特許第6623448号(P6623448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623448
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】スタート補助装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 4/14 20060101AFI20191216BHJP
   A63B 69/12 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   E04H4/14
   A63B69/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-40573(P2015-40573)
(22)【出願日】2015年3月2日
(65)【公開番号】特開2016-160657(P2016-160657A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年1月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500198210
【氏名又は名称】セイコータイムシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】阿部 章雄
【審査官】 萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−120177(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0165282(US,A1)
【文献】 特開昭52−115542(JP,A)
【文献】 特開昭64−056076(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/016872(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 3/16
E04H 4/14
A63B 69/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
競泳競技の競泳者が登るプラットホームを有する飛び込み台に取り付けられるスタート補助装置であって、
水泳プールの壁面に沿うように配置されるとともに、競技スタート時に背泳競技者の足を支持する足置台と、
前記足置台と連結された一対の連結部と、
前記一対の連結部を支持する支持部と、
を有し、
前記支持部は、前記プラットホームにおける前記水泳プール側とは反対側の後端部においてのみ設けられたアタッチメントを介して、前記プラットホームに着脱可能に固定され、
前記アタッチメントは、前記支持部に設けた把手部を把持して前記プラットホームの上面の法線方向にスライドさせることにより、前記支持部を前記プラットホームに着脱可能な連結部材を備える、
ことを特徴とするスタート補助装置。
【請求項2】
前記飛び込み台は、前記プラットホームの上面に配置され、前記競泳者の足置用のフットレストを有し、
前記支持部は、前記フットレストを挟んで前記水泳プールとは反対側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のスタート補助装置。
【請求項3】
前記フットレストは、前記水泳プールに対して接近離間するように配置位置が調整可能とされ、
前記支持部は、前記水泳プールから最も離間した位置に固定された前記フットレストよりも、前記水泳プールから離間した位置に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載のスタート補助装置。
【請求項4】
前記足置台は、前記水泳プールの前記壁面に対向する面に滑り止め部を有する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のスタート補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタート補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、競泳競技用の飛び込み台には、背泳用のスタート補助装置が取り付けられている。例えば、特許文献1に記載のスタート補助装置は、水泳プールの壁面に沿って配置される足置台と、足置台の両端部に連結された一対の連結部と、一対の連結部を支持する支持部と、を有し、支持部が飛び込み台のプラットホームを支持する台座部に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0165282号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、飛び込み台の台座部の形状は、一般に設置先の水泳プールの仕様(例えば、プールサイドの形状等)に合せて変更される。