(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、高い細孔直径ならびにメソ細孔ドメインにおいて単峰性である特定の細孔分布を有する非晶質メソ多孔質アルミナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの利点は、これが、10から30nmの間の、特に16nm以上の、好ましくは18nm以上の、より高い好ましくは20nm以上の、さらにより好ましくは21〜23nmの範囲(端値を含む)のメソ細孔直径中央値を有する細孔による極めて高い寄与度を特徴とするアルミナを提供することである。
【0016】
この細孔構造は、これらの材料を使用する触媒反応の間に処理されるべき分子の拡散のための重要な利点を表す。
【0017】
本発明はまた、前記アルミナを調製するための方法を提供し、前記方法は、少なくとも以下の工程を含む:
a)水性反応媒体中において、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも1種の塩基性前駆体ならびに硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸、塩酸および硝酸から選択される少なくとも1種の酸性前駆体を沈殿させるための第1の工程であって、塩基性または酸性前駆体の少なくとも1種が、アルミニウムを含み、酸性および塩基性前駆体の相対流速が、8.5〜10.5の範囲の反応媒体のpHを得るように選択され、アルミニウムを含有する酸性および塩基性前駆体(単数または複数)の流速が、5%〜13%の範囲の第1の工程の進捗率を得るように調整され、進捗率が、該調製方法の工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対する、前記第1の沈殿工程の間にAl
2O
3等価物として形成されるアルミナの割合であると定義され、前記工程が、20℃〜90℃の範囲の温度で、2分〜30分の範囲の期間実行される、第1の工程、
b)懸濁液を40℃〜90℃の範囲の温度に7分〜45分の範囲の期間加熱するための工程、
c)アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも1種の塩基性前駆体ならびに硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸、塩酸および硝酸から選択される少なくとも1種の酸性前駆体を、加熱工程b)の最後に得られた懸濁液に添加することによって、該懸濁液を沈殿させるための第2の工程であって、塩基性または酸性前駆体の少なくとも1種が、アルミニウムを含み、酸性および塩基性前駆体の相対流速が、8.5〜10.5の範囲の反応媒体のpHを得るように選択され、アルミニウムを含有する酸性および塩基性前駆体の流速が、87%〜95%の範囲の第2の工程の進捗率を得るように調整され、進捗率が、該調製方法の工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対する、前記第2の沈殿工程の間にAl
2O
3等価物(equivalent)として形成されるアルミナの割合として定義され、前記工程が、40℃〜90℃の範囲の温度で、2分〜50分の範囲の期間実行される、第2の工程、
d)アルミナゲルを得るために、第2の沈殿工程c)の最後に得られた懸濁液を濾過するための工程、
e)粉末を得るために、工程d)において得られた前記アルミナゲルを乾燥するための工程であって、好ましくは20℃〜200℃の範囲の温度で、8時間〜15時間の期間乾燥することによって、または噴霧乾燥することによって、または当業者に公知の任意のその他の方法によって実行される、乾燥するための工程、
f)粗材料を得るために、工程e)の最後に得られた粉末を成形するための工程、
g)最大60容積%の水を含有する空気の流れの存在下または不存在下で、500℃〜1000℃の範囲の温度で、工程e)の最後に得られた粗材料を熱処理するための工程。
【0018】
本発明の1つの利点は、特定のアルミナゲルから出発して非晶質メソ多孔質アルミナを調製するための新規方法の提供であり、前記の特定のアルミナゲルは、少なくとも1種のアルミニウム前駆体の沈殿のための2工程を含む方法を使用して調製され、該方法において前記ゲル調製方法の最後に形成されるアルミナの総量に対して、第1の沈殿工程中に重量で5%から13%の間のアルミナのみが形成され、該特定のアルミナゲルは、有利には15%未満、好ましくは6%〜13%の範囲、高度に好ましくは6%〜10%の範囲である分散性を有する。本発明のアルミナ調製方法は、特定の細孔分布、特に、高い細孔容積および高いメソ細孔直径中央値、特に、16nm以上を有する非晶質メソ多孔質アルミナを得るために使用され得る。
技術用語
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、分散性は、ポリプロピレンチューブ中における3600Gで3分間の遠心分離によって分散され得ない固体または解膠アルミナゲルの重量として定義される。
【0019】
本発明のアルミナはまた、特定の細孔分布を有し、これでは、マクロ細孔およびメソ細孔容積は、水銀圧入によって測定され、ミクロ細孔容積は、窒素吸着によって測定される。
【0020】
用語「マクロ細孔」は、50nmを超える開口部を有する細孔を意味する。
【0021】
用語「メソ細孔」は、2nm〜50nm(端値を含む)の範囲の開口部を有する細孔を意味する。
【0022】
用語「ミクロ細孔」は、2nm未満の開口部を有する細孔を意味する。
【0023】
本発明の以下の説明では、水銀ポロシメトリーによって測定される細孔分布は、ASTM基準D4284−83に従って4000バールの最大圧力で、484ダイン/cmの表面張力および140°の接触角を使用する水銀圧入ポロシメトリーによって決定される。ぬれ角は、論文「Techniques de l’ingenieur, traite analyse et caracterisation」[Engineering Techniques: analysis and characterization]、1050〜5頁、著者:Jean CharpinおよびBernard Rasneurにおける推奨に従って、140°であるとした。
【0024】
メソ細孔の直径中央値(D
