(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記規制部は、前記アーム部の上面と前記カバー部材の下面との間の隙間を前記エンジンフードの下面と前記操作部との間の隙間よりも小にすることを特徴とする請求項1に記載の前部構造。
前記リブは、前記アーム部の移動軌跡に沿って前記アーム部の上面と前記リブの下面との間の隙間を一定にする高さの規制面を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の車両の前部構造。
前記規制部は、前記アーム部の上面に設けられ、前記アーム部の長手方向に沿って設けられるビードからなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両の前部構造。
前記セカンダリラッチは、前記ストライカに当接可能であって、前記エンジンフードの閉操作にともなって前記ストライカに当接され、前記セカンダリラッチを前記ストライカの解放を許容する解放位置から前記ストライカの解放を阻止する係合位置に移動させるラッチ作動部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両の前部構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたフードロック装置は、エンジンフードの前縁がフロントバンパーの上縁近傍まで延長されるタイプの自動車でセカンダリレバーが車両前方側に延長される。これにより、エンジンフードを必要以上に高い位置から落とすと、セカンダリラッチが軸まわりに回転するだけでなく、セカンダリラッチがラッチ軸を支点に車両前後方向に変位するので、セカンダリレバーが車両上下方向に跳ね上がり、セカンダリレバーの操作部がエンジンフードの下面に干渉する事態が生じうる。このように、操作部がエンジンフードの下面に干渉すると、エンジンフードの下面に施された塗装が傷ついたり、セカンダリレバーが変形したりするので好ましくない。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、エンジンフードを必要以上に高い位置から落とした場合でも操作部がエンジンフードの下面に干渉することがない、車両の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る車両の前部構造は、エンジンフードの車両前方側となる下面に設けられるストライカと、エンジンルームの開口の前縁部に設けられ、前記ストライカを噛合保持するラッチ装置と、前記ラッチ装置に並設され、前記ストライカが前記ラッチ装置から解放された場合に前記ラッチ装置から解放された前記ストライカを係合保持するセカンダリラッチと、を備え、前記セカンダリラッチは、車両前方側に延在して設けられるアーム部と、該アーム部の先端部に設けられる操作部とを有し、前記セカンダリラッチに係合保持された前記ストライカを解放するセカンダリレバーを含み、前記アーム部の上面、又は前記アーム部の上方域に設けられたカバー部材の下面の少なくとも一方に前記エンジンフードの下面に対する前記操作部の干渉を規制する規制部を有する。
【0008】
上記(1)の構成によれば、アーム部の上面、又はアーム部の上方域に設けられたカバー部材の下面の少なくとも一方に設ける規制部がエンジンフードの下面に対する操作部の干渉を規制するので、エンジンフードを必要以上に高い位置から落とした場合でも操作部がエンジンフードの下面に干渉することがない。これにより、エンジンフードの下面に施された塗装が傷ついたり、セカンダリレバーが変形したりするのを防止できる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記規制部は、前記アーム部の上面と前記カバー部材の下面との間の隙間を前記エンジンフードの下面と前記操作部との間の隙間よりも小にする。
上記(2)の構成によれば、規制部は、アーム部の上面とカバー部材の下面との間の隙間をエンジンフードの下面と操作部との間の隙間よりも小にするので、エンジンフードを必要以上に高い位置から落とした場合にもアーム部の上面とカバー部材の下面とが当接し、操作部がエンジンフードの下面に干渉することがない。これにより、エンジンフードの下面に施された塗装が傷ついたり、セカンダリレバーが変形したりするのを防止できる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記規制部は、前記カバー部材の下面に設けられ、車幅方向に延在するリブからなる。
上記(3)の構成によれば、規制部は、カバー部材の下面に設けられ、車幅方向に延在するリブからなるので、カバー部材を屈曲形成する必要がなく、カバー部材の見栄えを損なうのを防止ができる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、前記リブは、前記カバー部材の車両前方側の前縁部に設けられる。
