(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水素及び酸素を反応させて発電する発電部と、該発電部から排出されるガス、又は水を外部へ排出する電磁弁と、該電磁弁の通電を制御する制御部とを備える燃料電池において、
前記ガス、又は前記水が排出される方向に前記電磁弁を複数並設し、
排出方向下流側の電磁弁の温度を検出する温度検出部を備え、
前記制御部は、前記電磁弁の温度が所定値以下である場合に、該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁に通電する通電処理を行い、通電する電磁弁以外の電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じることを特徴とする燃料電池。
前記制御部は、前記電磁弁に通電している場合に、該電磁弁の温度が第1所定値以下であり、かつ該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁の温度が第2所定値以上である場合に、通電を継続することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池。
前記制御部は、前記通電処理を行う場合に、前記ガス、又は前記水の外部への排出時の通電処理の駆動電流と同一極性の電流を前記電磁弁に与えることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の燃料電池。
水素及び酸素を反応させて発電する発電部と、該発電部から排出されるガス、又は水を外部へ排出するように複数並設された電磁弁と、該電磁弁の通電を制御する制御部と、排出方向下流側の電磁弁の温度を検出する温度検出部とを備える燃料電池の制御方法であって、
前記電磁弁の温度が所定値以下であるか否かを判定し、
前記電磁弁の温度が所定値以下であると判定した場合に、該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁に通電し、通電する電磁弁以外の電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じることを特徴とする燃料電池の制御方法。
水素及び酸素を反応させて発電する発電部と、該発電部から排出されるガス、又は水を外部へ排出するように複数並設された電磁弁と、該電磁弁の通電を制御する制御部と、排出方向下流側の電磁弁の温度を検出する温度検出部とを備える燃料電池を制御するコンピュータに、
前記電磁弁の温度が所定値以下であるか否かを判定し、
前記電磁弁の温度が所定値以下であると判定した場合に、該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁へ通電し、通電する電磁弁以外の電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じる命令を出力する
処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る燃料電池300を示すブロック図である。
燃料電池300は、電池本体100と水素供給部200とを備える。電池本体100は例えば固体高分子形燃料電池(polymer electrolyte fuel cell)等の電池本体である。
電池本体100は、スタック1、水素通流路2(水素供給路2a及び水素循環路2b)、空気流路3、スタック冷却路4、ラジエータ通流路5、ボンベ加熱路6、第1熱交換器7、第2熱交換器8、制御部9、気液分離器27、排水弁28,29、水素循環ポンプ26、エアポンプ30、冷却ポンプ40、放熱ポンプ50、ラジエータ51、ファン52、加熱ポンプ60、排気弁61,62、温度センサ63、排水路75、及び排気路76を備える。第2熱交換器8はヒータ(不図示)を備える。
【0017】
水素供給部200は、複数のMH(Metal Hydride)ボンベ20と、開閉弁21と、レギュレータ22とを備える。MHボンベ20は水素吸蔵合金を充填してなる。開閉弁21には全てのMHボンベ20が接続されており、開閉弁21はレギュレータ22に接続されている。レギュレータ22により水素の供給圧力が調整される。MHボンベ20内の水素吸蔵合金が水素を放出する際の反応は吸熱反応である。
【0018】
スタック1は、固体高分子電解質膜を負極と陽極とで両側から挟んで膜電極接合体を形成し、この膜電極接合体の両側に一対のセパレータを配置して平板状の単位セルを構成し、この単位セルを複数積層してパッケージ化したものである。
負極に、水素供給部200から流入した水素を含む燃料ガスが接触し、正極に空気等の酸素を含む酸化ガスが空気流路3から流入して接触することにより両電極で電気化学反応が生じ、起電力が発生する。この電気化学反応においては、負極側から固体高分子電解質膜を透過してきた水素イオンと酸化ガス中の酸素との反応により水が生じる。
【0019】
水素供給路2aの一端部はレギュレータ22に、他端部は水素循環路2bのスタック1の負極寄りの部分に接続されている。水素供給路2aには、水素供給部200側から順に、開閉弁23、開閉弁24、逆止弁25が設けられている。
【0020】
