(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623264
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】時計ケース、腕時計、及び時計ケースを備える腕時計組立てキット
(51)【国際特許分類】
G04B 37/18 20060101AFI20191209BHJP
G04B 37/16 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
G04B37/18 Y
G04B37/16 P
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-158940(P2018-158940)
(22)【出願日】2018年8月28日
(65)【公開番号】特開2019-49546(P2019-49546A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年8月28日
(31)【優先権主張番号】17190168.9
(32)【優先日】2017年9月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ・フィンク
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
スイス国特許発明第124791(CH,A5)
【文献】
米国特許第2559238(US,A)
【文献】
国際公開第2009/017080(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3203984(JP,U)
【文献】
独国特許出願公開第10305305(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 37/00 − 18
A44C 5/00 − 24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計(1)のための時計ケース(2)であって、
−時計中板(6);
−前記時計中板(6)を支持する少なくとも1つの支材(7a、7b)であって、剛性であり、前記時計中板(6)が占める空間を越えて延在する支材(7a、7b);
−時計ストラップ(4)を剛性の前記支材(7a、7b)に取り外し可能に取り付ける手段(8)
を備える時計ケース(2)において、前記時計ケース(2)は、前記支材又は前記支材の一方を前記時計中板(6)に固定する部材(13)を更に備え、前記取り外し可能取り付け手段(8)は、前記支材(7b)を前記時計中板(6)に固定した際に形成されること;
前記固定部材(13)は、前記支材(7b)を前記時計中板(6)から取り外す手段(24)を含み、前記手段(24)は、器具を使用せずに前記時計中板(6)からの前記支材(7b)の解放を可能にするように構成し、前記支材(7b)は、前記時計中板(6)に取り外し可能に固定すること、及び前記支材(7a、7b)は、前記時計中板(6)の側面上に組み付け、
前記時計中板(6)は、剛性の支材を受け入れる少なくとも1つの溝(20a、20b)を更に備え、前記溝(20a、20b)は、前記時計中板(6)の側面に嵌め込み、前記支材(7a、7b)の中心部分(22b)に相補形状であり、前記支材(7a、7b)の前記中心部分(22b)を受け入れ、前記溝(20a、20b)の深さは、前記支材(7a、7b)を前記溝(20a、20b)内に面一で収容するようなものである
ことを特徴とする、時計ケース(2)。
【請求項2】
時計ストラップ(4)を前記支材(7a、7b)に取り外し可能に取り付ける前記手段(8)は、前記時計ストラップ(4)を保持する手段(42)を備え、前記手段(42)は、前記時計ストラップ(4)の端区分(40)に挿入されるように適合させることを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(2)。
【請求項3】
前記時計ケース(2)は、固定棒(28)が延在する頭部(26)を備えるりゅうず車を備え、前記りゅうず車は、前記固定部材(13)を形成し、前記りゅうず車の前記頭部(26)は、前記時計ケース(2)の外側に突出し、前記時計中板(6)から前記支材(7b)を取り外す前記手段(24)を形成することを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の時計ケース(2)。
【請求項4】
