(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抽出手段は、前記第1の画像と前記第2の画像の対応する位置の画素値の差分をとって作成した差分画像から前記欠陥部分の抽出を行うことを特徴とする請求項6記載の検査システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムでは、より人間の判断に近く、精度の良い欠陥の分類ができることが望まれている。この点、特許文献1では欠陥部分を明、他を暗とした二値画像を用いるため、欠陥部分の面積や形状等の情報でしか欠陥種類の判別ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、欠陥検査を好適に行える検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための第1の発明は、
検査対象を撮影したグレースケール画像による撮影画像から検査対象の欠陥を検出する検出手段と、検査対象を撮影した
カラー画像から検査対象の欠陥部分を抽出する抽出手段と、検査対象を撮影したカラー画像による撮影画像に基づき、前記欠陥部分の色情報を用いて欠陥種類を判別する判別手段と、を有
し、前記検出手段は、検査対象の複数の領域のそれぞれについて、前記領域を特定するためのマスク画像を用いて欠陥の検出を行い、前記判別手段は、前記欠陥部分の解像度を前記グレースケール画像の解像度に合わせ、前記検出手段による前記欠陥の検出位置に基づいて、前記マスク画像に基づいて作成された領域画像上に前記欠陥部分をマッチングし、前記欠陥部分が検査対象上のどの領域に位置するかを特定することを特徴とする検査システムである。
【0007】
本発明では、検査対象を撮影したカラー画像を用いて、その色情報から目視による見えと変わらない条件で欠陥種類の判別ができるようになり、人間の判断に近く、高精度な欠陥の分類を行うことが可能になる。このように色情報を用いて欠陥種類を自動で判別することで、各種の欠陥の発生率をプロセス工程へフィードバックするなどして品質向上に寄与できる。
【0008】
また、本発明では欠陥部分の抽出もカラー画像から行うことができ、目視に近い条件で欠陥部分の抽出が可能になる。
【0009】
前記判別手段は、前記欠陥部分の面積が基準値を上回っている場合、欠陥種類の判別を行うことが望ましい。
このように欠陥部分の面積を元に切り分けを行い、必要なもののみ欠陥種類の判別を行うことができる。
【0010】
本発明の検査システムは、検査対象を撮影したグレースケール画像による撮影画像から検査対象の欠陥を検出する検出手段
を有しており、前記カラー画像は、前記検出手段で検出した欠陥を含む、検査対象の一部の範囲を撮影したものであることが望ましい。
グレースケール画像による検査を併用することで、検査効率を向上させることができる。すなわち、グレースケール画像を用いて簡易な欠陥検出を行うことができ、この場合、カラー画像は検出手段で検出した欠陥を含む一部の範囲を撮影したものであればよく、検査対象全体を撮影する必要はないので検査効率が向上する。
【0011】
検査対象は、所定のパターンのパターン部分を複数有するものであり、前記カラー画像は、検査対象のパターン部分において前記欠陥を含む範囲を撮影した第1の画像と、別のパターン部分において、前記範囲に対応する範囲を撮影した第2の画像とを含むことが望ましい。
欠陥を含む範囲の画像と比較するための画像を、検査時に検査対象から撮影して取得することで、事前に正の画像を用意する必要がなく、検査の手間が省ける。
【0012】
前記抽出手段は、前記第1の画像と前記第2の画像の対応する位置の画素値の差分をとって作成した差分画像から前記欠陥部分の抽出を行うことが望ましい。前記判別手段は、前記差分画像における前記欠陥部分の色情報を用いて欠陥種類の判別を行うことができる。
例えば上記のような手法により欠陥部分の抽出と欠陥種類の判別を好適に行うことができる。
【0013】
本発明の検査システムにおいて、前記検出手段は、検査対象の複数の領域のそれぞれについて、前記領域を特定するためのマスク画像を用いて欠陥の検出を行
い、前記判別手段は、前記マスク画像に基づいて、前記欠陥部分が検査対象上のどの領域に位置するかを特定す
