(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、デューティが小さくなる側にシフトする下シフト期間と、デューティが大きくする側にシフトする上シフト期間とを、交互に設ける請求項1に記載の電力変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による電力変換装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を
図1〜
図6に示す。
図1に示すように、電力変換装置1は、回転電機としてのモータ85とともに、運転者によるステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置8に適用される。
【0010】
図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の構成を示す。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を有する。
【0011】
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、操舵角θsを検出する舵角センサ93、および、運転者がステアリングホイール91を操作することにより入力される操舵トルクTsを検出するトルクセンサ94が設けられる。本実施形態では、ステアリングホイール91が中立位置にあるときの操舵角θsを0とし、時計回り方向に操舵した場合を正、反時計回り方向に操舵した場合を負とする。
ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。
【0012】
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
【0013】
電動パワーステアリング装置8は、モータ85、モータ85の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える減速ギア9、および、電力変換装置1等を備える。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」であるが、モータ85の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」としてもよい。
モータ85は、運転者によるステアリングホイール91の操舵を補助する補助トルクを出力するものであって、電源としてのバッテリ105(
図2参照)から電力が供給されることにより駆動され、減速ギア9を正逆回転させる。
【0014】
図2に示すように、モータ85は、3相ブラシレスモータであって、いずれも図示しないロータおよびステータを有する。ロータは円筒状の部材であり、その表面に永久磁石が貼り付けられて、磁極を有する。ステータには、3相巻線86が巻回される。
3相巻線86は、U相コイル861、V相コイル862、および、W相コイル863を有する。
【0015】
電力変換装置1は、インバータ部30、電流検出部43、および、制御部65等を備える。
インバータ部30は、6つのスイッチング素子31〜36を有し、3相巻線86への電流を変換する。以下、スイッチング素子を「SW素子」と記す。本実施形態のSW素子31〜36はMOSFETであるが、IGBTやサイリスタ等であってもよい。
【0016】
SW素子31〜33は高電位側に接続され、SW素子34〜36は低電位側に接続される。対になるU相のSW素子31、34の接続点には、U相コイル861の一端が接続される。対になるV相のSW素子32、35の接続点には、V相コイル862の一端が接続される。対になるW相のSW素子33、36の接続点には、W相コイル863の一端が接続される。コイル861〜863の他端は、結線される。
【0017】
高電位側に配置されるSW素子31〜33のドレインは、上側母線37を経由してバッテリ105の正極と接続される。低電位側に配置されるSW素子34〜36のソースは、下側母線38を経由してグランドと接続される。以下適宜、高電位側に配置されるSW素子31〜33を「上アーム素子」、低電位側に配置されるSW素子34〜36を「下アーム素子」という。
【0018】
電流検出部43は、U相電流検出素子431、V相電流検出素子432、および、W相電流検出素子433を有し、インバータ部30の低電位側に設けられる。詳細には、U相電流検出素子431はU相の下アーム素子34と下側母線38との間に設けられ、V相電流検出素子432はV相の下アーム素子35と下側母線38との間に設けられ、W相電流検出素子433はW相の下アーム素子36と下側母線38との間に設けられる。
本実施形態の電流検出素子431〜433は、いずれもシャント抵抗である。電流検出素子431〜433の両端電圧は、それぞれ、相電流Iu、Iv、Iwに係る検出値として、制御部65に出力される。
回転角センサ45は、モータ85の電気角θeを検出し、検出値を制御部65に出力する。
【0019】
コンデンサ48は、バッテリ105とインバータ部30とに並列に接続される。コンデンサ48は、電荷を蓄えることで、インバータ部30への電力供給を補助したり、サージ電流などのノイズ成分を抑制したりする。
また、本実施形態では、上側母線37のバッテリ105とコンデンサ48との間には、バッテリ105からインバータ部30への電力供給を遮断可能な図示しない電源リレーが設けられる。
【0020】
制御部65は、マイコン等を主体として構成される。制御部65における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
制御部65は、電気角θeに基づき、モータ85の角速度[deg/s]を演算する。以下、モータ85の角速度を回転速度ωとする。なお、角速度に替えて、回転数N[rps]を「回転速度」としてもよい。また、制御部65の外部で演算された回転速度を取得するようにしてもよい。
後述の制御部60についても同様である。
【0021】
制御部65は、舵角センサ93から取得される操舵角θs、トルクセンサ94から取得される操舵トルクTs、および、回転角センサ45から取得される電気角θe等に基づき、SW素子31〜36のオンオフを制御する駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、駆動回路50を経由して、SW素子31〜36のゲートに出力される。
【0022】
図3に示すように、制御部65は、機能ブロックとして、3相2相変換部650、d軸減算器651、q軸減算器652、制御器653、2相3相変換部654、デューティ演算部655、および、切替制御部66等を有する。
3相2相変換部650は、電流検出部43の検出値に基づく値である相電流Iu、Iv、Iwを、電気角θeに基づいてdq変換し、d軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqを演算する。
【0023】
d軸減算器651は、d軸電流指令値Id
*からd軸電流検出値Idを減算し、d軸電流偏差ΔIdを演算する。q軸減算器652は、q軸電流指令値Iq
*からq軸電流検出値Iqを減算し、q軸電流偏差ΔIqを演算する。
制御器653は、電流偏差ΔId、ΔIqが0に収束するように、PI演算等により、d軸電圧指令値Vd
*およびq軸電圧指令値Vq
*を演算する。
【0024】
2相3相変換部654は、電気角θeに基づき、d軸電圧指令値Vd
*およびq軸電圧指令値Vq
*を逆dq変換し、U相電圧指令値Vu
*、V相電圧指令値Vv
*、および、W相電圧指令値Vw
*を演算する。
デューティ演算部655は、電圧指令値Vu
*、Vv
*、Vw
*に基づき、基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを演算する。また、デューティ演算部655は、基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bの変調処理を行い、デューティ指令値Du、Dv、Dwを演算する。
