(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る印刷装置及び媒体収容部について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
【0019】
図1は、本第1実施形態に係る印刷装置1を示す平面図である。
図1に示すように、印刷装置1は、装置筐体2と、入力部3と、表示部4と、開閉蓋5と、カートリッジ収納部6と、を備える例えばラベルプリンタである。なお、印刷装置としては、入力部3における操作や表示部4における表示を要さない印刷装置、例えば、印刷対象である所望の描画図案の印刷用パターンデータを外部装置(例えばコンピュータ)から受信する印刷装置であってもよい。
【0020】
装置筐体2の上面には、入力部3、表示部4、及び開閉蓋5が配置されている。
入力部3は、文字、絵等を含む所望の描画図案を入力する入力キー、印刷開始を指示する印刷キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印刷モードの設定や各種設定処理を行う種々の制御キーなどのいずれか又は全部を備える。なお、上記の入力キーは、文字データを入力する文字入力キーを含む。
【0021】
表示部4は、例えば液晶表示パネルであり、入力部3からの入力に対応する文字を含む画像、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ等を表示する。
開閉蓋5は、カートリッジ収納部6の上部において、カートリッジ収納部6を開閉可能に配置されている。
【0022】
カートリッジ収納部6には、
図5Aに示す第1のテープカートリッジ100又は
図5Bに示す第2のテープカートリッジ200が着脱可能に収容される。なお、第1のテープカートリッジ100及び第2のテープカートリッジ200は、媒体収容部の一例である。
【0023】
図2は、本第1実施形態に係る印刷装置1の制御ブロック図である。
図2に示すように、印刷装置1は、上述の入力部3及び表示部4、制御部5、ROM(Read Only Memory)6、RAM(Random Access Memory)7、表示部駆動回路8、ヘッド駆動回路9、インク吐出部の一例であるインクジェットヘッド10、搬送用モータ駆動回路11、搬送用モータ12、搬送ローラ13、カッターモータ駆動回路14、カッターモータ15、並びに切断部の一例であるカット機構16を備える。
【0024】
なお、印刷装置1は、例えば長尺テープである印刷媒体M(M1,M2)に、印刷データに基づいて、所望の描画図案を印刷後、印刷媒体Mを切断することにより、所望の描画図案が印刷された印刷物を作成する。例えば、長尺テープは、任意の文字、絵等を含む所望の描画図案の印刷が行われてから、テープ片(印刷物)として切り出される。また、長尺テープは、例えば、接着層を有する基材と、接着層を覆うように剥離可能に基材に貼付された剥離紙と、を有する。但し、印刷装置1は、積層された状態で収容される枚葉紙などの他の印刷媒体に印刷を行う装置であってもよい。
【0025】
制御部5は、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、入力部3からのキー操作信号に応じて、又は、ROM6に予め記憶されているシステムプログラム、メモリカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラム等を自動で起動させ、RAM7をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0026】
制御部5には、入力部3と、ROM6と、RAM7と、表示部4を駆動する表示部駆動回路8と、インクジェットヘッド10を駆動するヘッド駆動回路9と、搬送ローラ13を駆動するための搬送用モータ12を駆動する搬送用モータ駆動回路11と、カット機構16を稼働するカッターモータ15を駆動するカッターモータ駆動回路14と、が接続されている。
【0027】
ROM6は、ヘッド駆動回路9によってインクジェットヘッド10に所望の描画図案を印刷媒体Mへ印刷させるためのプログラム、印刷対象となる描画図案に含まれる文字、記号、絵文字等の元データやサイズ情報、印刷フォント等を記憶する。また、ROM6は、制御部5によって読取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。
【0028】
