特許第6623354号(P6623354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623354
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】給紙装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20191216BHJP
   B65H 39/042 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B65H7/12
   B65H39/042
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-129094(P2015-129094)
(22)【出願日】2015年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-26973(P2016-26973A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2018年6月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-135871(P2014-135871)
(32)【優先日】2014年7月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】須崎 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】井村 良太
(72)【発明者】
【氏名】江藤 卓
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−072988(JP,A)
【文献】 特開2014−084188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00− 7/20
B65H 39/00−39/16
B65H 43/00−43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り用紙またはペラ用紙の一方が積載された用紙積載部から用紙を送り出す給紙手段と、
前記給紙手段によって送り出された用紙の厚みに関する情報を検出する厚み検出手段を含み、当該厚み検出手段によって検出された情報に基づいて重送を検知するよう構成された機械式の第1検知手段と、
超音波式または光学式の検知手段で重送を検知するよう構成された第2検知手段と、
前記用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であるかペラ用紙であるかを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段は、テスト給紙において前記用紙積載部に積載された用紙のうちの1枚が前記給紙手段によって送り出されたときに前記第2検知手段によって重送が検知された場合、前記用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、重送が検知されなかった場合、前記用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定し、
前記判定手段によって、前記用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であると判定された場合、前記第1検知手段によって本番給紙における重送を検知し、
前記判定手段によって、前記用紙積載部に積載された用紙がペラ用紙であると判定された場合、前記第2検知手段によって本番給紙における重送を検知することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
折り用紙またはペラ用紙の一方が積載された用紙積載部から用紙を送り出す給紙手段と、
前記給紙手段によって送り出された用紙の厚みに関する情報を検出する厚み検出手段を含み、当該厚み検出手段によって検出された情報に基づいて重送を検知するよう構成された機械式の第1検知手段と、
超音波式または光学式の検知手段で重送を検知するよう構成された第2検知手段と、
前記用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であるかペラ用紙であるかを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段は、テスト給紙において前記用紙積載部に積載された用紙のうちの1枚が前記給紙手段によって送り出されたときに前記厚み検出手段によって検出された厚みに関する情報により特定される用紙の厚みが所定の厚み以上である場合、前記用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、所定の厚みより薄い場合、前記用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定し、
前記判定手段によって、前記用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であると判定された場合、前記第1検知手段によって本番給紙における重送を検知し、
前記判定手段によって、前記用紙積載部に積載された用紙がペラ用紙であると判定された場合、前記第2検知手段によって本番給紙における重送を検知することを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
前記判定手段は、テスト給紙において前記厚み検出手段によって検出された用紙の厚みに基づいて決まる厚みであって、前記厚み検出手段によって検出された厚みの最小の厚み以上かつ最大の厚み以下の範囲にある厚みが、所定の厚み以上である場合、前記用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、所定の厚みより薄い場合、前記用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定することを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記判定手段は、テスト給紙において前記厚み検出手段によって検出された用紙の厚みのうちの最小の厚みが所定の厚み以上である場合、前記用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、所定の厚みより薄い場合、前記用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定することを特徴とする請求項3に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記判定手段は、最後のテスト給紙において前記厚み検出手段によって検出された用紙の厚みが所定の厚み以上である場合、前記用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、所定の厚みより薄い場合、前記用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定することを特徴とする請求項3に記載の給紙装置
【請求項6】
記給紙手段によって送り出された用紙の長さに関する情報を検出する長さ検出手段を備え、
前記長さ検出手段によって検出された情報により特定される用紙の長さが所定の長さ以上である場合、前記判定手段による判定結果を無効とするよう構成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の給紙装置。
【請求項7】
前記厚み検出手段によって検出された厚みに関する情報により特定される用紙の厚さが段階的に変化している場合、前記判定手段による判定結果を無効とするよう構成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の給紙装置。
【請求項8】
前記判定手段による判定が行われていない場合、前記第1検知手段および前記第2検知手段のうち予め定められた検知手段によって本番給紙における重送を検知することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の給紙装置。
【請求項9】
前記判定手段は、テスト給紙に代えて予備給紙において、前記用紙積載部に積載された用紙のうちの1枚が前記給紙手段によって送り出されたときに前記第2検知手段によって重送が検知された場合、前記用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、重送が検知されなかった場合、前記用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の給紙装置。
【請求項10】
前記判定手段は、テスト給紙に代えて本番給紙の1枚目の給紙において前記第2検知手段によって重送が検知された場合、前記用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、重送が検知されなかった場合、前記用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定し、
前記判定手段によって、前記用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であると判定された場合、前記第1検知手段によって本番給紙の2枚目以降の給紙の重送を検知し、
前記判定手段によって、前記用紙積載部に積載されたペラ用紙であると判定された場合、前記第2検知手段によって本番給紙の2枚目以降の給紙の重送を検知することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の給紙装置。
【請求項11】