制御部65は、デューティ指令値Du、Dv、Dwに基づき、三角波比較等により、SW素子31〜36のオンオフ作動を制御する駆動信号を生成し、駆動回路50(
図3中では不図示)に出力する。
【0025】
切替制御部66は、変調フラグFlgMをデューティ演算部655に出力することで、デューティのシフト方向の切り替えを制御する。変調フラグFlgMは、下シフトLか、上シフトHのいずれかがセットされているものとする。
【0026】
本実施形態において、各相のデューティは、スイッチング1周期において上アーム素子がオンされている時間の割合のパーセンテージとする。すなわち、本実施形態では、デューティは0[%]〜100[%]の値を取り得る。
以下、変調処理について説明する。基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bのうち、最も小さい相のデューティが所定の下側固定値となるように変調することを「下べた変調」という。ここで、下側固定値を0とすると、デューティが0で固定される相において、上アーム素子がオフ、下アーム素子がオンの状態でスイッチング状態が固定され、2相変調状態となる。このような変調状態を「下べた2相変調」とする。また、下側固定値を0より大きい値とすると、3相のスイッチング状態が切り替わり、3相変調状態となる。このような変調状態を「下べた3相変調」とする。
【0027】
また、基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bのうち、最も大きい相のデューティが所定の上側固定値となるように変調することを「上べた変調」という。ここで、上側固定値を100とすると、デューティが100で固定される相において、上アーム素子がオン、下アーム素子がオフの状態でスイッチング状態が固定され、2相変調状態となる。このような変調状態を「上べた2相変調」とする。また、上側固定値を100より小さい値とすると、3相のスイッチング状態が切り替わり、3相変調状態となる。このような変調状態を「上べた3相変調」とする。
【0028】
また、デューティが小さくなる方向にデューティを変更することを「下シフト」、デューティが大きくなる方向にデューティを変更することを「上シフト」という。
なお、デューティをシフトすることで、中性点電圧が変わっても、線間電圧が変わらなければ、モータ85に印加される電圧は変わらない。
【0029】
3相変調時において、デューティを固定する値は、デッドタイムや、電流検出に必要な時間に応じて設定される。ここで、デッドタイムに相当するデューティをデッドタイムデューティDdt(例えば4[%])とする。また、本実施形態の電流検出素子431〜433は、シャント抵抗であるので、下アーム素子34〜36がオンされてから、電流のリンギングが収束するのに要する時間が経過した後に電流検出を行う必要がある。ここで、電流検出に要する時間に応じて設定されるデューティを電流検出デューティDcd(例えば7[%])とする。本実施形態では、電流検出デューティDcdは、デッドタイムデューティDdtより大きい。すなわちDcd>Ddtである。
【0030】
なお、上べた2相変調とした場合、上アーム素子31〜33のうちの1相がオン固定されるため、下アーム素子34〜36の全相がオンされる期間がなくなり、低電位側に設けられた電流検出部43による電流検出ができない。そのため本実施形態では、上べた2相変調は行わない。
【0031】
ところで、1相のスイッチング状態を固定し、2相をスイッチングする2相変調制御とすることで、スイッチング損失を低減することができる。また、発熱が抑制される。
また、各相にて、上アーム素子と下アーム素子とが短絡しないように、オンされるアームを切り替えるとき、上アーム素子および下アーム素子を共にオフにするデッドタイム期間を設ける必要がある。このデッドタイムの影響により、2相変調制御では、正確に出力できないデューティ範囲が存在する。また、出力できないデューティを考慮して調整したとしても、調整量の誤差等に起因し、基本波成分に対する3次の歪みが発生し、可聴域の音の原因となりえる。正確に出力できないデューティ、および、デューティ調整の詳細は、例えば、特開2012−125022に開示されている。
【0032】
そこで本実施形態では、相電流Iu、Iv、Iwの基本波の3倍の周波数である3次周波数ftが、可聴域の下限値に応じて設定される可聴下限周波数faより小さい場合、2相変調を行う2相変調期間を設ける。本実施形態では、電流検出部43をインバータ部30の低電位側に設けており、全相の下アーム素子34〜36がオンされている期間に相電流Iu、Iv、Iwを検出する。上述の通り、上べた2相変調とすると、電流検出部43による電流検出ができないため、本実施形態では、2相変調時は、下べた2相変調とする。
また、3次周波数ftが可聴下限周波数fa以上である場合、可聴域の音の発生を防ぐべく、2相変調期間を設けず、3相変調とする。本実施形態では、回転速度ωが、可聴下限周波数faに応じて設定される回転速度閾値ωthより小さい場合、3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さい、とみなす。
【0033】
また、下べた変調を継続すると、上アーム素子31〜33と比較し、下アーム素子34〜36のオン時間が長くなり、発熱に偏りが生じる。また、上べた変調を継続すると、下アーム素子34〜36と比較し、上アーム素子31〜33のオン時間が長くなり、発熱に偏りが生じる。
そこで本実施形態では、デューティが下シフトされる期間と、デューティが上シフトされる期間とを、交互に行っている。
【0034】
以下、デューティ切替処理を
図4および
図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
図4は、切替制御部66における切替制御処理を説明するフローチャートである。この処理は、切替制御部66において、所定の周期で実行される処理である。
最初のステップS101では、切替制御部66は、変調フラグFlgMが下シフトLか否かを判断する。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。他のステップも同様とする。変調フラグFlgMが上シフトHであると判断された場合(S101:NO)、S108へ移行する。変調フラグFlgMが下シフトLであると判断された場合(S101:YES)、S102へ移行する。
【0035】
S102では、切替制御部66は、3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さいか否かを判断する。ここでは、回転速度ωに基づいて判断する。3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さいと判断された場合(S102:YES)、すなわち回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さい場合、S103へ移行する。3次周波数ftが可聴下限周波数fa以上であると判断された場合(S102:NO)、すなわち回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合、S104へ移行する。
【0036】
S103では、切替制御部66は、下シフト継続期間P_Lを第1継続期間P1(例えば200[ms])とする。第1継続期間P1は、2相変調の継続時間とする。
S104では、切替制御部66は、下シフト継続期間P_Lを第2継続期間P2(例えば150[ms])とする。第2継続期間P2は、3相変調の継続時間とする。
第1継続期間P1および第2継続期間P2は、適宜設定可能であって、等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
