特許第6623598号(P6623598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623598
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】光導波路素子の評価装置及び評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20191216BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20191216BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20191216BHJP
   G02F 1/377 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   G01M11/00 T
   G02B6/30
   G02B6/12 396
   G02F1/377
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-147829(P2015-147829)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-26546(P2017-26546A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100085419
【弁理士】
【氏名又は名称】大垣 孝
(72)【発明者】
【氏名】岸本 直
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−248991(JP,A)
【文献】 特開2015−106143(JP,A)
【文献】 米国特許第06219475(US,B1)
【文献】 伊藤 裕一,外4名,光導波路からの不要電磁輻射の検討,エレクトロニクス実装学会誌,2000年,Vol.3,No.7,p.578-584
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00
G01M 11/02
G02F 1/00 − G02F 1/125
G02F 1/21 − G02F 7/00
G02B 6/12 − G02B 6/14
G02B 6/26 − G02B 6/27
G02B 6/30 − G02B 6/34
G02B 6/42 − G02B 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象の光導波路素子を構成する光導波路に光を送る光源と、
前記光導波路から漏れる光を、前記光導波路の、光伝播方向に直交する幅に応じて設定される倍率で集光する対物レンズと、
前記対物レンズが集光した光の強度を検出する検出部と、
前記強度に基づいて、前記光導波路素子の伝播損失を取得する処理部と
を備えることを特徴とする評価装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記検出部が検出した強度に基づき、前記光導波路における光伝播方向に沿った、前記漏れる光の強度分布を取得し、
該強度分布に基づき、前記光導波路における光伝播方向に沿った長さに対する、前記漏れる光の強度の変化率を取得し、及び
前記変化率を用いて伝播損失を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記光導波路素子は、波長変換素子であり、
前記光源は、前記波長変換素子によって波長変換される被変換光、又は該被変換光が波長変換されて生成される変換光の波長とは異なり、かつ前記被変換光又は前記変換光の波長の近傍の波長の光を、前記波長変換素子に送る
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の評価装置。
【請求項4】
評価対象の光導波路素子を構成する光導波路に光を送る第1過程と、
前記光導波路から漏れる光を、前記光導波路の、光伝播方向に直交する幅に応じて設定される倍率で集光する第2過程と、
該第2過程において集光した光の強度を検出する第3過程と、
前記強度に基づいて、前記光導波路素子の伝播損失を取得する第4過程と
を備えることを特徴とする評価方法。
【請求項5】
前記第4過程では、前記第3過程において検出した強度に基づき、前記光導波路における光伝播方向に沿った、前記漏れる光の強度分布を取得し、
