特許第6623306号(P6623306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623306
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】電力充電モジュール及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20191209BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H02J7/04 N
   H02J7/10 N
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-545114(P2018-545114)
(86)(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公表番号】特表2018-535645(P2018-535645A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】US2016062084
(87)【国際公開番号】WO2017087414
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2018年6月21日
(31)【優先権主張番号】62/255,841
(32)【優先日】2015年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ディー ステンガー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ベラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー キアレット
【審査官】 佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−222370(JP,A)
【文献】 特開2015−134591(JP,A)
【文献】 特開2003−263252(JP,A)
【文献】 特開2011−139572(JP,A)
【文献】 特開2012−125056(JP,A)
【文献】 特開2015−186338(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/141196(WO,A1)
【文献】 特開2008−159590(JP,A)
【文献】 特開2004−282857(JP,A)
【文献】 米国特許第06861824(US,B1)
【文献】 米国特許第05592070(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/04
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力充電モジュールであって、
少なくとも3つの熱的条件範囲を定義するようにプログラムされたコントローラであって、前記少なくとも3つの熱的条件範囲が公称熱的条件範囲、臨界熱的条件範囲、及び中間熱的条件範囲を含み、該中間熱的条件範囲が前記公称熱的条件範囲と前記臨界熱的条件範囲との間であるコントローラと、
各充電ポートが前記コントローラを伴い、充電ポートにプラグ接続された外部機器へと電力を送達するように構成される複数の充電ポートと、
温度を感知して感知された温度を前記コントローラへと提供するように構成される温度センサと、からなる、電力充電モジュールであり、
前記コントローラが、前記感知された温度がどの熱的条件範囲に分類されているかを確認するように構成され、前記コントローラが、
前記感知された温度が前記公称熱的条件範囲内に分類される場合に、前記充電ポートへと標準最大電力出力を送達するように構成され、
前記感知された温度が前記中間熱的条件範囲内に分類される場合に、前記充電ポートへと変更最大電力出力を送達するように構成され、
前記感知された温度が前記臨界熱的条件範囲内に分類される場合に、前記充電ポートへの電力出力を中止するように構成され
前記充電ポートの1つに隣接する第2温度センサを更に含み、前記温度センサは他の充電ポートに隣接し、前記第2温度センサが第2の温度を感知して感知された第2の温度を前記コントローラへと提供するように構成され、該コントローラが、
両方の温度センサからの前記感知された温度が前記公称熱的条件範囲内に分類される場合に、前記充電ポートのそれぞれへと標準最大電力出力を送達するように構成され、
前記充電ポートの1つに隣接する温度センサからの前記感知された温度が前記中間熱的条件範囲内に分類され、かつ他方の温度センサからの前記感知された温度が前記公称熱的条件範囲内に分類される場合に、前記充電ポートの1つへ変更最大電力出力を送達するように構成され、
前記第2温度センサからの前記感知された温度が前記臨界熱的条件範囲内に分類される場合に、隣接する充電ポートへの電力出力を中止するように構成される、電力充電モジュール。
【請求項2】
電力充電システムであって、
充電ポートと動作可能に接続されている機器へと、電力を送達するように構成される前記充電ポートと、
感知された温度を示す温度信号を発生させるように動作する温度センサと、
コントローラであって、
複数の熱的条件範囲を記憶するように構成され、該複数の熱的条件範囲が公称熱的条件範囲、少なくとも1つの中間熱的条件範囲、及び臨界熱的条件範囲を含み、前記少なくとも1つの中間熱的条件範囲が前記公称熱的条件範囲と前記臨界熱的条件範囲との間であり、
