特許第6623424号(P6623424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623424
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ロック機構
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20191216BHJP
   B60N 2/427 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B60N2/90
   B60N2/427
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-205798(P2016-205798)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-65480(P2018-65480A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板東 伸幸
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−92465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対移動可能に構成されている第1部材と第2部材とが所定位置関係にあるときに前記第1部材側の係合部と前記第2部材側の被係合部とが係合可能な構成で、前記係合部と被係合部とが係合することで前記第1部材と第2部材との相対移動を禁止するロック機構であって、
前記係合部は、回転中心軸の軸心回りに回動可能な構成で、回動自由端側に前記被係合部と係合可能な鉤部を備えており、
前記第1部材と第2部材とが所定位置関係にある状態で、前記係合部が係合位置まで回動すると、前記鉤部は前記被係合部に対して前記第1部材と第2部材との相対移動方向において接触し、前記係合部が回動途中で前記係合位置以外の位置にあるときは前記鉤部と前記被係合部とは非接触であり、
前記係合部が係合位置にあるときに前記第1部材と第2部材とに対して相対移動方向に衝撃荷重が加わると、前記鉤部は、前記被係合部を介して加わった前記衝撃荷重により、前記係合部の係合解除方向の回動が不能となる形状に変形して、前記被係合部と係合するロック機構。
【請求項2】
請求項1に記載のロック機構であって、
前記係合部が係合位置にあるときに、前記被係合部は前記係合部の鉤部の先端部と基端部との間の途中位置に接触しており、
前記鉤部の途中位置には脆弱部が設けられており、
前記被係合部を介して加わる衝撃荷重で前記鉤部の脆弱部が潰れることで、前記被係合部が前記鉤部に押し込まれて、前記鉤部の先端部が前記被係合部に掛かり、前記係合部の係合解除方向の回動が止められるロック機構。
【請求項3】
請求項2に記載のロック機構であって、
前記被係合部は軸状に形成されており、
前記係合部が係合位置にあって、前記係合部の鉤部の途中位置が前記被係合部の外周面と接触しているときに、前記鉤部の先端部は、その鉤部の途中位置の接触点を通り、前記係合部の回動中心を中心とする円弧に対して半径方向外側に位置しているロック機構。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のいずれかに記載のロック機構であって、
前記鉤部は、板状の素材を加工することにより製造されており、
前記脆弱部は、前記鉤部の途中位置に穴、あるいは切欠を加工することにより設けられているロック機構。
【請求項5】
請求項2又は請求項3のいずれかに記載のロック機構であって、
前記鉤部は、板状の素材を加工することにより製造されており、
前記脆弱部は、前記鉤部の途中位置の肉厚寸法を前記鉤部の先端部、及び基端部の肉厚寸法よりも小さくすることにより設けられているロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対移動可能に構成されている第1部材と第2部材とが所定位置関係にあるときに前記第1部材側の係合部と前記第2部材側の被係合部とが係合可能な構成で、前記係合部と被係合部とが係合することで前記第1部材と第2部材との相対移動を禁止するロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
上記したロック機構に関する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のロック機構は、車両前方衝突時にシート本体が車両前方に移動するのを規制するスライドロック機構である。スライドロック機構100は、図8に示すように、フック103(係合部)とスライダ122(被係合部)とから構成されている。スライダ122は、シート本体120の両側面にシート前後方向に延びるように形成された筒状部材である。フック103は、回転テーブル101上のリンク機構102に設けられており、シート本体120の後進に伴って前記スライダ122に対して後方から挿入される構成である。そして、シート本体120が原位置まで後退した状態でスライダ122の開口部122kがフック103の下方に配置されるようになる。