p、nmで)はまた、この直径未満のサイズを有する細孔のすべてが、水銀ポロシメトリーによって測定される総メソ細孔容積の50%を構成する径であると定義される。
【0025】
窒素吸着によって測定される細孔分布は、バレット−ジョイナー−ハレンダ(Barrett−Joyner−Halenda)(BJH)モデルを使用して決定される。BJH−モデルに従う窒素吸着−脱着等温式は、E.P.Barrett、L.G.JoynerおよびP.P.Halendaによる定期刊行物「The Journal of American Society」、第73巻、373号、(1951年)に記載されている。
【0026】
本発明の以下の説明では、用語「比表面積」は、定期刊行物「The Journal of American Society」、第60巻、309号(1938年)に記載されるブルナウアー−エメット−テラー(BRUNAUER−EMMETT−TELLER)法に基づく実施されるASTM基準D3663−78と一致する窒素吸着によって決定されたBET比表面積を意味する。
【0027】
マクロ細孔およびメソ細孔の容積は、ASTM基準D4284−83に従って4000バールの最大圧力で、484ダイン/cmの表面張力および140°の接触角を使用する水銀圧入ポロシメトリーによって測定される。
【0028】
そこから水銀が粒子間空隙のすべてを満たす値は、0.2MPaに設定され、これを超えると、水銀は、アルミナの細孔中に浸透すると推測される。
【0029】
良好な正確性を得るために、以下の本文において与えられる全細孔容積の値(mL/g)は、サンプルに対して測定された水銀圧入ポロシメトリーによって測定された総容積の値(mL/g)から、30psi(およそ0.2MPa)に相当する圧力について同一サンプルに対して測定された水銀容積の値(mL/g)を差し引いた値に相当する。
【0030】
アルミナのマクロ細孔容積は、従って、50nmを超える見かけの直径の細孔中に含有される容積に相当する、0.2MPaから30MPaの範囲の圧力で導入された水銀の累積容積であると定義される。
【0031】
アルミナのメソ細孔容積は、従って、2から50nmの範囲の見かけの直径の細孔中に含有される容積に相当する、30MPaから400MPaの範囲の圧力で導入された水銀の累積容積であると定義される。
【0032】
ミクロ細孔の容積は、窒素ポロシメトリーによって測定される。ミクロ細孔構造の定量的分析は、F. Rouquerol、J. RouquerolおよびK. Singによる、論文「Adsorption by powders and porous solids. Principles, methodology and applications」、Academic Press、1999年に記載されるように、初期吸着等温式の変形に対応する「t」法(リッペン−デボア(Lippens−De Boer)法、1965年)を使用して実施される。
発明の説明
本発明は、非晶質メソ多孔質アルミナを調製するための方法に関し、前記方法は、少なくとも以下の工程を含む:
a)水性反応媒体中において、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも1種の塩基性前駆体ならびに硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸、塩酸および硝酸から選択される少なくとも1種の酸性前駆体を沈殿させるための第1の工程であって、塩基性または酸性前駆体の少なくとも1種が、アルミニウムを含み、酸性および塩基性前駆体の相対流速が、8.5〜10.5の範囲の反応媒体のpHを得るように選択され、アルミニウムを含有する酸性および塩基性前駆体(単数または複数)の流速が、5%〜13%の範囲の第1の工程の進捗率を得るように調整され、進捗率が、該調製方法の工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対する、前記第1の沈殿工程の間にAl
2O
3等価物として形成されるアルミナの割合であると定義され、前記工程が、20℃〜90℃の範囲の温度で、2分〜30分の範囲の期間実行される、第1の工程、
b)懸濁液を40℃〜90℃の範囲の温度に7分〜45分の範囲の期間加熱するための工程、
c)アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも1種の塩基性前駆体ならびに硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸、塩酸および硝酸から選択される少なくとも1種の酸性前駆体を、加熱工程b)の最後に得られた懸濁液に添加することによって、該懸濁液を沈殿させるための第2の工程であって、塩基性または酸性前駆体の少なくとも1種が、アルミニウムを含み、酸性および塩基性前駆体の相対流速が、8.5〜10.5の範囲の反応媒体のpHを得るように選択され、アルミニウムを含有する酸性および塩基性前駆体の流速が、87%〜95%の範囲の第2の工程の進捗率を得るように調整され、進捗率が、該工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対する、前記第2の沈殿工程の間にAl
2O
3等価物(equivalent)として形成されるアルミナの割合として定義され、前記工程が、40℃〜90℃の範囲の温度で、2分〜50分の範囲の期間実行される、第2の工程、
d)アルミナゲルを得るために、第2の沈殿工程c)の最後に得られた懸濁液を濾過するための工程、
e)粉末を得るために、工程d)において得られた前記アルミナゲルを乾燥するための工程、
f)粗材料を得るために、工程e)の最後に得られた粉末を成形するための工程、
g)最大60容積%の水を含有する空気の流れの存在下または不存在下で、500℃〜1000℃の範囲の温度で、工程e)の最後に得られた粗材料を熱処理するための工程。
【0033】
好ましくは、第1の沈殿工程a)の進捗率は、6%〜12%の範囲である。
【0034】
高度に好ましくは、第1の沈殿工程a)の進捗率は、7%〜11%の範囲である。
【0035】
好ましくは、塩基性前駆体は、アルミン酸ナトリウムである。
【0036】
好ましくは、酸性前駆体は、硫酸アルミニウムである。
【0037】
好ましくは、第1の沈殿工程では、水性反応媒体は水であり、前記工程は有機添加剤の不存在下で撹拌しながら実行される。