前記充電ポートに関する標準最大電力出力設定及び充電ポートに関する変更最大電力出力設定を記憶するように構成され、
前記温度信号に基づいて、前記温度センサにおける前記感知された温度を決定するように構成され、
該感知された温度が前記公称熱的条件範囲内にある場合に、前記標準最大電力出力設定に基づいて前記充電ポートに電力を送達するように構成され、
前記感知された温度が前記中間熱的条件範囲内にある場合に、前記変更最大電力出力設定に基づいて前記充電ポートに電力を送達するように構成され、
前記感知された温度が前記臨界熱的条件範囲内にある場合に、前記充電ポートへの電力出力を中断するように構成されるコントローラと、からなり、
複数の充電ポートを更に備え、前記感知された温度が前記中間熱的条件範囲内にある際に、前記コントローラが、前記変更最大電力出力設定に従って前記充電ポートのいくつかのみに電力を送達するように構成され、
前記温度センサが第1の感知された温度を決定するための第1温度センサであり、第2の感知された温度を発生させるための少なくとも1つの充電ポートに隣接した第2温度センサを更に含み、前記コントローラは前記第1の感知された温度及び第2の感知された温度の両方が前記公称熱的条件範囲内である際に、前記標準最大電力出力設定に従って前記充電ポートのそれぞれへと電力を送達するように更に構成され、前記第1の感知された温度及び第2の感知された温度の内1つが前記公称熱的条件範囲内であり、かつ前記第1の感知された温度及び第2の感知された温度のもう一方が前記中間熱的条件範囲内にある際に、前記変更最大電力出力設定に従って前記充電ポートのそれぞれへと電力を送達するように更に構成される、電力充電システム。
【請求項3】
各機器は、第1電力での第1充電配置及び第2電力での第2充電配置にて動作し、前記第2電力は前記第1電力未満であり、前記コントローラは前記感知された温度が前記公称範囲内である場合には前記第1電力へと、前記感知された温度が前記中間範囲内である場合には前記第2電力へと、プラグ脱着可能な機器により引き出される電力を制御するように構成される、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項4】
前記第1充電配置と前記第2充電配置との間での変化が、前記機器へと充電配置の変化を伝達する信号を発生させる前記コントローラを含む、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項5】
前記コントローラがホストを含み、該ホストが、充電配置の変化を前記機器に伝達するための信号を発生させるように構成される、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項6】
前記第1充電配置と前記第2充電配置との間での変化が、前記充電ポートにおける電圧を低下させる前記コントローラを含む、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項7】
前記感知された温度が前記中間熱的条件範囲内にある際に、前記コントローラが、前記変更最大電力出力設定に従って前記充電ポートに電力を送達するように構成される、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項8】
前記第1温度センサが、第2充電ポートに隣接している、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項9】
ASICを内部に含むハウジングを更に含み、前記第1温度センサが前記ハウジングに隣接している、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項10】
前記第1温度センサが、前記ASICへと組み込まれている、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項11】
前記標準最大電力出力設定が、同一の電力出力での各充電ポート用の最大電力出力である、前記充電ポートのそれぞれへの最大電力出力を含み、前記変更最大電力出力設定が、第1の充電ポートへの第1の変更最大電力出力及び第2の充電ポートへの第2の変更最大電力出力を含み、前記第1の変更最大電力出力が第1の最大電力出力であり、前記第2の変更最大電力出力が第2の最大電力出力であり、該第2の最大電力出力が前記第1の最大電力出力未満である、請求項に記載の電力充電システム。
【請求項12】
前記コントローラが、充電状態の変化を表示するように更に構成される、請求項に記載の電力充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、参考として本明細書に組み込まれている、2015年11月16日出願の米国仮特許出願番号第62/255,841号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、電力充電モジュールの分野に関し、またより具体的には、変更可能な電力送達を伴う電力充電モジュールの分野、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル技術の進化により、車両製造者は、車両内で顧客がモバイル機器を実際に使用しているか否かに関わらず、それらのモバイル機器(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、GPSユニット、ヘッドフォン/ヘッドセット等)を充電することができる、という顧客の要求を認識している。その一部として、車両製造者は、より高い電力充電モジュールを要求するとともに、これらのより高い電力充電モジュールを、より密着形態型の要素にて要求している。これらの要求は、電力充電モジュールの限界を強いることにより、回路の非効率故に放散される電力から発生する熱を消散する。問題を更に悪化させることに、車両製造者は、複数の高電力充電ポートを備えるより高い電力充電モジュールを、更に要求している。この電力放散から発生する熱は精密電子機器に損傷与え得、かつ更に機械組立品の損傷を引き起こす。なお、この電力放散から発生する熱は、火災による安全上の懸念となる可能性があり得る。