このため、上記のスタート補助装置は、取付先の台座部の形状に合わせて構成を適宜変更する必要がある。したがって、従来のスタート補助装置にあっては、汎用性が低いという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、汎用性の高いスタート補助装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスタート補助装置は、競泳競技の競泳者が登るプラットホームを有する飛び込み台に取り付けられるスタート補助装置であって、水泳プールの壁面に沿うように配置されるとともに、競技スタート時に背泳競技者の足を支持する足置台と、前記足置台と連結された一対の連結部と、前記一対の連結部を支持する支持部と、を有し、前記支持部は、前記プラットホームにおける前記水泳プール側とは反対側の後端部においてのみ設けられたアタッチメントを介して、前記プラットホームに着脱可能に固定され、前記アタッチメントは、前記支持部に設けた把手部を把持して前記プラットホームの上面の法線方向にスライドさせることにより、前記支持部を前記プラットホームに着脱可能な連結部材を備える、ことを特徴とする
一般に飛び込み台の台座部の形状は、設置先の水泳プールの仕様(例えば、プールサイドの形状等)に合せて変更される。これに対して、台座部の上部に取り付けられるプラットホームは、形状や構成等が規格化されている。本発明によれば、スタート補助装置の支持部が規格化されたプラットホームに取り付けられるため、スタート補助装置の設置先の水泳プールの仕様に関わらず、支持部の形状や取り付け構造を同一とすることができる。したがって、設置先の水泳プールの仕様に合わせて適宜設計を変更することなく、スタート補助装置を飛び込み台に取り付けることができるので、汎用性の高いスタート補助装置とすることができる。
しかも、スタート補助装置の支持部は、プラットホームにおける水泳プールとは反対側の一端部に固定されているため、競泳者がプラットホームの上面の全体を使える状態とすることができる。このため、競泳者がプラットホーム上に立ち、水泳プールに向かって飛び込む際に、支持部が邪魔にならない。これにより、例えばメドレーリレーにおいて、背泳競技者が競技を開始した後、次に飛び込み台を使用する競泳者がプラットホーム上に立つまでに、スタート補助装置を飛び込み台から取り外す必要がなくなる。したがって、運用が容易なスタート補助装置とすることができる。
また、支持部がプラットホームに着脱可能に固定されるため、スタート補助装置を長時間に亘って使用しない場合等に、スタート補助装置を飛び込み台から容易に取り外すことができる。
また、支持部が把手部を有するため、スタート補助装置の持ち運びや着脱を容易にすることができる。
【0007】
上記のスタート補助装置において、前記飛び込み台は、前記プラットホームの上面に配置され、前記競泳者の足置用のフットレストを有し、前記支持部は、前記フットレストを挟んで前記水泳プールとは反対側に配置される、ことが望ましい。
本発明によれば、支持部がフットレストを挟んで水泳プールとは反対側に配置されるため、プラットホーム上に立つ競泳者に対して、支持部が邪魔になることを防止できる。これにより、飛び込み台がフットレストを有する場合であっても、背泳競技者が競技を開始した後、次に飛び込み台を使用する競泳者がプラットホーム上に立つまでに、スタート補助装置を飛び込み台から取り外す必要がなくなる。したがって、フットレストを有する飛び込み台に取り付け可能な、運用が容易でかつ汎用性の高いスタート補助装置とすることができる。
【0008】
上記のスタート補助装置において、前記フットレストは、前記水泳プールに対して接近離間するように配置位置が調整可能とされ、前記支持部は、前記水泳プールから最も離間した位置に固定された前記フットレストよりも、前記水泳プールから離間した位置に配置される、ことが望ましい。
本発明によれば、支持部が、水泳プールから最も離間した位置に固定されたフットレストよりも、水泳プールから離間した位置に配置されるため、フットレストをいずれの位置に配置しても、プラットホーム上に立つ競泳者に対して、支持部が邪魔になることを防止できる。これにより、フットレストがその配置位置を調整可能とされていても、背泳競技者が競技を開始した後、次に飛び込み台を使用する競泳者がプラットホーム上に立つまでに、スタート補助装置を飛び込み台から取り外す必要がなくなる。したがって、運用が容易でかつ汎用性の高いスタート補助装置とすることができる。
【0009】
上記のスタート補助装置において、前記支持部は、前記プラットホームの前記一端部に設けられたアタッチメントを介して、前記プラットホームに着脱可能に固定される、ことが望ましい。
本発明によれば、支持部がプラットホームに着脱可能に固定されるため、スタート補助装置を長時間に亘って使用しない場合等に、スタート補助装置を飛び込み台から容易に取り外すことができる。
【0010】