【0038】
本発明はまた、水銀圧入ポロシメトリーによって測定される容積によるメソ細孔直径中央値:16nm以上、水銀圧入ポロシメトリーによって測定されるようなメソ細孔容積:0.5mL/g以上、および水銀ポロシメトリーによって測定される全細孔容積:0.75mL/g超を有する非晶質メソ多孔質アルミナに関する。
【0039】
好ましくは、マクロ細孔の容積は、全細孔容積の10%未満、高度に好ましくは全細孔容積の5%未満である。
【0040】
好ましくは、非晶質メソ多孔質アルミナは、ミクロ細孔を有さない。
【0041】
好ましくは、非晶質メソ多孔質アルミナは、水銀圧入ポロシメトリーによって決定される容積によるメソ細孔直径中央値:18nm超、高度に好ましくは20nm超を有する。
【0042】
本発明はまた、本発明に従う調製方法によって得ることが可能である非晶質メソ多孔質アルミナに関する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明のアルミナは、制御されたメソ細孔構造を有し、良好な熱および化学安定性を有し、集中された、均一の、単峰性および制御されたメソ細孔サイズ分布を有するメソ多孔質アルミナである。
【0044】
アルミナは、比表面積および細孔容積、特に、調整されたメソ細孔容積を有することが有利である。
【0045】
好ましくは、メソ多孔質アルミナは、ミクロ細孔を含まない。
【0046】
好ましくは、アルミナは、75m
2/gを超える比表面積を有することが有利である。
【0047】
高度に好ましくは、メソ多孔質アルミナの比表面積は、100m
2/gより大きい。
【0048】
さらにより好ましくは、メソ多孔質アルミナの比表面積は、125m
2/gを超える。
【0049】
2〜50nmの範囲(端値を含む)の見かけの直径を有する細孔中に含まれる容積であると定義されるメソ細孔容積は、水銀ポロシメトリーによって測定される。本発明に従って、アルミナのメソ細孔容積は、0.5mL/g以上、高度に好ましくは0.7mL/g以上、さらにより好ましくは0.70mL/g〜0.90mL/gの範囲にある。
【0050】
好ましくは、本発明のアルミナは、非メソ構造アルミナである。
【0051】
別の態様では、本発明は、前記アルミナを調製するための方法に関する。
【0052】
本発明に従って、前記調製方法は、沈殿のための第1の工程a)、加熱のための工程b)、第2の沈殿工程c)、濾過のための工程d)、乾燥のための工程e)、成形のための工程f)および熱処理のための工程g)を含む。
【0053】
沈殿工程の各々の進捗率は、2工程の沈殿工程の最後に、より一般的には、アルミナゲル調製工程の最後に、特に、本発明の調製方法の工程c)の最後にAl
2O
3等価物として形成されるアルミナの総量に対する、前記第1のまたは第2の沈殿の間にAl
2O
3等価物として形成されるアルミナの割合であると定義される。
工程a):第1の沈殿
この工程は、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも1種の塩基性前駆体を、水性反応媒体中で、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸、塩酸および硝酸から選択される少なくとも1種の酸性前駆体と接触させることからなり、塩基性または酸性前駆体の少なくとも1種が、アルミニウムを含み、酸性および塩基性前駆体の相対流速が、8.5〜10.5の範囲の反応媒体のpHを得るように選択され、アルミニウムを含有する酸性および塩基性前駆体(単数または複数)の流速が、5%〜13%の範囲の第1の工程の進捗率を得るように調整され、進捗率が、沈殿工程の最後に、より一般的には、アルミナゲル調製工程の最後に、特に、調製方法の工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対する、前記第1の沈殿工程の間にAl
2O
3等価物として形成されるアルミナの割合であると定義され、前記工程が、20℃〜90℃の範囲の温度で、2分〜30分の範囲の期間実行される。
【0054】
水性反応媒体中で少なくとも1種の塩基性前駆体および少なくとも1種の酸性前駆体を混合すること;これは、酸性または塩基性前駆体の少なくとも1種は、アルミニウムを含まなければならないということを意味する。また、塩基性および酸性前駆体のうち少なくとも2種がアルミニウムを含むことは可能である。
【0055】
アルミニウムを含む塩基性前駆体は、アルミン酸ナトリウムおよびアルミン酸カリウムである。好ましい塩基性前駆体として、アルミン酸ナトリウムがある。
【0056】
アルミニウムを含む酸性前駆体は、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムおよび硝酸アルミニウムである。好ましい酸性前駆体として、硫酸アルミニウムがある。
【0057】
好ましくは、水性反応媒体は、水である。
【0058】
好ましくは、前記工程a)は、撹拌しながら実行される。
【0059】
好ましくは、前記工程a)は、有機添加剤の不存在下で実施される。
【0060】
酸性および塩基性前駆体は、それらがアルミニウムを含有するか否かに関わらず、好ましくは、水性反応媒体中に溶液で、得られた懸濁液のpHが、8.5〜10.5の範囲にあるような割合で混合される。
【0061】
本発明と一致して、アルミナの酸性前駆体およびアルミナの塩基性前駆体は、沈殿工程において単独で、または混合物として使用され得る。
【0062】
本発明と一致して、酸性および塩基性前駆体の相対流速は、それらがアルミニウムを含有するか否かに関わらず、8.5〜10.5の範囲の反応媒体におけるpHを得るように選択される。
【0063】
塩基性および酸性前駆体がそれぞれ、アルミン酸ナトリウムおよび硫酸アルミニウムである好ましい場合には、前記酸性前駆体に対する前記塩基性前駆体の重量比は、1.60〜2.05の範囲にあることが有利である。
【0064】
その他の塩基性および酸性前駆体について、それらがアルミニウムを含有するか否かに関わらず、塩基性/酸性重量比は、酸による塩基の中和曲線によって確立される。当業者ならば、この種の曲線は容易に得ることができる。
【0065】
好ましくは、前記沈殿工程a)は、8.5〜10.0の範囲、高度に好ましくは8.7〜9.9の範囲のpHで実施される。
