(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック機構は、前記支持部の前記支持位置よりも前記エンドエフェクタに近接する位置で前記回転要素に前記所定の回転軸の軸回りの摺動抵抗を生じさせる摺動抵抗発生部を有する、請求項1に記載の処置具。
前記ロック機構は、前記所定の回転軸からの距離が、前記所定の回転軸から前記支持部までの距離よりも離れた位置で前記所定の回転軸の軸周りに摺動抵抗を発生させる摺動抵抗発生部を有する請求項1に記載の処置具。
前記支持部は、前記所定の回転軸から外れた方向からの前記回転要素への外力の負荷により、前記回転要素を前記ハウジングの前記所定の回転軸に対してずらすことが可能なガタツキを有する、請求項1に記載の処置具。
前記回転要素は、前記所定の回転軸から外れた方向からの前記回転要素への外力の負荷による弾性変形により、前記回転要素を前記ハウジングの前記所定の回転軸に対してずらすことが可能なしなり性を有する、請求項1に記載の処置具。
前記ロック機構は、前記ハウジングの前記所定の回転軸に対して、前記シャフトの前記中心軸が傾けられる傾き量が大きくなるにつれて、前記摺動抵抗を増大させる、請求項9に記載の処置具。
前記ロック機構は、前記ハウジングの前記支持部とは離れた位置に設けられた係合部、及び、前記シャフトの前記被支持部とは離れた位置に設けられ前記係合部に係合される被係合部を有する、請求項9に記載の処置具。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、
図1乃至
図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態の処置具(把持処置具)1を示す図である。
図1に示す処置具1は、所定の回転軸(長手軸)Rを有する。ここで、所定の回転軸Rに沿う方向の一方側を先端側(矢印C1側)とし、先端側とは反対側を基端側(矢印C2側)とする。
【0008】
処置具1は、ハウジング2と、ハウジング2に対して突出されるシャフト(シース)3と、エンドエフェクタ5とを備える。シャフト3及びエンドエフェクタ5は、ハウジング2の所定の回転軸Rに対する回転要素(rotary element)6を形成する。すなわち、回転要素6は、シャフト3及びエンドエフェクタ5を有する。
【0009】
シャフト3には中心軸Cが規定される。シャフト3は基端側から先端側へ中心軸Cに沿って延設されている。エンドエフェクタ5はシャフト3の先端部に配設される。シャフト3はハウジング2に対して回転可能に支持されている。このため、シャフト3はエンドエフェクタ5をシャフト3と一緒に中心軸Cの軸周りに回転可能に支持している。シャフト3は、ハウジング2に向かう側が基端側となり、エンドエフェクタ5に向かう側が先端側となる。なお、エンドエフェクタ5は、中心軸Cの軸上に配置されていても良く、中心軸Cの軸上からずれた位置に配置されていても良い。後述するが、本実施形態では、エンドエフェクタ5はシャフト3の中心軸Cの軸上に配置される位置と、中心軸Cの軸上からずれた位置に配置される位置との間を移動可能である。このため、本実施形態では、エンドエフェクタ5はシャフト3に対して曲げられる。
【0010】
なお、シャフト3は、例えばステンレス鋼材などの金属材料で形成され、中心軸C(所定の回転軸R)から外れた方向からの回転要素6への外力Fの負荷により弾性変形可能であることが好適である。このため、シャフト3は、中心軸C(所定の回転軸R)から外れた方向からの回転要素6への外力Fの負荷により適度に撓るしなり性を有することが好適である。
【0011】
ハウジング2は電気絶縁性を有する樹脂材で形成されている。本実施形態に係るハウジング2は、所定(不動)の回転軸Rに沿って延設されるハウジング本体11と、ハウジング本体11から所定の回転軸Rに対して交差する方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)に沿って延設されるグリップ(固定ハンドル)12と、を備える。グリップ12は、所定の回転軸Rから離れた部位に設けられる。グリップ12には、ケーブル13の一端が接続される。ケーブル13の他端は、エネルギー制御装置(図示しない)に接続される。ここで、所定の回転軸Rに対して交差し(略垂直で)、かつ、グリップ12の延設方向に対して交差する(略垂直な)方向を、ハウジング2の幅方向(
図1において紙面に略垂直な方向)とする。
図1は、処置具1をハウジング2の幅方向の一方側から視た図である。
【0012】
図2は、エンドエフェクタ5の構成を示す図である。
図1及び
図2に示すように、エンドエフェクタ5は、シャフト3と一緒に回転軸R(中心軸C)の軸回りにハウジング2に対して回転可能であるとともに、シャフト3(中心軸C)に対して屈曲可能である。なお、エンドエフェクタ5は、シャフト3と一緒に回転軸R(中心軸C)の軸回りにハウジング2に対して回転可能であるとともに、シャフト3(中心軸C)に対して湾曲可能であることも好適である(
図14B参照)。シャフト3が中心軸Cの軸回りに回転することにより、エンドエフェクタ5の回転軸Rの軸回りの角度位置が変化する。また、エンドエフェクタ5の屈曲方向(矢印B1及び矢印B2で示す方向)は、所定の回転軸Rに対して交差する(略垂直である)。エンドエフェクタ5は、中継部材15、第1の把持片16及び第2の把持片17を備える。中継部材15は、シャフト3の先端にシャフト3に対して屈曲可能に取付けられる。すなわち、シャフト3と中継部材15との間には、屈曲関節18が形成される。また、エンドエフェクタ5では、1対の把持片16,17の間が開閉可能である。把持片16,17の開閉方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)は、中心軸Cに対して交差し、かつ、エンドエフェクタ5の屈曲方向に対して交差する。
【0013】
図2に示すように、第1の把持片16は、支持ピン(支持部)19を介して中継部材15に回動可能に取り付けられる。すなわち、中継部材15には、第1の把持片16を支持する支持ピン19が設けられる。第1の把持片16は、支持ピン19を中心として回動可能である。本実施形態では、第1の把持片16の中継部材15に対する回動軸T1は、支持ピン19を通り、支持ピン19の中心軸と略同軸である。そして、回動軸T1は、エンドエフェクタ5の屈曲方向に対して略平行に延設される。すなわち、回動軸T1の延設方向は、シャフト3の中心軸Cに対して交差し、かつ、把持片16,17の開閉方向に対して交差する。第1の把持片16が支持ピン(支持部)19を中心として回動することにより、第1の把持片16が第2の把持片17に対して開動作又は閉動作する。また、支持ピン(支持部)19は、シャフト3及びエンドエフェクタ5と一緒に、ハウジング2に対して所定の回転軸Rの軸回りに回転可能である。
【0014】
ここで、ある実施例では、第2の把持片17は、中継部材15と一体又は中継部材15に固定される。また、別のある実施例では、第2の把持片17も中継部材15に回動可能に取付けられる。さらに、別のある実施例では、中継部材15の内部から先端側に向かってロッド部材(図示しない)が延設され、中継部材15から先端側へのロッド部材の突出部分によって第2の把持片17が形成される。
【0015】
図1に示すように、ハウジング2には、ハンドル(可動ハンドル)21が回動可能に取付けられる。開閉操作入力部であるハンドル21がハウジング2に対して回動することにより、ハンドル21はグリップ12に対して開く又は閉じる。すなわち、ハンドル21は、グリップ12に対して開閉可能である。本実施形態では、ピストル型の処置具1であるため、ハンドル21は、回転軸Rに対してグリップ12が位置する側で、かつ、グリップ12に対して先端側に位置する。そして、ハンドル21のグリップ12に対する開動作及び閉動作における移動方向は、回転軸Rに対して略平行となる。なお、ある実施例では、ハンドル21は、グリップ12に対して基端側に設けられてもよい。また、別のある実施例では、ハンドル21及びグリップ12が、回転軸Rを中心として互いに対して反対側に設けられ、ハンドル21のグリップ12に対する開動作及び閉動作における移動方向が、回転軸Rに対して略垂直であってもよい。