前記用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であるかペラ用紙であるかを示す情報を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた情報により特定される用紙形態と、前記判定手段により判定された用紙形態とが相違する場合に所定の表示部に警告を表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項12】
第2の給紙手段を備え、
前記給紙手段から送り出された用紙と、前記第2の給紙手段から送り出された用紙と、を含む用紙束を作成するよう構成されることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項13】
第2の給紙手段と、
第3の給紙手段と、を備え、
前記第2の給紙手段から送り出された用紙と、前記第3の給紙手段から送り出された用紙と、を含む用紙束を、前記給紙手段から送り出された用紙によっては挟むことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給紙部によって用紙を1枚ずつ給紙する給紙装置が知られている。一般に、給紙装置は、本来1枚ずつ送り出されるべき用紙が2枚以上重なって送り出された場合に重送として検知する重送検知手段を備える。重送検知手段としては、超音波式の重送検知手段と光学式の重送検知手段と機械式の重送検知手段とが知られている。
【0003】
超音波式の重送検知手段では、給紙部から送り出された用紙に超音波を発振し、用紙を通過する超音波の振幅を測定し、その振幅が所定の閾値以下であれば重送と判定する(例えば、特許文献1参照)。1枚の用紙よりも、2枚以上が重なった用紙の方が超音波の減衰が大きいという性質を利用したものである。
【0004】
光学式重送検知手段では、給紙部から送り出された用紙に光を照射し、用紙を透過する光の量を測定し、その量が所定の閾値以下であれば重送と判定する(例えば、特許文献2参照)。1枚の用紙よりも、2枚以上が重なった用紙の方が透過光量が少ないことを利用したものである。
【0005】
機械式の重送検知手段は、給紙部から送り出された用紙を、位置が固定された基準ローラと位置が変位可能な変位ローラとの間を通過させ、そのときの変位ローラの変位量を測定し、その変位量が所定の閾値以上であれば重送と判断する(例えば、特許文献3参照)。用紙1枚分よりも、2枚分の厚さの方が厚いことを利用したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−168400号公報
【特許文献2】特開2009−35399号公報
【特許文献3】特開平7−144792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
積載された用紙が折りたたまれた用紙(以下、「折り用紙」という)の場合、重送が発生していなくても用紙を通過する超音波の振幅は大きく減衰する。同様に、重送が発生していなくても用紙を透過する光は大きく減少する。そのため、超音波式または光学式の重送検知手段によって折り用紙の重送を高い精度で検知するのは困難である。
【0008】
一方、機械式の重送検知手段によって折り用紙の重送を検知するのは比較的容易である。しかしながら、積載された用紙が折りたたまれていない用紙(以下、「ペラ用紙」という)の場合、1枚の用紙のときと、2枚が重なった用紙のときとで変位ローラの変位量の差は比較的小さい。そのため、機械式の重送検知手段によってペラ用紙の重送を高い精度で検知しようとすると高い部品精度が必要となり、装置が高価になる。
【0009】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的安価で、かつ、折り用紙であってもペラ用紙であっても比較的高い精度で重送を検知できる給紙装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の給紙装置は、折り用紙またはペラ用紙の一方が積載された用紙積載部から用紙を送り出す給紙手段と、給紙手段によって送り出された用紙の厚みに関する情報を検出する厚み検出手段を含み、当該厚み検出手段によって検出された情報に基づいて重送を検知するよう構成された機械式の第1検知手段と、超音波式または光学式の検知手段で重送を検知するよう構成された第2検知手段と、用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であるかペラ用紙であるかを判定する判定手段と、を備える。判定手段は、テスト給紙において用紙積載部に積載された用紙のうちの1枚が給紙手段によって送り出されたときに第2検知手段によって重送が検知された場合、用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、重送が検知されなかった場合、用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定する。判定手段によって、用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であると判定された場合、第1検知手段によって本番給紙における重送を検知する。判定手段によって、用紙積載部に積載された用紙がペラ用紙であると判定された場合、第2検知手段によって本番給紙における重送を検知する。
【0011】
本発明の別の態様もまた、給紙装置である。この装置は、折り用紙またはペラ用紙の一方が積載された用紙積載部から用紙を送り出す給紙手段と、給紙手段によって送り出された用紙の厚みに関する情報を検出する厚み検出手段を含み、当該厚み検出手段によって検出された情報に基づいて重送を検知するよう構成された機械式の第1検知手段と、超音波式または光学式の検知手段で重送を検知するよう構成された第2検知手段と、用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であるかペラ用紙であるかを判定する判定手段と、を備える。判定手段は、テスト給紙において用紙積載部に積載された用紙のうちの1枚が給紙手段によって送り出されたときに厚み検出手段によって検出された厚みに関する情報により特定される用紙の厚さが所定の厚み以上である場合、用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定し、所定の厚みより薄い場合、用紙積載部に積載された用紙はペラ用紙であると判定する。判定手段によって、用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であると判定された場合、第1検知手段によって本番給紙における重送を検知する。判定手段によって、用紙積載部に積載された用紙がペラ用紙であると判定された場合、第2検知手段によって本番給紙における重送を検知する。
【0012】
本発明のさらに別の態様もまた、給紙装置である。この装置は、折り用紙またはペラ用紙の一方が積載された用紙積載部から用紙を送り出す給紙手段と、超音波を発振する発振器と、発振器と用紙搬送路を挟んで配置された受振器を有し、用紙搬送路を用紙が通過するときに受振器により受振された超音波の振幅に基づいて重送を検知する超音波式の重送検知手段と、用紙積載部に積載された用紙が折り用紙であるか否かを判定する判定手段と、を備える。判定手段は、テスト給紙において給紙手段によって用紙積載部に積載された用紙のうちの1枚の用紙が送りされたときに重送検知手段が重送を検知した場合、用紙積載部に積載された用紙は折り用紙であると判定する。
【0013】
本発明のさらに別の態様もまた、給紙装置である。この装置は、給紙手段によって送り出された用紙が、折り用紙であるか否かを判定する判定手段を備える。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、比較的安価で、かつ、折り用紙であってもペラ用紙であっても比較的高い精度で重送を検知できる給紙装置の提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係る給紙装置を示す斜視図である。
図2】給紙装置の内部構造を示す模式図である。
図3】給紙部とその周辺を示す上面図である。
図4】給紙部とその周辺を示す側面図である。
図5】制御部の機能および構成を示すブロック図である。
図6】給紙装置の動作を示すフローチャートである。
図7】給紙装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0018】
実施の形態に係る給紙装置は、新聞広告の配達単位の束、特に折り用紙である新聞広告とペラ用紙である新聞広告とが重なった新聞広告の束、を作成するのに好適に用いられる。
【0019】
実施の形態に係る給紙装置の概要を説明する。
既述したように、給紙部に積載された用紙が折り用紙の場合、超音波式の重送検知手段によって折り用紙の重送を高い精度で検知するのは困難である。これに対し、機械式の重送検知手段によれば、折り用紙の重送を検知することができる。特に、折り用紙の場合、1枚の用紙のときと、2枚が重なった用紙のときとで変位ローラの変位量の差は比較的大きい。そのため、機械式の重送検知手段によれば、比較的安価な構成であっても高い精度で重送を検知することができる。また、既述したように、給紙部に積載された用紙がペラ用紙の場合、機械式の重送検知手段によってペラ用紙の重送を高い精度で検知しようとすると高い部品精度が必要となり、装置が高価になる。これに対し、超音波式の重送検知手段によれば、比較的安価な構成であっても高い精度で重送を検知することができる。したがって、折り用紙が積載された給紙部の重送は機械式の重送検知手段によって検知し、ペラ用紙が積載された給紙部の重送は超音波式の重送検知手段によって検知するのが望ましい。
【0020】