る。前記判別手段は、前記欠陥部分が位置する検査対象上の領域ごとの基準を用いて、前記欠陥部分の欠陥種類を判別することが望ましい。
このように検査対象の領域ごとの検査を行うことで、各領域の材質等に応じた高精度な欠陥検査ができ、誤検知なども抑制できる。また各手段で共通のマスク画像を用いることで、検査の手間も省略できる。
【0014】
第2の発明は、
検査システムの検出手段が、検査対象を撮影したグレースケール画像による撮影画像から検査対象の欠陥を検出し、前記検査システムの抽出手段が、検査対象を撮影した
カラー画像から検査対象の欠陥部分を抽出し、前記検査システムの判別手段が、検査対象を撮影したカラー画像による撮影画像に基づき、前記欠陥部分の色情報を用いて欠陥種類を判別
し、前記検出手段は、検査対象の複数の領域のそれぞれについて、前記領域を特定するためのマスク画像を用いて欠陥の検出を行い、前記判別手段は、前記欠陥部分の解像度を前記グレースケール画像の解像度に合わせ、前記検出手段による前記欠陥の検出位置に基づいて、前記マスク画像に基づいて作成された領域画像上に前記欠陥部分をマッチングし、前記欠陥部分が検査対象上のどの領域に位置するかを特定することを特徴とする検査方法である。
【0015】
第3の発明は、コンピュータを、
検査対象を撮影したグレースケール画像による撮影画像から検査対象の欠陥を検出する検出手段と、検査対象を撮影した
カラー画像から検査対象の欠陥部分を抽出する抽出手段と、検査対象を撮影したカラー画像による撮影画像に基づき、前記欠陥部分の色情報を用いて欠陥種類を判別する判別手段と、して機能させ
、前記検出手段は、検査対象の複数の領域のそれぞれについて、前記領域を特定するためのマスク画像を用いて欠陥の検出を行い、前記判別手段は、前記欠陥部分の解像度を前記グレースケール画像の解像度に合わせ、前記検出手段による前記欠陥の検出位置に基づいて、前記マスク画像に基づいて作成された領域画像上に前記欠陥部分をマッチングし、前記欠陥部分が検査対象上のどの領域に位置するかを特定することを特徴とするプログラムである。
【0016】
第4の発明は、コンピュータを、
検査対象を撮影したグレースケール画像による撮影画像から検査対象の欠陥を検出する検出手段と、検査対象を撮影した
カラー画像から検査対象の欠陥部分を抽出する抽出手段と、検査対象を撮影したカラー画像による撮影画像に基づき、前記欠陥部分の色情報を用いて欠陥種類を判別する判別手段と、して機能させ
、前記検出手段は、検査対象の複数の領域のそれぞれについて、前記領域を特定するためのマスク画像を用いて欠陥の検出を行い、前記判別手段は、前記欠陥部分の解像度を前記グレースケール画像の解像度に合わせ、前記検出手段による前記欠陥の検出位置に基づいて、前記マスク画像に基づいて作成された領域画像上に前記欠陥部分をマッチングし、前記欠陥部分が検査対象上のどの領域に位置するかを特定することを特徴とするプログラムを記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、欠陥検査を好適に行える検査システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
(1.検査システム1の概略構成)
図1は本発明の実施形態に係る検査システム1の概略構成を示す図である。
図1に示す検査システム1は、ラインカメラ検査部100とエリアカメラ検査部200を有し、これらの検査部で検査対象10の検査を行うものである。
【0021】
ラインカメラ検査部100は、ラインカメラ撮影部2、検査装置3等から構成される。エリアカメラ検査部200は、エリアカメラ撮影部5、検査装置6等から構成される。
【0022】
(2.検査対象10)
図2(a)は本実施形態に係る検査対象10を示す図である。
図2(a)に示す検査対象10は、銅板等の基材の表面にパターンを形成したパターン部分10aが、基材上に複数面付けされたものである。図の例では、パターン部分10aが縦2×横3の計6面面付けされている。
【0023】
図2(b)は、
図2(a)の線a−aに沿ったパターン部分10aの鉛直方向断面を見たものである。本実施形態では、パターン部分10aにおいて、基材上に亜鉛めっきを施しためっき領域12、基材のハーフエッチングを行ったハーフエッチング領域13、及びめっき処理やハーフエッチング処理が行われていない基材そのものの領域である素材領域11によるパターンが形成されているものとする。