【0016】
また、本実施形態では、ハウジング2には、屈曲操作入力部(操作入力部)として屈曲ダイヤル23が取付けられる。例えば屈曲ダイヤル23を回動することにより、エンドエフェクタ5をシャフト3に対して屈曲させる操作が入力される。
図2に示すように、シャフト3の内部には、回転軸Rに沿ってワイヤ又は板バネ等の屈曲駆動部材28A,28Bが延設される。屈曲駆動部材28A,28Bの先端(一端)は、エンドエフェクタ5の中継部材15に接続される。また、屈曲駆動部材28A,28Bの基端は、ハウジング2の内部に設けられるプーリ(図示しない)等を介して、屈曲ダイヤル23に機械的に連結される。屈曲ダイヤル(屈曲操作入力部)23で操作入力が行われることにより、操作力が屈曲駆動部材28A,28Bに伝達され、屈曲駆動部材28A,28Bが、シャフト3及びハウジング2に対して所定の回転軸R(中心軸C)に沿って移動する。これにより、エンドエフェクタ5がシャフト3(中心軸C)に対して屈曲方向(矢印B1及び矢印B2で示す方向)について屈曲する。
【0017】
ここで、屈曲駆動部材28A,28Bは、シャフト3及びエンドエフェクタ5と一緒に所定の回転軸R(中心軸C)の軸回りにハウジング2に対して回転可能である。また、屈曲ダイヤル23は、シャフト3及びエンドエフェクタ5と一緒にハウジング2に対して所定の回転軸R(中心軸C)の軸回りに回転可能であってもよく、シャフト3及びエンドエフェクタ5と一緒に所定の回転軸R(中心軸C)の軸回りに回転しなくてもよい。また、本実施形態では、ハウジング本体11の基端面に屈曲ダイヤル23が取付けられるが、屈曲ダイヤル23の位置はこれに限るものではない。例えば、ハウジング本体11において所定の回転軸Rに対してグリップ12が位置する側とは反対側を向く外表面に、屈曲ダイヤル23等の屈曲操作入力部が取付けられてもよい。
【0018】
ハウジング本体11の先端側には、シャフト3の一部である回転部材25が支持される。回転部材25は、電気絶縁性を有する樹脂材で形成されることが好適である。回転部材25は、操作される回転ノブ26Aと、ハウジング2に連結される連結部26Bとを有する。回転ノブ26A及び連結部26Bは適宜の筒状に形成されている。大きな回転モーメントを小さな力で発生させるため、回転ノブ26Aの最大半径(中心軸Cからの距離)D0は適宜に大きく形成されている。回転ノブ26Aの最大半径(中心軸Cからの距離)D0は、連結部26Bの最大半径(中心軸Cからの距離)D1に対して大きく形成されていることが好ましい。
【0019】
シャフト3は、先端側からハウジング本体11の内部に挿入された状態で、ハウジング2に支持される。回転部材25はシャフト3に固定され、シャフト3及びエンドエフェクタ5と一緒に、ハウジング2に対して回転軸Rの軸回りに回転する。
【0020】
本実施形態では、回転操作入力部である回転部材25に、シャフト3及びエンドエフェクタ5、すなわち、回転要素6を所定の回転軸R(中心軸C)の軸回りに回転させる操作力が印加される。
【0021】
ハウジング2には、操作ボタン27A,27Bが取付けられる。操作ボタン27A,27Bのそれぞれは、押圧されることにより、操作入力が行われる。操作ボタン27A,27Bのそれぞれで操作入力が行われると、処置具1は所定の作動モードで作動される。この際、例えば、周知の処置具と同様に、把持片16,17の間で把持される処置対象へ、高周波電流、超音波振動及びヒータ熱のいずれかが処置エネルギーとして付与される。ある実施例では、操作ボタン27A,27Bのいずれかの操作入力に基づいて処置具1が所定の作動モードで作動されると、電動モータが駆動されることにより、把持片16,17の間で把持される処置対象にステープルが穿刺されてもよい。
【0022】
図3は、ハウジング2の内部の構成を示す図である。
図3は、ハウジング2の幅方向に略垂直な(交差する)断面を示す。また、
図3では、屈曲駆動部材28A,28B、及び、屈曲ダイヤル23から屈曲駆動部材28A,28Bへ操作力を伝達する構成等は、省略する。
図3に示すように、ハウジング2(ハウジング本体11)の内部では、筒状の可動部材31が、回転部材25に基端側(矢印C2側)から取付けられる。可動部材31は、所定の回転軸R(中心軸C)に沿って延設され、ハウジング2及びシャフト3に対して所定の回転軸Rに沿って移動可能である。ただし、可動部材31のシャフト3に対する回転軸Rの軸回りの回転は規制され、可動部材31は、シャフト3及びエンドエフェクタ5と一緒にハウジング2に対して所定の回転軸Rの軸回りに回転可能である。
【0023】
ハンドル21をグリップ12に対して開くことで第1の把持片16が第2の把持片17に対して相対的に開動作し、ハンドル21をグリップ12に対して閉じることで第1の把持片16が第2の把持片17に対して相対的に閉動作する機構は、種々のものを採用することができる。
【0024】
本実施形態に係るハウジング2の内部では、可動部材31の外周面にスライダー部材32が配置される。ハンドル21は、スライダー部材32を介して可動部材31に連結される。可動部材31は、ハンドル21に対して所定の回転軸Rを中心として回転可能である。また、ハウジング2の内部では、開閉駆動部材である駆動ロッド33が、接続ピン35を介して可動部材31に固定される。駆動ロッド33は、可動部材31の内部からシャフト3の内部を通って、回転軸Rに沿って延設される。駆動ロッド33は、可動部材31に固定されるため、回転部材25での操作力が印加されると、駆動ロッド33は、シャフト3、エンドエフェクタ5及び可動部材31と一緒に、ハウジング2に対して所定の回転軸R(中心軸C)の軸回りに回転する。
【0025】
ハウジング2の内部には、バネ等の付勢部材37が設けられる。付勢部材37は、一端がハウジング2に接続され、他端がハンドル21に接続される。付勢部材37は、ハンドル21をグリップ12に対して開く状態に付勢する。
【0026】
ハンドル21に操作力が印加され、ハンドル21をグリップ12に対して開く又は閉じることにより、可動部材31及び駆動ロッド33は、シャフト3及びハウジング2に対して所定の回転軸R(中心軸C)に沿って移動する。
図2に示すように、シャフト3の内部を通って延設される駆動ロッド(駆動部材)33は、一端(先端)がエンドエフェクタ5の第1の把持片16に接続される。本実施形態では、駆動ロッド33は、連結ピン36を介して、第1の把持片16に接続される。可動部材31及び駆動ロッド(駆動部材)33が所定の回転軸Rに沿って移動することにより、少なくとも第1の把持片16が中継部材15に対して支持ピン19を中心として回動する。これにより、把持片16,17の間が開く又は閉じる。この際、支持ピン19が第1の把持片16の回動の支点となり、連結ピン36が駆動ロッド33から第1の把持片16に駆動力を作用させる力点となる。なお、第2の把持片17も中継部材15に対して回動可能なある実施例では、駆動ロッド(開閉駆動部材)33の先端が第1の把持片16に加えて第2の把持片17にも接続される。この場合、駆動ロッド33が回転軸Rに沿って移動することにより、把持片16,17の両方が中継部材15に対して回動し、把持片16,17の間が開く又は閉じる。
【0027】
本実施形態では、付勢部材37によって、第1の把持片16は第2の把持片17に対して開く状態に付勢され、エンドエフェクタ5は把持片16,17の間が開く状態に付勢される。
【0028】
図3及び
図4に示すように、ハウジング2のハウジング本体11には、所定の回転軸Rに向かって突出する係合突起(支持部)41が設けられる。このため、本実施形態では、係合突起41はハウジング2の内周面に配置されている。係合突起(内側フランジ)41は、一例として、所定の回転軸Rの軸回りについて全周に渡って設けられる。図示しないが、係合突起41は所定の回転軸Rの軸回りの周方向に、例えば適宜の間隔ごとに形成されていても良い。このため、係合突起41は、1つであっても良く、複数であっても良い。
【0029】