本実施形態では、第1継続期間P1および第2継続期間P2は、以下の式(1)に基づいて設定される。式中のLoss_ONはスイッチング素子のオン抵抗での損失、Loss_SWはスイッチング損失、Loss_SHはシャント抵抗での損失である。
(Loss_ON+Loss_SW)×P1
=(Loss_ON+Loss_SH)×P2 ・・・(1)
したがって、スイッチング素子のオン抵抗での損失がシャント抵抗での損失より小さい場合、第1継続期間P1は第2継続期間P2より長くなる。すなわち、Loss_SW<Loss_SHであれば、P1>P2となる。
【0038】
S103またはS104に続いて移行するS105では、切替制御部66は、フラグ継続期間Pcntが、下シフト継続期間P_Lを超えたか否かを判断する。フラグ継続期間Pcntは、計時カウンタにより計時される。フラグ継続期間Pcntが下シフト継続期間P_Lを超えていないと判断された場合(S105:NO)、S112へ移行する。フラグ継続期間Pcntが下シフト継続期間P_Lを超えたと判断された場合(S105:YES)、S106へ移行する。
S106では、切替制御部66は、変調フラグFlgMを上シフトHに切り替える。
S107では、切替制御部66は、フラグ継続期間Pcntの計時カウンタを初期化する。
【0039】
変調フラグFlgMが上シフトHであると判断された場合(S101:NO)に移行するS108では、上シフト時は常に3相変調であるので、切替制御部66は、上シフト継続期間P_Hを第2継続期間P2とする。
S109では、切替制御部66は、フラグ継続期間Pcntが上シフト継続期間P_Hを超えたか否かを判断する。フラグ継続期間Pcntが上シフト継続期間P_Hを超えていないと判断された場合(S109:NO)、S112へ移行する。フラグ継続期間Pcntが上シフト継続期間P_Hを超えたと判断された場合(S109:YES)、S110へ移行する。
【0040】
S110では、切替制御部66は、変調フラグFlgMを下シフトLに切り替える。
S111では、切替制御部66は、フラグ継続期間Pcntの計時カウンタを初期化する。
S112では、切替制御部66は、計時カウンタをカウントアップする。
S112では、切替制御部66は、変調フラグFlgMを、デューティ演算部655に出力する。
【0041】
デューティ演算処理を
図5に示すフローチャートに基づいて説明する。この処理は、デューティ演算部655にて行われる処理である。
S151では、デューティ演算部655は、変調フラグFlgMが下シフトLか否かを判断する。変調フラグFlgMが上シフトHであると判断された場合(S151:NO)、S159へ移行する。変調フラグFlgMが下シフトLであると判断された場合(S151:YES)、S152へ移行する。
【0042】
S152では、デューティ演算部655は、基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bのうち、最も小さいものを、最小デューティMinDとする。
S153では、デューティ演算部655は、3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さいか否かを判断する。S153の判断処理は、S102と同様であるので、切替制御部66における判断結果を用いるように構成してもよい。3次周波数ftが可聴下限周波数fa以上であると判断された場合(S153:NO)、すなわち回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合、S158へ移行する。3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さいと判断された場合(S153:YES)、すなわち回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さい場合、S154へ移行する。
【0043】
S154では、デューティ演算部655は、q軸電流検出値Iqの絶対値が、電流閾値Ithより大きいか否かを判断する。q軸電流検出値Iqの絶対値が電流閾値Ith以下であると判断された場合(S154:NO)、S158へ移行する。q軸電流検出値Iqの絶対値が電流閾値Ithより大きいと判断された場合(S154:YES)、S155へ移行する。
【0044】
S155では、デューティ演算部655は、基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを、最も小さい相のデューティが0となるように下べた2相変調し、調整前デューティ指令値Du_c、Dv_c、Dw_cを演算する(式(2−1)、(2−2)、(2−3)参照)。
Du_c=Du_b−MinD ・・・(2−1)
Dv_c=Dv_b−MinD ・・・(2−2)
Dw_c=Dw_b−MinD ・・・(2−3)
【0045】
S156では、デューティ演算部655は、デューティの調整が必要か否かを判断する。ここでは、0<Du_c<Ddt、0<Dv_c<Ddt、または、0<Du_c<Ddtのとき、デューティの調整が必要と判断する。デューティの調整が必要ないと判断された場合(S156:NO)、調整前デューティ指令値Du_c、Dv_c、Dw_cを、そのままデューティ指令値Du、Dv、Dwとし、S161へ移行する。デューティの調整が必要であると判断された場合(S156:YES)、S157へ移行する。
【0046】
S157では、デューティ演算部655は、調整前デューティ指令値Du_c、Dv_c、Dw_cを出力可能なデューティに調整し、デューティ指令値Du、Dv、Dwを演算する(式(3−1)、(3−2)、(3−3)参照)。
Du=Du_c+Ddt ・・・(3−1)
Dv=Dv_c+Ddt ・・・(3−2)
Dv=Dv_c+Ddt ・・・(3−3)
【0047】
回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合(S153:NO)、または、q軸電流検出値Iqの絶対値が電流閾値Ith以下である場合(S154:NO)に移行するS158では、デューティ演算部655は、基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを、最も小さい相のデューティがデッドタイムデューティDdtとなるように下べた3相変調し、デューティ指令値Du、Dv、Dwを演算する(式(4−1)、(4−2)、(4−3)参照)。
Du=Du_b−MinD+Ddt ・・・(4−1)
Dv=Dv_b−MinD+Ddt ・・・(4−2)
Dw=Dw_b−MinD+Ddt ・・・(4−3)
【0048】
変調フラグFlgMが上シフトHである場合(S151:NO)に移行するS159では、デューティ演算部655は、基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bのうち、最も大きいものを、最大デューティMaxDとする。
S160では、デューティ演算部655は、基本デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを、最も大きい相のデューティが電流検出デューティDcdに応じた値、具体的には(100−Dcd)となるように上べた3相変調し、デューティ指令値Du、Dv、Dwを演算する(式(5−1)、(5−2)、(5−3)参照)。
Du=Du_b−MaxD+(100−Dcd) ・・・(5−1)
Dv=Dv_b−MaxD+(100−Dcd) ・・・(5−2)
Dw=Dw_b−MaxD+(100−Dcd) ・・・(5−3)
S161では、制御部65は、デューティ指令値Du、Dv、Dwに基づいて駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、駆動回路50を経由して、インバータ部30に出力される。
【0049】
本実施形態のデューティ切り替えを説明する模式的なタイムチャートを
