特許第6623635号(P6623635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623635
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20191216BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-182214(P2015-182214)
(22)【出願日】2015年9月15日
(65)【公開番号】特開2017-60269(P2017-60269A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲村 洋
(72)【発明者】
【氏名】立花 秀晃
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−064916(JP,A)
【文献】 特開2011−023028(JP,A)
【文献】 特開2012−227325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子の動作を制御する制御回路基板(2)と、
該制御回路基板の厚み方向における一方側である下側に配され、上記半導体素子を内蔵した半導体モジュール(3)と、
上記制御回路基板の下側面に搭載された基板コネクタ(4)と、
上記半導体モジュール及び上記制御回路基板を収容し、該制御回路基板の厚み方向における上記半導体モジュールが配された側と反対側である上側に向って開口する開口部(50)を有するケース(5)と、
該ケースの上記開口部を閉塞する蓋体(6)と、を有し、
上記基板コネクタは、相手方コネクタ(7)との接続方向を上記制御回路基板と平行にすると共に、相手方コネクタが接続される側を上記制御回路基板の外側に向けた状態で配設されており、
上記制御回路基板には、上記厚み方向に貫通し、上記基板コネクタに向って開口した切欠部(20)が形成されている、電力変換装置(1)。
【請求項2】
上記切欠部は、上記厚み方向と上記接続方向との双方に直交する横方向(Y)の寸法が、上記基板コネクタよりも小さい、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
上記制御回路基板は、端縁の一部から内側へ後退した後退部(21)を有し、上記切欠部は、上記後退部の一部からさらに内側へ切り欠かれて形成されている請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
上記基板コネクタに接続される相手方コネクタをさらに有し、上記基板コネクタ及び上記相手方コネクタの少なくとも一方は、上記基板コネクタと上記相手方コネクタとの嵌合状態を、上記制御回路基板の上側から上記切欠部を通して確認できる嵌合確認部(721)を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
上記制御回路基板は、上記ケースにおける上記開口部の下側に位置している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
上記半導体モジュールは、モジュール本体部(30)と、該モジュール本体部から上側に向って突出形成され、上記制御回路基板に接続される制御端子(31)とを有し、上記基板コネクタは、上記厚み方向における上記制御回路基板と上記モジュール本体部との間に配されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の動作を制御する制御回路基板を有する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体素子の動作を制御する制御回路基板と、上記半導体素子を内蔵した半導体モジュールと、上記制御回路基板に搭載された基板コネクタとを有する電力変換装置が開示されている。制御回路基板及び半導体モジュールは、制御回路基板の厚み方向の一方側に向って開口した開口部を有するケース内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−23720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電力変換装置は、制御回路基板に対して、ケースの開口側の面に基板コネクタが配されている。それゆえ、制御回路基板からケースの開口側に基板コネクタが突出するため、上記厚み方向において電力変換装置が大型化しやすい。
【0005】
