特許第6623622号(P6623622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6623622-ガス絶縁開閉装置 図000002
  • 特許6623622-ガス絶縁開閉装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623622
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/035 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   H02B13/035 A
   H02B13/035 301G
   H02B13/035 301H
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-167322(P2015-167322)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-46465(P2017-46465A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】長綱 望
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−243508(JP,A)
【文献】 特開昭59−123410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 13/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが充填された筐体内に、遮断器と、当該遮断器に断路器を介して接続される主回路導体と、が収納されたガス絶縁開閉装置であって、
前記遮断器の固定側端部に設けられ、当該遮断器の固定側リードに導通された固定側ケースと、
前記固定側ケースの内部に設けられ、当該固定側ケースに導通された導通部と、
前記導通部に摺接可能、且つ、前記主回路導体に離接可能に設けられ、前記断路器の開閉状態を切替可能な可動棒と、
前記固定側ケースから前記可動棒の軸方向に離間して設けられ、前記固定側ケースを前記導通部及び前記可動棒を介して接地可能な接地電極と、を備え
前記可動棒の端部が、前記固定側ケースと前記接地電極との間に介在している支持碍子内に挿通されて、当該接地電極と接する
ことを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
前記固定側ケースは、前記導通部を覆うように形成される
ことを特徴とする請求項記載のガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁開閉装置に関する。特に、キュービクル形ガス絶縁装置(C−GIS)に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置は、遮断器、断路器、避雷器、検電装置等を盤内に集約した保護装置である(例えば、特許文献1,2)。ガス絶縁開閉装置は、用途に応じて選択された受電ユニット、計器用変圧変流器(PCT)ユニット、変圧器一次ユニット、及び母線区分ユニット等を配置して構成される。
【0003】
図2に示すように、ガス絶縁開閉装置25の受電ユニットは、筐体2の内部が隔壁3,4,5によって仕切られ、母線室6、機器室7が形成される。これら2つの空間には、六フッ化硫黄ガスやドライエア等の絶縁ガスが充填される。
【0004】
母線室6には、母線10が設けられる。一方、機器室7の一側面には、ガス絶縁開閉装置25として受電するためのケーブルヘッド(chd)11が設けられる。そして、母線10は、接地開閉器付断路器(EDS)26、真空遮断器(VCB)8、接地開閉器付断路器(EDS)27、及び主回路導体9を介してケーブルヘッド11に接続される。なお、真空遮断器8の操作器28は、機器室7外部の操作器室29に収納され、接地開閉器付断路器27の操作器(図示せず)は、機器室7外部の操作器室30に収納される。
【0005】
真空遮断器8は、固定側導体を兼用する固定側ケース31と、可動側導体を兼用する可動側ケース32との間に支持される。固定側ケース31は、支持碍子33により機器室7内部に支持され、接続導体34を介して接地開閉器付断路器26に接続される。可動側ケース32は、支持碍子35により機器室7内部に支持され、接続導体36を介して接地開閉器付断路器27に接続される。
【0006】
接地開閉器付断路器27は、シールド37、導体38及び可動棒39を有する。シールド37は導体38を覆うように設けられ、導体38と導通する。シールド37により、導体38(及び可動棒39)の電界が緩和される。可動棒39は、導体38と摺接しながら軸方向に移動可能に設けられる。つまり、導体38と接続された可動棒39が主回路導体9に離接することで、接地開閉器付断路器27の開閉が行われる。なお、シールド37は、接続導体36を介して真空遮断器8の可動側ケース32と導通している。
【0007】
主回路導体9は、支持碍子40により機器室7内に支持され、ケーブルヘッド11に接続される。主回路導体9には、線路接地開閉器(ES)12及び避雷器(LA)13が設けられる。
【0008】
以上のように、ガス絶縁開閉装置25では、真空遮断器8、接地開閉器付断路器27等の機器が接地されるとともに、低圧絶縁ガスが封入された機器室7に一括収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−41308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ガス絶縁開閉装置では、受変電設備に対し更なる省スペース化が求められている。例えば、ガス絶縁開閉装置の高さを低減したり、軽量化したりすることで、ガス絶縁開閉装置の輸送が容易になり、配置自由度が向上することとなる。
【0011】
上記事情に鑑み、本発明は、ガス絶縁開閉装置の小型化及び部品点数削減に貢献する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明のガス絶縁開閉装置は、絶縁ガスが充填された筐体内に、遮断器と、当該遮断器に断路器を介して接続される主回路導体と、が収納されたガス絶縁開閉装置であって、前記遮断器の固定側端部に設けられ、当該遮断器の固定側リードに導通された固定側ケースと、前記固定側ケースの内部に設けられ、当該固定側ケースに導通された導通部と、前記導通部に摺接可能、且つ、前記主回路導体に離接可能に設けられ、前記断路器の開閉状態を切替可能な可動棒と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上の発明によれば、ガス絶縁開閉装置を小型化することができる。また、ガス絶縁開閉装置の部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るガス絶縁開閉装置の要部拡大断面図である。