RAM7は、印刷対象となる所望の描画図案に含まれる文字、記号、絵文字やそれらのサイズ、文字間隔等を指定する情報、作成される印刷物の大きさ等の印刷情報を記憶する入力データメモリとして機能する。また、RAM7は、入力されたそれらの印刷情報に基づいて生成され、所望の描画図案を表す印刷用パターンデータを記憶する印刷データメモリとして機能するとともに、表示部4に表示され、所望の描画図案を表す表示用パターンデータを記憶する表示データメモリ等としても機能する。また、RAM7は、印刷処理等に必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタ等を備える。
【0029】
ヘッド駆動回路9は、RAM7に記憶された印刷用パターンデータに基づいてインクジェットヘッド10を制御する。インクジェットヘッド10は、この制御に応じてインクを吐出することによって、印刷媒体Mに所望の描画図案を印刷する。
【0030】
搬送用モータ駆動回路11は、RAM7に記憶された印刷用パターンデータに基づいてステップモータを制御することによって、搬送ローラ13を制御し、インクジェットヘッド10による印刷媒体Mへの印刷中、所望の速度で当該印刷媒体Mを搬送させる。
【0031】
カッターモータ駆動回路14は、カット機構16の動作を制御する。このカット機構16は、印刷媒体Mを幅方向に切断することによって、作成した印刷物を印刷媒体Mから分離させる。なお、カット機構16は、印刷媒体Mが、複数の層(例えば、基材、剥離紙など)を有する場合には、一部の層(例えば、基材)のみを幅方向に切断してもよい。
【0032】
図3は、本第1実施形態に係る印刷装置1の一部の構成を示す斜視図である。
図3に示す第1のテープカートリッジ100には、上述の印刷媒体M1がロール状に巻かれた状態で収容されている。
【0033】
駆動ローラである搬送ローラ13−1,13−2と、従動ローラである搬送ローラ18−1,18−2とは、互いに対向するように配置されている。これら搬送ローラ13−1,13−2,18−1,18−2は、第1のテープカートリッジ100に収容された印刷媒体M1をインクジェットヘッド10へ向けて搬送する(搬送方向D1)。
【0034】
連結部材17は、アーム部17aと、被押圧部17bと、係合凸部17cと、を有する。
アーム部17aは、例えば円柱の棒状を呈し、印刷媒体M1(M)の搬送方向D1(以下、「印刷媒体Mの搬送方向D1」を単に「搬送方向D1」と記す。)と平行に配置されている。
【0035】
被押圧部17bは、アーム部17aの搬送方向D1の上流側(第1のカートリッジ100等の媒体収容部側)の端部からアーム部17aの径方向に矩形板状に突出する。被押圧部17bは、第1のカートリッジ100の筐体110に設けられた押圧部111によって押圧される。このように被押圧部17bが押圧部111によって押圧されることによって、連結部材17は一体に回転する。
【0036】
係合凸部17cは、アーム部17aの搬送方向D1の下流側(第1のカートリッジ100とは反対側)の端部からアーム部17aの径方向に矩形板状に突出する。係合凸部17cは、後述する可動ガイド部30の連結用ブロック部35の係合凹部35aに係合している。係合凸部17cと係合凹部35aとが係合した状態で連結部材17が回転することによって、可動ガイド部30は、搬送方向D1に直交する印刷媒体M1(M)の幅方向D2(以下、「印刷媒体Mの幅方向D2」を単に「幅方向D2」と記す。)に移動する。
【0037】
図4は、本第1実施形態における固定ガイド部20及び可動ガイド部30を示す斜視図である。
図4に示す固定ガイド部20は、第1のガイド部の一例であり、印刷媒体Mを幅方向D2の一端側においてガイドする。可動ガイド部30は、幅方向D2のガイド位置が可変である第2のガイド部の一例であり、印刷媒体Mを幅方向D2の他端側においてガイドする。なお、第1のガイド部を、固定ガイド部20に代えて、可動ガイド部30と同様に幅方向D2のガイド位置が可変である可動ガイド部としてもよい。
【0038】
固定ガイド部20及び可動ガイド部30は、少なくとも、インクジェットヘッド10によって印刷が行われる位置において印刷媒体Mをガイドすることが望ましい。
図3の例では、固定ガイド部20及び可動ガイド部30は、インクジェットヘッド10よりも搬送方向D1の上流側から、インクジェットヘッド10よりも搬送方向D1の下流側に亘って、印刷媒体Mをガイドする。
【0039】