前記固定棒(28)は、ねじであること、及び前記取り外し可能固定支材(7b)は、前記ねじを通過させるための開口(30)を含み、前記時計中板(6)は、前記ねじを受けるように適合させた雌ねじ開口(32)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の時計ケース(2)。
【請求項5】
前記固定棒(28)は、差込み部材であること、及び前記取り外し可能固定支材(7b)は、前記差込み部材を通過させるための開口を含み、前記時計中板(6)は、前記差込み部材を受けるように適合させた開口を含むことを特徴とする、請求項3に記載の時計ケース(2)。
【請求項6】
前記時計ケース(2)は、実質的に円形状であること、及び前記支材(7a、7b)は、弓形状の中心部分(22b)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の時計ケース(2)。
【請求項7】
前記取り外し可能固定支材(7b)は、前記時計中板(6)上に前記支材(7b)を案内、配置する少なくとも1つの要素(34)を更に備えること、及び前記時計中板(6)は、少なくとも1つの受け入れオリフィス(36)を更に備え、前記受け入れオリフィス(36)は、前記案内・配置要素(34)と協働するように適合させることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の時計ケース(2)。
【請求項8】
前記時計ケース(2)は、前記時計中板(6)を支持する2つの支材(7a、7b)を備え、前記2つの支材(7a、7b)は、前記時計中板(6)のそれぞれの反対側に配置し、前記2つの支材の一方は、前記時計中板(6)に取り外し可能に固定する前記支材(7b)を形成し、もう一方の前記支材(7a)は、前記時計中板(6)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の時計ケース(2)。
【請求項9】
時計ストラップ(4)を前記支材(7a、7b)に取り外し可能に取り付ける前記手段(8)は、前記時計ストラップ(4)を保持する手段(42)を備え、前記手段(42)は、前記時計ストラップ(4)の端区分(40)に挿入されるように適合され、
各前記支材(7a、7b)は、2つのL字形状端部分(42)を含み、各前記支材(7a、7b)の各前記L字形端部分(42)は、前記保持手段(42)の一方を形成し、前記時計ストラップ(4)の端区分(40)に挿入されるように適合させたピン(44)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の時計ケース(2)。
【請求項10】
前記各支材(7a、7b)は、前記L字形状端部分(42)との一体部品であることを特徴とする、請求項9に記載の時計ケース(2)。
【請求項11】
時計ケース(2)及び前記時計ケース(2)に取り付ける時計ストラップ(4)を備える腕時計(1)において、前記時計ケース(2)は、請求項1から10のいずれか一項に記載のものであり、支材(7a、7b)は、前記時計ストラップ(4)の長手方向に向けられ、前記時計ストラップ(4)は、前記支材(7a、7b)に取り外し可能に取り付けることを特徴とする、腕時計(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の時計ケース(2)において、前記時計ストラップ(4)は、2つの端区分(40)を含み、前記各支材(7a、7b)の各L字形状端部分(42)のピン(44)は、前記時計ストラップ(4)の前記端区分(40)の一方に挿入し、前記ピン(44)は、前記時計ケース(2)の3時−9時軸に実質的に平行であることを特徴とする、請求項11に記載の腕時計(1)。
【請求項13】
腕時計(1)及び少なくとも1つの時計ストラップ(4)を備える腕時計組立てキットにおいて、前記腕時計(1)は、請求項11又は12に記載のものであることを特徴とする、腕時計組立てキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計のための時計ケースに関する。
【0002】
本発明は、また、時計ケース及び時計ケースに取り付ける時計ストラップを備える腕時計に関する。
【0003】
本発明は、更に、腕時計及び複数の時計ストラップを備える腕時計組立てキットに関する。
【背景技術】
【0004】
機械式又は電気機械式腕時計の分野において、時計中板を有する時計ケースに、時計中板を支持する少なくとも1つの支材を設けることは公知である。
【0005】