ここで、電力変換装置の小型化を図るべく、制御回路基板に対して、上記厚み方向におけるケースの開口側と反対側に、基板コネクタを配置することも考えられる。しかし、この場合、上記厚み方向におけるケースの開口側からケース内に収容された制御回路基板を見たとき、基板コネクタが制御回路基板の裏側に隠れてしまい、基板コネクタの位置が確認し難い。それゆえ、基板コネクタと、基板コネクタに接続される相手方コネクタとの接続作業が行い難くなり、電力変換装置の製造効率が低くなってしまう。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、小型化及び製造効率の向上を図ることのできる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、半導体素子の動作を制御する制御回路基板(2)と、
該制御回路基板の厚み方向における一方側である下側に配され、上記半導体素子を内蔵した半導体モジュール(3)と、
上記制御回路基板の下側面に搭載された基板コネクタ(4)と、
上記半導体モジュール及び上記制御回路基板を収容し、該制御回路基板の厚み方向における上記半導体モジュールが配された側と反対側である上側に向って開口する開口部(50)を有するケース(5)と、
該ケースの上記開口部を閉塞する蓋体(6)と、を有し、
上記基板コネクタは、相手方コネクタ(7)との接続方向を上記制御回路基板と平行にすると共に、相手方コネクタが接続される側を上記制御回路基板の外側に向けた状態で配設されており、
上記制御回路基板には、上記厚み方向に貫通し、上記基板コネクタに向って開口した切欠部(20)が形成されている、電力変換装置(1)にある。
【発明の効果】
【0008】
上記電力変換装置においては、基板コネクタが、制御回路基板における下側面に搭載されている。それゆえ、制御回路基板から上側に基板コネクタが突出することを防ぐことができ、厚み方向における電力変換装置の小型化を図ることができる。
【0009】
また、制御回路基板には、上記厚み方向に貫通し、基板コネクタに向って開口した切欠部が形成されている。それゆえ、上記厚み方向におけるケースの開口側からケース内に収容された制御回路基板を見たとき、切欠部から基板コネクタの位置を確認することができる。それゆえ、基板コネクタと、基板コネクタに接続される相手方コネクタとの接続作業が行いやすくなり、電力変換装置の製造効率を向上させることができる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、小型化及び製造効率の向上を図ることのできる電力変換装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1における、電力変換装置の上面図。
図2図1において、制御回路基板を透視した図。
図3図1の、III−III線矢視断面図。
図4】実施形態1における、電力変換装置の斜視図。
図5】実施形態1における、基板コネクタに相手方コネクタを嵌合させる様子を示すための電力変換装置の一部上面図。
図6】実施形態1における、基板コネクタに相手方コネクタを嵌合した様子を示す電力変換装置の一部上面図。
図7図5の、VII−VII線矢視断面図。
図8図6の、VIII−VIII線矢視断面図。
図9】実施形態2における、制御回路基板及び基板コネクタの上面図。
図10】実施形態3における、基板コネクタに相手方コネクタを嵌合させる様子を示すための、制御回路基板、相手方コネクタ、及び基板コネクタの上面図。
図11】実施形態3における、基板コネクタと相手方コネクタとが正常に嵌合している様子を示す、制御回路基板、相手方コネクタ、及び基板コネクタの上面図。
図12】実施形態3における、基板コネクタと相手方コネクタとの嵌合が不完全な状態を示す、制御回路基板、相手方コネクタ、及び基板コネクタの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
電力変換装置に係る実施形態について、図1図8を用いて説明する。
本実施形態の電力変換装置1は、図2図3に示すごとく、制御回路基板2と半導体モジュール3と基板コネクタ4とケース5と蓋体6とを有する。制御回路基板2は、半導体素子の動作を制御する。図3に示すごとく、半導体モジュール3は、制御回路基板2の厚み方向における一方側である下側に配され、半導体素子を内蔵している。基板コネクタ4は、制御回路基板2の下側面に搭載されている。図2図3に示すごとく、ケース5は、半導体モジュール3及び制御回路基板2を収容している。また、図1図4に示すごとく、ケース5は、制御回路基板2の厚み方向における半導体モジュール3が配された側と反対側である上側に向って開口する開口部50を有する。図3に示すごとく、蓋体6は、ケース5の開口部50を閉塞する。
【0013】
図7図8に示すごとく、基板コネクタ4は、相手方コネクタ7との接続方向を制御回路基板2と平行にすると共に、相手方コネクタ7が接続される側を制御回路基板2の外側に向けた状態で配設されている。また、図1図3図4に示すごとく、制御回路基板2には、厚み方向に貫通し、基板コネクタ4に向って開口した切欠部20が形成されている。
