特許第6623654号(P6623654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623654
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】バスのフロントカバー開放固定構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/12 20060101AFI20191216BHJP
   B62D 31/02 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B62D25/12 C
   B62D31/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-195847(P2015-195847)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2017-65594(P2017-65594A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)車両のデモ走行 開催日:平成27年7月31日〜同年8月2日 開催者:いすゞ自動車販売株式会社 場所:株式会社ワーカム北海道 試験場内 (2)カタログの発行 カタログ名:ERGA 大型路線バス LV ノンステップ 発行日:平成27年8月18日 発行者:いすゞ自動車株式会社及び、いすゞ自動車販売株式会社 (3)自社ウェブサイトへの掲載 掲載日:平成27年8月18日 掲載者:いすゞ自動車株式会社 ウェブサイトのアドレス:http://www.isuzu.co.jp/press/2015/8_18erga.html http://www.isuzu.co.jp/product/bus/erga_rt/index.html
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋
(72)【発明者】
【氏名】井相田 英朗
(72)【発明者】
【氏名】神原 努
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−278657(JP,A)
【文献】 実開平05−046671(JP,U)
【文献】 実開昭51−121913(JP,U)
【文献】 三菱ふそう(エアロスター・ノンステップバス)の情報(寸法・価格)|トラック辞典,オンライン,2012年 2月 9日,令和1年7月17日検索,URL,http://torakujp2011.blog.fc2.com/blog-entry-159.html?no=166
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 31/00
B62D 25/10−25/13
B60P 3/025
E05C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントパネルの点検口を開閉自在に覆うフロントカバーを上下回動自在に設け、そのフロントカバーの裏面にロッド固定金具を設け、前記フロントカバーを上方に回動させた状態で、前記点検口内に起倒自在に設けたロッドの先端の横向きU字状のフック部を前記ロッド固定金具に掛け止めて前記フロントカバーを保持するバスのフロントカバー開放固定構造において、前記ロッド固定金具を、前記フロントカバーの裏面に取り付けられるベース片とそのベース片から起立すると共に車幅方向に延ばして設けられた係合片と係合片からフロントカバーの開放時に下方に向くように設けられた掛け止め片、凹部が下側を向くコ字状に形成し、かつ前記フロントカバーが開放固定位置にあるとき、前記係合片が、前記フロントカバーの裏面に対して下方に鋭角に傾斜するように形成し
前記フック部は、前記フロントカバーの中央側から外側に回動されることで前記係合片に掛け止められ、掛け止められたときに前記フック部の横U字部が前記係合片を挟むことを特徴とするバスのフロントカバー開放固定構造。
【請求項2】
前記ロッドの先端のフック部を前記ロッド固定金具の前記係合片に掛け止めた際に、フック部が、前記係合片と前記ベース片の接合部に摩擦に抗して移動するように前記係合片が前記フロントカバーの面に対して鋭角に形成される請求項1に記載のバスのフロントカバー開放固定構造。
【請求項3】
前記フロントカバーが開放固定位置にあるとき、前記係合片は、下方に30〜40度傾斜して形成される請求項1又は2に記載のバスのフロントカバー開放固定構造。
【請求項4】
前記ロッド固定金具は、前記フロントカバーの裏面の左右いずれかで、かつ、前記ロッドのフック部を前記ロッド固定金具に前記フロントカバーの中央から外側に掛け止めたときに前記ロッドが鉛直方向に対して前記フロントカバーの外側に傾斜する位置に設けられる請求項1〜3のいずれかに記載のバスのフロントカバー開放固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスのフロントに設けられたフロントカバーを開放したときにロッドでフロントカバーを開放状態に保持するためのバスのフロントカバー開放固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バスのフロントには、デフロスタフィルタ、ウォッシャータンク、ワイパーモータが格納されており、フロントパネルには、これら機器を点検・整備するための整備区画部としての点検口が設けられ、この点検口を覆うようにフロントカバーが開閉自在に設けられている。
【0003】
フロントカバーを開放する際には、運転室側からフロントカバーのロックを解除するレバーを引いて、ロックを解除し、その後、フロント側からフロントカバーを上方に回動し、その状態で、点検口内に格納されているロッドを起立させ、ロッドの先端のフック部をフロントカバーの裏面に設けたロッド固定金具に引っかけることで、フロントカバーを開放した状態で保持するようにしている。
