【実施例】
【0029】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
なお、本発明の実施例および比較例で用いた評価方法は下記の方法でおこなった。
【0030】
(1)軟化点A(℃)
補強用不織布から樹脂層をサンプリングし、TA instruments社製「Q400」を用い、TMA(熱機械分析)により求めた。プローブは針入プローブ、荷重0.1N、温度条件−30℃→100℃、昇温速度5℃/min、雰囲気N
2下で行った。
図1に例示した通り、2つの接線の交点を軟化点Aとした。
【0031】
(2)樹脂の融点(℃)
発泡成形品補強用不織布から樹脂部のみを4〜5mg採取した。この際、不織布が一緒に採取された場合、そのまま測定した。装置はTA instruments社製Q100を用い、−70℃から120℃まで20℃/minの速度で昇温させた。測定は窒素雰囲気下で行った。チャートより、
図2に示したベースライン(20℃−95℃)と接線との交点を融点とした。
図2の場合、48.62℃が融点となる。
【0032】
(3)樹脂の溶解エネルギー(J/g)
上記(2)記載の測定により得られたチャートより、溶解エネルギーを求めた。
図1の場合、58.78J/gとなる。
【0033】
(4)ビカット軟化温度(℃)
JIS K 7206(1999)「プラスチック−熱可塑性プラスチック−ビカット軟化温度(VST)試験方法」に準拠して測定した。
【0034】
(5)通気度(cc/cm
2/秒)
JIS L 1096(2010)「織物及び編物の生地試験方法」8.26.1 A法(フラジール形法)」に準拠して測定した。
【0035】
(6)金型への接着性(N/φ22mm)
試験片を幅25mm、長さ100mmにカットし、1端を金属板(SS400フラットバー幅30mm、長さ100mm)の1端に51.6kPa Kyowa製「ゲージメイト」を使用し、2kgf/φ22mm端子の荷重で30℃±3℃および60℃±3℃で10秒間圧縮する。その後、島津製引張試験機のチャック上部に金属板を、チャック下部に試験片の反対の1端をチャック間距離が10mmとなるようセットする(マグネット有は上記端子圧縮部の上に、はみ出さないようマグネットシートを正方形に配置する)。引張速度100mm/分で引張り試験を行い、最大強度を求める。
【0036】
(7)室温30℃での補強用不織布の取り扱い性
20cm×20cmにカットした試験片を10枚重ね、10kg/400cm
2となるよう荷重を掛け、室温30℃の部屋で24時間放置する。その後、重りを除き、1枚1枚取り出すときの状況を以下の通り評価した。
○:各層で融着がなく取り出すことができた。
×:各層の一部または全部で融着が起こり、取り出すことが難しかった。
【0037】
(8)樹脂層の面積率(%)
SEMにて樹脂層側から撮影し、単位当りの樹脂層の面積を求め、百分率で示した。
【0038】
(9)発泡成形加工性
○:発泡ウレタン成形体の表面にガスの後がなく、きれいに発泡されていた。
×:発泡ウレタン成形体の表面にガスの後があり、痘痕状などの欠点があった。
【0039】
<実施例1>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」の白色面側にヤスハラケミカル株式会社製エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂(ビカット軟化点39℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0040】
<実施例2>
三井化学株式会社製不織布タフネル「ESE444」の片面にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7504(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度42℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は30g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0041】
<実施例3>
三井化学株式会社製不織布タフネル「ESE444」の片面にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7504(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度42℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅2mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は30g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0042】
<実施例4>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7504(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度42℃)をスクリーン印刷にてドット状に、樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0043】
<実施例5>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7504(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度42℃)をホットメルトスプレーでランダム状に、樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0044】
<比較例1>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7536(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度83℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔2mmで線状に積層した。樹脂は20g/m
2であった。
【0045】
<比較例2>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にサイデン化学株式会社製アクリル系樹脂 ATR−1を上記不織布に20g/m
2となるよう塗布した。上記アクリル系樹脂は常温(20℃)でも粘性が高く、樹脂層のサンプルを取ることができず、軟化点Aは測定できなかった。
【0046】
<比較例3>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7528(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度40℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅2mm、樹脂間隔0.1mmで線状に積層した。樹脂は50g/m
2であった。
【0047】
<比較例4>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂(ビカット軟化点=39℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔2mmで線状に積層した。樹脂は20g/m
2であった。
【0048】
実施例1〜5および比較例1〜4で得られた発泡成形品補強用不織布の測定した各物性を表1にまとめた。
【0049】
【表1】
【0050】
<実施例6>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」の白色面側にヤスハラケミカル株式会社製エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂(ビカット軟化点=39℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は30g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0051】
<実施例7>
三井化学株式会社製不織布タフネル「ESE444」の片面にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7528(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度40℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0052】
<実施例8>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」の白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7504(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度42℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅2mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0053】
<実施例9>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」の白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7528(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度40℃)をスクリーン印刷にてドット状に、樹脂量は30g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0054】
<実施例10>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」の白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7528(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度40℃)をホットメルトスプレーにてランダム状に、樹脂量は30g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0055】
<比較例5>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」の白色面側にヤスハラケミカル株式会社製エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂(ビカット軟化点=39℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔2mmで線状に積層した。樹脂は30g/m
2であった。
【0056】
<比較例6>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」の白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7528(エチレン酢酸ビニルコポリマー、ビカット軟化温度点40℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔9mmの間隔で線状に積層した。樹脂は5g/m
2であった。
【0057】
実施例6〜10、比較例5および6で得られた発泡成形品補強用不織布の測定した各物性を表2にまとめた。
【0058】
【表2】
【0059】
<実施例11>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂(ビカット軟化点=39℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅2mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0060】
<実施例12>
三井化学株式会社製不織布タフネル「ESE444」の片面にヤスハラケミカル株式会社製エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂(ビカット軟化点=40℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅1mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は30g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0061】
<実施例13>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂(ビカット軟化点=44℃)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅2mm、樹脂間隔2mmで線状に、樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0062】
<実施例14>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7528(エチレン酢酸ビニルコポリマー、)をスクリーン印刷にてドット状に積層した。樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0063】
<実施例15>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7528(エチレン酢酸ビニルコポリマー、)をホットメルトスプレーにてランダム状に、樹脂量は20g/m
2積層した。さらに、不織布の樹脂層の反対面の幅方向中央に市販のマグネットシートを1cm
2カットして、20cm間隔で貼り付けた。
【0064】
<比較例7>
東洋紡株式会社製不織布ボランス「CRE3080」白色面側にヤスハラケミカル株式会社製ヒロダイン7536(エチレン酢酸ビニルコポリマー)をT−ダイから押し出し、上記不織布の長手方向と平行に樹脂幅2mm、樹脂間隔2mmで線状に積層した。樹脂量は20g/m
2であった。
【0065】
実施例11〜15および比較例7で得られた発泡成形品補強用不織布の測定した各物性を表3にまとめた。
【0066】
【表3】