(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両(10)を自動運転で走行させると共に1以上ある所定条件のうちの少なくとも1つが成立した場合にドライバに対して手動運転の要求をする車両制御装置(18)であって、
前記所定条件が成立するか否かを判定する条件判定部(70)と、
成立した前記所定条件に基づいて、手動運転の要求時に前記車両(10)を減速させるか否かを選択する減速選択部(72)と、
前記車両(10)の走行予定経路を認識する経路認識部(62)と、
前記車両(10)の現在位置を認識する自車認識部(48)と、を備え、
前記所定条件は、
前記現在位置から所定距離内の前記走行予定経路に、進路変更又は進行方向の変更を伴うノード(80、100、110、120、130、140、150、160)が含まれる進路等変更条件と、
前記進路等変更条件が成立する場合に行われる前記要求に関わらず手動運転が行われず、前記走行予定経路が道なり経路に変更され、自動運転で変更後の前記道なり経路を走行し、ナビゲーション装置がリルートを行うリルート条件と、を含み、
前記減速選択部(72)は、
前記進路等変更条件が成立する場合に、前記車両(10)を減速させないことを選択し、前記リルート条件が成立する場合であって前記リルートの回数が閾値以上となる場合に、前記車両(10)を減速させることを選択する
ことを特徴とする車両制御装置(18)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る
車両制御装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[1 自動運転車両10の構成]
図1で示すように、本実施形態に係る車両制御装置18は、自動運転車両10(以下「車両10」ともいう。)に設けられる。車両10は、外界情報取得装置12と、車両センサ14と、自動運転スイッチ16(以下「自動運転SW16」ともいう。)と、車両制御装置18と、駆動力装置20と、操舵装置22と、制動装置24と、報知装置26を備える。
【0014】
外界情報取得装置12は、複数のカメラ30と、複数のレーダ32と、複数のLIDAR34と、ナビゲーション装置36と、通信装置38を有する。カメラ30は車両10の周囲を撮像して画像情報を取得する。レーダ32は車両10の周囲に電磁波を照射すると共に電磁波照射に対する反射波を検出する。LIDAR34は車両10の周囲にレーザを照射すると共にレーザ照射に対する散乱光を検出する。なお、カメラ30により取得される画像情報とレーダ32により取得される検出情報とを融合するフュージョンセンサを用いることも可能である。
【0015】
ナビゲーション装置36は、地図情報40aを記憶するナビ記憶部40を有する。地図情報40aは、例えば、道路の形状情報、交差点、合流地点、分岐地点等のノード情報、信号機の有無情報、停止線の位置情報等を含む。ナビゲーション装置36は、衛星測位装置や車両センサ14等の検出情報を用いて車両10の現在位置(走行位置)を測定し、その位置からユーザが指定した目的地までの走行予定経路を生成する。ナビゲーション装置36は、ユーザインタフェースとして、操作スイッチ(タッチパネルを含む)、ディスプレイ及びスピーカを有し、生成された走行予定経路を表示すると共に、走行予定経路を音声案内する。
【0016】
通信装置38は、路側機、他車又はサーバ等に設けられる他の通信装置と通信が可能である。通信装置38は、交通情報、他車に係わる情報、プローブ情報及び更新地図情報等を送受信する。交通情報には時間経過に伴う信号機の信号変化の情報が含まれる。
【0017】
車両センサ14は、車両10の各種挙動を検出する複数のセンサを有する。例えば、車両10の速度(車速)Vを検出する速度センサ、車両10の加減速度Aを検出する加速度センサ、車両10の横加速度Gを検出する横Gセンサ、車両10のヨーレートYを検出するヨーレートセンサ、車両10の向きを検出する方位センサ、車両10の勾配を検出する勾配センサ等を有する。
【0018】
また、車両センサ14は、各操作デバイス(アクセルペダル、ステアリングホイール、ブレーキペダル、シフトレバー、方向指示レバー等)の操作の有無、操作量、操作位置を検出する操作検出センサを含む。例えば、アクセル踏込(開度)量を検出するアクセルペダルセンサ、ステアリングホイールの操作量(操舵角θs)を検出する舵角センサ、操舵トルクTrを検出するトルクセンサ、ブレーキ踏込量を検出するブレーキペダルセンサ、シフト位置を検出するシフトセンサ等を有する。
【0019】
自動運転SW16は、開始SWと停止SWを有する。開始SWは、ユーザの操作に応じて車両制御装置18に対して開始信号を出力する。停止SWは、ユーザの操作に応じて車両制御装置18に対して停止信号を出力する。
