特許第6623712号(P6623712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623712
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/00 20060101AFI20191216BHJP
   B60K 28/10 20060101ALI20191216BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20191216BHJP
   B60W 10/11 20120101ALI20191216BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20191216BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20191216BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20191216BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20191216BHJP
   H02P 9/14 20060101ALI20191216BHJP
   F16H 61/14 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B60W10/00 148
   B60K28/10 Z
   B60W10/06
   B60W10/11
   B60W10/30
   F02D29/06 E
   F02D29/02 321B
   F02D29/02 321C
   H02P9/04 M
   H02P9/14 G
   F16H61/14 601H
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-225589(P2015-225589)
(22)【出願日】2015年11月18日
(65)【公開番号】特開2017-94761(P2017-94761A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】江島 和仁
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−224110(JP,A)
【文献】 特開2004−190493(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/036810(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 50/16
B60K 6/20 − 6/547
F02D 29/00 − 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のアクセルペダルの踏量を検出するアクセルペダルセンサと、
前記車両の車速を検出する車速センサと、
回転するエンジンシャフトを有する内燃機関と、
前記内燃機関の前記エンジンシャフトの回転数を計測する回転数センサと、
前記内燃機関の前記エンジンシャフトに直結されて回転する入力軸と、前記入力軸との間で互いに回転力を伝達し合う出力軸とを有し、前記入力軸の回転数と前記出力軸の回転数との比を変更可能な変速機と、
前記変速機の前記出力軸との間で互いに回転力を伝達し合い、前記変速機の前記出力軸から伝達された回転力で前記車両を走行させる駆動輪と、
前記内燃機関と前記変速機との間に設けられ、前記内燃機関の前記エンジンシャフトと前記変速機の前記入力軸との間で回転力の伝達を行うトルクコンバータと、
前記トルクコンバータに設けられ、前記内燃機関の前記エンジンシャフトと前記変速機の前記入力軸とを直結する係合状態と、前記係合状態を解除する解放状態とを切り替え可能なロックアップクラッチと、
前記内燃機関の前記エンジンシャフトの回転力により発電するオルタネータと、
前記アクセルペダルセンサにより検出された前記アクセルペダルの前記踏量がアクセルオフ閾値以下であるときに、前記内燃機関に燃料を供給する燃料供給状態から前記内燃機関への燃料の供給を停止する燃料カット状態へと切り替え、前記回転数センサにより計測された前記内燃機関の前記エンジンシャフトの回転数が復帰回転数以下であるときに、前記燃料カット状態から前記燃料供給状態へと切り替える燃料供給制御部と、
前記アクセルペダルセンサにより検出された前記アクセルペダルの前記踏量が前記アクセルオフ閾値以下であるときに、前記車速センサにより検出された前記車両の前記車速に基づいて、前記車両の目標減速度を算出する目標減速度算出部と、