水素循環路2bには水素循環ポンプ26が設けられている。開閉弁23、開閉弁24を開いたとき、水素はレギュレータ22から開閉弁23、開閉弁24、及び逆止弁25を通って水素供給路2aを通流し、水素循環ポンプ26により、水素循環路2bを通流して、スタック1の負極側部分へ送出され、該部分内の通流路を通流されるように構成されている。該通流路内を通流し、スタック1から排出された、水素、不純物(当初から水素に含有された不純物と反応により生じた不純物とを含む)及び水分は水素循環路2bを通流し、気液分離器27へ送られる。
気液分離器27において、水素及び不純物を含むガスと水とに分離される。
【0021】
排水路75は気液分離器27の下側に接続されており、排水路75には電磁弁である排水弁28,29が直列に設けられている。
排気路76は、気液分離器27の上側で水素循環路2bから分岐して延びるように設けられており、排気路76には前記ガスを排出するための排気弁61,62が直列に設けられている。前記ガスは適宜のタイミングで、排気弁61,62に通電して開放することにより排気路76を通流し、外部へ排出される。
【0022】
気液分離器27において、分離された前記ガスは排気弁61,62を閉じているとき、気液分離器27から水素循環路2bを通流して水素循環ポンプ26へ送られ、スタック1へ戻される。気液分離器27で分離された水は貯留され、所定量に達した場合に、排水弁28,29に通電して開放することにより排水路75を通流され、外部へ排出される。
【0023】
排水弁28,29は夫々断熱材81,82により覆われている。排水路75の、排水弁28,29間も断熱材により覆われている。該断熱材により覆われた部分は、
図1において太線で表している。断熱材は設けないことにしてもよいが、後述する第2通電処理を行う場合に、排水弁28又は29の通電により生じた熱を保持することができ、より良好に凍結が防止されるので、設けることが好ましい。また、排水路75全体を断熱材により覆うことにしてもよい。
排気弁61,62は夫々断熱材83,84により覆われている。排気路76の、排気弁61,62間も断熱材により覆われている。該断熱材により覆われた部分は、
図1において太線で表している。断熱材は設けないことにしてもよいが、後述する第2通電処理を行う場合に、排気弁61又は62の通電により生じた熱を保持することができ、より良好に凍結が防止されるので、設けることが好ましい。また、排気路76全体を断熱材により覆うことにしてもよい。
【0024】
空気流路3にはエアポンプ30が設けられている。そして、空気流路3のスタック1への流入側部分には開閉弁31が、スタック1からの流出側部分には開閉弁32が設けられている。開閉弁31、開閉弁32を開いたとき、エアポンプ30から送出された空気は空気流路3を通流して開閉弁31を通り、スタック1の正極側部分へ導入され、該部分の通流路を通流されるように構成されている。該通流路内を通流した空気は、スタック1から排出され、開閉弁32を通って外部へ排出される。
【0025】
スタック冷却路4には、冷却ポンプ40、イオン交換樹脂43、及び導電率計44が設けられている。冷却ポンプ40から送出され、スタック冷却路4を通流する冷却水はイオン交換樹脂43内を通流し、導電率計44により導電率を測定された後、スタック1へ導入され、スタック1内の通流路を通流した後、排出されて、第1熱交換器7及び第2熱交換器8を通流し、冷却ポンプ40へ戻るように構成されている。イオン交換樹脂43はスタック冷却路4を通流する冷却水に含まれるイオンを吸着する。イオン量が多くなった場合、冷却水の導電率が高くなり、スタック1の発電効率が低下するので、イオン交換樹脂43により金属イオン等を吸着する必要がある。
【0026】
ラジエータ通流路5には、放熱ポンプ50が設けられている。放熱ポンプ50から送出された、例えば不凍液等の放熱液は、ラジエータ51を通流し、さらに第1熱交換器7を通流した後、放熱ポンプ50へ戻るように構成されている。
ラジエータ51に近接してファン52が設けられている。
【0027】
ボンベ加熱路6には、加熱ポンプ60が設けられている。加熱ポンプ60から送出された加熱液は、水素供給部200内の通流路を通流して各MHボンベ20を加熱した後、水素供給部200から排出され、第2熱交換器8を通流して、加熱ポンプ60へ戻るように構成されている。加熱により、MHボンベ20内の水素吸蔵合金から水素が放出される。加熱液として不凍液が挙げられる。
【0028】
スタック冷却路4、ラジエータ通流路5、ボンベ加熱路6、第1熱交換器7、及び第2熱交換器8は断熱材により覆われている。該断熱材により覆われた部分は、
図1において太線で表している。該断熱材により、外部との熱移動を制限でき、熱量を制御しやすい。
【0029】
制御部9は、制御部9の各構成部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)90を備え、CPU90には、バスを介して、ROM91、及びRAM92が接続されている。
【0030】
ROM91は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性メモリであり、燃料電池300の運転プログラム91aと、本実施の形態に係る凍結防止プログラム91bを記憶している。