固定ガイド部20は、矩形プレート21と、L字プレート22と、インク受け23と、上位置決め空間形成部24,25と、下位置決め空間形成部26,27と、を有する。
矩形プレート21は、厚み方向が幅方向D2に平行な矩形板状を呈する。矩形プレート21の上面21bは、印刷媒体Mの裏側の面である底面をガイドする。上面21bの搬送方向D1の上流側の端部は、R面取りされた曲面部21b−1となっている。
【0040】
矩形プレート21には、曲面部21b−1から、印刷媒体Mの幅方向D2における可動ガイド部30とは反対側に突出し、その後、上方に突出する側面ガイド用突出部21aが設けられている。この側面ガイド用突出部21aのうち上方に突出する部分は、厚み方向が幅方向D2に平行な矩形板状を呈し、印刷媒体Mの幅方向D2の側面をガイドする。
【0041】
L字プレート22は、L字板状を呈する例えば板金である。L字プレート22では、搬送方向D1及び幅方向D2に拡がる上面ガイド部22aと、搬送方向D1及び鉛直方向(搬送方向D1と幅方向Dとに直交する方向の一例)に拡がる側面ガイド部22bとが垂直をなす。なお、固定ガイド部20のうちL字プレート22を除く部分は、例えば樹脂材料からなる。但し、固定ガイド部20の各部の材料は、特に制限されない。
【0042】
上面ガイド部22aは、矩形プレート21の上面21bの上方に位置する。上面ガイド部22aは、底面において印刷媒体Mの表側の面である上面(印刷面)をガイドする。上面ガイド部22aには、搬送方向D1の上流側に向かって斜め上方に突出する受け入れ口側突出部22a−1が設けられている。この受け入れ口側突出部22a−1と上述の上面21bの曲面部21b−1とによって、固定ガイド部20へ進入する印刷媒体Mの受け入れ口が搬送方向D1の上流側に近づくほど鉛直方向に大きく開口する。
【0043】
側面ガイド部22bは、矩形プレート21のうち幅方向D2における可動ガイド部30とは反対側の面に沿って配置されている。
インク受け23は、矩形プレート21のうち幅方向D2における可動ガイド部30側の面から、可動ガイド部30側に突出するように設けられている。インク受け23は、印刷媒体Mが印刷位置にない状態でインクジェットヘッド10から吐出されたインク液滴を収容する。
【0044】
上位置決め空間形成部24,25は、それぞれインク受け23の上端から、搬送方向D1の上流側又は下流側に突出し、その後、下方に屈曲するL字板状を呈する。
また、下位置決め空間形成部26,27は、それぞれインク受け23の下端から、搬送方向D1の上流側又は下流側に突出し、その後、上方に屈曲するL字板状を呈する。
【0045】
搬送方向D1の上流側の上位置決め空間形成部24及び下位置決め空間形成部26は、可動ガイド部30の後述する位置決めプレート33が挿入される空間を形成する。
また、搬送方向D1の下流側の上位置決め空間形成部25及び下位置決め空間形成部27は、可動ガイド部30の後述する位置決めプレート34が挿入される空間を形成する。
【0046】
可動ガイド部30は、矩形プレート31と、L字プレート32と、位置決めプレート33,34と、連結用ブロック部35と、を有する。
矩形プレート31は、固定ガイド部20の矩形プレート21の約上半分の部分に対し、幅方向D2に対称な形状を有する。また、L字プレート32は、固定ガイド部20のL字プレート22に対し、幅方向D2に対称な形状を有する。
【0047】
そのため、矩形プレート31は、側面ガイド用突出部31aと、曲面部31b−1が設けられた上面31bと、を有する。また、L字プレート32は、受け入れ口側突出部32a−1が設けられた上面ガイド部32aと、側面ガイド部32bと、を有する。
【0048】
位置決めプレート33,34は、厚み方向が搬送方向D1に平行な矩形板状を呈し、矩形プレート31のうち、幅方向D2における固定ガイド部20側の面から固定ガイド部20側に突出するように設けられている。搬送方向D1の上流側の位置決めプレート33は、上述のように上位置決め空間形成部24及び下位置決め空間形成部26によって形成される空間に挿入される。また、搬送方向D1の下流側の位置決めプレート34は、上述のように上位置決め空間形成部25及び下位置決め空間形成部27によって形成される空間に挿入される。
【0049】