前記目標減速度算出部により算出された前記目標減速度により前記車両が減速するための前記オルタネータの目標トルクを算出する目標トルク算出部と、
前記目標トルク算出部により算出された前記目標トルクを前記オルタネータが発生するように前記オルタネータの発電電圧を制御するオルタネータ制御部と、
前記燃料供給制御部が前記燃料供給状態から前記燃料カット状態へと切り替え、前記ロックアップクラッチが前記解放状態であるときに、前記目標トルク算出部により算出された前記目標トルクが増加したときには、前記ロックアップクラッチを前記解放状態から前記係合状態へと切り替えるロックアップ制御部と、を備えた車両制御装置。
【請求項2】
前記目標減速度算出部は、
第1速度領域では、前記車速の大きさに比例して線形に増大する前記目標減速度を算出し、
前記第1速度領域よりも高速の第2速度領域では、前記車速が増大するほど、非線形に前記目標減速度が増大し、且つ前記車速に対する前記目標減速度の勾配が増大する前記目標減速度を算出する、請求項1に記載の車両制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、アクセルペダルが踏まれなくなったときに、燃費の向上のために、内燃機関に燃料を供給する燃料供給状態から内燃機関への燃料の供給を停止する燃料カット状態へと切り替え、内燃機関のエンジンシャフトの回転力により発電するオルタネータのトルクにより、車両を減速させる装置が知られている。
【0003】
特許文献1の装置では、トルクコンバータに設けられ、内燃機関のエンジンシャフトと変速機の入力軸とを直結する係合状態と、係合状態を解除する解放状態とを切り替え可能なロックアップクラッチを備えている。特許文献1の装置では、スロットル開度及び車速の両方をパラメータとするマップに基づいて、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に切り替えるロックアップ制御が行われる。ロックアップクラッチの係合状態では、車両の走行に伴って回転する駆動輪の回転力が変速機の入力軸を介して内燃機関のエンジンシャフトを回転させるため、オルタネータは効率良く発電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−128344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような技術では、内燃機関のエンジンシャフトの回転数が所定の復帰回転数以下となると、内燃機関の停止を防止するために、燃料カット状態から燃料供給状態へと切り替えられる。しかし、ロックアップクラッチの解放状態から係合状態への切り替えが遅れると、オルタネータのトルクにより内燃機関のエンジンシャフトの回転数が燃料カット状態の開始から早期に復帰回転数以下となり、燃料カット状態から燃料供給状態へと切り替えられることがある。
【0006】
そこで本発明は、エンジンシャフトの回転数が復帰回転数以下となることによる燃料カット状態から燃料供給状態への切り替えを低減することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、車両のアクセルペダルの踏量を検出するアクセルペダルセンサと、車両の車速を検出する車速センサと、回転するエンジンシャフトを有する内燃機関と、内燃機関のエンジンシャフトの回転数を計測する回転数センサと、内燃機関のエンジンシャフトに直結されて回転する入力軸と、入力軸との間で互いに回転力を伝達し合う出力軸とを有し、入力軸の回転数と出力軸の回転数との比を変更可能な変速機と、変速機の出力軸との間で互いに回転力を伝達し合い、変速機の出力軸から伝達された回転力で車両を走行させる駆動輪と、内燃機関と変速機との間に設けられ、内燃機関のエンジンシャフトと変速機の入力軸との間で回転力の伝達を行うトルクコンバータと、トルクコンバータに設けられ、内燃機関のエンジンシャフトと変速機の入力軸とを直結する係合状態と、係合状態を解除する解放状態とを切り替え可能なロックアップクラッチと、内燃機関のエンジンシャフトの回転力により発電するオルタネータと、アクセルペダルセンサにより検出されたアクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下であるときに、内燃機関に燃料を供給する燃料供給状態から内燃機関への燃料の供給を停止する燃料カット状態へと切り替え、回転数センサにより計測された内燃機関のエンジンシャフトの回転数が復帰回転数以下であるときに、燃料カット状態から燃料供給状態へと切り替える燃料供給制御部と、アクセルペダルセンサにより検出されたアクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下であるときに、車速センサにより検出された車両の車速に基づいて、車両の目標減速度を算出する目標減速度算出部と、目標減速度算出部により算出された目標減速度により車両が減速するためのオルタネータの目標トルクを算出する目標トルク算出部と、目標トルク算出部により算出された目標トルクをオルタネータが発生するようにオルタネータの発電電圧を制御するオルタネータ制御部と、目標トルク算出部により算出された目標トルクが増加したときに、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態へと切り替えるロックアップ制御部とを備えた車両制御装置である。
【0008】
この構成によれば、アクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下であるときに、目標減速度算出部により、車速に基づいて車両の目標減速度が算出され、目標トルク算出部により、目標減速度により車両が減速するためのオルタネータの目標トルクが算出される。つまり、フィードフォワード制御により目標トルクが算出される。ロックアップ制御部により、フィードフォワード制御により算出された目標トルクが増加したときに、ロックアップクラッチが解放状態から係合状態へと切り替えられる。これにより、ロックアップクラッチが早期に係合状態に切り替えられ、車両の走行に伴って回転する駆動輪の回転力が変速機の入力軸を介して内燃機関のエンジンシャフトを回転させるため、エンジンシャフトの回転数が復帰回転数以下となることによる燃料カット状態から燃料供給状態への切り替えを低減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一側面によれば、エンジンシャフトの回転数が復帰回転数以下となることによる燃料カット状態から燃料供給状態への切り替えを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る車両制御装置の構成を示すブロック図である。
図2図1の車両制御装置の動作を示すフローチャートである。
図3】車速に対する目標減速度のマップを示すグラフである。
図4】車速に対する目標減速度における走行抵抗、内燃機関の損失及びオルタネータの目標トルクの寄与分を示すグラフである。
図5】アクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下となる場合の各値の変化を示すタイムチャートである。
図6】(A)は、従来の装置における燃料供給状態から燃料カット状態に切り替えられた際の車両の状態量のそれぞれを示すタイムチャートであり、(B)は、実施形態に係る車両制御装置における燃料供給状態から燃料カット状態に切り替えられた際の車両の状態量のそれぞれを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態の車両制御装置100は、車両1に搭載される。車両制御装置100は、アクセルペダルセンサ11、車速センサ12、内燃機関20、変速機30、ディファレンシャルギア40、駆動輪50、トルクコンバータ60、オルタネータ70及びECU80を備えている。
【0012】
アクセルペダルセンサ11は、例えば、車両1のアクセルペダルのシャフト部分に対して設けられ、アクセルペダルの踏量(アクセルペダルの位置)を検出する。アクセルペダルセンサ11は、検出したアクセルペダルの踏量に応じた信号をECU80へ出力する。
【0013】
車速センサ12は、車両1の車速を検出するためのセンサである。車速センサ12としては、例えば、車両1の車輪又は車輪と一体に回転する車軸等に対して設けられ、車輪の回転速度を信号として検出する車輪速センサが用いられる。車速センサ12は、車輪の回転速度に応じた信号をECU80に送信する。
【0014】
ブレーキペダルセンサ13は、例えば、車両1のブレーキペダルのシャフト部分に対して設けられ、ブレーキペダルの踏量(ブレーキペダルの位置)を検出する。ブレーキペダルセンサ13は、ブレーキペダルの操作力(ブレーキペダルに対する踏力やマスタシリンダの圧力等)からブレーキペダルの踏量を検出してもよい。ブレーキペダルセンサ13は、検出したブレーキペダルの踏量や操作力に応じた信号をECU80へ出力する。
【0015】
内燃機関20は、回転するエンジンシャフト21を有する。例えば、内燃機関20は、公知のレシプロエンジン又はディーゼルエンジンである。内燃機関20で使用される燃料の種類は問わない。内燃機関20がレシプロエンジンの場合は、内燃機関20は、吸気、圧縮、膨張、排気の4工程を繰り返し経ることで、エンジンシャフト21を回転させる。