ここで、上述したように、給紙部に積載された用紙が折り用紙の場合、重送が発生していなくても用紙を通過する超音波の振幅は大きく減衰する。つまり、超音波式の重送検知手段によると、1枚の折り用紙が送り出されたときでも、重送が発生したと検知される。そうすると、逆にこの性質を利用して、送り出された用紙が1枚の折り用紙であるのか、それとも1枚のペラ用紙であるのかを判定することができる。すなわち、実際に重送が発生していないことを前提として、超音波式の重送検知手段で重送が検知された場合は、給紙された用紙が折り用紙であると判定できる。一方、超音波式の重送検知手段で重送が検知されなかった場合は、給紙された用紙がペラ用紙であると判定できる。
【0021】
また、ここで、給紙装置では、本番給紙を行う前にテスト給紙を行う。「本番給紙」とは、指定された所定部数の用紙束を作成する処理であって、各給紙部が用紙を送り出し、それらが重なった用紙束を作成する処理をいう。また、「テスト給紙」とは、各給紙部のサバキ圧(後述)や給紙圧(後述)を調整するために給紙する処理であって、テスト給紙ボタンが押された給紙部が(通常はその給紙部だけが)、ボタンが押されている間だけ給紙する処理をいう。ユーザは、重送が発生しなくなるようテスト給紙においてサバキ圧や給紙圧を調整する。このため、調整が進むにつれて重送が発生する頻度は下がる。特に調整が完了したときには、すなわち、最後のテスト給紙のときには、重送は発生していないと考えられる。
【0022】
以上から、本実施の形態では、テスト給紙(特に最後のテスト給紙)において、超音波式の重送検知手段によって重送を検知し、その検知結果によって、送り出された用紙(すなわち積載されている用紙)が折り用紙であるかそれともペラ用紙であるかを判定する。具体的には、超音波式の重送検知手段によって重送が発生したと検知された場合は、送り出された用紙は折り用紙であると判定する。一方、重送が発していないと判定された場合は、送り出された用紙はペラ用紙であると判定する。以下、実施の形態に係る給紙装置について詳細に説明する。
【0023】
図1は、実施の形態に係る給紙装置10を示す斜視図である。図2は、給紙装置10の内部構造を示す模式図である。給紙装置10は、筐体12と、給紙部14A〜14Tと、挟み用紙給紙部16と、搬送部18、挟み部20と、排出部22と、積載部24と、メイン操作部104と、複数のサブ操作部106と、制御部110と、を備える。
【0024】
給紙部14A〜14Jは、筐体12の左側面に、この順に下側から並んでいる。給紙部14K〜14Tは、筐体12の右側面に、この順に上側から並んでいる。以下、給紙部14A〜14Tをまとめていうときや、特に区別しないときには単に「給紙部14」とよぶ。
【0025】
給紙部14は、筐体12に取り外し可能に装着されている。具体的には、ユーザによって図示しないロック機構が解除されると、給紙部14と筐体12との係合が解除され、給紙部14を筐体12から取り外すことができる。このような係合方法は公知であるため説明は省略する。なお、図2では、給紙部14Tを取り外した状態を示す。
【0026】
各給紙部14はそれぞれ、給紙トレイ26と、給紙機構28と、を含む。給紙トレイ26には、折り用紙の束またはペラ用紙の束が積載される。給紙トレイ26は、給紙機構28に近づくにしたがって下がるよう傾斜して配置される。給紙機構28は、制御部110からの信号に基づいて、給紙トレイ26に積載された用紙を搬送部18に送り出す。以下では、給紙トレイ26に積載された用紙のうちの最上位の用紙を送り出すことを「給紙」ともいう。給紙機構28は特に、他の給紙部14の給紙機構28から送り出された用紙とメイン搬送部36(後述)において重なり合うようなタイミングで用紙を送り出す。給紙部14の詳細な構成は、図3、4で後述する。
【0027】
搬送部18は、複数のサブ搬送部34と、メイン搬送部36と、を含む。複数のサブ搬送部34は、各給紙部14に対応して設けられ、対応する給紙部14から送り出された用紙をメイン搬送部36に搬送する。メイン搬送部36は、筐体12内を上下に延在するよう設けられる。メイン搬送部36は、各サブ搬送部34から搬送されてきた用紙を下方へ搬送する。各給紙部14から送り出された用紙は、このメイン搬送部36において重なり合う。つまり、メイン搬送部36において用紙束が形成される。このため、給紙装置10は丁合装置として機能する。
【0028】
挟み用紙給紙部16は、給紙部14Aの下方に配置される。挟み用紙給紙部16は、給紙トレイ30と、給紙機構32と、を含む。給紙トレイ30、給紙機構32はそれぞれ、給紙トレイ26、給紙機構28と同様の構成を有する。給紙トレイ30には、メイン搬送部36によって搬送されてくる用紙束を挟むための用紙(以下、「挟み用紙」という)が積載される。給紙機構32は、制御部110からの信号に基づいて、給紙トレイ30に積載された挟み用紙を挟み部20に送り出す。
【0029】
挟み部20は、折り板38と、ストッパ40と、折りナイフ42と、折りローラ44と、を含む。折り板38は、給紙部14Tの下方に設けられる。挟み用紙給紙部16から送り出された挟み用紙は、折り板38上に搬送され、その先端がストッパ40に突き当たることによって停止する。挟み用紙は特に、その中央が搬送部18の下方に位置した状態で停止する。メイン搬送部36を下降してきた用紙束は、この挟み用紙に突き当たる。このタイミングで折りナイフ42が下降し、挟み用紙の中央が折りローラ44に巻き込まれて2つに折りたたまれるとともに、搬送部18を下降してきた用紙束がその間に入り込む。
【0030】
排出部22は、搬送ベルト46と、排出ローラ48と、を含む。搬送ベルト46は、用紙束を排出ローラ48に向けて搬送する。排出ローラ48は、搬送ベルト46によって搬送されてきた用紙束を積載部24に排出する。
【0031】
筐体12の前面側にはメイン操作部104が設けられている。メイン操作部104はタッチパネル式の表示部を有する。表示部には操作画面が表示され、ユーザはこの操作画面を介して、用紙束を作成する処理に関する情報を入力する。制御部110は、操作画面に対するユーザの入力にしたがって、給紙部14と、挟み用紙給紙部16と、搬送部18と、挟み部20と、排出部22と、を制御する。制御部110の詳細な機能および構成については、図5で後述する。
【0032】
筐体12の左側面および右側面には、複数のサブ操作部106が設けられている。複数のサブ操作部106は、各給紙部14と挟み用紙給紙部16に対応するよう設けられている。サブ操作部106は、タッチパネル式の表示部を有する。表示部には、例えばテスト給紙を行うときに押下されるテスト給紙ボタンを含む操作画面が表示される。
【0033】
図3は、給紙部14とその周辺を示す上面図である。図4は、給紙部14とその周辺を示す側面図である。なお、代表して給紙部14の構成を説明するが、挟み用紙給紙部16についても同様の説明が当てはまる。
【0034】
給紙部14は、厚み検出機構50と、超音波センサ52と、用紙有無検知センサ74と、給紙センサ82と、をさらに含む。給紙機構28は、補助給紙ローラ54と、給紙ローラ56と、サバキ板58と、サバキ圧調整機構66と、を有する。補助給紙ローラ54は、給紙トレイ26の端部上方に配置される。給紙ローラ56は、補助給紙ローラ54の用紙搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)に配置される。補助給紙ローラ54の軸54aと、給紙ローラ56の軸56aはブラケット62に固定される。サバキ板58は、給紙ローラ56と接するよう給紙ローラ56の下方に配置される。
【0035】
給紙ローラ56は、給紙モータ64により回転駆動される。補助給紙ローラ54は、給紙ローラ56とタイミングベルト60を介して接続され、給紙ローラ56の回転に伴って回転する。補助給紙ローラ54は、給紙トレイ26に積載された用紙の最上位の用紙に圧接して回転し、最上位の用紙を給紙ローラ56とサバキ板58との間に送り出す。なお、補助給紙ローラ54が最上位の用紙に与える圧力(以下、「給紙圧」という)は、調整可能となっている。
【0036】
給紙ローラ56は、補助給紙ローラ54によって送り込まれた用紙をサブ搬送部34に送り出す。給紙ローラ56はシリコンゴムにより形成され、サバキ板58はウレタンゴムにより形成されているため、給紙ローラ56と、サバキ板58と、用紙とには、(給紙ローラ56と用紙との間の摩擦係数)>(サバキ板58と用紙との間の摩擦係数)>(用紙間の摩擦係数)といった関係が成立する。複数枚の用紙が重なり合った状態で送り込まれた場合は、この摩擦力の大小関係によって次位以降の用紙の送り出しが阻止され、最上位の用紙だけが給紙ローラ56とサバキ板58の間を抜けてサブ搬送部34に送り出される。
【0037】
サバキ圧調整機構66は、サバキ板58の下方に設けられる。サバキ圧調整機構66は、サバキ板58と給紙ローラ56との間に生じる圧力(以下、「サバキ圧」という)を調整する。サバキ圧調整機構66は、サバキ板58を支持するサバキベース68と、サバキベース68の下方に設けられた傾斜部材70と、を含む。サバキベース68は、回動軸68a中心に回動可能に設けられ、その下面には半球体72が固定されている。半球体72は、傾斜部材70の上面である傾斜面70aに接触する。傾斜部材70の傾斜面70aは図4の手前側から奥側へ傾斜するよう形成されている。不図示の駆動機構によって傾斜部材70が手前側と奥側との間をスライド移動することによりサバキベース68が上下動し、サバキ圧が調整される。
【0038】
用紙有無検知センサ74は、サバキ板58の上流側に設けられる。用紙有無検知センサ74は反射型光学センサであり、給紙トレイ26に用紙が積載されているか否かを検知する。用紙有無検知センサ74とサバキ圧調整機構66とは、収容部材76に収容される。収容部材76は、板を曲げて形成した箱状の部材である。収容部材76は、装置の両サイドに立設された板であるフレーム78、80にその両端が固定されている。
【0039】
給紙センサ82は、給紙ローラ56の下流側に設けられる。給紙センサ82は用紙搬送路を挟んで発光素子と受光素子とが対向して設けられた透過型センサであって、給紙ローラ56で送り出された用紙によって光軸が遮られることによって、用紙の通過を検知する。給紙センサ82によって空送りを検知することができる。