位置決めプレート33,34には、上面から鉛直下方に刳り貫かれ、その後、屈曲して矩形プレート31側へ幅方向D2に刳り貫かれたL字切り欠き33aが形成されている(位置決めプレート34のL字切り欠きは矩形プレート31で隠れるため表れない)。位置決めプレート33,34のうち、L字切り欠き33aの幅方向D2に刳り貫かれた部分の上部には、L字切り欠き33aが形成されることによって、アーム状の部分が形成される。このアーム状の部分は、アーム状を呈することによって、鉛直方向にわずかに撓むことができる。また、アーム状の部分の自由端からは、上方に突出するように摺動突起33b(位置決めプレート34の摺動突起も矩形プレート31で隠れるため表れない)が設けられている。位置決めプレート33,34の摺動突起33bのそれぞれは、可動ガイド部30の幅方向D2への移動時のガタツキが抑制されるように、上位置決め空間形成部24,25に沿って摺動する。
【0050】
連結用ブロック部35は、矩形プレート31のうち、幅方向D2における固定ガイド部20側とは反対側の面から固定ガイド部20とは反対側に突出する直方体形状を呈する。連結用ブロック部35の底面には、上述の連結部材17の係合凸部17cに係合する係合凹部35aが設けられている。この係合凹部35aは、連結用ブロック部35のうち搬送方向D1の全体に亘って形成されている。
【0051】
図5Aは、本第1実施形態における第1のテープカートリッジ100を示す斜視図である。
図5Bは、本第1実施形態における第2のテープカートリッジ200を示す斜視図である。
【0052】
第1のテープカートリッジ100は、例えば15mm幅の印刷媒体M1を収容する。また、第2のテープカートリッジ200は、例えば18mm幅の印刷媒体M2を収容する。第1のテープカートリッジ100に設けられた押圧部111と第2のテープカートリッジ200に設けられた押圧部211は、各押圧部111、211が設けられたテープカートリッジ100、200に収容される印刷媒体M1,M2の幅に対応する形状を有する。第1のテープカートリッジ100と第2のテープカートリッジ200の形状は、少なくとも、これらの押圧部111,211の形状が互いに異なることによって、収容する印刷媒体Mの幅に対応する形状を有すると言える。なお、少なくとも押圧部111、211の形状が異なっていれば良いので、第1のテープカートリッジ100と第2のテープカートリッジ200の形状は、必要であれば、押圧部111、211を除く部分の形状が共通していても良い。
【0053】
第1のテープカートリッジ100及び第2のテープカートリッジ200の筐体110,210は、中心軸が幅方向D2に平行な略円板形状を呈する。筐体110,210の下端には、押圧部111,211が設けられている。押圧部111,211は、筐体110,210の下端から下方に突出するように設けられるが、例えば、筐体110,210の下端に設けた凹部内に設けられるような場合には、筐体110,210から突出しない態様もあり得る。
【0054】
押圧部111,211は、直方体形状を呈するように筐体110,210の下端から下方に突出するが、下端側に連結部材17の被押圧部17bに当接する傾斜面111a,211aが設けられることによって楔形状を呈する。第1のテープカートリッジ100の傾斜面111aと第2のテープカートリッジ200の傾斜面211aとは、互いがなす角度が交差するように、第1のテープカートリッジ100の傾斜面111aは、押圧部111のうち幅方向D2における固定ガイド部20側に設けられ、第2のテープカートリッジ200の傾斜面211aは、押圧部211のうち幅方向D2における可動ガイド部30側に設けられている。
【0055】
以下、第1のテープカートリッジ100及び第2のテープカートリッジ200の装着時の印刷装置1の動作について、
図6A、
図6B、
図7A、
図7B、
図8A、及び
図8Bを参照しながら説明する。なお、ここでは、印刷媒体Mの幅が第1のテープカートリッジ100に収容される印刷媒体M1(例えば15mm)と第2のテープカートリッジ200に収容される印刷媒体M2(例えば18mm)との2通りである場合を例に説明するが、3通り以上の幅の印刷媒体Mを用いる場合には、可動ガイド部30を3通り以上の位置に移動させるように媒体収容部(第1のテープカートリッジ100及び第2のテープカートリッジ200)によって被押圧部17bを押圧する構成を採用してもよい。
【0056】
図6A及び
図7Aは、本第1実施形態における、第1のテープカートリッジ100の装着時の連結部材17及び可動ガイド部30の動作を説明するための図である。
図6B及び
図7Bは、本第1実施形態における、第2のテープカートリッジ200の装着時の連結部材17及び可動ガイド部30の動作を説明するための図である。