【0020】
車両制御装置18は、1又は複数のECUにより構成され、CPU42と記憶装置44等を有する。本実施形態では、CPU42が記憶装置44に記憶されているプログラムを実行することにより、各機能実現部46、48、50、52、54、56、58、60が実現される。なお、集積回路等からなるハードウエアにより各機能実現部46、48、50、52、54、56、58、60を実現することもできる。
【0021】
駆動力装置20は、駆動力ECUと、エンジン及び/又は駆動モータ等の車両10の駆動源を有する。駆動力装置20は、車両制御部52(
図1参照)から出力される制御指令に従って車両10が走行するための走行駆動力(トルク)を生成し、トランスミッションを介し、あるいは直接車輪に伝達する。
【0022】
操舵装置22は、EPS(電動パワーステアリングシステム)ECUと、EPS装置を有する。操舵装置22は、車両制御部52(
図1参照)から出力される制御指令に従って車輪(操舵輪)の向きを変更する。
【0023】
制動装置24は、例えば、油圧式ブレーキを併用する電動サーボブレーキであって、ブレーキECUと、ブレーキアクチュエータを有する。制動装置24は、車両制御部52(
図1参照)から出力される制御指令に従って車輪を制動する。
【0024】
なお、車両10の操舵は、左右車輪に対するトルク配分や制動力配分を変更することでも可能である。
【0025】
報知装置26は、報知ECUと、表示装置及び/又は音響装置を有する。報知装置26は、報知制御部60から出力される報知指令に従って手動運転の要求や、自動運転を開始するための手順等を報知する。自動運転中にドライバが手動操作を行うことをハンドオーバ(H/O)という。また、手動運転の要求のことをH/Oリクエストともいう。
【0026】
[2 車両制御装置18の構成]
上述したように、車両制御装置18は、CPU42と、記憶装置44を有する。CPU42は、外界認識部46と、自車認識部48と、軌道生成部50と、車両制御部52と、信号予測部54と、故障検知部56と、自動運転制御部58と、報知制御部60として機能する。
【0027】
外界認識部46は、外界情報取得装置12により取得される各種情報に基づいて外界の認識対象物を認識すると共にその位置を認識する。外界認識部46は、更に、経路認識部62と、信号機認識部64と、他車認識部66と、路面認識部68により構成される。
【0028】
経路認識部62は、ナビゲーション装置36の地図情報40aに基づいて走行予定経路(ナビゲーション装置36で生成された走行予定経路又は道なりの走行予定経路)を認識する。信号機認識部64は、カメラ30の画像情報の画像処理結果、ナビゲーション装置36の地図情報40a、通信装置38で受信される信号機情報のうちの少なくとも1つに基づいて車両10の前方に存在する信号機の有無を認識する。他車認識部66は、カメラ30の画像情報の画像処理結果、レーダ32の検出結果、LIDAR34の検出結果のうちの少なくとも1つに基づいて車両10の前方に存在する先行車両及び車両10と先行車両との車間距離Dを認識する。路面認識部68は、カメラ30の画像情報の画像処理結果、LIDAR34の検出結果のうちの少なくとも1つに基づいて車両10の両側に存在するレーンマーク及び車両10の前方に存在する停止線等を認識する。
【0029】
自車認識部48は、車両センサ14の各検出値に基づいて車両10の挙動を認識する。また、ナビゲーション装置36により測定される車両10の位置情報と車両センサ14により検出されるセンサ情報に基づいて車両10の現在位置と姿勢を認識する。これとは別に、ナビゲーション装置36を用いずに、衛星測位装置や車両センサ14等の検出情報を用いて車両10の現在位置を測定し、車両10の現在位置と姿勢を認識することも可能である。また、自車認識部48は、路面認識部68により認識されるレーンマークの位置に基づいて車両10の車幅方向の位置を認識する。
【0030】
軌道生成部50は、走行予定経路(ナビゲーション装置36で生成された走行予定経路又は道なりの走行予定経路)に沿って車両10を走行させるために、外界認識部46の認識結果と自車認識部48の認識結果に基づいて車両10の目標走行軌道と目標速度を生成する。直進の目標走行軌道を生成する際には、路面認識部68で認識される両側のレーンマークの略中央を目標位置とする。
【0031】
車両制御部52は、駆動力装置20と操舵装置22と制動装置24に対して制御指令を出力する。車両制御部52は、自動運転の際に、軌道生成部50で生成された目標走行軌道に沿って目標速度で車両10を走行させるように制御指令を出力し、手動運転の際に、車両センサ14に含まれる操作検出センサの検出結果に基づいて制御指令を出力する。