【0003】
これにより、車両前方衝突時にシート本体120が前上方に移動しようとすると、シート本体120と共に前上方に移動したスライダ122の開口部122kがフック103と係合し、シート本体120の前方移動が規制される。なお、通常の動作時にシート本体120が回転テーブル101上のリンク機構102に対して前進、後退する際には、フック103がスライダ122の開口部122kと係合することはない。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のスライドロック機構100では、車両前方衝突時にシート本体120が前上方に移動することでフック103がスライダ122の開口部122kと係合する構成である。このため、車両前方衝突時のシート本体120の前方移動量が大きくなる。これを改善するため、図9に示すように、例えば、シート本体120側にフック135(係合部)を設け、例えば、回転テーブル101側にストライカ137(被係合部)を設けて、両者135,137を係合させる構成のスライドロック機構130が考えられる。即ち、シート本体120が原位置にある状態でフック135を下回動させてストライカ137と係合させ、シート本体120を移動させる際に、フック135を上回動させてストライカ137との係合を解除する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−34327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したスライドロック機構130では、フック135が車両衝突時の衝撃荷重でストライカ137から外れる方向に回動(上回動)しないように、図9に示すように、フック135の先端に返し部135kを設けるのが一般的である。しかし、フック135の先端に返し部135kを設けると、係合時、あるいは係合解除時にフック135を回転中心軸134の軸心回りに回動させる際、返し部135kがストライカ137の外周面に対して摺動するようになる。この結果、係合時、あるいは係合解除時に、フック135を回転させる際の回転トルクが大きくなる。なお、フック135の返し部135kがストライカ137の外周面に対して摺動しないような構成にすると、シート本体120の前後方向におけるフック135とストライカ137間の隙間寸法が大きくなる。このため、車両前方衝突時におけるシート本体120の前方に移動量が大きくなり好ましくない。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、係合部(フック等)の回動トルクを小さくできるようにするとともに、衝撃荷重が加わったときに係合部の鉤部が被係合部(ストライカ等)から外れないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。請求項1の発明は、相対移動可能に構成されている第1部材と第2部材とが所定位置関係にあるときに前記第1部材側の係合部と前記第2部材側の被係合部とが係合可能な構成で、前記係合部と被係合部とが係合することで前記第1部材と第2部材との相対移動を禁止するロック機構であって、前記係合部は、回転中心軸の軸心回りに回動可能な構成で、回動自由端側に前記被係合部と係合可能な鉤部を備えており、前記第1部材と第2部材とが所定位置関係にある状態で、前記係合部が係合位置まで回動すると、前記鉤部は前記被係合部に対して前記第1部材と第2部材との相対移動方向において接触し、前記係合部が回動途中で前記係合位置以外の位置にあるときは前記鉤部と前記被係合部とは非接触であり、前記係合部が係合位置にあるときに前記第1部材と第2部材とに対して相対移動方向に衝撃荷重が加わると、前記鉤部は、前記被係合部を介して加わった前記衝撃荷重により、前記係合部の係合解除方向の回動が不能となる形状に変形して、前記被係合部と係合する。
【0009】
本発明によると、係合部が回動途中で係合位置以外の位置にあるときは鉤部と被係合部とは非接触である。即ち、係合部の回動途中では、前記係合部の鉤部が被係合部に対して摺動することはない。このため、係合部を被係合部と係合させる際、あるいは係合部と被係合部との係合を解除する際の係合部の回動トルクを小さくできる。また、係合部の鉤部は、被係合部を介して加わった衝撃荷重により、前記係合部の係合解除方向の回動が不能となる形状に変形して、前記被係合部と係合する。このため、係合部の回動トルクを小さくしても、係合部が衝撃荷重により被係合部から外れる方向に回動することがない。
【0010】
