(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る色予測システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、色予測システム1は、入力部101、特色インキ分光反射率算出部102、吸収係数・散乱係数算出部103、特色インキ再現色算出部104、特色インキ配合比決定部105、ノイゲバウア原色分光反射率予測部106、特色インキ階調特性パラメータ決定部107、特色インキ階調分光反射率予測部108、網点掛け合わせ分光反射率計算部109、出力部110、測定分光反射率データベース111、近似色データベース112、吸収係数散乱係数データベース(1)113、吸収係数散乱係数データベース(2)114、階調特性テーブルデータベース115、一時記憶部116、ノイゲバウア原色分光反射率算出部121、特色インキ任意階調分光反射率算出部122を備えている。
【0018】
吸収係数・散乱係数データベース(1)113には、原色インキ毎に、指令網点面積率が100%、すなわちベタで印刷媒体(例えば、コート紙などの用紙)に印刷された印刷部分から求めたインキの着色層の吸収係数K(λ)、散乱係数S(λ)が外部コンピュータなどにより予め書き込まれて記憶されている。
【0019】
吸収係数・散乱係数データベース(2)114には、原色インキ毎に、指令網点面積率が100%、すなわちベタで印刷媒体に印刷された印刷部分から求めたインキの着色層の吸収係数K(λ)、散乱係数S(λ)が外部コンピュータなどにより予め書き込まれて記憶されている。この印刷媒体は吸収係数・散乱係数データベース(1)113の印刷媒体とは異なり、実際の印刷に用いる用紙と同分類の用紙である。
【0020】
近似色データベース112には、配合された原色インキの組み合わせが異なる複数種類の特色インキ(参照特色インキ)について、この特色インキの測色値と、原色の配合比が予め書き込まれて記憶されている。
【0021】
測定分光反射率データベース111には、原色インキ毎の複数の指定網点面積率で印刷媒体に印刷された印刷部分の測定分光反射率R
s(λ)が外部コンピュータ等により予め書き込まれて記憶されている。ここで、sは指令網点面積率である。また、測定分光反射率データベース111には、実際の印刷に用いられる印刷媒体の分光反射率R
0(λ)が外部コンピュータ等により予め書き込まれて記憶されている。
【0022】
一時記憶部116は、本実施形態における各部の途中計算結果が記憶される記憶部であり、内部に吸収散乱係数テーブル、特色インキ配合比テーブル、ノイゲバウア原色テーブル、特色インキ階調分光反射率テーブル、色予測テーブル、等が書き込まれ記憶されている。
【0023】
入力部101は、例えば、外部のコンピュータと接続されており、ユーザが設定する色見本の測色値や原色インキや特色インキの各原色の指令網点面積率の指定値などのデータを入力する。また、入力部101は、キーボードあるいはタッチパネル等の入力手段を有し、この入力手段から入力されるユーザが設定する色見本の測色値やインキの各原色の指令網点面積率の指定値等のデータを、色予測システム1内部の各部に出力する構成としても良い。
【0024】
ノイゲバウア原色分光反射率算出部121は、入力部101により与えられたデータと近似色データベース112に記憶されている原色の配合比、吸収係数・散乱係数データベース(1)113に記憶されている原色インキの散乱係数S(λ)、吸収係数K(λ)から特色インキの配合比を決定し、決定した配合比および吸収係数・散乱係数データベース(2)114から、特色インキの吸収散乱特性を算出し、これを基にノイゲバウア原色の分光反射率を算出する。
【0025】
特色インキ任意階調分光反射率算出部122は、原色インキの階調特性テーブルデータベース115から、特色インキの階調特性を算出し、これを基に特色インキの任意階調における分光反射率を算出する。
【0026】
以下、ノイゲバウア原色分光反射率算出部121および特色インキ任意階調分光反射率算出部122における各部の動作を説明する。