図6に示す。
図6では、U相のデューティ指令値Duを実線、V相のデューティ指令値を破線、W相のデューティ指令値を破線とし、継続期間P1、P2ごとに電気角1周期分のデューティ指令値Du、Dv、Dwを記載した。簡略化のため、
図6では、2相変調時については、調整処理を行う前のデューティとして記載した。
図6に示すように、本実施形態では、デューティを下シフトする期間と、上シフトする期間とを交互に切り替える。これにより、SW素子31〜36の熱損失の偏りを低減することができる。
【0050】
回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さい場合、すなわち3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さい場合、デューティを下シフトする期間を第1継続期間P1とし、デューティを上シフトする期間を第2継続期間P2とする。
図6(a)に示すように、q軸電流検出値Iqの絶対値が電流閾値Ithより大きい場合、下べた2相変調を第1継続期間P1に亘って行った後に、上べた3相変調に切り替える。また、上べた3相変調を第2継続期間P2に亘って行った後に、下べた2相変調に切り替える。なお、q軸電流検出値Iqの絶対値が電流閾値Ith以下の場合、下べた2相変調に替えて、下べた3相変調とする。
【0051】
図6(b)に示すように、回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合、すなわち3次周波数ftが可聴下限周波数fa以上である場合、デューティを下シフトする期間、および、上シフトする期間を、共に第2継続期間P2とする。この場合、下べた3相変調を第2継続期間P2に亘って行った後に、上べた3相変調に切り替える。また、上べた3相変調を第2継続期間P2に亘って行った後に、下べた3相変調に切り替える。
【0052】
本実施形態では、回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さい場合、3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さいとみなす。換言すると、回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さい場合、3次高調波による音が乗員に感知されない。そのため、回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さい場合、2相変調を行う期間を設ける。これにより、スイッチング損失を低減することができる。また、発熱を低減することができる。デューティのシフト方向は、電流検出部43が設けられる箇所に応じる。本実施形態では、電流検出部43が低電位側に設けられているので、2相変調時において、デューティを下方向にシフトし、下アーム素子34〜36のうちの1相をオン固定する。これにより、適切に電流検出を行うことができる。また、2相変調を行う場合、デッドタイムの影響により出力できないデューティを調整する。これにより、デッドタイムの影響による線間電圧の歪みや電流の歪みを抑制できる。
また、回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合、すなわち3次周波数ftが可聴下限周波数fa以上である場合、2相変調を行わず、3相変調とする。これにより、2相変調における出力できないデューティの調整誤差に起因する音や振動の発生を抑制することができる。
【0053】
また、デューティが下方向にシフトされている期間と、上方向にシフトされている期間とを、適宜切り替える。切替期間は、上アーム素子31〜33と下アーム素子34〜36とで、損失が均等になるように設定される。これにより、SW素子31〜36の熱損失の偏りを低減可能である。
【0054】
3相変調時において、デューティを下方向にシフトする際の下側固定値は、デッドタイム期間に応じて設定される。これにより、デッドタイムの影響がない範囲で電圧利用率を高めることができる。また、デューティを上方向にシフトする際の上側固定値は、電流検出部43にて電流検出に要する時間に応じて設定される。これにより、電圧利用率を高めつつ、適切に電流検出を行うことができる。
【0055】
以上説明したように、電力変換装置1は、3相巻線86を有するモータ80の電力を変換するものであって、インバータ部30と、制御部65と、を備える。
インバータ部30は、3相巻線86の各相に対応して設けられるSW素子31〜36を有する。制御部65は、PWM制御によりSW素子31〜36のオンオフ作動を制御することで、3相巻線86の電流を制御する。
【0056】
制御部65は、相電流Iu、Iv、Iwの基本波の3倍の周波数である3次周波数ftが、可聴域の下限値に応じて設定される可聴下限周波数faより小さい場合、2相変調制御を行う2相変調期間を設け、3次周波数ftが可聴下限周波数fa以上である場合、3相変調制御を行う。
本実施形態では、3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さい場合に2相変調期間を設けることで、可聴域の音の発生を抑制しつつ、最大発熱部位の発熱を緩和することができる。最大発熱部位の発熱が緩和されることで、モータ85の運転を継続可能な時間を長くすることができる。
【0057】
制御部65は、デューティが小さくなる側にシフトする下シフト期間と、デューティが大きくなる側にシフトする上シフト期間とを、交互に設ける。これにより、上アーム素子31〜33と、下アーム素子34〜36とでの、熱損失の偏りを低減することができる。
【0058】
本実施形態の電力変換装置1は、電動パワーステアリング装置8に適用される。電動パワーステアリング装置8は、電力変換装置1と、運転者によるステアリングホイール91の操舵を補助する補助トルクを出力するモータ85と、を備える。
電力変換装置1では、最大発熱部位の発熱が緩和され、モータ85の運転を継続可能な時間を長くすることができるので、電動パワーステアリング装置8に用いることで、運転者の操舵をアシスト可能な期間を長くすることができる。
【0059】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を
図7〜
図16に示す。
本実施形態の電力変換装置2は、回転電機としてのモータ80とともに、運転者によるステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置8に適用される。
図7に示すように、モータ80は、いずれも3相巻線である第1巻線組81および第2巻線組82を備える。第1巻線組81は、U1コイル811、V1コイル812、および、W1コイル813を有する。第2巻線組82は、U2コイル821、V2コイル822、および、W2コイル823を有する。本実施形態では、第1巻線組81と第2巻線組82とは、電気角で位相が30[deg]ずれた位置に配置され、位相が30[deg]ずれた電流が通電される。
【0060】
電力変換装置2は、第1インバータ部10、第2インバータ部20、第1電流検出部41、第2電流検出部42、および、制御部60等を備える。
第1インバータ部10は、6つのSW素子11〜16を有し、第1巻線組81に対応して設けられる。第2インバータ部20は、6つのSW素子21〜26を有し、第2巻線組82に対応して設けられる。10番台で符番する第1インバータ部10に係る構成、および、20番台で符番する第2インバータ部20に係る構成は、下1桁が同じである30番台で符番する第1実施形態のインバータ部30に係る構成と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0061】
