【実施例1】
【0011】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2は実施例1の画像形成装置の要部説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、記録部の一例であって、画像形成部の一例としてのプリンタ本体U1を有する。プリンタ本体U1は、プリンタUの制御を行う制御部Cを有する。制御部Cは、情報の送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータCOMと電気的に接続されている。制御部Cは、パーソナルコンピュータCOMから送信された画像情報を処理可能である。制御部Cは、プリンタ本体U1の書込回路DLに電気的に接続されている。書込回路DLは、潜像の形成装置の一例であって、露光装置の一例としてのLEDヘッドLHy,LHm,LHc,LHkに電気的に接続されている。
【0012】
実施例1のLEDヘッドLHy,LHm,LHc,LHkは、Y,M,C,Kの各色に対応して配置されている。なお、実施例1のLEDヘッドLHy〜LHkは、発光素子の一例としてのLEDが画像の幅方向に沿って線状に配列されたLEDアレイにより構成されている。LEDヘッドLHy〜LHkは、入力された信号に応じて、LEDが発光可能に構成されている。すなわち、LEDヘッドLHy〜LHkは、入力された信号に応じた書込光を出力可能に構成されている。
【0013】
図1において、各LEDヘッドLHy〜LHkの上方には、像保持体の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkが配置されている。各感光体PRy〜PRkと各LEDヘッドLHy〜LHkとが対向する領域により、書込領域Q1y,Q1m,Q1c,Q1kが構成されている。
各感光体PRy,PRm,PRc,PRkの回転方向に対して、LEDヘッドLHy〜LHkの上流側には、帯電器の一例としての帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkが配置されている。実施例1の帯電ロールCRy〜CRkは、感光体PRy〜PRkに接触して従動回転可能に支持されている。
感光体PRy〜PRkの回転方向に対して、LEDヘッドLHy〜LHkの下流側には、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkが配置されている。各感光体PRy〜PRkと各現像装置Gy〜Gkとが対向する領域により、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kが構成されている。
【0014】
感光体PRy〜PRkの回転方向に対して、現像装置Gy〜Gkの下流側には、1次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kが配置されている。各感光体PRy〜PRkと各1次転写ロールT1y〜T1kとが対向する領域により、1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kが構成されている。
感光体PRy〜PRkの回転方向に対して、1次転写ロールT1y〜T1kの下流側には、像保持体の清掃器の一例としての感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkが配置されている。
【0015】
前記Y色の感光体PRy、帯電ロールCRy、LEDヘッドLHy、現像装置Gy、1次転写ロールT1y、感光体クリーナCLyにより、可視像の一例としてのトナー像を形成する実施例1のY色の可視像の形成装置の一例としてのY色の作像部Uyが構成されている。同様に、各感光体PRm,PRc,PRk、帯電ロールCRm,CRc,CRk、LEDヘッドLHm,LHc,LHk、現像装置Gm,Gc,Gk、1次転写ロールT1m,T1c,T1k、感光体クリーナCLm,CLc,CLkにより、前記M,C,K色の作像部Um,Uc,Ukが構成されている。
【0016】
前記感光体PRy〜PRkの上方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。ベルトモジュールBMは、像保持体の一例であって、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBを有する。中間転写ベルトBは、無端帯状の部材により構成されている。
実施例1の中間転写ベルトBは、張架部材の一例としてのテンションロールRtと、片寄りを補正する部材の一例としてのウォーキングロールRwと、従動部材の一例としてのアイドラロールRfと、2次転写領域の対向部材の一例であって、駆動部材の一例としてのバックアップロールT2aと、1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kと、により回転可能に支持されている。