【0027】
ノイゲバウア原色分光反射率算出部121は、吸収係数・散乱係数算出部103、特色インキ配合比決定部105、特色インキ分光反射予測部106、特色インキ再現色算出部104、ノイゲバウア原色分光反射率予測部106を備えている。また、特色インキ任意階調分光反射率算出部122は、特色インキ階調特性パラメータ決定部107、特色インキ階調分光反射率予測部108を備えている。
【0028】
特色インキ分光反射率算出部102は、近似色データベース112における原色インキの組み合わせが異なる特色インキから、測色値が色見本の測色値と最も近い特色インキを読み出す。この近似色データベース112には、特色インキの測色値と原色インキの配合比とが記憶されており、読み出した特色インキの原色の配合比を、色見本を再現する特色インキの原色の配合比として設定する。また、特色インキ分光反射率算出部102は、測定分光反射率データベース111から、色見本の印刷媒体の下地分光反射率R
0(λ)を読み出す。
【0029】
吸収係数・散乱係数算出部103は、吸収係数・散乱係数データベース(1)113から設定した配合比に含まれる原色インキを構成する原色インキ、例えば原色インキ♯1および原色インキ♯2の各々の吸収係数K
#1(λ)およびK
#2(λ)と、散乱係数S
#1(λ)およびS
#2(λ)との各々を読み出す。
【0030】
そして、吸収係数・散乱係数算出部103は、以下の(1)式により、原色インキを混色した特色インキの吸収係数K
t(λ)および散乱係数S
t(λ)を算出する。また、特色インキ再現色算出部104は、求めた特色インキの散乱係数S
t(λ)および吸収係数K
t(λ)の各々を一時記憶部116の吸収散乱係数テーブルに書き込んで記憶させる。
【0032】
(1)式において、係数α、および係数βの各々は、原色インキ♯1および原色インキ♯2それぞれの混ぜ合わせる比率を示す係数である。原色インキ♯1の吸収係数K
#1(λ)に対して係数αを乗算し、原色インキ♯2の吸収係数K
#2(λ)に対して係数βを乗算し、加算した数値を特色インキの吸収係数K
t(λ)としている。同様に原色インキ♯1の散乱係数S
#1に対して係数αを乗算し、原色インキ♯2の散乱係数S
#2に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキ散乱係数S
t(λ)としている。このように原色インキを2種以上混色した特色インキの吸収係数および散乱係数を、各特色インキの吸収係数および散乱係数の線形和によって算出する。
【0033】
これにより、特色インキ分光反射率算出部102は、(2)式に対して、吸収係数K
t(λ)および散乱係数S
t(λ)と色見本の印刷媒体の下地分光反射率R
0(λ)と濃度階調の膜厚係数X
mとの各々を代入し、特色インキの分光反射率R
KM(λ)を求める。
【0035】
特色インキ再現色算出部104は、特色インキ分光反射率算出部102が算出した特色インキの分光反射率R
KM(λ)に対して観察光源の分光分布と標準観測者とを設定し測色値(例えばLab値)に変換し、特色インキ配合比決定部105に対して出力する。
【0036】
特色インキ配合比決定部105は、特色インキ再現色算出部104が算出した測色値と色見本の測色値との色差を確認する。そして、特色インキ配合比決定部105は、この色差が予め設定された許容範囲内である場合、特色インキ分光反射率算出部102が算出した色における原色インキ各々の配合比をその色見本を再現する特色インキを構成する原色インキの種類とその配合比として、一時記憶部116の特色インキ配合比テーブルに対し、特色インキの識別情報である特色インキ識別情報とともに書き込んで記憶させる。
【0037】
この色差が予め設定された許容範囲内でない場合、特色インキ再現色算出部104が算出した測色値と色見本の測色値との色差が許容範囲内になるよう係数α、βを変更する。
【0038】
ノイゲバウア原色分光反射率予測部106は、一時記憶部116に記憶した各特色インキにおける原色インキの種類と原色インキ各々の配合比とを読み出す。