該強度分布に基づき、前記光導波路における光伝播方向に沿った長さに対する、前記漏れる光の強度の変化率を取得し、及び
前記変化率を用いて伝播損失を取得する
ことを特徴とする請求項4に記載の評価方法。
【請求項6】
前記光導波路素子が、波長変換素子である場合に、
前記第1過程において、前記波長変換素子によって波長変換される被変換光、又は該被変換光が波長変換されて生成される変換光の波長とは異なり、かつ前記被変換光又は前記変換光の波長の近傍の波長の光を、前記波長変換素子に送る
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の評価方法。
【請求項7】
前記光導波路素子が、波長変換素子である場合に、
前記第1過程において、前記波長変換素子に、該波長変換素子によって波長変換される被変換光、又は該被変換光が波長変換されて生成される変換光の波長とは異なり、かつ前記被変換光又は前記変換光の波長の近傍の波長の光を送り、
さらに、
前記光導波路に前記被変換光を送る第5過程と、
前記光導波路から漏れる、前記波長変換素子によって前記被変換光から変換された変換光を集光する第6過程と、
該第6過程において集光した変換光の強度を検出する第7過程と、
前記第7過程において検出した強度に基づき、前記光導波路における光伝播方向に沿った、前記光導波路から漏れる変換光の強度分布を取得し、前記変化率を用いて、前記光導波路から漏れる変換光の強度分布を補償し、及び補償された前記光導波路から漏れる変換光の強度分布に基づき、前記光導波路の光伝播方向に沿った長さと、前記光導波路における波長変換効率との関係を求める第8過程と
を備えることを特徴とする請求項5に記載の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光導波路素子の伝播損失に関する特性の評価装置及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光の伝送路として光導波路を利用した光導波路素子がある。光導波路に光を閉じ込めた状態における、非線形光学効果の効率的な発現や外部からの入力信号による光の制御等によって、様々な機能の光導波路素子を構成することができる。
【0003】
光導波路では、この光導波路を伝播する伝播光を、数μmの幅に閉じ込めることが可能である。そのため、バルク媒質を利用したバルク型素子とは異なり、光導波路素子では、例えば伝播光と外部からの入力信号との相互作用領域を限定することができる。その結果、光導波路素子では、効率良く伝播光の制御を行うことができる。
【0004】
また、光導波路素子では、一定の素子長を確保しつつ、種々の形状を選択して製造することができる。そのため、設計の自由度が高いという利点がある。
【0005】
光導波路素子において、非線形光学効果を利用する波長変換素子を構成する際には、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO)が光導波路の材料として用いられる。非線形光学効果に基づく波長変換の手法として、擬似位相整合(QPM:Quasi−Phase Matching)がある。このQPMを、LiNbOを材料とする光導波路において実現させた、QPM型波長変換素子がある(例えば特許文献1参照)。QPM型波長変換素子は、光導波路に周期的分極反転構造を作り込んで構成される。
【0006】
相互作用する光のエネルギー密度が大きいほど、また、光が相互作用する長さ(相互作用長)が大きいほど、非線形光学効果は大きくなる。従って、光導波路において非線形光学効果を実現させるためには、光のエネルギー密度を高い状態に保ったまま、光を十分な距離を伝播させる必要がある。
【0007】
一方で、近年、小型化や量産性に有利な光導波路素子の開発に当たり、シリコン(Si)を光導波路の材料として用いる技術が注目を集めている。
【0008】
Siを材料とする光導波路(Si光導波路)では、実質的に光の伝送路となるコアを、Siを材料として形成する。そして、Siよりも屈折率の低い例えばシリカ等を材料としたクラッドで、コアの周囲を覆う。このような構成により、コアとクラッドとの屈折率差が極めて大きくなるため、コア内に光を強く閉じ込めることができる。その結果、Si光導波路では、断面積を微少な寸法に設定することができる。また、曲げ半径を例えば数μm程度まで小さくした、小型の曲線導波路を実現することができる。
【0009】