【0004】
現在、これらの問題を防ぐために、大抵の電力充電モジュールには、所定の高温以上の温度が検出された場合に機器の作動を停止させる保護回路が設けられている。この作動停止が発生する場合、検出された温度が所定の高温以下に低下するまでは、ユーザは充電能力を有しないままの状態となる。
【0005】
先行技術の車両用電力充電モジュールの欠点を克服する、車両用電力充電モジュール及びその使用方法を提供することが望ましい。より具体的には、実時間での熱的条件を自動的に検出し、かつ機器から送出される電力を調整して実時間での温度を調節する、機器及び方法を提供することが望ましい。この利点は、本機器が、それ自体が完全に損傷して、ユーザに充電能力のあるものを何も残さなくなる前に、温度が臨界レベルにまで上昇するのを許容する代わりに、低減された電力量にてユーザの1つ以上のモバイル機器を継続して充電することが可能である、ということである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
電力充電モジュール及びその使用方法を提供する。一態様では、電力充電モジュールは、コントローラ、充電ポート、及び温度センサを含む。コントローラは、少なくとも3つの熱的条件範囲を定義するようにプログラムされる。少なくとも3つの熱的条件範囲は、公称熱的条件範囲、臨界熱的条件範囲、及び中間熱的条件範囲を含む。中間熱的条件範囲は、公称熱的条件範囲と臨界熱的条件範囲との間である。充電ポートはコントローラを伴い、また充電ポートにプラグ接続された外部機器へと電力を送達するように構成される。温度センサは温度を感知し、かつ感知された温度をコントローラへと提供するように構成される。コントローラは、感知された温度がどの熱的条件範囲に分類されているかを確認するように、構成される。コントローラは、感知された温度が公称熱的条件範囲に分類される場合には充電ポートに標準最大電力出力を送達し、感知された温度が中間熱的条件範囲に分類される場合には充電ポートに変更最大電力出力を送達し、感知された温度が臨界熱的条件範囲に分類される場合には充電ポートへの電力出力を中断するように、構成される。
【0007】
別の態様では、機器を充電する方法は、充電ポート及び少なくとも1つの温度センサを有する電力充電モジュールを伴う、電力充電モジュールを提供する工程を含む。本方法は、複数の熱的条件範囲を定義することを含み、複数の熱的条件範囲は公称熱的条件範囲、臨界熱的条件範囲、及び中間熱的条件範囲を含み、また中間熱的条件範囲は公称熱的条件範囲と臨界熱的条件範囲との間である。本方法は、温度センサにて温度を感知すること、及び感知された温度に関して対応する熱的条件範囲を決定することを含む。本方法は、感知された温度が公称熱的条件範囲内である場合に充電ポートに標準最大電力出力を送達することと、感知された温度が中間熱的条件範囲内である場合に充電ポートに変更最大電力出力を送達することと、感知された温度が臨界熱的条件範囲内である場合に充電ポートへの電力出力を停止することと、を含む。
【0008】
更に別の態様では、電力充電システムは、充電ポート、温度センサ、及びコントローラを含む。充電ポートは、充電ポートと動作可能に接続されている機器へと、電力を送達するように構成される。温度センサは、感知された温度を示す温度信号を発生させるように動作可能である。コントローラは、複数の熱的条件範囲を記憶するように構成され、複数の熱的条件範囲は、公称熱的条件範囲、少なくとも1つの中間熱的件範囲、及び臨界熱的条件範囲を含む。少なくとも1つの中間熱的条件範囲は、公称熱的条件範囲と臨界熱的条件範囲との間である。コントローラは更に、充電ポート各々についての標準最大電力出力設定、及び充電ポート各々についての変更最大電力出力設定を記憶し、また温度センサにて温度信号に基づいて感知された温度を確認するように構成される。感知された温度が公称熱的条件範囲内にある場合に、コントローラは、標準最大電力出力設定に基づいて充電ポートに電力を送達するように構成される。感知された温度が中間熱的条件範囲内にある場合に、コントローラは、変更最大電力出力設定に基づいて充電ポートに電力を送達するように構成される。感知された温度が臨界熱的条件範囲内にある場合に、コントローラは、充電ポートへの電力出力を中断するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、一例として示され、添付図面に限定されるものではなく、図面中、同様の参照番号は、類似の要素を示す。
【0010】
図1】本明細書に記載される、電力充電モジュールの第1の代表的実施形態の機能ブロック図である。
図2】異なる熱的条件を伴う、可能な自動充電シナリオ(アルゴリズム)を示す表である。
図3】電力充電モジュールの操作様式のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明を実施するための形態」は、例示的な実施形態を説明するものであり、明示的に開示された組み合わせに限定することを意図しない。従って、別途記載のない限り、本明細書で開示される特徴は、一緒に組み合わせて、簡潔さのために別途示されることがなかった、更なる組み合わせを形成することができる。