第1電流検出部41は、U1電流検出素子411、V1電流検出素子412、および、W1電流検出素子413を有し、第1インバータ部10の低電位側に設けられる。詳細には、U1電流検出素子411はU相の下アーム素子14と下側母線18との間に設けられ、V1電流検出素子412はV相の下アーム素子15と下側母線18との間に設けられ、W1電流検出素子413はW相の下アーム素子16と下側母線18との間に設けられる。
電流検出素子411〜413は、いずれもシャント抵抗である。電流検出素子411〜413の両端電圧は、それぞれ、第1巻線組81の相電流Iu1、Iv1、Iw1に係る検出値として、制御部60に出力される。
【0062】
第2電流検出部42は、U2電流検出素子421、V2電流検出素子422、および、W2電流検出素子423を有し、第2インバータ部20の高電位側に設けられる。詳細には、U2電流検出素子421はU相の上アーム素子21と上側母線27との間に設けられ、V2電流検出素子422はV相の上アーム素子22と上側母線27との間に設けられ、W2電流検出素子423はW相の上アーム素子23と上側母線27との間に設けられる。
電流検出素子421〜423は、いずれもシャント抵抗である。電流検出素子421〜423の両端電圧は、それぞれ、第2巻線組82の相電流Iu2、Iv2、Iw2に係る検出値として、制御部60に出力される。
【0063】
第1コンデンサ46は、バッテリ105と第1インバータ部10とに並列に接続される。第2コンデンサ47は、バッテリ105と第2インバータ部20とに並列に接続される。コンデンサ46、47は、コンデンサ48と同様、電荷を蓄えることで、インバータ部10、20への電力供給を補助したり、サージ電流などのノイズ成分を抑制したりする。
また、上記実施形態と同様、上側母線17のバッテリ105とコンデンサ46との間、および、上側母線27のバッテリ105とコンデンサ47との間には、バッテリ105からインバータ部20、30への電力供給を遮断可能な図示しない電源リレーが設けられる。
【0064】
本実施形態では、第1巻線組81、および、第1巻線組81に対応して設けられる第1インバータ部10等の電子部品を、第1系統101とする。また、第2巻線組82、および、第2巻線組82に対応して設けられる第2インバータ部20等の電子部品を、第2系統102とする。ここで、本実施形態の電力変換装置2が2系統で構成されているとすると、第1実施形態の電力変換装置1は1系統で構成されているといえる。
【0065】
図8に示すように、制御部60は、第1系統制御部61、第2系統制御部62、および、切替制御部63を有する。
図8中では、第1インバータ部10を「INV1」、第2インバータ部を「INV2」と記す。
第1系統制御部61は、操舵角θs、操舵トルクTs、および、電気角θe等に基づき、SW素子11〜16のオンオフを制御する駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、駆動回路50を経由して、SW素子11〜16のゲートに出力される。
第2系統制御部62は、操舵角θs、操舵トルクTs、および、電気角θe等に基づき、SW素子21〜26のオンオフを制御する駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、駆動回路50を経由して、SW素子21〜26のゲートに出力される。
【0066】
第1系統制御部61は、機能ブロックとして、3相2相変換部610、d軸減算器611、q軸減算器612、制御器613、2相3相変換部614、および、デューティ演算部615等を有する。
第2系統制御部62は、機能ブロックとして、3相2相変換部620、d軸減算器621、q軸減算器622、制御器623、2相3相変換部624、および、デューティ演算部625等を有する。
【0067】
第1系統制御部61および第2系統制御部62において3桁で符番した構成は、1の位が同じである第1実施形態の制御部65において3桁で符番した構成と同様であるので、詳細な説明を省略する。なお、例えば、d軸電流指令値Id
*1といった具合に、第1系統101の制御に係る各値には、添え字「1」を付す。同様に、例えば、d軸電流指令値Id
*2といった具合に、第2系統102の制御に係る各値には、添え字「2」を付す。
【0068】
切替制御部63は、変調フラグFlgMをデューティ演算部615、625に出力することで、第1系統101に係るデューティ、および、第2系統102に係るデューティのシフト方向の切り替えを制御する。変調フラグFlgMは、下上シフトLHか、上下シフトHLのいずれかがセットされているものとする。下上シフトLHは、第1系統101のデューティを下シフト、第2系統102側のデューティを上シフトすることを意味し、上下シフトHLは、第1系統101のデューティを上シフト、第2系統102のデューティを下シフトすることを意味する。
【0069】
第1系統101は、第1実施形態と同様、第1インバータ部10の低電位側に第1電流検出部41が設けられているので、下べた変調により2相変調状態とする。一方、第2系統102は、第2インバータ部20の高電位側に第2電流検出部42が設けられているので、上べた変調により2相変調状態とする。
すなわち本実施形態では、2相変調制御とする際、第1系統101では下べた2相変調とし、第2系統102では上べた2相変調とする。
【0070】
本実施形態のデューティ切替処理を
図9〜
図11のフローチャートに基づいて説明する。
図9は、切替制御部63における切替制御処理を説明するフローチャートである。本実施形態においては、第1実施形態の変調フラグFlgMについて、下シフトLを「下上シフトLH」、上シフトを「上下シフトHL」に読み替える。また、下シフト継続期間P_Lを「下上シフト継続期間P_LH」、上シフト継続期間P_Hを「上下シフト継続期間P_HL」に読み替える。フラグおよび継続期間の読み替えは、
図10および
図11のデューティ演算処理においても同様とする。
【0071】
図9に示すS201〜S211の処理は、上記読み替え以外は、
図4中のS101〜S111と同様である。
S213では、切替制御部63は、変調フラグFlgMを、デューティ演算部615、625に出力する。
【0072】
第1系統101のデューティを演算する第1デューティ演算処理を
図10のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、第1系統制御部61のデューティ演算部615にて行われる処理である。
S251の処理は、フラグの読み替え以外は、
図5中のS151と同様である。
【0073】
S252では、デューティ演算部615は、第1系統101の基本デューティ指令値Du_b1、Dv_b1、Dw_b1のうち、最も小さいものを、最小デューティMinD1とする。
S253の処理は、S153と同様であり、回転速度ωが回転速度閾値ωth以上であると判断された場合(S253:NO)、3次周波数ftが可聴下限周波数fa以上であるとみなし、S258へ移行する。回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さいと判断された場合(S253:YES)、3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さいとみなし、S254へ移行する。
【0074】
S254では、デューティ演算部615は、第1系統電流I1が、第2系統電流I2より大きいか否かを判断する。本実施形態では、系統電流I1、I2は、dq軸電流の2乗和である(式(6−1)、(6−2)参照)。式(6−1)、(6−2)は、相電流の2乗和と等しく、本実施形態では、系統電流I1、I2が「相電流の絶対値」に対応する。
I1=√{(Id1)
2+(Iq1)
2} ・・・(6−1)
I2=√{(Id2)
2+(Iq2)
2} ・・・(6−2)
また、回転速度ωが小さいとき、d軸電流検出値Id1、Id2は、略0であるので、系統電流I1、I2を、q軸電流検出値Iq1、Iq2の絶対値としてもよい(式(7−1)、(7−2)参照)。
I1=|Iq1| ・・・(7−1)
I2=|Iq2| ・・・(7−2)
