特許第6623623号(P6623623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623623
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】電池式ガス燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20191216BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20191216BHJP
   F24H 1/10 20060101ALI20191216BHJP
   F24H 1/12 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   F23N5/24 110Z
   F16K37/00 M
   F24H1/10 301Z
   F24H1/12 B
   F23N5/24 101A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-167365(P2015-167365)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-44407(P2017-44407A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002088
【氏名又は名称】特許業務法人プロイスIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山口 恭平
(72)【発明者】
【氏名】若山 義洋
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−089677(JP,A)
【文献】 特開2002−213740(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/038546(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/24
F16K 37/00
F24H 1/10
F24H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給管路を開閉する電磁弁と、該電磁弁の開閉動作を制御する制御部と、前記電磁弁及び前記制御部の駆動用の電源となる電池を交換可能に収容する電池収容部とを備える電池式ガス燃焼装置において、
前記制御部は、前記電池の電圧値を検出する電池電圧検出機能と、前記電磁弁の駆動に必要な必要電池電圧を推定する必要電池電圧推定機能と、前記電池電圧検出機能により検出された前記電圧値が前記必要電池電圧よりも低い場合に電池寿命であると判定する第1の電池寿命判定機能と、電池寿命であると判定された場合に電池寿命である旨の報知を行う電池寿命報知機能とを備えており、
前記制御部は、前記電磁弁の故障判定を行う電磁弁故障判定機能をさらに備え、前記第1の電池寿命判定機能は、前記電磁弁故障判定機能により電磁弁故障であると判定されている場合にのみ電池寿命であるとの前記判定を行うことを特徴とする電池式ガス燃焼装置。
【請求項2】
請求項に記載の電池式ガス燃焼装置において、前記制御部は、前記電磁弁故障判定機能により電磁弁故障であると判定され、且つ、前記第1の電池寿命判定機能によって電池寿命であると判定されない場合に、電磁弁が故障しているとの報知を行う電磁弁故障報知機能をさらに備えていることを特徴とする電池式ガス燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池式ガス燃焼装置において、前記必要電池電圧推定機能は、前記電磁弁の開閉動作の回数を合計した累計回数に基づいて前記必要電池電圧を推定することを特徴とする電池式ガス燃焼装置。
【請求項4】
請求項に記載の電池式ガス燃焼装置において、前記制御部は、前記電池電圧検出機能により検出される電圧値が所定の電池寿命判定閾値よりも低い場合に電池寿命であると判定する第2の電池寿命判定機能をさらに備え、前記必要電池電圧のうち少なくとも所定回数を超える前記累計回数に対応するものは、前記電池寿命判定閾値よりも高い電圧値に設定されていることを特徴とする電池式ガス燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を電源として動作する電池式ガス瞬間湯沸器や電池式ガスコンロなどの電池式ガス燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電池式ガス瞬間小型湯沸器や電池式ガスコンロなどの電池式ガス燃焼装置には、例えば下記の特許文献1に開示されているように、ガスバーナに対して燃料ガスを供給するガス供給管路の途中に元ガス電磁弁を設け、この元ガス電磁弁によってガス供給管路の開閉を行っている。