【0024】
また
図2(a)の例では、左上のパターン部分10aにおいて、素材領域11の欠陥111とハーフエッチング領域13の欠陥131が存在し、その右隣のパターン部分10aにおいて、めっき領域12の欠陥121が存在するものとする。
【0025】
これらの欠陥としては、例えば素材領域11であれば洗浄後のレジスト残り等があり、めっき領域12であればめっき欠けなどがある。またハーフエッチング領域13であれば過度なエッチングによる薄厚化等がある。ただし、欠陥としては他にも検査対象10の汚れや処理ムラ等があり、上記したものに限ることはない。
【0026】
(3.ラインカメラ検査部100)
前記したように、ラインカメラ検査部100は、ラインカメラ撮影部2、検査装置3等から構成される。
【0027】
ラインカメラ撮影部2は、検査装置3の制御によりラインカメラで検査対象10を撮影するものである。
図3はラインカメラ撮影部2を示す図である。ラインカメラ撮影部2は、3つの撮影ユニット20a、20b、20cから構成され、搬送装置25によって矢印Aに示す方向に搬送される検査対象10の撮影を順次行う。
【0028】
撮影ユニット20aでは、ラインカメラ21、同軸照明22、ドーム照明23が検査対象10の表面側に設けられる。撮影ユニット20aでは、同軸照明22及びドーム照明23を用いて検査対象10の周囲から検査対象10の表面に検査光26を照射し、検査対象10の表面の法線方向に反射した検査光26をラインカメラ21で受光して検査対象10の撮影を行う。
【0029】
ラインカメラ21は、ライン状に配列した複数の受光素子の各々で検査光を受光するものであり、ラインカメラ21の長手方向(受光素子の配列方向)を検査対象10の搬送方向と平面上直交する方向に合わせて配置される。本実施形態では、ラインカメラ21によりグレースケール画像による撮影が行われる。
【0030】
同軸照明22は、検査対象10の表面の法線方向(同軸方向)に沿って検査光26を照射するものである。同軸照明22では、光源221から出射した白色の検査光26がハーフミラー222によって反射され、検査対象10の表面の法線方向に沿って検査対象10へと照射される。
【0031】
ドーム照明23は、ドーム内面から白色の検査光26を検査対象10に向けて照射するものである。ドーム照明23は検査対象10とラインカメラ21の間に配置されており、さらにドーム照明23とラインカメラ21の間には同軸照明22が配置される。ドーム照明23のドーム内面の頂部には孔231が設けられる。この部分は検査対象10の表面の法線方向に対応しており、孔231を介して同軸照明22からの検査光26を通すことができるようになっている。
【0032】
撮影ユニット20aは、特に検査対象10の素材領域11を検査するために用いられ、上記の同軸照明22とドーム照明23を併用することで、検査対象10の周囲から検査対象10に検査光26を照射できる。検査対象10の周囲から照明を行うことで、銅板の圧延筋など、製品に影響を与えない程度の微小な凹凸が検査結果に影響を与えるのを抑制し、検査対象10上のムラや汚れといった欠陥を好適に検査できる。
【0033】
撮影ユニット20bも撮影ユニット20aと同様のラインカメラ21、同軸照明22、ドーム照明23の構成を有するが、青色の検査光を用いる点で異なる。撮影ユニット20bは特に検査対象10のめっき領域12を検査するために用いられ、めっき層での反射率が高い青色の検査光を用いることで欠陥が検出しやすくなる。このように本実施形態では異なる色の検査光を用いることで、素材領域11やめっき領域12など検査対象10の複数の領域ごとに、検査に適した照明を行って検査対象10を撮影し、検査を好適に行うことができる。
【0034】
撮影ユニット20cでは、検査対象10の裏面を検査するため、撮影ユニット20aと同様のラインカメラ21、同軸照明22、ドーム照明23の構成が検査対象10の裏面側に設けられる。なお、この裏面の検査については裏面の撮影画像から既知の種々の方法により行うことができ、詳細な説明は省略する。
【0035】