第1系統電流I1が第2系統電流I2以下であると判断された場合(S254:NO)、S258へ移行する。第1系統電流I1が第2系統電流I2より大きいと判断された場合(S254:YES)、S255へ移行する。
【0075】
S255では、デューティ演算部615は、第1系統101のデューティを下べた2相変調とする。ここでは、最も小さい相のデューティが0となるように、調整前デューティ指令値Du_c1、Dv_c1、Dw_c1を演算する(式(8−1)、(8−2)、(8−3)参照)。
Du_c1=Du_b1−MinD1 ・・・(8−1)
Dv_c1=Dv_b1−MinD1 ・・・(8−2)
Dw_c1=Dw_b1−MinD1 ・・・(8−3)
【0076】
S256では、デューティ演算部615は、デューティの調整が必要か否かを判断する。ここでは、0<Du_c1<Ddt、0<Dv_c1<Ddt、または、0<Du_c1<Ddtのとき、デューティの調整が必要と判断する。デューティの調整が必要ないと判断された場合(S256:NO)、調整前デューティ指令値Du_c1、Dv_c1、Dw_c1を、そのままデューティ指令値Du1、Dv1、Dw1とし、S261へ移行する。デューティの調整が必要であると判断された場合(S256:YES)、S257へ移行する。
【0077】
S257では、デューティ演算部615は、調整前デューティ指令値Du_c1、Dv_c1、Dw_c1を出力可能なデューティに調整し、デューティ指令値Du1、Dv1、Dw1を演算する(式(9−1)、(9−2)、(9−3)参照)。
Du1=Du_c1+Ddt ・・・(9−1)
Dv1=Dv_c1+Ddt ・・・(9−2)
Dv1=Dv_c1+Ddt ・・・(9−3)
【0078】
回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合(S253:NO)、または、第1系統電流I1が第2系統電流I2以下である場合(S254:NO)に移行するS258では、デューティ演算部615は、第1系統101のデューティを下べた3相変調とする。ここでは、最も小さい相のデューティがデッドタイムデューティDdtとなるように、デューティ指令値Du1、Dv1、Dw1を演算する(式(10−1)、(10−2)、(10−3)参照)。
Du1=Du_b1−MinD1+Ddt ・・・(10−1)
Dv1=Dv_b1−MinD1+Ddt ・・・(10−2)
Dw1=Dw_b1−MinD1+Ddt ・・・(10−3)
【0079】
変調フラグFlgMが上下シフトHLである場合(S251:NO)に移行するS259では、デューティ演算部615は、第1系統101の基本デューティ指令値Du_b1、Dv_b1、Dw_b1のうち、最も大きいものを、最大デューティMaxD1とする。
S260では、デューティ演算部615は、第1系統101のデューティを上べた3相変調とする。ここでは、最も大きい相のデューティが、電流検出デューティDcdに応じた値、具体的には(100−Dcd)となるように、デューティ指令値Du1、Dv1、Dw1を演算する(式(11−1)、(11−2)、(11−3)参照)。
Du1=Du_b1−MaxD1+(100−Dcd) ・・・(11−1)
Dv1=Dv_b1−MaxD1+(100−Dcd) ・・・(11−2)
Dw1=Dw_b1−MaxD1+(100−Dcd) ・・・(11−3)
S261では、第1系統制御部61は、デューティ指令値Du1、Dv1、Dw1に基づいて駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、駆動回路50を経由して第1インバータ部10に出力される。
【0080】
第2系統102のデューティを演算する第2デューティ演算処理を
図11のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、第2系統制御部62のデューティ演算部625にて行われる処理である。
S271では、S251と同様、デューティ演算部625は、変調フラグFlgMが下上シフトLHか否かを判断する。変調フラグFlgMが上下シフトHLであると判断された場合(S271:NO)、S279へ移行する。変調フラグFlgMが下上シフトLHであると判断された場合(S271:YES)、S272へ移行する。
【0081】
S272では、デューティ演算部625は、第2系統102の基本デューティ指令値Du_b2、Dv_b2、Dw_b2のうち、最も大きいものを、最大デューティMaxD2とする。
【0082】
S273の処理は、S253の処理と同様であり、回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合(S273:NO)、3次周波数ftが可聴下限周波数fa以上であるとみなし、S278へ移行する。回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さい場合(S273:YES)、3次周波数ftが可聴下限周波数faより小さいとみなし、S274へ移行する。
S274では、デューティ演算部625は、第1系統電流I1が第2系統電流I2より大きいか否かを判断する。第1系統電流I1が第2系統電流I2より大きいと判断された場合(S274:YES)、S278へ移行する。第1系統電流I1が第2系統電流I2以下であると判断された場合(S274:NO)、S275へ移行する。
【0083】
S275では、デューティ演算部625は、第2系統102のデューティを上べた2相変調とする。ここでは、最も大きい相のデューティが100となるように、調整前デューティ指令値Du_c2、Dv_c2、Dw_c2を演算する(式(12−1)、(12−2)、(12−3)参照)。
Du_c2=Du_b2−MaxD2+100 ・・・(12−1)
Dv_c2=Dv_b2−MaxD2+100 ・・・(12−2)
Dw_c2=Dw_b2−MaxD2+100 ・・・(12−3)
【0084】
S276では、デューティ演算部625は、デューティの調整が必要か否かを判断する。ここでは、(100−Ddt)<Du_c2<100、(100−Ddt)<Dv_c2<100、または、(100−Ddt)<Dw_c2<100のとき、デューティの調整が必要と判断する。デューティの調整が必要ないと判断された場合(S276:NO)、調整前デューティ指令値Du_c2、Dv_c2、Dw_c2を、そのままデューティ指令値Du2、Dv2、Dw2とし、S281へ移行する。デューティの調整が必要であると判断された場合(S76:YES)、S277へ移行する。
【0085】
S277では、デューティ演算部625は、調整前デューティ指令値Du_c2、Dv_c2、Dw_c2を出力可能なデューティに調整し、デューティ指令値Du2、Dv2、Dw2を演算する(式(13−1)、(13−2)、(13−3)参照)。
Du2=Du_c1−Ddt ・・・(13−1)
Du2=Dv_c1−Ddt ・・・(13−2)
Du2=Dw_c1−Ddt ・・・(13−3)
【0086】
回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合(S273:NO)、または、第1系統電流I1が第2系統電流I2より大きい場合(S274:YES)に移行するS278では、デューティ演算部625は、第2系統102のデューティを上べた3相変調とする。ここでは、最も大きい相のデューティがデッドタイムデューティDdtに応じた値、具体的には(100−Ddt)となるように、デューティ指令値Du2、Dv2、Dw2を演算する(式(14−1)、(14−2)、(14−3)参照)。
Du2=Du_b2−MaxD2+(100−Ddt) ・・・(14−1)
Dv2=Dv_b2−MaxD2+(100−Ddt) ・・・(14−2)
Dw2=Dw_b2−MaxD2+(100−Ddt) ・・・(14−3)
【0087】