【0066】
好ましくは、第1の沈殿工程a)は、20℃〜90℃の範囲の、好ましくは20℃〜70℃の範囲の、より好ましくは30℃〜50℃の範囲の温度で実施される。
【0067】
好ましくは、第1の沈殿工程a)は、8〜10.5の範囲の、好ましくは8〜10.5の範囲の、より好ましくは8.5〜10の範囲の、高度に好ましくは8.7〜9.9の範囲のpHで実施される。
【0068】
好ましくは、第1の沈殿工程a)は、5〜20分、好ましくは5〜15分の範囲の期間実施される。
【0069】
本発明と一致して、前記第1の沈殿工程a)の進捗率は、5%〜13%の範囲、好ましくは6%〜12%の範囲、好ましくは7%〜11%の範囲にある。進捗率は、調製方法の工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対する、前記第1の沈殿工程の間に形成されたAl
2O
3等価物としてのアルミナの割合であると定義される。
【0070】
アルミニウムを含有する酸性および塩基性前駆体はまた、従って、下記の量で導入される。当該量は、所望の量のアルミナを含有する懸濁液が、得ようとするアルミナの最終濃度の関数として、得ることができることを意味する。特に、前記工程a)は、当該調製方法の工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対して、アルミナの重量によって5%〜13%を得るように使用され得る。
工程b):加熱
本発明と一致して、前記調製方法は、第1の沈殿工程a)の最後に得られた懸濁液を加熱するための工程b)を含む。
【0071】
本発明と一致して、第2の沈殿工程が実施される前に、2工程の沈殿工程の間に、沈殿工程a)の最後に得られた懸濁液を加熱するための工程が実施される。
【0072】
前記第1の沈殿工程a)と第2の沈殿工程c)の間に実施される、工程a)の最後に得られた懸濁液を加熱するための前記工程は、40℃〜90℃の範囲の、好ましくは40℃〜80℃の範囲の、好ましくは40℃〜70℃の範囲の、高度に好ましくは40℃〜65℃の範囲の温度で実行される。
【0073】
前記加熱工程は、7〜45分の範囲の、好ましくは7〜35分の範囲の期間実施される。
【0074】
前記加熱工程は、当業者に公知の加熱方法のいずれかを使用して実施されることが有利である。
工程c):第2の沈殿
本発明と一致して、前記調製方法は、加熱工程b)の最後に得られる加熱された懸濁液の沈殿のための第2の工程を含み、前記の第2の工程は、前記懸濁液に、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される少なくとも1種の塩基性前駆体ならびに硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸、塩酸および硝酸から選択される少なくとも1種の酸性前駆体を添加することによって実行され、塩基性または酸性前駆体の少なくとも1種がアルミニウムを含み、酸性および塩基性前駆体の相対流速が、8.5から10.5の範囲の反応媒体のpHを得るように選択され、アルミニウムを含有する酸性および塩基性前駆体の流速が、87%〜95%の範囲の第2の工程の進捗率を得るように調整され、進捗率が、調製方法の工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対する、前記第2の沈殿工程の間にAl
2O
3等価物として形成されるアルミナの割合であると定義され、前記工程が、40℃〜90℃の範囲の温度で、2分〜50分の範囲の期間実行される。
【0075】
水溶液における共沈のために前記第2の工程において、塩基性および酸性前駆体(単数または複数)が添加される。
【0076】
第1の沈殿工程a)と同様の方法で、加熱された懸濁液に、少なくとも1種の塩基性前駆体および少なくとも1種の酸性前駆体を添加することは、塩基性または酸性前駆体の少なくとも1種が、アルミニウム含むことを必要とする。また、塩基性および酸性前駆体のうち少なくとも2種が、アルミニウムを含むことが可能である。
【0077】
アルミニウムを含む塩基性前駆体は、アルミン酸ナトリウムおよびアルミン酸カリウムである。好ましい塩基性前駆体は、アルミン酸ナトリウムである。
【0078】
アルミニウムを含む酸性前駆体は、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムおよび硝酸アルミニウムである。好ましい酸性前駆体は、硫酸アルミニウムである。
【0079】
好ましくは、前記の第2の沈殿工程は、撹拌しながら実行される。
【0080】
好ましくは、前記の第2の工程は、有機添加剤の不存在下で実施される。
【0081】
酸性および塩基性前駆体は、それらがアルミニウムを含有するか否かに関わらず、好ましくは、懸濁液中に溶液の形で、得られた懸濁液のpHが、8.5〜10.5の範囲にあるような割合で混合される。
【0082】
沈殿工程a)と同様の方法で、酸性および塩基性前駆体の相対流速は、それらがアルミニウムを含有するか否かに関わらず、8.5〜10.5の範囲の、好ましくは8.5〜10の範囲の、さらにより好ましくは8.7〜9.9の範囲の反応媒体のpHを得るように選択される。
【0083】
塩基性および酸性前駆体がそれぞれ、アルミン酸ナトリウムおよび硫酸アルミニウムである好ましい場合には、前記塩基性前駆体対前記酸性前駆体の重量比は、1.60〜2.05の範囲にあることが有利である。
【0084】
その他の塩基性および酸性前駆体について、それらがアルミニウムを含有するか否かに関わらず、塩基性/酸性重量比は、酸による塩基の中和曲線によって確立される。当業者ならば、この種の曲線は、容易に得ることができる。
【0085】
好ましくは、前記の第2の沈殿工程は、8.5〜10.0の範囲の、好ましくは8.7〜9.9の範囲のpHで実施される。
【0086】
アルミニウム前駆体はまた、得ようとするアルミナの最終濃度の関数として、所望の量のアルミナを含有する懸濁液を製造するために使用できる量で混合される。特に、前記の第2の沈殿工程は、2工程の沈殿工程の最後に形成されるアルミナの総量に対して、アルミナの87重量%〜95重量%を得るために使用され得る。
【0087】
