特許第6623792号(P6623792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6623792車輪用軸受装置の製造方法、及び車輪用軸受装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623792
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】車輪用軸受装置の製造方法、及び車輪用軸受装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/64 20060101AFI20191216BHJP
   B60B 27/00 20060101ALI20191216BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20191216BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   F16C33/64
   B60B27/00 Z
   F16C19/18
   B23P21/00 306A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-14058(P2016-14058)
(22)【出願日】2016年1月28日
(65)【公開番号】特開2017-133597(P2017-133597A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 竜哉
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 信之
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−239115(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/147246(WO,A1)
【文献】 特開平04−347069(JP,A)
【文献】 特開2001−050283(JP,A)
【文献】 特開2008−296841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00−19/56
F16C 33/30−33/66
B60B 27/00
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪の径方向内方に転動体を介して円筒形状のハブ軸が配設されており、前記ハブ軸の軸端部を径方向外方にかしめ加工して形成されたかしめ部により当該ハブ軸に外嵌された内輪部材が固定されており、前記ハブ軸の内周に等速ジョイントのシャフトが挿通される車輪用軸受装置の製造方法であって、
前記ハブ軸の前記軸端部を含む所定領域にメッキを施すメッキ工程と、
前記所定領域のうち前記軸端部の一部に施されたメッキを除去するメッキ除去工程と、
前記メッキ除去工程よりも後に、前記軸端部をかしめ加工して、外周に第1平坦面を有する前記かしめ部を形成するかしめ工程と、を含み、
前記メッキ除去工程においてメッキを除去する領域は、前記軸端部をかしめ加工するかしめ用パンチが当該軸端部に接触する接触領域を含み、かつ、前記第1平坦面となる領域を含まない、車輪用軸受装置の製造方法。
【請求項2】
外輪の径方向内方に転動体を介して円筒形状のハブ軸が配設されており、前記ハブ軸の軸端部を径方向外方にかしめ加工して形成されたかしめ部により当該ハブ軸に外嵌された内輪部材が固定されており、前記ハブ軸の内周に等速ジョイントのシャフトが挿通される車輪用軸受装置であって、
前記ハブ軸は、メッキが施されたメッキ部と、メッキが施されていない非メッキ部と、を有し、
前記非メッキ部は、前記軸端部をかしめ加工するかしめ用パンチが当該軸端部に接触する接触領域及びその周辺領域に形成されており、
前記かしめ部は、その外周に第1平坦面を有し、
前記メッキ部は、前記第1平坦面を含む、車輪用軸受装置。
【請求項3】
前記ハブ軸には、等速ジョイントのシャフトが挿通して嵌合される挿通孔が形成されており、
前記非メッキ部は、前記挿通孔の周面にも形成されている、請求項に記載の車輪用軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪用軸受装置の製造方法、及び車輪用軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、車輪を車体側に対して回転自在に取り付けるための車輪用軸受装置が設けられている。この車輪用軸受装置は、ハブ軸を有するハブホイールと、ハブ軸の軸端部に固定された内輪部材と、ハブ軸の径方向外方に配設された外輪と、ハブ軸及び/又は内輪部材の外周に形成された内輪軌道と外輪の内周に形成された外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような車輪用軸受装置の外輪およびハブ軸の各表面には、耐食性及び外観品質を向上するために、ニッケルメッキや亜鉛メッキ等を施す場合がある。この場合、メッキを施したハブ軸には、その外周に形成された小径部に内輪部材が嵌合される。そして、かしめ用パンチを用いて小径部の軸端部を径方向外方にかしめ加工することで、ハブ軸に内輪部材が固定される。