変調フラグFlgMが上下シフトHLである場合(S271:NO)に移行するS279では、デューティ演算部625は、第2系統102の基本デューティ指令値Du_b1、Dv_b1、Dw_b1のうち、最も小さいものを、最小デューティMinD2とする。
【0088】
S280では、デューティ演算部625では、第2系統102のデューティを下べた3相変調とする。ここでは、最も小さい相のデューティが、電流検出デューティDcdとなるように、デューティ指令値Du2、Dv2、Dw2を演算する(式(15−1)、(15−2)、(15−3)参照)。
Du2=Du_b2−MinD2+Dcd ・・・(15−1)
Dv2=Dv_b2−MinD2+Dcd ・・・(15−2)
Dw2=Dw_b2−MinD2+Dcd ・・・(15−3)
S281では、第2系統制御部62は、デューティ指令値Du2、Dv2、Dw2に基づいて駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、駆動回路50を経由して第2インバータ部20に出力される。
【0089】
本実施形態のデューティ切替処理を説明するタイムチャートを
図12〜
図16に示す。
図12〜
図16において、U相のデューティ指令値Du1、Du2を実線、V相のデューティ指令値Dv1、D2を破線、W相のデューティ指令値Dw1、Dw2を一点鎖線とした。
図12は、第1系統101における電気角1周期のデューティを示している。
回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さく、かつ、第1系統電流I1が第2系統電流I2より大きい場合、第1系統101では、
図12(a)に示す下べた2相変調と、
図12(c)に示す上べた3相変調とを切り替える。また、回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さく、かつ、第1系統電流I1が第2系統電流I2以下である場合、または、回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合、第1系統101では、
図12(b)に示す下べた3相変調と、
図12(c)に示す上べた3相変調とを切り替える。
第1系統101では、第1電流検出部41が低電位側に設けられているので、下べた3相変調時の下側固定値は、デッドタイムデューティDdtである。また、上べた3相変調時の上側固定値は、電流検出デューティDcdに応じた値であって、(100−Dcd)である。
【0090】
図13は、第2系統102のデューティを示している。
回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さく、かつ、第2系統電流I2が第1系統電流I1以上である場合、第2系統102では、
図13(a)に示す上べた2相変調と、
図13(c)に示す下べた3相変調とを切り替える。また、回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さく、かつ、第2系統電流I2が第1系統電流I1より小さい場合、または、回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合、第2系統102では、
図13(b)に示す上べた3相変調と、
図13(c)に示す下べた3相変調とを切り替える。
第2系統102では、第2電流検出部42が高電位側にあるので、上べた3相変調時の上側固定値は、デッドタイムデューティDdtに応じた値であって、(100−Ddt)である。また、下べた3相変調時の下側固定値は、電流検出デューティDcdである。
【0091】
図14および
図15は、モータ80をごく低速(すなわちω<ωth)で駆動しているときのデューティ切り替えを示している。
図14および
図15の例では、電気角θeがθa(
図12参照)にて略一定であるものとする。なお、
図14では、(a)が第1系統101のデューティを示し、(b)が第2系統102のデューティを示す。
図15および
図16も同様である。
【0092】
図14に示すように、第1系統電流I1が第2系統電流I2より大きい場合、第1継続期間P1の間、第1系統101のデューティを下べた2相変調とし、第2系統102のデューティを上べた3相変調とする。また、第1継続期間P1が経過した時刻x11にて、第1系統101のデューティを上べた3相変調、第2系統102のデューティを下べた3相変調に切り替える。時刻x11から第2継続期間P2が経過した時刻x12にて、第1系統101のデューティを下べた2相変調、第2系統102のデューティを上べた3相変調に切り替え、時刻x12から第1継続期間P1が経過した時刻x13にて、第1系統101のデューティを上べた3相変調、第2系統102のデューティを下べた3相変調に切り替える。
【0093】
図15に示すように、第2系統電流I2が第1系統電流I1以上である場合、第1継続期間P1の間、第1系統101のデューティを下べた3相変調とし、第2系統102のデューティを上べた2相変調とする。第1継続期間P1が経過した時刻x21にて、第1系統101のデューティを上べた3相変調、第2系統102のデューティを下べた3相変調に切り替える。時刻x21から第2継続期間P2が経過した時刻x22にて、第1系統101のデューティを下べた3相変調、第2系統102のデューティを上べた2相変調に切り替え、時刻x22から第1継続期間P1が経過した時刻x23にて、第1系統101のデューティを上べた3相変調、第2系統102のデューティを下べた3相変調に切り替える。
【0094】
図16は、モータ80の回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合のデューティ切り替えを示している。
図16に示すように、回転速度ωが回転速度閾値ωth以上である場合、第1系統101のデューティを下べた3相変調、第2系統102のデューティを上べた3相変調とする期間と、第1系統101のデューティを上べた3相変調、第2系統102のデューティを下べた3相変調とする期間とを、第2継続期間P2ごとに切り替えている。
【0095】
本実施形態では、一方の系統のデューティを上シフトし、他方の系統のデューティを下シフトしている。これにより、コンデンサ46、47からの電荷の持ち出しタイミングがずれるので、コンデンサ電流のリップルを低減することができる。
また、回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さいとき、系統電流が大きい方の系統において、スイッチング損失の低減および発熱抑制を優先して2相変調とし、系統電流が小さい方の系統にて、音および振動の抑制を優先して3相変調とする。これにより、発熱を抑制しつつ、音および振動が抑制される。
なお、各系統にて、デューティの上シフト、下シフトを切り替える点や、下側固定値および上側固定値については、上記実施形態と同様であり、同様の効果を奏する。
【0096】
本実施形態の巻線は、第1巻線組81および第2巻線組82である。また、インバータ部は、第1巻線組81に対応して設けられる第1インバータ部10、および、第2巻線組82に対応して設けられる第2インバータ部20である。
制御部60は、相電流の絶対値の大きい方の第1インバータ部10または第2インバータ部20の一方において、2相変調期間を設ける。換言すると、相電流の絶対値の小さい方の第1インバータ部10または第2インバータ部20の他方においては、2相変調期間を設けない。これにより、相電流の絶対値の大きい系統における最大発熱部位の発熱が緩和されるとともに、相電流の絶対値の小さい系統における音の発生が抑制される。
【0097】
電力変換装置2は、第1インバータ部10の低電位側に設けられる第1電流検出部41と、第2インバータ部20の高電位側に設けられる第2電流検出部42と、をさらに備える。
