特許第6623770号(P6623770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623770
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】保舵状態検出装置及び保舵状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20191216BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20191216BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D119:00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-3268(P2016-3268)
(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公開番号】特開2017-124648(P2017-124648A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(72)【発明者】
【氏名】深沢 慎一郎
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−024512(JP,A)
【文献】 特開2010−202048(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/147661(WO,A1)
【文献】 特開2010−036755(JP,A)
【文献】 特開2009−248599(JP,A)
【文献】 特開2007−112366(JP,A)
【文献】 特開2015−182517(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0107597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 101/00−137/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルに加わる操舵トルクを検出する検出部と、
前記検出部が所定時間内に検出した複数の操舵トルクの中から、周波数が所定値よりも大きい操舵トルクを除去する除去部と、
前記除去部が除去した後の複数の操舵トルクのトルク値のばらつきを示す統計値を求め、前記統計値が所定値よりも小さい場合に、前記ハンドルが保舵されていない状態を示す手放し状態であると判定する判定部と、
を備える、保舵状態検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記統計値として前記トルク値の標準偏差又は分散を求め、
前記トルク値の標準偏差又は分散が前記所定値よりも小さい場合に、前記手放し状態であると判定する、
請求項1に記載の保舵状態検出装置。
【請求項3】
前記検出部が前記所定時間内に連続して検出した操舵トルクの時系列データを取得する取得部を更に備え、
前記除去部は、前記取得部が取得した前記時系列データの中から、前記所定値よりも大きい周波数域の操舵トルクを除去するフィルタ処理を行う、
請求項1又は2に記載の保舵状態検出装置。
【請求項4】
ハンドルに加わる操舵トルクを検出するステップと、
所定時間内に検出した複数の操舵トルクの中から、周波数が所定値よりも大きい操舵トルクを除去するステップと、
除去した後の複数の操舵トルクのトルク値のばらつきを示す統計値を求め、前記統計値が所定値よりも小さい場合に、前記ハンドルが保舵されていない状態を示す手放し状態であると判定するステップと、
を備える、保舵状態検出方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバによるハンドルの保舵状態を検出する保舵状態検出装置及び保舵状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転支援システムの要素技術として、ドライバがハンドルを把持しているか否かを検出する技術が求められている。例えば、車線維持支援システムにおいては、ドライバがハンドルを把持せず所定時間以上操作していない場合には、支援システムの作動を解除することが定められている。このため、ハンドルの把持状態を正確に検出する技術が提案されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、ステアリングホイール(ハンドル)に加わる操舵トルクのパワースペクトルを計算して、ステアリング機構部の共有周波数における前記パワースペクトル値が閾値以上である場合には、ドライバがハンドルを把持していない状態(手放し状態)と判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−202048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示の技術の場合には、判定前の操舵トルクのパワースペクトルを計算するために、フーリエ変換する必要がある。