【0004】
また、駆動輪用の車輪用軸受装置では、ハブホイールのハブ軸が筒軸形状に形成されており、メッキを施したハブ軸の内周には等速ジョイントのシャフトが挿通される。ハブ軸の内周には雌スプラインが形成されており、シャフトの外周面に形成された雄スプラインが前記雌スプラインに嵌合することで、シャフトとハブ軸とが回転方向に動力伝達可能に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−239115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記車輪用軸受装置のハブ軸は、メッキを施した後に、軸端部をかしめ加工するため、ハブ軸のかしめ用パンチとの接触面においてメッキが剥がれる場合がある。この場合、剥がれたメッキが、かしめ用パンチとハブ軸のかしめ部との間に噛み込み、かしめ部の表面に圧痕や傷が発生して品質が低下するという問題や、かしめ用パンチの表面に傷が発生することでかしめ用パンチの寿命が低下するという問題が生じる。
【0007】
また、メッキを施したハブ軸の内周に等速ジョイントのシャフトをスプライン嵌合させるので、ハブ軸の内周にシャフトが接触することで、ハブ軸の内周に施されたメッキが剥がれ、ハブ軸とシャフトとの嵌め合いが緩んでしまうという問題も生じる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ハブ軸のかしめ部の品質が低下するのを抑制しつつ、ハブ軸の耐食性および外観品質を向上させることができる車輪用軸受装置の製造方法、及び車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車輪用軸受装置の製造方法は、外輪の径方向内方に転動体を介して円筒形状のハブ軸が配設されており、前記ハブ軸の軸端部を径方向外方にかしめ加工して形成されたかしめ部により当該ハブ軸に外嵌された内輪部材が固定されており、前記ハブ軸の内周に等速ジョイントのシャフトが挿通される車輪用軸受装置の製造方法であって、前記ハブ軸の前記軸端部を含む所定領域にメッキを施すメッキ工程と、前記所定領域のうち前記軸端部の一部に施されたメッキを除去するメッキ除去工程と、前記メッキ除去工程よりも後に、前記軸端部をかしめ加工して、外周に第1平坦面を有する前記かしめ部を形成するかしめ工程と、を含み、前記メッキ除去工程においてメッキを除去する領域は、前記軸端部をかしめ加工するかしめ用パンチが当該軸端部に接触する接触領域を含み、かつ、前記第1平坦面となる領域を含まない
【0009】
本発明によれば、ハブ軸の軸端部を含む所定領域にメッキを施した後、その軸端部の一部に施されたメッキを除去してから当該軸端部をかしめ加工してかしめ部を形成する。このため、軸端部から剥がれたメッキがハブ軸のかしめ部とかしめ用パンチと間に噛み込むのを抑制することができる。その結果、剥がれたメッキによってハブ軸のかしめ部に圧痕や傷が発生するのを低減することができるので、かしめ部の品質が低下するのを抑制することができる。また、ハブ軸の前記所定領域のうち軸端部の上記一部を除く部分にはメッキが施されているので、ハブ軸の耐食性および外観品質を向上させることができる。
【0010】
また、メッキ除去工程では、ハブ軸の軸端部においてかしめ用パンチが接触する接触領域に施されたメッキが除去されるので、かしめ加工時にハブ軸の軸端部からメッキが剥がれるのをさらに抑制することができる。
【0011】
本発明の車輪用軸受装置は、外輪の径方向内方に転動体を介して円筒形状のハブ軸が配設されており、前記ハブ軸の軸端部を径方向外方にかしめ加工して形成されたかしめ部により当該ハブ軸に外嵌された内輪部材が固定されており、前記ハブ軸の内周に等速ジョイントのシャフトが挿通される車輪用軸受装置であって、前記ハブ軸は、メッキが施されたメッキ部と、メッキが施されていない非メッキ部と、を有し、前記非メッキ部は、前記軸端部をかしめ加工するかしめ用パンチが当該軸端部に接触する接触領域及びその周辺領域に形成されており、前記かしめ部は、その外周に第1平坦面を有し、前記メッキ部は、前記第1平坦面を含む
【0012】
本発明の車輪用軸受装置によれば、ハブ軸において軸端部をかしめ加工するかしめ用パンチが当該軸端部に接触する接触領域及びその周辺領域に、メッキが施されていない非メッキ部が形成されている。このため、非メッキ部を形成してから前記軸端部をかしめ加工することで、軸端部から剥がれたメッキがハブ軸のかしめ部とかしめ用パンチと間に噛み込むのを抑制することができる。これにより、剥がれたメッキによってハブ軸のかしめ部に圧痕や傷が発生するのを抑制することができるので、かしめ部の品質が低下するのを抑制することができる。また、ハブ軸はメッキが施されたメッキ部を有しているので、ハブ軸の耐食性および外観品質を向上させることができる。
【0013】
前記車輪用軸受装置において、前記ハブ軸には、等速ジョイントのシャフトが挿通して嵌合される挿通孔が形成されており、前記非メッキ部は、前記挿通孔の周面にも形成されているのが好ましい。