【0032】
信号予測部54は、車両10の前方の走行予定経路に配置されている信号機92(
図4等参照)の信号を予測する。予測の際には、車両10の現在位置から信号機92までの距離と車速Vとを用いて信号機92への到達時間を算出し、通信装置で取得した交通情報に基づいてその到達時間における信号を予測する。
【0033】
故障検知部56は、自動運転の際に使用される機器、例えば外界情報取得装置12、車両センサ14、駆動力装置20、操舵装置22、制動装置24、報知装置26等に含まれる各機器の故障を検知する。故障検知部56は、例えばDTC(Diagnostic Trouble Code)を管理する。
【0034】
自動運転制御部58は、自動運転を統括制御しており、自動運転の開始及び停止の制御をする。自動運転制御部58は、自動運転SW16の開始SWから出力される開始信号に応じて自動運転を開始させ、停止SWから出力される停止信号に応じて自動運転を停止させる。また、自動運転制御部58は、自動運転中にいずれかの操作デバイスが手動操作された場合に、自動運転を停止させる。自動運転中にドライバが停止SWを操作すること、及び、いずれかの操作デバイスを手動操作することをオーバーライドという。
【0035】
更に、自動運転制御部58は、H/Oリクエストの出力を制御しており、条件判定部70と減速選択部72を有する。条件判定部70は、H/Oリクエストを出力するための所定条件が成立するか否かを判定する。所定条件としては、軌道生成部50で目標走行軌道を生成できなくなるときの状況が設定される。例えば、所定条件の1つとして、現在位置から第1所定距離Dth1内の走行予定経路に進路変更又は進行方向の変更を伴うノードが含まれるという状況が設定される(第1条件)。進路変更又は進行方向の変更を伴うノードというのは、例えば右左折地点、合流地点又は分岐地点等である。以下では、進路変更又は進行方向の変更を伴うノードを単に右左折地点等ともいう。また、所定条件の1つとして、現在位置から第1所定距離Dth1内の走行予定経路にある右左折地点等に前方向へ延びる道がないという状況が設定される(第2条件)。また、所定条件の1つとして、現在位置から第1所定距離Dth1内の走行予定経路にある右左折地点等の信号機92において停止指示信号が予測されるという状況が設定される(第3条件)。また、所定条件の1つとして、外界認識部46が外界の一部又は全部を認識できないという状況が設定される(第4条件)。また、所定条件の1つとして、外界情報取得装置12や車両センサ14等の各機器の故障が検知されるという状況が設定される(第5条件)。また、所定条件の1つとして、ナビゲーション装置36によるリルート
が行われるという状況が設定される(第6条件)。なお、第2〜
第5条件および第6条件
のうちリルート回数が閾値以上となるという状況は車両10の減速が必要となる条件でもある。減速選択部72は、条件判定部70により成立判定された所定条件に基づいて車両10を減速させるか否かを選択し、車両制御部52に対して制御指令の出力を指示する。
【0036】
報知制御部60は、いずれかの所定条件が成立した場合に、報知装置26に対してH/Oリクエストの報知指令を出力する。
【0037】
記憶装置44は、各種プログラム及び各種所定値(第1〜第3所定距離Dth1〜Dth3等)を記憶する。また、自動運転制御部58の条件判定部70で判定される各所定条件(第1〜第6条件)を記憶する。
【0038】
[3 リクエスト処理]
車両10の走行中に、車両制御装置18は、後述する1以上のリクエスト処理を繰り返し実行する。本実施形態では第1〜第3リクエスト処理を並行して実行する。各リクエスト処理ではH/Oリクエストの要否に関わる所定条件が個別に判定される。以下で個々のリクエスト処理を説明する。なお、以下で説明する各処理において、車両10と先行車両との車間距離が車速Vに応じた距離以下になった場合には、車間維持制御(減速制御)が優先して実行されるものとする。
【0039】
[3−1 第1リクエスト処理]
図2及び
図3で示すフローチャートを用いて第1リクエスト処理について説明する。なお、以下で説明する第1リクエスト処理では、ドライバがナビゲーション装置36で目的地を設定し、車両10の現在位置から目的地までの走行予定経路が設定されているものとする。
【0040】
ステップS1において、車両制御装置18は、外界情報取得装置12の各機器及び車両センサ14の各機器で検知される各情報を取得する。なお、以降の処理で各情報の取得は定期的に行われる。ステップS2において、自動運転制御部58は、自動運転中か否かを判定する。自動運転中である場合(ステップS2:YES)、処理はステップS3に移行する。一方、自動運転中でない場合(ステップS2:NO)、以降の処理は行われず、第1リクエスト処理は一旦終了する。