請求項2の発明によると、係合部が係合位置にあるときに、被係合部は前記係合部の鉤部の先端部と基端部との間の途中位置に接触しており、前記鉤部の途中位置には脆弱部が設けられており、前記被係合部を介して加わる衝撃荷重で前記鉤部の脆弱部が潰れることで、前記被係合部が前記鉤部に押し込まれて、前記鉤部の先端部が前記被係合部に掛かり、前記係合部の係合解除方向の回動が止められる。即ち、係合部の鉤部の脆弱部が潰れて先端部がフックの返り部として働くようになり、係合部の係合解除方向の回動が止められる。
【0011】
請求項3の発明によると、被係合部は軸状に形成されており、前記係合部が係合位置にあって、前記係合部の鉤部の途中位置が前記被係合部の外周面と接触しているときに、前記鉤部の先端部は、その鉤部の途中位置の接触点を通り、前記係合部の回動中心を中心とする円弧に対して半径方向外側に位置している。このため、係合部を係合方向、あるいは係合解除方向に回動する際、係合部の鉤部と被係合部との接触を確実に防止できる。
【0012】
請求項4の発明によると、鉤部は、板状の素材を加工することにより製造されており、脆弱部は、鉤部の途中位置に穴、あるいは切欠を加工することにより設けられている。このため、脆弱部の加工が容易になる。
【0013】
請求項5の発明によると、鉤部は、板状の素材を加工することにより製造されており、前記脆弱部は、前記鉤部の途中位置の肉厚寸法を前記鉤部の先端部、及び基端部の肉厚寸法よりも小さくすることにより設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ロック機構の係合部の回動トルクを小さくできる。また、衝撃荷重が加わったときに係合部の鉤部が被係合部から外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る車両用シートのスライドロック機構を表す模式側面図である。
図2】前記スライドロック機構の係合部(フック)とシート本体のシートフレームとの関係を表す斜視図である。
図3】前記スライドロック機構の側面図である。
図4】車両前方衝突時における前記スライドロック機構の動作を表す要部側面図である。
図5】車両前方衝突時における前記スライドロック機構の動作を表す要部側面図である。
図6】車両前方衝突時における前記スライドロック機構の動作を表す要部側面図である。
図7】変更例に係るスライドロック機構の側面図である。
図8】従来のスライドロック機構の側面図である。
図9】従来のスライドロック機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図7に基づいて、本発明の実施形態1に係るロック機構の説明を行なう。本実施形態に係るロック機構は、車両用シート10のスライドロック機構30であり、車両前方衝突時にシート本体20が車両前方に移動するのを規制する機構である。ここで、図中に示す前後左右及び上下は、車両用シート10を備える車両の前後左右及び上下に対応している。
【0017】
<車両用シート10の概要について>
車両用シート10は、乗員が着座するシート本体20を車室内の着座位置から車室外の乗降位置まで移動可能なように構成されたシート装置である。車両用シート10は、車室フロア(図示省略)に対して前後スライド可能に構成された前後スライドテーブル13(図1参照)と、前後スライドテーブル13上で水平回転可能に構成された回転テーブル(図示省略)とを備えている。そして、前記回転テーブル上に昇降スライド機構(図示省略)を介した状態でシート本体20(図1参照)が設置されている。また、シート本体20と前後スライドテーブル13間には、着座位置にあるシート本体20が車両前方衝突時に車両前方に移動するのを規制するスライドロック機構30が設けられている。
【0018】
<スライドロック機構30の概要について>
スライドロック機構30は、図1図2に示すように、シート本体20のシートフレーム22に設けられたフック32と、前後スライドテーブル13上に設けられ、前記フック32が係合可能に構成されたストライカ35とを備えている。また、スライドロック機構30には、シート本体20が前後スライドテーブル13と共に車室内の着座位置(原位置)まで戻される際にフック32をストライカ35に掛ける方向に動作させるバネ機構40が設けられている。さらに、スライドロック機構30には、シート本体20等が着座位置から前進する際にフック32をバネ機構40のバネ力に抗してストライカ35から外すカム機構(図示省略)が設けられている。
【0019】
<フック32について>
フック32は、図1図3に示すように、シート本体20のシートフレーム22の側面に沿って後方に延び、シートフレーム22から後方に突出するように構成された帯板状のフック本体部32mを備えている。フック本体部32mは、そのフック本体部32mの基端部(前端部)が回転中心軸23cを介してシートフレーム22のシートベルト用ブラケット23に上下回動可能な状態で連結されている。フック本体部32mの先端側(回動自由端側)には、下側で開放された切欠32cが形成されており、その切欠32cよりも先端側が鉤部320となっている。そして、フック32が係合位置まで下回動することにより、ストライカ35が相対的に切欠32cに挿入されて鉤部320がストライカ35に掛けられるようになる。