【0012】
車両用電力充電モジュール又はシステム10の、第1の代表的実施形態の機能ブロック図を、図1に示す。
【0013】
第1の代表的実施形態では、車両用電力充電モジュール又はシステム10は、コントローラ15、1つ以上の第1温度センサ20、及び複数の充電ポート組立体25を含む。電力充電モジュール10の全ての構成要素又はいくつかの構成要素は、一般に11に示す破線により描かれるハウジング内に配置されてよい、又は位置してよい。
【0014】
電力充電モジュール10は、当業者により容易に理解され得る故に、その目的の用途のために許容される任意の種類のコントローラ15を随伴してよく、かつ任意の種類のコントローラ15により制御されてよい。コントローラ15は、論理様式で作動して動作を実施し、制御アルゴリズムを実行し、データ及びその他の所望の動作を記憶して検索する電子制御装置であることができる。コントローラ15は、メモリ、二次記憶装置、プロセッサ、及びアプリケーションを実行するための任意のその他の構成要素を含むことができる、又はアクセスすることができる。メモリ及び二次記憶装置は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又はコントローラによりアクセス可能な集積回路の形態であることができる。様々のその他の回路は、電源回路、信号調整回路、駆動回路、及びその他の種類の回路などのコントローラを伴うことができる。
【0015】
コントローラ15は、単一のコントローラであってよく、又は、種々の機能及び/若しくは特徴を制御するように配置された2つ以上のコントローラを含んでよい。用語「コントローラ」は、電力充電モジュールを随伴してよく、かつ電力制御モジュールに関連する、又は電力制御モジュールを伴う、種々の機能及び動作の制御と協働してよい、1つ以上のコントローラ、状態機械、及び/又はマイクロプロセッサを含む、その最も広範な感知に使用される、ということを意味する。コントローラ15の機能は、その機能に関係なくハードウェア及び/又はソフトウェアにて実施することができる。コントローラ15は、メモリ内に記憶され得る電力制御モジュールの動作条件及び動作環境に関する1つ以上のデータマップに依存してよい。これらのデータマップのそれぞれは、テーブル、グラフ、及び/又は等式の形態でのデータ収集を含んでよい。このようなデータマップは、任意の所望の様式で、随時更新されてよい。図示されるように、コントローラ15は、特定用途向け集積回路(ASIC)16を含む。
【0016】
ASIC16は、車両においてバッテリ等の電源(図示せず)に接続されており、これにより、電源がASIC16へと電力を供給する。コントローラ15は、自動インフォテイメントヘッドエンドユニット、別の電子制御、又は接続50を介してASIC16に動作可能に接続されたホスト17を更に含んでよい。
【0017】
1つ以上の第1温度センサ20は、コントローラ15に動作可能に接続している。一実施形態では、第1温度センサ20は、ASIC16などのコントローラ15へと組み込むことができる。それに代えて、又は、それに加えて、第1温度センサ20は、ASIC16から分離してもよいが、ASIC16に隣接し、かつASIC16に動作可能に接続されてよい。2つ以上の第1温度センサ20がASIC16に接続される場合、第1温度センサ20は異なる位置に設けられていることが好ましい。
【0018】
各充電ポート組立体25は、充電ポート、又はポートに電力を供給するために、接続51を介してそこに電気的に接続されている充電源30を伴うレセプタクル26を含んでよい。充電ポート26及び充電源30は、接続52を介してコントローラ15に動作可能に接続されている。充電源30は、任意の所望の構成を有してもよく、一実施形態では、バックレギュレータ又は変換器であってよい。コントローラ15は、充電源30から充電ポート26へと電力を送達する方法を制御するように、構成される。いくつかの実施形態では、各充電ポート組立体25は、ASIC16に動作可能に接続した、電力源30に隣接する集積回路又はマイクロプロセッサを含んでよく、これにより、ASIC16は充電ポート組立体25の集積回路又はマイクロプロセッサに指示を与えることができる。
【0019】
充電ポート26は、車両の物理的にアクセス可能な位置内に位置し、かつそれぞれが、例えばダッシュボード若しくはコンソールといった共通領域に位置してよい、又はそれぞれが、例えばダッシュボード/コンソール、グローブコンパートメント、ミドルコンパートメント、トランクなどといった異なる領域に位置してよい。従って、充電ポート26は、ASIC16に隣接して位置してよい、又はASIC16から遠位に位置してよい。換言すれば、ハウジング11内に描かれているにもかかわらず、充電ポート26は、所望の場合には、ASIC16から離れて位置してよく、また単一のハウジング11内には位置しなくてもよい。充電ポート組立体25がASIC16に隣接している、又はASIC16から離れている、又は単一のハウジング内にある、かどうかに関係なく、電力充電モジュール10は、このような充電ポート組立体25を含む。
【0020】
充電ポート26は、例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、GPSユニット、ヘッドフォン/ヘッドセットなどのモバイル機器を充電するように構成される。充電ポート26は任意の構成を有してよく、またいくつかの実施形態ではUSBポートであってよい。各充電ポート26は、同一の構成を有してよい、又はそれらは異なる構成を有してもよい。