この場合、ハブ軸の挿通孔の周面にはメッキが施されていない非メッキ部が形成されているので、前記挿通孔に等速ジョイントのシャフトを挿通して嵌合するときに、挿通孔の周面からメッキが剥がれることはない。このため、ハブ軸とシャフトとの嵌め合いが緩むのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ハブ軸のかしめ部の品質が低下するのを抑制しつつ、ハブ軸の耐食性および外観品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用軸受装置を示す断面図である。
図2】上記車輪用軸受装置の一部を示す拡大断面図である。
図3】上記車輪用軸受装置の製造方法を示すフローチャートである。
図4】上記車輪用軸受装置のハブホイールの製造途中の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳述する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置を示す断面図である。
車輪用軸受装置1は、例えば自動車の車輪を車体側の懸架装置に対して回転自在に支持するものであり、図1では自動車の駆動輪側の車輪用軸受装置を示している。
【0017】
車輪用軸受装置1は、転がり軸受2と、この転がり軸受2の軌道輪部材となる円筒形状のハブ軸3を有するハブホイール4とを備えている。ハブホイール4のハブ軸3は、軸方向一端側に形成された大径部6と、この大径部6よりも小径であり且つ当該大径部6から軸方向他端側に向かって段差面7を介して連続して形成された小径部8とを有している。
【0018】
転がり軸受2は、例えば複列玉軸受からなり、内周面に一対の外輪軌道面11a,11bを有する外輪11と、内周面がハブ軸3の小径部8に外嵌された内輪部材12とを備えている。そして、小径部8の軸方向他端側の軸端部8aを、図示しないかしめ用パンチにより径方向外方にかしめ加工してかしめ部9を形成することで、内輪部材12は小径部8に外嵌された状態で固定されている。
【0019】
かしめ部9の外側の表面には、断面視において、第1平坦面9a、テーパ面9b、曲面9c、及び第2平坦面9dがこの順に連続して形成されている。
内輪部材12は、その外周に軸方向他端側の外輪軌道面11aに対向する内輪軌道面13aを有している。ハブ軸3の大径部6は、その外周面に軸方向一端側の外輪軌道面11bに対向する軸軌道面13bを有している。
【0020】
また、転がり軸受2は、外輪軌道面11aと内輪軌道面13aとの間、及び外輪軌道面11bと軸軌道面13bとの間にそれぞれ転動自在に2列に配置された複数の玉(転動体)14を備えている。これにより、ハブ軸3は、外輪11の径方向内方に玉14を介して配設されている。さらに、転がり軸受2は、2列に配置された玉14をそれぞれ周方向に所定間隔毎で保持する一対の保持器15を備えている。
【0021】
外輪11の外周面には、車輪用軸受装置1を、懸架装置に支持された車体側部材(図示省略)に取り付けるための固定フランジ16が形成されている。また、外輪11とハブホイール4との間に形成される環状空間には、当該環状空間を軸方向両端から封止するシール部材17が設けられている。
【0022】
ハブ軸3の軸方向一端側には、その外周面から径方向外方に向かって延びる円環状のフランジ部5が一体に形成されている。フランジ部5には、その厚さ方向に貫通するボルト孔5aが周方向に複数形成されており、各ボルト孔5aには、図示しない車輪のホイールやブレーキディスクを取り付けるためのハブボルト21がそれぞれ圧入されて固定されている。
【0023】
ハブ軸3には、図示しない等速ジョイントのシャフトが挿通して嵌合される挿通孔10が形成されており、その挿通孔10の周面には雌スプライン10aが形成されている。この雌スプライン10aに、前記シャフトの外周面に形成された雄スプライン(図示省略)が嵌合することで、ハブ軸3と前記シャフトとが回転方向に動力伝達可能に連結される。
【0024】
図2は、車輪用軸受装置1の一部を示す拡大断面図である。ハブ軸3の表面における所定領域には、耐食性および外観品質を向上させるために、ニッケルメッキや亜鉛メッキ等のメッキが施されている。前記所定領域は、本実施形態ではハブ軸3の表面のうち、ボルト孔5a、軸軌道面13b、段差面7、及び小径部8の外周面を除く領域とされている。そして、前記所定領域には、その一部に対応するメッキを削り取ることで、他部にメッキが施されたメッキ部31(図2で破線を添えている部分)と、前記一部においてメッキが施されていない非メッキ部32とが形成されている。
【0025】
本実施形態の非メッキ部32は、かしめ部9の外側の表面に形成された第1の非メッキ部32Aと、挿通孔10の周面(雌スプライン10aを含む)に形成された第2の非メッキ部32Bとを有している。第1の非メッキ部32Aは、かしめ加工時にかしめ用パンチが軸端部8aに接触する接触領域33及びその周辺領域34,35に形成されている。
【0026】
本実施形態において、第1の非メッキ部32Aの接触領域33は、かしめ部9のテーパ面9bの径方向内側部分および曲面9cの全体となる領域である。また、周辺領域34は、かしめ部9のテーパ面9bの径方向外側部分となる領域であり、周辺領域35は、かしめ部9の第2平坦面9dの軸方他端側部分となる領域である。したがって、本実施形態では、かしめ部9の第1平坦面9aの全体、及び第2平坦面9dの軸方向一端側部分となる領域は、メッキ部31の一部分とされている。なお、本実施形態では、外輪11の表面(外輪軌道面11a,11bを除く)にも、ハブ軸3と同様に、ニッケルメッキや亜鉛メッキ等のメッキが施されている。