上記(4)の構成によれば、リブがカバー部材の車両前方側の前縁部に設けられるので、カバー部材の車両前方側の前縁部の剛性を高めることができる。
【0012】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)又は(4)の構成において、前記リブは、前記アーム部の移動軌跡に沿って前記アーム部の上面と前記リブの下面との間の隙間を一定にする高さの規制面を有する。
上記(5)の構成によれば、リブは、アーム部の移動軌跡に沿ってアーム部の上面とリブの下面との間の隙間を一定にする高さの規制面を有するので、アーム部がどこにあってもアーム部の上面とリブの下面との間の隙間を一定に保つことができる。これにより、アーム部の上面がリブの下面に引っかかるのを防止できる。
【0013】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか一つの構成において、前記規制部は、前記アーム部の上面に設けられ、前記アーム部の長手方向に沿って設けられるビードからなる。
上記(6)の構成によれば、規制部は、アーム部の上面に設けられ、アーム部の長手方向に沿って設けられるビードからなるので、アーム部の剛性を高めることができる。
【0014】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)から(6)のいずれか一つの構成において、前記セカンダリラッチは、前記ストライカに当接可能であって、前記エンジンフードの閉操作にともなって前記ストライカに当接され、前記セカンダリラッチを前記ストライカの解放を許容する解放位置から前記ストライカの解放を阻止する係合位置に移動させるラッチ作動部を有する。
上記(7)の構成によれば、ラッチ作動部は、ストライカに当接可能であって、エンジンフードの閉塞にともなってストライカに当接され、セカンダリラッチをストライカの解放を許容する解放位置からストライカの解放を阻止する係合位置に移動させるので、セカンダリラッチが引っ掛かっていてもセカンダリラッチを解放位置から係合位置に移動させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、エンジンフードを必要以上に高い位置から落とした場合でも操作部がエンジンフードの下面に干渉することがない。これにより、エンジンフードの下面に施された塗装が傷ついたり、セカンダリレバーが変形したりするのを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る車両1の前部構造2の要部を概略的に示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両1の前部構造2は、車両前方側にエンジンを搭載するためのエンジンルーム3が設けられ、該エンジンルーム3の上面がエンジンフード4で閉塞されている。エンジンフード4は、運転席側にヒンジ(図示せず)が設けられ、前方側が持ち上げられるタイプと、フロントグリル5側にヒンジが設けられ、後方側が持ち上げられるタイプとがあるが、本発明の実施形態に係る車両1の前部構造2は、前方側が持ち上げられるタイプである。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る車両1の前部構造2を概略的に示す側面図である。
図3は、
図2に示したフードロック装置6を概略的に示す正面図であり、
図4は、
図2に示したフードロック装置6を概略的に示すIV−IV矢視図である。
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車両1の前部構造2では、走行風によってエンジンフード4が持ち上がり運転席から前方が見えなくなるという危険を回避すべく、エンジンフード4側にストライカ7が設けられ、車両側にフードロック装置6(ラッチ装置61及びセカンダリラッチ65)が設けられている。これにより、エンジンフード4が閉塞されるとエンジンフード4側に設けられたストライカ7が車両側に設けられたフードロック装置6に噛合保持される。
ストライカ7は、エンジンフード4の前方側下面中央部に設けられている。ストライカ7は、棒状の鋼材を側面視矩形に折り曲げて形成され、一方の脚71と他方の脚72とが互いに反対方向に延びてエンジンフード4の下面に固定されている。
【0020】
フードロック装置6は、エンジンルーム3の内部に車幅方向に沿って設けられたアッパーバー8に設けられている。アッパーバー8は、車体骨格を構成する車体部材であり、フードロック装置6はアッパーバー8の前面に固定されている。
【0021】
フードロック装置6は、ラッチ装置61とセカンダリラッチ65とを含んで構成されている。
ラッチ装置61は、エンジンフード4が閉塞された場合にエンジンフード4の下面に設けられたストライカ7を噛合保持するためのものであり、アッパーバー8の車幅方向中央部前面に固定されている。ラッチ装置61は、ケース62と、ケース62に収容されたラッチ(図示せず)(以下「メインラッチ」という)とを有して構成されている。
【0022】
ケース62は、正面視台形(