【0016】
内燃機関20は、内燃機関のエンジンシャフト21の回転数を計測する回転数センサ22を有する。回転数センサ22は、例えば、エンジンシャフト21に形成された磁極を有する歯車状のロータと、当該ロータに対向するコイルとで構成される。回転数センサ22では、ロータの回転によりコイルを通過する磁束が変化するため、エンジンシャフト21の回転数に応じた交流信号が出力される。回転数センサ22は、エンジンシャフト21の回転数に応じた交流信号をECU80に送信する。
【0017】
また、内燃機関20は、ECU80からの制御信号に応じて、内燃機関20へ燃料を供給する燃料供給装置23を有する。燃料供給装置23は、例えば、燃料噴射装置により、不図示の燃料タンクの燃料を内燃機関20の吸入空気に霧状に噴射する。燃料供給装置23は、キャブレターを用いた形式のものでもよい。また、燃料供給装置23は、ECU80からの制御信号に応じて、内燃機関20への燃料の供給を停止する。
【0018】
変速機30は、内燃機関20のエンジンシャフト21に直結されて回転する入力軸31と、入力軸31との間で互いに回転力を伝達し合う出力軸32とを有する。変速機30は、ギア段を変更することにより、入力軸31の回転数と出力軸32の回転数との比(変速比)を変更可能である。変速機30は、車速センサ12により検出された車両1の車速や、回転数センサにより検出された内燃機関20のエンジンシャフト21の回転数に応じて変速比を変更する自動変速機である。なお変速機30は、入力軸31の回転数と出力軸32の回転数との比を無段階で連続的に変更可能なCVT(Continuously Variable Transmission)であってもよい。変速機30は、変速機30の変速比に関する情報をECU80に送信する。
【0019】
ディファレンシャルギア40は、変速機30の出力軸32の車両1の進行方向に平行な軸周りの回転力を車両1の進行方向に垂直な軸周りの回転力に変換し、駆動輪50に伝達する。駆動輪50は、変速機30の出力軸32との間で互いに回転力を伝達し合い、変速機30の出力軸32から伝達された回転力で車両1を走行させる。
【0020】
トルクコンバータ60は、内燃機関20と変速機30との間に設けられ、内燃機関20のエンジンシャフト21と変速機30の入力軸31との間で回転力の伝達を行う。トルクコンバータ60は、例えば、流体(オイル)を介して内燃機関20のエンジンシャフト21の回転力を変速機30の入力軸31に伝達する。
【0021】
トルクコンバータ60は、ロックアップクラッチ61を有する。ロックアップクラッチ61は、トルクコンバータ60に設けられ、油圧制御回路による油圧制御に基づいて作動し、内燃機関20のエンジンシャフト21と変速機30の入力軸31とを直結する係合状態と、係合状態を解除する解放状態とを切り替え可能である。
【0022】
オルタネータ70は、内燃機関20のエンジンシャフト21の回転力により発電する。オルタネータ70は、エンジンシャフト21の回転力をプーリーとタイミングベルトを介して伝達されることにより発電する。オルタネータ70はエンジンシャフト21に直結されていてもよい。オルタネータ70は、フィールドコイルを励磁状態で回転させることにより、ステータコイルに誘起電力を発生させ、誘起電流を整流器により直流電流に変換して不図示のバッテリに充電する。
【0023】
オルタネータ70は、オルタネータ70の実トルクを検出するトルクセンサ71を備えている。また、オルタネータ70は、発電電圧を調整するレギュレータ72を備えている。オルタネータ70は、後述するECU80の制御信号によってレギュレータ72に設定される目標発電電圧に応じて、フィールドコイルに流れる励磁電流を制御する。これにより、ステータコイルに発生する誘起電力(オルタネータの発電電圧)が制御される。
【0024】
ECU80は、車両制御装置100の各部の動作を制御する。ECU80のECUとは、Electronic Control Unitの略号である。ECU80は、CPU[CentralProcessing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECU80は、燃料供給制御部81、目標減速度算出部82、目標トルク算出部83、オルタネータ制御部84及びロックアップ制御部85を有している。ECU80では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、上記の燃料供給制御部81等の各部の制御を実行する。ECU10は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
【0025】