【0040】
厚み検出機構50は、給紙ローラ56の下流側に設けられる。厚み検出機構50は、基準ローラ84と変位ローラ86とを有する。変位ローラ86は、基準ローラ84に対して上方から当接する。基準ローラ84の軸84aは、基準ローラブラケット88に固定される。変位ローラ86の軸86aは、変位レバー90の一端に固定される。変位レバー90の他端側はフレーム78、80に固定された不図示の支点軸に回動可能に支持される。そのため、変位ローラ86は、基準ローラ84に対して相対変位可能となっている。変位レバー90の一端部には検知面90aが形成されており、この検知面90aに変位センサ92の回動レバー92aの回動端が当接している。
【0041】
用紙が基準ローラ84と変位ローラ86との間を通過するとき、その用紙の厚み分だけ変位ローラ86の軸位置が上昇し、これに伴って検知面90aも上昇する。検知面90aが上昇すると回動レバー92aが回動する。変位センサ92は、回動レバー92aの変位角を検出することにより、検知面90aの上昇量、すなわち基準ローラ84と変位ローラ86との間を通過した用紙の厚みを検出する。変位センサ92によって検出された用紙の厚みに基づいて、後述するように重送が発生したか否かを判定する。なお、変位レバー90は引きバネ96により付勢されているため、用紙が通過していない間は引きバネ96の付勢力により、変位ローラ86は基準ローラ84に圧接する。
【0042】
超音波センサ52は、厚み検出機構50の下流側に設けられる。超音波センサ52は、発振器100と受振器102とを有する。発振器100と受振器102とは用紙搬送路を挟んで対向するよう配置される。本実施形態では発振器100は用紙搬送路の下方に配置され、受振器102は用紙搬送路の上方に配置される。発振器100は超音波を発振する。受振器102は、発振器100によって発振された超音波を受振する。受振器102によって検出された、発振器100と受振器102との間を用紙が通過するときの超音波の振幅に基づいて、後述するように重送が発生したか否かを判定する。
【0043】
サブ搬送部34は、一対のサブ搬送ローラ94を有する。一対のサブ搬送ローラ94は、給紙部14によって送り出された用紙をメイン搬送部36(図3、4では不図示)に送り出す。
【0044】
図5は、制御部110の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0045】
制御部110は、表示制御部112と、受付部114と、給紙制御部116と、物性情報取得部118と、重送判定部120と、用紙形態判定部122と、重送検知制御部124と、搬送制御部126と、挟み制御部128と、排出制御部130と、記憶部132と、を含む。なお、物性情報取得部118、重送判定部120、用紙形態判定部122、重送検知制御部124では、給紙部14の重送検知について主に説明しているが、挟み用紙給紙部16の重送検知についても同様の説明が当てはまる。
【0046】
表示制御部112は、各種の操作画面を、メイン操作部104やサブ操作部106の表示部に表示させる。受付部114は、メイン操作部104やサブ操作部106の表示部に表示された操作画面を介して入力された指示や情報を受け付ける。例えば、受付部114は、メイン操作部104の表示部に表示された操作画面を介して、作成すべき用紙束の部数とともに、本番給紙のスタート指示を受け付ける。また例えば、受付部114は、サブ操作部106の表示部に表示された操作画面を介して、テスト給紙のスタート指示とストップ指示とを受け付ける。
【0047】
給紙制御部116は、各給紙部14が用紙を送り出すよう制御する。具体的には、給紙制御部116は、各給紙部14に信号を送って給紙モータ64を始動させ、補助給紙ローラ54および給紙ローラ56を駆動させる。これにより、給紙部14は用紙を送り出す。給紙制御部116は、テスト給紙の場合は、テスト給紙の指示があった給紙部14が用紙を送り出すよう制御する。また、給紙制御部116は、本番給紙の場合は、各給紙部14が用紙を送り出すよう制御する。
【0048】
物性情報取得部118は、給紙部14から送り出された用紙、すなわち給紙トレイ26に積載されている用紙の物性情報を取得する。本実施の形態では、物性情報取得部118は、用紙の厚みを用紙の物性情報として取得する。具体的には、物性情報取得部118は、テスト給紙の際に厚み検出機構50が検出した用紙の厚みを取得する。物性情報取得部118は、取得した用紙の厚みまたはこの厚みに余裕率を乗じた厚みを「厚み基準値」として記憶部132に登録する。
【0049】
テスト給紙は、各給紙部のサバキ圧や給紙圧を調整するために行われ、通常、各給紙部14について複数回行われる。本実施の形態では、物性情報取得部118は、各給紙部14について、テスト給紙ごとに用紙の物性情報を取得し、取得した物性情報に基づく厚み基準値を記憶部132に上書き登録する。したがって、記憶部132には、最後のテスト給紙において取得した物性情報に基づく厚み基準値が記憶される。テスト給紙では、重送が発生しないようサバキ圧や給紙圧を調整するため、それらの調整が完了している最後のテスト給紙では重送が発生していないと考えられる。もちろん、適確に調整できたか確認すべくユーザも重送が発生していないことを目視で確認している。つまり、記憶部132に記憶された、最後のテスト給紙において取得した物性情報に基づく厚み基準値は、重送が発生していないときの物性情報に基づく厚み基準値といえる。
【0050】
なお、物性情報取得部118は、テスト給紙ごとに用紙の物性情報を取得し、取得した物性情報に基づく厚み基準値が記憶部132に登録されている厚み基準値よりも小さい場合、記憶部132に登録されている厚み基準値に上書き登録してもよい。つまり、記憶部132が、最小の厚み基準値を保持するようにしてもよい。また、物性情報取得部118は、テスト給紙ごとに用紙の物性情報を取得し、取得した物性情報に基づく厚み基準値を記憶部132に追記登録してもよい。つまり、記憶部132が、物性情報取得部118がテスト給紙において取得したすべての物性情報に基づく厚み基準値を保持するようにしてもよい。この場合、物性情報取得部118は、テスト給紙の終了後などの所定のタイミングに、すべての厚み基準値のうちの最小の厚み基準値を、重送判定で用いる厚み基準値として決定してもよい。
【0051】
重送判定部120は、第1重送判定部134と、第2重送判定部136と、を含む。第1重送判定部134は、各給紙部14について、厚み検出機構50の検出結果を利用して、重送が発生したか否かを判定する。具体的には、第1重送判定部134は、厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みが、厚み基準値より厚いか否かを判定する。厚み基準値より厚い場合、第1重送判定部134は、重送が発生したと判定する。したがって、厚み検出機構50および第1重送判定部134は、重送の発生を検知する機械式重送検知手段として機能する。
【0052】
第2重送判定部136は、各給紙部14について、超音波センサ52の検出結果を利用して、重送が発生したか否かを判定する。具体的には、第2重送判定部136は、発振器100と受振器102との間を用紙が通過したときに受振器102によって検出された超音波の振幅が記憶部132に予め記憶された所定の「振幅基準値」より小さいか否かを判定する。振幅基準値より小さい場合、第2重送判定部136は、重送が発生したと判定する。したがって、超音波センサ52および第2重送判定部136は、重送の発生を検知する超音波式重送検知手段として機能する。
【0053】
用紙形態判定部122は、各給紙部14について、給紙機構28によって送り出された用紙、すなわち給紙トレイ26に積載されている用紙が、折り用紙またはペラ用紙のいずれであるかを判定する。つまり、用紙形態判定部122は、各給紙トレイ26に積載されている用紙の用紙形態を判定する。用紙形態判定部122は、テスト給紙において超音波式重送検知手段によって重送が検知された場合、対応する給紙トレイ26に積載されている用紙は折り用紙であると判定する。一方、用紙形態判定部122は、テスト給紙において超音波式重送検知手段によって重送が検知されなかった場合、対応する給紙トレイ26に積載されている用紙はペラ用紙であると判定する。用紙形態判定部122は、用紙形態の判定結果を記憶部132に登録する。
【0054】
上述したようにテスト給紙は各給紙部について複数回行われる。超音波式重送検知手段はテスト給紙ごとに動作し、用紙形態判定部122はテスト給紙ごとに用紙形態を判定し、判定結果を記憶部132に上書き登録する。したがって、記憶部132には、重送が発生していないといえる最後のテスト給紙での用紙形態の判定結果が記憶される。
【0055】
重送検知制御部124は、各給紙部14について、本番給紙における重送を、機械式重送検知手段と超音波式重送検知手段とのどちらによって検知するかを決定する。重送検知制御部124は、用紙形態判定部122による判定結果が折り用紙である給紙部14は、機械式重送検知手段によって重送を検知するよう決定する。一方、重送検知制御部124は、用紙形態判定部122による判定結果がペラ用紙である給紙部14は、超音波式重送検知手段によって重送を検知するよう決定する。
【0056】
記憶部132は、各種の情報を記憶する。例えば、記憶部132は、給紙部14を一意に特定する情報と、厚み基準値と、超音波基準値と、を対応付けて記憶する。また例えば、記憶部132は、給紙部14を一意に特定する情報と、用紙形態判定部122による判定結果と、を対応付けて記憶する。
【0057】
搬送制御部126は、サブ搬送部34およびメイン搬送部36による用紙の搬送を制御する。挟み制御部128は、挟み用紙給紙部16と、挟み部20と、を制御する。具体的には、挟み制御部128は、メイン搬送部36によって搬送される用紙束が挟み部20に到達する前に、挟み用紙がメイン搬送部36の下方に位置するよう挟み用紙給紙部16に給紙させる。また、挟み制御部128は、メイン搬送部36によって搬送されてきた用紙束が挟み用紙に突き当たるタイミングで折りナイフ42を下降させる。排出制御部130は、排出部22による用紙束の排出を制御して、作成された用紙束を積載部24に積載させる。