図3参照)で側面視矩形の箱状であって、内部にメインラッチを収容するための収容空間が設けられ、車両後方側に取付金具64が設けられている。これにより、ケース62は、取付金具64によって、アッパーバー8の車幅方向中央部前面に取り付けられる。また、ケース62の車幅方向中央部前面側には、車両上下方向に延びる進入溝(図示せず)が設けられている。これにより、エンジンフード4が閉塞されると、エンジンフード4の下面に設けられたストライカ7がケース62に設けられた進入溝に進入する。
【0023】
メインラッチは、進入溝に進入したストライカ7を噛合保持するためのものであり、進入溝の最奥部に進入したストライカ7を噛合保持する(ラッチ)。
【0024】
また、ラッチ装置61には、運転席に設けられたオープナー(図示せず)が接続されている。これにより、オープナーを操作するとストライカ7を噛合保持したメインラッチが回転し、ストライカ7が進入溝の最奥部から解放される(アンラッチ)。
【0025】
図2及び
図3に示すように、セカンダリラッチ65は、ストライカ7がラッチ装置61から解放された場合にラッチ装置61から解放されたストライカ7を係合保持するためのものであり、ラッチ装置61に並設されている。セカンダリラッチは、鋼板などの板金をプレス加工等することにより形成されている。セカンダリラッチ65は、ラッチ装置61の進入溝の最奥部よりも下方となる位置に、車両前後方向に傾いて延在するラッチ軸67を介して回転可能に配設されたものであり、セカンダリレバー66を有している。
【0026】
図3に示すように、セカンダリラッチ65には、係合溝651、フック部652及びラッチ作動部654が設けられている。
係合溝651は、ラッチ軸67の径方向に沿って形成されたものであり、ストライカ7を収容することができる幅に形成されている。
フック部652は、係合溝651を上方に向けて開口させた場合に係合溝651よりも外周側に設けられる部分である。フック部652は、
図3−1及び
図3−3に示すように、セカンダリラッチ65を時計まわりに回転させた場合にストライカ7の進入軌跡を横切る位置(係合位置)で停止する一方、
図3−2に示すように、セカンダリラッチ65を反時計まわりに回転させた場合にストライカ7の進入軌跡を解放する位置(解放位置)で停止するように構成されている。
また、フック部652は、内周側652a及び外周側652bが基部から先端部に向けてラッチ軸67からの距離が漸次(徐々に)小さくなるように形成されている。フック部652の外周側652bは、ラッチ軸67からの距離が小さくなる割合がフック部652の内周側652aよりも大きく、
図3−1及び
図3−3に示すように、セカンダリラッチ65が係合位置にある場合に基部から先端部に向けて漸次(徐々に)低くなるように形成されている。
ラッチ作動部654は、係合溝651を挟んでフック部652と反対側に位置する部分である。ラッチ作動部654は、係合溝651の端部からセカンダリラッチ65の外周に向けてラッチ軸67からの距離が漸次大きくなるように形成されている。ラッチ作動部654は、
図3−2に示すように、セカンダリラッチ65を解放位置で停止させた場合にストライカ7の進入軌跡を横切り、かつ、ストライカ7の進入軌跡の進入方向(車両上下方向下方)に向けて漸次下方に傾斜する。
【0027】
また、セカンダリラッチ65には、ラッチ軸67を挟んで係合溝651と反対側に位置する部分に凹部655が設けられている。凹部655の一方側の縁部には第1規制部656が設けられ、凹部655の他方側の縁部には第2規制部657が設けられている。第1規制部656は、セカンダリラッチ65が係合位置を超えて時計まわりに回転するのを阻止するための部分であり、ラッチ装置61の前面に設けられた突起621と当接係合するように、切欠片が車両前方側に折り曲げられて形成されている。第2規制部657は、セカンダリラッチ65が解放位置を大きく超えて反時計まわりに回転するのを阻止するための部分であり、ラッチ装置61(ケース62)の前面に設けられた突起621と当接係合するように、切欠片が車両前方側に折り曲げられて形成されている。
【0028】
また、セカンダリラッチ65には、ラッチ軸67から離れて位置する部分にバネ取付部658が設けられている。バネ取付部658は、セカンダリラッチ65を常時時計まわりに向けて付勢するラッチバネ68を取り付けるための部分であり、ラッチ装置61(ケース62)の前面に設けられたバネ取付部622との間にラッチバネ68が掛け渡されている。
【0029】
図2及び
図4に示すように、セカンダリレバー66は、アーム部661と、該アーム部661の先端部に設けられる操作部662とを有している。
アーム部661は、セカンダリラッチ65、より詳しくは、係合溝651を挟んでフック部652と反対側となる部分から車両前方側に向けて延在する部分である。アーム部661は、基端部から先端部に向けて徐々に高くなるように傾斜して設けられている。また、アーム部661は、その基端部(セカンダリラッチ65側)と先端部(操作部662側)とにビード663,664が設けられている。基端部と先端部とに設けられたビード663,664は、ともにアーム部661の長手方向の剛性を高めるものであり、上が凸、下が凹となる横断面を有している。基端部に設けられたビード663と先端部に設けられたビード664は、それぞれアーム部661の長手方向に沿って設けられている。