Si光導波路では、断面積を微少とすることによって、高いエネルギー密度で光を伝播させることができる。また、Si光導波路を曲線導波路として形成することによって素子の長さを稼ぐことができるため、小型であっても、必要な相互作用長を確保できる。これらの利点から、Si光導波路の応用によって、非線形光学効果を効率的に発現できる波長変換素子を構成する技術が提案されている(例えば非特許文献1参照)。
【0010】
ここで、光導波路素子として構成される波長変換素子では、上述したように、非線形光学効果を高効率化するために、相互作用長を大きくすることが有効である。例えばQPM型波長変換素子において、第二高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)による波長変換効率は、相互作用長の2乗に比例し、規格化した[%/W・cm]の単位で表される。このことからも、相互作用長を大きくすることが、非線形光学効果の高効率化に有効であることがわかる。
【0011】
しかし、これは被変換光及び変換光の伝播損失を考慮しない場合である。実際には、被変換光及び変換光ともに伝播損失が生じる。そのため、変換光の出力強度は、相互作用長を大きくすることによる変換効率の増加、及び伝播損失による減衰の双方の影響を受ける。特に、QPM型波長変換素子の場合には、SHGによる波長変換において、変換光は被変換光の半分の短波長であるため、伝播損失の影響が顕著となる。従って、相互作用長を、単に大きく設定すれば良いわけではなく、伝播損失を抑えつつ、高い変換効率を得るための相互作用長の最適値を見出す必要がある。
【0012】
また、波長変換素子以外の、例えば光回路等に使用される光導波路素子においても、長距離の伝送による伝播損失によって信号光が劣化する等の問題がある。
【0013】
従って、波長変換素子においても、その他の光導波路素子においても、伝播損失は、素子の特性に影響を与える重要なパラメータである。そのため、光導波路素子の伝播損失に関する特性を評価することが重要である。
【0014】
従来の光導波路素子の評価方法として、カットバック法がある。カットバック法は、素子長の異なる複数の光学素子の入出力特性を比較することによって、伝播損失を求める。しかし、カットバック法では、素子長の異なる複数の光学素子を用意するに当たり、光学素子に切断等を行う必要がある。すなわち、カットバック法は、破壊検査である。
【0015】
また、光導波路素子の評価方法として、光導波路素子を構成する光導波路に、蛍光体又は散乱体を含む薄膜を形成する方法がある(例えば特許文献2参照)。この方法では、光導波路から漏れた光による蛍光又は散乱光を撮影する。しかし、この方法では、製造過程において、薄膜を形成するプロセスが増えてしまう。また、蛍光体や散乱体は、それ自体が伝播損失の原因となる。そのため、製品として出荷する光導波路素子に対して適用することは好ましくない。従って、この方法を行う場合には、試験用の光導波路素子を作製する必要がある。
【0016】
製造コストに鑑みると、破壊検査であるカットバック法や、試験用素子を用意する必要がある検査を、光導波路素子に対して適用することは好ましくない。
【0017】
上述した各方法の他に、光導波路素子の特性を評価するに当たり、プリズム結合法を適用して、伝播光の強度を測定することが考えられる。しかし、プリズム結合法では、光導波路表面に密着させた状態のプリズムを、伝播方向に走査することは困難である。従って、光導波路素子を伝播する光の強度分布を取得することが難しい。また、プリズムを密着させることによって、光導波路素子を構成する光導波路が破損する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−70529号公報
【特許文献2】特開平5−248991号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】H.Fukuda, et al., “Four-wave mixing in silicon wire waveguides”, OPTICS EXPRESS, Vol.13, No.12, pp.4629-4637, 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで、この発明の目的は、非破壊で、かつ試験用素子を用意せずに、光導波路素子の伝播損失を評価できる評価装置及び評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述の目的を達成するために、この発明の評価装置は、評価対象の光導波路素子を構成する光導波路に光を送る光源と、光導波路から漏れる光を、光導波路の、光伝播方向に直交する幅に応じて設定される倍率で集光する対物レンズと、対物レンズが集光した光の強度を検出する検出部と、検出部が検出した光の強度に基づいて、光導波路素子の伝播損失を取得する処理部とを備えて構成される。