【0041】
ステップS3において、条件判定部70は、ナビゲーション装置36に記憶される地図情報40aを参照し、現在位置から第1所定距離Dth1(例えば700m)内の走行予定経路に所定以上の操舵が必要な地点があるか否かを判定する。例えば、ノードにおける曲率1/rが所定曲率1/rth以上である場合に、所定以上の操舵が必要と判定される。又は、ノードの入口と出口との角度θが所定角度θth未満である場合に、所定以上の操舵が必要と判定される。所定曲率1/rth以上(所定角度θth未満)の地点の具体例として、右左折予定の交差点、合流地点、分岐地点、カーブを挙げて説明する。
【0042】
図4を用いて所定曲率1/rth以上の走行予定経路を含む交差点80について説明する。交差点80においては、流入路84から右折方向の流出路86に沿って走行予定経路82Rが設定され、又は、流入路84から左折方向の流出路88に沿って走行予定経路82Lが設定され、又は、流入路84から前方向に延びる流出路90に沿って走行予定経路82Sが設定される。走行予定経路82R、82Lの曲率1/rは所定曲率1/rth以上である。一方、走行予定経路82Sの曲率1/rは所定曲率1/rth未満である。
図5で示す交差点100における走行予定経路
102R、
102L、
図6で示す交差点110における走行予定経路
112R、
112Lも走行予定経路82R、82Lと同様に、曲率1/rが所定曲率1/rth以上である。
【0043】
図7A、
図7Bを用いて所定曲率1/rth以上の走行予定経路を含む合流地点120
、130について説明する。合流地点120においては、流入路124から進路変更を要する本線126に沿って走行予定経路122Aが設定され、又は、流入路124から前方向に延びる側道128に沿って走行予定経路122Bが設定される。走行予定経路122Aの曲率1/rは所定曲率1/rth以上である。一方、走行予定経路122Bの曲率1/rは所定曲率1/rth未満である。
図7Bで示す合流地点130における走行予定経路132Aも走行予定経路122Aと同様に、曲率1/rが所定曲率1/rth以上である。
【0044】
図8を用いて所定曲率1/rth以上の走行予定経路を含む分岐地点140について説明する。分岐地点140においては、本線146から進路変更を要する流出路144に沿って走行予定経路142Aが設定され、又は、本線146に沿って走行予定経路142Bが設定される。走行予定経路142Aの曲率1/rは所定曲率1/rth以上である。一方、走行予定経路142Bの曲率1/rは所定曲率1/rth未満である。
【0045】
図9Aで示すように走行予定経路に緩いカーブ150が含まれ、そのカーブ150に沿って走行予定経路152が設定される。走行予定経路152の曲率1/rは所定曲率1/rth未満で
ある。一方、
図9Bで示すように走行予定経路に急なカーブ160が含まれ、そのカーブ160に沿って走行予定経路162が設定される。走行予定経路162の曲率1/rは所定曲率1/rth以上である。
【0046】
図2に戻り説明を続ける、ステップS3では、車両10の現在位置が自車認識部48により認識され、走行予定経路が経路認識部62により認識される。条件判定部70は、車両10の現在位置から第1所定距離Dth1内にある走行予定経路の形状を、ナビゲーション装置36に記憶される地図情報40aから把握する。そして、曲率1/rが所定曲率1/rth以上となる地点があるか否かを判定する。曲率1/rが所定曲率1/rth以上となる地点がある場合(ステップS3:YES)、処理はステップS4に移行する。例えば、
図4で示す走行予定経路82R、82L、又は、
図5で示す走行予定経路102R、102L、又は、
図6で示す走行予定経路112R、112L、又は、
図7Aで示す走行予定経路122A、又は、
図7Bで示す走行予定経路132A、又は、
図8で示す走行予定経路142A、又は、
図9Bで示す走行予定経路162が設定されている場合、ステップS4に移行する。一方、曲率1/rが所定曲率1/rth以上となる地点がない場合(ステップS3:NO)、以降の処理は行われず、第1リクエスト処理は一旦終了する。例えば、
図4で示す走行予定経路82S、又は、
図7Aで示す走行予定経路122B、又は、
図8で示す走行予定経路142B、又は、
図9Aで示す走行予定経路152が設定されている場合、第1リクエスト処理は一旦終了する。なお、所定曲率1/rthは、一定値が設定されていてもよいし、走行地点(右左折予定の交差点、合流地点、分岐地点、カーブ)毎に異なる値が設定されていてもよい。後者の場合はより正確な判定が可能となる。なお、第1所定距離Dth1は、ナビゲーション装置36が右左折地点等における進路変更又は進行方向の変更を乗員に対して最初に案内する距離と一致するように予め設定される。