上記のスタート補助装置において、前記支持部は、把手部を有する、ことが望ましい。
本発明によれば、支持部が把手部を有するため、スタート補助装置の持ち運びや着脱を容易にすることができる。
【0011】
上記のスタート補助装置において、前記足置台は、前記水泳プールの前記壁面に対向する面に滑り止め部を有する、ことが望ましい。
本発明によれば、足置台が水泳プールの壁面に対向する面に滑り止め部を有するため、水泳プールの壁面と足置台との摩擦力を増大させることができる。これにより、背泳競技者が競技スタート時に足置台を蹴る際に、足置台が水泳プールの壁面に対してずれることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スタート補助装置の支持部が規格化されたプラットホームに取り付けられるため、スタート補助装置の設置先の水泳プールの仕様に関わらず、支持部の形状や取り付け構造を同一とすることができる。したがって、設置先の水泳プールの仕様に合わせて適宜設計を変更することなく、スタート補助装置を飛び込み台に取り付けることができるので、汎用性の高いスタート補助装置とすることができる。
しかも、スタート補助装置の支持部は、プラットホームにおける水泳プールとは反対側の一端部に固定されているため、競泳者がプラットホームの上面の全体を使える状態とすることができる。このため、競泳者がプラットホーム上に立ち、水泳プールに向かって飛び込む際に、支持部が邪魔にならない。これにより、例えばメドレーリレーにおいて、背泳競技者が競技を開始した後、次に飛び込み台を使用する競泳者がプラットホーム上に立つまでに、スタート補助装置を飛び込み台から取り外す必要がなくなる。したがって、運用が容易なスタート補助装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】飛び込み台およびスタート補助装置の斜視図である。
図2】飛び込み台およびスタート補助装置の側面図である。
図3】飛び込み台およびスタート補助装置の正面図である。
図4】飛び込み台の斜視図である。
図5】スタート補助装置の斜視図である。
図6】スタート補助装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(飛び込み台)
最初に、本実施形態のスタート補助装置30が取り付けられる飛び込み台10について説明する。
【0015】
図1は、飛び込み台およびスタート補助装置の斜視図である。図2は、飛び込み台およびスタート補助装置の側面図である。図3は、飛び込み台およびスタート補助装置の正面図である。
図1に示すように、プール施設Pは、周囲を壁面2により囲まれた貯水部分1(以下、「水泳プール1」という。)と、水泳プール1の周囲に設けられたプールサイド3と、を有している。以下の説明では、飛び込み台10のプラットホーム17に立つ競泳者が水泳プール1に向かって飛び込む方向を前方と定義し、その反対側を後方と定義する。また、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と定義する。
飛び込み台10は、水泳プール1の周囲に設けられたプールサイド3に配置される。飛び込み台10は、プールサイド3の上面3aに固定された台座部11と、台座部11の上部に固定された、競泳競技の競泳者が登るプラットホーム17と、プラットホーム17の上面17aに固定された、競泳者の足置用のフットレスト20と、を有する。
【0016】
台座部11は、脚部12と、手摺部13と、側板部16と、を有する。
脚部12は、例えばステンレス等により形成された棒状部材であって、上下方向に沿うように複数(本実施形態では4本)配置されている。各脚部12の下端部は、プールサイド3の上面3aに固定されている。脚部12は、一対の前側脚部12Aと、一対の後側脚部12B(図4参照)と、を含んでいる。
【0017】
手摺部13は、脚部12と同様に、例えばステンレス等により形成された棒状部材である。手摺部13は、前後方向から見て上方に開口するU字状の本体部14を有する。本体部14は、下部において左右方向に沿って延在する第1把持部14aと、第1把持部14aの両端部から上方に向かって延びる一対の前側接続部14bと、各前側接続部14bの上端部から後方に向かって延びる一対の上側接続部14cと、を有する。本体部14は、1本の棒状部材に対して曲げ加工を行うことで形成されている。第1把持部14aは、一対の前側脚部12Aの前方に配置されている。第1把持部14aの長さは、一対の前側脚部12Aの離間距離と同等となっている(図3参照)。上側接続部14cは、前側脚部12Aおよび後側脚部12Bの上端部に対して、外側からボルト等の締結部材により固定されている。第1把持部14aの上方には、第2把持部15が設けられている。第2把持部15は、左右方向に沿って延在している。第2把持部15は、両端部が一対の前側接続部14bに接続している。
【0018】