このため、処理負担が増加すると共に、迅速にハンドルの手放し状態を検出できない。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ハンドルの手放し状態を容易かつ迅速に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、ハンドルに加わる操舵トルクを検出する検出部と、前記検出部が所定時間内に検出した複数の操舵トルクの中から、周波数が所定値よりも大きい操舵トルクを除去する除去部と、前記除去部が除去した後の複数の操舵トルクのトルク値のばらつきを示す統計値を求め、前記統計値が所定値よりも小さい場合に、前記ハンドルが保舵されていない状態を示す手放し状態であると判定する判定部と、を備える、保舵状態検出装置を提供する。
かかる保舵状態検出装置によれば、除去部によって、複数の操舵トルクの中から、ドライバがハンドルを把持した際に加わる操舵トルク以外の成分に起因するトルク値を除去できる。これにより、ハンドルの手放し状態時に検出される操舵トルクのトルク値が0又は0付近に集中するので、ハンドルの手放し状態を容易かつ迅速に検出できる。
【0008】
また、前記判定部は、前記統計値として前記トルク値の標準偏差又は分散を求め、前記トルク値の標準偏差又は分散が前記所定値よりも小さい場合に、前記手放し状態であると判定することとしてもよい。
【0009】
また、前記保舵状態検出装置は、前記検出部が前記所定時間内に連続して検出した操舵トルクの時系列データを取得する取得部を更に備え、前記除去部は、前記取得部が取得した前記時系列データの中から、前記所定値よりも大きい周波数域の操舵トルクを除去するフィルタ処理を行うこととしてもよい。
【0010】
本発明の第2の態様においては、ハンドルに加わる操舵トルクを検出するステップと、所定時間内に検出した複数の操舵トルクの中から、周波数が所定値よりも大きい操舵トルクを除去するステップと、除去した後の複数の操舵トルクのトルク値のばらつきを示す統計値を求め、前記統計値が所定値よりも小さい場合に、前記ハンドルが保舵されていない状態を示す手放し状態であると判定するステップと、を備える、保舵状態検出方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハンドルの手離し状態を容易かつ迅速に検出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】保舵状態検出装置100が搭載されている車両1の構成の一部を示す模式図である。
図2】取得部131が取得した操舵トルクの時系列データの一例を示す図である。
図3】除去部132によるフィルタ処理後の操舵トルクの時系列データを示す図である。
図4】フィルタ処理後の時系列データのトルク分布図である。
図5】フィルタ処理されていない時系列データのトルク分布図である。
図6】保舵状態検出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<車両の概要>
本発明に係る保舵状態検出装置の構成を説明する前に、図1を参照しながら、保舵状態検出装置100が搭載されている車両1の概要について説明する。
【0014】
図1は、保舵状態検出装置100が搭載されている車両1の構成の一部を示す模式図である。車両1は、トラックやバス等の大型車両である。図1に示すように、車両1は、ハンドル10と、操舵軸20と、舵取機構部30と、車輪40と、保舵状態検出装置100とを有する。
【0015】
ハンドル10は、軸回りに回転可能となるように設けられており、ドライバが車両1の進行方向の舵取りを行うための部材である。ハンドル10は、操舵軸20の先端に取り付けられている。ドライバは、ハンドル10を把持した状態で正方向又は逆方向に回転させることで、車輪40の進行方向の向きを変える。なお、ドライバがハンドル10を把持した状態で回転させる際に、ハンドル10には操舵トルクが加わる。
【0016】
操舵軸20は、ハンドル10と共に回転する回転軸である。ハンドル10に加わった操舵トルクは、操舵軸20に伝達される。操舵軸20には、操舵トルクのトルク値を検出するセンサや、操舵軸20の操舵角を検出するセンサが設けられている。
【0017】
舵取機構部30は、ハンドル10の回転に応じて、車両1の進行方向を変えるための機構部である。舵取機構部30は、ここでは、ピニオン軸31と、ラック軸32と、タイロッド35とを有する。ピニオン軸31の下端には、ピニオンギア31aが設けられている。ラック軸32の中央には、ピニオンギア31aと噛み合うラックギア32aが設けられている。タイロッド35は、ラック軸32の両端に設けられている。
【0018】
車輪40は、ここでは車両1の前輪である。車輪40は、タイロッド35に連結されている。車輪40は、ハンドル10の回転に応じて、角度が変化する。
【0019】
保舵状態検出装置100は、ドライバがハンドル10を把持しているか、又はドライバがハンドル10を手放しているかを検出するための装置である。保舵状態検出装置100は、詳細は後述するが、容易かつ迅速にハンドル10の把持状態及び手放し状態を検出するための構成を有する。
【0020】