【0047】
ステップS4において、所定条件の1つが成立している。この段階で成立する条件は、現在位置から第1所定距離Dth1内の走行予定経路に右左折地点等が含まれるという状況(第1条件)である。ここで、報知制御部60は、報知装置26に対してH/Oリクエストの報知指令を出力する。報知装置26は、H/Oリクエストを促す画面を表示すると共に、H/Oリクエストの音声案内を行う。
【0048】
ステップS5において、自動運転制御部58は、オーバーライドが発生したか否かを判定する。オーバーライドが発生した場合(ステップS5:YES)、第1リクエスト処理は一旦終了する。このとき、自動運転制御部58は、自動運転を一旦停止する。また、報知装置26は、H/Oリクエストを促す画面を非表示にする。一方、オーバーライドが発生していない場合(ステップS5:NO)、処理はステップS6に移行する。
【0049】
ステップS6において、減速選択部72は車両10の減速をしないこと、すなわち等速以上で走行すること(等速以上維持)を選択する。車両制御部52は、車両10を等速以上で走行させるように、駆動力装置20に対して制御指令を出力する。
【0050】
ステップS7において、自車認識部48は、車両10の現在位置から右左折地等(のノード)までの距離Dと第2所定距離Dth2(例えば300m)とを比較する。D<Dth2である場合(ステップS7:YES)、処理はステップS8に移行する。一方、D≧Dth2である場合(ステップS7:NO)、処理はステップS5に戻る。
【0051】
図3に移行して第1リクエスト処理の説明を続ける。ステップS8において、報知制御部60は、報知装置26に対して再度H/Oリクエストの報知指令を出力する。報知装置26は、ステップS4以降H/Oリクエストを促す画面を表示し続けており、ここではH/Oリクエストの音声案内を再度行う。
【0052】
ステップS9において、条件判定部70は、ステップS3で認識した右左折地点等に前方向に延びる道が有るか否かを判定する。ここでは、そのノードの入口(流入路の出口)と出口(流出路の入口)を結ぶ曲線の経路を想定し、その経路の曲率1/rが所定曲率1/rth未満となるか否かで道があるか否かを判定する。又は、流入路と流出路との角度θが所定角度θth以上となるか否かで道があるか否かを判定する。例えば、
図4で示す交差点80では、流入路84からみて前方向に延びる流出路90が有る。車両10は流出路90に進入可能である。一方、
図5で示す交差点100では、流入路104からみて前方向に延びる道が無い。
図6で示す交差点110では、流入路114からみて前方向に道118があるものの、この道118は進入禁止である。このため、流入路114からみて前方向に道が無いとみなされる。
図7Aで示す合流地点120では、流入路124からみて、前方向に延びる側道128が有る。車両10は側道128に進入可能である。一方、
図7Bで示す合流地点130では、合流線134からみて、前方向に延びる道が無い。
図8で示す分岐地点140では、本線146からみて、前方向に延びる道(本線146)が有る。
図9Aで示すカーブ150は、カーブ150の曲率1/rが所定曲率1/rth未満であるため、前方向に延びる道が有るものとみなされる。一方、
図9Bで示すカーブ160では、カーブ160の曲率1/rが所定曲率1/rth以上であるため、前方向に延びる道が無いものとみなされる。ステップS9において、右左折地点等に前方向に延びる道が有る場合(ステップS9:YES)、処理はステップS10に移行する。一方、右左折地点等に前方向に延びる道が無い場合(ステップS9:NO)、処理はステップS13に移行する。
【0053】
ステップS10において、条件判定部70は、ステップS3で認識した右左折地点等に信号機92(
図4等参照)があるか否かを判定する。信号機92の有無は、信号機認識部64により認識されており、その認識結果に応じて判定が行われる。右左折地点等に信号機92が有る場合(ステップS10:YES)、処理はステップS11に移行する。一方、右左折地点等に信号機92が無い場合(ステップS10:NO)、処理はステップS14に移行する。
【0054】
ステップS11において、信号予測部54は、車両10が信号機92の設置地点に到達する時点の信号機92の信号を予測する。ステップS12において、条件判定部70は、信号予測部54で予測される信号の種類を判定する。信号の種類が通行許可信号である場合(ステップS12:通行許可)、処理はステップS14に移行する。一方、信号の種類が停止指示信号(又は注意信号)である場合(ステップS12:停止指示)、処理はステップS13に移行する。