【0004】
このロッド固定金具は断面コ字状に形成され、ロッド固定金具の凹溝がフロントカバーの開放時に下を向く状態で、フロントカバーの裏面に溶接され、ロッド先端のフック部は、横向きのU字状に形成され、横向きU字状のフック部で、断面コ字状に形成されたロッド固定金具を挟むように掛け止めることで、フック部がロッド固定金具に係合される。
【0005】
従来のロッド固定金具の形状は、フロントカバーの裏面に溶接されるベース片とそのベース片に略直角に折り曲げられ、フロントカバーの裏面に対して略直角な係合片とその係合片からベース片側に平行な掛け止め片とでコ字状に形成されており、横向きU字状フック部は、そのU字部で係合片を挟むように掛け止められる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−252253号公報
【特許文献2】特開2012−131318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、フック部を係合するには、ベース片と掛け止め片との間隔は、フック部の径より十分に大きく形成されるため、横向きU字状フック部と係合片との係合位置に自由度があり、U字状フック部がロッド固定金具で拘束されず、係合片に沿って移動しやすく外れやすい問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、フロントカバーを開放し、ロッドのフック部をロッド固定金具に係合させる際に、そのフック部が外れることがないバスのフロントカバー開放固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、フロントパネルの点検口を開閉自在に覆うフロントカバーを上下回動自在に設け、そのフロントカバーの裏面にロッド固定金具を設け、前記フロントカバーを上方に回動させた状態で、前記点検口内に起倒自在に設けたロッドの先端のフック部を前記ロッド固定金具に掛け止めて前記フロントカバーを保持するバスのフロントカバー開放固定構造において、前記ロッド固定金具を、前記フロントカバーの裏面に取り付けられるベース片とそのベース片から起立して設けられた係合片と係合片からフロントカバーの開放時に下方に向くように設けられた掛け止め片で形成し、かつ前記フロントカバーが開放固定位置にあるとき、前記係合片が、フロントカバー面に対して下方に鋭角に傾斜するように形成したことを特徴とするバスのフロントカバー開放固定構造である。
【0010】
前記ロッドの先端のフック部を前記ロッド固定金具の前記係合片に掛け止めた際に、フック部が、前記係合片と前記ベース片の接合部に摩擦に抗して移動するように前記係合片が前記フロントカバーの面に対して鋭角に形成されるのが好ましい。
【0011】
前記フロントカバーが開放固定位置にあるとき、前記係合片は、下方に30〜40度傾斜して形成されるのが好ましい。
【0012】
前記ロッド固定金具は、前記フロントカバーの裏面の左右いずれかで、かつ、前記ロッドのフック部を前記ロッド固定金具に前記フロントカバーの中央から外側に掛け止めたときにそのロッドのフック部が鉛直方向に対して前記フロントカバーの外側に傾斜して掛け止められる位置に設けられるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、フロントカバーが開放位置にあるときロッド固定金具の係合片が下方に傾斜するようフロントカバーの裏面に鋭角に形成することで、ロッドのフック部を掛け止めたときに、係合片とベース片の接合部で確実に拘束でき、外れ難くなるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明において、バスのフロントカバーを開放して固定したときの状態を示す側面図である。
図2】本発明において、バスのフロントカバーが閉じられた状態のときにフロントカバーの裏面側からみた斜視図である。
図3】本発明のバスのフロントカバー開放固定構造におけるロッド固定金具を示す詳細を示し、(a)は、フロントカバーを開いたときフロントカバーの外側からみた斜視図、(b)はフロントカバーを開いたときフロントカバーの中央側からみた斜視図である。
図4】本発明のバスのフロントカバー開放固定構造におけるロッド固定金具とロッドの係合状態を示す側面図である。
図5】本発明のバスのフロントカバー開放固定構造におけるロッド固定金具とロッドの係合状態を示す正面図である。
図6】本発明のバスのフロントカバー開放固定構造の他の実施の形態におけるロッド固定金具とロッドの係合状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0016】
図1において、フロントパネル10には、デフロスタフィルタ、ウォッシャータンク、ワイパーモータが格納される整備区画部としての格納ボックス11が設けられると共にこれら機器を保守点検する点検口12が形成される。
【0017】
このフロントパネル10には、点検口12を開閉するフロントカバー13が点検口12の上部のフロントパネル10にヒンジ14を介して開閉自在に設けられる。
【0018】
このフロントカバー13は、図示のように上方に回動され、開放固定位置で、鉛直方向に対してフロントカバー13が150度開き、その開放固定位置で、ロッド15を、フロントカバー13の裏面に設けたロッド固定金具16に掛け止めて開放位置を保持して固定できるようになっている。
【0019】
図2は、バスのフロントカバー13が閉じられた状態のときのフロントカバー13の裏面側からみた斜視図を示し、図示の二点鎖線で示したシール部材17は、点検口12の周縁に設けられ、フロントカバー13が閉じられたときに、その裏面がシール部材17に接触してシールされるようになっている。