【0022】
また、この発明の評価方法は、評価対象の光導波路素子を構成する光導波路に光を送る第1過程と、光導波路から漏れる光を、光導波路の、光伝播方向に直交する幅に応じて設定される倍率で集光する第2過程と、第2過程において集光した光の強度を検出する第3過程と、第3過程で検出した光の強度に基づいて、光導波路素子の伝播損失を取得する。
【発明の効果】
【0023】
この発明の評価装置及び評価方法では、光導波路から漏れる光(漏れ光)の強度を検出する。漏れ光の強度は、光導波路を伝播する光の強度に対応するため、漏れ光の強度に基づいて、光導波路素子の伝播損失を評価することができる。
【0024】
また、この発明の評価装置及び評価方法では、対物レンズで漏れ光を集光することによって、漏れ光の強度を検出する。そのため、光導波路素子の破壊、又は光導波路素子に対する薄膜の形成若しくはプラズマの密着を必要としない。従って、この発明の評価装置及び評価方法では、非破壊で、かつ試験用素子を用意せずに、光導波路素子の伝播損失を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明による評価装置を示す概略図である。
図2】この発明による評価装置及び評価方法を用いて取得した、光導波路の光伝播方向に沿った漏れ光の強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0027】
(評価装置)
図1を参照して、この発明の実施の形態による評価装置について説明する。図1は、評価装置を示す概略図である。
【0028】
評価装置100では、評価対象の光導波路素子200に対して、光を入力する。そして、光導波路素子200を構成する光導波路250から漏れる光の強度を検出する。評価装置100は、この検出された漏れ光の強度に基づいて、光導波路素子200の伝播損失を取得する。なお、この実施の形態では、評価対象の光導波路素子200がQPM型波長変換素子である場合について説明する。従って、以下、評価対象の光導波路素子200をQPM型波長変換素子200とも称する。
【0029】
評価対象のQPM型波長変換素子200は、光導波路250に周期的分極反転構造を作り込んで構成される。QPM型波長変換素子200は、例えば周期的分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN:Periodically−Poled LiNbO)である。QPM型波長変換素子200は、周期的分極反転構造に応じたQPM波長の被変換光を、SHGによって波長変換する。
【0030】
ここでは、QPM型波長変換素子200において、光導波路250の一端250aから入力される光が、他端250bから出力される。従って、QPM型波長変換素子200に入力される光は、一端250aから他端250bの方向へ光導波路250を伝播する。一端250aからQPM波長の被変換光が入力される場合には、被変換光から波長変換された変換光が他端250bから出力される。なお、図1においては、光導波路250における光伝播方向を矢印Rで示してある。光導波路250は、光伝播方向に沿って例えば直線的に延在している。
【0031】
評価装置100は、光源10、対物レンズ20、ビームスプリッタ30、検出部40、処理部50、撮像部60及び画像表示部70を備えて構成されている。また、評価対象のQPM型波長変換素子200は、評価装置100が備える載置台(図示せず)に載置される。
【0032】
光源10は、光(検査光)を生成して、QPM型波長変換素子200を構成する光導波路250に送る。光源10としては、例えばLD(Laser Diode)等のレーザを用いることができる。
【0033】
光源10が生成する検査光の波長は、評価対象の光導波路素子が実用される際に用いられる光の波長に合わせて設定される。
【0034】
ただし、波長変換素子が評価対象である場合には、波長変換素子によって変換される被変換光又は波長変換素子が被変換光を波長変換して生成する変換光の波長と、検査光の波長を一致させることは好ましくない。これは、仮に検査光の波長を、波長変換素子の被変換光又は変換光の波長と一致させる場合、検査光が波長変換素子によって波長変換されてしまうため、被変換光又は変換光それぞれの伝播損失を正確に評価できないからである。