【0058】
図6、7は、給紙装置10の動作を示すフローチャートである。図6は、ユーザによって、とある給紙部14のサブ操作部106の操作画面に表示されるテスト給紙ボタン(不図示)が押されたときの動作を示す。図6のごとく、受付部114は、テスト給紙のスタート指示を受け付ける(S10)。すると、厚み検出機構50および超音波センサ52が始動する(S12)。この状態で、給紙制御部116は、テスト給紙ボタンが押された給紙部14に給紙させる(S14)。物性情報取得部118は、厚み検出機構50から検出された用紙の厚みを取得し、記憶部132に厚み基準値として登録する(S16)。
【0059】
第2重送判定部136は、超音波センサ52による検出結果を使用して重送が発生したかを判定する(S18)。用紙形態判定部122は、第2重送判定部136によって重送が検知された場合、給紙トレイ26に積載された用紙は折り用紙であると判定し、第2重送判定部136によって重送が検知されなかった場合、給紙トレイ26に積載された用紙はペラ用紙であると判定する(S20)。用紙形態判定部122は、この判定結果を記憶部132に登録する。テスト給紙ボタンが押され続けている場合(S22のY)、S14に戻る。テスト給紙ボタンが押されていない場合(S22のN)、処理を終了する。
【0060】
図7は、ユーザによってメイン操作部104の操作画面に表示される本番給紙ボタン(不図示)が押されたときの動作を示す。図7のごとく、受付部114は、本番給紙のスタート指示を受け付ける(S30)。重送検知制御部124は、記憶部132に記憶される各給紙部14の用紙形態の判定結果を参照し、各給紙部14について、本番給紙における重送を、機械式重送検知手段と超音波式重送検知手段とのどちらによって検知するかを決定する(S32)。続いて、厚み検出機構50および超音波センサ52が始動する(S34)。この状態で、給紙制御部116は、各給紙部14に給紙させる(S36)。重送判定部120は、各給紙部14について重送が発生したか否かを判定する(S38)。少なくとも1つの給紙部14において重送が発生したと判定された場合(S40のY)、給紙制御部116はすべての給紙部14について給紙を停止する(S42)。重送が発生してないと判定された場合(S40のN)、指定された部数の用紙束の作成が完了していれば(S44のY)、処理を終了する。完了していなければ(S44のN)、S36に戻る。
【0061】
本実施の形態に係る給紙装置10によれば、給紙トレイ26に積載された用紙がペラ用紙の場合は超音波式重送検知手段により重送が検知され、給紙トレイ26に積載された用紙が折り用紙の場合は機械式重送検知手段により重送が検知される。つまり、積載された用紙の形態によって、より的確な重送検知手段で重送を検知することができ、重送の検知精度を高めることができる。また、機械式重送検知手段は、用紙が折り用紙の場合、すなわち1枚の用紙のときと、2枚が重なった用紙のときとで厚みの差が比較的大きい場合に使用される。そのため、機械式重送検知手段を構成する部品の部品精度が比較的低くても、高い精度で重送を検知できる。そのため、給紙装置10のコストが下がる。
【0062】
以上、実施の形態に係る給紙装置について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を示す。
【0063】
(変形例1)
用紙形態判定部122は、テスト給紙において厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みが、所定の厚み以上であるか否かを判定してもよい。そして、用紙形態判定部122は、検出された用紙の厚みが所定の厚み以上の場合、テスト給紙において超音波式重送検知手段によって重送が検知されようがされまいが、用紙は折り用紙であると判定してもよい。別の言い方をすると、用紙形態判定部122は、検出された用紙の厚みが所定の厚み以上の場合、機械式重送検知手段により本番給紙における重送を検知するものと判定してもよい。用紙が所定の厚み以上であれば、折り用紙であってもペラ用紙であっても機械式重送検知手段により比較的高い精度で重送を検知できるためである。一方、用紙形態判定部122は、検出された用紙の厚みが所定の厚みより薄い場合、超音波式重送検知手段により本番給紙における重送を検知するものと判定してもよい。用紙が所定の厚みより薄い場合、折り用紙であってもペラ用紙であっても機械式重送検知手段により重送を検知するのが難しいためのである。
【0064】
例えば、用紙形態判定部122は、テスト給紙において厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みのうちの最小の厚み以上かつ最大の厚み以下の厚みであって、厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みに基づいて決まる厚みが所定の厚み以上であるか否かで、給紙トレイ26に積載されている用紙が折り用紙であるか否かを判定してもよい。
【0065】
より具体的には、例えば用紙形態判定部122は、テスト給紙において厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みのうちの最小の厚みが所定の厚み以上であるか否かで、給紙トレイ26に積載されている用紙が折り用紙であるか否かを判定してもよい。用紙のばたつき等により厚み検出機構50によって実際の用紙の厚みより大きい厚みが検出されることは稀にあるが、反対に厚み検出機構50によって実際の用紙の厚みより小さい厚みが検出されることはないため、最小の厚みは最も信頼できる値である。したがって、最小の厚みに基づいて判定することにより、折り用紙であるか否かをより的確に判定できる。
【0066】
また例えば、用紙形態判定部122は、最後のテスト給紙において厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みが、所定の厚み以上であるか否かで、給紙トレイ26に積載されている用紙が折り用紙であるか否かを判定してもよい。上述したように、最後のテスト給紙のときには、重送は発生していないと考えられる。したがって、最後のテスト給紙において検出された用紙の厚みに基づいて判定することにより、折り用紙であるか否かをより的確に判断できる。
【0067】
また例えば、用紙形態判定部122は、テスト給紙において厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みの平均の厚みが所定の厚み以上であるか否かで、給紙トレイ26に積載されている用紙が折り用紙であるか否かを判定してもよい。
【0068】
ここで、「所定の厚み」は、厚み検出機構50の性能と、搭載される可能性のある最も薄い用紙の厚さを考慮して、実験により定めればよい。一例としては、「所定の厚み」には、一般に流通している最も薄い用紙の2枚分の厚さ(80〜90μm)よりも小さい厚み(例えば70μm)を設定してもよい。この場合、給紙トレイ26に積載されている用紙が折り用紙であれば、厚み検出機構50によって検出される用紙の厚みは当然に所定の厚みを超えるので、用紙形態判定部122は、その用紙は折り用紙であると判定できる。
【0069】
また例えば、用紙形態判定部122は、テスト給紙で用紙を1枚送るたびに、厚み検出機構50によって検出されたその用紙の厚みが所定の厚み以上であるか否かを判定し、給紙トレイ26に積載されている用紙が折り用紙であるか否かを判定してもよい。この場合、厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みが所定の厚みよりも薄いとひとたび判定されたら、すなわち給紙トレイ26に積載されている用紙が折り用紙ではなくペラ用紙であるとひとたび判定されたら、その後のテスト給紙における厚み検出機構50の検出結果によらず、超音波式重送検知手段により本番給紙における重送を検知するものと決定してもよい。
【0070】
またこの場合、2枚目のテスト給紙以降から重送検知を開始してもよい。具体的には、はじめはテスト給紙における重送を機械式重送検知手段により検知し、給紙トレイ26に積載されている用紙がペラ用紙であるとひたとび判定されたら、その後のテスト給紙における重送を超音波式重送検知手段により検知すればよい。これにより、ユーザによるサバキ圧や給紙圧の調整の負荷が軽減される。
【0071】
(変形例2)
給紙機構28によって送り出された用紙の長さを検出する用紙長さ検出機構を備えてもよい。用紙長さ検出機構は、例えば用紙の搬送路に設けられる光学式センサ(例えば給紙センサ82)であってもよい。用紙が通過している間は光学式センサの光軸が塞がれる。その塞いでいる時間を計測して長さを検知する。ここで、重送している複数の用紙は、通常、用紙搬送方向にずれて重なる。そのため、重送が発生した場合は、検出される用紙の長さが通常よりも長くなる。したがって、用紙の長さを検出することにより、重送の発生を検知できる。
【0072】
この場合、物性情報取得部118は、テスト給紙において用紙長さ検出機構が検出した用紙の長さを取得し、この長さまたはこの長さに余裕率を乗じた長さを「長さ基準値」として記憶部132に登録する。重送判定部120は、本番給紙において用紙長さ検出機構が検出した用紙の長さが、長さ基準値よりも長い場合に、重送が発生したと判定する。
【0073】
長さ基準値は、予めユーザが設定できるようにしてもよい。例えば新聞広告の場合は、新聞の長さに所定の余裕率を乗じた長さを長さ基準値としてもよい。通常、新聞広告が新聞の長さを超えることはないためである。この場合、重送判定部120は、本番給紙において用紙長さ検出機構が検出した用紙の長さが、ユーザが設定した基準値よりも長い場合に、重送が発生したと判定する。
【0074】