図2】従来技術に係るガス絶縁開閉装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るガス絶縁開閉装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態の説明では、特定の望ましい実施形態を挙げて説明するが、本発明のガス絶縁開閉装置は、実施形態に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲で、適宜設計変更が可能であり、設計変更された形態も本発明の技術範囲に属する。また、実施形態の説明では、図2に示した従来技術に係るガス絶縁開閉装置25と同様の構成については同じ符号を付し、異なる構成について詳細に説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係るガス絶縁開閉装置1は、図2に示した従来技術に係るガス絶縁開閉装置25と同様に、筐体2の内部が隔壁3,4,5によって仕切られ、母線室6、機器室7が形成される。これら2つの空間には、六フッ化硫黄ガスやドライエア等の絶縁ガスが充填される。そして、母線室6に設けられた母線10が、機器室7に設けられた真空遮断器8及び主回路導体9等を介してケーブルヘッド11に接続される。また、主回路導体9には、線路接地開閉器12及び避雷器13が設けられる。
【0017】
図1に示すように、真空遮断器8の固定側導体を兼用する固定側ケース14は、支持碍子15により機器室7内部に支持される。すなわち、固定側ケース14は、真空遮断器8の固定側端部に設けられ、真空遮断器8の固定側リード(図示せず)と導通している。また、図示省略しているが、真空遮断器8の上端部には、真空遮断器8の可動側導体を兼用する可動側ケースが設けられ、この可動側ケースと固定側ケース14との間に真空遮断器8が支持される。そして、可動側ケースは、接続導体34を介して接地開閉器付断路器26に接続される。
【0018】
固定側ケース14内部には、筒状の導体16が設けられ、導体16を挿通して可動棒17が設けられる。可動棒17の一端には、可動棒17を軸方向に移動可能な操作棒18が接続される。操作棒18は、支持碍子15を挿通して設けられ、DS操作器(図示せず)に接続される。つまり、DS操作器、操作棒18、可動棒17、導体16及び固定側ケース14等により断路器(DS)19が構成されることとなる。なお、固定側ケース14は、可動棒17のシールドを兼ねており、例えば、固定側ケース14を、導体16を覆うように形成することで、導体16(及び可動棒17)の電界が緩和される。また、支持碍子15の端部であって固定側ケース14が設けられる側と反対側の端部には、断路器19を接地する接地電極20が設けられる。この接地電極20には、可動棒17の端部が離接可能な接地電極コンタクト21が設けられる。
【0019】
主回路導体9は、固定側ケース14から離間して設けられる。主回路導体9には、可動棒17の端部が離接可能な固定側コンタクト22が設けられる。
【0020】
導体16には、可動棒17と摺接可能なDSコンタクト23及びESコンタクト24が設けられる。DSコンタクト23は、導体16の主回路導体9と対向する側の端部に設けられる。そして、DSコンタクト23と可動棒17が接触した状態で、可動棒17の端部が主回路導体9に設けられた固定側コンタクト22に接触することで、固定側ケース14と主回路導体9とが導通することとなる。一方、ESコンタクト24は、導体16の接地電極20と対向する側の端部に設けられる。そして、ESコンタクト24に可動棒17が接触した状態で、可動棒17の端部が接地電極20に設けられた接地電極コンタクト21と接触することで、固定側ケース14が接地されることとなる。
【0021】
[断路器の動作]
次に、断路器19の動作(すなわち、可動棒17の動作)について説明する。断路器19の動作は、DS操作器により行われる。すなわち、DS操作器が操作棒18を介して可動棒17を軸方向に移動させ、可動棒17の位置を切り替える。そして、可動棒17の位置により、(1)断路器19入りの状態、(2)断路器19切りの状態、(3)断路器19を接地した状態(接地開閉器ES入りの状態)が切り替わることとなる。
【0022】
(1)断路器19入りの状態
可動棒17の一端部が、主回路導体9の固定側コンタクト22に接続される。このとき、可動棒17の他端部は、DSコンタクト23と接触しており、主回路導体9が可動棒17及び導体16とを介して固定側ケース14と導通することとなる。つまり、主回路導体9が、真空遮断器8や母線10と導通した状態となっている。
【0023】
(2)断路器19切りの状態
可動棒17の端部が、主回路導体9の固定側コンタクト22から離間した状態となっている。このとき、可動棒17の他端部は、接地電極コンタクト21に接触しない位置にある。つまり、主回路導体9と真空遮断器8との回路が開いた状態となっている。
【0024】
(3)断路器19を接地した状態
可動棒17の一端部が、接地電極コンタクト21に接続される。このとき、可動棒17の他端部がESコンタクト24と接触しており、固定側ケース14が、導体16及び可動棒17を介して接地電極20に接続される。
【0025】
以上のような、本発明の実施形態に係るガス絶縁開閉装置1によれば、遮断部(例えば、真空遮断器8)の端部に設けられる固定側ケース14と、断路器19のシールドと、を共通にすることで、固定側ケース14と断路器19のシールド間を接続する接続導体が不要となる。その結果、真空遮断器8と断路器19の接続部が縮小化し、ガス絶縁開閉装置1を縮小化することができる。また、ガス絶縁開閉装置1を構成する部品点数を削減することができる。
【0026】
また、固定側ケース14と断路器19のシールドを一体とすることで、支持碍子15で、固定側ケース14と断路器19のシールドを同時に固定することができる。さらに、支持碍子15により、固定側ケース14の固定強度及び断路器19のシールド固定強度を確保することができる。また、固定側ケース14を挿通して断路器19の操作棒18が設けられることとなり、断路器19の操作と真空遮断器8の操作を一つの操作器で行うことが可能となる。
【0027】
また、接地電極コンタクト21、導体16、及び固定側コンタクト22を同一直線上に配置することで、可動棒17の3位置動作により、断路器19の切替えを行うことができる。つまり、断路器19の操作機構がシンプルな構造となる。
【符号の説明】
【0028】
1,25…ガス絶縁開閉装置
2…筐体、3,4,5…隔壁、6…母線室、7…機器室
8…真空遮断器(遮断器)、9…主回路導体、10…母線
11…ケーブルヘッド、12…線路接地開閉器、13…避雷器
14…固定側ケース、15…支持碍子、16…導体(導通部)
17…可動棒、18…操作棒、19…断路器
20…接地電極、21…接地電極コンタクト、22…固定側コンタクト
23…DSコンタクト、24…ESコンタクト
26,27…接地開閉器付断路器
図1
図2