【0027】
図3は、車輪用軸受装置1の製造方法を示すフローチャートである。また、図4は、ハブホイール4の製造途中の状態を示す断面図である。以下、図3及び図4を参照しつつ、車輪用軸受装置1の製造方法について説明する。まず、素材を切削加工することにより、ハブホイール4の中間品40を形成する(ステップST1)。この中間品40では、ハブ軸3の小径部8の軸端部8aが軸方向他端側にまっすぐ延びて形成されている。
【0028】
次に、中間品40の表面部に対して高周波焼入れ等の熱処理を行い、その表面部に硬化層を形成する(ステップST2)。そして、軸端部8aの端面及び内周面、挿通孔10の周面(雌スプライン10aを含む)、並びにフランジ部5の表面(ボルト孔5aを除く)を含む所定領域(図4で破線を添えている領域)にメッキを施す(ステップST3,メッキ工程)。その際、非メッキ部32となる部分にはマスキングしておく。
【0029】
次に、上記所定領域のうち、軸端部8aの端面及び内周面と、挿通孔10の周面全体とに施されたメッキを旋削加工により削り取って除去する(ステップST4,メッキ除去工程)。本実施形態では、軸端部8aの端面及び内周面においてメッキを除去する領域は、かしめ用パンチが軸端部8aに接触する接触領域33及びその周辺領域34,35とされている(図2参照)。これにより、図2に示すように、ハブ軸3には、メッキが施されたメッキ部31と、メッキが施されていない非メッキ部32とが形成される。
【0030】
なお、メッキ除去工程では、周辺領域34,35のうち少なくとも一方の周辺領域に施されたメッキを除去すればよい。また、上記メッキを除去する領域は接触領域33のみであってもよい。さらにこの場合には、接触領域33の少なくとも一部に施されたメッキを除去すればよい。
【0031】
次に、ハブ軸3の外周において、軸軌道面13b、シール部材17が接触する接触面6a、及び内輪部材12が圧入して嵌合される嵌合面8bに対して研磨加工する(ステップST5)。そして、図2に示すように、小径部8に内輪部材12を外嵌するとともに、玉14、保持器15及び外輪11等をハブ軸3に組み付ける(ステップST6)。
【0032】
次に、かしめ用パンチにより小径部8の軸端部8aを径方向外方にかしめ加工してかしめ部9(図2参照)を形成する(ステップST7,かしめ工程)。その際、かしめ用パンチは、軸端部8aの接触領域33(図2参照)にのみ接触する。これにより、図2に示すように、内輪部材12は小径部8に外嵌された状態で固定される。
【0033】
以上、本発明の実施形態に係る車輪用軸受装置1及びその製造方法では、ハブ軸3の軸端部8aを含む所定領域にメッキを施した後、その軸端部8aの一部に施されたメッキを除去してから当該軸端部8aをかしめ加工してかしめ部9を形成する。このため、軸端部8aから剥がれたメッキがハブ軸3のかしめ部9とかしめ用パンチと間に噛み込むのを抑制することができる。その結果、剥がれたメッキによってハブ軸3のかしめ部9に圧痕や傷が発生するのを抑制することができるので、かしめ部9の品質が低下するのを抑制することができる。また、ハブ軸3は、軸端部8aの一部及び挿通孔10を除く部分にメッキが施されたメッキ部31を有するので、ハブ軸3の耐食性および外観品質を向上させることができる。
【0034】
また、メッキ除去工程では、ハブ軸3の軸端部8aにおいてかしめ用パンチが接触する接触領域33に施されたメッキが除去されるので、かしめ加工時にハブ軸3の軸端部8aからメッキが剥がれるのをさらに抑制することができる。
【0035】
また、駆動輪側の車輪用軸受装置1では、ハブ軸3の挿通孔10の周面にメッキが施されていない非メッキ部32Bが形成されているので、挿通孔10に等速ジョイントのシャフトを挿通して嵌合するときに、挿通孔10の周面からメッキが剥がれることはない。このため、ハブ軸3とシャフトとの嵌め合いが緩むのを防止することができる。
【0036】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく適宜変更して実施可能である。例えば、上記実施形態における車輪用軸受装置は、ハブ軸3の外周に内輪軌道13aが直接形成された第3世代構造であるが、ハブ軸3に一対の内輪部材12が圧入された第2世代構造であってもよい。また、転がり軸受2は、転動体として玉14を用いているが、円すいころ等を用いたものであってもよい。
【0037】
また、上記実施形態における車輪用軸受装置は、駆動輪側の車輪用軸受装置であるが、従動輪側の車輪用軸受装置であってもよい。但し、この場合、ハブ軸には挿通孔が形成されないため、非メッキ部32は、軸端部8aにおける第1の非メッキ部32Aのみとなる。
【符号の説明】
【0038】
1:車輪用軸受装置、3:ハブ軸、8a:軸端部、9:かしめ部、10:挿通孔、11:外輪、12:内輪部材、14:玉(転動体)、31:メッキ部、32:非メッキ部、33:接触領域、34,35:周辺領域
図1
図2
図3
図4