【0020】
このフロントカバー13の上辺の上部のフロントパネル10には取っ手19が設けられ、ヒンジ14は、取っ手19の下部に位置するように設けられている。
【0021】
フロントカバー13の裏面には、フロントカバー13を閉じたときにフロントパネル10にロックするロック機構20が設けられ、そのロック機構20のレバー21をバス運転席側から操作することで、ロック機構20によるフロントカバー13の閉状態が解除され、フロントカバー13が開放できるようになっている。
【0022】
フロントカバー13は、アウターパネル22とインナーパネル23とからなり、インナーパネル23の周囲をアウターパネル22の周囲をカシメることで一体構造とされる。
【0023】
このフロントカバー13の裏面となるインナーパネル23には、ロッド固定金具16が図では、フロントカバー13の裏面中央から右側に位置すると共に、フロントカバー13を閉じたときシール部材17に当たらないようにシール部材17の内側で、かつ、ヒンジ14側の近くに位置して設けられる。
【0024】
図3(a)、図3(b)に示すように、ロッド固定金具16は、断面コ字状に形成され、フロントカバー13を開放した際に、そのロッド固定金具16のコ字状の凹部が下を向くようにフロントカバー13に設けられる。
【0025】
より具体的にはロッド固定金具16は、フロントカバー13の裏面に溶接等で取り付けられるベース片25と、そのベース片25から起立して設けられた係合片26と、係合片26からフロントカバー13の開放時に下方に向くように設けられた掛け止め片27とでコ字状に形成される。
【0026】
ベース片25は、係合片26に対してフロントカバー13の中央側に突出するよう長く形成され、そのベース片25の中央側の端部にロッド15のフック部15Fの抜けを防止するストッパ片28がフロントカバー13の裏面に対して略垂直になるように設けられる。このストッパ片28は、係合片26より上方に突出して形成され、係合片26からのフック部15Fの抜けを防止できるようになっている。
【0027】
掛け止め片27は、ベース片25と同様に係合片26に対して中央側に突出するよう長く形成される。この掛け止め片27とストッパ片28間に、フック部15Fの挿入部29が形成される。
【0028】
ロッド固定金具16の係合片26は、フロントカバー13が開放固定位置にあるときに、斜め下方に傾斜するように、すなわち、フロントカバー13の裏面に対して鋭角になるように形成される。
【0029】
図4は、フロントカバー13が開放固定位置にあるときのフロントカバー13の角度αとロッド固定金具16の係合片26の角度θとを示したものである。
【0030】
先ず、フロントカバー13は、開放固定位置まで角度αが150度となるように上方に回動され、その状態で、係合片26は、ベース片25から斜め下方に、水平線に対して角度θが30〜50度(図では40度)下方に傾斜するように形成される。
【0031】
ロッド15は、先端のフック部15Fが横向きU字状になるように形成され、また基部は、図には示していないが点検口12の左側下部に起倒自在に設けられ、フロントカバー13を開放し、そのフロントカバー13を固定する際には、ロッド15のフック部15Fが上方になるように起立させ、そのフック部15Fを挿入部29から係合片26にフック部15Fが嵌るように掛け止める。
【0032】
このフック部15Fの係合片26への掛け止めは、ロッド15を起立させたのち、フック部15Fをフロントカバー13の中央側からフロントカバー13の外側に回動させることで係合片26に掛け止められる。
【0033】
この掛け止め位置は、図5図6に示すようにロッド15のフック部15Fをロッド固定金具16に掛け止めた際に、ロッド15が鉛直方向に対してフロントカバー13の外側方向に傾斜するように、フロントカバー13に対するロッド固定金具16の取り付け位置が設定される。ロッド15のフック部15Fをロッド固定金具16に掛け止めたときのロッド15の傾斜角βは、図5に示すように鉛直線に対してフロントカバー13の外側に5度傾斜するように形成するが、フロントカバー13を閉じたときにロッド固定金具16がシール部材17と緩衝を避けるために、図6に示すように、傾斜角βを1.2度程度傾くようにしてもよい。
【0034】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0035】
フロントカバー13を図1に示したように開放し、ロッド15にて固定する際に、ロッド15をたたんだ状態から起こし、そのフック部15Fをロッド固定金具16の挿入部29からベース片25と掛け止め片27間に挿入し、フック部15Fを、その横U字部で係合片26を挟むようにして掛け止める。
【0036】
このようにフック部15Fを係合片26に掛け止めると、係合片26は下向きに傾斜して形成されているため、フロントカバー13の閉じる力で、フック部15Fは、図4に示すように係合片26とベース片25の接合部に摩擦力に抗して移動して拘束されることとなり、係合片26からフック部15Fが外れ難くなる。
【0037】
また、ロッド15のフック部15Fをロッド固定金具16に掛け止めたときのロッド15を鉛直ではなく、図5図6に示したように、フロントカバー13の外側に僅かに傾いているため、フック部15Fは、係合片26に係合する力が作用するため、点検中に作業者が不注意でロッド15に接触しても外れることがない。
【0038】
この場合、ロッド固定金具16には、ストッパ片28が形成されるため、さらに確実に外れるのを防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
10 フロントパネル
12 点検口
13 フロントカバー
15 ロッド
15F フック部
16 ロッド固定金具
25 ベース片
26 係合片
27 掛け止め片
図1
図2
図3
図4
図5
図6