沈殿工程a)のものと同様の方法で、87%〜95%の範囲の、好ましくは88%〜94%の範囲の、高度に好ましくは89%〜93%の範囲の第2の工程の進捗率を得るように調整されるのは、アルミニウムを含有する酸性および塩基性前駆体の流速であり、進捗率は、当該調製方法の工程c)の最後に形成されるアルミナの総量に対する、前記の第2の沈殿工程の間にAl
2O
3等価物として形成されるアルミナの割合として定義される。
【0088】
したがって、好ましくは20〜100g/Lの範囲の、沈殿工程の最後での予想されるアルミナ濃度に応じて、酸性および/または塩基性前駆体によって供給されなければならないアルミニウムの量が算出され、前記の添加されるアルミニウム含有前駆体の濃度の、反応媒体に添加される水の量の、および沈殿工程の各々について必要とされる進捗率の関数として前駆体の流速が調整される。
【0089】
沈殿工程a)のものと同様の方法で、アルミニウムを含有する酸性および/または塩基性前駆体の流速は、使用される反応器の寸法に応じて、従って、反応媒体に添加される水の量に応じて変わる。
【0090】
例として、3Lの反応器が使用され、第1の沈殿工程について10%のターゲット進捗率で、50g/Lの最終Al
2O
3濃度を有する1Lのアルミナ懸濁液が予想される場合には、沈殿工程a)の間に総アルミナの10%が供給されなければならない。アルミナ前駆体は、Al
2O
3として155g/Lの濃度を持つアルミン酸ナトリウムおよびAl
2O
3として102g/Lの濃度を持つ硫酸アルミニウムである。第1の工程の沈殿pHは、9.5で固定され、第2は、9に固定される。反応器に添加される水の量は、620mLである。
【0091】
30℃で8分間実行する、第1の沈殿工程a)について、硫酸アルミニウムの流速は、2.1mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は、2.6mL/分である。硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は、したがって、1.91である。
【0092】
70℃で30分実行する第2の沈殿工程について、硫酸アルミニウムの流速は、5.2mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は、6.3mL/分である。硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は
、したがって、1.84である。
【0093】
好ましくは、第2の沈殿工程は、40℃〜80℃の範囲の、好ましくは45℃〜70℃の範囲の、高度に好ましくは50℃〜70℃の範囲の温度で実施される。
【0094】
好ましくは、第2の沈殿工程は、5〜45分、好ましくは7〜40分の範囲の期間実施される。
【0095】
第2の沈殿工程は、一般に、20〜100g/Lの範囲の、好ましくは20〜80g/Lの範囲の、より好ましくは20〜50g/Lの範囲のAl
2O
3の濃度のアルミナの懸濁液を得るために使用され得る。
工程d):濾過
本発明に従ってアルミナを調製するための方法はまた、第2の沈殿工程c)の最後に得られる懸濁液の濾過のための工程を含む。前記濾過工程は、当業者に公知の方法を使用して実施される。
【0096】
2工程の沈殿工程の最後に得られる懸濁液の濾過性は、得られるアルミナゲルの低分散性によって改善され、これは、本発明の方法の生産性が改善され得ること、また、工業的規模の方法へスケールアップされ得ることを意味する。
【0097】
前記濾過工程に、好ましくは、水を用いる少なくとも1回の洗浄工程、好ましくは、濾過された沈殿物の量と等しい水の量を用いる1〜3回の洗浄工程を続けることが有利である。
【0098】
15%未満の、好ましくは5%〜15%の範囲の、より好ましくは6%〜14%の範囲の、高度に好ましくは7%〜13%の範囲の、さらにより好ましくは7%〜10%の範囲の分散性の割合、および1〜35nmの範囲の、好ましくは2〜35nmの範囲の微結晶のサイズを有する特定のアルミナゲルを得るために、第1の沈殿a)、加熱b)および第2の沈殿c)の工程ならびに濾過工程d)の連結(仏enchainement)が使用され得る。
【0099】
得られるアルミナゲルはまた、重量で0.001%〜2%の範囲の、好ましくは重量で0.01%〜0.2%の範囲の、X線蛍光によって測定される硫黄含量、および重量で0.001%〜2%の範囲の、好ましくは重量で0.01%〜0.1%の範囲の、ICP−MSまたは誘導結合プラズマ質量分析によって測定されるナトリウム含量を有することが有利であり、重量%は、アルミナゲルの総質量に対して表される。
【0100】
特に、本発明に従う粉末形態のアルミナゲルまたはベーマイトは、結晶学的方向[020]および[120]に沿ってX線回折を使用してシェラー(Scherrer)の式を適用することによって得られるサイズが、それぞれ、2〜20nmの範囲および2〜35nmの範囲である微結晶から構成される。
【0101】
好ましくは、本発明のアルミナゲルは、1〜15nmの範囲の結晶学的方向[020]を有する微結晶のサイズ、および1〜35nmの範囲の結晶学的方向[120]を有する微結晶のサイズを有する。
【0102】
回折計を使用する従来の粉末法を使用して、アルミナゲルまたはベーマイトでのX線回折を実施した。
【0103】
シェラー(Scherrer)の式は、ハーフハイト(half height)回折ピーク幅を微結晶のサイズと関連づける粉末または多結晶サンプルでのX線回折において使用される式である。参考文献: Appl. Cryst. (1978). 11, 102-113 Scherrer after sixty years: A survey and some new results in the determination of crystallite size, J. I. Langford and A. J. C. Wilsonに詳細に記載されている。
【0104】
このように調製されるゲルの低分散性を使用して、当業者に公知の方法のいずれかを使用する、特に、混練−押出成形、造粒によって、および油滴技術(英語技術用語による)によって前記ゲルを成形するための工程を増進することができる。
工程e):乾燥
本発明と一致して、第2の沈殿工程c)とそれに続く濾過工程d)の最後に得られるアルミナゲルは、粉末を得るために乾燥工程e)において乾燥され、前記乾燥工程は、例えば、20℃〜200℃の範囲の温度で8時間〜15時間の期間の乾燥によって、または噴霧乾燥によって、または当業者に公知の任意のその他の乾燥技術によって実施される。