【0017】
前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに対向する位置には、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが配置されている。実施例1では、バックアップロールT2aには電源回路Eからトナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加され、2次転写ロールT2bは接地される。バックアップロールT2aおよび2次転写ロールT2bにより、実施例1の2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bと中間転写ベルトBとが接触する領域により2次転写領域Q4が構成されている。
中間転写ベルトBの回転方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、中間転写体の清掃器の一例として、ベルトクリーナCLbが配置されている。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび2次転写器T2等により、転写部の一例としての実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。
【0018】
図3は実施例1の連続紙の説明図である。
図1において、作像部Uy〜Ukの下方には、給紙部の一例としての給紙装置U2が配置されている。給紙装置U2は、連続する媒体の一例としての連続紙Sがロール状に巻き取られた給紙部材U2aを有する。
図3において、実施例1の連続紙Sは、表面に画像が印刷される画像が転写される台紙S1と、台紙S1の裏面に塗布された接着剤S2と、接着剤S2が貼り付けられた剥離紙S3と、を有するいわゆるロール状のラベル紙が使用されている。すなわち、実施例1の連続紙Sは、中間層に、粘着層の一例としての接着剤S2の層を有する。
【0019】
給紙部材U2aは、回転可能に支持されている。給紙部材U2aの左方には、張力付与装置の一例としてのテンション付与部U2bが配置されている。テンション付与部U2bは、連続紙Sを支持する支持部材の一例としての2つの従動ロールU2cを有する。従動ロールU2cの間には、張力付与部材の一例としてのテンションロールU2dが配置されている。テンションロールU2dは、連続紙Sに接触し、且つ、上下方向に移動可能に支持されている。テンションロールU2dは、重力で連続紙Sを下方に押して、連続紙Sに張力を付与して、連続紙Sにシワが発生することを防止している。
【0020】
給紙装置U2からの連続紙Sは、プリンタ本体U1の2次転写領域Q4に向けて延びる。
2次転写ロールT2bに対して、連続紙Sの搬送方向の下流側には、定着部の一例としての定着装置Fが配置されている。定着装置Fは、加熱部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。加熱ロールFhの内部には、熱源の一例としてのヒータが収容されている。
定着装置Fの下流側には、案内部材の一例としてのガイドロールRbが回転可能に支持されている。
【0021】
ガイドロールRbの下流側には、後処理装置U3が配置されている。後処理装置U3は、貼合装置の一例としてのラミネート装置U3aを有する。ラミネート装置U3aの下流側には、切れ込み部の一例としての切れ込み形成装置U3bが配置されている。
後処理装置U3の下流側には、回収部材の一例としての巻取装置U4aが配置されている。巻取装置U4aには、後処理された連続紙Sが巻き取られている。なお、巻取装置U4aは、駆動源の一例としてのモータM3により駆動される。
【0022】
(画像形成動作の説明)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、パーソナルコンピュータCOMから画像情報を受信すると、印刷動作が開始される。制御部Cは、受信した画像情報に基いて、潜像形成用のイエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kの画像情報を生成する。制御部Cは、生成した画像情報をプリンタ本体U1の書込回路DLに出力する。なお、制御部Cは、画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒Kのみの画像情報を書込回路DLに出力する。
書込回路DLは、入力された画像情報に応じた制御信号を、LEDヘッドLHy〜LHkに出力する。LEDヘッドLHy〜LHkは、制御信号に応じた書込光を出力する。