【0003】
この元ガス電磁弁は、吸着コイルによってプランジャを駆動することによって開弁動作し、開弁すると保持コイルによって開弁状態を保持するように構成されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−111161号公報
【特許文献2】特開2014−25649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
元ガス電磁弁は着火の度に開弁動作が行われるものであるため、耐用年数を10年とすると数万回〜数十万回ものプランジャの往復動が行われる。元ガス電磁弁はこのような多数回の駆動に耐えるよう設計されているが、プランジャが数万回もの往復動作をするとプランジャ表面が摩耗し、断面積がわずかに減少することによってプランジャに同じ駆動力を生じさせるために必要な吸着電流及び保持電流が増加していくという傾向がある。そのため、回路設計においては、一日に開閉動作される回数を想定し、保障年数の最終時期において電磁弁の駆動に必要な吸着電流及び保持電流を算出している。
【0006】
一方、ガス瞬間湯沸器やガスコンロにおいては電源として乾電池を用いるものも多いが、乾電池は消耗に伴って出力電圧が低下していくという特性を有している。上記吸着電流及び保持電流を考慮した回路設計は、電池寿命、電子部品の特性のばらつき、電磁弁のコイル抵抗値のばらつき及び動作温度などの最悪条件を考慮すると設計上の余裕は殆どない。そのため、想定回数以上の開閉動作を繰り返した電磁弁を開弁動作させようとしたとき、電池寿命の近づいた電池を電源として使用している場合、電源電圧が低下しているために電磁弁の必要吸着電流を流すことができず、これにより電磁弁が故障していないにもかかわらず電磁弁故障であるとの報知が行われることがあった。
【0007】
しかし、この場合でも、電池寿命が到来していない電池に交換すれば何ら問題なく使用を継続できるものであり、電磁弁故障であるとの報知によりユーザーがサービスコールして電磁弁を交換修理すると電池交換よりも高額の修理費を要してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、電磁弁の駆動回数により電池交換によって使用を継続できる状態であると判定される場合などには電池寿命として報知し、電池交換を促すことによって無用な故障報知が行われることを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0010】
すなわち、本発明は、ガス供給管路を開閉する電磁弁と、該電磁弁の開閉動作を制御する制御部と、前記電磁弁及び前記制御部の駆動用の電源となる電池を交換可能に収容する電池収容部とを備える電池式ガス燃焼装置において、前記制御部は、前記電池の電圧値を検出する電池電圧検出機能と、前記電磁弁の駆動に必要な必要電池電圧を推定する必要電池電圧推定機能と、前記電池電圧検出機能により検出された前記電圧値が前記必要電池電圧よりも低い場合に電池寿命であると判定する第1の電池寿命判定機能と、電池寿命であると判定された場合に電池寿命である旨の報知を行う電池寿命報知機能とを備えていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0011】
かかる本発明の電池式ガス燃焼装置によれば、電磁弁の駆動に必要な必要電池電圧よりも検出電池電圧が低い場合に電池寿命であると判定して報知するので、電磁弁の開閉動作を行うための電池電圧が不足すると電池寿命であると判定して報知し、これによりユーザに対して電池交換を促すことができ、電池交換によって電池電圧が上昇すれば劣化した電磁弁であっても正常に使用を継続することができ、無用な電磁弁の交換修理が行われることを回避できる。
【0012】
なお、第1の電池寿命判定機能が判定に用いる電池電圧は、電磁弁の開閉動作時(例えば元ガス電磁弁の吸着コイル動作時若しくは保持コイル動作時)の電池電圧であってもよく、また、開放電圧であってもよい。より正確な判定を行うためには大電流(数百mA)の吸着電流が流れる吸着コイル動作時の電池電圧に基づいて判定することが好ましい。
【0013】