長さ検出機構の検出結果に基づく重送検知は、例えば変形例1における超音波式重送検知手段の代わりに実施される。その一例を以下に記載する。例えば超音波式重送検知手段に代えて用紙長さ検出機構を設ける。用紙形態判定部122は、テスト給紙において厚み検出機構50によって検出された用紙の厚みが、所定の厚み以上であるか否かを判定する。用紙形態判定部122は、用紙の厚みが所定の厚み以上の場合、テスト給紙において長さ検出機構によって重送が検知されようがされまいが、用紙は折り用紙であると判定する。なおこの場合、実際に重送が発生している可能性が高いので、再度テスト給紙を行って厚み基準値を取得するのが望ましい。重送検知制御部124は、用紙形態判定部122による判定結果が折り用紙である給紙部14は、機械式重送検知手段によって重送を検知するよう決定する。一方、重送検知制御部124は、用紙形態判定部122による判定結果がペラ用紙である給紙部14は、長さ検出機構の検出結果を用いて重送を検知するよう決定する。
【0075】
(変形例3)
変形例2では、用紙長さ検出機構の検出結果を用いて本番給紙における重送を検知する場合について説明したが、用紙長さ検出機構の検出結果を、用紙形態判定部122の判定結果の有効性を判断するのに用いてもよい。
【0076】
具体的には、テスト給紙において、用紙長さ検出機構の検出結果に基づいて重送が検知された場合、重送検知制御部124は、その重送が検知された給紙部14についての用紙形態判定部122による用紙形態の判定結果を無効にしてもよい。用紙形態判定部122は、実際に重送が発生していないことを前提として、超音波式重送検知手段の検知結果に基づいて用紙形態を判定しているが、用紙長さ検出機構の検出結果に基づいて重送が検知された場合は実際に重送が発生している可能性が高いため、このときの用紙形態判定部122の判定結果が誤っている可能性があるためである。この場合、実際に重送が発生している可能性があることを音や表示でユーザに報知してもよい。なお、テスト給紙における重送判定に使用する長さ基準値としては、予めユーザが設定した値や、仕様上最長の用紙の長さ(新聞広告の場合は、4つ折りした新聞の長さ)に対してデフォルトで設定された値を用いてもよい。また本番給紙における重送判定に使用する長さ基準値としては、変形例2と同様に、テスト給紙において用紙長さ検出機構が検出した用紙の長さまたはこの長さに余裕率を乗じた長さや、予めユーザが設定した値を用いてもよい。
【0077】
(変形例4)
変形例1と変形例3とを組み合わせてもよい。この場合、用紙形態判定部122は、テスト給紙において厚み検出機構50が検出した用紙の厚みが所定の厚み以上の場合、給紙トレイ26に積載されている用紙は折り用紙であると判定する。しかしながら、このときに、用紙長さ検出機構の検出結果に基づいて重送が検知された場合、重送検知制御部124は、その重送が検知された給紙部14についての用紙形態判定部122による用紙形態の判定結果を無効にする。
【0078】
(変形例5)
実施の形態では、テスト給紙において用紙の厚みを取得し、厚み基準値を登録した。また、テスト給紙において用紙形態を判定した。変形例として、予備給紙においてこれらを行ってもよい。ここで「予備給紙」とは、各給紙部14が用紙を1枚だけ給紙し、用紙束を1部作成することをいう。この変形例では、受付部114が予備給紙のスタート指示を受け付けると、給紙制御部116は、各給紙部14に1枚だけ用紙を給紙させる。物性情報取得部118は、このときに各厚み検出機構50が検出した厚みを取得し、その厚みに基づく厚み基準値を記憶部132に登録する。また、用紙形態判定部122は、このときの各給紙部14の超音波センサ52の検出結果を用いて各給紙部14の給紙トレイ26に積載されている用紙の用紙形態を判定し、その判定結果を記憶部132に登録する。
【0079】
(変形例6)
変形例3と変形例5とを組み合わせてもよい。この場合、予備給紙において、用紙形態判定部122は、給紙部14について、給紙トレイ26に積載されている用紙の用紙形態を判定する。しかしながら、用紙長さ検出機構の検出結果に基づいて重送が検知された場合、重送検知制御部124は、その重送が検知された給紙部14についての用紙形態判定部122による用紙形態の判定結果を無効にする。表示制御部112は、判定結果が無効となっている給紙部14をメイン操作部104の表示部に表示し、ユーザに通知する。なお、予備給紙における重送判定に使用する長さ基準値としては、変形例3のテスト給紙と同様に、予めユーザにより設定された値、またはデフォルトで設定された値を用いてもよい。また本番給紙における重送判定に使用する長さ基準値としては、変形例3の本番給紙と同様に、予めユーザにより設定された値や、デフォルトで設定された値を用いてもよい。
【0080】
(変形例7)
用紙形態判定部122による判定がなされていない給紙部14がある場合、または用紙形態判定部122による判定が無効にされた給紙部14がある場合、本番給紙を実行できないようにしてもよい。この場合、制御部110は、実行判定部をさらに含む。実行判定部は、受付部114が本番給紙のスタート指示を受け付けた場合、記憶部132に登録された用紙形態の判定結果を参照し、用紙形態判定部122による判定がなされていない給紙部14や用紙形態判定部122による判定が無効にされた給紙部14があるかを確認する。そのような給紙部14がない場合は、処理を継続する。そのような給紙部14がある場合、処理を中断する。後者の場合、表示制御部112は、用紙形態が判定されていない給紙部14または判定結果が無効にされた給紙部があるため本番給紙をスタートできない旨をメイン操作部104の表示部に表示し、ユーザに報知してもよい。
【0081】
(変形例8)
テスト給紙や予備給紙において各給紙部14の用紙の用紙形態を判定する代わりに、本番給紙において用紙形態を判定してもよい。この場合、用紙形態判定部122は、本番給紙における各給紙部14の1枚目の給紙の際に用紙形態の判定を行う。重送検知制御部124は、1枚目の給紙の際の用紙形態判定部122の判定結果を基に、2枚目以降の重送検知を機械式重送検知手段と超音波式重送検知手段とのどちらによって検知するかを決定する。この場合、1枚目の給紙の重送検知は実施しないこととしてもよい。
【0082】
(変形例9)
本変形例3と、変形例8とを組み合わせてもよい。この変形例では、重送検知制御部124は、1枚目の給紙の際に用紙長さ検出機構によって重送が検知された給紙部14についての用紙形態判定部122による用紙形態の判定結果を無効にしてもよい。また、1枚目の給紙の際に用紙長さ検出機構によって重送が検知された給紙部14がある場合、2枚目以降の給紙を行わずに停止させてもよい。なお、1枚目の給紙における重送判定に使用する長さ基準値としては、変形例3のテスト給紙と同様に、予めユーザにより設定された値、またはデフォルトで設定された値を用いてもよい。また2枚目以降の給紙における重送判定に使用する長さ基準値としては、変形例3の本番給紙と同様に、予めユーザにより設定された値や、デフォルトで設定された値を用いてもよい。
【0083】
(変形例10)
各給紙部14の給紙トレイ26に積載された用紙の用紙形態を、ユーザが入力できるようにしてもよい。この場合、受付部114は、ユーザによって入力された各給紙部14それぞれの用紙形態を受け付ける。重送検知制御部124は、ユーザによって入力された用紙形態に基づいて、機械式重送検知手段と超音波式重送検知手段のどちらによって重送を検知するかを決定する。
【0084】
また、ユーザによって用紙形態が入力された場合であっても、テスト給紙(または予備給紙、あるいは本番給紙の第1回目)において用紙形態判定部122による用紙形態の判定を行ってもよい。ユーザによって入力された用紙形態と、用紙形態判定部122によって判定された用紙形態とが異なる場合、表示制御部112はその旨をメイン操作部104の表示部に表示してもよい。
【0085】
また、用紙形態判定部122による判定を行うか否かを選択できるようにしてもよい。この場合、受付部114は、その選択を受け付ける。重送検知制御部124は、用紙形態判定部122による判定を行わない給紙部14については、ユーザによって入力された用紙形態に基づいて機械式重送検知手段と超音波式重送検知手段のどちらによって重送を検知するかを決定する。また、用紙形態判定部122による判定を行わないこととした給紙部14についてのユーザによる用紙形態の入力を受け付けていない場合、処理を中止してもよい。
【0086】
(変形例11)
給紙部14は、超音波センサ52に代えて、用紙を透過する光の量を検出する光学センサを備えてもよい。この場合、光学センサは、テスト給紙の際、または予備給紙の際、または本番給紙における給紙部14の1枚目の給紙の際に、用紙を透過する光の量を検出し、この値またはこれから所定の余裕値を減じた値を「透過量基準値」として記憶部132に登録する。用紙形態判定部122は、テスト給紙において光学センサによって検出された光の量が、透過量基準値以下であるか否かを判定する。ここで、テスト給紙の段階ではまだその用紙に適した透過量基準値が定められているとは限らないので、標準的な用紙の透過光量に基づいて予めデフォルトで定められている数値を透過量基準値として使用する。用紙形態判定部122は、検出された光の量が透過量基準値以下であった場合、用紙は折り用紙であると判定する。一方、用紙形態判定部122は、検出された光の量が透過量基準値より多い場合、用紙はペラ用紙であると判定する。
【0087】
重送検知制御部124は、用紙形態判定部122による判定結果が折り用紙である給紙部14は、機械式重送検知手段によって重送を検知するよう決定する。一方、重送検知制御部124は、用紙形態判定部122による判定結果がペラ用紙である給紙部14は、光学センサの検出結果を用いて重送を検知するよう決定する。光学センサの検出結果を用いる場合、重送判定部120は、本番給紙において光学センサが検出した光の量が、透過量基準値よりも低い場合、重送が発生したと判定する。なお本変形例でのテスト給紙を、予備給紙、あるいは本番給紙の第1回目としてもよい。