また、凍結防止プログラム91bは、コンピュータ読み取り可能に記録された可搬式メディアであるCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等の記録媒体に記録されており、CPU90が記録媒体から、凍結防止プログラム91bを読み出し、ROM91に記憶させてもよい。
さらに、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本発明に係る凍結防止プログラム91bを取得し、ROM91に記憶させることにしてもよい。
【0031】
RAM92は、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)等のメモリであり、CPU90の演算処理を実行する際にROM91から読み出された運転プログラム91a、凍結防止プログラム91b、及びCPU90の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。
制御部9は電池本体100の各構成部、及び水素供給部200の開閉弁21に接続されており、制御部9は各構成部及び開閉弁21の動作を制御する。なお、制御部9と各構成部との接続は、本実施の形態の説明において必要な部分のみ示している。
【0032】
スタック1で生じる反応は発熱反応であり、スタック1はスタック冷却路4内を通流する冷却水により冷却される。スタック1から排出された冷却水の熱は、第1熱交換器7において放熱液に伝導され、放熱液はラジエータ51において熱を放出し、熱はファン52により電池本体100の外部へ放出される。ラジエータ51において冷却された放熱液は第1熱交換器7へ送られる。
【0033】
スタック冷却路4において、第1熱交換器7を通流し、第2熱交換器8へ導入された冷却水の熱は、第2熱交換器8において加熱液へ伝導され、加熱液は水素供給部200の各MHボンベ20を加熱し、水素吸蔵合金から水素を放出させる。
第2熱交換器8で冷却された冷却水は冷却ポンプ40へ戻り、スタック1へ送られる。
そして、発電を行っていない場合、スタック冷却路4の冷却水の温度は環境温度となるが、第2熱交換器8の前記ヒータにより加熱液を加温することにより、MHボンベ20を所定温度に保持することができる。
なお、ボンベ加熱路6を有さずに、スタック1で生じた熱を有する空気を水素供給部200へ送風して、MHボンベ20を加温することにしてもよい。また、MHボンベ20にヒータを設けておき、MHボンベ20を直接ヒータで加温することにしてもよい。
【0034】
電池本体1には温度センサ63が設けられており、環境温度を検出する。
本実施の形態においては、温度センサ63が検出した環境温度に基づき、CPU90が排水弁28,29、及び排気弁61,62の通電を制御する。
【0035】
制御部9のCPU90はROM91から凍結防止プログラム91bを読み出して、凍結防止のための通電処理を実行する。
以下、この凍結防止のための通電処理について説明する。以後、該通電処理は、前記ガス又は水を排出する場合の通電処理と区別するために、第2通電処理という。
【0036】
図2は、CPU90による前記第2通電処理を示すフローチャートである。
始めに排気弁61,62、及び排水弁28,29の全ての弁は通電オフの状態である。
まず、CPU90は温度センサ63から取得した環境温度Teが5℃以上であるか否かを判定する(S1)。
CPU90は環境温度Teが5℃以上であると判定した場合(S1:YES)、排気弁61の通電をオフし(S2)、排気弁62の通電をオフし(S3)、排水弁28の通電をオフし(S4)、排水弁29の通電をオフし(S5)、処理をステップS17へ進める。
【0037】
CPU90は環境温度Teが5℃以上でないと判定した場合(S1:NO)、排気弁61の通電がオフ状態であるか否かを判定する(S6)。
CPU90は排気弁61の通電がオフ状態であると判定した場合(S6:YES)、排気弁62の通電をオフし(S7)、排気弁61の通電をオンし(S8)、処理をステップS11へ進める。ここで、排気弁61の通電の電流量は、排気弁61を完全に開くことができる電流量であってもよいが、少なくとも排気弁61の凍結を防止できる程度に、排気弁61を加温できる電流量であればよい。また、外気温に応じて、電流量を変更することにしてもよい。例えば外気温が−1℃又は−2℃等であり、それ程低くない場合、電流量を小さくすることができる。実験により、外気温と、電流量、後述する通電時間との関係を決めておき、前記関係を示すテーブルをROM91に記憶しておいてもよい。外気温に応じて通電時間を変えることができる。
【0038】
CPU90は排気弁61の通電がオフ状態でないと判定した場合(S6:NO)、排気弁61の通電をオフし(S9)、排気弁62の通電をオンし(S10)、処理をステップS11へ進める。排気弁62の通電量は排気弁61と同様にして決定しておく。また、排気弁62の方が排気弁61より下流側に設けられており、冷えやすいので、電流量又は通電時間を排気弁61より大きくしてもよい。
【0039】
CPU90は、ステップS11において、排水弁28の通電がオフ状態であるか否かを判定する。
CPU90は排水弁28の通電がオフ状態であると判定した場合(S11:YES)、排水弁29の通電をオフし(S12)、排水弁28の通電をオンし(S13)、処理をステップS16へ進める。排水弁28の通電量も排気弁61等と同様にして決定しておく。