撮影ユニット20cでは、さらに、検査対象10の表面側に照明24が設けられる。照明24は検査対象10の表面の法線方向に沿って検査対象10に白色の検査光28を照射する。撮影ユニット20cでは、検査対象10を透過した検査光28をラインカメラ21で受光して撮影を行うことができ、この撮影画像から検査対象10のハーフエッチング領域13を検査することができる。例えばハーフエッチング領域13に過度なエッチングにより薄厚化した欠陥があると、透過する検査光28の量が多くなる。
【0036】
検査装置3は、ラインカメラ撮影部2を制御して検査対象10の撮影をグレースケール画像にて行い、このグレースケール画像に基づいて検査対象10の欠陥検査を行うものである。
【0037】
図4は検査装置3のハードウェア構成を示す図である。
図4に示すように、検査装置3は、例えば制御部31、記憶部32、入力部33、表示部34、通信部35等をバス36により接続して構成されたコンピュータにより実現できる。但しこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0038】
制御部31は、CPU、ROM、RAMなどから構成される。CPUは、記憶部32、ROMなどの記録媒体に格納された検査装置3の処理に係るプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行する。ROMは不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOSなどのプログラム、データなどを恒久的に保持している。RAMは揮発性メモリであり、記憶部32、ROMなどからロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部31が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0039】
記憶部32は例えばハードディスクドライブであり、制御部31が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OSなどが格納される。これらのプログラムやデータは、制御部31により必要に応じて読み出され、RAMに移して実行される。
【0040】
入力部33はデータの入力を行い、例えばキーボード、マウスなどのポインティングデバイス、テンキーなどの入力装置を有する。
表示部34は、液晶パネルなどのディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示機能を実現するための論理回路(ビデオアダプタ等)を有する。
【0041】
通信部35は、ネットワーク等を介した通信を媒介する通信インタフェースであり、他の装置との間で通信を行う。
バス36は、各部間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0042】
(4.エリアカメラ検査部200)
前記したように、エリアカメラ検査部200は、エリアカメラ撮影部5、検査装置6等から構成される。
【0043】
エリアカメラ撮影部5は、検査装置6の制御によりエリアカメラで検査対象10を撮影するものである。
図5(a)はエリアカメラ撮影部5を示す図である。エリアカメラ撮影部5では、エリアカメラ51、同軸照明52、ドーム照明53が検査対象10の表面側に設けられ、これにより検査ステージ55上の検査対象10の表面の撮影を行う。
【0044】
エリアカメラ撮影部5では、同軸照明52及びドーム照明53を用いて検査対象10の周囲から検査対象10の表面に検査光56を照射し、検査対象10の表面の法線方向に反射した検査光56をエリアカメラ51で受光して検査対象10の撮影を行う。
【0045】
エリアカメラ51は、面状に配列した複数の受光素子の各々で検査光を受光するものであり、本実施形態ではカラー画像による撮影が行われる。なおエリアカメラ51は前記したラインカメラ21と比較してカメラ分解能が高く、高解像度で撮影が行えるので、高精度の検査が可能になる。
【0046】
同軸照明52は前記した撮影ユニット20aの同軸照明22(
図3参照)と同様であり、光源521から出射した白色の検査光56をハーフミラー522によって反射し、検査対象10の表面の法線方向に沿って検査対象10へと照射するものである。
【0047】
ドーム照明53も前記した撮影ユニット20aのドーム照明23(