なお、図2において、制御回路基板2は二点鎖線で表している。また、図3以外の図面においては、蓋体6の図示を適宜省略している。
【0014】
本実施形態の電力変換装置1は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載され、電源電力を駆動用モータの駆動に必要な駆動用電力に変換するインバータとして用いることができる。
なお、以下において、便宜上、制御回路基板2の厚み方向を上下方向Zといい、上下方向Zにおいて、制御回路基板2に対する半導体モジュール3側を上側、その反対側を下方という。また、便宜上、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との接続方向を、前後方向Xといい、前後方向Xの一方を前方、他方を後方という。また、前後方向Xと上下方向Zとの双方に直交する方向を横方向Yという。
【0015】
図1図4に示すごとく、ケース5は、矩形板状の底壁部51と、その端縁から上側に立設した側壁部52とを有する。ケース5は、側壁部52における上端部に開口部50を有する。そして、ケース5の開口部50は、略矩形板状の蓋体6によって閉塞されている。
【0016】
図2図3に示すごとく、ケース5内には、複数の半導体モジュール3が配されている。半導体モジュール3は、IGBT等のスイッチング素子やFWD等のダイオードなどの半導体素子を樹脂モールドしてなる。図3に示すごとく、半導体モジュール3は、モジュール本体部30と、モジュール本体部30から上側に向って突出形成され、制御回路基板2に接続される制御端子31と、モジュール本体部30から下側に向って突出形成されたパワー端子32と、を有する。制御端子31は、制御回路基板2のスルーホールに挿入されて、制御回路基板2と接続されている。また、パワー端子32は、図示しないバスバ等を介して、後述するコンデンサ11と接続されている。
【0017】
図3に示すごとく、制御回路基板2は、半導体モジュール3の上側に配置されている。また、制御回路基板2は、ケース5における開口部50の下側に位置している。すなわち、上下方向Zにおいて、制御回路基板2は、ケース5の側壁部52における上端部よりも下側に位置している。図1図3図4に示すごとく、制御回路基板2における前後方向の中央よりも後方の領域に、半導体モジュール3の制御端子31が接続されている。
【0018】
図1図4に示すごとく、制御回路基板2の下側面における前端部に、基板コネクタ4が搭載されている。図3に示すごとく、基板コネクタ4は、上下方向Zにおける制御回路基板2とモジュール本体部30との間に配されている。図5図8に示すごとく、基板コネクタ4は、基板コネクタ4に接続される相手方コネクタ7を、外側から覆うような形状を有する。制御回路基板2の前端部に配された基板コネクタ4は、前方に向って開口した箱形状を有する。そして、基板コネクタ4には、基板コネクタ4の前方側から、相手方コネクタ7が接続される。なお、図5図7は、基板コネクタ4に、相手方コネクタ7を接続する前の状態を示した図であり、図6図8は、基板コネクタ4と相手方コネクタ7とが接続した状態を示した図である。なお、基板コネクタ4が備える端子は、いわゆる雄型の端子であり、相手方コネクタ7が備える端子は、いわゆる雌型の端子である。
【0019】
図1図4に示すごとく、基板コネクタ4に向って開口した上述の切欠部20が、制御回路基板2に形成されている。切欠部20は、制御回路基板2の前端縁の一部が、後方に凹むように切り欠かれてなる。図2に示すごとく、切欠部20は、横方向Yの寸法が、基板コネクタ4よりも小さい。そして、切欠部20は、横方向Yにおいて、制御回路基板2における基板コネクタ4が搭載された領域の略中央部に形成されている。また、切欠部20は、前後方向Xの寸法が、基板コネクタ4よりも小さい。図1図2に示すごとく、制御回路基板2の上側から見たとき、基板コネクタ4は、前端が、切欠部20内に収まる位置に配されている。また、制御回路基板2の上側から見たとき、基板コネクタ4の前端部であって、横方向Yの中央部の上面が、制御回路基板2から露出している。
【0020】
また、図2図3に示すごとく、ケース5内には、半導体モジュール3を冷却する冷却器8が収容されている。冷却器8は、複数の冷却管81を有する。複数の冷却管81は、前後方向Xにおいて、互いに隙間を設けつつ配されている。
【0021】
図2に示すごとく、冷却器8は、前後方向Xに隣接する冷却管81同士を、横方向Yの両端部付近において連結する連結管82を有する。図2図3に示すごとく、冷却器8における後端部には、冷却器8に冷媒を導入する冷媒導入管83と冷却器8から冷媒を排出する冷媒排出管84とが突出形成されている。冷媒導入管83及び冷媒排出管84は、ケース5の側壁部52を貫通して配置されている。
【0022】