上記本発明の電池式ガス燃焼装置において、前記必要電池電圧推定機能は、前記電磁弁の開閉動作の回数を合計した累計回数に基づいて前記必要電池電圧を推定することができる(請求項)。これによれば、電磁弁の累計駆動回数が増加するにしたがって該電磁弁の開閉動作に必要な電池電圧値が増加するという特性を有する場合に、該特性にあわせて上記必要電池電圧を予め設定しておくことによって、電磁弁の劣化に応じた適切な必要電池電圧を用いて電池寿命判定を行うことができる。なお、累計回数のカウント方法は適宜のものであってよく、例えば電磁弁の閉弁状態から開弁動作させた回数をすべてカウントしてもよいし、開弁動作10回ごとに1カウントするようなものでもよい。また、吸着コイルと保持コイルとを備える電磁弁の場合には、吸着コイルに電流を流した回数をカウントしてもよいし、何らかの動作不良により電磁弁が開弁動作するまでに吸着コイルに数回電流を流すことがある場合には、開弁動作が確認された回数をカウントしてもよい。また、開弁動作の回数ではなく、開いた状態から閉弁動作した回数をカウントすることもできる。
【0014】
上記本発明の電池式ガス燃焼装置において、前記制御部は、前記電磁弁の故障判定を行う電磁弁故障判定機能をさらに備え、前記第1の電池寿命判定機能は、前記電磁弁故障判定機能により電磁弁故障であると判定されている場合にのみ電池寿命であるとの前記判定を行うものであってよい(請求項)。これによれば、必要電池電圧に基づく第1の電池寿命報知機能による電池寿命報知が、電磁弁故障でないと判定されている場合に行われてしまうことを回避し、無用な電池寿命報知によってまだ使用可能な電池が交換されてしまうことを防止できる。
【0015】
さらに、前記制御部は、前記電磁弁故障判定機能により電磁弁故障であると判定され、且つ、前記第1の電池寿命判定機能によって電池寿命であると判定されない場合に、電磁弁が故障しているとの報知を行う電磁弁故障報知機能をさらに備えていてよい(請求項)。これによれば、電池寿命であると判定された場合に電磁弁故障報知が行われることによって、電池交換をすればまだ使用可能であるにもかかわらず電磁弁の交換修理が行われてしまうことを回避できる。
【0016】
また、前記制御部は、前記電池電圧検出機能により検出される電圧値が所定の電池寿命判定閾値よりも低い場合に電池寿命であると判定する第2の電池寿命判定機能をさらに備え、前記必要電池電圧のうち少なくとも所定回数を超える前記累計回数に対応するものは、前記電池寿命判定閾値よりも高い電圧値に設定されていてよい(請求項)。これによれば、電磁弁が少なくとも所定回数を超える開閉動作を行っている場合に、電池電圧のみに基づいて電池寿命を判定する第2の電池寿命判定機能が電池寿命ではないと判定する場合でも、電磁弁故障であると判定された場合には第2の電池寿命判定機能が判定に用いる電池寿命判定閾値よりも高い電圧値である必要電池電圧を用いて第1の電池寿命判定機能が電池寿命であると判定することで、電磁弁故障報知前に一度電池交換をすることをユーザに対して促すことができる。さらに、第1の電池寿命判定機能とは別に第2の電池寿命判定機能を設けておくことで、電磁弁故障であるとの判定は行われないが、設計仕様として正常な動作を行うには電池電圧が不足する状態となったときには電池寿命報知を行わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る電池式ガス燃焼装置によれば、電磁弁の駆動に必要な必要電池電圧よりも検出電池電圧が低い場合に電池寿命であると判定して報知するので、電磁弁の開閉動作を行うための電池電圧が不足すると電池寿命であると判定して報知し、これによりユーザに対して電池交換を促すことができ、電池交換によって電池電圧が上昇すれば劣化した電磁弁であっても正常に使用を継続することができ、無用な電磁弁の交換修理が行われることを回避できる。
【0018】
また、本発明の請求項に係る電池式ガス燃焼装置によれば、電磁弁の累計駆動回数が増加するにしたがって該電磁弁の開閉動作に必要な電池電圧値が増加するという特性を有する場合に、該特性にあわせて上記必要電池電圧を予め設定しておくことによって、電磁弁の劣化に応じた適切な必要電池電圧を用いて電池寿命判定を行うことができる。
【0019】
また、本発明の請求項に係る電池式ガス燃焼装置によれば、必要電池電圧に基づく第1の電池寿命報知機能による電池寿命報知が、電磁弁故障でないと判定されている場合に行われてしまうことを回避し、無用な電池寿命報知によってまだ使用可能な電池が交換されてしまうことを防止できる。
【0020】
また、本発明の請求項に係る電池式ガス燃焼装置によれば、電池寿命であると判定された場合に電磁弁故障報知が行われることによって、電池交換をすればまだ使用可能であるにもかかわらず電磁弁の交換修理が行われてしまうことを回避できる。