【0088】
(変形例12)
本番給紙において厚み検出機構50によって検出された用紙の厚さが厚み基準値以下である場合、物性情報取得部118は、この厚み基準値以下の厚みを新たな厚み基準値として記憶部132に登録してもよい。または、本番給紙における重送検知を、機械式重送検知手段ではなく超音波式重送検知手段によって行うように切り替えてもよい。この場合、新たな厚み基準値への切り替えまたは超音波式重送検知手段への切り替えを自動的に行い(すなわちユーザからの指示を待つことなく、以降の重送検知を超音波式重送検知手段によって行うように重送検知制御部124が決定し)、給紙動作をそのまま継続させてもよい。切り替えを自動で行った場合、表示制御部112は、新たな厚み基準値へ切り替えられたこと、または超音波センサ52による重送検出へ切替えられたこと、をメイン操作部104の操作部に表示し、ユーザに報知してもよい。
【0089】
また、自動的に切り替えて給紙を継続させるのではなく、厚み検出機構50によって検出された用紙の厚さが厚み基準値以下である場合に一旦給紙を停止させ、本番給紙で検出された厚み基準値以下の厚みを新たな厚み基準値とする場合にはその旨を、超音波式重送検知手段による重送検知に切り替える場合にはその旨を表示してもよい。この場合、ユーザが、再度本番給紙ボタンを押下することにより、または別途表示された確認ボタン等を押下することにより、本番給紙が再開される。このようにすれば、新たな厚み基準値へ切り替えられたこと、または超音波式重送検知手段による重送検知に切り替えられたこと、をユーザが確実に認識できる。また、新たな厚み基準値に切り替えるか否か、超音波式重送検知手段による重送検知に切り替えるか否か、をユーザが選択できるようにしてもよい。
【0090】
また、本番給紙において厚み基準値以下の厚みが検出されたということは、そもそも厚み基準値を取得した際に重送が発生していたことなる。厚み基準値を取得した際に、用紙形態判定部122による用紙形態の判定を行っている場合もある。この場合、用紙形態の判定が誤っている可能性がある。そのため、本番給紙において厚み基準値以下の厚みが検出された場合は、以降の処理を中止してもよい。この際、表示制御部112は、厚み基準値以下の厚みが検出された給紙部14の用紙形態の判定が誤っている可能性がある旨を、メイン操作部104の表示部に表示してもよい。また、表示制御部112は、再度、用紙形態の判定を行う必要がある旨、またはユーザによる用紙形態の修正入力を受け付ける旨をメイン操作部104の表示部に表示してもよい。
【0091】
(変形例13)
第1重送判定部134は、厚み検出機構50の変位センサ92が、検知面90aの位置が段階的に変化したことを検出した場合、すなわち用紙の厚みが段階的に変化した場合に、重送が発生したと判定してもよい。重送している複数の用紙は、通常、用紙搬送方向にずれて重なる。そのため、例えば2枚の用紙が重送している場合、検知面90aは2段階上昇してから2段階下降する。
【0092】
また第1重送判定部134は、厚み検出機構50が検知した用紙の最大の厚みが厚み基準値以上で、かつ、用紙の厚みが段階的に変化した場合に、重送が発生したと判断してもよい。
【0093】
(変形例14)
変形例13では、検知面90aの位置が段階的に変化したことを厚み検出機構50の変位センサ92が検出したことを利用して、本番給紙における重送を検知する場合について説明したが、検知面90aの位置が段階的に変化したか否かをもって、用紙形態判定部122の判定結果の有効性を判断してもよい。具体的には、テスト給紙(または予備給紙、あるいは本番給紙の第1回目)において厚み検出機構50の変位センサ92が検知面90aの位置が段階的に変化したことを検出した場合、すなわち用紙の厚みが段階的に変化した場合に、重送検知制御部124は、用紙形態判定部122による用紙形態の判定結果を無効にしてもよい。用紙形態判定部122は、実際に重送が発生していないことを前提として、超音波式重送検知手段の検知結果に基づいて用紙形態を判定しているが、用紙の厚みが段階的に変化した場合は実際に重送が発生している可能性が高いため、このときの用紙形態判定部122の判定結果が誤っている可能性があるためである。この場合、実際に重送が発生している可能性があることを音や表示でユーザに報知してもよい。
【0094】
(変形例15)
実施の形態では、給紙部14A〜14T、挟み用紙給紙部16はそれぞれ、厚み検出機構50と超音波センサ52の両方を備える場合について説明したが、これに限られない。例えば、給紙部14A〜14T、挟み用紙給紙部16のうちの1つの給紙部または一部の給紙部が、厚み検出機構50と超音波センサ52の両方を備えていてもよい。また、残りの給紙部は、厚み検出機構50と超音波センサ52のどちらか一方を備えていても、どちらも備えていなくてもよい。
【0095】
この場合、表示制御部112は、各給紙部14が厚み検出機構50または/および超音波センサ52を備えるか否かを表示してもよい。例えば、表示制御部112は、(1)厚み検出機構50を備える給紙部14、(2)超音波センサ52を備える給紙部14、(3)厚み検出機構50と超音波センサ52の両方を備える給紙部14、(4)厚み検出機構50と超音波センサ52のいずれも備えていない給紙部14、を区別可能に表示してもよい。この場合、余裕数の多い用紙は(4)の給紙部14に積載してそれ以外の用紙は(3)の給紙部14に積載したり、挟み用紙を(2)または(3)の給紙部14に積載したり、ペラ用紙を(1)または(3)の給紙部14に積載したりするなど、給紙部14が備える重送検知手段に合わせてその給紙部14に積載する用紙形態を選択して積載することができる。
【0096】
また、(1)ないし(3)の給紙部14をそれぞれ筐体12から取り外し、自由に入れ替えて取り付けられるようにしてもよい。複数の給紙部14の全部ではなく、その一部が入れ替え可能になっていてもよい。制御部110は、給紙部14が装着されると、接続されたコネクタや無線通信手段等を介して、装着された給紙部14に問合せ信号を送る。各給紙部14は、その問合せ信号に応じて、(1)ないし(3)のいずれであるのかを示す情報を制御部110に返す。制御部110は、返ってきた情報を基に、各給紙部14の位置と、その給紙部14が(1)ないし(3)のいずれであるのかを把握し、表示制御部112に表示させる。
【0097】
(変形例16)
テスト給紙(または予備給紙、あるいは本番給紙の第1回目)において、用紙形態判定部122が給紙トレイ26に積載された用紙は折り用紙であると判定したことにより、本番給紙において機械式重送検知手段による重送検知を行っているとき、並行して超音波式重送検知手段による重送検知を行ってもよい(ただし超音波センサ52による重送検出はユーザに報知しない)。用紙形態判定部122の判定のとおり給紙トレイ26に折り用紙が積載されていれば、超音波式重送検知手段によって毎回重送が検知されるはずであるが、これに反して超音波式重送検知手段によって重送が検知されない場合、実際に給紙トレイ26に積載されているのがペラ用紙であり、テスト給紙の際に重送が発生していたことが考えられる。この場合、用紙形態の判定が誤っている可能性がある。そのため、本番給紙において所定回数給紙を繰り返しても超音波式重送検知手段によって重送が毎回は検知されない場合、以降の給紙を中止してもよい。この際、表示制御部112は、その給紙部14の用紙形態の判定が誤っている可能性がある旨をメイン操作部104の表示部に表示してもよい。また、表示制御部112は、再度、用紙形態の判定を行う必要がある旨、またはユーザによる用紙形態の修正入力を受付ける旨をメイン操作部104の表示部に表示してもよい。
【0098】
また、本番給紙において所定回数給紙を繰り返しても超音波式重送検知手段によって重送が毎回は検知されない場合、変形例12と同様に、本番給紙における重送検知を、機械式重送検知手段ではなく超音波式重送検知手段によって行うように切り替えてもよい。この場合、超音波式重送検知手段への切り替えを自動で行ってもよいこと、本番給紙ボタンの押下などのユーザ指示を待ってから切り替えを行ってもよいこと、重送検知手段による重送検知に切り替えるか否かをユーザが選択できるようにしてもよいこと、についても変形例12と同様である。
【0099】
(変形例17)
テスト給紙(または予備給紙、あるいは本番給紙の第1回目)の際に、厚み検出機構50と超音波センサ52のいずれか一方でしか用紙の通過が検知されなかった場合、用紙形態判定部122による判定を行わず、用紙の通過が検知された方の機構またはセンサで本番給紙の重送検出を行うようにしてもよい。積載される用紙には幅方向のサイズが小さいものもあり、その幅方向の積載位置によっては、厚み検出機構50と超音波センサ52のいずれか一方が、用紙の通過範囲から外れてしまうケースが考えられる。その場合、用紙の通過範囲から外れた方の機構またはセンサでは、用紙の通過そのものが検出できないことになる。他方の機構またはセンサで用紙の通過が検知されれば、用紙の送り出しそのものは行われていることになるので、検知された方の機構またはセンサで重送検出を行うことは可能である。ただし、テスト給紙において超音波センサ52で重送が検出された場合はその用紙は折り用紙である可能性が高く、折り用紙の重送検知は機械式重送検知手段すなわち厚み検出機構50の検出結果を用いた重送検知でなければ高い精度で重送を検知することが難しい。したがってこの場合、少なくとも厚み検出機構50で検出可能な位置へ用紙の積載位置を修正するようユーザに促す表示を行うのがよい。
【0100】
また、厚み検出機構50と超音波センサ52のいずれか一方でしか用紙の通過が検知されなかった場合は、検出の結果にかかわらず、厚み検出機構50と超音波センサ52の両方で検出可能な位置へ用紙の積載位置を修正するようユーザに促す表示を行ってもよい。双方のセンサで用紙を検知して用紙形態判定部122による判定を行った方が望ましいからである。厚み検出機構50と超音波センサ52の両方で用紙の通過が検知されなかった場合は、用紙がいずれの機構またはセンサにもかからない位置に積載されているか、用紙の送り出しそのものが行われなかった(空送りが発生した)かのいずれかであるので、その旨を表示する。