側板部16は、隣り合う各脚部12の間に複数(本実施形態では4個)配置されている。各側板部16は、例えばステンレス等により形成された板状部材である。側板部16は、プールサイド3の上面3aに固定されている。各側板部16に囲まれた空間には、計器類を収容可能とされている。
【0019】
プラットホーム17は、平面視で前後方向を長手方向とする矩形状の板状部材である。プラットホーム17の上面17aは、平坦に形成されている。プラットホーム17の上面17aは、後方から前方に向かうにしたがい低くなるように傾斜している。プラットホーム17の上面17aは、粒子を含む塗装を施す等により、滑り止め加工が施されている。
【0020】
プラットホーム17の左右方向に面する両側面には、ガイド孔18が形成されている。図2に示すように、ガイド孔18は、左右方向から見てプラットホーム17の上面17aに沿うように延在する長孔として形成されている。ガイド孔18には、下方に向かって切り込まれた切欠部18aが、ガイド孔18の延在方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。ガイド孔18には、フットレスト20に設けられた後述するシャフト21が挿通される。
【0021】
図4は、飛び込み台の後方から見た斜視図である。
図4に示すように、プラットホーム17の後端部17bには、一対の連結部材22(請求項の「アタッチメント」に相当。)が左右方向に間隔をあけて設けられている。各連結部材22は、プラットホーム17の上面17aの法線方向L1に沿って一様に延びる一対の金具22aを有している。一対の金具22aは、プラットホーム17の後端部17bから後方に向かって立設し、先端部において互いに近付く方向に屈曲している。このとき、一対の金具22aの先端部同士は、離間している。各連結部材22には、後述するスタート補助装置30の係合突起41が係合される。
【0022】
図1に示すように、プラットホーム17の下部には、一対の連結板19が下方に向けて突設されている。各連結板19は、前後方向に沿って延びる板状の部材であり、左右方向に間隔をあけて配置されている。各連結板19は、台座部11の前側脚部12Aおよび後側脚部12Bに対して、ボルト等の締結部材により固定されている。プラットホーム17は、一対の連結板19を介して台座部11に取り付けられている。
【0023】
フットレスト20は、左右方向に沿って延在するブロック状の部材である。図2に示すように、フットレスト20は、左右方向から見て三角形状に形成されている。フットレスト20の前面20aは、後方から前方に向かうにしたがい低くなるように傾斜している。フットレスト20の前面20aの水平面に対する傾斜角は、プラットホーム17の上面17aの水平面に対する傾斜角よりも大きくなっている。
【0024】
フットレスト20の下部には、左右方向に延在する一対のシャフト21が取り付けられている。一対のシャフト21は共に、プラットホーム17の左右両側面に形成された一対のガイド孔18に挿通されている。フットレスト20は、シャフト21をガイド孔18内で移動させることで、プラットホーム17の上面17aに沿って前後にスライド移動可能となっている。また、フットレスト20は、シャフト21を切欠部18aに入り込ませることで、切欠部18aの位置に応じた位置に係止される。これにより、フットレスト20は、水泳プール1に対して接近離間するように配置位置が調整可能とされている。
【0025】
(スタート補助装置)
次に本実施形態のスタート補助装置30について説明する。
図1に示すように、スタート補助装置30は、飛び込み台10に取り付けられている。スタート補助装置30は、水泳プール1の壁面2に沿うように配置される足置台31と、足置台31と連結される一対の帯部35(請求項の「連結部」に相当。)と、一対の帯部35を支持する支持部37と、を有する。なお、以下のスタート補助装置30の説明では、特に記載のない限り、飛び込み台10に取り付けられた状態にあるスタート補助装置30について説明する。
【0026】
図5は、スタート補助装置の斜視図であり、主に足置台を後方から見た斜視図である。
図5に示すように、足置台31は、競技スタート時に背泳競技者の足を支持するために用いられる。足置台31は、左右方向に沿って延在する三角柱状に形成されている。足置台31は、水泳プール1の壁面2(図1参照)に対向する後面31aと、後面31aの上端辺に接続される前面31bと、後面31aの下端辺に直交して接続される下面31cと、を有する。後面31aと前面31bとの交差角は、10°程度になっている。下面31cの幅は、例えば20mm程度となっている。
【0027】
足置台31の後面31aには、第1滑り止め部32(請求項の「滑り止め部」に相当。)が設けられている。第1滑り止め部32は、例えば多数の凹凸を有する。これにより、水泳プール1の壁面2と足置台31の後面31aとの摩擦力が増大し、背泳競技者が競技スタート時に足置台31を蹴る際に、足置台31が水泳プール1の壁面2に対してずれることを防止している。