【0020】
フック本体部32mの基端部の下側には、図1図2に示すように、バネ機構40のバネ45の一端が掛けられるバネ受け部43が形成されている。バネ45は、フック32を下回動(右回動)させる方向に付勢されており、前記バネ45の他端がシートベルト用ブラケット23のバネ受け部47に掛けられている。なお、図3では、前記バネ受け部43は省略されている。
【0021】
<ストライカ35について>
ストライカ35は、図1に示すように、シート本体20と前後スライドテーブル13とが着座位置(原位置)まで戻された状態で、フック32の鉤部320が掛けられるように前後スライドテーブル13上の所定位置に設置されている。ストライカ35は、横軸状のストライカ本体部35jと、そのストライカ本体部35jを水平に支持する軸受架台35bとから構成されている。即ち、ストライカ35が本発明の被係合部に相当し、フック32が本発明の係合部に相当する。また、シート本体20が本発明の第1部材に相当し、前後スライドテーブル13が本発明の第2部材に相当する。
【0022】
<フック32の切欠32cと鉤部320について>
フック32の切欠32cは、図4等に示すように、前側切欠傾斜直線32fと後側切欠傾斜直線32bと奥側切欠円弧32eとにより略山形に形成されている。そして、前記切欠32cは、前記山形の下辺を構成する切欠32cの開口部の幅寸法が最も大きく、前記山形の頂部(切欠32cの奥部)に近づくにつれて幅寸法が徐々に小さくなるように構成されている。
【0023】
フック32がバネ機構40、及びカム機構の働きにより係合位置まで下回動すると、ストライカ35(ストライカ本体部35j)が相対的にフック32の切欠32cに挿入される。そして、ストライカ本体部35jの外周面が、図4に示すように、フック32の切欠32cの前側切欠傾斜直線32fと後側切欠傾斜直線32bとに当接するようになる。この状態で、フック32の下回動が止められ、フック32はバネ45の力で係合位置に保持される。係合位置では、フック32の切欠32cの前側切欠傾斜直線32fは接触点P1でストライカ本体部35jの外周面と接触し、切欠32cの後側切欠傾斜直線32bは接触点P2でストライカ本体部35jの外周面と接触する。そして、この状態で、鉤部320の先端部324(下端部)はストライカ本体部35jの下端位置よりも下方に突出するようになる。
【0024】
フック32の切欠32cの前側切欠傾斜直線32fは、図4に示すように、接触点P1より下側部分(開口寄り部分)がフック32の回転中心軸23cを中心として接触点P1を通る円弧E1より半径方向内側に位置している。そして、切欠32cの前側切欠傾斜直線32fが前記円弧E1に対して角度θ1で傾斜している。また、前記切欠32cの後側切欠傾斜直線32bは、接触点P2より下側部分(開口寄り部分)がフック32の回転中心軸23cを中心として接触点P2を通る円弧E2より半径方向外側に位置している。そして、切欠32cの後側切欠傾斜直線32bが前記円弧E2に対して角度θ2(<θ1)で傾斜している。このため、フック32が上下回動途中で係合位置以外の位置にあるときは、ストライカ本体部35jの外周面はフック32の切欠32cの前側切欠傾斜直線32fと後側切欠傾斜直線32bとに接触することがない。
【0025】
フック32の鉤部320は、上記したように、切欠32cの後側切欠傾斜直線32bよりも先端側(後側)に設けられている。そして、切欠32cの後側切欠傾斜直線32bが鉤部320においてストライカ35(ストライカ本体部35j)の外周面に当接する当接面32bとなっている。鉤部320は、図4に示すように、切欠32cの開口側に位置する先端部324と、切欠32cの奥側切欠円弧32eよりも上側に位置する基端部327と、先端部324と基端部327間に位置する途中部分325とから構成されている。そして、鉤部320の途中部分325の当接面32b(後側切欠傾斜直線32b)がストライカ本体部35jの外周面に対して接触点P2で接触するようになる。鉤部320の途中部分325には、接触点P2の後方に略三角形状の穴部322が形成されている。これにより、鉤部320における接触点P2の周辺の途中部分325が鉤部320の他の部分と比較して強度が小さい脆弱部となっている。
【0026】
<スライドロック機構30の動作について>
シート本体20と前後スライドテーブル13とが、図1に示すように、着座位置(原位置)から前進すると、スライドロック機構30の前記カム機構(図示省略)の働きでフック32はバネ機構40のバネ力に抗して回転中心軸23cの回りを上回動(左回動)する(二点鎖線参照)。これにより、フック32はストライカ35(ストライカ本体部35j)から外れ、シート本体20は前後スライドテーブル13に対して移動可能な状態になる。
【0027】