【0055】
ステップS9又はステップS12からステップS13に移行した場合、減速処理が行われる。減速処理については下記[3−1−1]で説明する。
【0056】
ステップS14において、自動運転制御部58は、オーバーライドが発生したか否かを判定する。オーバーライドが発生した場合(ステップS14:YES)、第1リクエスト処理は一旦終了する。このとき、自動運転制御部58は、自動運転を一旦停止する。また、報知装置26は、H/Oリクエストを促す画面を非表示にする。一方、オーバーライドが発生していない場合(ステップS14:NO)、処理はステップS15に移行する。
【0057】
ステップS15において、所定条件のうち第1条件のみが成立している。このとき、減速選択部72は車両10の減速をしないこと、すなわち等速以上で走行すること(等速以上維持)を選択する。車両制御部52は、車両10を等速以上で走行させるように、駆動力装置20に対して制御指令を出力する。
【0058】
ステップS16において、自車認識部48は、車両10の現在位置から右左折地等(のノード)までの距離Dと第3所定距離Dth3(例えば100m)とを比較する。D<Dth3である場合(ステップS16:YES)、すなわち車両10の現在位置と右左折地点等との距離Dが短い場合、処理はステップS17に移行する。一方、D≧Dth3である場合(ステップS16:NO)、すなわち車両10の現在位置と右左折地点等との距離Dが比較的離れている場合、処理はステップS14に戻る。
【0059】
ステップS17において、軌道生成部50は、右左折地点等における走行予定経路(右左折、合流又は分岐の経路)を右左折地点等から前方向に延びる経路、すなわち道なりの経路に変更する。車両制御部52は、車両10を変更後の経路に従って等速以上で走行させるように、駆動力装置20に対して制御指令を出力する。このとき、報知装置26は、H/Oリクエストを促す画面を表示し続ける。
【0060】
ステップS18において、リルート処理が行われる。リルート処理については下記[3−1−2]で説明する。
【0061】
[3−1−1 減速処理]
図10で示すフローチャートを用いて
図3のステップS13で行われる減速処理について説明する。
【0062】
ステップS21において、自動運転制御部58は、オーバーライドが発生したか否かを判定する。オーバーライドが発生した場合(ステップS21:YES)、減速処理は終了する。このとき、自動運転制御部58は、自動運転を一旦停止する。一方、オーバーライドが発生していない場合(ステップS21:NO)、処理はステップS22に移行する。
【0063】
ステップS22において、所定条件のうち第1条件と、第2条件又は第3条件のいずれかが成立している。このとき、減速選択部72は車両10の減速をすることを選択する。車両制御部52は、車両10を減速させるように、駆動力装置20に対して制御指令を出力する。
【0064】
ステップS23において、自車認識部48は、車両10が停車したか否かを判定する。例えば、車両センサ14の車速センサで検出される車速Vが0になった場合に停車したと判定される。停車した場合(ステップS23:YES)、減速処理は終了する。一方、停車していない場合(ステップS23:NO)、処理はステップS21に戻る。
【0065】
[3−1−2 リルート処理]
図11で示すフローチャートを用いて
図3のステップS18で行われるリルート処理について説明する。なお、以下の処理で使用されるカウンタCは、車両10の電源起動時及びオーバーライド時にリセットされるものとする。
【0066】
ステップS31において、ナビゲーション装置36はリルートを行う。
図3のステップS17で、車両10は当初の走行予定経路に含まれていた右左折予定地点、合流予定地点又は分岐予定地点を前方向に通過している。このため、ナビゲーション装置36は、車両10の現在位置から目的地までの走行予定経路をリルートする。
【0067】
ステップS32において、カウンタCに1が加算される。ステップS33において、自動運転制御部58は、カウンタCとリルート回数閾値Cthとを比較する。C≧Cthである場合(ステップS33:YES)、処理はステップS34に移行する。一方、C<Cthである場合(ステップS33:NO)、処理はステップS36に移行する。
【0068】
ステップS
34において、減速処理が行われる。リルートがリルート回数閾値Cth以上繰り返し実行されると、ドライバが運転困難な状況にある可能性がある。このため、ここでは強制的に車両10を減速する。減速処理については上記[3−1−1]で説明している。但し、
図10で示すステップS22の時点で成立している条件は、第1条件と第6条件である。
【0069】