【0021】
1つ以上の第2温度センサ35が、それぞれの充電ポート組立体25に動作可能に接続される、又は近接して配置される。各第2温度センサ35はまた、接続53を介してコントローラ15に接続されている。各充電ポート組立体25は、それに関係した2つ以上の第2温度センサ35を有し、第2温度センサ35は、好ましくは異なる位置にて提供される。
【0022】
第1及び第2温度センサ20、35のそれぞれは、任意の種類又は構成であってよい。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2温度センサ20、35、は、i2Cバス又はPTCサーミスタと共に使用される温度センサであってよい。その他の実施形態では、温度センサ20、35は、ASIC16などの集積回路へと組み込まれたダイオードであってよい。各温度センサ20、35は、それらの各位置における温度を持続的に監視し、感知された温度をコントローラ15に通信するようにプログラムされてもよい。
【0023】
コントローラ15は、充電ポート組立体25を動的に制御するように構成されてよく、これにより、車両の電力充電モジュール10が作動する温度に基づいて、かつ所望の電力送達方式に従って、充電ポート組立体25が充電ポート26へと電力を供給する。例えば、コントローラ15は、様々な熱的条件範囲を定義するように構成される、又はプログラムするように構成されてよい。様々な熱的条件範囲は、例えばハードワイヤードであり得る、又はファームウェア若しくは事前ロードされているメモリを介して設定することができる。
【0024】
本実施例では、また図2を明確に参照すると、コントローラ15は、四つの熱的条件範囲、即ち、公称熱的条件範囲、臨界又は制限超過熱的条件範囲、並びに第1(又は中位)及び第2(又は高位)中間熱的条件範囲を用いてプログラムされる。本実施例では、公称熱的条件範囲は、摂氏85度(華氏185度)以下の温度として定義される。第1の中間熱的条件範囲は、摂氏85度(華氏185度)を超え、かつ、摂氏90度(華氏194度)以下の温度として定義される。第2の中間熱的条件範囲は、摂氏90(華氏194度)を超え、かつ、摂氏100度(華氏212度)以下の温度として定義される。臨界熱的条件範囲は、摂氏100度(華氏212度)以上の温度として定義される。
【0025】
4つの熱的条件範囲の結果として、3つの温度閾値が定義される。より具体的には、中位の中間熱的条件範囲は摂氏85度の温度閾値を有し、高位の中間熱的条件範囲は摂氏90度の温度閾値を有し、また臨界熱的条件範囲は摂氏100度の温度閾値を有する。
【0026】
コントローラ15は、第1及び第2温度センサ20、35から伝達され感知された温度を感受するように構成され、また熱的条件範囲に関して感受され感知された温度を比較又は分類するように、構成される。なお、コントローラ15は、特定された適用可能な熱的条件範囲に応じて、各充電ポート26へと電力量を送達するように構成される。各充電ポート26に送達される電力量を特定する充電形態又は計画を、任意の所望の様式にて設定してよい。例えば、代表的実施形態では、また図2にて記載されている如く、感受され感知された温度の全てが公称熱的条件範囲に分類される場合、各充電ポート26は、15ワット(15W)の標準最大電力出力を送達するように構成される。各充電ポート26が標準最大電力出力を送出すると、充電ポート26に接続されたモバイル機器は、標準的かつ最適なレベルにて充電され得る。しかし、感知された温度のうちの1つが公称熱的条件範囲内に分類されない場合、次にコントローラ15は、1つ以上の充電ポート26へと送達される電力量を変更するように動作する。
【0027】
第1又は第2温度センサ20、35から感受され感知された温度の任意の1つが、第1の中間熱的条件範囲に入る、又は分類される場合、コントローラ15は、電力充電モジュール10内の温度を公称熱的条件範囲まで下げるために、又は少なくともその温度若しくは電力充電モジュール10に関連した温度を維持するために、電力送達及び/又は電力消費を低減させる中間充電構成に従って作動し得る。そのためには、図2に示すように、コントローラ15は、第1充電ポートの15ワット(15W)の標準最大電力出力を維持するように構成されるが、第2及び第3充電ポートのそれぞれについては、12ワット(12W)の第1の変更最大電力出力を提供し得る。従って、各充電ポート26は、これらに接続している対応するモバイル機器を充電し続けながらも、第1充電ポートのみが標準かつ最適なレベルにて充電をし続ける。
【0028】
第1又は第2温度センサ20、35から感受され感知された温度の任意の1つが、第2の中間熱的条件範囲に分類される場合、コントローラ15は、温度を公称熱的条件範囲内、又は第1の中間熱的条件範囲まで更に下げるために、又はその温度若しくは電力充電モジュール10に関連した温度を少なくとも維持するために、電力送達及び/又は電力消費を更に低減させる高位充電構成に従って作動し得る。そのためには、図2に示すように、コントローラ15は、第1充電ポートの15ワット(15W)の標準最大電力出力を維持するように構成されるが、第2及び第3充電ポートのそれぞれについては、7.5ワット(7.5W)の第2の変更最大電力出力を提供し得る。従って、各充電ポート26は、これらに接続している対応するモバイル機器を充電し続けながらも、第1充電ポートのみが標準かつ最適なレベルにて充電をし続ける。