【0105】
前記乾燥工程e)が、噴霧乾燥によって実施される場合には、第2の沈殿工程と、それに続く濾過工程の最後に得られるケーキは、再懸濁される。次いで、前記懸濁液は、当業者に周知の原理に従って、垂直円柱状容器内において微細な液滴に微粒化され、熱空気の流れと接触させられ、水を蒸発させるようにする。得られた粉末は、粉末を空気と分離するサイクロンまたはスリーブフィルターに熱流によって取り込まれる。好ましくは、乾燥工程d)を噴霧法により行う場合、該噴霧法は出版物Asep Bayu Dani Nandiyanto、Kikuo Okuyama、アドバンスト パウダー テクノロジー(Advanced Powder Technology)、第22号、1−19頁、2011年に記載の作業プロトコルに従って行われる。
工程f):成形
本発明と一致して、乾燥工程e)の最後に得られる粉末は、工程f)において成形されて、粗材料が得られる。
【0106】
用語「粗材料」とは、熱処理工程を受けていない成形された材料を意味する。
【0107】
好ましくは、前記成形工程f)は、混練−押出成形によって、顆粒化によって、油滴技術によって、ペレット化によって実施される。
【0108】
高度に好ましくは、前記成形工程f)は、混練−押出成形によって実施される。
工程g):熱処理
本発明と一致して、次いで、成形工程f)の最後に得られた粗材料は、最大60容積%の水を含有する空気の流れの存在下または不存在下で500℃〜1000℃の範囲の温度で2〜10時間の範囲の期間、熱処理のための工程g)を受ける。
【0109】
好ましくは、前記熱処理工程g)は、540℃〜900℃の範囲の温度で実行される。
【0110】
好ましくは、前記熱処理工程g)は、2時間〜10時間の範囲の期間実行される。
【0111】
前記熱処理工程g)は、ベーマイトを最終アルミナに変換するために使用され得る。
【0112】
熱処理工程は、50℃〜120℃の範囲の温度で、当業者が精通する任意の技術を使用する乾燥工程によって先行され得る。
得られる非晶質メソ多孔質アルミナの特徴
本発明の調製方法は、16nm以上、好ましくは18nm以上、高度に好ましくは20nm以上、さらにより好ましくは21〜23nmの範囲(端値を含む)であることが有利である、水銀圧入ポロシメトリーによる容積による細孔分布のグラフから決定される、高いメソ細孔直径中央値を有する非晶質メソ多孔質アルミナを得るために使用され得る。
【0113】
本発明の方法に従って調製されたメソ多孔質アルミナは、ミクロ
細孔を含まないことが有利である。ミクロ細孔がないことは、窒素ポロシメトリーによって確認される。
【0114】
本発明のメソ多孔質アルミナは、0.5mL/g以上の、好ましくは0.7mL/g以上の、メソ細孔容積(すなわち、水銀圧入ポロシメトリーによって測定されるような、2〜50nm(端値を含む)の範囲の直径を有する細孔中に含有される)を有することが有利である。
【0115】
水銀ポロシメトリーによって測定される全細孔容積は、0.75mL/gを超えることが有利である。
【0116】
本発明のメソ多孔質アルミナは、一般に、水銀ポロシメトリーによって決定される全細孔容積の10%未満の、好ましくは5%未満の、50nmを超える直径を有する細孔として定義されるマクロ細孔の割合を含む。
【0117】
本発明のメソ多孔質アルミナは、一般に、100m
2/gを超える比表面積を有する。
【0118】
本発明を、ここで、以下の実施例において例示するが、これは、決して制限ではない。
【実施例1】
【0120】
(本発明と一致):
本発明に従って3種のアルミナを、5Lの反応器を備えた従来の装置で、3工程で製造した。
【0121】
前駆体の濃度は、以下のとおりとした:Al
2O
3として102g/Lの硫酸アルミニウムAl
2(SO
4)
3およびAl
2O
3として155g/Lのアルミン酸ナトリウム、NaAlOO。
【0122】
本発明(A)に従い、以下の工程を使用してアルミナを製造した:
a)30℃およびpH=9.1で、8分間にわたる硫酸アルミニウムAl
2(SO
4)
3およびアルミン酸ナトリウムNaAlOOの第1の共沈:進捗率は、8%であった。進捗率は、第1の工程の間に形成されたアルミナの割合、すなわち、45g/Lのアルミナの最終濃度に対応する。5Lの反応器が使用され、第1の沈殿工程について8%のターゲット進捗率で、45g/LのAl
2O
3の最終濃度を有するアルミナの懸濁液4Lが予想される場合には、沈殿工程a)の間に総アルミナの8%が供給されなければならない。第1の工程の沈殿のpHを9.1で固定し、第2の工程の沈殿のpHは9.1とした。反応器中に最初に存在する水の量は1330mLとした。
【0123】
30℃で8分間実行する第1の沈殿工程a)について、硫酸アルミニウム流速は、6.1mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は、7.6mL/分とし、水流速は、69.7mL/分とした。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は、1.91であった。
【0124】
b)20〜30分かけての30℃から70℃への温度の上昇;
c)70℃で30分かけて実行された第2の沈殿工程の、92%の進捗率を有する、70℃およびpH=9.1で、30分かけた硫酸アルミニウムAl
2(SO
4)
3およびアルミン酸ナトリウムNaAlOOの第2の共沈:硫酸アルミニウム流速は、19mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は、23mL/分とし、水流速は、24.7mL/分とした。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は、1.84とした。
【0125】
d)P4ブフナー(Buchner)型フリット器具上での置換による濾過および70℃の5Lの蒸留水を用いる3回の洗浄。
【0126】
e)120℃で一晩の乾燥。
【0127】
f)粗材料の成形。
【0128】