ステップS35において、カウンタCがリセットされ、リルート処理が終了する。また、ステップS33からステップS36に移行した場合は、H/Oリクエストは継続され、リルート処理が終了する。なお、ステップS36に移行した場合は、リルート処理が終了した後も、オーバーライドが発生するまでH/Oリクエストは継続される。
【0070】
[3−2 第2リクエスト処理]
図12で示すフローチャートを用いて第2リクエスト処理について説明する。ステップS41において、車両制御装置18は、外界情報取得装置12の各機器及び車両センサ14の各機器で検知される各情報を取得する。ステップS42において、条件判定部70は、外界認識部46が外界の一部又は全部を認識できるか否かを判定する。例えば、路面認識部68で路面のレーンマークを認識できない場合、外界の一部又は全部を認識できないものと判定される。また、いずれかのセンサで認識対象を認識でき、他のセンサで同一の認識対象を認識できない場合、例えば、カメラ30で先行車両を検出できるにも関わらず、レーダ32、
LIDAR34で先行車両を検出できない場合等に、外界の一部又は全部を認識できないものと判定される。外界の一部又は全部を認識できる場合(ステップS42:YES)、第2リクエスト処理は終了する。一方、外界の一部又は全部を認識できない場合(ステップS42:NO)、処理はステップS43に移行する。
【0071】
ステップS43において、所定条件の1つが成立している。この段階で成立する条件は、外界の一部又は全部を認識できないという状況(第4条件)である。ここで、報知制御部60は、報知装置26に対してH/Oリクエストの報知指令を出力する。報知装置26は、H/Oリクエストを促す画面を表示すると共に、H/Oリクエストの音声案内を行う。
【0072】
ステップS44において、減速処理が行われる。減速処理については上記[3−1−1]で説明している。但し、
図10で示すステップS22の時点で成立している条件は、第4条件である。
【0073】
[3−3 第3リクエスト処理]
図13で示すフローチャートを用いて第3リクエスト処理について説明する。ステップS51において、車両制御装置18は、外界情報取得装置12及び車両センサ14に含まれる各機器で検知される各情報を取得すると共に、駆動力装置20、操舵装置22、制動装置24、報知装置26に含まれる各ECUで検知される各機器の故障情報を取得する。ステップS52において、条件判定部70は、故障検知部56により外界情報取得装置12、車両センサ14、駆動力装置20、操舵装置22、制動装置24、報知装置26等に含まれる各機器の故障が検知されるか否かを判定する。故障が検知されない場合(ステップS52:NO)、第3リクエスト処理は終了する。一方、故障が検知される場合(ステップS52:YES)、処理はステップS53に移行する。
【0074】
ステップS53において、所定条件の1つが成立している。この段階で成立する条件は、外界情報取得装置12や車両センサ14に含まれる各機器の故障が検知されるという状況(第5条件)である。ここで、報知制御部60は、報知装置26に対してH/Oリクエストの報知指令を出力する。報知装置26は、H/Oリクエストを促す画面を表示すると共に、H/Oリクエストの音声案内を行う。
【0075】
ステップS
54において、減速処理が行われる。減速処理については上記[3−1−1]で説明している。但し
図10で示すステップS22の時点で成立している条件は、第5条件である。
【0076】
[4 その他]
上述したように、第1〜第3リクエスト処理が並行して行われると共に、車間維持制御も並行して行われる。そして、車両10と先行車両との車間距離が車速Vに応じた距離以下になった場合には、車間維持制御(減速制御)が優先して実行される。
【0077】
更に、
図4で示すように、流入路84から流出路90に道なり走行で進入する際に、横断歩道96を横断する又は横断しようとする交通参加者(歩行者H、自転車、動物等)が認識される場合には、車両10の減速・停車を優先させる。また、一時停止が指定される場合には、車両10の減速・停車を優先させる。このとき車両10を停止線
94で停止させる。また、踏切が存在する場合には、車両10を踏切手前で停車させる。
【0078】
図2及び図3で示す第1リクエスト処理は、ナビゲーション装置36で目的地が設定され、車両10の現在位置から目的地までの走行予定経路が設定する場面を想定している。この他に、目的地が設定されるのではなく、前方向への道なり走行が設定される自動運転にも本発明は使用可能である。道なり走行が設定される場合は、図
3で示す処理のうちリルート処理(ステップS
18)は行われない。
【0079】
[5 実施形態のまとめ]