【0023】
各感光体PRy〜PRkは、画像形成が開始されると回転駆動する。帯電ロールCRy〜CRkには、電源回路Eから帯電電圧が印加される。したがって、感光体PRy〜PRkの表面は、帯電ロールCRy〜CRkにより帯電される。帯電された感光体PRy〜PRkは、書込領域Q1y〜Q1kにおいて、LEDヘッドLHy〜LHkからの書込光により、表面に静電潜像が形成される。感光体PRy〜PRkの静電潜像は、現像領域Q2y〜Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkにより可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0024】
現像されたトナー像は、中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて、1次転写ロールT1y〜T1kには、電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。したがって、各感光体PRy〜PRk上のトナー像は、1次転写ロールT1y〜T1kにより、中間転写ベルトBに転写される。なお、多色のトナー像の場合、上流側の1次転写領域で中間転写ベルトBに転写されたトナー像に重ねて、下流側のトナー像が転写される。
1次転写後の感光体PRy〜PRkの残留物、付着物は、感光体クリーナCLy〜CLkにより清掃される。清掃された感光体PRy〜PRk表面は、帯電ロールCRy〜CRkにより再帯電される。
1次転写領域Q3y〜Q3kで1次転写ロールT1y〜T1kにより中間転写ベルトB上に転写された単色または多色のトナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
【0025】
連続紙Sは、2次転写領域Q4や定着装置F、巻取装置U4aの搬送力を受けて下流側に搬送される。
バックアップロールT2aには、電源回路Eによりトナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。したがって、2次転写領域Q4を通過する連続紙Sに対して、中間転写ベルトB上のトナー像が転写される。
【0026】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、表面に付着した付着物等がベルトクリーナCLbにより清掃される。
前記トナー像が2次転写された連続紙Sは、定着領域Q5を通過する際に、トナー像が加熱定着される。
画像が定着された連続紙Sは、後処理装置U3に搬送される。後処理装置U3では、ラミネート装置U3aは、連続紙Sの表面に貼合体の一例としてのラミネートフィルムを貼り合わせる。切れ込み形成装置U3bは、ラミネートフィルムが貼り合せられた連続紙Sの表面の画像に合わせて、台紙S1と接着剤S2の部分に切れ込みを形成する。
後処理装置U3を通過した後処理後の連続紙Sは、切れ込みが形成された画像を囲む外側の枠状の部分、いわゆるカスが除去されて、巻取装置U4aに巻き取られる。
【0027】
(後処理装置U3の説明)
図4は実施例1の後処理装置の説明図である。
図1、
図4において、実施例1のラミネート装置U3aは、接触部材の一例としての凹凸ローラ11を有する。凹凸ローラ11は、定着装置Fの下流側において、連続紙Sに接触して配置されている。実施例1の凹凸ローラ11は、定着装置Fを通過した現像剤の温度が、自然放熱、自然冷却でガラス転移温度まで低下する位置P1よりも、連続紙Sの搬送方向で上流側に配置されている。結果として、実施例1の凹凸ローラ11は、ガイドロールRbよりも上流側に配置されている。なお、実施例1では、Y,M,C,Kの各現像剤において、色材等の組成の違いで、ガラス転移温度が少し異なるが、一例として、この中で最も高いガラス転移温度に基づいて、位置P1が設定されている。なお、これに限定されず、例えば、最上面の現像剤、実施例1では、Y色の現像剤のガラス転移温度に基づいて、位置P1を設定することも可能である。よって、実施例1では、凹凸ローラ11は、定着直後の高温の連続紙Sが接触することに対応して、耐熱性の材料で構成することが好ましい。よって、実施例1では、凹凸ローラ11は、耐熱性の材料の一例として、金属製のロールが使用されている。なお、金属製のロールに限定されず、表面に耐熱性の材料を巻いた構成とすることも可能である。
【0028】
図5は実施例1の凹凸ローラの表面の説明図であり、
図5Aは実施例1の場合の説明図、
図5Bは実施例1の変形例1の場合の説明図、
図5Cは実施例1の変形例2の場合の説明図である。
また、実施例1の凹凸ローラ11は、円筒状のローラにより構成されている。