【0029】
第1又は第2温度センサ20、35から感受され感知された温度の任意の1つが、臨界熱的条件範囲に分類される場合、コントローラ15は、温度を公称熱的条件範囲内、第1の中間熱的条件範囲、又は第2の中間熱的条件範囲まで更に下げるために、電力送達及び/又は電力消費を更に低減させるように作動する。そのためには、図2に示すように、コントローラ15は、各充電ポート26への電力出力を中断するように構成される。従って、充電ポート26に接続されている対応の機器への充電がなされない。
【0030】
異なる構成又はシナリオ(アルゴリズム)は、例えば、図2で特定されるように、好ましくは、モバイル装置、電力充電モジュール10、又は車両のその他の部分のいずれかに対して破壊的でない熱的限界を維持しながら、各充電ポート26に供給される電力を最大化するように電力出力を優先させる。熱的条件範囲と同様に、任意の適切な手段により、異なるシナリオをコントローラ15にプログラムすることができる。
【0031】
典型的な動作条件下にて、電力充電モジュール10を公称熱的条件範囲で作動させることが望ましい。コントローラ15が電力出力をより高いレベルに戻す前に、感知された温度に関連していくつかの種類のヒステリシスが使用される、と考えられている。例えば、上記実施形態では、感知された温度のいずれか1つが第2の中間熱的条件範囲に分類される場合、コントローラ15は、第1充電ポートに対して15ワット(15W)の標準最大電力出力を維持するが、第2及び第3充電ポートのそれぞれに対して、7.5ワット(7.5W)の第2の変更最大電力出力を提供し得る。しかし、感知された温度がもはや第2の中間熱的条件範囲でなくなり次第、第2の変更最大電力出力を、7.5ワット(7.5W)から12ワット(12W)又は15ワット(15W)へと変化させることが望ましくない場合がある。その代わりに、所定の期間、又は全ての感知された温度が公称熱的条件範囲にて提供されるまで、低減された最大電力出力(例えば、7.5ワット)をコントローラ15が維持することが望ましい場合がある(従って、感知された温度が第1の中間熱的条件範囲にある場合、基本的に実行される動作を無視する)。
【0032】
充電ポート26への電力の優先順位付けを、任意の所望の方法で編成又は実施してよい。図2に示す実施形態では、感知された温度が臨界熱的条件範囲に分類される事例以外では、第2及び第3充電ポートには変更最大電力出力が提供されてよいのに対し、常に標準的かつ理想的な最大電力出力にて第1充電ポートが維持される。いくつかの事例では、第1、第2及び第3充電ポートの同一性又は位置が固定されてもよく、また別の事例では、充電ポートの同一性又は位置が変化してもよい。
【0033】
一実施形態では、コントローラ15は、最初にモバイル機器が接続された充電ポート26として、第1充電ポートを認識又は定義するように構成されてもよい。第2の実施形態では、コントローラ15は、第1充電ポートが常に同一の充電ポートであるように、例えば、車両の運転手に最も近く位置する充電ポートであるように構成されてよく、また異なる充電ポートが、最初にモバイル機器に接続されているか否かに関わらない。第3の実施形態では、モバイル機器が最初に接続された充電ポート26としてコントローラが第1充電ポートを指定又は定義する場合に、モバイル機器が指定された第1充電ポートに接続されていない限り、第1充電ポートが常に同一の充電ポートであるようにコントローラ15が構成されてよい。
【0034】
各充電ポート26に供給される最大電力は、充電電力モジュール10が動作している温度範囲が変化した際、充電プロセス中に任意の所望の方法にて制御又は変更されてもよい。その際に、電力充電モジュール10は任意の様式で動作し、1つ以上の充電ポート26を介して送達される電力を制御又は制限してよい。いくつかのシステムでは、電力充電モジュール10内の又は電力充電モジュール10に関連する回路は、各充電ポート26に供給される電力の量を制限してよい。その他のシステムでは、最大電力は、コントローラ15と充電される機器との間の通信又は信号により制御されてよい。充電ポート26に供給される、又は充電中の機器により引き込まれる最大電力を、変更又は制限する、さらに他の方法が考えられる。
【0035】
一実施形態では、コントローラ15は、充電ポート26から引き出されてよい電流量を、接続された機器に通知又は通信してよい。より具体的には、コントローラ15は、充電ポート26の導電性端子又は導電性ピン(図示せず)を介して、また充電中の機器に充電ポート26を電気的に接続する電気ケーブル組立体(図示せず)を介して、通知又は通信してよい。例えば、充電ポート26がUSBタイプCポートとして構成されている場合、電力充電モジュール10(又はホスト又はヘッドユニット17)は、ポートの構成チャネル又は「cc」ピンを介して、充電中の機器に通信してよい。その際に、コントローラ15は、ポート26が低位電流モード(即ち、500又は900mA)、中位電流モード(即ち、1.5A)、又は高位電流(即ち、3.0A)にて動作しているか否かを、通知又は通信してよい。機器は、ccピンにおける抵抗又は電流に基づいて、USBタイプCポートが動作するモードを決定してよい。電流の引き込み量を低減させるために、所望の電力若しくは電流に対応するccピンでの新たな抵抗若しくは電流を用いて、ccピンにおける抵抗若しくは電流を変化させることにより、コントローラ15は所望の動作変化を通知又は通信することができる。
【0036】