冷却器8における複数の冷却管81の間に設けられた複数の隙間に、複数の半導体モジュール3が配設されている。そして、複数の冷却管81及び複数の半導体モジュール3を積層してなる積層体10は、積層方向(前後方向X)に加圧されている。すなわち、積層体10の後端面は、積層体10の後方に配された側壁部52に当接しており、かつ、積層体10の前端側には、加圧部材12が配設されている。加圧部材12は、積層体10の後端面を前方に向って加圧している。加圧部材12は、ケース5の底壁部51から上方に向かって立設された支承壁53に支承されている。そして、ケース5における支承壁53の後方の空間には、コンデンサ11が配置されている。コンデンサ11は、直流電源の電圧を平滑化する。
【0023】
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
電力変換装置1においては、基板コネクタ4が、制御回路基板2における下側面に搭載されている。それゆえ、制御回路基板2から上側に基板コネクタ4が突出することを防ぐことができ、上下方向Zにおける電力変換装置1の小型化を図ることができる。
【0024】
また、制御回路基板2には、上下方向Zに貫通し、基板コネクタ4に向って開口した切欠部20が形成されている。それゆえ、上下方向Zにおけるケース5の開口側からケース5内に収容された制御回路基板2を見たとき、切欠部20から基板コネクタ4の位置を確認することができる。それゆえ、基板コネクタ4と、基板コネクタ4に接続される相手方コネクタ7との接続作業が行いやすくなり、電力変換装置1の製造効率を向上させることができる。
【0025】
また、切欠部20は、横方向Yの寸法が、基板コネクタ4よりも小さい。このように、制御回路基板2の切欠部20を小さくすることにより、制御回路基板2の性能を確保するための制御回路基板2の面積を確保しつつ、制御回路基板2に切欠部20を形成することができる。
【0026】
また、制御回路基板2は、ケース5における開口部50の下側に位置している。それゆえ、ケース5の開口部50より上側に制御回路基板2が位置する場合に比べ、ケース5の開口部50を閉塞する蓋部の形状を簡素にしやすい。そして、制御回路基板2が切欠部20を有するため、制御回路基板2をケース5における開口部50の下側の位置に配しても、ケース5の上側から制御回路基板2の切欠部20から、容易に基板コネクタ4の位置を確認することができる。それゆえ、制御回路基板2をケース5における開口部50の下側に配しても、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との接続作業が行いやすい。
【0027】
また、基板コネクタ4は、上下方向Zにおける制御回路基板2とモジュール本体部30との間に配されている。それゆえ、デッドスペースとなりやすい、モジュール本体部30と制御回路基板2との間のスペースを有効活用することができ、電力変換装置1の小型化を図ることができる。
【0028】
以上のごとく、本実施形態によれば、小型化及び製造効率の向上を図ることのできる電力変換装置を提供することができる。
【0029】
(実施形態2)
本実施形態は、図9に示すごとく、制御回路基板2における切欠部20の形状を、実施形態1から変更した電力変換装置1である。
【0030】
制御回路基板2は、端縁の一部から後方へ後退した後退部21を有する。本実施形態において、後退部21は、横方向Yの寸法が、基板コネクタ4部よりも大きい。そして、切欠部20は、後退部21の一部からさらに後方へ切り欠かれて形成されている。本実施形態において、切欠部20は、横方向Yの寸法が、少なくとも後退部21よりも小さい。切欠部20は、横方向Yにおける後退部21の中央部から後方に向って切り欠かれている。基板コネクタ4は、後退部21よりも後側に配されている。
【0031】
その他は、実施形態1と同様である。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0032】
本実施形態において、切欠部20は、後退部21からさらに後方へ切り欠かれてなる。それゆえ、基板コネクタ4を、切欠部20と上下方向Zに重なる位置に配する構成としても、基板コネクタ4を、上下方向Zに直交する方向における制御回路基板2の外形の内側に配しやすい。これにより、電力変換装置1を製造する際、基板コネクタ4が、ケース5内の他の部品に干渉することを防ぎやすい。すなわち、仮に、基板コネクタ4が制御回路基板2の外形よりも外側に突出した状態で固定された場合、基板コネクタ4を備えた制御回路基板2をケース5内に取り付ける際、ケース5内の部品に基板コネクタ4が干渉するおそれが考えられる。これに対し、本実施形態の電力変換装置1においては、制御回路基板2が後退部21を有することにより、基板コネクタ4が制御回路基板2の外形からはみ出た状態とはなり難い。その結果、上述のような不具合は生じ難い。それゆえ、電力変換装置1の製造効率の向上を図ることができる。なお、制御回路基板2の外形とは、後退部21及び切欠部20が形成されていない状態の制御回路基板2の輪郭を意味するものとする。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0033】