操作部662は、セカンダリレバー66の先端に折り曲げて形成され、セカンダリラッチ65がラッチ位置に位置する場合に車両上下方向に沿って配置される。
【0030】
上記のように構成されたフードロック装置6は、エンジンフード4がエンジンルーム3に対して開放状態にある場合、ラッチ装置61においてメインラッチがアンラッチ状態にあり、セカンダリラッチ65が係合位置に配置されることになる。この状態からエンジンフード4を閉操作すると、エンジンフード4側に設けられたストライカ7がセカンダリラッチ65に設けられたフック部652の外周に当接する(
図3−1参照)。これにより、セカンダリラッチ65に設けられたフック部652はストライカ7に押圧され、セカンダリラッチ65がラッチバネ68の弾性復元力に抗して反時計まわりに回転する。そして、
図3−2に示すように、セカンダリラッチ65に設けられたフック部652をストライカ7が通過可能となるまで回転すると、ストライカ7がラッチ装置61に設けられた進入溝に進入可能となる。
【0031】
そして、ストライカ7がセカンダリラッチ65に設けられたフック部652を通過すると、セカンダリラッチ65はラッチバネ68の弾性復元力により解放位置から元の位置(係合位置)に復帰する。これにより、ストライカ7はセカンダリラッチ65に設けられたフック部652に係合保持される。
【0032】
上述した状態からさらにエンジンフード4を閉操作すると、ラッチ装置61に設けられた進入溝に対するストライカ7の進入量が漸次(徐々に)増大し、セカンダリラッチ65に設けられた係合溝651にストライカ7が進入する。そして、ストライカ7がラッチ装置61に設けられた進入溝の最奥部に進入するとともにセカンダリラッチ65に設けられた係合溝651の最奥部に進入すると(
図3−3参照)、メインラッチが回転し進入溝の最奥部に進入したストライカ7を噛合保持することになる。これにより、エンジンフード4はエンジンルーム3を閉塞し、車両1が走行風を受けてもエンジンフード4が勝手に開放されることはない。
【0033】
ところで、セカンダリラッチ65の引っ掛かりやラッチバネ68の破断等により、ストライカ7がセカンダリラッチ65に設けられたフック部652を通過してもセカンダリラッチ65が元の位置(係合位置)に復帰しない場合がある。この場合には、上述した進入溝に対するストライカ7の進入量の増大により、
図3−2において二点鎖線で示すように、ストライカ7がセカンダリラッチ65に設けられたラッチ作動部654に当接する。これにより、セカンダリラッチ65に設けられたラッチ作動部654はストライカ7に押圧され、セカンダリラッチ65は時計まわりに回転する。そして、
図3−3に示すように、セカンダリラッチ65が解放位置から元の位置(係合位置)に復帰すると、ストライカ7が係合溝651に進入可能となり、ストライカ7はセカンダリラッチ65に設けられたフック部652に係合保持される。この状態では、ストライカ7がラッチ装置61に設けられた進入溝の最奥部に進入していないが、エンジンフード4をさらに閉操作することにより、ストライカ7がラッチ装置61に設けられた進入溝の最奥部に進入するとともにセカンダリラッチ65に設けられた係合溝651の最奥部に進入する(
図3−3参照)。これにより、メインラッチが回転し進入溝の最奥部に進入したストライカ7を噛合保持することになる。
【0034】
さらに、メインラッチがストライカ7を噛合保持した状態から運転席に設けられたオープナーを操作すると、ラッチ装置61においてストライカ7を噛合保持したメインラッチが回転し、ストライカ7が進入溝の最奥部から解放される(アンラッチ)。これにより、エンジンフード4の前方側が手を差し込むことができる程度に浮き上がり、ラッチ装置61から解放されたストライカ7はセカンダリラッチ65に設けられたフック部652に係合保持される。これにより、オープナーを操作しただけではエンジンフード4が開放された状態に移行することはなく、エンジンフード4は手を差し込むことができる程度に浮き上がった状態を維持する。
【0035】
上述した状態から浮き上がったエンジンフード4の間から手を差し込んで、セカンダリレバー66に設けられた操作部662を操作し、
図3−2に示すように、セカンダリラッチ65を反時計まわりに回転させると、セカンダリラッチ65は係合位置から解放位置に回転する。これにより、セカンダリラッチ65に設けられたフック部652をストライカ7が通過可能となり、ストライカ7はセカンダリラッチ65に設けられたフック部652に係合保持された状態から解放され、エンジンフード4が開放可能な状態に移行する。
そして、セカンダリレバー66に設けられた操作部662から手を離すと、セカンダリラッチ65はラッチバネ68の弾性復元力により解放位置から元の位置(係合位置)に復帰する。