燃料供給制御部81は、アクセルペダルセンサ11により検出されたアクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下であるときに、内燃機関20に燃料を供給する燃料供給状態から内燃機関20への燃料の供給を停止する燃料カット状態へと切り替える。アクセルオフ閾値とは、アクセルペダルが踏まれていない状態(アクセルペダルがオフの状態)であるか否かを判定するためのアクセルペダルの踏量(アクセルペダルの位置)の閾値である。例えば、アクセルオフ閾値を0に設定し、アクセルペダルが全く踏まれていないときに、燃料供給制御部81は、アクセルペダルがオフの状態であると判定してもよい。また、アクセルペダルの最大の踏量の数%の踏量にアクセルオフ閾値を設定し、アクセルペダルが僅かに踏まれているときでも、燃料供給制御部81は、アクセルペダルがオフの状態であると判定してもよい。
【0026】
なお、燃料供給制御部81は、アクセルペダルセンサ11により検出されたアクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下であるときに加えて、例えば、車速センサ12により検出された車両1の車速が一定値以上であるときに、燃料供給状態から燃料カット状態へと切り替えてもよい。
【0027】
また、燃料供給制御部81は、回転数センサ22により計測された内燃機関20のエンジンシャフト21の回転数が復帰回転数以下であるときに、燃料カット状態から燃料供給状態へと切り替える。復帰回転数とは、内燃機関20の停止を防止するために、燃料カット状態から燃料供給状態へと切り替えるためのエンジンシャフト21の回転数の閾値である。復帰回転数は、エンジンシャフト21が復帰回転数で回転している状態で燃料カット状態から燃料供給状態へと切り替えれば、内燃機関20の再始動が可能である回転数に設定される。
【0028】
目標減速度算出部82は、アクセルペダルセンサ11により検出されたアクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下であるときに、車速センサ12により検出された車両1の車速に基づいて、車両1の目標減速度を算出する。目標減速度算出部82は、ECU80に記憶された車速に対する目標減速度のマップに基づいて、車両1の目標減速度を算出する。
【0029】
目標トルク算出部83は、目標減速度算出部82により算出された目標減速度により車両1が減速するためのオルタネータ70の目標トルクを算出する。目標トルク算出部83は、目標減速度及び車両1の走行抵抗をトルクに換算する。目標トルク算出部は、トルクに換算された目標減速度と、トルクに換算された車両1の走行抵抗と、トルクで表される内燃機関20の損失とに基づいて、オルタネータ70の目標トルクを算出する。つまり、目標トルク算出部83は、アクセルペダルがオフの状態であるときの車速に基づいたフィードフォワード制御により、オルタネータ70の目標トルクを算出する。
【0030】
なお、目標トルク算出部83は、ブレーキペダルセンサ13によりブレーキペダルが踏まれていることが検出された場合は、オルタネータ70の目標トルクをオルタネータ70の定格の最大値に算出する。これにより、オルタネータ70のトルクによる減速に加えて車両1の運転者によりブレーキペダルが操作されている緊急時の減速度を高めることができる。
【0031】
オルタネータ制御部84は、目標トルク算出部83により算出された目標トルクをオルタネータ70が発生するようにオルタネータ70の発電電圧を制御する。オルタネータ制御部84は、目標トルク算出部83により算出されたオルタネータ70の目標トルクと、オルタネータ70のトルクセンサ71により検出されたオルタネータ70の実トルクとから、フィードバック制御により、オルタネータ70の目標発電電圧を算出する。
【0032】
ロックアップ制御部85は、目標トルク算出部83により算出された目標トルクが増加したときに、ロックアップクラッチ61を解放状態から係合状態へと切り替える。ロックアップクラッチ61の解放状態から係合状態への切り替え、及びロックアップクラッチ61の係合状態から解放状態への切り替えは、例えば、ロックアップクラッチの油圧(締結油圧)を制御することにより行われる。なお、目標トルクが増加したときに、ロックアップクラッチ61を解放状態から係合状態へと切り替えるとは、目標トルクが増加した時点でロックアップクラッチ61を解放状態から係合状態へと切り替える何らかの制御が開始されることを意味し、目標トルクが増加した時点でロックアップクラッチ61の油圧が増加し始めるか否かや、目標トルクが増加した時点でロックアップクラッチ61の解放状態から係合状態への切り替えが完了しているか否かを問わない。