【0057】
図8Aは、本第1実施形態における、第1のテープカートリッジ100の装着時の連結部材17の動作を説明するための図である。
図8Bは、本第1実施形態における、第2のテープカートリッジ200の装着時の連結部材17の動作を説明するための図である。
【0058】
図6A、
図7A、及び
図8Aに示すように、第2のテープカートリッジ200が印刷装置1から取り出された後に第1のテープカートリッジ100が下方に向かって装着されるときには、第1のテープカートリッジ100の押圧部111は、第2の位置P2(第2のテープカートリッジ200に収容される印刷媒体M2の幅に対応する位置、すなわち、印刷媒体M2がガイドされるときの位置)にある被押圧部17bを第1の位置P1(第1のテープカートリッジ100に収容される印刷媒体M1の幅に対応する位置、すなわち、印刷媒体M1がガイドされるときの位置)まで押圧する。
【0059】
図6A及び
図7Aに示すように、被押圧部17bが押圧部111によって押圧されると、連結部材17は回転する(
図6A及び
図7Aでは半時計回り)。この連結部材17の回転に伴い、係合凸部17cも回転することによって、この係合凸部17cに対し係合凹部35aにおいて係合する可動ガイド部30が、幅方向D2のうち固定ガイド部20に接近する側に第1の位置P1まで移動する。このように移動した後の印刷媒体M1のガイド幅、すなわち、第1の位置P1にある可動ガイド部30の側面ガイド用突出部31a及び側面ガイド部32bと、固定ガイド部20の側面ガイド用突出部21a及び側面ガイド部22b(
図4参照)との間隔は、
図7Aに示すように長さL1となる。この長さL1は、第1のテープカートリッジ100に収容される印刷媒体M1の幅に対応するように、この幅よりもやや大きい値に設定される。
【0060】
一方、
図6B、
図7B、及び
図8Bに示すように、第1のテープカートリッジ100が印刷装置1から取り出された後に第2のテープカートリッジ200が下方に向かって装着されるときには、第2のテープカートリッジ200の押圧部211が第1の位置P1にある被押圧部17bを第2の位置P2まで押圧する。
【0061】
図6B及び
図7Bに示すように、被押圧部17bが押圧部211によって押圧されると、連結部材17は回転する(
図6B及び
図7Bでは時計回り)。この連結部材17の回転に伴い、係合凸部17cも回転することによって、この係合凸部17cに対し係合凹部35aにおいて係合する可動ガイド部30が、幅方向D2のうち固定ガイド部20から離隔する側に第2の位置P2まで移動する。このように移動した後の印刷媒体M2のガイド幅、すなわち、第2の位置P2にある可動ガイド部30の側面ガイド用突出部31a及び側面ガイド部32bと、固定ガイド部20の側面ガイド用突出部21a及び側面ガイド部22b(
図4参照)との間隔は、
図7Bに示すように長さL1よりも大きい長さL2となる。この長さL2は、第2のテープカートリッジ200に収容される印刷媒体M2の幅に対応するように、この幅よりもやや大きい値に設定される。
【0062】
なお、被押圧部17bの第1の位置P1及び第2の位置P2は、上記のとおり印刷媒体Mの幅に対応する位置であるだけでなく、他のテープカートリッジ(第1のテープカートリッジ100又は第2のテープカートリッジ200)の装着経路を遮る遮蔽位置といえる。
【0063】
以上説明した本第1実施形態では、第1のガイド部の一例である固定ガイド部20は、印刷媒体Mを、搬送方向D1に直交する幅方向D2の一端側においてガイドする。幅方向D2のガイド位置が可変である第2のガイド部の一例である可動ガイド部30は、印刷媒体Mを幅方向D2の他端側においてガイドする。このように、ガイド部(固定ガイド部20及び可動ガイド部30)は、印刷媒体Mを搬送方向D1に直交する幅方向D2の一端側においてガイドし、かつ、幅方向D2のガイド位置が移動する。また、ガイド部は、収容する印刷媒体Mの幅に対応する形状を有する媒体収容部の一例である第1のテープカートリッジ100又は第2のテープカートリッジ200の、自装置への装着動作に連動して、幅方向D2のガイド位置が移動する。また、本第1実施形態では、被押圧部17bは、第1のテープカートリッジ100又は第2のテープカートリッジ200の自装置への装着動作によって、印刷媒体Mの幅に対応する位置まで移動する。また、ガイド部は、押圧による被押圧部17bの移動に連動して、幅方向D2のガイド位置が移動する。また、本第1実施形態では、媒体収容部の一例である第1のテープカートリッジ100又は第2のテープカートリッジ200は、収容する印刷媒体Mの幅に対応する形状を有する。また、第1のテープカートリッジ100又は第2のテープカートリッジ200は、印刷媒体Mをその搬送方向D1に直交する幅方向D2の一端側においてガイドし、かつ、幅方向D2のガイド位置が移動するガイド部(固定ガイド部20及び可動ガイド部30)を備える印刷装置1への、当該テープカートリッジ100,200の装着動作に連動して、ガイド部の幅方向D2のガイド位置を移動させる押圧部111,211が設けられている。