図5Aにおいて、凹凸ローラ11の外表面には、凹凸11aが形成されている。なお、実施例1では、凹凸11aは、一例として1μm間隔で格子状に形成された溝により構成されており、高さも一例として、1〜2μm程度に設定されている。なお、凹凸11aの大きさは、後述するラミネートフィルムRの接着時の表面積を増加させることが可能であれば、使用する現像剤の大きさや、接着層の材料等に応じて、任意に設定することが可能である。よって、例示した数値に限定されないが、平均粒径値が小さいほうが、画質に対する影響も小さくなるので好ましい。
【0029】
また、
図5Aに示すような格子状の凹凸に限定されず、
図5Bに示すような半球状の突起が並んだ構成としたり、
図5Cに示すような三角錐、あるいは、三角柱状等の突起が並んだ構成とすることも可能である。なお、
図5に例示した形態以外の多角錐や多角柱状とすることも可能である。
また、
図5に示すように規則的に配列された構成に限定されず、不規則に配置された構成とすることも可能である。したがって、ビーズブラスト加工等で不規則な凹凸を形成した構成とすることも可能である。
なお、凹凸を設けたり加工等をしなくても、製造過程で自然に凹凸が発生するロール、例えば、発泡性の材料で構成されたロールを使用することも可能である。
【0030】
また、実施例1のラミネート装置U3aでは、左上部には、積層体の供給部の一例としてのフィルム供給ロール12が配置されている。フィルム供給ロール12は、回転可能に構成されている。フィルム供給ロール12には、積層体の一例として、帯状のラミネートフィルムRが巻かれた状態で支持されている。なお、実施例1のラミネートフィルムRは、連続紙Sと同様に、積層体の本体であるフィルム本体R1と、接着層と、剥離紙R2とを有し、連続する帯状に形成されている。なお、実施例1のフィルム本体R1は、薄膜状の樹脂材料により構成可能であり、一例として、光透過性のPET:ポリエチレンテレフタレートの薄膜を使用可能である。
【0031】
また、フィルム供給ロール12の右方には、巻取部材の一例としての巻取ロール22が配置されている。実施例1の巻取ロール22には、駆動系の一例としての図示しない巻取モータから駆動が伝達される。実施例1では、巻取モータの駆動に伴い、巻取ロール22が回転可能に構成されている。また、巻取ロール22には、ラミネートフィルムRの剥離紙R2の一端が支持されている。よって、巻取ロール22が回転すると、剥離紙R2が巻取ロール22に巻取られ、剥離紙R2がフィルム本体R1から剥離される。フィルム供給ロール12の下方には、案内部材の一例としてのガイドロール14が配置されている。
【0032】
ガイドロール14の下方には、貼合部材の一例としての貼合ロール16が配置されている。貼合ロール16には、駆動系の一例としての図示しない駆動モータから駆動が伝達される。よって、貼合ロール16は、連続紙Sとフィルム本体R1とを挟んだ状態で、回転する。このとき、貼合ロール16に挟まれた連続紙Sとフィルム本体R1とは、ラミネートフィルムRの接着層を介して貼り合される。よって、実施例1の貼合ロール16では、フィルム本体R1と連続紙Sとが積層して貼り合された貼り合せ体17が形成される。
【0033】
貼合ロール16の左方には、撓み量の調整装置の一例としての第1のバッファ装置36が配置されている。第1のバッファ装置36は、支持部材の一例として、複数の第1の支持ロール37,37を有する。実施例1の第1の支持ロール37,37は、媒体の搬送方向に沿って配置されている。実施例1では、第1の支持ロール37,37に、貼り合せ体17が支持されている。また、第1のバッファ装置36は、媒体の搬送方向に対して、第1の支持ロール37,37どうしの間の位置に、第1の調整部材の一例としての第1のダンサーロール38を有する。
【0034】
実施例1の第1のダンサーロール38は、前後方向に延びるロール状に形成されている。第1のダンサーロール38の前後両端部は、図示しない枠体で、上下方向に移動可能に支持されると共に、回転可能に支持されている。なお、実施例1では、貼り合せ体17の上面に、第1のダンサーロール38が接触しており、貼り合せ体17には、第1のダンサーロール38の自重で張力が作用する。
【0035】
切れ込み形成装置U3bは、搬送部の一例としての第1の搬送ロール41を有する。実施例1の第1の搬送ロール41は、媒体の搬送方向に対して、第1のバッファ装置36の下流側に配置されている。実施例1の第1の搬送ロール41には、駆動系の一例としての図示しない第1の搬送モータから正回転または逆回転の駆動が伝達される。実施例1では、第1の搬送モータの駆動に伴い、貼り合せ体17を挟んだ状態で、第1の搬送ロール41が回転して、媒体の搬送方向の下流側または上流側に貼り合せ体17を搬送する。
【0036】
第1の搬送ロール41の左方には、切れ込み部材の一例としてのロータリダイカッター51が配置されている。