シャフト3の一部である回転部材25のうちの連結部26Bには、内周側に向かって凹む係合凹部(被支持部)42が設けられる。係合凹部42は、回転軸Rの軸回りについて全周に渡って設けられる。係合突起41が係合凹部42と係合することにより、シャフト3がハウジング2に所定の回転軸Rの軸回りに回転可能に支持される。
【0030】
このため、係合凹部42は、係合突起41に対して、回転軸Rの軸回りに移動可能である。そして、シャフト3の回転部材25は、ハウジング2に対して所定の回転軸Rの軸回りに回転可能である。したがって、係合突起41及び係合凹部42は、シャフト3をハウジング2の所定の回転軸Rの軸回りに回転可能に連結するジョイント(連結部分)40を形成する。
【0031】
図4及び
図5は、シャフト3とハウジング2とのジョイント40(係合突起41及び係合凹部42)の構成を示す図である。
図4は、ハウジング2の所定の回転軸Rに対してシャフト3の中心軸Cが一致している状態を示す。
図5は、回転要素6、すなわち、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3への外力Fにより、ハウジング2の所定の回転軸Rに対してシャフト3の中心軸Cがずらされた状態を示す。
【0032】
図4及び
図5に示すように、ハウジング2の係合突起41は、支持部(回転支持面)51と、係合部(摺動抵抗発生部)52とを有する。支持部51は所定の回転軸Rに対する円筒状の内周面を規定する。支持部51は、回転要素6を所定の回転軸Rの軸周りに回転可能に支持する。係合部52は、支持部51に対して中心軸Cに沿って隣接している。係合部52は、先端側を向く突起対向面(第1の受け面)53と、基端側を向く突起対向面(第2の受け面)54とを有する。
【0033】
シャフト3の一部の回転部材25の係合凹部42は、被支持部(回転支持面)61と、被係合部(摺動抵抗発生部)62とを有する。すなわち、回転要素6は、シャフト3に設けられハウジング2の支持部51に支持される被支持部61を有する。被支持部61は中心軸Cに対する円筒状の外周面を規定する。被係合部62は被支持面61に対して中心軸Cに沿って隣接している。被係合部62は、基端側を向く凹対向面(第1の当接面)63と、先端側を向く凹対向面(第2の当接面)64とを有する。
【0034】
支持部51と被支持部61との間は、接触したときに摩擦力の発生を抑制する素材で形成されたり、摩擦力の発生を抑制する表面加工がなされたりしていることが好ましい。支持部51及び被支持部61は例えばPOMなどの摩擦係数が小さく、滑り性(潤滑性)が良好な材質で形成されていることが好適である。このため、支持部51に対して被支持部61は滑らかに回転可能である。このようにして、本実施形態では、ハウジング2の支持部51とシャフト3の被支持部61とが協働して回転支持機構70を形成する。
【0035】
係合凹部42の基端側を向く凹対向面(第1の当接面)63は、係合突起41の先端側を向く突起対向面(第1の受け面)53と対向する。係合凹部42の先端側を向く凹対向面(第2の当接面)64は、係合突起41の基端側を向く突起対向面(第2の受け面)54と対向する。係合突起41の突起対向面53と係合凹部42の凹対向面63との間、及び、係合突起41の突起対向面54と係合凹部42の凹対向面64との間は、それぞれ、接触すると、支持部51と被支持部61との間の摩擦力(摺動抵抗)に比べて大きな摩擦力を発生するように形成されている。例えば、係合突起41の突起対向面53と係合凹部42の凹対向面63との間は、接触したときに大きな摩擦力を発生させる素材で形成されたり、摩擦力を発生させ易い表面加工されたりしていることが好ましい。同様に、係合突起41の突起対向面54と係合凹部42の凹対向面64との間にも、接触したときに大きな摩擦力を発生させる素材で形成されたり、摩擦力を発生させ易い表面加工されたりしていることが好ましい。
【0036】
本実施形態では、ハウジング2の係合部52とシャフト3の被係合部62とが協働してロック機構80を形成する。本実施形態では、ロック機構80はハウジング2の支持部51及びシャフト3の被支持部61に配設されている。そして、ロック機構80は、回転要素6のうち、支持部51で支持された支持位置よりもエンドエフェクタ5に近接する位置のいずれかが所定の回転軸Rの軸上からずれるのにしたがって、回転要素6が所定の回転軸Rの軸回りに回転するのを抑制する。ここでは、回転要素6が所定の回転軸Rの軸回りに回転するのを、支持部51に隣接する(異なる)位置(係合部52の突起対向面53)で、抑制する。具体的には、係合部(摩擦抵抗部)52は被係合部62と協働して、支持部51よりも所定の回転軸Rから離れた位置で所定の回転軸Rの軸回り方向に摺動抵抗を発生させる。
【0037】
図4に示すように、ハウジング2の係合部52は所定の回転軸Rに沿って支持部51の先端側及び基端側に隣接する位置にある。このため、ハウジング2の支持部51の位置と係合部52の位置とは異なっている。同様に、シャフト3の被係合部62は中心軸Cに沿って被支持部61の先端側及び基端側に隣接する位置にある。このため、シャフト3の被支持部61の位置と被係合部62の位置とは異なっている。
【0038】
回転支持機構70において、ハウジング2の係合突起41の支持部51と、シャフト3の係合凹部42の被支持部61とが協働して、シャフト3の中心軸Cを、ハウジング2のハウジング本体11の所定の回転軸Rに一致させる。ここで、支持部51の回転軸Rに対する内径は、被支持部61の中心軸Cに対する外径よりも大きく形成されている。このとき、ハウジング2の係合突起41の支持部51は、シャフト3の係合凹部42の被支持部61に対してガタツキ、すなわち、遊びがある。この状態で、術者が回転部材25の回転ノブ26Aを回転させると、シャフト3の中心軸Cは、ハウジング2の所定の回転軸Rに一致又は平行な状態で回転する。
【0039】
図4に示す位置では、回転部材25の被支持部61の外周面と、ハウジング2の支持部51の内周面とが一部で接触し得る。このとき、回転部材25の被支持部61の外径と、ハウジング2の支持部51の内径との関係により、回転部材25の被支持部61は、現在接触するハウジング2の支持部51の位置(中心軸Cが所定の回転軸Rに平行な状態)に対して、所定の回転軸Rを挟んで反対側に移動し(逃げ)、シャフト3の中心軸Cをハウジング2の所定の回転軸Rに一致又は近づけることができる。このため、回転部材25をハウジング2に対して所定の回転軸R(中心軸C)の軸回りに回転させる際、摺動抵抗を小さくした状態(最小化した状態)で回転させることができる。したがって、ジョイント40は、ハウジング2の所定の回転軸Rと、シャフト3の中心軸Cとを一致させた状態で、ハウジング2とシャフト3との間の所定の回転軸Rの軸周りの摺動抵抗を最小化する。
【0040】
図5に示すように、回転要素6、すなわち、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3のうち回転部材25よりもエンドエフェクタ5の先端に近接した位置に、ハウジング2の回転軸Rから外れる方向からの負荷(外力)Fが加えられ得る。
【0041】
特に、本実施形態では、ハウジング2の内部に配設された付勢部材37によって、第1の把持片16が第2の把持片17に対して開く状態に付勢されている。このため、例えばエンドエフェクタ5がシャフト3の中心軸Cの軸上にあっても、第1の把持片16が第2の把持片17に対して開いた状態で第1の把持片16の側方から外力Fが負荷されると、エンドエフェクタ5が中心軸Cの軸周りに回動させられる力が付与される。
【0042】
また、エンドエフェクタ5がシャフト3の中心軸Cの軸上から外れた位置にあり、エンドエフェクタ5に外力Fが負荷されると、エンドエフェクタ5が中心軸Cの軸周りに回動させられる力が付与される。これは、エンドエフェクタ5の第1の把持片16が第2の把持片17に対して開いた状態、閉じた状態によらず、同様の状態になり得る。
【0043】
なお、シャフト3自体にも、中心軸Cの軸周りの意図しない外力Fが負荷されることが有り得る。
【0044】