CPU90は排水弁28の通電がオフ状態でないと判定した場合(S11:NO)、排水弁28の通電をオフし(S14)、排水弁29の通電をオンし(S15)、処理をステップS16へ進める。排水弁29の通電量も排気弁61等と同様にして決定しておく。
【0040】
CPU90は、ステップS16において、現在開放している電磁弁につき、規定の通電時間が経過したか否かを判定する。該通電時間は、予め実験等により規定され、ROM91に記憶されている。なお、開放している電磁弁につき、各別に通電時間の経過を判定することにしてもよい。
CPU90は、前記通電時間が経過していないと判定した場合(S16:NO)、この判定処理を繰り返す。
CPU90は、前記通電時間が経過したと判定した場合(S16:YES)、第2通電処理を終了するか否かを判定する(S17)。第2通電処理の終了の判定は、環境温度Teが5℃以上である状態が所定時間継続したか否か、開放した電磁弁の第2通電処理の合計時間が所定時間を超えたか否か、開放した電磁弁の第2通電処理の回数が所定回数を超えたか否か、ユーザより第2通電処理の終了の指示を受け付けたか否か等により行う。
【0041】
CPU90は第2通電処理を終了しないと判定した場合(S17:NO)、処理をステップS1へ戻す。
CPU90は第2通電処理を終了すると判定した場合(S17:YES)、排水弁28及び排気弁61の通電をオフし(S18)、次に排水弁29及び排気弁62の通電をオフして(S19)、第2通電処理を終了する。第2通電処理を終了する場合、排出方向上流側の電磁弁から閉止するので、電磁弁間に圧力が残らず、水素の漏れが良好に防止される。また、水分も残り難いので、凍結が良好に防止される。
【0042】
本実施の形態においては、環境温度Teが5℃以上であり、凍結する条件でない場合、排気弁61,62、及び排水弁28,29の全ての弁について加温する必要がないので、全ての弁を通電オフの状態を維持する。
【0043】
環境温度Teが5℃未満である場合、まず、排気弁62が通電オフの状態で排気弁61に通電して排気弁61を加温し、排水弁29が通電オフの状態で排水弁28に通電して排水弁28を加温する。環境温度Teが5℃未満である状態が続いている場合、排気弁61の通電をオフにして排気弁62に通電し、排気弁62を加温し、排水弁28の通電をオフにして排水弁29に通電し、排水弁29を加温する。
通電時間が経過した場合に電磁弁を切り替え、即ち直列に並設された電磁弁の通電を交互にオンにするので、各電磁弁のデューティー比は1:1である。
【0044】
本実施の形態においては、環境温度Teを検出し、各電磁弁の実際の温度は不明であるので、直列に並設された電磁弁の通電を交互にオンにすることで、各電磁弁の凍結が良好に防止される。従って、良好に発電が行われ得る。
なお、本実施の形態においては、ガス又は水の排出方向の上流側の電磁弁から先に通電することにしているが、これに限定されるものではなく、下流側の電磁弁から先に通電することにしてもよい。
【0045】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る燃料電池301を示すブロック図である。図中、
図3と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
燃料電池301の排気弁62,排水弁29夫々には、温度センサ64,65が設けられている。
【0046】
図4は、CPU90による第2通電処理を示すフローチャートである。
始めに排気弁61,62、及び排水弁28,29の全ての弁は通電オフの状態である。
まず、CPU90は温度センサ64から取得した排気弁62の温度Taが5℃以上であるか否かを判定する(S21)。
CPU90は温度Taが5℃以上であると判定した場合(S21:YES)、排気弁61の通電をオフし(S22)、排気弁62の通電をオフし(S23)、処理をステップS29へ進める。
【0047】
CPU90は温度Taが5℃以上でないと判定した場合(S21:NO)、排気弁61の通電がオフ状態であるか否かを判定する(S24)。
CPU90は排気弁61の通電がオフ状態であると判定した場合(S24:YES)、排気弁62の通電をオフし(S25)、排気弁61の通電をオンし(S26)、処理をステップS29へ進める。ここで、排気弁61の通電の電流量は、排気弁61を完全に開くことができる電流量であってもよいが、少なくとも排気弁61の凍結を防止できる程度に、排気弁61を加温できる電流量であればよい。また、排気弁62の温度に応じて、電流量を変更することにしてもよい。例えば排気弁62の温度が−1℃又は−2℃等であり、それ程低くない場合、電流量を小さくすることができる。実験により、排気弁62の温度と、排気弁61への電流量、通電時間との関係を決めておき、前記関係を示すテーブルをROM91に記憶しておいてもよい。
【0048】
CPU90は排気弁61の通電がオフ状態でないと判定した場合(S24:NO)、排気弁61の通電をオフし(S27)、排気弁62の通電をオンし(S28)、処理をステップS29へ進める。排気弁62の通電量は排気弁61と同様にして決定しておく。
【0049】
CPU90は、ステップS29において、温度センサ65から取得した排水弁29の温度Tbが5℃以上であるか否かを判定する。