【0039】
そして、吸収係数・散乱係数データベース(2)114から読み出した原色インキ、例えば原色インキ$1および原色インキ$2の各々の吸収係数K
$1(λ)およびK
$2(λ)と散乱係数S
$1(λ)およびS
$2(λ)との各々を読み出す。
【0040】
そして、(1)式により、各特色インキの吸収係数K
t(λ)および散乱係数S
t(λ)を算出する。
【0041】
なおここで(1)式において、係数αおよび係数β各々には、一時記憶部116から読み出した配合比を用いる。算出した吸収係数K
t(λ)および散乱係数S
t(λ)は各々を一時記憶部116の吸収散乱係数テーブルに書き込んで記憶する。
【0042】
ノイゲバウア原色分光反射率予測部106は、算出した特色インキの散乱係数S
t(λ)および吸収係数K
t(λ)、印刷媒体の下地分光反射率R
1(λ)、膜厚係数X
mを(2)式に代入することにより、特色ベタの分光反射率を算出する。また、ノイゲバウア原色分光反射率予測部106は、複数の使用する特色(原色を含んでもよい)の組み合わせと、その刷り順が指定された際、全ての使用する特色の組み合わせに対して、その重ね合わせの分光反射率(すなわちノイゲバウア原色の分光反射率)を(2)式により算出する。算出したノイゲバウア原色の分光反射率は、一時記憶部116のノイゲバウア原色テーブルに書き出して記憶する。
【0043】
図2は、特色インキを構成する原色インキおよび、その配合比を決定し、特色インキの吸収係数K
t(λ)、散乱係数S
t(λ)を算出するフローチャートである。
【0044】
(ステップS101)
ユーザは再現に用いる色見本の測色値を測色し、色予測システム1に対して入力する。
【0045】
(ステップS102)
特色インキ分光反射率算出部102は、色見本の印刷媒体の分光反射率である下地分光反射率R
0(λ)を、測定分光反射率データベース111から読み出す。
【0046】
(ステップS103)
次に、特色インキ分光反射率算出部102は、特色インキを構成する原色インキの組み合わせを、近似色データベース112から読み出す。例えば、このとき、特色インキ分光反射率算出部102は、色見本から取得した測色値と最も近い測色値を持つ特色インキを近似色データベース112から抽出して選択する。
【0047】
(ステップS104)
吸収係数・散乱係数算出部103は、ステップS103において選択された特色インキを構成する原色インキの散乱係数S(λ)および吸収係数K(λ)を、吸収係数・散乱係数データベース(1)113から読み出す。
【0048】
(ステップS105)
特色インキ配合比決定部105は、特色インキを構成する原色インキ各々の配合比に初期値を設定する。初期値には、ステップS103で近似色データベース112から抽出した特色の配合比を設定する。
【0049】
(ステップS106)
次に、吸収係数・散乱係数算出部103は、(1)式に示す様に、原色インキの各々の配合比を、それぞれの原色インキの散乱係数S(λ)および吸収係数K(λ)に乗じる。そして、吸収係数・散乱係数算出部103は、乗算結果を加算することにより、その配合比(例えば、(1)式におけるα、βにおける特色インキの散乱係数S
t(λ)および吸収係数K
t(λ)を算出する。
【0050】
特色インキ分光反射率算出部102は、(2)式に対し、色見本の印刷媒体の分光反射率R
0(λ)と、散乱係数S
t(λ)、および吸収係数K
t(λ)とを代入して、特色インキ分光反射率を算出する。さらに、特色インキ再現色算出部104は特色インキ分光反射率算出部102が算出した特色インキの分光反射率から、測色値を算出する。
【0051】
特色インキ配合比決定部105は、色見本の測色値L*a*b*値と、特色インキ再現色算出部104の求めた測色値L*a*b*値との色差を求める。
【0052】
(ステップS107)
そして、特色インキ配合比決定部105は、S106で求めた色差が予め設定した許容範囲内であるか否かの判定を行う。このとき、特色インキ配合比決定部105は、色差が予め設定した許容範囲内である場合処理をステップS108へ進める。一方、特色インキ配合比決定部105は、色差が予め決定した許容範囲内にない場合、処理をS111へ進める。