【0035】
そこで、波長変換素子が評価対象である場合には、被変換光又は変換光の波長と一致せず、かつ被変換光又は変換光の波長の近傍の値に、検査光の波長を設定する。検査光の波長を、被変換光又は変換光の波長と一致させないことによって、波長変換素子によって検査光が波長変換されるのを防止することができる。また、検査光の波長を、被変換光又は変換光の波長の近傍の値とすることによって、被変換光又は変換光に生じる伝播損失と同程度の伝播損失を求めることができる。
【0036】
ここで、近傍の範囲は、例えば仮に波長変換素子以外の光導波路素子に被変換光又は変換光と、被変換光又は変換光とは異なる波長の検査光とをそれぞれ伝播させた場合に、被変換光又は変換光と検査光とで同程度の伝播損失が生じる範囲内の波長帯と考えることができる。一例として、所謂Cバンドの波長帯の光に対する伝播損失を評価する場合には、Cバンドの範囲内の光であれば、異なる波長の光であっても同程度の伝播損失が生じると考えられる。従って、その場合には、Cバンドの範囲を近傍の範囲と考えることができる。
【0037】
例えば、QPM型波長変換素子200では、実用の際に、QPM波長の被変換光が入力され、QPM波長の半分の波長の変換光が生成される。従って、QPM型波長変換素子200において、波長変換される被変換光の伝播損失を評価する場合には、QPM波長とは異なり、かつQPM波長の近傍の値に、検査光の波長を設定する。また、QPM型波長変換素子200において、被変換光から波長変換されて生成される変換光の伝播損失を評価する場合には、変換光の波長(QPM波長の半分の波長)とは異なり、かつ変換光の波長の近傍の値に、検査光の波長を設定する。
【0038】
なお、この実施の形態では、QPM型波長変換素子200が生成する変換光の伝播損失を評価する場合について説明する。従って、ここでは、光源10は、変換光の波長(QPM波長の半分の波長)と一致せずかつ変換光の波長の近傍の波長の検査光を生成し、光導波路250に送る。
【0039】
光源10と光導波路250とは、例えば光ファイバ91によって接続されている。光源10が生成した検査光は、光ファイバ91を経て、一端250aから光導波路250に入力される。
【0040】
対物レンズ20は、光導波路250の、光伝播方向Rに沿った側面250cと対向して配置される。そして、対物レンズ20は、光導波路250から漏れる光(漏れ光)を集光する。この実施の形態では、光導波路250に入力され、光導波路250の側面250cから漏れる検査光を、対物レンズ20が集光する。対物レンズ20の倍率は、光導波路250の幅(光伝播方向Rに直交する方向の寸法)に応じて設定される。
【0041】
また、QPM型波長変換素子200が載置される載置台及び対物レンズ20の一方又は双方は、光伝播方向Rに沿って水平移動が可能となっている。そのため、光導波路250と対物レンズ20との、光伝播方向Rに沿った相対位置を変更することができる。従って、対物レンズ20は、光伝播方向Rに沿って掃引して、光導波路250からの漏れ光を集光することができる。この実施の形態では、対物レンズ20が、光導波路250との対向位置を光伝播方向Rに沿って変更しつつ、各位置における漏れ光を集光する。従って、対物レンズ20は、光導波路250の一端250a及び他端250b間の複数の位置からの漏れ光を集光する。
【0042】
対物レンズ20は、集光した漏れ光をビームスプリッタ30に送る。ビームスプリッタ30は、対物レンズ20から送られる漏れ光を2分岐する。ビームスプリッタ30は、2分岐した漏れ光の一方を、フィルタ81、第1接続用レンズ83及び光ファイバ93を順次に経て検出部40に送る。
【0043】
フィルタ81は、漏れ光として検出すべき検査光以外の波長帯の光を除去する。そのため、例えば対物レンズ20が、検査光以外の波長帯の光を不所望に集光した場合であっても、フィルタ81でこれら不所望に集光した光を除去することができる。
【0044】
第1接続用レンズ83は、フィルタ81から送られる漏れ光を集光し、光ファイバ93に送る。
【0045】
光ファイバ93は、検出部40と接続されており、第1接続用レンズ83から送られる漏れ光を検出部40に送る。
【0046】
検出部40は、漏れ光の強度を検出する。検出部40としては、例えばPD(Photo Diode)等の光検出器を用いることができる。ここでは、検出部40は、漏れ光としての検査光の強度を検出する。そのため、検出部40として、検査光の波長に応じて最適化された光検出器を用いるのが好ましい。検出部40は、検出した漏れ光の強度の情報を処理部50に送る。