この種類の時計ケースは、例えば、特許出願EP0386621A1に記載されている。この時計ケースにおいて、時計中板を支持する2つの支材は、時計中板のそれぞれの反対側に配置される。2つの支材は、時計中板が占める空間を越えて延在し、時計ストラップへの取り付け手段として働く。この目的で、2つのばね棒は、筐体内の枢動部によって固定され、枢動部は、一般的には止まり穴によって形成され、支材端部の対向する面内に配置され、棒のそれぞれは、時計ストラップの各区分の一端に設けたアイレットに挿入される。2つの支材は、例えばねじにより時計中板に永続的に固定される。しかし、提案される時計ケースの欠点は、器具を使用せずに時計ストラップを交換することが可能ではないことである。実際には、時計ストラップを交換するために、適切な器具を使用してばね棒の枢動部に作用し、ばね棒を後退させ、ばね棒を筐体から外し、時計ストラップを時計ケースから分離する必要がある。
【0006】
特許出願CH513453には、枠、2つの端部を枠に取り付けた時計ストラップ、及び枠要素の間に保持される時計ケースを有する腕時計が記載されている。より正確には、枠要素は、時計ケースの時計中板のそれぞれの反対側に配置された2つの支材、及び支材を時計ストラップに固定する2つの部材から構成される。この腕時計の1つの特定の実施形態によれば、支材を時計ストラップに固定する2つの部材は、2つのねじから構成され、2つのねじは、支材をその両端で接続し、ねじのそれぞれは、一端に、支材から外側に突出する刻み付き頭部を含む。各ねじは、時計ストラップの一区分の一端に配置したアイレットに挿入され、時計ストラップを枠に固定する。刻み付き頭部によりねじを外すことによって、ユーザは、枠要素の全てを分離し、したがって、時計ケースから時計ストラップを解放することができる。したがって、このことにより、時計ストラップ又は時計ケースを、器具を使用せずに交換可能にする。しかし、このような取り外しは、ねじのそれぞれに対する作業、即ち、合計2回の取り外し作業を伴う。このことは、時計ストラップの交換作業を複雑にする。更に、ねじを取り外した後、腕時計の全ての要素は分離している。このことは、要素が脱落及び破断する危険性のために更なる欠点を構成する。したがって、取り外し作業は、困難になり、いくぶん非実用的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP0386621A1
【特許文献2】CH513453
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、腕時計のための時計ケースを提供することであり、この時計ケースは、器具を使用せず、労力を要さず容易に時計ストラップを交換することを可能にし、従来技術の上述の欠点を軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的で、本発明は、独立請求項1に記載の特徴を備える腕時計のための時計ケースに関する。
【0010】
時計ケースの特定の形態は、従属請求項2から12において規定する。
【0011】
本発明によるこの種類の時計ケースの利点は、時計中板を支持する支材が、時計中板に取り外し可能に直接的に固定されること、及び支材に時計ストラップを取り付ける取り外し可能手段が、支材を時計中板に固定した際に形成されることにある。
【0012】
支材取り外し手段が、支材を時計中板に固定する部材を備えるために、ユーザは、器具を使用せずに時計ストラップを容易に交換することができる。実際は、反対に、時計ストラップを支材に取り外し可能に取り付ける手段は、支材を時計中板に固定した際に形成されるため、支材を時計中板から取り外した際に、時計ストラップは支材から至って容易に取り外される。この単一取り外し作業は、ユーザにとって非常に単純であり、この場合、ユーザは、1つ又は複数の支材から初期の時計ストラップを取り外し、時計ストラップを新たな時計ストラップと取り替えることによって、時計ストラップを交換することができる。この場合、ユーザは、例えば、美観的な理由で又は便宜的に、腕時計の時計ストラップを定期的に交換することができる。
【0013】
時計ストラップを支材に取り外し可能に取り付ける手段は、有利には、アイレットに挿入されるように適合させた、時計ストラップを保持する手段、又は時計ストラップの一区分の一端に設けた同様のデバイスを備える。このことにより、取り外し可能支材を取り外した後、時計ストラップの支材からの容易な解放が可能となることにより、時計ストラップの交換作業の促進を可能にする。