【0053】
(ステップS108)
次に、特色インキ配合比決定部105は、色見本に対応する特色インキにおける原色インキの配合比を現在の配合比とする。そして、特色インキ配合比決定部105は、特色インキにおける原色インキの種類と、原色インキ各々の配合比とを、一時記憶部116の特色インキ配合比テーブルに書き込んで記憶する。
【0054】
(ステップS109)
次に、特色インキ配合比決定部105は、原色インキの種類と原色インキ各々の配合比とを一時記憶部116から読み出し、吸収係数・散乱係数データベース(2)114から前記原色インキの散乱係数S(λ)および吸収係数K(λ)を読み出す。そして、S106と同様に前記配合比および原色インキの散乱係数S(λ)、吸収係数K(λ)から、その配合比における特色インキの散乱係数S
t(λ)および吸収係数K
t(λ)を算出する。
【0055】
(ステップS110)
次に、色見本に対応する特色インキの散乱係数S
t(λ)および吸収係数K
t(λ)をS109で算出した散乱係数S(λ)および吸収係数K(λ)とする。そして、特色インキ配合比決定部105は、特色インキの散乱係数S
t(λ)および吸収係数K
t(λ)を、一時記憶部116の吸収散乱係数テーブルに書き込んで記憶させる。
【0056】
(ステップS111)
特色インキ配合比決定部105は、配合比の変更回数が予め設定された規定以内か否かの判定を行う。このとき、特色インキ配合比決定部105は配合比の変更回数が予め設定された規定回数以内である場合は、処理をステップS112へ進める。一方、特色インキ配合比決定部105は、配合比の変更回数が予め設定された規定回数を超えた場合、処理をステップS113へ進める。
【0057】
(ステップS112)
特色インキ配合比決定部105は、特色インキを構成する原色インキの各々の配合比を変更する。そして、特色インキ配合比決定部105が、配合比の変更回数を計数するカウンタをインクリメント(1つカウント値をあげる)し、処理をステップS106へ進める。
【0058】
(ステップS113)
特色インキ配合比決定部105は、原色インキの組み合わせを変更するか否かの選択画面を、色予測システム1の図示しない表示部に表示する。特色インキ配合比決定部105は、ユーザが原色インキの組み合わせの変更を選択した場合、処理をステップS114へ進める。一方、特色インキ配合比決定部105は、ユーザが原色インキの組み合わせを選択しない場合、処理をステップS108へ進める。
【0059】
(ステップS114)
特色インキ配合比決定部105は、配合比の変更回数を計数するカウンタをリセットし、係数値、すなわち、変更回数を「0」とする。
【0060】
(ステップS115)
特色インキ配合比決定部105は、特色インキ分光反射率算出部102に対し、原色インキの組み合わせを変更する制御信号を出力する。特色インキ分光反射率算出部102は、特色インキを構成する原色インキの組み合わせを近似色データベース112から新たに読み出す。
【0061】
図1に戻り、階調特性テーブルデータベース115には、原色インキの階調特性(指令網点面積率に応じた濃度階調領域の出現率)を表すパラメータ(後述する階調特性パラメータ)があらかじめ計算されて記憶されている。この階調特性パラメータは下記の方法により事前に求めておくことができる。
【0062】
[階調特性パラメータの算出方法]
任意の指令網点面積率sに対応する分光反射率は(3)式で表現されるものとし、(3)式において、a
1(s)、a
2(s)を階調特性パラメータとする。また、R
i(λ)は単色ベタの分光反射率、R
p(λ)は用紙の分光反射率を表し、予測対象の印刷条件における印刷物から測定し取得する。
【0063】
R
o(λ)は面積変調により色を再現する印刷で発生する光学的ドットゲインと呼ばれる現象を考慮するために加えられている。
図3は光学的ドットゲインが発生する原理を示したものである。