乾燥されたアルミナゲルを、ブラベンダー(Brabender)型ミキサー中に導入した。ミキサー中に導入された乾燥ゲルの質量に対する重量によって表される3%の酸の総濃度へ硝酸を用いて酸性化した水を、20rpmで混合しながら10分かけて添加した。酸混合を5分間継続した。次いで、ミキサーにアンモニア溶液を添加することによって、(酸性化工程のためにミキサー中に導入された硝酸の量に対するアンモニアの重量によって表される)200%の中和パーセンテージで、中和工程を実施した。混合は、3分間継続した。
【0129】
次いで、得られたペーストを、2mmの3葉(three-lobed)金型の押出成形機によって押し出した。
【0130】
g)熱処理:得られた押出成形物を、100℃で一晩乾燥させ、次いで、チューブ炉(HSV=1L/h/g、30%v/v水を有する)中で湿潤空気の流れの中、800℃で2時間焼成した。
【0131】
得られたアルミナの細孔分布は、4000バールの最大圧力で、484ダイン/cmの表面張力および140°の接触角を使用するASTM基準D4284−83を使用する水銀圧入ポロシメトリーによって特性決定した。
【0132】
ミクロ細孔構造がないことを、窒素ポロシメトリーによって確認した。
【0133】
本発明(B)に従う第2のアルミナおよび本発明(C)に従う第3のアルミナを、以下の工程(熱処理工程gのみが異なっていた)を使用して製造した:
a)30℃およびpH=9.1で8分間かけた、硫酸アルミニウムAl
2(SO
4)
3およびアルミン酸ナトリウムNaAlOOの第1の共沈:その進捗率は10%であった。進捗率は、第1の工程の間に形成されたアルミナの割合、すなわち、45g/Lのアルミナの最終濃度に対応する。5Lの反応器が使用され、第1の沈殿工程について10%のターゲット進捗率で、45g/LのAl
2O
3の最終濃度を有するアルミナの懸濁液4Lが予想される場合には、沈殿工程a)の間に総アルミナの10%が供給されなければならない。第1の工程の沈殿のpHを9.1で固定し、第2の工程の沈殿のpHは9.1とした。反応器中に最初に存在する水の量は1330mLとした。
【0134】
30℃で8分間実行する、第1の沈殿工程a)について、硫酸アルミニウム流速は、7.6mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は、9.1mL/分とし、水流速は、24.6mL/分とした。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウム重量比は、1.91であった。
【0135】
b)20〜30分かけての30℃から70℃への温度の上昇;
c)70℃で30分かけて実行された第2の沈殿工程の、90%の進捗率を有する、70℃およびpH=9.1で、30分かけた硫酸アルミニウムAl
2(SO
4)
3およびアルミン酸ナトリウムNaAlOOの第2の共沈、硫酸アルミニウム流速は、18.5mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は、29mL/分とし、水流速は、33.8mL/分とした。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は、1.84とした。
【0136】
d)P4ブフナー(Buchner)型フリット器具上での置換による濾過および70℃の5Lの蒸留水を用いる3回の洗浄。
【0137】
e)120℃で一晩の乾燥。
【0138】
f)粗材料の成形。
【0139】
乾燥されたアルミナゲルを、ブラベンダー型ミキサー中に導入した。ミキサー中に導入された乾燥ゲルの質量に対する重量によって表される3%の酸の総濃度へ硝酸を用いて酸性化した水を、20rpmで混合しながら10分かけて添加した。酸混合を5分間継続した。次いで、ミキサーにアンモニア溶液を添加することによって、中和工程を実施した。中和パーセンテージは、酸性化工程のためにミキサー中に導入された硝酸の量に対するアンモニアの重量として表わして、200%であった。混合は、3分間継続した。
【0140】
次いで、得られたペーストを、2mmの3葉(three-lobed)金型の押出成形機によって押し出した。
【0141】
g)熱処理:得られた押出成形物を、100℃で一晩乾燥させ、次いで、チューブ炉(HSV=1L/h/g、アルミナBについては水を有さない、アルミナCについては30%v/v水を有する)中で湿潤空気の流れの中、800℃で2時間焼成した。
【0142】
【表1】
第1の沈殿工程について、5%〜13%の範囲、好ましくは7%〜11%の範囲である進捗率を選択することは、高いメソ細孔容積(0.75mL/gを超える)、高い比表面積(75m
2/gを超えるBET比表面積)を有し、ミクロ細孔がなく:10nm未満の直径を有する細孔が全細孔容積の1%未満を構成し、10〜50nmの範囲のサイズを有する細孔にわたる優先的メソ細孔分布を有し、20〜50nmの範囲の直径を有する細孔中に含まれる細孔の主要部分(36%)および高いメソ細孔直径中央値(16、21.3および22.5nm)を有するアルミナが得られることを意味する。
【実施例2】
【0143】
(比較)
実施例1に記載されるものと同様のプロトコールに従って、ただし本発明と一致しない方法で第1の沈殿工程の進捗率を変更し(0.20%〜35%)、2種のアルミナゲルを合成した。
【0144】
従って、第1の沈殿工程の間に供給されるアルミナの量のみを変更した。工程d)、e)およびf)は、実施例1において記載されるものと同一であった。
【0145】
第1の沈殿工程の進捗率が0%であった場合には、アルミニウムを含有する前駆体は、第1の工程に供給されなかった。
【0146】
沈殿は、5Lの反応器中、70℃の温度および10.2のpHで実施した。
【0147】
使用されるアルミニウム前駆体の濃度は、以下のとおりとした:Al
2(SO
4)=Al
2O
3として102g/L、およびNaAlOO、Al
2O
3として155g/L。反応物(塩基性アルミニウム塩[AlOONa]および酸性アルミニウム塩[Al
2(SO
4)
3])の添加は、30間連続的に実施し、pHを9.0に調整した。前駆体のすべてを70℃の温度で接触させた。ターゲットとされる最終アルミナ濃度は、45g/Lとした。反応器中に最初に存在する水の量は2000mLとした。硫酸アルミニウムの流速は20.6mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は25mL/分とし、水流速は21mL/分とした。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は、1.84とした。