【0033】
以下、本実施形態の車両制御装置100の動作について説明する。図2に示すように、車両制御装置100のECU80の燃料供給制御部81は、アクセルペダルセンサ11により、アクセルペダルがオフの状態であるかを判定する(S1)。アクセルペダルがオフの状態ではなく、オンの状態であるときは、車両制御装置100は処理を終了する。アクセルペダルセンサ11により検出されたアクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下であり、アクセルペダルがオフの状態であると判定されたときは、燃料供給制御部81は、内燃機関20に燃料を供給する燃料供給状態から内燃機関20への燃料の供給を停止する燃料カット状態へと切り替える(S2)。
【0034】
ECU80は、以下の処理を行うための車両状態の検出を行う(S3)。ECU80の目標減速度算出部82は、車速センサ12により車両1の車速に関する情報を取得する。
【0035】
ECU80の目標トルク算出部83は、オルタネータ70の目標トルクを算出するための各情報を取得する。オルタネータ70の目標トルクを算出するための情報には、車両1の走行抵抗、内燃機関20の損失、車両1のタイヤの径、車両1の重量、ディファレンシャルギア40の変速比(出力軸32の回転数に対する駆動輪50の回転数の比)、変速機30の変速比及びブレーキペダルの踏量の有無が含まれる。
【0036】
車両1の走行抵抗は、車速センサ12により検出された車両1の車速の二次関数により算出することができる。内燃機関20の損失は、回転数センサ22により検出された内燃機関20のエンジンシャフト21の回転数により算出することができる。車両1のタイヤの径、車両1の重量、ディファレンシャルギア40の変速比は、ECU80に予め記憶された情報を用いることができる。変速機30の変速比は、変速機30からECU80に送信される。ブレーキペダルの踏量の有無は、ブレーキペダルセンサ13により検出することができる。
【0037】
ECU80のオルタネータ制御部84は、オルタネータ70の目標発電電圧を算出するための各情報を取得する。オルタネータ70の目標発電電圧を算出するための情報には、オルタネータ70の実トルク及びオルタネータ70の発電電圧が含まれる。オルタネータ70の実トルクは、トルクセンサ71により検出することができる。オルタネータ70の発電電圧は、レギュレータ72により検出することができる。
【0038】
目標減速度算出部82は、車速センサ12により検出された車両1の車速に基づいて、車両1の目標減速度を算出する(S4)。図3に示すように、ECU80には、車速に対する目標減速度のマップが記憶されている。アクセルペダルがオフの状態であるときに、車両1の運転者が好ましく感じ且つ要求する減速度は一定ではない。
【0039】
アクセルペダルがオフの状態であるときに運転者が要求する減速度は、車速が低速である場合には、車両1の車速の大きさに比例して線形に増大する減速度である。低速においては、このような減速度が運転者の感覚に合致する。一方、アクセルペダルがオフの状態であるときに運転者が要求する減速度は、車速が高速である場合には、車両1の車速が増大するほど、非線形に減速度が増大し、且つ車速に対する減速度の勾配が増大する減速度である。高速においては、車速が増大するほど、緊急性が増大するため、このような減速度が運転者の感覚に合致する。
【0040】
そこで、本実施形態では、図3に示すように、車速が低速である場合には、領域R1に示すように、車両1の車速の大きさに比例して線形に増大する目標減速度が設定されている。一方、車速が高速である場合には、領域R2に示すように、車両1の車速が増大するほど、非線形に減速度が増大し、且つ車速に対する減速度の勾配が増大する目標減速度が設定されている。目標減速度算出部82は、図3に示すようなマップを参照しつつ、車速センサ12により検出された車両1の車速に基づいて、車両1の目標減速度を算出する。
【0041】
図2に示すように、目標トルク算出部83は、目標減速度算出部82により算出された目標減速度により車両1が減速するためのオルタネータ70の目標トルクを算出する(S5)。目標トルク算出部83は、目標減速度算出部82により算出された目標減速度[m/s]と、上述した車両1の走行抵抗[N]とをトルク[Nm]に換算する。目標減速度のトルク換算値は下式(1)で求めることができ、走行抵抗のトルク換算値は下式(2)で求めることができる。
目標減速度(トルク換算値)[Nm]=(目標減速度[m/s]×車両重量[kg]×タイヤの径[m])/(ディファレンシャルギア40の変速比×変速機30の変速比) …(1)