このため、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3には、中心軸Cから外れた位置からの外力Fにより、中心軸Cの軸回りの回転モーメントが発生することがある。シャフト3の一部である回転部材25は、中心軸Cの軸周りに回転しようとする。ここで、上述したように、ハウジング2の係合突起41の支持部51は、シャフト3の係合凹部42の被支持部61に対してガタツキ、すなわち、遊びがある。このため、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3への外力Fの負荷により、回転部材25もハウジング2に対するガタツキ(遊び)により、ハウジング2に対して傾けられる。すなわち、例えば
図5に示すように、シャフト3の中心軸Cから外れた位置からの外力が回転要素6に負荷されると、シャフト3の中心軸Cが、
図4に示す位置から
図5に示す位置に、ハウジング2の所定の回転軸Rからずらされる。このため、シャフト3の中心軸Cはハウジング2の所定の回転軸Rに対してずらされる。このとき、シャフト3の中心軸Cはハウジング2の所定の回転軸Rに交差し、又は捻じれの位置に配置される。
【0045】
なお、
図5に示す例は、本実施形態を分かりやすく説明するためのものであり、ハウジング2の所定の回転軸Rに対する、回転部材25(シャフト3)の中心軸Cの最大傾き角度(傾き量)は適宜に設定可能である。
【0046】
図5に示す位置では、ハウジング2の係合部52の突起対向面53に対して回転部材25の被係合部62の凹対向面63が接触している。このとき、係合部52の突起対向面53と被係合部62の凹対向面63との接触位置(摩擦発生位置)は、所定の回転軸Rに対して径方向に距離d1(≧D1)の位置にある。
【0047】
そして、回転要素6に外力Fが加えられている間、ハウジング2の係合部52の突起対向面53に対して回転部材25の被係合部62の凹対向面63は接触し続ける。このため、ハウジング2と回転部材25との間に、所定の回転軸Rの軸回りの摺動抵抗が発生し続ける。したがって、
図5に示すように回転要素6に外力Fが負荷され、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3を中心軸Cの軸回りに回転させる力が付与されても、回転部材25には、ハウジング2に対する所定の回転軸Rの軸回りの回転を抑制する摺動抵抗によるブレーキング作用が発生し続ける。外力Fが大きくなればなるほど、ハウジング2の所定の回転軸Rに対して、シャフト3の中心軸Cが傾けられる傾き量が大きくなる。傾き量が大きくなるにつれて、ハウジング2の係合部52の突起対向面53に対して回転部材25の被係合部62の凹対向面63は次第に強く接触していく。このため、外力Fが大きくなるにつれて、ハウジング2に対するシャフト3(回転部材25)の所定の回転軸Rの軸周りの回転を抑制する摺動抵抗によるブレーキング作用も増大する。したがって、ハウジング2に対して回転部材25の意図しない回転が抑制される。このように、ハウジング2に対して回転部材25の意図しない回転が抑制されるのに伴って、シャフト3の中心軸Cの軸回りの回転が抑制され、さらに、中心軸Cの軸回りのエンドエフェクタ5の回転が抑制される。
【0048】
エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3に外力Fが負荷された状態で術者の意図により、回転部材25を中心軸Cの軸周りに回転させることは可能である。この場合、外力Fにより回転部材25とハウジング2との間に発生した摺動抵抗(摩擦力)に抗して回転部材25を所定の回転軸Rの軸周りに回転させればよい。
図3に示すように、回転部材25のうち、特に中心軸C(所定の回転軸R)から径方向に離れた位置(半径D0>D1)に術者の指を置く回転ノブ26Aの外周面がある。このため、術者が回転部材25を中心軸Cの軸周りに回転させる場合、半径D0,D1の大きさの違いに基づくモーメントの関係で、より小さな力で回転部材25とハウジング2との間に発生した摺動抵抗(摩擦力)に抗して回転部材25を回転させることができる。このため、術者は、例えば中心軸Cの軸上からずれた位置にあるエンドエフェクタ5を中心軸Cの軸周りに回動させることにより、エンドエフェクタ5で例えば生体組織を押し退けることができる。なお、術者が回転部材25を摩擦力(摺動抵抗)に抗して回転させたとき、係合部52と被係合部62との間に摩擦が生じるのを避けるように、シャフト3の中心軸Cがハウジング2の所定の回転軸Rに一致するように移動しようとする。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る処置具1によれば、以下のことが言える。
【0050】
この実施形態に係る処置具1では、例えば所定の回転軸Rから外れた方向からの外力Fにより、回転要素6のうち、支持部51で支持された支持位置よりもエンドエフェクタ5に近接する位置のいずれかを、所定の回転軸Rの軸上からずらすことができる。そして、ジョイント40のロック機構80の係合部(摺動抵抗発生部)52及び被係合部(摺動抵抗発生部)62は、所定の回転軸Rに対して中心軸Cがずらされたときに、ハウジング2と回転要素6との間に所定の回転軸Rの軸回りの摺動抵抗を生じさせている。ここでは、ジョイント40は、回転要素6のシャフト5をハウジング2の支持部51で支持している支持位置よりもエンドエフェクタ5に近接する位置で回転要素6(シャフト3)に所定の回転軸Rの軸回りの摺動抵抗を生じさせている。また、ここでは、ジョイント40は、回転要素6のシャフト3をハウジング2の支持部51で支持している支持位置(被支持部61)に対して隣接し、支持位置よりも所定の回転軸Rから離れた被係合部62で係合部52に対して所定の回転軸Rの軸周り方向に摺動抵抗を発生させている。すなわち、回転要素6(シャフト3)に所定の回転軸Rの軸回りの摺動抵抗を生じさせている。このように、ロック機構80により、回転要素6が所定の回転軸Rの軸回りに回転するのを抑制することができる。したがって、例えば中心軸Cからずれた位置に配置されたエンドエフェクタ5に外力Fが負荷されたときに、ロック機構80によりエンドエフェクタ5及びシャフト3の、術者が意図しない所定の回転軸Rの軸回りの回転を有効に防止することができる。
【0051】
一方、術者が意図してエンドエフェクタ5及びシャフト3を所定の回転軸Rの軸周りに回転させたいときには、摺動抵抗を発生させている部位の半径D1よりも大きい半径D0の回転ノブ26Aを回転させれば良い。このため、術者は、回転モーメントにより、摺動抵抗に抗して容易に回転ノブ26Aを所定の回転軸Rの軸周りに回転させることができる。
【0052】
ここでは、
図5中、ハウジング2の所定の回転軸Rに対してシャフト3の中心軸Cが傾けられたとき、ハウジング2の係合部52の先端側を向く突起対向面53に対して、回転部材25の被係合部62の基端側を向く凹対向面63が接触する例について説明した。その他、ハウジング2の係合部52の基端側を向く突起対向面54に対して、回転部材25の被係合部62の先端側を向く凹対向面64が接触することも好適である。また、ハウジング2の係合部52の先端側を向く突起対向面53に対して、回転部材25の被係合部62の基端側を向く凹対向面63が接触すると同時に、ハウジング2の係合部52の基端側を向く突起対向面54に対して、回転部材25の被係合部62の先端側を向く凹対向面64が接触することも好適である。
【0053】
なお、ここでは、ハウジング2に係合突起41が、シャフト3の回転部材25に係合凹部42が形成される例について説明した。図示しないが、これらが反対であっても良い。すなわち、ハウジング2に係合凹部42が形成され、回転部材25の連結部26Bに係合突起41が形成されていることが好適であることはもちろんである。
【0054】
(第1変形例)
図6に示す連結部26Bの最大半径D2は、第1実施形態で説明した連結部26Bの最大半径D1(
図4参照)よりも大きく形成されている。そして、
図7に示すように、回転要素6に外力Fが負荷されると、ハウジング2の所定の回転軸Rに対して回転要素6のシャフト3の中心軸Cが傾けられる。このとき、被係合部62の凹対向面63と係合部52の突起対向面53との接触位置(摩擦発生位置)は、所定の回転軸Rに対して距離d2(≧D2)の位置にある。距離d2は、第1実施形態で説明した距離d1(