【0064】
そのため、印刷装置1において印刷される印刷媒体Mの幅が一定でない場合に、固定ガイド部20及び可動ガイド部30による印刷媒体Mのガイド幅を、第1のテープカートリッジ100や第2のテープカートリッジ200の装着動作によって調整することができる。ここで、ユーザ自らが印刷媒体Mのガイド幅を設定する操作を行う印刷装置においては、操作を誤ってガイド幅を印刷媒体Mの幅に対して大きくしすぎると、固定ガイド部20及び可動ガイド部30が印刷媒体Mをガイドしなくなり印刷媒体Mの斜行等の搬送不良が発生する。また、操作を誤ってガイド幅を印刷媒体Mの幅よりも小さくしたり或いはほぼ同じ大きさにしたりすると、印刷媒体Mが固定ガイド部20及び可動ガイド部30のガイド面以外の部分に接触することによって紙詰まり等の搬送不良が発生する。しかし、本第1実施形態では、固定ガイド部20及び可動ガイド部30による印刷媒体Mのガイド幅を、第1のテープカートリッジ100や第2のテープカートリッジ200の装着動作によって調整することができるため、上述のような斜行、紙詰まり等の搬送不良が生じにくい所望のガイド幅を予め設定することができる。よって、本第1実施形態によれば、幅が異なる複数種類の印刷媒体M(M1,M2)に印刷を行う印刷装置1において、印刷媒体Mの搬送不良の発生を抑えることができる。
【0065】
また、本第1実施形態では、被押圧部17bは、第1のテープカートリッジ100又は第2のテープカートリッジ200の筐体110,210に設けられかつ印刷媒体Mの幅に対応する形状である押圧部111,211によって押圧される。そのため、押圧部111,211の形状又は位置を設定するだけで被押圧部17bを所望の位置に移動させることができるため、簡素な構成で印刷媒体Mのガイド幅を調整することができる。
【0066】
また、本第1実施形態では、アーム部17aは、例えば、係合凸部17c及び係合凹部35aを介して、可動ガイド部30に連結されている。また、アーム部17aは、例えば、被押圧部17bと一体に設けられていることによって、被押圧部17bと一体に移動する。更には、アーム部17aは、被押圧部17bが押圧される動作に連動して可動ガイド部30を幅方向D2に移動させる。そのため、簡素な構成で、可動ガイド部30とは距離を隔てて位置する第1のテープカートリッジ100及び第2のテープカートリッジ200の装着動作によって可動ガイド部30のガイド位置を調整することができる。
【0067】
また、本第1実施形態では、インク吐出部の一例であるインクジェットヘッド10は、インクを吐出することによって印刷媒体Mに印刷を行う。固定ガイド部20及び可動ガイド部30は、少なくとも、インクジェットヘッド10によって印刷が行われる位置において、印刷媒体Mをガイドする。そのため、例えば、ロール状に巻かれた状態で収容されることによる巻き癖に起因して或いは搬送経路において湾曲した状態で搬送されることに起因して印刷媒体Mがカールした場合に、印刷媒体Mがインクジェットヘッド10に接触したり或いはインク受け23に進入したりするのを防ぐことができる。なお、印刷媒体Mがインクジェットヘッド10に接触すると、意図しないインク液滴が印刷媒体Mに付着することによって印刷精度が悪化したり、或いは、印刷媒体Mに紙詰まりが発生したりする。また、印刷媒体Mがインク受け23に進入すると、印刷媒体Mに紙詰まりが発生したり、或いは、インク受け23に溜まったインクが印刷媒体Mに付着することによって印刷精度が悪化したりする。なお、印刷精度は、特に、インクジェットヘッド10と印刷媒体Mとの間隔が大きくなることによって悪化する。
【0068】
また、本第1実施形態では、固定ガイド部20及び可動ガイド部30は、少なくとも、インクジェットヘッド10によって印刷が行われる位置において、印刷媒体Mの表側の面及び裏側の面をガイドする。そのため、印刷媒体Mがカールすることによりインクジェットヘッド10に接触したり或いはインク受け23に進入したりするのをより一層防ぐことができる。
