特許第6623845号(P6623845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623845
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】電力変換システム及び電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20191216BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20191216BHJP
   H02J 3/26 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H02M7/48 R
   H02M7/48 E
   H02J3/38 120
   H02J3/26
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-40457(P2016-40457)
(22)【出願日】2016年3月2日
(65)【公開番号】特開2017-158338(P2017-158338A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綾井 直樹
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−187383(JP,A)
【文献】 特開2014−121133(JP,A)
【文献】 特開2002−369406(JP,A)
【文献】 特開2008−154334(JP,A)
【文献】 特開2015−149882(JP,A)
【文献】 特開平8−140360(JP,A)
【文献】 特開平5−111165(JP,A)
【文献】 特開2015−195655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
H02J 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の線間に負荷が接続された単相3線の交流電路に対して、3つの電路から電力を出力する電力変換システムであって、
直流電源に基づく直流電圧が供給されるDCバスと、
前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第1接続点で互いに直列接続して成り、前記第1接続点から第1線が引き出される第1レグと、
前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第2接続点で互いに直列接続して成り、前記第2接続点から第2線が引き出される第2レグと、
前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第3接続点で互いに直列接続して成り、前記第3接続点から中性線が引き出される中性レグと、
前記負荷と商用電力系統との間に設けられ、前記第1線に流れる電流によって生じる第1の有効電力を検出する第1電力検出部と、
前記負荷と前記商用電力系統との間に設けられ、前記第2線に流れる電流によって生じる第2の有効電力を検出する第2電力検出部と、
前記第1の有効電力と前記第2の有効電力とは共に、順潮流及び逆潮流のいずれにもなり得るものであって、少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように前記第1線及び前記第2線にそれぞれ流れる電流を制御する機能を有する制御部と、
を備えている電力変換システム。
【請求項2】
前記第1接続点、前記第2接続点及び前記第3接続点は、それぞれ、第1のリアクトル、第2のリアクトル及び第3のリアクトルを介して単相3線の各電路に接続され、
前記第1線と前記中性線との間、及び、前記第2線と前記中性線との間に、それぞれ第1のコンデンサ及び第2のコンデンサが接続されている、請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記第1のリアクトルに流れる電流を検出する第1の電流センサと、
前記第2のリアクトルに流れる電流を検出する第2の電流センサと、
前記第1のコンデンサの両端の電圧を検出する第1の電圧センサと、
前記第2のコンデンサの両端の電圧を検出する第2の電圧センサと、を備え、
前記制御部は、前記第1電力検出部の検出値を参照して前記第1のリアクトルに流れる第1の電流目標値を設定し、前記第2電力検出部の検出値を参照して前記第2のリアクトルに流れる第2の電流目標値を設定し、前記第1の電流センサが検出する第1の電流検出値が前記第1の電流目標値に一致し、かつ、前記第2の電流センサが検出する第2の電流検出値が前記第2の電流目標値に一致するよう制御する、請求項2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
任意の線間に負荷が接続された単相3線の交流電路に対して、3つの電路から電力を出力する電力変換システムであって、
直流電源に基づく直流電圧が供給されるDCバスと、
前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第1接続点で互いに直列接続して成り、前記第1接続点から第1線が引き出される第1レグと、
前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第2接続点で互いに直列接続して成り、前記第2接続点から第2線が引き出される第2レグと、
前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第3接続点で互いに直列接続して成り、前記第3接続点から中性線が引き出される中性レグと、
前記負荷と商用電力系統との間に設けられ、前記第1線に流れる電流によって生じる第1の有効電力を検出する第1電力検出部と、
前記負荷と前記商用電力系統との間に設けられ、前記第2線に流れる電流によって生じる第2の有効電力を検出する第2電力検出部と、
前記第1接続点と前記第1線との間に設けられた第1のリアクトルと、
前記第2接続点と前記第2線との間に設けられた第2のリアクトルと、
前記第1のリアクトルに流れる電流を検出する第1の電流センサと、
前記第2のリアクトルに流れる電流を検出する第2の電流センサと、
前記第1線と前記中性線との間の電圧を検出する第1の電圧センサと、
前記第2線と前記中性線との間の電圧を検出する第2の電圧センサと、
前記第1の有効電力と前記第2の有効電力との少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように前記第1線及び前記第2線にそれぞれ流れる電流を制御する機能を有する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1電力検出部の検出値を参照して前記第1のリアクトルに流れる第1の電流目標値を設定し、前記第2電力検出部の検出値を参照して前記第2のリアクトルに流れる第2の電流目標値を設定し、前記第1の電流センサが検出する第1の電流検出値が前記第1の電流目標値に一致し、かつ、前記第2の電流センサが検出する第2の電流検出値が前記第2の電流目標値に一致するよう制御し、