図1において、ロータリダイカッター51は、回転体の一例としてのダイカットロール52を有する。実施例1のダイカットロール52は、前後方向に延びるロール状に形成されている。また、ダイカットロール52は、図示しない駆動源から駆動が伝達されて回転する。
【0037】
ダイカットロール52の外周面の一部分には、切刃53が支持されている。実施例1の切刃53は、貼合体17に記録された画像の外縁に対応する環状に形成されている。切刃53は、ダイカットロール52の表面から外側に突出している。
また、ダイカットロール52の下方には、対向部材の一例としてのアンビルロール54が配置されている。実施例1のアンビルロール54は、前後方向に延びるロール状に形成されている。ダイカットロール52とアンビルロール54とは、切刃53の長さと剥離紙S3の厚みに対応する隙間をあけて対向している。よって、実施例1では、ダイカットロール52の回転に伴い、切刃53が切れ込み位置P2に移動した場合に、フィルム本体R1および接着層と、台紙S1、接着剤S2を切刃53が貫通し、且つ、貼り合せ体17の上面から剥離紙S3を切刃53が貫通しないように、切刃53の長さやダイカットロール52とアンビルロール54との隙間が設定されている。
【0038】
図1において、ロータリダイカッター51の左方には、搬送部の一例としての第2の搬送ロール58が配置されている。実施例1の第2の搬送ロール58には、駆動系の一例としての図示しない第2の搬送モータから正回転または逆回転の駆動が伝達される。実施例1の構成では、第1の搬送モータの駆動と第2の搬送モータの駆動とが同期する。よって、第2の搬送モータの駆動に伴い、貼り合せ体17を挟んだ状態で、第2の搬送ロール58が回転して、媒体の搬送方向の下流側または上流側に貼り合せ体17を搬送する。
また、第2の搬送ロール58の左方には、撓み量の調整装置の一例としての第2のバッファ装置61が配置されている。なお、第2のバッファ装置61は、前記第1のバッファ装置36を構成する各ロール37,37,38に相当して、各ロール62,62,63を有し、前記第1のバッファ装置36と同様に構成されている。
【0039】
第2のバッファ装置61の左方には、分岐部材の一例としての分岐ロール66が配置されている。
図1において、実施例1の分岐ロール66は、回転可能に構成されている。
また、分岐ロール66の左下には、第2の巻取部材の一例としての第2の巻取ロール67が配置されている。第2の巻取ロール67の回転軸67aには、駆動系の一例としての第2の巻取モータM3から駆動が伝達される。実施例1では、第2の巻取モータM3の駆動に伴い、第2の巻取ロール67が回転可能に構成されている。また、第2の巻取ロール67には、ダイカットロール52で縁に切れ込みが入れられた内部の部分であり、貼札の一例としてのラベル部材が表面に支持された剥離紙S3が支持されている。したがって、第2の巻取りロール67には、剥離紙S3に支持されたラベル部材が巻き取られる。
【0040】
分岐ロール66の左上には、案内部材の一例としてのガイドロール71が配置されている。また、ガイドロール71の上方には、回収部の一例であって、第1の巻取部材の一例としての第1の巻取ロール72が配置されている。第1の巻取ロール72の回転軸72aには、駆動系の一例としての第1の巻取モータM4から駆動が伝達される。実施例1では、第1の巻取モータM4の駆動に伴い、第1の巻取ロール72が回転可能に構成されている。また、第1の巻取ロール72には、貼り合せ体17からラベル部材が抜き取られた残りの枠状の廃棄体の一例としてのカス部材の一端が支持されている。よって、第1の巻取りロール72には、カス部材が巻き取られる。
【0041】
(実施例1の後処理装置の機能)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、連続紙Sに形成された画像は、定着装置Fを通過する際に、現像剤が加熱されながら加圧されて、溶融して定着される。そして、定着装置Fを通過した画像は、ガラス転移温度まで温度が低下する前に、凹凸ローラ11に接触する。したがって、画像の表面には、凹凸ローラ11との接触で微細な凹凸が形成される。そして、凹凸が形成された画像部分には、貼合ロール16を通過する際に、ラミネートフィルムRのフィルム本体R1が貼り合わされる。
【0042】
図6は媒体とフィルムとの貼合状態の説明図であり、
図6Aは従来の構成の説明図、
図6Bは実施例1の場合の説明図である。
図6Aにおいて、従来の構成では、凹凸ローラ11が設けられておらず、媒体01のトナー層02と、ラミネートフィルムのフィルム本体03の接着層04との貼り合わせ面05は、平滑な状態で貼り合わされていた。したがって、トナー層02と接着層04との接触面積が小さく、接着力が弱い場合があった。したがって、媒体01とフィルム本体03とが剥がれてしまう恐れがあった。