別の実施形態では、充電ポート26は、「充電下流ポート」として構成されてよく、かつ充電とデータ送信の両方が同時に可能なUSBシステム(タイプC以外)と共に、使用されてよい。このような場合、電力充電モジュール10に動作可能に接続されたヘッドエンドユニット17は、機器に対する充電モードを特定するために、充電中の機器に通信される信号を発生させてよい。より具体的には、ホスト17は、充電ポート26の導電性端子又は導電性ピン(図示せず)を介して、また電気ケーブル組立体(図示せず)を介して、充電モードを特定する適切な信号を電気的に接続された充電中の機器へと送信してよい。充電ポート26を介して送達される最大電力の変化が所望であると判断した際には、ホスト17は、充電中の機器が電流を浪費しないように適切な信号を送信してよい。より具体的には、最大電力の変化が必要であると電力充電モジュール10が判断した場合、電力充電モジュール10は、このような必要とされる変化をホスト17に通信してよい。ホスト17は、充電ポート26を含む電力充電モジュール10を介して充電中の機器に送信される適切な信号を、発生させてよい。その際に、ホスト17は、機器の接続を切るための切断信号を発生させて、機器を再接続する信号を再列挙することができる。このような再列挙の間、ホスト17は、充電中の各機器により引き込まれる所望の新しい最大電流を含む接続を再構成するための信号を、提供する。一例として、充電ポート26がAPPLE LIGHTNING(登録商標)コネクタで構成される場合、ホスト17は、充電モード及びこのように充電中の機器により引き込まれる最大電流(例えば、1.5又は2.4A)を特定してよい。
【0037】
さらに別の実施形態では、充電ポート26は、ポート26にプラグ接続された機器の充電のみが可能な「専用下流ポート」として構成することができる。このような場合、機器を充電ポート26に接続する際に、コントローラは機器の所望の充電特性を決定してよい。一例では、ホスト17はASIC16から遠隔しており、かつ機器の所望の充電特性を決定してよい。充電中の機器により引き込まれる電流の変化が所望又は必要であると判断された際、充電ポート26から機器を物理的に接続切断する代わりに、コントローラ15の一部は、Vbusピンにおける電圧を、特定の電圧(例えば、5V)以下に一時的に低下させることにより、接続の切断をシミュレートしてよい。Vbusピンにおける電圧を、所望の動作電圧まで戻して増大させる際に、コントローラ15は、接続した機器により引き込まれる電流を変化させるために、異なる充電モードを通知又は通信してよい。
【0038】
充電中の機器により引き込まれる電流の量を変化させるその他の方法が、考えられる。
【0039】
所望する場合、コントローラ15は、充電ポート26の少なくともいくつかへの電力を充電中である(即ち、低減又は増大)、という通知を提供するように、構成されてよい。いくつかの実施形態では、通知は、車両内のスクリーン又はパネルに表示される情報の形態をとることができる。
【0040】
本開示は、車両にて使用するための電力充電モジュール10に関して、記載及び図示される。本発明で使用する場合、用語「車両」とは、車両として、例えばワゴン、自転車、自動車(オートバイ、乗用車、貨物自動車、バス)、鉄道車両(列車、トラム)、建設車両(掘削機、トラクター)、レクリエーション用自動車(スノーモビル、ATV)、船艇(船舶、ボート)、航空機及び宇宙機が挙げられてよいが、これらに限定されないように広く解釈されることを、理解すべきである。なお、本開示は、車両に使用される電力充電モジュール10に関して記載されかつ図示される一方で、車両と関連しているか否かにかかわらず、電力充電モジュールは、いかなる環境にて使用されてもよい、と理解すべきである。
【0041】
本開示には、単独形装置である電力充電モジュール10が記載されかつ図示される一方で、電力充電モジュールは、より大きな電子ユニット、モジュール、又はシステムの一部であってよい。
【0042】
本開示が、ASIC16を利用した電力充電モジュール10に関して記載されかつ図示される一方で、マイクロプロセッサ、状態機械、又は任意の個別の電子ソリューションなどの、任意のその他の適切な手段を利用することができる、と理解すべきである。
【0043】
本開示が、ASIC16に関連する少なくとも1つの温度センサ20を有すること、及び充電ポート組立体25のそれぞれに関連する少なくとも1つの温度センサ35を有すること、に関して記載されかつ図示される一方で、これらの温度センサの内1つのみが供給される、と理解すべきである。
【0044】
本開示が、4つの熱的条件範囲のみを有するものとして記載されかつ図示される一方で、程度の差はあるが、所望のように熱的条件範囲を提供することができる、と理解すべきである。換言すれば、電力制御モジュール10は2つの中間熱的条件範囲で記述されかつ図示されているにもかかわらず、電力制御モジュールは、1つ又は3つ以上の中間熱的条件範囲を利用してもよい。なお、本開示が、高温臨界熱的条件範囲のみを有するものとして記載されかつ図示される一方で、低温臨界熱的条件範囲が選択的に提供され得る、及び/又は、包括的に提供され得る、と理解すべきである。
【0045】
本開示は、代表的な電力出力を有するものとして記載されかつ図示される一方で、その他の電力出力を所望のように提供することができ、また本開示は、代表的な電力出力に限定されるべきではないことを、理解すべきである。なお、本開示は、代表的な温度範囲を有するものとして記載されかつ図示される一方で、その他の温度範囲を所望のように提供することができ、また本開示は、代表的な温度範囲に限定されるべきではないことを、理解すべきである。
【0046】