図3参照)と同様の構成となっており、ドーム内面から白色の検査光56を検査対象10に向けて照射する。ドーム照明53が検査対象10とエリアカメラ51の間に配置され、ドーム照明53とエリアカメラ51の間に同軸照明52が配置される点も同様である。ドーム照明53のドーム内面において、検査対象10の表面の法線方向に対応する部分である頂部には孔531が設けられ、孔531を介して同軸照明52からの検査光56を通すことができる。
【0048】
図5(b)は検査ステージ55を上から見た図である。検査ステージ55は、平面上直交する二軸方向(矢印B、C参照)のそれぞれに沿って検査対象10を搬送可能な二軸搬送装置である。
【0049】
検査装置6は、エリアカメラ撮影部5を制御して検査対象10の撮影をカラー画像にて行い、このカラー画像を用いて検査対象10の欠陥検査を行うものである。
【0050】
検査装置6は、検査装置3と同様、制御部、記憶部、入力部、表示部、通信部等をバスにより接続して構成されたコンピュータにより実現できる。但しこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0051】
(5.検査対象10の検査方法)
次に、
図6〜
図11を参照して検査システム1による検査対象10の検査方法について説明する。
【0052】
(5−1.検査方法の概略)
まず
図6を参照して検査方法の概略について説明する。
図6は検査方法の概略を示すフローチャートである。
【0053】
本実施形態では、まずラインカメラ検査部100で検査対象10の欠陥検査を行う(S1)。S1では、欠陥検査として、検査対象10の欠陥の検出が行われる。
【0054】
S1の欠陥検査では、実際の良品、不良品を分ける基準に比べて厳しい基準を用いて欠陥の検出を行う。従って、S1で欠陥が無いとされれば検査対象10は良品であるが、S1において、実際に不良品となる欠陥(真の欠陥)ではないにも関わらず欠陥有りとされる場合も存在する。
【0055】
フローチャートの説明に戻る。S1の欠陥検査で欠陥無しとされた場合(S2;NO)、検査対象10を良品とし、検査装置3等によって検査対象10が良品である旨が記録される(S3)。
【0056】
一方、S1の欠陥検査で欠陥有りとされた場合(S2;YES)、エリアカメラ検査部200にて二次的な欠陥検査を行う(S4)。S4では、欠陥検査として、欠陥が真の欠陥であるか否かの判定と、真の欠陥について欠陥種類の判別が行われる。
【0057】
S4の欠陥検査で真の欠陥が無いとされた場合(S5;NO)、検査対象10を良品とし、検査装置6等によって検査対象10が良品である旨が記録される(S6)。
【0058】
一方、S4の欠陥検査で真の欠陥が有るとされた場合(S5;YES)、検査対象10を不良品とし、検査装置6等によって検査対象10が不良品である旨と真の欠陥の欠陥種類が記録される(S7)。
【0059】
(5−2.検査装置3での欠陥検査)
次に、前記したS1における検査装置3での欠陥検査の流れについて説明する。
図7は検査装置3での欠陥検査の流れを示すフローチャートである。図の各ステップは検査装置3の制御部31により実行される。
【0060】
S1では、まず、検査装置3がラインカメラ撮影部2を制御し、ラインカメラ撮影部2で検査対象10をグレースケール画像にて撮影する(S11)。ラインカメラ撮影部2では、検査対象10を搬送装置25で搬送しつつ撮影ユニット20a、20b、20cのそれぞれで検査対象10の撮影を順次行うことで、広い範囲を高速で撮影できる。撮影画像は各撮影ユニット20a、20b、20cのラインカメラ21から検査装置3に送信され、検査装置3は撮影画像を受信する。
【0061】
次に、検査装置3は、検査対象10の撮影画像と正の画像から差分画像を作成する(S12)。
【0062】
ここで、本実施形態では撮影ユニット20a、20b、20cでの撮影画像のそれぞれから、検査対象10の素材領域11、めっき領域12、ハーフエッチング領域13の欠陥検出を個々に行うものとする。そのため、撮影画像においてこれらの領域を個別に特定するためのマスク画像を用いる。
【0063】
図8は上記のマスク画像の例を示すものである。マスク画像301は撮影ユニット20aでの撮影画像から素材領域11のみを特定するためのものであり、素材領域11を除く部分が黒で表現されている。