【0047】
処理部50は、検出部40から送られる強度の情報を記録する。処理部50としては、例えばコンピュータ等を用いることができる。ここで、上述したように、この実施の形態では、対物レンズ20が、光導波路250の光伝播方向Rに沿った複数の位置からの漏れ光を集光する。従って、処理部50には、光導波路250の各位置からの漏れ光の強度の情報が送られる。処理部50は、受け取った漏れ光の強度の情報を、光導波路250の位置毎に記録する。そして、処理部50は、各位置における漏れ光の強度の情報に基づいて、光導波路250の、光伝播方向Rに沿った漏れ光の強度分布を取得する。
【0048】
さらに、処理部50は、取得した強度分布に基づき、光導波路250の光伝播方向Rに沿った長さに対する、漏れ光の強度の変化率を取得する。この変化率から伝播損失が求められる。なお、ここでの伝播損失には、伝播光の、導波路内での吸収と、導波路外への漏れが含まれる。
【0049】
この実施の形態では、図1に示すように評価装置100が1つの処理部50を備え、その1つの処理部50が、強度分布の取得及び漏れ光の強度の変化率の取得の双方を行う構成例について説明した。しかし、評価装置100が複数の処理部を備える構成にしても良い。例えば、強度分布の取得を1つの処理部が行い、漏れ光の強度の変化率の取得を、ネットワーク等を介して接続された他の処理部が行う構成とすることもできる。
【0050】
また、上述したビームスプリッタ30は、2分岐した漏れ光の他方を、第2接続用レンズ85を経て撮像部60に送る。
【0051】
第2接続用レンズ85は、ビームスプリッタ30から送られる漏れ光を集光し、撮像部60に送る。
【0052】
撮像部60は、第2接続用レンズ85から送られる漏れ光を撮像する。また、撮像部60は、対物レンズ20、ビームスプリッタ30及び第2接続用レンズ85の系によって結ばれた、光導波路250の側面250cの像を撮像する。撮像部60は、撮像した漏れ光や光導波路250の像から、光導波路250の画像情報を生成する。撮像部60としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。撮像部60は、生成した画像情報を画像表示部70に送る。
【0053】
画像表示部70は、撮像部60から送られる画像情報を視認可能に表示する。画像表示部70としては、例えば液晶ディスプレイなどの周知の表示装置を用いることができる。画像表示部70に表示される光導波路250の画像情報は、例えば対物レンズ20と光導波路250との位置合わせや、対物レンズ20の倍率設定等に用いることができる。
【0054】
(評価方法)
この発明の実施の形態による評価方法について説明する。この実施の形態による評価方法は、上述した評価装置100を用いて行う。なお、この実施の形態では、評価対象の光導波路素子がQPM型波長変換素子である場合について説明する。また、この実施の形態では、QPM型波長変換素子が生成する変換光の伝播損失を評価する場合について説明する。
【0055】
第1過程において、光源10を用いて、評価対象のQPM型波長変換素子200を構成する光導波路250に光(検査光)を送る。ここでは、QPM型波長変換素子200が生成する変換光の波長(QPM波長の半分の波長)と一致せずかつ変換光の波長の近傍の波長の検査光を、光導波路250に送る。検査光は、光導波路250を伝播し、光導波路250の他端250bから出力される。なお、検査光は、光導波路250の他端250bから出力されるのみならず、光導波路250の側面250cから漏れ光として漏れる。
【0056】
次に、第2過程において、この漏れ光を、対物レンズ20を用いて集光する。
【0057】
そして、第3過程において、対物レンズ20が集光した漏れ光としての検査光の強度を、検出部40を用いて検出する。対物レンズ20は、光導波路250の一端250a及び他端250b間の複数の位置からの漏れ光を集光する。
【0058】
次に、第4過程において、これら各位置における漏れ光の強度の情報に基づき、伝播損失を求める。第4過程では、処理部50を用いて、光伝播方向Rに沿った漏れ光の強度分布を取得する。そして、取得した強度分布に基づき、光導波路250の光伝播方向Rに沿った長さに対する、漏れ光の強度の変化率を取得する。漏れ光の強度の変化率は、例えば、漏れ光の強度分布に基づいて近似線を求め、その近似線の傾きとして導くことができる。