なお、保舵状態検出装置100の検出結果は、車両1の運転支援システムに利用される。例えば、車両1は、運転支援システムとして、高速道路での走行時に車線を逸脱することを防止するための車線維持支援システムを有する。この車線維持支援システムは、保舵状態検出装置100の検出結果に基づいて、所定の動作を行う。例えば、車線維持支援システムは、システムの作動時にハンドル10の手放し状態が検出されると、アラームを鳴らしてドライバに注意喚起を行う。具体的には、車線維持支援システムは、ハンドル10の手放し状態が所定時間以上連続して検出されると、アラームを鳴らす。なお、車線維持支援システムは、アラームに代えて、システムの動作を停止させてもよい。これにより、車両1の安全性を高めることができる。
【0021】
<保舵状態検出装置の詳細構成>
図1を参照しながら、保舵状態検出装置100の詳細構成について説明する。保舵状態検出装置100は、図1に示すように、検出部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0022】
検出部110は、ハンドル10に加わる操舵トルクを、操舵軸20を介して検出する。例えば、検出部110は、操舵軸20にかかる操舵トルクの大きさを検出するトルクセンサを有する。検出部110は、検出した操舵トルクの大きさを示すトルク値を制御部130へ通知する。なお、検出部110は、操舵軸20の回転角(操舵角)を検出する操舵角センサも含む。
【0023】
記憶部120は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部120は、制御部130が実行するためのプラグラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部120は、検出部110が検出した操舵トルクに関する情報を記憶する。
【0024】
制御部130は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部130は、記憶部120に記憶されたプログラムを実行することにより、保舵状態検出装置100の動作を制御する。ここでは、制御部130は、取得部131、除去部132及び判定部133として機能する。
【0025】
取得部131は、検出部110が検出した操舵トルクを、検出部110から取得する。具体的には、取得部131は、検出部110が所定時間連続して検出した操舵トルクの時系列データを取得する。取得部131は、取得した操舵トルクの時系列データを記憶部120に記憶させてもよい。
【0026】
図2は、取得部131が取得した操舵トルクの時系列データの一例を示す図である。図2では、横軸が時間であり、縦軸が操舵トルクのトルク値である。また、図2(a)がハンドル10の手放し状態時の操舵トルクの時系列データを示し、図2(b)が把持状態時の操舵トルクの時系列データを示している。図2(a)及び図2(b)を見ると分かるように、把持状態時のトルク値が手放し状態時のトルク値よりも大きく、かつ変動の度合いも大きくなっている。
【0027】
除去部132は、検出部110が所定時間内に検出した複数の操舵トルクの中から、周波数が所定値よりも大きい操舵トルクを除去する。具体的には、除去部132は、ローパスフィルタ処理を行い、取得部131が取得した操舵トルクの時系列データの中から高周波域のトルク値を除去する。検出部110の検出結果には、車両1のエンジンが発生する振動や車輪40が地面から受けたロードノイズ等の高周波域の成分が含まれる。本実施形態では、上記の所定値が、これらの高周波域の成分を除去する値に設定されているため、除去部132は、所定値を用いて高周波域の成分を時系列データから除去する。除去部132は、高周波域の成分を除去した時系列データを判定部133に出力する。
【0028】
図3は、除去部132によるフィルタ処理後の操舵トルクの時系列データを示す図である。図3(a)が図2(a)の時系列データをフィルタ処理した結果を示し、図3(b)が図2(b)の時系列データをフィルタ処理した結果を示している。図2図3を比較すると分かるように、フィルタ処理を行うことで、時系列データのトルク値の変動度合いが小さくなっている。
【0029】
判定部133は、除去部132が高周波域の成分を除去した後の操舵トルクの時系列データのばらつきを示す統計値を求める。そして、判定部133は、統計値が所定値である判定閾値よりも小さい場合に、ハンドル10の手放し状態と判定し、統計値が判定閾値よりも大きい場合に、ハンドル10の把持状態であると判定する。
【0030】
具体的には、判定部133は、統計値として操舵トルクの時系列データの標準偏差又は分散を求め、標準偏差又は分散が判定閾値よりも小さい場合にハンドル10の手放し状態であると判定し、標準偏差又は分散が判定閾値よりも大きい場合にハンドル10の把持状態であると判定する。これにより、操舵トルクの時系列データの標準偏差又は分散と判定閾値との関係を比較することで、ハンドル10が手放し状態か否かを容易かつ迅速に検出できる。
【0031】