実施例1では、定着後、貼合前に、連続紙Sの表面に凹凸ローラ11が接触する。特に、凹凸ローラ11は、現像剤がガラス転移温度まで温度が低下する前に、現像剤に接触する。したがって、定着時に溶融した現像剤が固まる前に、凹凸ローラ11に接触して、画像の表面に凹凸が形成される。したがって、
図6Bにおいて、台紙S1の表面の画像101の表面には、凹凸101aが形成された状態で、フィルム本体R1の接着層102に貼り合される。したがって、実施例1の構成では、従来の構成に比べて、画像101と接着層102との接触面積が広くなる。よって、台紙S1からフィルム本体R1が剥がれることが低減される。
【0043】
特に、実施例1では、貼合ロール16で加圧されながら貼り合せられる。よって、画像101の凹凸の中に接着層102の接着剤が食い込むように進入する。したがって、楔が打ち込まれたような状態になりやすい。よって、画像101と接着層102との接着が、強固になりやすい。したがって、貼合時に加圧されない場合に比べて、台紙S1とフィルム本体R1とがさらに剥がれにくくなっている。
また、実施例1では、凹凸ローラ11の表面の凹凸が1〜2μm程度に設定されている。したがって、画像101に形成される凹凸も1〜2μm程度となる。ここで、近年、現像剤は体積平均粒子径が3〜10μm程度のものが使用されることが多く、4色の現像剤が積層された定着後の画像101の厚みは3〜25μm程度になることが多い。仮に、画像101の厚みよりも大きな凹凸が形成されると、画質の低下が目立ちやすくなる恐れがあるが、実施例1では、厚みよりも小さい凹凸が形成されており、画質に対する影響も限定的である。よって、凹凸が大きな場合に比べて、画質の低下も低減されている。特に、光沢:グロスについても、画像101の表面よりも、ラミネートフィルムRの表面の方が支配的である。よって、画像101の表面に凹凸を形成しても、グロスに対する影響は少ない。
【実施例2】
【0044】
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例2は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
実施例2のプリンタUでは、実施例1の凹凸ローラ11が設けられておらず、使用される現像剤が異なるだけであり、その他のプリンタUの構成は実施例1と同様であるので、図示は省略する。
【0045】
図7は実施例2の説明図であり、
図7Aは定着前の現像剤の説明図、
図7Bは定着後の現像剤の説明図、
図7Cは実施例1の
図6Bに対応する実施例2のフィルム本体の貼合後の説明図である。
図7において、実施例2では、実施例1と同様に、連続紙Sに転写される画像では、台紙S1側から、K,C,M,Yの順に積層される。ここで、実施例2では、最上層の現像剤であるY色の現像剤201は、その他のM,C,K色の現像剤202に比べて、平均粒子径が大きく設定されている。一例として、実施例2では、Y色の現像剤201の体積平均粒子径は、10μm程度に設定され、M,C,K色の現像剤202の体積平均粒子径は、3μm程度に設定されている。
【0046】
なお、実施例2では、体積平均粒子径は、ベックマン・コールター株式会社製のコールターマルチサイザーIIを使用して測定した。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて、1%NaCl水溶液を調製する。例えば、コールターサイエンティフィックジャパン社製のISOTON−IIを使用可能である。測定方法は、電界水溶液100ml以上150ml以下中に分散剤として界面活性剤(望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1ml以上5ml以下加え、さらに、測定試料を2mg以上20mg以下加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で1分間以上3分間以下分散処理を行う。測定検出機のアパーチャーは100μmアパーチャーを用い、トナー(トナー粒子)の体積又は個数をチャンネルごとに測定して、トナーの体積粒度分布または個数粒度分布を算出する。
【0047】
また、実施例2では、最上層のY色の現像剤201は、不定形な形状の現像剤が使用され、その他のM,C,K色の現像剤202は、球形の現像剤が使用されている。一例として、実施例2では、不定形な形状の現像剤として、原料を細かく粉砕して作製される粉砕トナーが使用可能であり、球形の現像剤として、乳化重合法で作製される重合トナーを使用可能である。