CPU90は温度Tbが5℃以上であると判定した場合(S29:YES)、排水弁28の通電をオフし(S30)、排水弁29の通電をオフし(S31)、処理をステップS37へ進める。
【0050】
CPU90は温度Tbが5℃以上でないと判定した場合(S29:NO)、排水弁28の通電がオフ状態であるか否かを判定する(S32)。
CPU90は排水弁28の通電がオフ状態であると判定した場合(S32:YES)、排水弁29の通電をオフし(S33)、排水弁28の通電をオンし(S34)、処理をステップS37へ進める。排水弁28の通電量は排気弁61と同様にして決定しておく。
【0051】
CPU90は排水弁28の通電がオフ状態でないと判定した場合(S32:NO)、排気弁28の通電をオフし(S35)、排水弁29の通電をオンし(S36)、処理をステップS37へ進める。排水弁29の通電量は排気弁61等と同様にして決定しておく。
【0052】
CPU90は、ステップS37において、排気弁61,62、排水弁28,29の全ての弁がオフ状態であるか否かを判定する。
CPU90は、全ての弁がオフ状態ではないと判定した場合(S37:NO)、現在開放している電磁弁につき、規定の通電時間が経過したか否かを判定する(S38)。なお、開放している電磁弁につき、各別に通電時間の経過を判定することにしてもよい。CPU90は、前記通電時間が経過していないと判定した場合(S38:NO)、この判定処理を繰り返す。
【0053】
CPU90は、前記通電時間が経過したと判定した場合(S38:YES)、第2通電処理を終了するか否かを判定する(S39)。第2通電処理の終了の判定は、温度Ta及びTbが5℃以上である状態が所定時間継続したか否か、開放した電磁弁の第2通電処理の合計時間が所定時間を超えたか否か、開放した電磁弁の第2通電処理の回数が所定回数を超えたか否か、ユーザより第2通電処理の終了の指示を受け付けたか否か等により行う。
【0054】
CPU90は第2通電処理を終了しないと判定した場合(S39:NO)、処理をステップS21へ戻す。
CPU90は第2通電処理を終了すると判定した場合(S39:YES)、排水弁28及び排気弁61の通電をオフし(S40)、次に排水弁29及び排気弁62の通電をオフして(S41)、第2通電処理を終了する。
【0055】
本実施の形態においては、温度Ta及びTbが5℃以上であり、凍結する条件でない場合、排気弁61,62、及び排水弁28,29の全ての弁について加温する必要がないので、全ての弁を通電オフの状態を維持する。
【0056】
排気弁62の温度Taが5℃未満である場合、まず、排気弁62が通電オフの状態で排気弁61に通電して排気弁61を加温する。温度Taが5℃未満である状態が続いている場合、次に、排気弁61の通電をオフにして排気弁62に通電し、排気弁62を加温する。
同様に、排水弁29の温度Tbが5℃未満である場合、まず排水弁29が通電オフの状態で排水弁28に通電して排水弁28を加温する。温度Tbが5℃未満である状態が続いている場合、次に、排水弁28の通電をオフにして排水弁29に通電し、排水弁29を加温する。
【0057】
本実施の形態においては、温度センサはガス及び水の排出方向の下流側の電磁弁のみに設けられているので、温度センサが設けられていない上流側の電磁弁を先に通電して加温する。温度センサが設けられている方の電磁弁を先に加温した場合、温度センサが設けられていない方の電磁弁の温度が下がって凍結する虞がある。上流側の電磁弁が温まった場合、加温されたガス又は水が下流側の電磁弁に通流して下流側の電磁弁を温めることになる。
通電時間の経過により、直列に並設された電磁弁の通電を交互にオンにするので、各弁のデューティー比は1:1である。
【0058】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3に係る燃料電池302を示すブロック図である。図中、
図3と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
燃料電池301と同様に、排気弁62,排水弁29夫々には、温度センサ64,65が設けられており、さらに排気弁61,排水弁28夫々には、温度センサ66,67が設けられている。
【0059】
図6は、CPU90による第2通電処理を示すフローチャートである。
始めに排気弁61,62、及び排水弁28,29の全ての弁は通電オフの状態である。
まず、CPU90は温度センサ64から取得した排気弁62の温度Taが5℃以上であるか否かを判定する(S51)。
CPU90は温度Taが5℃以上であると判定した場合(S51:YES)、排気弁61の通電をオフし(S52)、排気弁62の通電をオフし(S53)、処理をステップS60へ進める。
【0060】
CPU90は温度Taが5℃以上でないと判定した場合(S51:NO)、排気弁62の通電がオフ状態であるか否かを判定する(S54)。
CPU90は排気弁62の通電がオフ状態であると判定した場合(S54:YES)、排気弁61の通電をオフし(S55)、排気弁62の通電をオンし(S26)、処理をステップS60へ進める。ここで、排気弁62の通電の電流量は、排気弁62を完全に開くことができる電流量であってもよいが、少なくとも排気弁62の凍結を防止できる程度に、排気弁62を加温できる電流量であればよい。また、排気弁62の温度に応じて、電流量を変更することにしてもよい。例えば排気弁62の温度が−1℃又は−2℃等であり、それ程低くない場合、電流量を小さくすることができる。実験により、排気弁62の温度と、排気弁62への電流量、通電時間との関係を決めておき、前記関係を示すテーブルをROM91に記憶しておいてもよい。