【0014】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、時計ケースは、時計中板を支持する2つの支材を備え、2つの支材は、時計中板のそれぞれの反対側に配置する。2つの支材の一方は、時計中板に取り外し可能に固定する支材を形成し、もう一方の支材は、時計中板に例えば永続的に取り付けられている。
【0015】
各支材は、有利には、2つのL字形状端部分を有し、各支材の各L字形状端部分は、前記保持支材の一方を形成し、時計ストラップの端区分に挿入されるように適合させたピンを備える。このことにより、取り外し可能支材を外した後、支材の端部で時計ストラップをピンに沿って単に摺動させることによって、時計ストラップの容易な解放が可能となることにより、時計ストラップの交換作業を更なる促進を可能にする。
【0016】
やはり有利には、各支材は、そのL字形状端部分と一体部品である。このことにより、支材の機械加工を促進し、支材の製造費用を低減可能にする。
【0017】
各支材は、有利には、時計中板の側面上に組み付けられている。このことにより、時計ケースの機械加工費用を低減可能にする。
【0018】
この目的で、本発明は、上記の時計ケースを備え、請求項13に記載の特徴を有する腕時計にも関する。
【0019】
腕時計の1つの特定の形態は、請求項14において規定する。
【0020】
この目的で、本発明は、上記の腕時計を備え、請求項15に記載の特徴を有する腕時計組立てキットにも関する。
【0021】
時計ケース並びに腕時計及び時計ケースを備える組立てキットの目的、利点及び特徴は、図示の少なくとも1つの非限定的実施形態に基づく以下の説明においてより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による時計ケースを備える腕時計の平面図である。
【
図2a】
図1の線II−IIに沿って取った時計ケースの部分断面図である。
【
図2b】
図1の線III−IIIに沿って取った時計ケースの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、腕時計1を示し、腕時計1は、時計ケース2、及び時計ケース2に取り外し可能に取り付けた時計ストラップ4を備える。腕時計1は、例えば、1つ又は複数の更なる時計ストラップを備えるキット(図示せず)の一部とすることができる。そのような更なる時計ストラップは、腕時計1のための多数の交換可能時計ストラップとして構成し、時計ケース2に取り外し可能に取り付けることができる。非限定的な例として、時計ストラップ4及び更なる時計ストラップは、例えば、連結金属リンク、プラスチック材料、又は皮革等の可撓性材料から構成することができる。
【0024】
本明細書の残りにおいて、要素は、要素の時計ケース2に対する向きに応じて内部又は外部として非限定的に説明する。
【0025】
時計ケース2は、時計中板6、及び時計中板6の少なくとも1つの支材7a、7bを備える。
図1から
図4に示す特定の実施形態では、時計ケース2は、2つの支材7a、7bを備える。時計ケース2は、時計ストラップ4を支材7a、7bに取り外し可能に取り付ける手段8、及び支材7a、7bの一方を時計中板6に取り外し可能に固定する部材13を更に備える。
【0026】
時計ケース2は、標準構造のムーブメント(図示せず)、例えば、円形状の機械式ムーブメント、及び針10から形成した表示手段を移動させる文字板9を囲繞する。ムーブメントは、りゅうず車11を含み、りゅうず車11は、時計中板6内に形成したオリフィスを通じて時計ケース2の外側に延在する。
【0027】
図示のように、時計中板6は、環形状であり、底部の裏蓋12、及びクリスタル18により閉鎖されており、クリスタル18の外周縁部は、環状上側縁上に載置されている。クリスタル18は、例えば、サファイアクリスタルである。
図1から
図4で例とする時計ケース2において、時計ケースの構成は、実質的に円形である。しかし、本発明は、この種類の構成の時計ケース、又は時計中板6の上記した他の特徴に決して限定するものではない。
【0028】
各支材7a、7bは、好ましくは、時計中板6の側面上に組み付けられている。この目的で、時計中板6は、例えば、支材7a、7bを側面の一方に嵌め込んで受けるための少なくとも1つの溝20a、20bを備える。
図1から
図4に示す特定の実施形態では、時計中板6は、2つの溝20a、20bを備える。
図1及び
図2a及び
図2bに示すように、各溝20a、20bの深さは、対応する支材7a、7bをケースと面一で溝20a、20b内に収容するようなものである。このことにより、時計の機械加工費用を低減する一方で、美的外観を向上させる。
【0029】