【0028】
図1に示すように、足置台31の前面31bには、第2滑り止め部33が設けられている。第2滑り止め部33は、第1滑り止め部32と同様に、例えば多数の凹凸を有する。これにより、背泳競技者が競技スタート時に足置台31を蹴る際に、背泳競技者の足が足置台31から滑ることを防止している。
【0029】
一対の帯部35は、変形自在で、かつ伸縮性が低い材料により形成されることが好ましく、例えばポリプロピレンやポリエチレン等により形成されたベルト状の部材が好適である。一対の帯部35は、それぞれ一端部において足置台31の左右両端部に接続されている。一対の帯部35は、足置台31の端部から水泳プール1の壁面2に沿って上方に向かって延び、プールサイド3の上面3aの縁において後方に向かって屈曲して支持部37に接続している。
【0030】
支持部37は、主軸部38と、主軸部38を軸支する円筒部39と、主軸部38の両端部に設けられた一対のドラム部40と、を有する。
主軸部38は、左右方向に沿って延在する横断面視円形状の棒部材である。主軸部38の長さ寸法は、飛び込み台10のプラットホーム17の左右方向における幅寸法よりも長くなっている。
【0031】
円筒部39は、主軸部38の中央部に外嵌されている。円筒部39の長さ寸法は、飛び込み台10のプラットホーム17の左右方向における幅寸法と同等となっている。円筒部39は、主軸部38と同軸に配置されている。
【0032】
図6は、スタート補助装置の斜視図であり、主に支持部を前方から見た斜視図である。
図6に示すように、円筒部39には、プラットホーム17に向かって突出した一対の係合突起41が設けられている。各係合突起41は、プラットホーム17の上面17a(図4参照)の法線方向L1から見て先端が基端よりも拡幅されたT字状に形成されている。各係合突起41は、その先端が一対の連結部材22(図4参照)にそれぞれ挿入可能とされている。これにより、支持部37は、連結部材22を介してプラットホーム17に着脱可能に固定されている。ここで、図1および図4に示すように、連結部材22がプラットホーム17の後端部17bに設けられているため、支持部37は、プラットホーム17に取り付けられた状態において、フットレスト20を挟んで水泳プール1とは反対側に配置される。さらに、支持部37は、最後部に固定されたフットレスト20よりもさらに後方に配置される。
【0033】
図6に示すように、円筒部39の上部には、把手部42が設けられている。把手部42は、前後方向から見て下方に開口するU字状に形成されている。把手部42は、左右両側の下端部において円筒部39に接続している。また把手部42は、支持部37がプラットホーム17に取り付けられた状態において、プラットホーム17の上面17aの法線方向L1に突出している。把手部42と円筒部39との接続位置は、左右方向において係合突起41と円筒部39との接続位置と略一致している。ここで、スタート補助装置30を飛び込み台10から取り外す場合は、把手部42を握り支持部37をプラットホーム17の上面17aの法線方向L1にスライドさせるだけでよく、取り外しが容易な構成となっている。
【0034】
一対のドラム部40は、巻胴部40aと、巻胴部40aの両端に設けられた鍔部40bとを有する。各ドラム部40には、帯部35の他端部が接続されており、帯部35を巻回可能とされている。各ドラム部40は、支持部37と同軸に配置されているとともに支持部37に対して固定されている。
【0035】
支持部37には、足置台31の位置を調整する位置調整機構45が設けられている。位置調整機構45は、付勢部材46と、ロック機構47と、を有する。付勢部材46は、例えばバネ等であって、円筒部39の一端部の内側に配置されている。付勢部材46は、主軸部38を円筒部39に対して、主軸部38の軸方向(左右方向)における円筒部39の一端部よりも外側(一方側)に向かって付勢している。ロック機構47は、円筒部39の他端側に設けられている。ロック機構47は、主軸部38が円筒部39に対して回転自在となる状態(以下、「回転状態」という。)と、主軸部38が円筒部39に対して固定される状態(以下、「固定状態」という。)と、の状態を移行可能とされている。具体的に、ロック機構47は、主軸部38が付勢部材46により円筒部39に対して主軸部38の軸方向における一方側に向かって押し付けられている状態では、主軸部38を固定状態とする。また、ロック機構47は、主軸部38が作業者等により円筒部39に対して主軸部38の軸方向における他方側に向かって引っ張られている状態では、主軸部38を回転状態とする。
【0036】
一対のドラム部40は、位置調整機構45により回転状態とされた主軸部38の回転に連動して回転する。すなわち、位置調整機構45により主軸部38を回転状態にして、一対のドラム部40を回転させることで、帯部35を巻き取ったり巻き戻したりすることができる。これにより、図1に示すように、足置台31と支持部37との離間距離が調整され、水泳プール1の壁面2に沿うように配置された足置台31の位置(高さ)が調整される。