【0061】
CPU90は排気弁62の通電がオフ状態でないと判定した場合(S54:NO)、温度センサ66から取得した排気弁61の温度Tcが5℃以上であるか否かを判定する(S57)。
CPU90は、温度Tcが5℃以上であると判定した場合(S57:YES)、処理をステップS55へ進める。
CPU90は、温度Tcが5℃以上でないと判定した場合(S57:NO)、排気弁62の通電をオフし(S58)、排気弁61の通電をオンし(S59)、処理をステップS60へ進める。排気弁61の通電量は、排気弁62の通電量と同様にして決定する。
【0062】
CPU90は、ステップS60において、温度センサ65から取得した排水弁29の温度Tbが5℃以上であるか否かを判定する。
CPU90は温度Tbが5℃以上であると判定した場合(S60:YES)、排水弁28の通電をオフし(S61)、排水弁29の通電をオフし(S62)、処理をステップS69へ進める。
【0063】
CPU90は温度Tbが5℃以上でないと判定した場合(S60:NO)、排水弁29の通電がオフ状態であるか否かを判定する(S63)。
CPU90は排水弁29の通電がオフ状態であると判定した場合(S63:YES)、排水弁28の通電をオフし(S64)、排気弁29の通電をオンし(S65)、処理をステップS69へ進める。排水弁29の通電量は、排気弁62等の通電量と同様にして決定する。
【0064】
CPU90は排水弁29の通電がオフ状態でないと判定した場合(S63:NO)、温度センサ67から取得した排水弁28の温度Tdが5℃以上であるか否かを判定する(S66)。
CPU90は、温度Tdが5℃以上であると判定した場合(S66:YES)、処理をステップS64へ進める。
CPU90は、温度Tdが5℃以上でないと判定した場合(S66:NO)、排水弁29の通電をオフし(S67)、排水弁28の通電をオンし(S68)、処理をステップS69へ進める。排水弁28の通電量は、排水弁29の通電量と同様にして決定する。
【0065】
CPU90は、ステップS69において、排気弁61,62、排水弁28,29の全ての弁がオフ状態であるか否かを判定する。
CPU90は、全ての弁がオフ状態ではないと判定した場合(S69:NO)、現在開放している電磁弁につき、規定の通電時間が経過したか否かを判定する(S70)。なお、開放している電磁弁につき、各別に通電時間の経過を判定することにしてもよい。
CPU90は、前記通電時間が経過していないと判定した場合(S70:NO)、この判定処理を繰り返す。
【0066】
CPU90は、前記通電時間が経過したと判定した場合(S70:YES)、第2通電処理を終了するか否かを判定する(S71)。第2通電処理の終了の判定は、温度Ta、Tb、Tc、及びTdが5℃以上である状態が所定時間継続したか否か、開放した電磁弁の第2通電処理の合計時間が所定時間を超えたか否か、開放した電磁弁の第2通電処理の回数が所定回数を超えたか否か、ユーザより第2通電処理の終了の指示を受け付けたか否か等により行う。
【0067】
CPU90は第2通電処理を終了しないと判定した場合(S71:NO)、処理をステップS51へ戻す。
CPU90は第2通電処理を終了すると判定した場合(S71:YES)、排水弁28及び排気弁61の通電をオフし(S72)、次に排水弁29及び排気弁62の通電をオフして(S73)、第2通電処理を終了する。
【0068】
本実施の形態においては、温度Ta及びTbが5℃以上である場合、全ての電磁弁について通電オフの状態を維持する。
【0069】
排気弁62の温度Taが5℃未満である場合、まず、排気弁61が通電オフの状態で排気弁62に通電して排気弁62を加温する。温度Taが5℃未満である状態が続いている場合、排気弁61の温度Tcが5℃以上であるとき、排気弁62の通電を継続する。従って、排気弁62が温まるまで通電することができる。排気弁61の温度Tcが5℃未満であるとき、排気弁62の通電をオフにして排気弁61に通電し、排気弁61を加温する。この場合も排気弁61を通流したガスが排気弁62を温めることになる。
【0070】
同様に、排水弁29の温度Tbが5℃未満である場合、まず排水弁28が通電オフの状態で排水弁29に通電して排水弁29を加温する。温度Tbが5℃未満である状態が続いている場合、排水弁28の温度Tdが5℃以上であるとき、排水弁29の通電を継続する。排水弁28の温度Tdが5℃未満であるとき、排水弁29の通電をオフにして排水弁28に通電し、排水弁28を加温する。
【0071】
本実施の形態においては、温度センサはガス及び水の排出方向の上流側及び下流側の両方の電磁弁に設けられているので、凍結し易い下流側の電磁弁を先に通電して加温する。
直列に並設された電磁弁の通電を交互にオンにするのではなく、凍結し易い下流側の電磁弁の通電時間が結果的に長くなり、各電磁弁のデューティー比は1:1にはならない。
本実施の形態においては、各電磁弁の温度を検出して、必要とされる電磁弁に通電するので、無駄な電力の供給が防止されている。
【0072】
実施の形態4.
