられた照射面Sの一端部60の両隅部を効率よく照明するための光を切り欠き部17から直接出射させることができ、反射鏡14を用いて軸光度をあげても、一端部60の両隅部を効率よく照明することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、切り欠き部17は、光源モジュール12からの光で切り欠き部17を介して出射する光が器具本体10の出射開口13から直接出射する光軸L方向の高さ範囲まで設けられている。この構成によれば、切り欠き部17から出射した直接光が筐体11やカバー押さえ41の内面で遮られることがなく、切り欠き部17から出射した直接光を出射開口13から効率よく出射させて、照射面Sの一端部60の両隅部を照明することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、切り欠き部17から出射した光が、隣接する反射鏡14に遮光されないように、光源モジュール12、及び、反射鏡14を、器具横軸X方向に沿って複数並べて配置した。この構成によれば、切り欠き部17から出射した直接光が隣接する反射鏡14に遮光されることがなく、切り欠き部17から出射した直接光を出射開口13から効率よく出射させて、照射面Sの一端部60の両隅部を照明することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、反射鏡14の開口部24から出射する光を器具横軸X方向に広げるレンズ22を設けた。この構成によれば、レンズ22を設けるか否かだけの構成の違いで、縦長の照射面Sと、横長の照射面Sと、をどちらも効率よく照明することができる。
また、本実施形態によれば、出射開口13を覆い、光源モジュール12からの光を拡散する前面カバー40を器具本体10の前面11Aに設けた。この構成によれば、出射開口13から出射される光を拡散し、照射面Sの全体を効率よく照明することができる。
また、本実施形態によれば、前面カバー40は型押しガラスであるため、前面カバー40の取り扱い性を向上し、出射開口13から出射される光を効率よく拡散させることができる。
【0039】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、照明器具1は、箱状の筐体11を備える矩形形状である構成としたが、照明器具の形状は矩形に限らず、例えば円形状や多角形状に形成されていても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 照明器具
10 器具本体
11 筐体
11A 前面
12 光源モジュール
13 出射開口
14 反射鏡
15 底部
16 反射面
17 切り欠き部
22 レンズ
24 開口部
42 前面カバー(拡散カバー)
60 一端部(上端部、下端部、左端部、右端部)
L 光軸
S 照射面
W 照射基準軸(基準軸)
X 器具横軸(横軸、基準軸)
x 反射鏡横軸
y 反射鏡縦軸