さらに、実施例2では、最上層のY色の現像剤201は、M,C,K色の現像剤202に比べて、粘弾性の高い現像剤が使用されている。なお、粘弾性の異なるトナーを作成する方法は、バインダー樹脂の分子量を上げることで粘弾性を高くしたり、結晶性樹脂を入れて粘弾性を下げたりする方法がある。
【0048】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2のプリンタUでは、最上層のY色の現像剤201が、その他の色の現像剤202よりも平均粒子径が大きく形成されている。したがって、最上層の現像剤の平均粒子径が、他の色の現像剤と同じまたは小さい場合に比べて、定着前の現像剤の最上面は凸凹しやすい。したがって、定着時に加熱されて溶融された場合に、現像剤101′の表面に凹凸が残りやすい。よって、実施例2のプリンタUでは、実施例1と同様に、現像剤101′の表面の凹凸で、接着層102との接触面積が広くなりやすい。したがって、フィルム本体R1が剥がれにくくなっている。
【0049】
また、実施例2では、最上層のY色の現像剤201が不定形な形状となっている。したがって、最上層の現像剤201には、尖った形状が存在しやすい。よって、定着時に溶融された場合に、現像剤101′の表面に尖った部分に起因する凹凸が発生しやすい。したがって、実施例2のプリンタUでは、実施例1と同様に、現像剤101′の表面の凹凸で、接着層102との接触面積が広くなり、尖った部分に起因する凹凸が楔状に埋まり込みやすい。よって、フィルム本体R1が剥がれにくくなっている。
【0050】
さらに、実施例2では、最上層のY色の現像剤201の粘弾性が、その他の色の現像剤202よりも高く設定されている。一般に、現像剤では、粘弾性が高くなると、融点も高くなる。したがって、Y色の現像剤201は、他の色の現像剤202に比べて、定着時に溶けにくくなる。すなわち、最上層の現像剤201は、定着時に溶け残りやすくなる。したがって、最上層において、現像剤の粒径や不定形状に起因する凹凸が残りやすくなる。よって、Y色の現像剤201の粘弾性が、その他の色の現像剤202と同じまたは低い場合に比べて、現像剤101′の表面の凹凸が残りやすく、接触面積が広がりやすい。
【0051】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H07)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタUを例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
【0052】
(H02)前記実施例において、プリンタUとして、4色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、3色以下または5色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。また、中間転写ベルトBを有する構成に限定されず、感光体PRy〜PRkから直接媒体に画像を転写する画像形成装置にも適用可能である。
(H03)前記実施例において、バッファ装置36,61は設けることが望ましいが、省略することも可能である。
(H04)前記実施例において、後処理装置として、ロータリダイカッター51を有する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ロータリダイカッター51やカス部材を巻き取る構成を有しないようにすることも可能である。この場合、画像が記録される台紙S1の部分が、予め設定された間隔で剥離紙S3上に配置された連続紙Sを使用することで対応可能である。逆に、例えば、折り線を形成したり、孔を形成したり等、他の後処理を行う装置を設けることも可能である。
【0053】
(H05)前記実施例2において、Y色の現像剤として、平均粒径が大きく、且つ、不定形、且つ、粘弾性が高いものを例示したがこれに限定されない。例えば、平均粒径、形状、粘弾性の3つのうち、いずれか1つまたは2つが他の色と異なり、残りの2つまたは1つは他の色と同一の現像剤を使用することも可能である。また、他にも、Y,M,C,Kの現像剤は平均粒径等がほぼ同一の現像剤を使用しつつ、透明な現像剤を使用する5つ目の作像部を設け且つ透明な現像剤が最上層となるように画像を形成し、透明な現像剤の平均粒径等を、Y〜Kの色の現像剤とは異なるものとすることも可能である。
【0054】
(H06)前記実施例1において、回転するロール状の接触部材を例示したが、回転しないパッド状の接触部材を使用することも可能である。なお、この場合、画像101に形成される凹凸は、連続紙Sの搬送方向に沿った筋状の凹凸が形成される。
(H07)前記実施例1と実施例2とを組み合わせることも可能である。すなわち、凹凸ロール11を有し、且つ、現像剤の特性もY色を他の色と異なるものとする事が可能である。