図3に示した様に、通常インキが乗った部分では、インキ部分から入射した光が再びインキ部分から射出されてくるが、インキ部と用紙部との境界部分では、インキ部分から入射した光が用紙部から射出したり、用紙部から入射した光がインキ部から射出したりするため、観測されるインキの面積率は、実際のインキの面積率と異なることとなる。
【0065】
本実施形態では、
図4に示す様に光学的ドットゲインによる発色をベタ部とは異なる分光反射率を持った仮想的な原色が存在するものと想定し、その分光反射率をR
o(λ)としている。
【0066】
次に、R
o(λ)を既知のデータで表現するために、下記の式を考える。
【0068】
この式で表現されるK
i(λ)はインキの吸光率と考えることができる。前述した仮想的な原色についても同様の式が定義できる。
【0070】
光学的ドットゲインにより発生する仮想的な原色について、ベタ部ではインキ層を2回通過するのに対し、光学的ドットゲインが発生する部分ではインキ層を1回のみ通過することから、前述の吸光率が半分になるとするとK
o(λ)は(6)式で表すことができ、この式に(4)式、(5)式を代入することにより、R
o(λ)は既知のデータから以下の(7)式で表される。
【0073】
この式を(3)式に代入することにより、任意の指令網点面積率に対応する分光反射率の推定値は以下の式で表される。
【0075】
ここで、実際に測定した1次色ステップの実測値R(s,λ)と推定値R^(s,λ)との誤差が最小となる様に(9)式のRMSが最小となる様なa
1、a
2を最適化により算出する。この結果は
図5のような傾向を示す。
図5には、設定値と実効網点面積率の関係の例を示す。
【0077】
次に特色インキ階調特性パラメータ決定部107は、特色インキ配合比決定部105が決定した特色の配合比に基づいて、階調特性テーブルデータベース115から原色の階調特性を読み出し、特色インキの階調特性を決定する。ここで決定する階調特性は、特色インキを構成する原色インキのいずれかの原色の階調特性を特色の階調特性としてもよいし、配合比に基づいてそれぞれの原色の階調特性を組み合わせて階調特性を決定してもよい。
【0078】
特色インキ階調特性パラメータ決定部107は、ノイゲバウア原色分光反射率算出部121が算出した特色ベタの分光反射率を読み出し、求めた特色の階調特性とともに、(8)式に代入することにより、特色インキごとに各指令網点面積率に対応する分光反射率R’(s,λ)を求め、一時記憶部116の特色インキ階調分光反射率テーブルに記憶する。
【0079】
図6は、特色インキの階調毎の分光反射率を算出する処理を示すフローチャートである。
【0080】
(ステップS201)
特色インキ階調分光反射率予測部108は、階調毎の分光反射率を算出する特色インキのベタの分光反射率を、一時記憶部116のノイゲバウア原色テーブルから読み出す。
【0081】
(ステップS202)
特色インキ階調分光反射率予測部108は、特色インキの配合比を一時記憶部116の特色インキ配合比テーブルから読み出す。
【0082】
(ステップS203)
特色インキ階調特性パラメータ決定部107は、特色インキを構成する原色インキの階調特性パラメータa
1(s)、a
2(s)を階調特性テーブルデータベース115から読み出す。
【0083】
(ステップS204)
特色インキ階調特性パラメータ決定部107は、階調特性テーブルデータベース115から読み出した原色インキの階調特性パラメータa
1(s)、a
2(s)を基に、特色インキの階調特性パラメータa
1o(s)、a
2o(s)を決定する。
【0084】
(ステップS205)
特色インキ階調分光反射率予測部108は、原色インキを所定の比率で混ぜ合わせて生成した特色インキの指令網点面積率に対応する分光反射率R’(s,λ)を特色インキ階調特性パラメータ決定部107が求めた階調特性パラメータa
1(s)、a
2(s)に基づいて、(8)式により求める。
【0085】
(ステップS206)
特色インキ階調分光反射率予測部108は、求めた分光反射率R’(s,λ)を一時記憶部116の特色インキ階調分光反射率テーブルに対して書き込んで記憶させる。