図7は実施の形態4に係る燃料電池303を示すブロック図である。図中、
図5と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
燃料電池303においては、気液分離器27の下側に排気排水路77が接続されており、排気排水路77には、排気排水弁68及び排気排水弁69が直列に設けられている。排気排水弁68,69には、夫々温度センサ73,74が取り付けられている。排気排水弁68,69は夫々断熱材85,86により覆われている。排気排水路77の、排気排水弁68,69間も断熱材により覆われている。該断熱材により覆われた部分は、
図7において太線で表している。断熱材は設けないことにしてもよいが、第2通電処理を行う場合に、排気排水弁68又は69の通電により生じた熱を保持することができ、より良好に凍結が防止されるので、設けることが好ましい。また、排気排水路77全体を断熱材により覆うことにしてもよい。
本実施の形態においては、気液分離器27に水を溜めておき、貯水量が所定値以上になった場合、又はガス中の不純物量が多くなった場合に、排気排水弁68及び排気排水弁69を同時に開いて、水及びガスを同時に排出するように構成されている。
【0073】
図8は、CPU90による第2通電処理を示すフローチャートである。
始めに排気排水弁68及び排気排水弁69は、共に通電オフの状態である。
まず、CPU90は温度センサ74から取得した排気排水弁69の温度Tfが5℃以上であるか否かを判定する(S81)。
CPU90は温度Tfが5℃以上であると判定した場合(S81:YES)、排気排水弁68の通電をオフし(S82)、排気排水弁69の通電をオフし(S83)、処理をステップS90へ進める。
【0074】
CPU90は温度Tfが5℃以上でないと判定した場合(S81:NO)、排気排水弁69の通電がオフ状態であるか否かを判定する(S84)。
CPU90は排気排水弁69の通電がオフ状態であると判定した場合(S84:YES)、排気排水弁68の通電をオフし(S85)、排気排水弁69の通電をオンし(S86)、処理をステップS90へ進める。ここで、排気排水弁69の通電の電流量は、排気排水弁69を完全に開くことができる電流量であってもよいが、少なくとも排気排水弁69の凍結を防止できる程度に、排気排水弁69を加温できる電流量であればよい。また、排気排水弁69の温度に応じて、電流量を変更することにしてもよい。例えば排気弁62の温度が−1℃又は−2℃等であり、それ程低くない場合、電流量を小さくすることができる。実験により、排気排水弁69の温度と、排気排水弁69への電流量、通電時間との関係を決めておき、前記関係を示すテーブルをROM91に記憶しておいてもよい。
【0075】
CPU90は排気排水弁69の通電がオフ状態でないと判定した場合(S84:NO)、温度センサ73から取得した排気排水弁68の温度Tgが5℃以上であるか否かを判定する(S87)。
CPU90は、温度Tgが5℃以上であると判定した場合(S87:YES)、処理をステップS85へ進める。
CPU90は、温度Tgが5℃以上でないと判定した場合(S87:NO)、排気排水弁69の通電をオフし(S88)、排気排水弁68の通電をオンし(S89)、処理をステップS90へ進める。排気排水弁68の通電量は、排気排水弁68の通電量と同様にして決定する。
【0076】
CPU90は、ステップS90において、排気排水弁68,69が共にオフ状態であるか否かを判定する。
CPU90は、共にオフ状態ではないと判定した場合(S90:NO)、現在開放している電磁弁につき、規定の通電時間が経過したか否かを判定する(S91)。CPU90は、前記通電時間が経過していないと判定した場合(S91:NO)、この判定処理を繰り返す。
【0077】
CPU90は、前記通電時間が経過したと判定した場合(S91:YES)、第2通電処理を終了するか否かを判定する(S92)。第2通電処理の終了の判定は、温度Tf、及びTgが5℃以上である状態が所定時間継続したか否か、開放した電磁弁の第2通電処理の合計時間が所定時間を超えたか否か、開放した電磁弁の第2通電処理の回数が所定回数を超えたか否か、ユーザより第2通電処理の終了の指示を受け付けたか否か等により行う。
【0078】
CPU90は第2通電処理を終了しないと判定した場合(S92:NO)、処理をステップS81へ戻す。
CPU90は第2通電処理を終了すると判定した場合(S92:YES)、排気排水弁68の通電をオフし(S93)、次に排気排水弁69の通電をオフして(S94)、第2通電処理を終了する。
【0079】
本実施の形態においては、温度Tf及びTgが5℃以上であり、凍結する条件でない場合、排気排水弁68,69共に加温する必要がないので、共に通電オフの状態を維持する。
【0080】
排気排水弁69の温度Tfが5℃未満である場合、まず、排気排水弁68が通電オフの状態で排気排水弁69に通電して排気排水弁69を加温する。温度Tfが5℃未満である状態が続いている場合、排気排水弁68の温度Tgが5℃以上であるとき、排気排水弁69の通電を継続する。従って、排気排水弁69が温まるまで通電することができる。排気排水弁68の温度Tgが5℃未満であるとき、排気排水弁69の通電をオフにして排気排水弁68に通電し、排気排水弁68を加温する。この場合も排気排水弁68を通流したガス及び水が排気排水弁69を温めることになる。
【0081】
本実施の形態においては、温度センサはガス及び水の排出方向の上流側及び下流側の両方の弁に設けられているので、凍結し易い下流側の弁を先に通電して加温する。
【0082】
以上のように、本発明に係る燃料電池は、水素及び酸素を反応させて発電する発電部と、該発電部から排出されるガス、又は水を外部へ排出する電磁弁と、該電磁弁の通電を制御する制御部とを備える燃料電池において、前記ガス、又は前記水が排出される方向に前記電磁弁を複数並設し、
排出方向下流側の電磁弁の温度を検出する温度検出部を備え、前記制御部は、
前記電磁弁の温度が所定値以下である場合に、該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁に通電する通電処理を行い、通電する電磁弁以外の電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じることを特徴とする。
【0083】