【0101】
装置を給紙方向上流側から見た時、厚み検出機構50および超音波センサ52の幅方向の位置がわかるように、目印を付してもよい。この目印に従ってユーザが用紙を積載することにより、厚み検出機構50と超音波センサ52の両方またはいずれか一方を通らない位置に用紙が積載されることを予め抑止できるとともに、万一厚み検出機構50と超音波センサ52の両方またはいずれか一方を通らない位置に積載されてしまった場合の修正も行いやすくなる。
【0102】
厚み検出機構50と超音波センサ52の両方またはいずれか一方を、幅方向に移動可能として、用紙の積載位置に合わせて位置を設定できるようにしてもよい。この場合、機構またはセンサの移動とともに上記の目印も移動するように、一体構成あるいは連動構成とするのがよい。なお、厚み検出機構50と超音波センサ52との幅方向の距離は、近接していることが望ましい。例えば100mm以内であることが望ましい。幅方向のサイズが小さい用紙でも、厚み検出機構50と超音波センサ52の両方を通過させて、用紙形態判定部122による判定が可能となるからである。
【0103】
(変形例18)
厚み検出機構50と超音波センサ52の両方を有する各給紙部14について、本番給紙における重送を、機械式重送検知手段と超音波式重送検知手段とのどちらによって検知するかが、予めデフォルトで定められていてもよい。テスト給紙(または予備給紙)が行われず、従って用紙形態判定部122による判定が行われなかった場合、デフォルトの設定内容で本番給紙における重送検知を行う。この変形例によれば、テスト給紙(または予備給紙)を省略した場合でも、本番給紙をスタートさせることができる。また、テスト給紙(または予備給紙)を行った場合、用紙形態判定部122の判定結果に基づいて重送検知制御部124が決定する重送検知手段とデフォルトで定められている重送検知手段とが異なることが考えられる。この場合、デフォルトで定められている重送検知手段ではなく、重送検知制御部124が決定した重送検知手段で本番給紙における重送検知を行ってもよい。なお、デフォルトの重送検知手段から重送検知制御部124が決定した重送検知手段への切り替えは、自動的に行ってもよいし、ユーザがスイッチ操作などで切替を行ってもよい。
【0104】
(変形例19)
本番給紙が進行し、機械式重送検知手段と超音波式重送検知手段の両方を有する各給紙部14において積載された用紙が無くなり、同じ給紙部14に用紙が再度積載され、その後その給紙部14でテスト給紙を行わずに本番給紙を行った場合、用紙を再度積載した後の第1回目の給紙の際に、機械式重送検知手段と超音波式重送検知手段の両方で重送検出を行い、用紙形態判定部122によって、再度積載された用紙の用紙形態を判定してもよい。用紙が無くなった後、その後続けて同じ給紙部14に種類の異なる用紙を積載することがある。再度用紙が積載された給紙部14についてユーザがテスト給紙を行えば、その際に用紙形態を判定すればよいが、失念するなどしてテスト給紙を経ずに本番給紙を再開する場合が考えられる。この場合、誤検知してしまう虞がある。
【0105】
積載されていたペラ用紙が無くなった給紙部14に折り用紙を積載した場合は、その後の第1回目の本番給紙の際に用紙形態判定部122によって折り用紙と判定され、その後は機械式重送検知手段で重送の検出を行う。積載されていた折り用紙が無くなった給紙部14にペラ用紙を積載した場合は、その後の第1回目の本番給紙の際に用紙形態判定部122によってペラ用紙と判定され、その後は超音波式重送検知手段で重送の検出を行う。積載されていたペラ用紙が無くなった給紙部14に再度ペラ用紙を積載した場合は、その後の第1回目の本番給紙の際に用紙形態判定部122によってペラ用紙と判定され、その後も用紙が無くなる前と同様に超音波式重送検知手段で重送の検出を行う。積載されていた折り用紙が無くなった給紙部14に再度折り用紙を積載した場合は、その後の第1回目の本番給紙の際に用紙形態判定部122にって折り用紙と判定され、その後も用紙が無くなる前と同様に機械式重送検知手段で重送の検出を行う。ただし、同じペラ用紙または同じ折り用紙であっても厚みが異なっている可能性があるので、用紙を再度積載した後の第1回目の本番給紙で取得した厚みを新たな厚み基準値として、その後の重送検出を行う。長さ基準値や透過量基準値についても同様である。本変形例によれば、用紙が無くなった給紙部14に新たに積載された用紙と、用紙が無くなる前に積載されていた用紙とが異なるか否かにかかわらず、新たに積載された用紙の用紙形態を判別するので、新たな用紙形態に応じた適切な重送検知を行うことができる。
【0106】
用紙が無くなったか否かは、用紙有無検知センサ74によって判定される。積載されている用紙がなくなった場合、用紙有無検知センサ74はオフとなる(用紙を検知しなくなる)ので、給紙を一旦停止させてユーザに「紙無し」を報知する。その後再度用紙が積載されると、再び用紙有無検知センサ74が用紙を検知してオンとなる。したがって、用紙有無検知センサ74がいったんオフとなり、再びオンとなった後であって、テスト給紙を経ずに本番給紙が開始された際に、用紙形態判定部122による用紙形態の判定を行えばよい。用紙形態判定部122による用紙形態の判定後に給紙を再停止させてユーザに確認ボタンまたは再度本番給紙ボタンの押下を促して、用紙形態判定が行われたことをユーザが確実に認識できるようにしてもよい。また、この再停止は、用紙形態の判定結果が、用紙が無くなる前と異なっていた場合にのみ行い、用紙が無くなる前と同じであればそのまま本番給紙を継続してもよい。
【0107】
(変形例20)
厚み検出機構50と超音波センサ52の両方を有する各給紙部14において、用紙形態判定部122において折り用紙と判定され、したがって機械式重送検知手段によって重送を検知しながら本番給紙が進行し、積載された用紙が無くなり、同じ給紙部14に用紙が再度積載され、その後その給紙部14でテスト給紙を行わずに本番給紙を行った場合で、用紙が再度積載された後の第1回目の給紙の際に、厚み検出機構50により検出された用紙の厚さが、用紙が無くなる前の用紙の厚さ(すなわち厚み基準値)と異なっていた場合、その厚さを新たな厚み基準値としてもよい。その場合、表示制御部112は、厚み基準値が変わったことをメイン操作部104の表示部に表示してユーザに報知する。厚み基準値を自動的に変更して給紙を継続しても、一旦給紙を停止させてユーザが厚み基準値の変更を確実に認識できるようにしてもよい。
【0108】
用紙が再度積載された後の本番給紙の際に厚み検出機構50により検出された用紙の厚さが、用紙が無くなる前の厚さよりも小さく、しかも用紙が無くなる前との差異が所定値を超えていた場合は、超音波式重送検知手段による重送検知に変更してもよい。例えば用紙が無くなる前の厚さに対し半分以下の厚さが検出された場合は、それまでは折り用紙が積載されていたのに対してペラ用紙が積載された可能性が高いことになるからである。自動的に超音波式重送検知手段による重送検知に変更して給紙を継続しても、一旦給紙を停止させて超音波式重送検知手段による重送検知に変更されたことをユーザが確実に認識できるようにしてもよい。また、一旦給紙を停止させて、ユーザに超音波式重送検知手段による重送検知に変更することを促す表示を行い、変更そのものはユーザがボタンあるいはスイッチ操作で行うようにしてもよい。なお、用紙が無くなったこと、および再度積載されたことは、用紙有無検知センサ74により判断する。
【0109】
(変形例21)
厚み検出機構50と超音波センサ52の両方を有する各給紙部14において、用紙形態判定部122においてペラ用紙と判定され、したがって超音波式重送検知手段によって重送を検知しながら本番給紙が進行し、積載された用紙が無くなり、同じ給紙部14に用紙が再度積載されて、その後その給紙部14でテスト給紙を行わずに本番給紙を行った場合で、用紙が再度積載された後の第1回目の給紙の際に、超音波式重送検知手段により重送が検出された場合、機械式重送検知手段による重送検知に変更してもよい。超音波式重送検知手段により重送が検出された場合は、折り用紙が積載された可能性が高いからである。その場合、表示制御部112は、機械式重送検知手段による重送検知に変更されたことをメイン操作部104の表示部に表示してユーザに報知する。自動的に機械式重送手段による重送検知に変更して給紙を継続しても、一旦給紙を停止させて機械式重送検知による検出に変更されたことをユーザが確実に認識できるようにしてもよい。また、一旦給紙を停止させてユーザに機械式重送検知手段による重送検知に変更することを促す表示を行い、変更そのものはユーザがボタンあるいはスイッチ操作で行うようにしてもよい。なお、用紙が無くなったこと、および再度積載されたことは、用紙有無検知センサ74により判断する。
【0110】
(変形例22)
実施の形態では、給紙機構28が摩擦力を利用して用紙を送り出すいわゆるフリクション式の給紙機構である場合について説明したが、これに限られない。給紙機構28は、エアの吸着力を利用して用紙を送り出すいわゆるサクション式の給紙機構であってもよい。
【0111】
上述した実施の形態同士の組み合わせや上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0112】
10 給紙装置、 14 給紙部、 16 挟み用紙給紙部、 18 搬送部、 26 給紙トレイ、 28 給紙機構、 30 給紙トレイ、 32 給紙機構、 50 厚み検出機構、 52 超音波センサ、 100 発振器、 102 受振器、 110 制御部、 112 表示制御部、 114 受付部、 116 給紙制御部、 118 物性情報取得部、 120 重送判定部、 122 用紙形態判定部、 124 重送検知制御部、 132 記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7