(実施形態3)
本実施形態は、図10図12に示すごとく、基板コネクタ4に接続される相手方コネクタ7をさらに有する電力変換装置1の実施形態である。そして、基板コネクタ4及び相手方コネクタ7の少なくとも一方は、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との嵌合状態を、制御回路基板2の上側から切欠部20を通して確認できる嵌合確認部721を有する。本実施形態においては、後述する相手方コネクタ7のターミナルロック72が、嵌合確認部721を有する。なお、本実施形態の基本構成は、実施形態2と同様である。
【0034】
基板コネクタ4は、相手方コネクタ7を介して、外部機器に接続される。図10に示すごとく、相手方コネクタ7は、直方体形状を有する本体部71と、本体部71の内部に配された図示しない複数の電線と、該複数の電線にそれぞれ接続された複数のターミナルと、該ターミナルを本体部71に対して固定するターミナルロック72と、を有する。なお、図10図12においては、ターミナルロック72をハッチングにて表している。
【0035】
ターミナルロック72は、その厚み方向を前後方向Xとした略板状を呈している。横方向Yにおいて、ターミナルロック72の寸法は、本体部71の寸法と同等である。そして、本実施形態においては、ターミナルロック72の上面が、嵌合確認部721を構成している。すなわち、ケース5の開口側から制御回路基板2の切欠部20を通して相手方コネクタ7を見たとき、ターミナルロック72の嵌合確認部721が見えるか否かにより、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との嵌合状態を確認する。以下、詳説する。
【0036】
ターミナルロック72は、基板コネクタ4と相手方コネクタ7とが正常に嵌合した状態で、基板コネクタ4の内側に入り込むように形成されている。本実施形態において、ターミナルロック72は、基板コネクタ4と相手方コネクタ7とが正常に嵌合した状態で、ターミナルロック72の前端位置が基板コネクタ4の前端位置と略同一の位置になるように形成されている。これにより、図11に示すごとく、基板コネクタ4と相手方コネクタ7とが正常に嵌合された状態では、ターミナルロック72は、基板コネクタ4内に収まる。一方、図12に示すごとく、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との嵌合が不完全な状態では、ターミナルロック72は、基板コネクタ4の外側に露出する。
【0037】
そして、図11に示すごとく、基板コネクタ4と相手方コネクタ7とが正常に嵌合された状態では、上側から制御回路基板2の切欠部20を通して相手方コネクタ7を見たとき、嵌合確認部721が見えない。一方、上側から制御回路基板2の切欠部20を通して相手方コネクタ7を見たとき、切欠部20内に嵌合確認部721が見える。
【0038】
すなわち、ケース5の開口側から切欠部20を通して相手方コネクタ7を見たとき、嵌合確認部721が見えなければ、基板コネクタ4と相手方コネクタ7とは正常に嵌合している、と確認することができる。そして、嵌合確認部721が見えれば、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との嵌合は不完全な状態にある、と確認することができる。
以上のように、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との嵌合状態を確認する。
その他は、実施形態2と同様である。
【0039】
本実施形態においては、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との嵌合状態を、ケース5の開口側から、切欠部20を通して容易に確認することができる。
その他、実施形態2と同様の作用効果を有する。
【0040】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、実施形態1と実施形態3とを組み合わせることもできる。また、実施形態3の嵌合確認部721についても、基板コネクタ4及び相手方コネクタ7の少なくとも一方が、基板コネクタ4と相手方コネクタ7との嵌合状態を、制御回路基板2の上側から切欠部20を通して確認できる構成であれば、種々の態様が考えられる。
【符号の説明】
【0041】
1 電力変換装置
2 制御回路基板
20 切欠部
3 半導体モジュール
4 基板コネクタ
5 ケース
50 開口部
6 蓋体
7 相手方コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12