図5参照)に比べて大きい。このため、この変形例では、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3の同じ位置に同じ外力Fが負荷された場合、第1実施形態で説明した例に比べて大きな回転トルク(摺動抵抗)を発生することができる。このため、回転要素6に外力Fが負荷された状態の、所定の回転軸Rの軸回りの回転の抑制効果は、第1実施形態で説明した例よりも、本変形例の方が高くすることができる。
【0055】
(第2変形例)
本変形例は、第1実施形態及び第1変形例に適宜に組み合わせることができる。
【0056】
図8に示すように、被係合部62の凹対向面63には、突部65が形成されている。突部65は被係合部62の凹対向面63よりも基端側に突出している。突部65は、中心軸Cの軸周りに環状に形成されていることが好適である。突部65が係合部52の突起対向面53に当接されると、第1実施形態で説明した被係合部62の凹対向面63が当接されるよりも突出している分だけ強く当接される。したがって、この変形例では、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3の同じ位置に同じ外力Fが負荷された場合、第1実施形態で説明した例(
図5参照)に比べて、所定の回転軸Rの軸周りに大きな摺動抵抗(摩擦力)を発生することができる。
【0057】
(第3変形例)
図9に示すように、係合凹部42の係合部52の突起対向面53には、突部55が形成されている。突部55は被係合部62の凹対向面63に向かって突出している。突部55は、環状に形成されていることが好適である。このため、回転要素6への外力Fにより、突部55が被係合部62の凹対向面63に当接されると、第1実施形態で説明した係合部52の突起対向面53が当接されるよりも突出している分だけ強く当接される。したがって、この変形例では、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3の同じ位置に同じ外力Fが負荷された場合、第1実施形態で説明した例(
図5参照)に比べて、所定の回転軸Rの軸周りに大きな摺動抵抗(摩擦力)を発生することができる。
【0058】
なお、この変形例は、例えば第1実施形態、第1変形例及び第2変形例に適宜に組み合わせることができる。
【0059】
(第4変形例)
図10に示すように、被係合部62の凹対向面63には、摩擦板66が固定されている。摩擦板66は、環状に形成されていることが好適である。摩擦板66は、ゴム材などの、摩擦係数が大きな材質で形成されていることが好適である。摩擦板66は被係合部62の凹対向面63よりも基端側に突出し、係合部52の突起対向面53が接触したときの摩擦力を大きくする。このため、摩擦板66が係合部52の突起対向面53に当接されると、第1実施形態で説明した被係合部62の凹対向面63が当接されるよりも大きな摩擦力を発揮する。したがって、この変形例では、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3の同じ位置に同じ外力Fが負荷された場合、第1実施形態で説明した例(
図5参照)に比べて、所定の回転軸Rの軸周りに大きな摺動抵抗(摩擦力)を発生することができる。
【0060】
この変形例は、例えば第3変形例に適宜に組み合わせることができる。
【0061】
(第5変形例)
図11に示すように、係合部52の突起対向面53には、摩擦板56が固定されている。摩擦板56は、環状に形成されていることが好適である。摩擦板56は被係合部62の凹対向面63が接触したときの摩擦力を大きくする。このため、摩擦板56が被係合部62の凹対向面63に当接されると、第1実施形態で説明した係合部52の突起対向面53が当接されるよりも大きな摩擦力を発揮する。したがって、この変形例では、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3の同じ位置に同じ外力Fが負荷された場合、第1実施形態で説明した例(
図5参照)に比べて、所定の回転軸Rの軸周りに大きな摺動抵抗(摩擦力)を発生することができる。
【0062】
この変形例は、例えば第2変形例に適宜に組み合わせることができる。
【0063】
(第6変形例)
図12に示すように、被係合部62の凹対向面63は、中心軸Cの周方向に沿って多数の段差67が形成されている。すなわち、被係合部62の凹対向面63はギザギザ状に形成されている。このため、被係合部62の凹対向面63が係合部52の突起対向面53に当接されると、被係合部62の凹対向面63のうちの中心軸Cに沿って基端側に向かって凸の位置に係合部52の突起対向面53が引っ掛けられる。したがって、この変形例では、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3の同じ位置に同じ外力Fが負荷された場合、第1実施形態で説明した例(
図5参照)に比べて、所定の回転軸Rの軸周りに大きな摺動抵抗(摩擦力)を発生することができる。
【0064】
図12中、段差67を被係合部62の凹対向面63に形成した例について説明した。その他、段差67を被係合部62の凹対向面64に形成しても良い。また、段差67を、係合部(摺動抵抗発生部)52の突起対向面53に形成しても良く、係合部52の突起対向面54に形成しても良い。
【0065】
(第7変形例)
図13A及び
図13Bに示すように、被係合部62の凹対向面63には、1つ又は複数の突部68が形成されている。ここでは、5つの突部68が中心軸Cに対して正五角形の頂点の位置に配置されている。突部68は中心軸Cに沿って基端側に向かって、被係合部62の凹対向面63から突出している。
【0066】
図13Aに示すように、係合部52の突起対向面53には、凹部58が形成されている。凹部58は突部68と同数であっても、多数であっても、少数であっても良い。
【0067】
突部68は、凹部58に対して1つ又は複数の位置で嵌合可能である。したがって、この変形例では、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3の同じ位置に同じ外力Fが負荷された場合、第1実施形態で説明した例(
図5参照)に比べて、所定の回転軸Rの軸周りに大きな摺動抵抗(摩擦力)を発生することができる。
【0068】
ここでは、被係合部62の凹対向面63に突部68が、係合部52の突起対向面53に凹部58が形成される例について説明したが、これらが反対であっても良いことはもちろんである。
【0069】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について
図14A及び
図14Bを用いて説明する。この実施形態は各変形例を含む第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0070】
第1から第7変形例を含む第1実施形態では、エンドエフェクタ5がシャフト3の先端で能動的に移動可能な例について説明した。また、エンドエフェクタ5の1対の把持片16,17(
図1及び
図2参照)が相対的に開閉可能である例について説明した。ここでは、エンドエフェクタ5がシャフト3の先端に一体的に形成され、エンドエフェクタ5がシャフト3に対して曲げられている例について説明する。すなわち、本実施形態では、エンドエフェクタ5はシャフト3に対して湾曲し、中心軸Cからずれた位置にある。
【0071】
本実施形態では、ハウジング2の本体11には、操作ボタン27A,27B,27Cが取付けられる。操作ボタン27A,27B,27Cのそれぞれは、押圧されることにより、操作入力が行われる。操作ボタン27A,27B,27Cのそれぞれで操作入力が行われると、処置具1は所定の作動モードで作動される。この際、例えば、周知の処置具と同様に、エンドエフェクタ5が接触する処置対象へ、高周波電流、超音波振動及びヒータ熱のいずれかが処置エネルギーとして付与される。
【0072】
この場合であっても、例えば
図4及び
図5(又は
図6及び