【0086】
図1に戻り、網点掛け合わせ分光反射率計算部109は、特色インキの指令網点面積率に対応する分光反射率R’(s,λ)を、一時記憶部116の特色インキ階調分光反射率テーブルから読み出す。また、特色インキベタの分光反射率R
KM(λ)、および印刷媒体の下地分光反射率R
1(λ)を一時記憶部116のノイゲバウア原色テーブル、測定分光反射率データベース111からそれぞれ読み出す。
【0087】
ここで、光学的ドットゲインの影響を考慮した場合、任意の指令網点面積率に対する1次色の分光反射率が1次色のベタと用紙の分光反射率との線形和で表されるとし、その線形和の2つの項の重み付け係数が波長の関数で変化するものとすると、(10)式で表すことができる。
【0089】
この重み付け係数は分光実効網点面積率に相当し、(10)式において、分光実効網点面積率a
eff(s,λ)について解くと(11)式が得られる。従って、任意の指令網点面積率に対する分光実効網点面積率を求めることができる。
【0091】
網点掛け合わせ分光反射率計算部109は、求めた分光実効網点面積率a
eff(s,λ)からデミッチェルの(12)式によりノイゲバウア原色の分光実効網点面積率F
A(λ)を求める。
【0093】
また、網点掛け合わせ分光反射率計算部109は、ノイゲバウア原色Aの分光実効網点面積率F
A(λ)および、ノイゲバウア原色の分光反射率R
A(λ)を(13)式に代入することにより指令網点面積率の分光反射率R
total(λ)を算出する。
【0095】
算出した指令網点面積率の分光反射率R
total(λ)を出力部110を介して出力する。
【0096】
上述したように、本実施形態によれば、オフセット印刷等のような面積変調階調表現の印刷において、原色インキから特色インキの吸収特性および散乱特性を推定し、特色インキの分光反射率を算出し、特色インキの重ね刷りされた際の重なり領域の分光反射率を求めることができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、色見本とは異なる印刷用紙に印刷するような場合でも、特色インキの吸収特性および散乱特性を推定を可能とし、特色インキの重ね刷りされた際の重なり領域の分光反射率を求めることができる。
【0098】
すなわち、本実施形態によれば、原色インキの特性から特色インキの特性を求め、予め重ね刷り見本から算出した重ね刷り特性に基づき、特色インキで再現されるあらゆる重ね刷り再現色の測色値や分光反射率を高精度に求めるという本発明に関わる基本的な機能はいずれの実施形態においても同様である。また、本実施形態は、上述したように、主にオフセット印刷など、網点の面積により階調を表現する面積変調階調表現の印刷方式に適用されると高い予測精度を得ることが可能である。
【0099】
また、本実施形態に基づけば、伝統的なノイゲバウア方程式の発展により展開されるいずれの色予測方法においても容易に適用可能な特色インキによる重ね刷り色予測方法を提供することが可能となる。
【0100】
(変形例)
なお、本発明における
図1の色予測システム1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより色予測の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含んでもよい。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。
【0101】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0102】
また、本発明における色予測システム1では出力を、分光反射率としたが、観察光源の分光分布と標準観測者を設定し、求めた分光反射率から測色値を求めてもよい。
【0103】
また、本発明における色予測システムを用いて、予め作成した指令網点面積率が記述された予測テーブルの測色値を算出し、公知のICCプロファイルフォーマットを作成しても良い。また同様に、色分解プロファイルを作成しても良い。