本発明においては、電磁弁が凍結する虞がある場合に、並設された電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じた状態で、他の電磁弁に通電する通電処理を行うので、該電磁弁の通電による発熱で凍結が防止される。並設された電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じるので、水素が漏れる虞はない。
従って、良好に発電が行われる。
本発明においては、温度検出部はガス又は水の排出方向の下流側の電磁弁のみに設けられているので、温度検出部が設けられていない上流側の電磁弁を先に通電して加温する。温度検出部が設けられている方の電磁弁を先に加温した場合、温度検出部が設けられていない方の電磁弁の温度が下がっていて凍結する虞がある。上流側の電磁弁が温まった場合、加温されたガス又は水が下流側の弁に通流して下流側の電磁弁を温めることになる。従って、凍結が良好に防止される。
本発明に係る燃料電池は、水素及び酸素を反応させて発電する発電部と、該発電部から排出されるガス、又は水を外部へ排出する電磁弁と、該電磁弁の通電を制御する制御部とを備える燃料電池において、前記ガス、又は前記水が排出される方向に前記電磁弁を複数並設し、各電磁弁の温度を夫々検出する複数の温度検出部を備え、前記制御部は、排出方向下流側の電磁弁の温度が第1所定値以下である場合に、該電磁弁に通電する通電処理を行い、該電磁弁以外の電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じることを特徴とする。
本発明においては、温度検出部は、ガス及び水の排出方向の上流側及び下流側のいずれの電磁弁にも設けられているので、凍結し易い下流側の電磁弁を先に通電して加温する。従って、凍結が良好に防止される。そして、各電磁弁の温度を検出して、必要とされる電磁弁に通電するので、無駄な電力の供給が防止される。
【0084】
本発明に係る燃料電池は、上述の燃料電池において、前記制御部は、所定時間が経過した場合に、通電する電磁弁を切り替えることを特徴とする。
【0085】
本発明においては、電磁弁を切り替えることにより、通電していない方の電磁弁を加温して、該電磁弁の凍結を防止することができる。通電していた電磁弁は通電停止により閉じられるので、水素の漏れは防止されている。
【0086】
本発明に係る燃料電池は、上述の燃料電池において、前記制御部は、前記通電処理を行う場合に、前記ガス、又は前記水の外部への排出時の通電処理の駆動電流と同一極性の電流を前記電磁弁に与えることを特徴とする。
【0087】
本発明においては、特殊な電磁弁は不要であり、通常の駆動電流で電磁弁を動作させることができるため、特別な電気回路も不要である。
【0094】
本発明に係る燃料電池は、上述の燃料電池において、前記制御部は、前記電磁弁に通電している場合に、該電磁弁の温度が第1所定値以下であり、かつ該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁の温度が第2所定値以上である場合に、通電を継続することを特徴とする。
【0095】
本発明においては、排出方向下流側の電磁弁の温度が第1所定値以下であり、かつ該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁の温度が第2所定値以上であり、上流側の電磁弁の凍結の虞がない場合に、下流側の電磁弁の通電を続行することで、凍結が良好に防止される。
【0096】
本発明に係る燃料電池は、上述の燃料電池において、前記制御部は、前記通電処理を終了する場合に、排出方向上流側の電磁弁から閉止することを特徴とする。
【0097】
本発明においては、電磁弁間に圧力が残らないので、水素の漏れが良好に防止される。また、水分も残り難いので凍結が良好に防止される。
【0098】
本発明に係る燃料電池は、前記電磁弁は、断熱材により被覆されていることを特徴とする。
【0099】
本発明においては、断熱材により、電磁弁の通電により生じた熱を保持することができ、より良好に凍結が防止される。
【0100】
本発明に係る燃料電池の制御方法は、水素及び酸素を反応させて発電する発電部と、該発電部から排出されるガス、又は水を外部へ排出するように複数並設された電磁弁と、該電磁弁の通電を制御する制御部と、
排出方向下流側の電磁弁の温度を検出する温度検出部とを備える燃料電池の制御方法であって、
前記電磁弁の温度が所定値以下であるか否かを判定し、
前記電磁弁の温度が所定値以下であると判定した場合に、
該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁に通電し、通電する電磁弁以外の電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じることを特徴とする。
【0101】
本発明においては、電磁弁が凍結する虞がある場合に、並設された電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じた状態で、他の電磁弁に通電する通電処理を行うので、該電磁弁の通電による発熱で凍結が防止される。
【0102】
本発明に係るコンピュータプログラムは、水素及び酸素を反応させて発電する発電部と、該発電部から排出されるガス、又は水を外部へ排出するように複数並設された電磁弁と、該電磁弁の通電を制御する制御部と、
排出方向下流側の電磁弁の温度を検出する温度検出部とを備える燃料電池を制御するコンピュータに、
前記電磁弁の温度が所定値以下であるか否かを判定し、
前記電磁弁の温度が所定値以下であると判定した場合に、
該電磁弁より排出方向上流側の電磁弁へ通電し、通電する電磁弁以外の電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じる命令を出力する処理を実行させることを特徴とする。
【0103】
本発明においては、電磁弁が凍結する虞がある場合に、並設された電磁弁のうちの少なくとも1つの電磁弁を閉じた状態で、他の電磁弁に通電する通電処理を行うので、該電磁弁の通電による発熱で凍結が防止される。
【0104】
本発明は上述した実施の形態1〜4の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、電磁弁は水又はガスの排出方向に2個並設される場合には限定されず、3個以上並設することにしてもよい。但し、並設された電磁弁のうち、少なくとも1つは閉じておく必要がある。
また、ガスの排出側及び水の排出側共に、電磁弁を複数並設する場合には限定されず、いずれか一方の排出側に電磁弁を複数並設することにしてもよい。