図7)に示すのと同様に、回転要素6に外力Fが負荷されたときに、ハウジング2の所定の回転軸Rに対してシャフト3の中心軸Cを傾け、ハウジング2に対して回転要素6の回転を止めることができる。このため、例えば中心軸Cからずれた位置に配置されたエンドエフェクタ5に外力Fが負荷されたときに、ロック機構80によりエンドエフェクタ5及びシャフト3の、術者が意図しない所定の回転軸Rの軸回りの回転を有効に防止することができる。
【0073】
一方、術者が回転部材25の回転ノブ26Aを操作する場合、所定の回転軸Rに対する回転モーメントの関係から、ハウジング2と回転部材25との間の摩擦力に抗して、例えばエンドエフェクタ5で生体組織を押し退けるように回転ノブ26Aを回転させることができる。
【0074】
なお、ハウジング本体11の内部に回転部材25を配置する場合、第3実施形態又は第4実施形態で説明する構造(ハウジング2に対してシャフト3を複数個所で支持する構造)も採用可能である。
【0075】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について、
図15から
図17を用いて説明する。この実施形態は、第1から第7変形例を含む第1実施形態及び第2実施形態の変形例であって、第1及び第2実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0076】
第1実施形態では、回転部材25がハウジング本体11の先端部に配置された例について説明した。ここでは、
図15に示すように、ハウジング本体11の側方から回転部材25の回転ノブ26Aの一部が突出している例について説明する。
【0077】
第1実施形態では、
図4及び
図5に示すように、回転部材25がハウジング本体11に対して1箇所で支持された例について説明した。すなわち、第1実施形態では、処置具1が1つのジョイント40を有する例について説明した。ここでは、
図16に示すように、ハウジング本体11に対して回転部材25が2箇所(複数個所)で支持された例について説明する。すなわち、本実施形態では、処置具1が第1ジョイント140及び第2ジョイント240を有する例について説明する。
【0078】
本実施形態では、回転部材25は、回転ノブ26Aと、第1連結部(基端側連結部)26Bと、第2連結部(先端側連結部)26Cとを有する。
【0079】
図16に示すように、ハウジング本体11には、回転ノブ26Aを突出させる開口11A,11Bが形成されている。開口11A,11Bは
図15に示すハウジング本体11の側面に形成されていることが好適である。ハウジング2には、開口11A,11Bに対して所定の回転軸Rに沿って基端側に第1係合突起141が形成されている。ハウジング2には、開口11A,11Bに対して所定の回転軸Rに沿って先端側に第2係合突起241が形成されている。
【0080】
回転部材25の第1連結部26Bの外周面には、ハウジング2の第1係合突起141に係合する第1係合凹部142が形成されている。第1係合突起141及び第1係合凹部142は第1ジョイント140を構成する。回転部材25の第2連結部26Cの外周面には、ハウジング2の第2係合突起241に係合する第2係合凹部242が形成されている。第2係合突起241及び第2係合凹部242は第2ジョイント240を構成する。
【0081】
なお、ここでは、説明の簡略化のため、第1連結部26Bと第2連結部26Cとの最大半径がD1で同一であるものとする。第1連結部26Bと第2連結部26Cとの最大半径D1は、回転ノブ26Aの最大半径D0よりも小さい。
【0082】
ハウジング本体11の先端には、シャフト3を通す開口2Aが形成されている。開口2Aは、シャフト3が適宜に撓むのを許容するように、シャフト3の外径よりも大きな内径を有する。このため、シャフト3、すなわち回転要素6は、所定の回転軸Rからずれた方向からの外力Fにより、中心軸Cに対して撓ることが可能である。
【0083】
ハウジング2の係合突起141は、支持部(回転支持面)151と、係合部152とを有する。支持部151は所定の回転軸Rに対する円筒状の内周面を規定する。係合部152は、支持部151に対して所定の回転軸Rに沿って隣接している。係合部152は、先端側を向く突起対向面(第1の受け面)153と、基端側を向く突起対向面(第2の受け面)154とを有する。
【0084】
シャフト3の一部の回転部材25の係合凹部142は、被支持部(回転支持面)161と、被係合部162とを有する。被支持部161は中心軸Cに対する円筒状の外周面を規定する。被係合部162は被支持面161に対して中心軸Cに沿って隣接している。被係合部162は、基端側を向く凹対向面(第1の当接面)163と、先端側を向く凹対向面(第2の当接面)164とを有する。
【0085】
本実施形態では、ハウジング2の支持部151とシャフト3の被支持部161とが協働して回転支持機構170を形成する。ハウジング2の係合部152とシャフト3の被係合部162とが協働してロック機構180を形成する。
【0086】
係合部152の突起対向面153と被係合部162の凹対向面163との間、及び/又は、係合部152の突起対向面154と被係合部162の凹対向面164との間は、所定の回転軸Rに対する回転要素6のシャフト3の中心軸Cの傾きにより摺動抵抗(摩擦)を発生し得る。
【0087】
図17に示すように、ハウジング2の係合突起241は、支持部(回転支持面)251と、係合部252とを有する。支持部251は所定の回転軸Rに対する円筒状の内周面を規定する。係合部252は、支持部251に対して中心軸Cに沿って隣接している。係合部252は、先端側を向く突起対向面(第1の受け面)253と、基端側を向く突起対向面(第2の受け面)254とを有する。
【0088】
シャフト3の一部の回転部材25の係合凹部242は、被支持部(回転支持面)261と、被係合部262とを有する。被支持部261は中心軸Cに対する円筒状の外周面を規定する。被係合部262は被支持面261に対して中心軸Cに沿って隣接している。被係合部262は、基端側を向く凹対向面(第1の当接面)263と、先端側を向く凹対向面(第2の当接面)264とを有する。
【0089】
係合部252の突起対向面253と被係合部262の凹対向面263との間、及び/又は、係合部252の突起対向面254と被係合部262の凹対向面264との間は、所定の回転軸Rに対する回転要素6のシャフト3の中心軸Cの傾きにより摺動抵抗(摩擦)を発生し得る。
【0090】
本実施形態では、ハウジング2の支持部251とシャフト3の被支持部261とが協働して回転支持機構270を形成する。ハウジング2の係合部252とシャフト3の被係合部262とが協働してロック機構280を形成する。
【0091】
回転支持機構170において、ハウジング2の係合突起141の支持部151と、シャフト3の係合凹部142の被支持部161とが協働して、シャフト3の中心軸Cを、ハウジング2のハウジング本体11の所定の回転軸Rに一致させる。また、回転支持機構270において、ハウジング2の係合突起241の支持部251と、シャフト3の係合凹部242の被支持部261とが協働して、シャフト3の中心軸Cを、ハウジング2のハウジング本体11の所定の回転軸Rに一致させる。ここで、第1ジョイント140は、第2ジョイント240よりもガタツキが少なく形成されていることが好適である。
【0092】
図17に示すように、回転要素6に対して中心軸Cからずれた位置から外力Fを受けると、
図17に破線で示すようにシャフト3が弾性変形して撓るとともに、ハウジング2の本体11に対して回転部材25が弾性変形する。このとき、回転部材25は、外力Fの作用点に対する距離が遠い第1連結部26Bよりも外力Fの作用点に対する距離が近い第2連結部26Cの方が変形量が大きくなる。このため、ハウジング2の所定の回転軸Rに対するシャフト3の中心軸Cのズレは、第1連結部26Bよりも第2連結部26Cで大きくなる。
【0093】
本実施形態の処置具1は、所定の回転軸Rに沿って2箇所(ジョイント140,240)でハウジング2に対してシャフト3を支持している。このため、第1実施形態で説明した、ハウジング2に対してシャフト3を1箇所(ジョイント40)で支持した例(