走行抵抗(トルク換算値)[Nm]=(走行抵抗[N]×タイヤの径[m])/(ディファレンシャルギア40の変速比×変速機30の変速比) …(2)
【0042】
目標トルク算出部83は、上記のようにしてトルクに換算された目標減速度及び走行抵抗と、トルクで表される内燃機関20の損失とに基づいて、オルタネータ70の目標トルクを算出する。図4に示すように、目標減速度は、走行抵抗と、内燃機関20の損失と、オルタネータ70の目標トルクとの和により実現される。そのため、オルタネータ70の目標トルクは、下式(3)により求めることができる。以上のように、目標トルク算出部83は、フィードフォワード制御により、オルタネータ70の目標トルクを算出する。
目標トルク[Nm]=目標減速度(トルク換算値)[Nm]−走行抵抗(トルク換算値)[Nm]−内燃機関20の損失[Nm] …(3)
【0043】
なお、上述したように、目標トルク算出部83は、ブレーキペダルセンサ13によりブレーキペダルが踏まれていることが検出された場合は、オルタネータ70の目標トルクをオルタネータ70の定格の最大値に算出する。
【0044】
図2に示すように、オルタネータ制御部84は、目標トルク算出部83により算出された目標トルクを発生するようにオルタネータ70の目標発電電圧を算出する(S6)。オルタネータ制御部84は、オルタネータ70の目標トルクと、上述したオルタネータ70の実トルクとの差を算出する。オルタネータ制御部84は、算出された目標トルクと実トルクとの差に任意のゲインをかける。オルタネータ制御部84は、目標トルクと実トルクとの差にゲインを乗じたものを現在のオルタネータ70の発電電圧に加算することにより、オルタネータ70の目標発電電圧を算出する。
【0045】
目標トルクが実トルクよりも大きいときは、目標トルクと実トルクとの差が大きいほど、オルタネータ70の目標発電電圧は徐々に大きく設定される。一方、目標トルクが実トルクよりも小さいときは、目標トルクと実トルクとの差が大きいほど、オルタネータ70の目標発電電圧は徐々に小さく設定される。以上のように、目標トルク算出部83がフィードフォワード制御によりオルタネータ70の目標トルクを算出したのに対して、オルタネータ制御部84は、フィードバック制御によりオルタネータ70の目標発電電圧を算出する。
【0046】
回転数センサ22により計測された内燃機関20のエンジンシャフト21の回転数が復帰回転数以下であるときは、燃料供給制御部81は、燃料カット状態から燃料供給状態へと切り替えるが、回転数が復帰回転数を超えているときは、燃料供給制御部81は、燃料カット状態を継続する。燃料供給制御部81による燃料カット状態が継続しているときは(S7)、ECU80は処理を継続し、燃料供給制御部81による燃料カット状態が継続していないときは、ECU80は処理を終了する。
【0047】
オルタネータ制御部84は、上述したように算出した目標発電電圧により、目標トルク算出部83により算出された目標トルクをオルタネータ70が発生するように、レギュレータ72により、オルタネータ70の発電電圧を制御する(S8)。目標トルク算出部83により算出された目標トルクが増加したときには(S9)、車両制御装置100のECU80のロックアップ制御部85は、ロックアップクラッチの油圧を増加させることにより、ロックアップクラッチ61を解放状態から係合状態へと切り替える(S10)。目標トルク算出部83により算出された目標トルクが増加しないときは、ECU80は処理を終了する。
【0048】
以上の動作を図5のタイムチャートを用いて説明する。アクセルペダルがオフの状態となると、車両1の車速は徐々に低下する。車速の低下に伴い、車両1の走行抵抗も徐々に減少する。車速の低下に伴い、変速機30のギア段が下がり、変速比が大きくなる。ギア段の変更に伴い、内燃機関20の損失も変動する。図5中で破線で示すオルタネータ70の目標トルクが増加すると、オルタネータ70の目標発電電圧も増加し、オルタネータ70の実トルクはオルタネータ70の目標トルクに追従する。
【0049】
オルタネータ70の目標トルクが増加すると、オルタネータ70の実トルクが増加する前に、ロックアップクラッチ61の油圧は増加し、ロックアップクラッチ61は解放状態から係合状態へと切り替えられる。一方、アクセルペダルがオフの状態となると、車両1の供給は、燃料供給状態から燃料カット状態となる。オルタネータ70の実トルクが増加し、ロックアップクラッチ61が係合状態になることにより、車両1の実減速度は目標減速度に早期に追従し、ギア段の変更時以外には、実減速度は目標減速度と略一致する。
【0050】