【0064】
同様に、マスク画像302は撮影ユニット20bでの撮影画像からめっき領域12のみを特定するためのものであり、めっき領域12を除く部分が黒で表現されている。マスク画像303は撮影ユニット20cでの撮影画像からハーフエッチング領域13のみを特定するためのものであり、ハーフエッチング領域13を除く部分が黒で表現されている。
【0065】
S12では、例えば、撮影ユニット20aでの撮影画像にマスク画像301を重畳することで、素材領域11の画素は撮影画像のままとし他の画素は黒の画素とした画像を作成する。そして、この画像を、当該画像についての正の画像(素材領域11に欠陥が無い場合の画像)と比較し、対応する位置の画素の画素値の差をとって差分画像を作成する。
【0066】
同様に、撮影ユニット20bでの撮影画像にマスク画像302を重畳することで、めっき領域12の画素は撮影画像のままとし他の画素は黒の画素とした画像を作成し、この画像と、当該画像についての正の画像(めっき領域12に欠陥が無い場合の画像)との差分画像を作成する。
【0067】
撮影ユニット20cでの撮影画像についても、マスク画像303を重畳することで、ハーフエッチング領域13の画素は撮影画像のままとし他の画素は黒の画素とした画像を作成し、この画像と、当該画像についての正の画像(ハーフエッチング領域13に欠陥が無い場合の画像)との差分画像を作成する。
【0068】
図9はこれらの差分画像を模式的に示した例である。撮影ユニット20aでの撮影画像から得た差分画像401では、パターン部分10aの素材領域11の欠陥111の部分に、正常部分との輝度差が生じる。この例では欠陥111が高輝度の部分として現れている。
【0069】
同様に、撮影ユニット20bでの撮影画像から得た差分画像402では、パターン部分10aのめっき領域12の欠陥121の部分に輝度差が生じ、撮影ユニット20cでの撮影画像から得た差分画像403では、パターン部分10aのハーフエッチング領域13の欠陥131の部分に輝度差が生じる。
【0070】
検査装置3は、これらの差分画像を所定の閾値で二値化して(S13)欠陥部分を抽出し、これに基づいて欠陥の検出を行う(S14、検出手段)。検査装置3は、検出した欠陥について、その位置情報や面積、各種の特徴量等を欠陥情報として記憶部32に記録する。
【0071】
なお、S14における欠陥の検出基準は様々に定めることができ、例えば欠陥部分の面積が所定の基準値を上回る場合に欠陥であると判定するが、これに限定されることはない。
【0072】
またS14では、検査対象10が実際の欠陥を有するにも関わらず欠陥無しと判定してしまうリスクを避けるため、欠陥検出時の基準値を、前記したように実際の良品、不良品の判定基準よりも厳しくなるようにしておく。そのため、S14で欠陥が無いとされれば実際にも検査対象10は良品であるが、欠陥有りと判定された検査対象10の中に、実際には欠陥の無い検査対象10が混じっている可能性がある。
【0073】
(5−3.検査装置6での欠陥検査)
次に、前記したS4における検査装置6での欠陥検査の流れについて説明する。
図10は検査装置6での欠陥検査の流れを示すフローチャートである。図の各ステップは検査装置6の制御部により実行される。
【0074】
S4では、まず検査装置6が、ラインカメラ検査部100の検査装置3から、検査装置3にて検出された欠陥の位置情報とマスク画像等を受信して取得する(S41)。
【0075】
次に、検査装置6はエリアカメラ撮影部5を制御し、エリアカメラ撮影部5で検査対象10をカラー画像にて撮影する(S42)。
【0076】
ここでは、検査対象10を検査ステージ55上で移動させつつ、パターン部分10aの欠陥を含む範囲(以下、欠陥範囲という)と、当該パターン部分10aとは別の、欠陥の無いパターン部分10aにおいて上記欠陥範囲と対応する範囲(以下、比較範囲という)の撮影を行う。欠陥の無いパターン部分10aがどの位置かについての情報は、例えばS41で検査装置3から検査装置6へと送信しておくことができる。
【0077】
図11は検査対象10上の欠陥範囲と比較範囲の例を示す図である。本実施形態では、素材領域11の欠陥111について、左上のパターン部分10aの欠陥111を含む欠陥範囲Aが撮影されるとともに、欠陥の無いパターン部分10aにおいて、上記欠陥範囲Aの位置に対応する比較範囲A’の撮影を行う。