支材7a、7bは、時計中板6のそれぞれの反対側に配設され、時計ストラップ4が延在する方向に対応して、全体的に長手方向に向けられている。長手方向は、時計ストラップ4を時計ケース2に取り付けた際に、時計ケース2の6時−12時方向に実質的に対応する。
図1に示すように、支材7a、7bは、6時及び12時で時計中板6から突出し、これにより、後でより詳細に説明するように、支材7a、7bにより、時計ストラップ4を時計ケース2に取り付けることを可能にする。
【0030】
2つの支材の第1の支材7aは、時計中板6に取り付けられており、第2の支材7bのようにユーザが時計中板から外すことを意図するものではなく、その理由は後で明らかになろう。この目的で、第1の支材7aは中心部分を有し、中心部分の中心には、りゅうず車11が通過するための開口が穿孔されている。開口(図示せず)は、時計中板6のオリフィスと位置合わせされ、りゅうず車11が、時計中板6及び第1の支材7aを通過して延在するようにする。第1の支材7aは、時計中板の側面内に形成される溝20a内に収容される部分(図示の例では弓形である)の端部のそれぞれで、文字板9の平面に直交する方向に延在するねじ穴7cを更に備える。各穴は、固定ねじ7dを受け入れ、固定ねじ7dは、時計中板の溝20a内に通じる穴6aを通過し、支材7aを時計中板6の右手側面に締結する(
図2b)。この右手側面は、時計ケース2の6時−12時軸に対して考えた場合に、側面が文字板9の右手半部の側に位置するものとして画定する。
【0031】
第2の支材7bは、固定部材13を介して時計中板6に取り外し可能に固定する。固定部材13は、時計中板6から第2の支材7bを取り外す手段24を含む。取り外し手段24は、以下で詳細に説明するように、器具を使用せずに第2の支材7bを時計中板6から解放可能にするように構成する。
図1から
図4までの特定の実施形態では、固定部材13は、りゅうず車で形成する。りゅうず車13は、固定棒28によって延在する頭部26を備える。りゅうず車の頭部26は、時計ケース2の外側に突出し、この例では、取り外し手段24を形成する。第2の支材7bは、中心部分22bを有し、中心部分22bの中心には、りゅうず車13が通過するための開口30が穿孔されている。しかし、第2の支材7bの中心部分22bの中心にある開口30のそのような位置は、本発明の背景において決して限定的なものではない。
【0032】
図2aに示すように、開口30は、時計中板6の左手側面上に形成した開口32と位置合わせされる。開口32は、りゅうず車13の固定棒28を受け入れ、りゅうず車13を第2の支材7bを通じて時計中板6内に係合した際に時計中板6の左手側面に対する第2の支材7bの確実な固定を可能にする。
図2aに示す特定の実施形態では、固定棒28は、ねじであり、開口32は、雌ねじ開口である。図示しない一変形形態では、固定棒28は、差込み型要素であり、開口32は、この差込み型要素と協働するように適合され、第2の支材7bを時計中板6上に固定することを可能にする。
【0033】
各支材7a、7bの中心部分の形状は、溝20a、20b内に受けられるように、時計中板6の溝20a、20bの一方の形状と相補関係にある。
図1から
図4で例とする時計ケース2において、支材7a、7bの中心部分は、弓形状である。しかし、本発明は、支材の中心部分をこの種類の形状に決して限定するものではない。
【0034】
第2の支材7bは、好ましくは、
図3及び
図4で見えるように、時計中板6上に支材を案内、配置する少なくとも1つの要素34を備える。
図1から
図4に示す特定の実施形態では、第2の支材7bは、2つの案内・配置要素34を備える。各案内・配置要素34は、例えば、支材の中心部分22bの内面から突出するスタッドから形成される。時計中板6は、その左手側面上、例えば、側面内に形成した溝20b内に、要素34を受け入れる2つのオリフィス36を備える。
図1から
図4に示す特定の実施形態では、各要素34は、第2の支材7bの中心部分22bの一端に配置し、各受け入れオリフィス36は、時計中板6上の対応する位置で配置する。しかし、この要素34及びオリフィス36の配置及びこれらの数は、本発明の背景において決して限定的なものではない。
【0035】
時計ストラップ4を支材7a、7bに取り外し可能に取り付ける手段8は、好ましくは、時計ストラップ4を保持する手段42を備え、手段42は、ケースに固定することを目的として、時計ストラップ4の端部40に設けたアイレット40aに挿入される。図示の例では、時計ストラップは、可撓性時計ストラップであり、ストラップのアイレット40aは、従来、時計ストラップ区分の一方の横縁部からもう一方の横縁部へ延在する貫通路を画定するが、一変形形態によれば、通路の長さ部が時計ストラップを保持する手段を受けるように適合される場合、時計ストラップのアイレット40aを画定する通路は、貫通路ではないことは言うまでもない。