図4に示すように、フック32の切欠32cは、接触点P1より開口側の前側切欠傾斜直線32fが前記円弧E1より半径方向内側に位置している。また、接触点P2より開口側の後側切欠傾斜直線32b(鉤部320の当接面32b)が前記円弧E2より半径方向外側に位置している。このため、フック32がストライカ35との係合位置から上回動する際に、ストライカ本体部35jの外周面がフック32の切欠32cに接触することがない。
【0028】
また、シート本体20と前後スライドテーブル13とが着座位置(原位置)まで戻される(後進する)際には、スライドロック機構30の前記カム機構とバネ機構40のバネ力とにより、フック32は係合位置まで回転中心軸23cの回りを下回動(右回動)する。これにより、フック32は、図1に示すように、ストライカ35(ストライカ本体部35j)に掛けられ、シート本体20は前後スライドテーブル13に対して移動不能になる。フック32が係合位置まで下回動する途中でも、ストライカ本体部35jの外周面がフック32の切欠32cに接触することがない。
【0029】
シート本体20と前後スライドテーブル13とが着座位置(原位置)にある状態で、車両の前方衝突等によりシート本体20が前後スライドテーブル13に対して前方に移動しようとすると、フック32とストライカ35とが係合する。即ち、シート本体20側のフック32が前後スライドテーブル13側のストライカ35に対して前方に移動しようとし、図5等に示すように、フック32の鉤部320に対してストライカ本体部35jを介して衝撃荷重Fが加わるようになる。これにより、図5図6に示すように、フック32の鉤部320の脆弱部(穴部322)が潰れ、ストライカ本体部35jが半径方向に変位して鉤部320の脆弱部に押し込まれる。この結果、フック32の鉤部320の先端部324がストライカ本体部35jの外周面に掛かり、フック32の上回動が止められる。即ち、フック32とストライカ35とが係合して、シート本体20の前方移動が止められる。
【0030】
<本実施形態に係るスライドロック機構30の長所について>
本実施形態に係るスライドロック機構30によると、フック32(係合部)が回動途中で係合位置以外の位置にあるときはフック32の鉤部320とストライカ35(被係合部)とは非接触である。即ち、フック32の回動途中では、フック32の鉤部320がストライカ35に対して摺動することはない。このため、フック32とストライカ35とを係合させる際、あるいはフック32とストライカ35との係合を解除する際のフック32の回動トルクを小さくできる。また、フック32の鉤部320は、ストライカ35を介して加わった衝撃荷重Fにより、フック32の上回動が不能となる形状に変形して、ストライカ35(ストライカ本体部35j)と係合する。このため、フック32の回動トルクを小さくしても、フック32が衝撃荷重Fによりストライカ35から外れる方向に回動することがない。また、フック32の鉤部320の穴部322(脆弱部)が潰れて先端部324がフック32の返り部として働くようになるため、フック32の上回動を効果的に止められるようになる。
【0031】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、フック32の先端部に切欠32cを形成して、切欠32cより先端側を鉤部320とする例を示した。しかし、フック32の先端部に切欠32cを設けずに、鉤部320をフック32の先端部から下方に鉤状に突出させるような形状に成形することも可能である。また、本実施形態では、フック32の鉤部320に三角形状の穴部322を形成することで、前記鉤部320に脆弱部を設ける例を示した。しかし、図7に示すように、フック32の鉤部320に、例えば、角形の切欠部328を形成して脆弱部を設けるようにしても良い。
【0032】
また、前記鉤部320の所定位置の肉厚寸法を他の部位の肉厚寸法よりも小さくすることで、鉤部320の所定位置に脆弱部を設けるようにしても良い。さらに、フック32の鉤部320を鋼板製とし、鉤部320の所定位置を樹脂製とすることで、鉤部320の所定位置に脆弱部を設けることも可能である。また、本実施形態では、車両用シート10のスライドロック機構30を例示したが、例えば、車両の車椅子固定装置において、車椅子を車両フロアに固定するロック機構に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
13・・・・前後スライドテーブル(第2部材)
20・・・・シート本体(第1部材)
23c・・・回転中心軸
30・・・・スライドロック機構(ロック機構)
32・・・・フック(係合部)
320・・・鉤部
322・・・穴部(脆弱部)
324・・・先端部
325・・・途中部分(途中位置)
327・・・基端部
328・・・切欠部(脆弱部)
35・・・・ストライカ(被係合部)
35j・・・ストライカ本体部(被係合部)
P2・・・・接触点
E2・・・・円弧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9