【0021】
また、本発明の請求項に係る電池式ガス燃焼装置によれば、電磁弁が少なくとも所定回数を超える開閉動作を行っている場合に、電池電圧のみに基づいて電池寿命を判定する第2の電池寿命判定機能が電池寿命ではないと判定する場合でも、電磁弁故障であると判定された場合には第2の電池寿命判定機能が判定に用いる電池寿命判定閾値よりも高い電圧値である閾値を用いて第1の電池寿命判定機能が電池寿命であると判定することで、電磁弁故障報知前に一度電池交換をすることをユーザに対して促すことができる。さらに、第1の電池寿命判定機能とは別に第2の電池寿命判定機能を設けておくことで、電磁弁故障であるとの判定は行われないが、設計仕様として正常な動作を行うには電池電圧が不足する状態となったときには電池寿命報知を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る電池式ガス燃焼装置としての電池式瞬間湯沸器の概略構成図である。
図2】同実施形態における元ガス電磁弁の累積駆動回数と吸着コイルを駆動するための必要電池電圧(開放電圧)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る電池式瞬間湯沸器(電池式ガス燃焼装置)の全体概略構成を示しており、該電池式瞬間湯沸器は、制御基板1(制御部)と、燃焼バーナ2及び熱交換器3を有する燃焼缶体4と、バーナ2に燃料ガスを供給するガス供給管路5と、ガス供給管路5の途中に設けられて該管路5を開閉する元ガス電磁弁6と、熱交換器3に水道水から供給される水を導く入水管路7と、熱交換器3を通過することによって加熱された湯水を出湯する出湯管路8と、乾電池などの電池9を交換可能に収容可能な電池ケース10(電池収容部)とを備えている。本実施形態では、2個の乾電池を直列に接続することによって新品時3Vの電源電圧が得られるようにしており、仕様上、乾電池の劣化によって電源電圧が開放電圧で2.0V付近まで降下しても給湯動作を行えるように設計している。
【0025】
制御基板1は、制御中枢としてのマイクロプロセッサ11を備えており、該マイクロプロセッサ11の電源ポートVddは電源ライン12を介して電池9の正極に接続されており、これによりマイクロプロセッサ11は電池9を電源として駆動するようになっている。電源ライン12には電池電圧検出回路15が接続されており、該電池電圧検出回路15が出力する監視信号(検出電圧)はマイクロプロセッサ11の電池電圧監視信号入力ポートに入力され、これによりマイクロプロセッサ11が電池電圧値を検出可能となっている(電池電圧検出機能)。
【0026】
また、制御基板1には、元ガス電磁弁6の駆動回路16が設けられている。元ガス電磁弁6は、吸着コイル61及び保持コイル62を内蔵しており、マイクロプロセッサ11の吸着コイル制御信号出力ポートから吸着コイルを駆動させる制御信号を駆動回路16に出力すると、吸着コイル61に所定の吸着電流が流れることによって元ガス電磁弁6が閉じた状態から開弁動作する。開弁した状態でマイクロプロセッサ11の保持コイル制御信号出力ポートから保持コイル62を駆動させる制御信号を駆動回路16に出力するとともに吸着コイル制御信号の出力を停止すると、保持コイル62に所定の保持電流が流れるとともに吸着コイル61の吸着電流は流れなくなり、これにより少ない駆動電流で元ガス電磁弁6を開弁状態で保持しておくことが可能となっている。
【0027】
吸着電流及び保持電流の電流値は、電池電圧値と、各コイル駆動時の回路抵抗値とにより定まる。図示例では、駆動回路16内に回路抵抗値切換回路16aを設け、吸着コイル制御信号が出力されていないときには保持コイル62に保持電流を流す回路抵抗値としておき、吸着コイル制御信号が出力されると回路抵抗値切換回路16aの回路抵抗値が吸着コイル61に吸着電流を流すものとなるようにしている。なお、吸着コイル61及び保持コイル62毎に個別に固定的な回路抵抗を介してそれぞれ電源ライン12に接続しておくこともできる。
【0028】
また、制御基板1には、吸着コイル61及び保持コイル62に印加されている駆動電圧を検出するための分圧回路などからなるコイル駆動電圧検出回路17,18がそれぞれ設けられており、これら検出回路17,18が出力する監視信号がマイクロプロセッサ11の吸着コイル監視信号入力ポート及び保持コイル監視信号入力ポートにそれぞれ入力されている。
【0029】
燃焼缶体4には、点火装置としてのイグナイタ20と、炎検出装置として熱電対21が設けられ、イグナイタ20はマイクロプロセッサ11により駆動制御されるとともに、熱電対21の検出信号はマイクロプロセッサ11に入力される。