【0078】
同様に、めっき領域12の欠陥121について、中上のパターン部分10aの欠陥121を含む欠陥範囲Bが撮影されるとともに、欠陥の無いパターン部分10aにおいて、上記欠陥範囲Bの位置に対応する比較範囲B’の撮影を行う。ハーフエッチング領域13の欠陥131についても、左上のパターン部分10aの欠陥131を含む欠陥範囲Cを撮影するとともに、欠陥の無いパターン部分10aにおいて、上記欠陥範囲Cの位置に対応する比較範囲C’の撮影を行う。
【0079】
欠陥範囲の撮影画像(第1の画像)、比較範囲の撮影画像(第2の画像)はエリアカメラ51から検査装置6に送信され、検査装置6は撮影画像を受信する。なお、
図11の例では、比較範囲の撮影を行う欠陥の無いパターン部分10aを、欠陥を有するパターン部分10aの下に隣接するパターン部分10aとしているが、これに限ることはない。
【0080】
フローチャートの説明に戻る。検査装置6は、各欠陥について、欠陥範囲と比較範囲の撮影画像を比較して対応する位置の画素の画素値の差をとり、欠陥範囲と比較範囲の撮影画像から差分画像を作成する(S43)。
【0081】
検査装置6は、差分画像を所定の閾値で二値化するなどして改めて欠陥部分を抽出し、RGB値やHSV値等の欠陥部分の色情報と、欠陥部分の面積を取得する(S44、抽出手段)。
【0082】
欠陥部分の抽出時には、必要に応じて二値化した画像に対し膨張・収縮などの既知の画像処理を行うことも可能である。また小さな欠陥などであれば、欠陥範囲の撮影画像について所定色(例えば欠陥の周囲の正常部分の色)の部分の膨張・収縮処理を行って当該欠陥を消去した画像を作成し、この画像と上記欠陥範囲の撮影画像との差分画像から欠陥部分を抽出することも可能である。
【0083】
欠陥111について、差分画像から抽出した欠陥部分の例を
図12(a)に示す。S44で取得する色情報は、差分画像において欠陥部分に対応する範囲の色情報とし、色情報としては各画素の画素値の平均などとできるが、これに限ることはない。また差分画像の代わりに欠陥範囲の撮影画像から色情報を取得することもできる。
【0084】
その後、検査装置6は、欠陥部分が検査対象10上のどの領域に位置するかを、マスク画像に基づいて作成した領域画像を用いて特定する(S45)。
【0085】
領域画像500の例を
図13(a)に示す。この領域画像500は前記したマスク画像301、302、303から作成されたものであり、素材領域11とハーフエッチング領域13が特定される。まためっき領域12については、素材領域11との間の所定幅の境界部12aとその内部12bとを別領域として特定している。これらの領域は色分けして表される。
【0086】
S45では、例えば
図12(b)に示すように欠陥部分の画像圧縮を行い、前記したラインカメラ撮影部2での撮影画像と解像度を合わせる。そして、
図13(b)に示すように、欠陥部分(欠陥111)の位置を、S41で取得した位置情報に基づいて領域画像500上にマッチングすることで、どの領域のものかを改めて特定できる。図の例では素材領域11の欠陥であると特定される。
【0087】
そして、検査装置6は、欠陥が真の欠陥であるか否かを判定するとともに、真の欠陥については、欠陥部分の色情報を用いて欠陥種類を判別する(S46、判別手段)。
【0088】
本実施形態では、欠陥が真の欠陥であるか否かの判定を、欠陥部分の面積を欠陥部分が位置する領域ごとの基準値と比較して行うことができる。例えば欠陥111の場合であれば、S44で得た欠陥部分の面積を、素材領域11について予め定められた基準値と比較し、基準値を上回っていれば真の欠陥であるとする。
【0089】
また、真の欠陥の欠陥種類の判別は、欠陥部分の色情報を用いて行う。欠陥種類としては、めっき欠けやレジスト残り、ムラ、汚れなどがあり、例えば色情報により、素材領域11の欠陥部分が黄みがかっていれば「レジスト残り」などと判別できる。
【0090】