本実施形態は、車両10を自動運転で走行させると共に1以上ある所定条件のうちの少なくとも1つが成立した場合にドライバに対して手動運転の要求をする車両制御装置18に関する。車両制御装置18は、所定条件が成立するか否かを判定する条件判定部70と、成立した所定条件に基づいて、手動運転の要求時に車両10を減速させるか否かを選択する減速選択部72とを備える。本実施形態によれば、ドライバに対する手動運転の要求時に、手動運転の要求理由に応じて適切に速度制御を行うことができる。
【0080】
車両制御装置18は、車両10の走行予定経路を認識する経路認識部62と、車両10の現在位置を認識する自車認識部48とを備える。条件判定部70は、現在位置から所定距離内の走行予定経路に、右左折地点等が含まれる場合に、所定条件が成立するものと判定する。減速選択部72は、現在位置から所定距離内の走行予定経路に、右左折地点等が含まれる場合に、車両10を減速させないことを選択する。右左折地点等で自動運転を継続することは難しい。このため、自動運転中に右左折地点等を走行することが予測される場合には、運転をドライバに引き継ぐ方がよい。その際、ドライバは故意に又はやむなく運転を引き継がない場合がある。そのような場合であって、右左折地点等の前方に走行可能な道が存在する場合には、右左折地点等をそのまま前方に進行し、その後リルートすることも可能である。本実施形態によれば、車両10が右左折地点等で進路変更又は進行方向の変更をせずにそのまま前方に進行する際に車両10を減速させずに通過させることでき、車両10の減速に起因する交通流の停滞を防止することができる。
【0081】
車両制御装置18は、車両10の走行予定経路を認識する経路認識部62と、車両10の現在位置を認識する自車認識部48とを備える。条件判定部70は、現在位置から所定距離内の走行予定経路に、前方向へ延びる道がない場合に、所定条件が成立するものと判定する。減速選択部72は、現在位置から所定距離内の走行予定経路に、前方向へ延びる道がない場合に、車両10を減速させることを選択する。本実施形態によれば、ドライバが運転を引き継がないときに停車が必要となる場面で前もって車両10を減速させるため、仮にドライバが運転を引き継がなくても、迅速に停車させることができる。
【0082】
車両制御装置18は、車両10の走行予定経路を認識する経路認識部62と、車両10の現在位置を認識する自車認識部48と、自動運転で走行する車両10が走行予定経路内の信号機92に到達したときの信号機92の信号を予測する信号予測部54とを備える。条件判定部70は、現在位置から所定距離内の走行予定経路に、右左折地
点等が含まれ、且つ、信号予測部54により右左折地点等の信号機92において停止指示信号が予測される場合に、所定条件が成立するものと判定する。減速選択部72は、現在位置から所定距離内の走行予定経路に、右左折地
点等が含まれ、且つ、信号予測部54により右左折地点等の信号機92において停止指示信号が予測される場合に、車両10を減速させることを選択する。本実施形態によれば、ドライバが運転を引き継がないときに停車が必要となる場面で前もって車両10を減速させるため、仮にドライバが運転を引き継がなくても、迅速に停車させることができる。
【0083】
車両制御装置18は、外界を認識する外界認識部46を備える。条件判定部70は、外界認識部46が外界の一部又は全部を認識できない場合に、所定条件が成立するものと判定する。減速選択部72は、外界認識部46が外界の一部又は全部を認識できない場合に、車両10を減速させることを選択する。本実施形態によれば、ドライバが運転を引き継がないときに停車が必要となる場面で前もって車両10を減速させるため、仮にドライバが運転を引き継がなくても、迅速に停車させることができる。
【0084】
車両制御装置18は、自動運転の際に使用される機器の故障を検知する故障検知部56を備える。条件判定部70は、故障検知部56により機器の故障が検知される場合に、所定条件が成立するものと判定する。減速選択部72は、故障検知部56により機器の故障が検知される場合に、車両10を減速させることを選択する。本実施形態によれば、ドライバが運転を引き継がないときに停車が必要となる場面で前もって車両10を減速させるため、仮にドライバが運転を引き継がなくても、迅速に停車させることができる。
【0085】
また、本実施形態は、自動運転中にドライバに対して手動運転の要求をする際に、車両を減速させる車両制御装置18でもある。そして、交差点を右左折する際にドライバに対して手動運転の要求をする場合には、車両10を減速させない。本実施形態によれば、車両10が右左折予定の交差点をそのまま前方に進行する際に車両10を減速させずに通過させることでき、車両10の減速に起因する交通流の停滞を防止することができる。