図5参照)に比べて、シャフト3を傾け難くすることができる。一方、シャフト3は、前記所定の回転軸Rから外れた方向からの回転要素6への外力Fの負荷による弾性変形により、回転要素6をハウジング2の所定の回転軸Rに対してずらすことが可能なしなり性を有する。このため、ハウジング2に対してシャフト3のしなりにより、シャフト3の中心軸Cは所定の回転軸Rに対してずらされる。
【0094】
回転部材25の第2連結部26Cの弾性変形により、回転部材25の係合凹部(被支持部)242の被係合部(摺動抵抗発生部)262の凹対向面263が、ハウジング2の係合突起241の係合部252の突起対向面253に接触する。このため、第1実施形態で説明したのと同様に、ハウジング2と回転部材25との間の摺動抵抗が発生する。したがって、
図17に破線で示すように回転要素6に外力Fが負荷され、エンドエフェクタ5及び/又はシャフト3を中心軸Cの軸回りに回転させる力が付与されても、回転部材25には、ハウジング2に対する回転を抑制するブレーキング作用が発生し続ける。外力Fが大きくなればなるほど、ハウジング2の係合部252の突起対向面253に対して回転部材25の被係合部262の凹対向面263は強く接触する。このため、外力Fが大きくなるにつれて、回転部材25に対するハウジング2の回転軸Rの軸周りのブレーキング作用(摺動抵抗)も増大する。
【0095】
したがって、ハウジング2に対して回転部材25の意図しない回転が抑制されるのに伴って、シャフト3の中心軸Cの軸回りのシャフト3の回転が抑制され、さらに、中心軸Cの軸回りのエンドエフェクタ5の回転が抑制される。例えば中心軸Cからずれた位置に配置されたエンドエフェクタ5に外力Fが負荷されたときに、ロック機構280によりエンドエフェクタ5及びシャフト3の、術者が意図しない所定の回転軸Rの軸回りの回転を有効に防止することができる。
【0096】
一方、術者が意図してエンドエフェクタ5及びシャフト3を所定の回転軸Rの軸周りに回転させたいときには、摺動抵抗を発生させている部位の半径D1よりも大きい半径D0の回転ノブ26Aを回転させれば良い。このため、術者は、回転モーメントにより、摺動抵抗に抗して容易に回転ノブ26Aを所定の回転軸Rの軸周りに回転させることができる。このため、術者は、例えば中心軸Cの軸上からずれた位置にあるエンドエフェクタ5を中心軸Cの軸周りに回動させることにより、例えば生体組織を押し退けることができる。なお、術者が回転部材25を摩擦力(摺動抵抗)に抗して回転させたとき、係合部252と被係合部262との間に摩擦が生じるのを避けるように、シャフト3の中心軸Cがハウジング2の所定の回転軸Rに一致するように移動しようとする。
【0097】
なお、例えば中心軸Cからずれた位置に配置されたエンドエフェクタ5に外力Fが負荷されたときに、外力Fの大きさに応じて、ロック機構180も、ロック機構280と協働して、エンドエフェクタ5及びシャフト3の、術者が意図しない所定の回転軸Rの軸回りの回転を防止する機能を発揮させることができることはもちろんである。
【0098】
(第1変形例)
図18に示すように、ハウジング2の本体11の先端の開口2Aの内周面には、摩擦リング2Bが形成されている。
【0099】
このため、シャフト3の外周面が摩擦リング2Bに当接されると、ロック機構280(及びロック機構180)と協働して、外力Fによりシャフト3が所定の回転軸Rの軸周りに意図せず回転するのを抑制することができる。
【0100】
(第2変形例)
本変形例は、シャフト3を回転部材25とは離れた位置でハウジング2に支持させてシャフト3にブレーキング作用を働かせる例について説明する。
【0101】
図19及び
図20に示すように、本変形例では、第2ジョイント240の構造を変形させたジョイント340を形成している。
【0102】
ハウジング2の本体11の内周面には、フランジ3Aの外周面に対向する係合突起341が形成されている。係合突起341のうち、所定の回転軸Rに対する内周面には、摩擦力を発生させる係合部352が形成されている。
【0103】
シャフト3の外周面には、中心軸Cに対して径方向外方に突出したフランジ3Aが形成されている。フランジ3Aの外径は、ハウジング2の係合突起341の係合部352の内径よりも小さい。フランジ3Aの外周面は後述する係合部352との間に適宜の摩擦を発生させるように加工又はコーティングされている。本実施形態では、ハウジング2の係合部352とシャフト3のフランジ3Aの外周面の被係合部362とが協働してロック機構380を形成する。
【0104】
図20に示すように、回転要素6に対して中心軸Cからずれた位置から外力Fを受けると、
図20に破線で示すようにシャフト3が弾性変形する。シャフト3の被係合部(摺動抵抗発生部)362が、ハウジング2の352に接触する。このため、上述したのと同様に、ハウジング2とシャフト3のフランジ3Aとの間の摺動抵抗が発生する。
【0105】
したがって、例えば中心軸Cからずれた位置に配置されたエンドエフェクタ5に外力Fが負荷されたときに、ロック機構380によりエンドエフェクタ5及びシャフト3の、所定の回転軸Rの軸回りの回転を有効に防止することができる。
【0106】
なお、例えば中心軸Cからずれた位置に配置されたエンドエフェクタ5に外力Fが負荷されたときに、外力Fの大きさに応じて、ロック機構180も、ロック機構380と協働して、エンドエフェクタ5及びシャフト3の、術者が意図しない所定の回転軸Rの軸回りの回転を防止する機能を発揮させることができる。
【0107】
[第4実施形態]
次に、
図21及び
図22を用いて第4実施形態について説明する。この実施形態は各変形例を含む第1から第3実施形態の変形例であって、第1から第3実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0108】
第1実施形態で説明した処置具1は、
図4に示すように、ハウジング2に係合突起41が形成され、回転部材25に係合凹部42が形成された例について説明した。本実施形態では、
図21に示すように、ハウジング2に係合凹部442,542が、回転部材25に係合突起441,541が形成されている例について説明する。なお、回転部材25は、回転ノブ26Aと、第1連結部(基端側連結部)26Dと、第2連結部(先端側連結部)26Eとを有する。
【0109】
図21に示すように、処置具1は、第1ジョイント440と、第2ジョイント540とを有する。
【0110】
第1ジョイント440は、係合突起(支持部)441と、係合凹部(被支持部)442とを有する。
【0111】
回転部材25の第1連結部26Dには、内周側に向かって突出する係合突起(支持部)441が設けられる。係合突起(内側フランジ)441は、一例として、シャフト3の中心軸Cの軸回りについて全周に渡って設けられる。図示しないが、係合突起441はシャフト3の中心軸Cの軸回りの周方向に、例えば適宜の間隔ごとに形成されていても良い。このため、係合突起441は、1つであっても良く、複数であっても良い。
【0112】
ハウジング2の本体11の外周面には、内周側に向かって凹む係合凹部(被支持部)442が設けられる。係合凹部442は、回転軸Rの軸回りについて全周に渡って設けられる。係合突起441が係合凹部442と係合することにより、シャフト3がハウジング2に所定の回転軸Rの軸回りに回転可能に支持される。
【0113】
このため、係合突起441は、係合凹部442に対して、所定の回転軸Rの軸回りに移動可能である。そして、シャフト3の回転部材25は、ハウジング2に対して所定の回転軸Rの軸回りに回転可能である。したがって、係合突起441及び係合凹部442は、シャフト3をハウジング2の所定の回転軸Rの軸回りに回転可能に連結するジョイント(連結部分)440を形成する。
【0114】
図21に示すように、回転部材25の係合突起441は、支持部(回転支持面)451と、係合部(摺動抵抗発生部)452とを有する。支持部451はシャフト3の中心軸Cに対する円筒状の内周面を規定する。係合部452は、支持部451に対して中心軸Cに沿って隣接している。係合部452は、先端側を向く突起対向面(第1の受け面)453と、基端側を向く突起対向面(第2の受け面)454とを有する。
【0115】