【0037】
このように、本実施形態のスタート補助装置30は、水泳プール1の壁面2に沿うように配置されるとともに、競技スタート時に背泳競技者の足を支持する足置台31と、足置台31と連結された一対の帯部35と、一対の帯部35を支持する支持部37と、を有する。支持部37は、プラットホーム17の後端部17bに固定されている。
【0038】
一般に飛び込み台10の台座部11の形状は、設置先の水泳プール1の仕様(例えば、プールサイド3の形状等。)に合せて変更される。これに対して、台座部11の上部に取り付けられるプラットホーム17は、形状や構成等が規格化されている。
本発明によれば、スタート補助装置30の支持部37が規格化されたプラットホーム17に取り付けられるため、設置先の水泳プール1の仕様に関わらず、支持部37の形状や取り付け構造を同一とすることができる。したがって、設置先の水泳プール1の仕様に合わせて適宜設計を変更することなく、スタート補助装置30を飛び込み台10に取り付けることができるので、汎用性の高いスタート補助装置30とすることができる。
【0039】
しかも、スタート補助装置30の支持部37は、プラットホーム17の後端部17bに固定されているため、競泳者がプラットホーム17の上面17aの全体を使える状態とすることができる。このため、競泳者がプラットホーム17上に立ち、水泳プール1に向かって飛び込む際に、支持部37が邪魔にならない。これにより、例えばメドレーリレーにおいて、背泳競技者が競技を開始した後、次に飛び込み台10を使用する競泳者がプラットホーム17上に立つまでに、スタート補助装置30を飛び込み台10から取り外す必要がなくなる。すなわち、足置台31を水中から取り出してプラットホーム17の上面17aを通過させてプールサイド3の上面3aに置くだけでよく、スタート補助装置30を飛び込み台10から取り外す必要はない。したがって、運用が容易なスタート補助装置30とすることができる。
【0040】
また、支持部37がフットレスト20を挟んで水泳プール1とは反対側に配置されるため、プラットホーム17上に立つ競泳者に対して、支持部37が邪魔になることを防止できる。これにより、飛び込み台10がフットレスト20を有する場合であっても、背泳競技者が競技を開始した後、次に飛び込み台10を使用する競泳者がプラットホーム17上に立つまでに、スタート補助装置30を飛び込み台10から取り外す必要がなくなる。
しかも支持部が、最後部に固定されたフットレスト20よりもさらに後方に配置されるため、フットレスト20をいずれの位置に配置しても、プラットホーム17上に立つ競泳者に対して、支持部37が邪魔になることを防止できる。これにより、フットレスト20がその配置位置を調整可能とされていても、背泳競技者が競技を開始した後、次に飛び込み台10を使用する競泳者がプラットホーム17上に立つまでに、スタート補助装置30を飛び込み台10から取り外す必要がなくなる。したがって、フットレスト20を有する飛び込み台10に取り付け可能な、運用が容易でかつ汎用性の高いスタート補助装置とすることができる。
【0041】
また、支持部37がプラットホーム17に着脱可能に固定されるため、スタート補助装置30を長時間に亘って使用しない場合等に、スタート補助装置30を飛び込み台10から容易に取り外すことができる。
また、支持部37が把手部42を有するため、スタート補助装置30の持ち運びや着脱を容易にすることができる。
これにより、例えばメドレーリレーにおいて、背泳競技者が競技を開始した後、次に飛び込み台10を使用する競泳者がプラットホーム17上に立つまでに、スタート補助装置30を飛び込み台10から取り外す場合であっても、着脱が容易であるため競技に支障をきたさない。
【0042】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、足置台31と支持部37とが変形自在な一対の帯部35により連結されていたが、これに限定されず、足置台31と支持部37とが例えば金属材料等により形成された棒状部材により連結されていてもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、支持部37がプラットホーム17に対して連結部材22を介して取り付けられていたが、これに限定されず、支持部材がプラットホームに対して締結固定等により直接取り付けられていてもよい。
【0044】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…水泳プール 2…壁面 10…飛び込み台 17…プラットホーム 17a…プラットホームの上面 17b…プラットホームの後端部(一端部) 20…フットレスト 22…連結部材 30…スタート補助装置 31…足置台 32…第1滑り止め部(滑り止め部) 35…帯部(連結部) 37…支持部 42…把手部
図1
図2
図3
図4
図5
図6