【0030】
マイクロプロセッサ11は、燃焼動作制御(給湯動作制御)を開始すると、吸着コイル制御信号を出力することにより元ガス電磁弁6の吸着コイル61を駆動して開弁動作させるとともに保持コイル制御信号出力に切り替えることで開弁状態を保持して、燃料ガスをバーナ2に供給する。また、イグナイタ20を駆動することによって点火させ、正常に点火したか否かを熱電対21の検出信号に基づいて判定する。
【0031】
ここで、回路上の異常が検出されてないにもかかわらず上記の点火動作制御を数回程度繰り返しても正常に点火したことを確認できない場合、マイクロプロセッサ11は、元ガス電磁弁6の故障であると判定するように構成されている(電磁弁故障判定機能)。
【0032】
また、マイクロプロセッサ11は、上記の点火動作制御によって元ガス電磁弁6を開弁動作させた累計回数(点火動作回数)をカウントして、該累計回数を示す値をマイクロプロセッサ11の内部若しくは外部の不揮発性メモリ(図示せず)に記憶保持するように構成されている(電磁弁駆動回数計数機能)。
【0033】
また、不揮発性メモリには、図2に示す元ガス電磁弁の累計駆動回数と吸着コイル61を駆動するための必要電池電圧との関係データが、テーブルや数式などの適宜の形態で出荷時に記憶保持されている。
【0034】
上記の元ガス電磁弁6の故障判定がなされた場合、本実施形態では、すぐに電磁弁故障報知を行うのではなく、まず、故障判定がなされた時点の元ガス電磁弁6の累計駆動回数に対応する必要電池電圧を上記関係データを参照することによって算出乃至抽出して、この必要電池電圧を元ガス電磁弁6の吸着動作に必要なものとして推定するとともに(必要電池電圧推定機能)、故障判定がなされた時点の検出電池電圧値(開放電圧値)が上記のように推定された必要電池電圧値よりも低い場合には電池寿命であると判定し(第1の電池寿命判定機能)、電池寿命であると判定されるとブザー回路やLED表示装置などの報知部(図示せず)を駆動制御することによって電池寿命である旨の報知を行うように構成している(電池寿命報知機能)。かかる電池寿命報知によってユーザが電池交換を行うと、電池電圧値が3.0Vに復帰するため、電磁弁6が故障していないのであれば正常に点火動作がなされて、給湯運転を正常に行うことが可能となる。
【0035】
一方、故障判定がなされたときの検出電池電圧値が必要電池電圧値以上である場合には、電池寿命ではないと推定されるため、電磁弁故障である旨の報知を行うように構成している(電磁弁故障報知機能)。
【0036】
また、本実施形態では、上記した電磁弁故障判定と連動した電池寿命判定機能(第1の電池寿命判定機能)とは別に、マイクロプロセッサ11は、検出電池電圧値のみに基づいて電池寿命を判定する機能(第2の電池寿命判定機能)をも有している。
【0037】
第2の電池寿命判定機能は、例えば、無負荷時乃至低負荷時の検出電池電圧値が所定の電池寿命判定閾値(例えば2.3V未満)となった場合に電池寿命であると判定するものであり、電池寿命であると判定されると上記報知部を駆動制御することによって電池寿命である旨の報知を行う。なお、この第2の電池寿命判定機能によって電池寿命であると判定されたときの電池寿命報知の内容は、上記第1の電池寿命判定機能によって電池寿命であると判定されたときの電池寿命報知の内容と同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0038】
なお、第1の電池寿命判定機能が判定に用いる必要電池電圧は、図2に示すように、電磁弁6の累計駆動回数が約20万回程度までは、第2の電池寿命判定機能が用いる電池寿命判定閾値である2.3Vよりも小さいため、第1の電池寿命判定機能によって電池寿命であると判定される前に第2の電池寿命判定機能によって電池寿命であると判定され、ユーザによって電池交換がなされる。一方、電磁弁6の累計駆動回数が約20万回を超えると、第1の電池寿命判定機能が判定に用いる必要電池電圧が上記電池寿命判定閾値よりも大きくなるため、この状態で電磁弁故障判定がなされた場合に第1の電池寿命判定機能によって電池寿命であるとの判定がなされることとなる。
【0039】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、本発明は、電池式ガスコンロなど、電池を電源とする適宜のガス燃焼装置に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 制御部
5 ガス供給管路
6 電磁弁
9 電池
10 電池収容部
図1
図2