【0036】
図1から
図4までの特定の実施形態では、各支材7a、7bは、「L字」形状の2つの端部分を含む。したがって、この実施形態によれば、保持手段42は、「L字」形状の端部分によって形成する。各支材7a、7bは、好ましくは、「L字」形状の2つの端部分42との一体部品である。
【0037】
「L字」形状の各端部分42は、時計ストラップ4の端部40に設けたアイレット40aに挿入されるピン44を備える。各ピン44は、対応する支材7a、7bを時計中板6に固定した際、時計ケース2の3時−9時軸に実質的に平行である。このようにして、時計ストラップ4の各区分40は、そのアイレット40a内で、それぞれが支材7a、7bの一方の一部である対向する2つのピン44を受け入れる。したがって、区分40内のピン44のこの構成は、支材7a、7bへの時計ストラップ4の取り外し可能取り付け部8を実現し、この取り付け部8は、第2の支材7bを時計中板6に固定した際に形成される。
【0038】
図1に示すように、時計ストラップ4の一区分の同じアイレット40aの内側で対向するピン44は、第2の支材7bを時計中板6に固定した際にピン44の自由端の間に小空間46を形成する一方で、十分なピン貫通長さを保ち、時計ストラップ4が特に時計ストラップの長手方向軸に沿って牽引力を受けた場合に、保持手段に対する時計ストラップ4の確実な保持を保証するようにする。この点について、時計ストラップの材料が可撓性である場合、時計ストラップのアイレット40aは、有利には、剛性強化管を具備することに留意されたい。
【0039】
ピン44の外部表面は、好ましくは、ある摩擦係数を得られるように処理し、これにより、時計ストラップ4の区分のアイレット40a内でピン44の所定の間隙を可能にする。1つのそのような処理は、例えば、ピン44上への被覆層の付着により得られ、この種類の被覆層は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層である。このことにより、時計ストラップ4の嵌合・取り外し作業の更なる促進を可能にする。
【0040】
次に、本発明による時計ケース2を備える腕時計1において時計ストラップを交換する作業を
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0041】
ユーザが、例えば時計ストラップを交換するために時計ケース2から時計ストラップ4を外したい場合、第2の支材7bを取り外す手段24の作動によって開始する。特に、
図3に示すように、ユーザは、最初に、りゅうず車13の頭部26のねじを外し、これにより、矢印F1の方向で第2の支材7bを溝20bから分離可能にする。この作業は、第2の支材7bを時計中板6から外すことを可能にする。このようにすると、時計ストラップ4を支材7a、7bに取り外し可能に取り付ける手段8は、部分的に分解される。これは、第2の支材7bの端部ピン44を時計ストラップ4の区分40から摺動させて外すためである。
【0042】
次に、
図4に示すように、ユーザは、第1の支材7aの端部ピン44に沿って時計ストラップ4を矢印F2の方向で摺動させれば十分であり、時計ストラップ4の簡単な抜き取りを可能にする。次に、時計ストラップ4を時計の残りから完全に外す。
【0043】
次に、ユーザは、有利には、時計ストラップ4を新たな時計ストラップと取り替え、次に、上記の作業順序を逆にすることによって、新たな時計ストラップを支材7a、7bに取り付けることができる。
【0044】
本発明による時計ケースの上述の説明は、時計中板を支持する2つの支材を参照して示してきた。しかし、この特定の数の支材は、本発明の背景において決して限定的なものではない。特に、図示しない変形実施形態によれば、時計ケースは、時計中板を支持する唯一の支材を含むことができ、この場合、唯一の支材は、取り外し可能支材を形成する。
【符号の説明】
【0045】
1 腕時計
2 時計ケース
4 時計ストラップ
6 時計中板
7a 支材
7b 支材
8 取り外し可能取り付け手段
13 固定部材
20a 支材受け入れ溝
20b 支材受け入れ溝
22b 支材中心部分
24 取り外し手段
26 りゅうず車頭部
28 固定棒
30 開口
32 雌ねじ開口
34 案内・配置要素
36 受け入れオリフィス
40 時計ストラップ端区分
42 時計ストラップ保持手段(2つのL字形状端部分から成る)
44 ピン