図4は、フィルタ処理後の時系列データのトルク分布図である。図4では、横軸がトルク値であり、縦軸が頻度である。図4(a)が図3(a)の時系列データのトルク分布図を示し、図4(b)が図3(b)の時系列データのトルク分布図を示している。ハンドル10の手放し状態時は、ハンドル10に操舵トルクがほとんど加わらないので、図4(a)に示すようにトルク値が0付近の操舵トルクが占めることになる。このため、手放し状態時の操舵トルクの標準偏差又は分散は、小さくなる。一方で、ハンドル10の把持状態時は、図4(b)に示すように広い範囲のトルク値の操舵トルクが存在するため、操舵トルクの標準偏差又は分散は、大きくなる。このように、手放し状態時と把持状態時で操舵トルクの標準偏差又は分散の大きさが異なるので、判定部133は、ハンドル10の手放し状態と把持状態とを容易に判別できる。
【0032】
ここで、フィルタ処理していない場合と比較して、更に説明する。
図5は、フィルタ処理されていない時系列データのトルク分布図である。図5(a)は、フィルタ処理されていない図2(a)の時系列データのトルク分布図を示し、図5(b)は、図2(b)の時系列データのトルク分布図を示している。図4(a)と図5(a)を対比すると分かるように、フィルタ処理していない場合には、時系列データにおけるトルク値の分布が大きくなっているため、標準偏差又は分散が大きくなる。これに対して、本実施形態のようにフィルタ処理した場合には、図4(a)に示すようにトルク値が0付近に集中することで、標準偏差又は分散が小さくなるため、ハンドル10の手放し状態を容易に検出できる。
【0033】
<保舵状態検出処理>
図6を参照しながら、保舵状態検出装置100が行う保舵状態検出処理の流れについて説明する。保舵状態検出処理は、保舵状態検出装置100の制御部130が記憶部120に記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0034】
図6は、保舵状態検出処理の一例を示すフローチャートである。保舵状態検出処理は、ここでは車両1の運転支援システムの動作中に行われる。
【0035】
まず、検出部110は、ハンドル10に加わる操舵トルクを検出する(ステップS102)。検出部110は、連続して所定時間、操舵トルクを検出する。そして、検出部110は、検出結果を制御部130に順次出力する。
【0036】
次に、制御部130の取得部131は、検出部110が検出した操舵トルクの時系列データを取得する(ステップS104)。例えば、取得部131は、図2に示すような時系列データを取得する。
【0037】
次に、除去部132は、取得した操舵トルクの時系列データの中から、高周波域の成分を除去する(ステップS106)。具体的には、除去部132は、操舵トルクの時系列データに対してローパスフィルタ処理を行い、時系列データの中からエンジンの振動やロードノイズを含む高周波域の成分を除去する。この結果、時系列データが、図3に示すような波形となる。
【0038】
次に、判定部133は、高周波域の成分が除去された操舵トルクの時系列データの統計値を求める(ステップS108)。具体的には、判定部133は、操舵トルクの時系列データの標準偏差又は分散を求める。
【0039】
次に、判定部133は、統計値が判定閾値よりも小さいか否かを判断する(ステップS110)。具体的には、判定部133は、操舵トルクの時系列データの標準偏差又は分散が判定閾値よりも小さいか否かを判断する。
【0040】
そして、図4(a)に示すように操舵トルクの時系列データの標準偏差又は分散が小さい場合には、判定部133は、時系列データの標準偏差又は分散が判定閾値よりも小さいと判断し(ステップS110:Yes)、ハンドル10の手放し状態であると判定する(ステップS112)。
【0041】
一方で、図4(b)に示すように操舵トルクの時系列データの標準偏差又は分散が大きい場合には、判定部133は、時系列データの標準偏差又は分散が判定閾値よりも大きいと判断し(ステップS110:No)、ハンドル10の把持状態であると判定する(ステップS114)。
【0042】
保舵状態検出装置100は、上述した保舵状態検出処理(ステップS102〜S114)を、運転支援システムの動作中に継続して行う。また、なお、手放し状態であると判定した場合には、制御部130は、アラームを鳴らしてもよいし、運転支援システムの動作を停止してもよい。
【0043】
<本実施形態における効果>
上述した保舵状態検出装置100によれば、判定部133は、除去部132が高周波域の成分に起因するトルク値を除去した後の時系列データのばらつきを示す統計値(具体的には、標準偏差又は分散)を求める。そして、判定部133は、統計値が判定閾値よりも小さい場合に、ハンドル10の手放し状態と判定する。
かかる場合には、除去部132によって、時系列データの中から、ドライバがハンドル10を把持した際に加わる操舵トルク以外の成分に起因するトルク値を除去できる。これにより、ハンドル10の手放し状態時に検出される時系列データのトルク値が0又は0付近に集中するので、ハンドル10の手放し状態を容易かつ迅速に検出できる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1 車両
10 ハンドル
20 操舵軸
100 保舵状態検出装置
110 検出部
130 制御部
131 取得部
132 除去部
133 判定部

図1
図2
図3
図4
図5
図6