制御部65は、第1インバータ部10を2相変調制御するとき、低電位側に設けられるSW素子である下アーム素子14〜16の1相がオン固定となるようにする。制御部65は、第2インバータ部20を2相変調制御するとき、高電位側に設けられるSW素子である上アーム素子21〜23の1相がオン固定となるようにする。すなわち、第1インバータ部20を2相変調制御するときは下べた2相変調とし、第2インバータ部30を2相変調制御するときは上べた2相変調とする。
これにより、2相変調時においても、適切に電流検出を行うことができる。
【0098】
制御部60は、第1インバータ部10のデューティが小さくなる側にシフトし、第2インバータ部20のデューティが大きくなる側にシフトする下上シフト期間と、第1インバータ部10のデューティが大きくなる側にシフトし、第2インバータ部20のデューティが小さくなる側にシフトする上下シフト期間と、を交互に設ける。
これにより、SW素子11〜16、21〜26の熱損失の偏りを低減することができる。
【0099】
本実施形態では、下上シフト期間と上下シフト期間は、異なる時間が設定される。詳細には、回転速度ωが回転速度閾値ωthより小さい場合、すなわち3次周波数が可聴下限周波数より低い場合、2相変調制御が含まれる下上シフト期間を第1継続期間P1とし、3相変調制御のみである上下シフト期間を第2継続期間P2とする。上述の通り、第1継続期間P1および第2継続期間P2は、損失に応じて設定される。
これにより、SW素子21〜26、31〜36の熱損失の偏りを低減することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0100】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を
図17に示す。
本実施形態の構成は、第1実施形態の電力変換装置1と同様であり、デューティ演算処理が異なっているので、この点を中心に説明する。
デューティ演算処理を
図17に示すフローチャートに基づいて説明する。この処理は、デューティ演算部655にて行われる処理である。
図17では、
図5中のS154とS155との間に、S165が追加されている点が第1実施形態と異なる。
【0101】
S154で肯定判断された場合にS165では、操舵角θsの絶対値が終端判定値θtより大きいか否かを判断する。本実施形態では、操舵角θsの絶対値が終端判定値θtより大きい場合、ステアリングホイール91が終端にあるとみなす。操舵角θsの絶対値が終端判定値θtより大きいと判断された場合(S165:YES)、S155へ移行する。操舵角θsの絶対値が終端判定値θt以下であると判断された場合(S165:NO)、S158へ移行する。
【0102】
ステアリングホイール91に終端にある場合、通電量が大きくなり、発熱が大きくなる。そのため本実施形態では、ステアリングホイール91が終端にある場合に、2相変調を許容する。これにより、ステアリングホイール91が終端にある場合の発熱を抑えることができる。
また、本実施形態は、ステアリングホイール91が終端以外の箇所である場合、2相変調を行わず、音の抑制を優先して3相変調としている。
【0103】
本実施形態では、制御部65は、ステアリングホイール91の位置が左右いずれかの終端位置にあると判定された場合、2相変調制御期間を設ける。これにより、ステアリングホイール91が終端位置にあるときの発熱を抑制することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0104】
(他の実施形態)
(ア)電流検出部
上記実施形態では、電流検出素子は、シャント抵抗である。他の実施形態では、電流検出素子は、例えばホールIC等、シャント抵抗以外のものを用いてもよい。また、電流検出素子の種類に応じ、電流検出部は、インバータ部の低電位側または高電位側に限らず、電流検出可能ないずれの箇所に設けてもよい。
【0105】
第1実施形態では、電流検出部は、インバータ部の低電位側に設けられる。他の実施形態では、1系統のとき、電流検出部を高電位側に設けてもよい。
第2実施形態では、一方の系統の電流検出部を低電位側に設け、他方の電流検出部を高電位側に設ける。他の実施形態では、両方の系統の電流検出部を低電位側に設けてもよい。また、両方の系統の電流検出部を高電位側に設けてもよい。
2相変調を行う場合、電流検出部が低電位側であれば、第2実施形態の第1系統のように下べた2相変調とし、電流検出部が高電位側であれば、第2実施形態の第2系統のように上べた2相変調とすることが望ましい。
【0106】
(イ)デューティ切替処理
第1実施形態では、q軸電流が電流閾値より大きい場合、2相変調期間を設け、q軸電流が電流閾値以下の場合、3相変調とする。他の実施形態では、
図5のS154を省略し、q軸電流によらず、2相変調期間を設けるようにしてもよい。第3実施形態についても同様である。
【0107】
第2実施形態では、相電流の絶対値が大きい系統にて2相変調期間を設け、相電流が小さい系統では3相変調とする。他の実施形態では、
図10中のS254および
図11中のS274を省略し、相電流が小さい方の系統においても2相変調期間を設けてもよい。
また、第2実施形態では、第1系統と第2系統とで、デューティのシフト方向を反対とした。他の実施形態では、第1系統と第2系統とで、デューティのシフト方向が同じであってもよい。
【0108】
第2実施形態では、3次周波数が可聴下限周波数より低い場合、下上シフト期間と上下シフト期間は、異なる時間であり、3次周波数が可聴下限周波数以上の場合、下上シフト期間と上下シフト期間が等しい。他の実施形態では、
図9中のS202の判断処理、および、否定判断された場合に移行するS204の処理を省略し、3次周波数によらず、下上シフト期間と上下シフト期間とを、異なる時間に設定してもよい。
第1実施形態では、3次周波数が可聴下限周波数より低い場合、下シフト期間と上シフト時間が異なる時間に設定され、3次周波数が可聴下限周波数以上の場合、下シフト期間と上シフト期間とが等しい。他の実施形態では、
図4中のS102の判断処理、および、否定判断された場合に移行するS104の処理を省略し、3次周波数によらず、下シフト期間と上シフト期間とを、異なる時間に設定してもよい。
【0109】
第3実施形態では、操舵部材の位置が左右いずれかの終端位置にあるとき、2相変調期間を設ける。他の実施形態では、例えば、
図10中のS254とS255の間、および、
図11中のS274とS275との間に、
図17中のS165を追加し、2系統の場合においても、操舵部材の位置が左右いずれかの終端位置にあるときに2相変調期間を設け、終端位置以外である場合に2相変調期間を設けないようにしてもよい。
【0110】
上記実施形態では、3相変調制御において、最も小さい相のデューティを下側固定値とする下べた3相変調、または、最も大きい相のデューティを上側固定値とする上べた3相変調とする。他の実施形態では、3相変調における変調方法は、上べた3相変調または下べた3相変調に限らず、どのような変調方法であってもよい。また、3相変調制御において、電圧指令値をデューティ換算した値である基本デューティ指令値を、デューティ指令値としてもよい。
【0111】
(ウ)回転電機
第2実施形態では、第1巻線組と第2巻線組とは、電気角で位相が30[deg]ずれて配置される。他の実施形態では、第1巻線組と第2巻線組との位相差は、30[deg]に限らず、いくつであってもよい。
上記実施形態では、回転電機は、3相のブラシレスモータである。他の実施形態では、回転電機は、ブラシレスモータに限らず、どのようなモータとしてもよい。また、回転電機は、モータに限らず、発電機であってもよいし、電動機と発電機の機能を併せ持つ、所謂モータジェネレータであってもよい。
上記実施形態では、回転電機は、電動パワーステアリング装置に適用される。他の実施形態では、電力変換装置を電動パワーステアリング装置以外の装置に適用してもよい。
【0112】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。