【0059】
漏れ光としての検査光の強度は、光導波路250を伝播する検査光の強度に対応する。従って、漏れ光の強度の変化率から、光導波路250の光伝播方向Rに沿った長さに対する伝播損失を取得することができる。
【0060】
ここで、上述したように、検査光の波長は、実用の際にQPM型波長変換素子200が生成する変換光の波長の近傍の値に設定されている。従って、漏れ光としての検査光の強度は、実用の際に光導波路250を伝播する変換光の強度に実質的に対応する。そのため、光導波路250における光伝播方向Rに沿った位置と、その位置を伝播する、伝播損失の影響を受けた変換光の強度との関係がわかる。従って、漏れ光の強度分布に基づく漏れ光の強度の変化率から、光導波路250の光伝播方向Rに沿った長さに対する伝播損失がわかる。
【0061】
このように、この実施の形態による評価装置及び評価方法では、非破壊で、かつ試験用素子を用意することを要さずに、光導波路素子における伝播損失を評価することができる。
【0062】
(特性評価)
発明者は、この実施の形態による評価装置及び評価方法を用いて、光導波路素子を評価する実験を行った。
【0063】
この実験では、評価対象の光導波路素子200としてQPM型波長変換素子を用いた。QPM型波長変換素子200としては、光導波路250の長さが56mm及び幅が9μmであるPPLNを用いた。
【0064】
また、この実験では、QPM型波長変換素子が生成する変換光の伝播損失を評価した。評価対象としたQPM型波長変換素子200(PPLN)のQPM波長は1549.75nmである。この場合、QPM型波長変換素子200は、入力される1549.75nmの被変換光をSHGによって波長変換し、775nm程度の変換光を生成する。そこで、光導波路250に入力する検査光の波長を、QPM型波長変換素子200が生成する変換光の波長の近傍の値として、771nmに設定した。
【0065】
そして、光導波路250の寸法及び検査光の波長に最適化して、対物レンズ20、フィルタ81、第1接続用レンズ83及び検出部40を設計した。ここでは、対物レンズ20の倍率を10倍に設定し、集光可能な領域幅が10μm程度となるように構成した。そして、光導波路250の光伝播方向Rに沿った複数の位置において漏れ光(検査光)を集光した。これら各位置における漏れ光の強度を検出し、光伝播方向Rに沿った漏れ光の強度分布を取得した。
【0066】
この実験で取得した強度分布を図2に示す。図2では、縦軸に、漏れ光(検査光)の強度を任意単位でとって示してある。また、横軸に、対物レンズ20による集光位置として、集光位置に対応する光導波路250の長さをmm単位でとって示してある。なお、横軸における原点(0mm)は、光導波路250の一端250aの位置に対応する。
【0067】
また、図2に示す各点は、光導波路250の光伝播方向Rに沿った各位置における漏れ光の強度の実測値である。これらの強度は、光導波路250の各位置を伝播する検査光の強度に対応する。また、図2に示す直線は、実測値である各点の強度から求めた近似線である。
【0068】
図2に示すように、漏れ光としての検査光の強度は、光導波路250が長くなるに従って減少する。そして、近似線の傾きから、光導波路250の長さに対する伝播損失を求めることができる。図2に示す結果では、近似線の傾きから、光導波路250における伝播損失を1.5dB/cm程度と見積もることができる。ここで、上述したように、漏れ光としての検査光の強度は、実用の際に光導波路250を伝播する変換光の強度に実質的に対応する。従って、近似線の傾きから求めた1.5dB/cmの伝播損失を、QPM型波長変換素子200が生成する変換光についての伝播損失として扱うことができる。
【0069】
このように、この実施の形態による評価装置及び評価方法を用いることによって、伝播損失を評価することができる。
【0070】
なお、この実施の形態では、評価対象の光導波路素子がQPM型波長変換素子である場合であって、QPM型波長変換素子が生成する変換光の伝播損失を評価する場合について説明した。しかし、この実施の形態による評価装置及び評価方法では、QPM型波長変換素子に入力され、波長変換される被変換光の伝播損失を評価することもできる。その場合には、被変換光の波長(QPM波長)と一致せずかつQPM波長の近傍の値に、検査光の波長を設定する。その結果、漏れ光としての検査光の強度が、実用の際に光導波路250を伝播する被変換光の強度に実質的に対応する。従って、漏れ光の強度分布に基づき、QPM型波長変換素子200を伝播する被変換光についての伝播損失を評価することができる。