【0148】
次いで、得られた懸濁液をブフナー(Buchner)型フリット器具上での水の置換によって濾過し、得られたアルミナゲルを、5Lの蒸留水を用いて3回洗浄した。
【0149】
凝集性の(cohesive)ペーストは得られなかった。したがって、押出成形物に成形できなかった。
【0150】
第1の沈殿工程の進捗率が20%であった場合には、アルミナを以下のように調製した:
5Lの反応器が使用され、第1の沈殿工程について20%のターゲット進捗率で、45g/Lの最終Al
2O
3濃度を有するアルミナ懸濁液4Lが予想される場合には、沈殿工程a)の間に総アルミナの20%が供給されなければならない。第1の工程の沈殿のpHを9.5で固定し、第2の工程の沈殿のpHを9.0とする。反応器中に最初に存在する水の量は、1330mLとする。
【0151】
30℃で8分間実行する第1の沈殿工程a)について、硫酸アルミニウムの流速は15.2mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は19mL/分とし、水流速は49.2mL/分とする。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は、1.91とする。
【0152】
70℃で30分間実行する第2の沈殿工程について、硫酸アルミニウム流速は16.5mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は20mL/分であり、水流速は30.1mL/分である。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は、1.84である。
粗材料の成形:
乾燥されたアルミナゲルを、ブラベンダー型ミキサー中に導入した。ミキサー中に導入された乾燥ゲルの質量に対する重量によって表わして3%の酸の総濃度に硝酸で酸性化した水を、20rpmで混合下に10分かけて添加した。酸混合を5分間継続した。次いで、ミキサーにアンモニア溶液を添加することによって中和工程を実施した。この中和パーセンテージは、酸性化工程のためにミキサー中に導入された硝酸の量に対するアンモニアの重量によって表わして200%であった。混合は、3分間継続した。
【0153】
次いで、得られたペーストを、2mmの3葉(three-lobed)金型の押出成形機によって押し出した。
【0154】
g)熱処理:得られた押出成形物を、100℃で一晩乾燥させ、次いで、チューブ炉(HSV=1L/h/g、30%v/v水を有する)中で湿潤空気の流れの中、800℃で2時間焼成した。
【0155】
得られたアルミナの細孔分布は、4000バールの最大圧力で、484ダイン/cmの表面張力および140°の接触角を使用するASTM基準D4284−83を使用する水銀圧入ポロシメトリーによって特性決定した。
【0156】
ミクロ細孔構造がないことを、窒素ポロシメトリーによって確認した。
【0157】
沈殿工程の進捗率が35%である場合には、アルミナは、以下の通りに調製した:
5Lの反応器が使用され、第1の沈殿工程について35%の進行のターゲット状態の、45g/Lの最終Al
2O
3濃度を有する4Lのアルミナ懸濁液が予想される場合には、沈殿工程a)の間に総アルミナの35%が供給されなければならない。第1の工程の沈殿のpHを9.5で固定し、第2の工程の沈殿のpHを9.0とする。反応器に添加される水の量は、1330mLとする。
【0158】
30℃で8分間実行する第1の沈殿工程a)について、硫酸アルミニウムの流速は22.7mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は28.5mL/分とし、水流速は32.2mL/分とする。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は1.91とする。
【0159】
70℃で30分かけて実行する第2の沈殿工程について、硫酸アルミニウム流速は14.4mL/分でなくてはならず、アルミン酸ナトリウム流速は17.5mL/分でなくてはならず、水流速は34.7mL/分とする。したがって、硫酸アルミニウムに対するアルミン酸ナトリウムの重量比は1.84とする。
粗材料の成形:
乾燥されたアルミナゲルを、ブラベンダー型ミキサー中に導入した。ミキサー中に導入された乾燥ゲルの質量に対する重量によって表わして3%の酸の総濃度に硝酸で酸性化した水を、20rpmで混合下に10分かけて添加した。酸混合を5分間継続した。次いで、ミキサーにアンモニア溶液を添加することによって中和工程を実施した。この中和パーセンテージは、酸性化工程のためにミキサー中に導入された硝酸の量に対するアンモニアの重量として表わして、200%であった。混合は、3分間継続した。
【0160】
次いで、得られたペーストを、2mmの3葉(three-lobed)金型の押出成形機によって押し出した。
【0161】
熱処理:得られた押出成形物を、100℃で一晩乾燥させ、次いで、チューブ炉(HSV=1L/h/g、30%v/v水を有する)中で湿潤空気の流れの中、800℃で2時間焼成した。
【0162】
得られたアルミナの細孔分布は、4000バールの最大圧力で、484ダイン/cmの表面張力および140°の接触角を使用するASTM基準D4284−83を使用する水銀圧入ポロシメトリーによって特性決定した。
【0163】
ミクロ細孔構造がないことを、窒素ポロシメトリーによって確認した。
【0164】
【表2】
この実施例は、単一沈殿工程において予想される細孔特性を有するアルミナを得ることは可能ではないことを示す(第1の工程の進捗率=0、アルミナD)。
【0165】
対照的に、2工程の沈殿工程を有する方法を用いて、高いメソ細孔容積、高い比表面積および限定された容積のマクロ細孔を有するアルミナを得ることが可能である。しかし、得られたアルミナEおよびFは、10nm未満のサイズを有する高い割合の細孔を有し、14.3および13.7nmのそれぞれのメソ細孔直径中央値を有し、従って、本発明と一致しない。結果として、得られたアルミナEおよびFは、本発明に従わない第1の工程の進捗率を有し、したがって、10〜50nmの範囲のサイズを有する、16nm以上の高いメソ細孔直径中央値を有する細孔の優先的単峰性メソ細孔分布を有さない。