本実施形態によれば、アクセルペダルの踏量がアクセルオフ閾値以下であるときに、目標減速度算出部82により、車速に基づいて車両1の目標減速度が算出され、目標トルク算出部83により、目標減速度により車両1が減速するためのオルタネータ70の目標トルクが算出される。つまり、フィードフォワード制御により目標トルクが算出される。ロックアップ制御部85により、フィードフォワード制御により算出された目標トルクが増加したときに、ロックアップクラッチ61が解放状態から係合状態へと切り替えられる。これにより、ロックアップクラッチ61が早期に係合状態に切り替えられ、車両1の走行に伴って回転する駆動輪50の回転力が変速機30の入力軸31を介して内燃機関20のエンジンシャフト21を回転させるため、エンジンシャフト21の回転数が復帰回転数以下となることによる燃料カット状態から燃料供給状態への切り替えを低減することができる。
【0051】
図6(A)に、オルタネータの実トルクが増加したときにロックアップクラッチが係合状態となる従来の装置の動作を示す。図6(A)に示すように、時間tにおいて燃料供給状態から燃料カット状態に切り替えられた場合は、時間tの後の時間tにおいてオルタネータの実トルクが増加したときにロックアップクラッチの油圧が増加させられる。しかし、ロックアップクラッチの油圧が増加し始めるまでには、図6(A)中に「油圧遅れ」と示す遅延時間が生じる。その結果、時間tにおいて、オルタネータの実トルクにより、内燃機関のエンジンシャフトの回転数は復帰回転数以下となり、燃料カット状態が早期に燃料供給状態に切り替えられる燃料カットの失敗が生じる。
【0052】
オルタネータの目標トルクを大きく設定し、オルタネータの実トルクが大きくなると、オルタネータの実トルクにより内燃機関のエンジンシャフトの回転数が大きく減少するため、燃料カットの失敗が生じ易くなる。図6(A)に示した動作は、スロットル開度及び車速の両方をパラメータとするマップに基づいて、ロックアップクラッチを解放状態から係合状態に切り替えるような装置でも同様である。
【0053】
一方、図6(B)に示すように、本実施形態では、時間t11において燃料供給状態から燃料カット状態に切り替えられ、目標トルク算出部83により算出された目標トルクが増加したときには、オルタネータ70の実トルクが増加する時間t12よりも早い時間t11においてロックアップクラッチ61の油圧が増加させられる。本実施形態においても、ロックアップクラッチ61の油圧が増加し始めるまでには、図6(B)中に「油圧遅れ」と示す遅延時間が生じる。
【0054】
しかし、ロックアップクラッチ61の油圧は時間t13には増加し始め、内燃機関20のエンジンシャフト21の回転数が復帰回転数以下となる前の時間t14にロックアップクラッチ61は解放状態から係合状態に切り替えられる。これにより、車両1の走行に伴って回転する駆動輪50の回転力が変速機30の入力軸31を介して内燃機関20のエンジンシャフト21を回転させるため、エンジンシャフト21の回転数は復帰回転数以下とはならず、燃料カット状態を継続させることができる。
【0055】
また、従来の装置のように、加速度センサを用いて現在の減速度を推定し、目標減速度との差に応じたフィードバック制御を実行した場合には、フィードバック制御の遅れ分が大きいため、ドライバビリティが低い。また、フィードバックの遅れ分が大きいと安定性を損なう。一方、本実施形態では、車速に基づいて算出された目標減速度によるフィードフォワード制御により目標トルクが算出される。このため、ドライバビリティ及び安定性の両方を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、車速が低速である場合には、車速の大きさに比例して線形に増大する目標減速度が設定され、車速が高速である場合には、車速が増大するほど、非線形に減速度が増大し、且つ車速に対する減速度の勾配が増大する目標減速度が設定されているため、より運転者の要求に合致した減速度を実現することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【符号の説明】
【0058】
1…車両、11…アクセルペダルセンサ、12…車速センサ、20…内燃機関、21…エンジンシャフト、22…回転数センサ、23…燃料供給装置、30…変速機、31…入力軸、32…出力軸、40…ディファレンシャルギア、50…駆動輪、60…トルクコンバータ、61…ロックアップクラッチ、70…オルタネータ、71…トルクセンサ、72…レギュレータ、80…ECU、81…燃料供給制御部、82…目標減速度算出部、83…目標トルク算出部、84…オルタネータ制御部、85…ロックアップ制御部、100…車両制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6