具体的な手法としては、例えば「素材領域11」において欠陥種類が「レジスト残り」であれば色情報が「R、Gの値が180〜200かつBの値が50以下」であるなどと、領域ごとに複数の欠陥種類と色情報の値を予め紐付け、判別情報として設定しておく。そして、S44で取得した欠陥部分の色情報を、その欠陥部分が位置する領域の判別情報と比較して、色情報が一致する欠陥種類や色情報が最も近い欠陥種類を当該欠陥の欠陥種類と判別できる。このように、欠陥種類についても、領域ごとの基準を用いて判別ができる。
【0091】
S47において、各欠陥が真の欠陥ではない、すなわち検査対象10に真の欠陥が存在しないとされると、
図6で説明したS5;NO→S6への流れとなり、S6にて検査対象10が良品である旨が記録される。
【0092】
一方、真の欠陥が存在する場合には、
図6で説明したS5;YES→S7への流れとなり、検査対象10が不良品である旨と、真の欠陥について判別された欠陥種類が記録される。
【0093】
以上説明したように、本実施形態によれば、検査装置6において、検査対象10を撮影したカラー画像を用いて、その色情報から目視による見えと変わらない条件で欠陥種類の判別ができるようになり、人間の判断に近く、高精度な欠陥の分類を行うことが可能になる。このように色情報を用いて欠陥種類を自動で判別することで、各種の欠陥の発生率をプロセス工程へフィードバックするなどして品質向上に寄与できる。
【0094】
また、欠陥部分の抽出もカラー画像から行うことができ、目視に近い条件で欠陥部分の抽出が可能になる。ただし、前記の検査装置3でグレースケール画像から抽出した欠陥部分を適用することも考えられる。
【0095】
また本実施形態では、欠陥部分の面積が基準値を上回っている欠陥部分を真の欠陥とし、欠陥種類の判別を行うことで、欠陥部分の面積を元に切り分けを行い、必要なもののみ欠陥種類の判別を行うことができる。
【0096】
また、検査装置3におけるグレースケール画像による検査を併用することで、検査効率を向上させることができる。すなわちグレースケール画像を用いて簡易な欠陥検出を行うことができ、この場合、検査装置6で用いるカラー画像は検査装置3で検出した欠陥を含む一部の範囲を撮影したものであればよく、検査対象10全体を撮影する必要はないので検査効率が向上する。また高解像度でカラー画像による撮影を行った場合でも高い検査効率とできる。
【0097】
また検査装置6での検査時には、エリアカメラ撮影部5において、前記した検査対象10の欠陥範囲と比較範囲を撮影し、これらの撮影画像を比較して差分画像を作成するので、事前に正の画像を用意する必要がなく、検査対象10の種類が変わるごとに正の画像を作成する必要もないので検査の手間が省ける。
【0098】
また本実施形態では検査装置6が上記の差分画像から欠陥部分の抽出を行い、差分画像における欠陥部分の色情報を用いて欠陥種類の判別を行うことで、欠陥部分の抽出と欠陥種類の判別を好適に行うことができる。
【0099】
さらに本実施形態では、検査装置3において、検査対象10の複数の領域のそれぞれについて、領域を特定するマスク画像を用いて欠陥の検出を行い、検査装置6では、マスク画像に基づいて欠陥が検査対象10のどの領域(素材部分11、めっき領域12の境界部12aや内部12b、ハーフエッチング部13等)に位置するかを特定し、領域ごとの基準を用いて欠陥種類を判別する。こうして検査対象10の領域ごとの検査を行うことで、各領域の材質等に応じた高精度な欠陥検査ができる。また、例えばめっき領域12の欠陥検査にハーフエッチング領域13の欠陥が影響を与えるといったこともなく、誤検知なども抑制でき、欠陥種類の判別も容易になる。さらに、両検査装置3、6で共通のマスク画像を用いることで、それぞれの検査装置3、6でマスク画像を作成する必要もなく、検査の手間も省略できる。
【0100】
しかしながら、本発明は上記説明した実施形態に限らない。例えばS1における欠陥検査は、検査対象10のグレースケール画像から欠陥が検出できればよく、前記した方法に限ることはない。S4における欠陥検査も同様、検査対象10のカラー画像に基づき、欠陥部分の色情報を用いて欠陥種類の判別を行えばよく、前記した方法に限らない。
【0101】
また検査対象10も上記したものに限らない。例えば検査対象10の基材は樹脂等であってもよく、これらの基材にめっきやハーフエッチング以外の処理が施されたものであってもよい。
【0102】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。