【0069】
<第2実施形態>
本第2実施形態では、連結部材17に代えて連結部材41が配置されている点と、付勢機構の一例である弾性体として圧縮バネ42が新たに配置されている点と、第3のテープカートリッジ300及び第4のテープカートリッジ400の形状が第1のテープカートリッジ100及び第2のテープカートリッジ200の形状と異なる点とにおいて上述の第1実施形態と相違し、その他の事項は第1実施形態と同様にすることができる。そのため、本第2実施形態では、第1実施形態と重複する事項については説明を省略する。
【0070】
図9A及び
図10Aは、本第2実施形態における、第3のテープカートリッジ300の装着時の連結部材41及び可動ガイド部30の状態を説明するための図である。
図9B及び
図10Bは、本第2実施形態における、第4のテープカートリッジ400の装着時の連結部材41及び可動ガイド部30の動作を説明するための図である。
【0071】
図11Aは、本第2実施形態における、第3のテープカートリッジ300の装着時の連結部材41の状態を説明するための図である。
図11Bは、本第2実施形態における、第4のテープカートリッジ400の装着時の連結部材41の動作を説明するための図である。
【0072】
連結部材41は、第1実施形態における連結部材17と同様に、アーム部41aと、被押圧部41bと、係合凸部41cと、を有する。連結部材41は、被押圧部41bの形状のみ連結部材17(被押圧部17b)と相違する。
【0073】
被押圧部41bは、アーム部41aの搬送方向D1の上流側の端部においてアーム部41aから突出する。被押圧部41bのうちアーム部41a側の基端部41b−1は、ほぼアーム部41aの径方向に突出する。基端部41b−1よりも被押圧部41bの自由端側である先端側に位置する先端部41b−2は、基端部41b−1の先端から屈曲して延び、矩形板状を呈する。
【0074】
被押圧部41bは、先端部41b−2において、圧縮バネ42によって、第4のテープカートリッジ400の搬送経路を遮る遮蔽位置である第3の位置P3(第3のテープカートリッジ300に収容される印刷媒体M3の幅に対応する位置、すなわち、印刷媒体M3がガイドされるときの位置)に向けて付勢される。なお、被押圧部41bを遮蔽位置に向けて付勢するためには、圧縮バネ42以外の弾性体や、被押圧部41bを駆動する駆動部などの他の付勢機構を用いてもよい。
【0075】
第3の位置P3における被押圧部41bは、
図9B及び
図11Bに示すように、下方に向かって装着される第4のテープカートリッジ400の筐体410によって、圧縮バネ42の付勢力に抗して第4の位置P4(第4のテープカートリッジ400に収容される印刷媒体M4の幅に対応する位置、すなわち、印刷媒体M4がガイドされるときの位置)まで押圧される。一方、
図9A及び
図11Aに示すように、第3の位置P3における被押圧部41bは、下方に向かって装着される第3のテープカートリッジ300の筐体310によっては押圧されない。被押圧部41bが第4のテープカートリッジ400の筐体410によって押圧されると、
図9B、
図10B、及び
図11Bに示すように、連結部材41は回転する(
図9B、
図10B、及び
図11Bでは時計回り)。
【0076】
この連結部材41の回転に伴い、係合凸部41cも回転することによって、この係合凸部41cに対し係合凹部35aにおいて係合する可動ガイド部30が、幅方向D2のうち固定ガイド部20から離隔する側に第4の位置P4まで移動する。
【0077】
被押圧部41bが第3の位置P3にあるときの印刷媒体M3のガイド幅は、
図10Aに示すように長さL3である。この長さL3は、第3のテープカートリッジ300に収容される印刷媒体M3の幅に対応するように、この幅よりもやや大きい値に設定される。
【0078】
一方、被押圧部41bが第4のテープカートリッジ400の筐体410によって押圧された後に第4の位置P4にあるときの印刷媒体M4のガイド幅は、
図10Bに示すように長さL3よりも大きい長さL4となる。この長さL4は、第4のテープカートリッジ400に収容される印刷媒体M4の幅に対応するように、この幅よりもやや大きい値に設定される。
【0079】
なお、第4のテープカートリッジ400が印刷装置から取り出された後には、被押圧部41bは、圧縮バネ42の付勢力によって、第4の位置P4から第3の位置P3へ移動する。