本開示が、3つの充電ポート26を有するものとして記載されかつ図示される一方で、程度の差はあるが、所望のように充電ポートを提供することができる、と理解すべきである。換言すれば、本開示は、1つ以上の充電ポート26を有する電力充電モジュール10に適用できる。
【0047】
本開示が、同一の変更最大電力出力を有する第2及び第3充電ポートを常に有するものとして記載されかつ図示される一方で、所望する場合、第2充電ポートの変更最大電力出力は、第3充電ポートの変更最大電力出力とは異なることができる、と理解すべきである。なお、感知された温度が臨界熱的条件範囲に分類される場合を除いて、標準最大充電出力を有する第1充電ポートを常に有するものとして記載されかつ図示される一方で、所望する場合、第1充電ポートの最大電力出力を、第2及び第3充電ポートの最大電力出力が変更されるのと同様の方法にて、又は第2及び第3充電ポートの最大電力出力が変更されるのとは異なる方法にて、変更することができる、と理解すべきである。場合によっては、1つ以上の第2温度センサ35は、充電ポート26の近隣温度の増大を示してよい、と更に理解される。この場合、所望により、温度の上昇を示す第2温度センサ35に隣接した充電ポート26の最大電力出力は、その他の充電ポート26の最大電力出力を変更することなく、変更されてよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、充電ポート26により供給される最大電力を低減させる電力計画又は優先順位付けの順番は、製造者により設定又は記憶されてよい。その他の実施形態では、電力計画又は優先順位付けは、電力充電モジュール10が位置する車両の操作員により、代替的に設定又は記憶されてもよい。
【0049】
電力充電モジュール10を作動させる1つの方法を示すフローチャートが、図3に示されている。工程70では、温度又は熱的条件範囲及び閾値は、コントローラ15内に設定又は記憶されてよい。例えば、公称熱的条件範囲、1つ以上の第1の中間熱的条件範囲、及び臨界熱的条件範囲は、コントローラ15内に設定されてよい。異なる熱的条件範囲の設定は、コントローラ15内の温度閾値もまた定義する。
【0050】
各充電ポート26により供給される最大電力を低減させる順番を含む電力計画は、工程71にて設定されてよい。各熱的条件範囲内で、各充電ポート26により供給されてよい最大電力出力設定は、工程72にて設定されてよい。コントローラ15は、各温度センサ20、35からの温度信号を工程73にて受信し、かつ温度信号に基づいて各センサ20、35における温度を決定してよい。工程74において、コントローラ15は、コントローラ15により決定された温度を、コントローラ15内に設定又は記憶されている温度若しくは熱的条件範囲と比較してよい。
【0051】
判定工程75において、コントローラ15は、全ての温度センサ20、35により報告される温度が公称熱的条件範囲内にあるか否かを決定してもよい。全ての温度センサ20、35が報告する温度が公称熱的条件範囲内にある場合に、電力充電モジュール10は、各充電ポート26における標準最大電力出力を含み、かつ標準動作計画に基づいた標準動作基準に従って、工程76にて動作してよい。
【0052】
温度センサ20、35のいずれかにより報告される温度が公称熱的条件範囲内でない場合、コントローラ15は、少なくとも1つの報告された温度が臨界熱的条件範囲内(即ち、臨界閾値を超える)であるか否かを、判定工程77にて決定してもよい。報告された温度が臨界熱的条件範囲内である場合には、電力充電モジュール10は、工程78にて動作を停止してよい。電力充電モジュール10は、再起動基準に従って、工程79にて停止状態を維持してよい。一例では、電力充電モジュール10は、工程73に戻るまで、所定の期間停止状態を維持してよい。別の例では、電力充電モジュール10は、工程73に戻ることにより、温度センサ20、35により報告される温度が臨界熱的条件範囲内ではなくなるまで、停止状態を維持してよい。
【0053】
報告された温度が臨界熱的条件範囲内でない場合に、電力充電モジュール10は、少なくとも1つの報告された温度が高熱条件範囲(即ち、高閾値を超えるが臨界閾値未満)であるか否かを、判定工程80にて決定してよい。報告された温度が高熱条件範囲内である場合に、全ての、又はいくつかの充電ポート26への電力を低減させてよく、これにより、電力充電モジュール10は、各充電ポート26における高熱条件用の特定の最大電力出力を含み、かつ高熱条件用の動作計画に基づいた高動作基準に従って、工程81にて動作する。特定の充電ポート26における最大電力出力の低下は、上記で特定したようなものを含む任意の方法にて達成されてよい。電力充電モジュール10の継続運転は、工程73に戻ることにより実施してよい。
【0054】
報告された温度が高熱条件範囲内でない場合に、全ての、又はいくつかの充電ポート26への電力を低減させてよく、これにより、電力充電モジュール10は、各充電ポート26における中熱条件用の特定の最大電力出力を含み、かつ中熱条件用の動作計画に基づいた中動作基準に従って、工程82にて動作する。特定の充電ポート26における最大電力出力の低下は、上記で特定したようなものを含む任意の方法にて達成されてよい。電力充電モジュール10の継続運転は、工程73に戻ることにより実施してよい。
【0055】
本明細書で提供される開示は、その好ましい例示的な実施形態の観点で特徴を説明している。添付の請求項の範囲及び趣旨の範囲内で、数多くの他の実施形態、修正、及び変形が、本開示の検討から当業者に想起されるであろう。
図1
図2
図3