ハウジング2の外周面の係合凹部442は、被支持部(回転支持面)461と、被係合部(摺動抵抗発生部)462とを有する。被支持部461は所定の回転軸Rに対する円筒状の外周面を規定する。被係合部462は被支持面461に対して回転軸Rに沿って隣接している。被係合部462は、基端側を向く凹対向面(第1の当接面)463と、先端側を向く凹対向面(第2の当接面)464とを有する。
【0116】
係合凹部442の基端側を向く凹対向面(第1の当接面)463は、係合突起441の先端側を向く突起対向面(第1の受け面)453と対向する。係合凹部442の先端側を向く凹対向面(第2の当接面)464は、係合突起41の基端側を向く突起対向面(第2の受け面)454と対向する。
【0117】
なお、係合突起441の突起対向面453と係合凹部442の凹対向面463との間、及び、係合突起441の突起対向面454と係合凹部442の凹対向面464との間は、それぞれ、接触すると、支持部451と被支持部461との間の摩擦力(摺動抵抗)に比べて大きな摩擦力を発生するように形成されている。
【0118】
本実施形態では、ハウジング2の支持部451とシャフト3の被支持部461とが協働して回転支持機構470を形成する。ハウジング2の係合部452とシャフト3の被係合部462とが協働してロック機構480を形成する。
【0119】
第2ジョイント540は、係合突起(支持部)541と、係合凹部(被支持部)542とを有する。
【0120】
図22に示すように、回転部材25の第2連結部26Eには、内周側に向かって突出する係合突起(支持部)541が設けられる。係合突起(内側フランジ)541は、一例として、シャフト3の中心軸Cの軸回りについて全周に渡って設けられる。図示しないが、係合突起541はシャフト3の中心軸Cの軸回りの周方向に、例えば適宜の間隔ごとに形成されていても良い。このため、係合突起541は、1つであっても良く、複数であっても良い。
【0121】
ハウジング2の本体11の外周面には、内周側に向かって凹む係合凹部(被支持部)542が設けられる。係合凹部542は、回転軸Rの軸回りについて全周に渡って設けられる。係合突起541が係合凹部542と係合することにより、シャフト3がハウジング2に所定の回転軸Rの軸回りに回転可能に支持される。
【0122】
このため、係合突起541は、係合凹部542に対して、所定の回転軸Rの軸回りに移動可能である。そして、シャフト3の回転部材25は、ハウジング2に対して所定の回転軸Rの軸回りに回転可能である。したがって、係合突起541及び係合凹部542は、シャフト3をハウジング2の所定の回転軸Rの軸回りに回転可能に連結するジョイント(連結部分)540を形成する。
【0123】
回転部材25の係合突起541は、支持部(回転支持面)551と、係合部(摺動抵抗発生部)552とを有する。支持部551はシャフト3の中心軸Cに対する円筒状の内周面を規定する。係合部552は、支持部551に対して中心軸Cに沿って隣接している。係合部552は、先端側を向く突起対向面(第1の受け面)553と、基端側を向く突起対向面(第2の受け面)554とを有する。
【0124】
ハウジング2の外周面の係合凹部542は、被支持部(回転支持面)561と、被係合部(摺動抵抗発生部)562とを有する。被支持部561は所定の回転軸Rに対する円筒状の外周面を規定する。被係合部562は被支持面561に対して回転軸Rに沿って隣接している。被係合部562は、基端側を向く凹対向面(第1の当接面)563と、先端側を向く凹対向面(第2の当接面)564とを有する。
【0125】
係合凹部542の基端側を向く凹対向面(第1の当接面)563は、係合突起541の先端側を向く突起対向面(第1の受け面)553と対向する。係合凹部542の先端側を向く凹対向面(第2の当接面)564は、係合突起41の基端側を向く突起対向面(第2の受け面)554と対向する。
【0126】
なお、係合突起541の突起対向面553と係合凹部542の凹対向面563との間、及び、係合突起541の突起対向面554と係合凹部542の凹対向面564との間は、それぞれ、接触すると、支持部551と被支持部561との間の摩擦力(摺動抵抗)に比べて大きな摩擦力を発生するように形成されている。
【0127】
係合部552は支持部551の先端側及び基端側に隣接する位置にある。このため、支持部551の位置と係合部552の位置とは異なっている。同様に、被係合部562は被支持部561の先端側及び基端側に隣接する位置にある。このため、被支持部561の位置と被係合部562の位置とは異なっている。
【0128】
ハウジング2の支持部551とシャフト3の被支持部561とが協働して回転支持機構570を形成する。ハウジング2の係合部552とシャフト3の被係合部562とが協働してロック機構580を形成する。
【0129】
回転支持機構470において、ハウジング2の係合突起441の支持部451と、シャフト3の係合凹部442の被支持部461とが協働して、シャフト3の中心軸Cを、ハウジング2のハウジング本体11の所定の回転軸Rに一致させる。また、回転支持機構570において、ハウジング2の係合突起541の支持部551と、シャフト3の係合凹部542の被支持部561とが協働して、シャフト3の中心軸Cを、ハウジング2のハウジング本体11の所定の回転軸Rに一致させる。
【0130】
回転部材25の係合突起541の支持部551は、ハウジング2の係合凹部542の被支持部561と協働して、シャフト3の中心軸Cを、ハウジング2のハウジング本体11の所定の回転軸Rに一致させる。ここで、支持部551の中心軸Cに対する内径は、被支持部561の所定の回転軸Rに対する外径よりも大きく形成されている。このため、回転部材25の係合突起541の支持部551は、ハウジング2の係合凹部542の被支持部561に対してガタツキ、すなわち、遊びがある。このため、例えばシャフト3の中心軸Cから外れた位置からの外力が回転要素6に負荷されると、シャフト3の中心軸Cが、
図22中に実線で示す位置から破線で示す位置に、ハウジング2の所定の回転軸Rからずらされる。
【0131】
ここで、本実施形態の処置具1は、所定の回転軸Rに沿って2箇所(ジョイント440,540)でハウジング2に対してシャフト3を支持している。このため、第1実施形態で説明した、ハウジング2に対してシャフト3を1箇所(ジョイント40)で支持した例(
図5参照)に比べて、シャフト3を傾け難くすることができる。一方、シャフト3は、前記所定の回転軸Rから外れた方向からの回転要素6への外力Fの負荷による弾性変形により、回転要素6をハウジング2の所定の回転軸Rに対してずらすことが可能なしなり性を有する。このため、ハウジング2に対してシャフト3のしなりにより、シャフト3の中心軸Cは所定の回転軸Rに対してずらされる。
【0132】
このとき、ロック機構580により、回転要素6が所定の回転軸Rの軸回りに回転するのを抑制することができる。より具体的には、ロック機構580は、支持部551とは異なる位置で回転要素6が所定の回転軸Rの軸回りに回転するのを抑制することができる。したがって、例えば中心軸Cからずれた位置に配置されたエンドエフェクタ5に外力Fが負荷されたときに、ロック機構580によりエンドエフェクタ5及びシャフト3の、術者が意図しない所定の回転軸Rの軸回りの回転を有効に防止することができる。
【0133】
術者が意図してエンドエフェクタ5及びシャフト3を所定の回転軸Rの軸周りに回転させたいときには、ハウジング2の本体11のうち所定の回転軸Rに対する最大半径D3よりも大きい半径D0の回転ノブ26Aを回転させれば良い。このため、術者は、回転モーメントにより、摺動抵抗に抗して容易に回転ノブ26Aを所定の回転軸Rの軸周りに回転させることができる。
【0134】
なお、例えば中心軸Cからずれた位置に配置されたエンドエフェクタ5に外力Fが負荷されたときに、外力の大きさに応じて、ロック機構480も、ロック機構580と協働して、エンドエフェクタ5及びシャフト3の、術者が意図しない所定の回転軸Rの軸回りの回転を有効に防止することができる。
【0135】
これまで、いくつかの参考形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この参考形態の要旨は、上述した参考形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。