以上説明した第2実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の効果が得られる。簡便のため、詳細についてはここでの記載を省略する。
【0080】
更には、本第2実施形態では、付勢機構の一例である弾性体としての圧縮バネ42は、被押圧部41bを遮蔽位置である第3の位置P3に向けて付勢する。被押圧部41bは、第3の位置P3において媒体収容部の一例である第4のテープカートリッジ400の筐体410によって押圧される。そのため、筐体410に対し、被押圧部41bを押圧するための形状を有する押圧部が設けられなくとも、例えば、印刷媒体Mの幅に比例して大きくなる筐体410の幅方向D2における幅に応じた位置まで、筐体410によって被押圧部41bを押圧することができる。したがって、第4のテープカートリッジ400の構成を簡素化することができる。
【0081】
なお、上述の実施形態では、一対のガイド部(固定ガイド部20及び可動ガイド部30)のうちの一方のガイド部(可動ガイド部30)のみが、押圧による被押圧部17b、41bの移動に連動して幅方向のガイド位置P1,P2,P3,P4が相対的に移動する場合を例に挙げて説明したが、本発明が適用される実施形態はこれに限らない。即ち、一対のガイド部を、その両方ともが幅方向へ移動できるように構成しておいて、押圧による被押圧部の移動に連動して幅方向のガイド位置が相対的に移動するようにしても良い。
【0082】
なお、上述の実施形態では、一対のガイド部(固定ガイド部20及び可動ガイド部30)によって、印刷媒体をその搬送方向に直交する幅方向の両端側においてガイドする場合を例に挙げて説明したが、本発明が適用される実施形態はこれに限らない。即ち、幅方向の少なくとも一方の端部側においてガイド部によりガイドする一方で、他方の端部側においては、上面ガイド部22a、32a、側面ガイド用突出部21a、31a、矩形プレート21の上面21b、31bなどによらず、固定ガイド部20の内壁面(可動ガイド部30との対向面)又は可動ガイド部30の内壁面(固定ガイド部20との対向面)などによりガイドするようにしてもよい。
【0083】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態を説明したが、本願発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含む。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0084】
[付記1]
印刷媒体をその搬送方向に直交する幅方向の一端側においてガイドし、かつ、前記幅方向のガイド位置が移動するガイド部を備え、
前記ガイド部は、収容する前記印刷媒体の幅に対応する形状を有する媒体収容部の、自装置への装着動作に連動して、前記幅方向のガイド位置が移動する、
ことを特徴とする印刷装置。
【0085】
[付記2]
前記媒体収容部の自装置への装着動作によって、前記印刷媒体の前記幅に対応する位置まで移動する被押圧部をさらに備え、
前記ガイド部は、押圧による前記被押圧部の移動に連動して、前記幅方向のガイド位置が移動する、
ことを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0086】
[付記3]
前記被押圧部は、前記媒体収容部の筐体に設けられかつ前記印刷媒体の前記幅に対応する形状である押圧部によって押圧されることを特徴とする付記1又は2記載の印刷装置。
【0087】
[付記4]
前記被押圧部を前記遮蔽位置に向けて付勢する付勢部を更に備え、
前記被押圧部は、前記遮蔽位置において前記媒体収容部の筐体によって押圧される、
ことを特徴とする付記1又は2記載の印刷装置。
【0088】
[付記5]
前記ガイド部に連結され、前記被押圧部と一体に移動するアーム部を更に備え、
前記アーム部は、前記被押圧部が押圧される動作に連動して前記ガイド部を前記幅方向に移動させる、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか記載の印刷装置。
【0089】
[付記6]
収容する印刷媒体の幅に対応する形状を有する媒体収容部であって、
前記印刷媒体をその搬送方向に直交する幅方向の一端側においてガイドし、かつ、前記幅方向のガイド位置が移動するガイド部を備える印刷装置への、前記媒体収容部の装着動作に連動して、前記ガイド部の前記幅方向のガイド位置を移動させる押圧部が設けられている、
ことを特徴とする媒体収容部。