【0071】
また、この実施の形態では、波長変換素子以外の光導波路素子を評価対象とすることもできる。波長変換素子以外の光導波路素子を評価対象とする場合には、その光導波路素子が実用される際に用いられる光の波長に合わせて、検査光の波長を設定する。その結果、光導波路素子の、実用の際における伝播損失を評価することができる。
【0072】
(波長変換特性の評価への応用)
上述した評価装置及び評価方法では、光導波路素子(ここではQPM型波長変換素子)の伝播損失を評価する構成について説明した。しかし、この実施の形態の評価装置及び評価方法では、評価対象が波長変換素子である場合に、伝播損失のみならず、波長変換特性についても評価を行うことができる。以下、波長変換素子の波長変換特性を評価する方法について説明する。なお、ここでは、評価対象がQPM型波長変換素子である場合について説明する。
【0073】
波長変換特性の評価を行う場合には、先ず、上述した第1〜第4過程を行う。その後、伝播損失を取得する第1〜第4過程に追加して、波長変換特性を評価するための過程を行う。
【0074】
第5過程において、光源10を用いて、評価対象のQPM型波長変換素子200を構成する光導波路250に光を送る。波長変換特性の評価を行う場合には、QPM波長の被変換光を光導波路250に送る。被変換光は、光導波路250を伝播しつつ、SHGによって変換光に変換される。変換光は、光導波路250の他端250bから出力される。なお、変換光は、光導波路250の他端250bから出力されるのみならず、光導波路250の側面250cから漏れ光として漏れる。
【0075】
第6過程において、この漏れ光を、対物レンズ20を用いて集光する。
【0076】
そして、第7過程において、対物レンズ20が集光した漏れ光としての変換光の強度を、検出部40を用いて検出する。対物レンズ20は、光導波路250の一端250a及び他端250b間の複数の位置からの漏れ光を集光する。
【0077】
次に、第8過程において、これら各位置における漏れ光の強度の情報に基づき、処理部50を用いて、光伝播方向Rに沿った漏れ光の強度分布を取得する。
【0078】
漏れ光としての変換光の強度は、光導波路250において被変換光から波長変換されて生成される変換光の強度に対応する。従って、光伝播方向Rに沿った漏れ光の強度分布を取得することによって、光導波路250における光伝播方向Rに沿った位置と、その位置において生成される変換光の強度との関係がわかる。
【0079】
ここで、変換光は、光導波路250を伝搬するに従って、伝播損失によって減衰する。従って、取得する漏れ光の強度分布には、伝播損失の影響が含まれる。そこで、上述した、変換光についての伝播損失の評価結果として、光導波路250の長さに対する伝播損失(すなわち、光導波路250の長さに対する漏れ光の強度の変化率)を用いて、漏れ光の強度分布を補償する。その結果、伝播損失の影響を含まない波長変換特性を評価することができる。
【0080】
光導波路250の光伝播方向Rに沿った長さと波長変換効率との関係については、例えば取得した強度分布に基づいて近似線を求めることによって、導くことができる。近似線は、実測値である強度分布の各点に基づく変化率、及び変換光の伝播損失をパラメータとしてフィッティングすることによって決定することができる。そして、ここで用いる変換光の伝播損失として、上述した、変換光についての伝播損失の評価結果を利用する。その結果、伝播損失の影響を含まない近似線を求めることができる。従って、伝播損失の評価結果を利用することによって、伝播損失の影響から独立した、光導波路250の光伝播方向Rに沿った長さと、光導波路250における波長変換効率との関係を求めることができる。
【0081】
このように、この実施の形態による評価装置及び評価方法を応用することによって、非破壊で、かつ試験用素子を用意することを要さずに、波長変換素子における波長変換特性を評価することができる。さらに、伝播損失の評価結果を利用することによって、伝播損失の影響から独立した、波長変換素子の波長変換特性を評価することができる。
【符号の説明】
【0082】
10:光源
20:対物レンズ
30:ビームスプリッタ
40:検出部
50:処理部
60:撮像部
70:画像表示部
81:フィルタ
83:第1接続用レンズ
85:第2接続用レンズ
91:93:光ファイバ
100:評価装置
200:QPM型波長変換素子
250:光導波路
図1
図2