【0036】
図5は、
図2に示したセカンダリレバー66とアッパーバーカバー9の詳細を示す斜視図であり、
図6は、
図5に示したセカンダリレバー66とアッパーバーカバー9の詳細を示すVI−VI矢視図である。
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車両1の前部構造2は、さらに、アッパーバーカバー9を備えている。
アッパーバーカバー9は、エンジンルーム3の前方域に設けられたラジエータ(図示せず)やフードロック装置6をエンジンフード4を開閉するユーザーから隔離するとともに、フロントグリル5から入ってきた走行風を整流するためのカバー部材を構成する。
アッパーバーカバー9は、エンジンルーム3の前部に設けられたフロントグリル5とアッパーバー8との間に架設されている。アッパーバーカバー9は、例えば、合成樹脂で構成されている。合成樹脂は、例えば、つや消しが施されたポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0037】
図5に示すように、アッパーバーカバー9は、ストライカ7が進入するとともにセカンダリラッチ65に設けられたフック部652が回転するための開口91が設けられている。開口91の縁部には開口91を補強するためのリブ911(
図2参照)が設けられている。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る車両1の前部構造2は、アーム部661の上面、又はアーム部661の上方域に設けられたアッパーバーカバー9(カバー部材)の下面の少なくとも一方にエンジンフード4の下面に対する操作部662の干渉を規制する規制部を有している。
規制部10は、アーム部661の上面とアッパーバーカバー9(カバー部材)の下面との間の隙間L1をエンジンフード4の下面と操作部662との間の隙間L2よりも小にしている(
図2参照)。これにより、エンジンフード4を必要以上に高い位置から落とすと、セカンダリレバー66(アーム部661)の弾性変形により操作部662が跳ね上がるが、アッパーバーカバー9(カバー部材)で上方への変位量を隙間L1以下に規制することができる。したがって、エンジンフード4を必要以上に高い位置から落とした場合でも操作部662がエンジンフード4の下面に干渉することがない。これにより、エンジンフード4の下面に施された塗装が傷ついたり、セカンダリレバー66が変形したりするのを防止することができる。
【0039】
図5及び
図6に示すように、本発明の実施形態に係る規制部10は、アッパーバーカバー9(カバー部材)の下面に設けられ、車幅方向に延在するリブ92、又は、アーム部661の上面に設けられ、アーム部661の長手方向に沿って設けられるビード664、の少なくとも一方で構成される。
規制部10がアッパーバーカバー9の下面に設けられ、車幅方向に延在するリブ92からなる場合には、リブ92がアッパーバーカバー9に隠れるのでアッパーバーカバー9の見栄えを損なうのを防止することができる。
一方、規制部10がアーム部661の上面に設けられ、アーム部661の長手方向に沿って設けられるビード664からなる場合には、アーム部661の剛性を高めることができる。
【0040】
図5及び
図6に示すように、規制部10がアッパーバーカバー9の下面に設けられ、車幅方向に延在するリブ92からなる場合に、リブ92は、アッパーバーカバー9の車両前方側の前縁部に設けられる。このようにすれば、リブ92がアッパーバーカバー9の車両前方側の前縁部に設けられるので、アッパーバーカバー9の車両前方側の前縁部の剛性を高めることができる。
【0041】
図5及び
図6に示すように、規制部10がアッパーバーカバー9の下面に設けられ、車幅方向に延在するリブ92からなる場合に、リブ92は、アーム部661の移動軌跡に沿ってアーム部661の上面とリブ92の下面との間の隙間を一定にする高さの規制面921を有する。このようにすれば、リブ92は、アーム部661の移動軌跡に沿ってアーム部661の上面とリブ92の下面との間の隙間を一定にする高さの規制面921を有するので、アーム部661がどこに合ってもアーム部661の上面とリブ92の下面との間の隙間を一定に保つことができる。これによりアーム部661の上面がリブ92の下面に引っ掛かるのを防止できる。
【0042】
図5及び
図6に示すように、規制部10が、アッパーバーカバー9の下面に設けられ、車幅方向に延在するリブ92と、アーム部661の上面に設けられ、アーム部661の長手方向に沿って設けられるビード664と、からなる場合にも、リブ92は、アーム部661の移動軌跡に沿ってアーム部661の上面とリブ92の下面との間の隙間を一定にする高さの規制面921を有する。このようにすれば、アーム部661の上面がリブ92の下面に引っ掛かるのをさらに防止できる。
【0043】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含まれる。