前記制御部は、
前記第1の電流目標値と前記第1の電流検出値との差及び前記第1の電圧センサが検出する第1の電圧検出値に基づいて第1の電圧目標値を求め、
前記第2の電流目標値と前記第2の電流検出値との差及び前記第2の電圧センサが検出する第2の電圧検出値に基づいて第2の電圧目標値を求め、
前記第1の電圧目標値と前記第2の電圧目標値との和に基づいて前記第1レグ及び前記第2レグを制御し、前記第1の電圧目標値と前記第2の電圧目標値との差に基づいて前記中性レグを制御する、電力変換システム。
【請求項5】
前記直流電源は複数存在し、複数の直流電源からそれぞれに対応して設けられたDC/DCコンバータを経て、共通の前記DCバスに至る直流回路群を備えている、請求項1〜請求項4に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数の直流電源のうち一部の直流電源から出力される電力を当該電力変換システムが設けられる需要家の負荷にのみ提供し、残余の直流電源で再生可能エネルギーに基づくものの出力する電力を前記商用電力系統への逆潮に充てるよう制御する、請求項5に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の直流電源のうち再生可能エネルギーに基づく直流電源から出力される電力を、当該電力変換システムが設けられる需要家の負荷に提供するとともに、余剰電力を他の直流電源の充電に充てるよう制御する、請求項5に記載の電力変換システム。
【請求項8】
任意の線間に負荷が接続された単相3線の交流電路に対して、第1線、第2線、中性線の3つの電路から電力を出力する電力変換システムにおける電力制御方法であって、
前記負荷と商用電力系統との間で、前記第1線に流れる電流によって生じる第1の有効電力を検出するとともに、前記負荷と前記商用電力系統との間で、前記第2線に流れる電流によって生じる第2の有効電力を計測し、
前記第1の有効電力と前記第2の有効電力とは共に、順潮流及び逆潮流のいずれにもなり得るものであって、少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように前記第1線及び前記第2線にそれぞれ流れる電流を制御する、
電力制御方法。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1レグにおける前記上アームの半導体スイッチ及び前記第2レグにおける前記下アームの半導体スイッチの開閉を同期させ、かつ、前記第1レグにおける前記下アームの半導体スイッチ及び前記第2レグにおける前記上アームの半導体スイッチの開閉を同期させる、請求項1に記載の電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチを用いて直流/交流の電力変換を行う電力変換システムに関し、特に、単相3線式の商用電力系統と連系する電力変換システム及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば太陽光発電パネルの出力を商用電力系統から独立した自立出力として提供する場合に、発電電力を単相3線式の交流に変換して出力するパワーコンディショナは、既に提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。かかるパワーコンディショナは、商用電力系統との連系時には単相2線出力となる。
【0003】
図14は、単相2線出力のパワーコンディショナ102を単相3線式の商用電力系統104に接続した回路図の一例である。図において、太陽光発電パネル等の分散型の直流電源101には、パワーコンディショナ102が接続されている。パワーコンディショナ102は、単相2線出力で、u線−v線の線間に電力を出力する。中性線o(以下、o線とも言う。)は、計測用としてパワーコンディショナ102に接続されているが、電力の出力線ではない。パワーコンディショナ102の交流出力側には負荷Ruv、Ruo、Rvoが接続されている。パワーコンディショナ102の出力電圧は200Vである。負荷Ruvは、u−vの間に接続され、例えば2kWであるとする。負荷Ruoは、u−oの間に接続され、例えば1kWであるとする。また、負荷Rvoは、v−oの間に接続され、例えば1kWであるとする。
【0004】
負荷Ruv、Ruo、Rvoは、買電メータ105及び売電メータ106を介して、商用電力系統104に接続されている。商用電力系統104は、u線とo線との間に相電源104u、v線とo線との間に相電源104vを有している。相電源104u,104vは共に100Vであり、o線を0電位として極性が互いに逆である。従って、u線−v線間には、200Vが印加されている。
【0005】
上記のような負荷接続状態であれば、パワーコンディショナ102は、負荷Ruvに対して10A、負荷Ruo及びRvoの直列体に対して10Aの電流(合計20Aの電流)を流すことができる。従って、負荷Ruv,Ruo,Rvoで消費する電力を全てパワーコンディショナ102から提供することができる。この場合は、商用電力系統104からの買電は不要となり、このパワーコンディショナ102が設置された需要家は、電力の自給自足の状態となる。また、負荷の消費電力を上回る発電電力がなければ、売電(逆潮流)もしない。従って、買電メータ105及び売電メータ106の計測する電流は共に0A(電力は0W)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−18859号公報
【特許文献2】特開2015−27197号公報
【特許文献3】特開2015−211537号公報
【特許文献4】特開平6−319266号公報
【特許文献5】特開平7−163153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように、買電しなくて済む状態は、直流電源101から十分な発電電力が得られるだけでなく、u相、v相の負荷バランスがとれている場合にしか実現できない。
【0008】
例えば図15は、図14の回路図からv−o間の負荷Rvoを削除した回路図である。直流電源101が4kWを出力するとき、図15の回路では、例えば図中の太線で示す方向に電流が流れるとき、負荷Ruoに流れる電流は相電源104vへの逆潮流となり、需要家以外に電流を流す。このとき、売電メータ106は電流10A(電力1kW)を計測する。
【0009】
図16は、図15の回路図の構成で直流電源101から3kWを出力する状態を示す回路図である。このとき、パワーコンディショナ102は、200V,15Aを出力するが、u−v間の負荷Ruvで消費する電力は2kW(200V,10A)であるため、15Aのうち残りの5Aは図中の太線の経路で相電源104vへの逆潮流となる。一方、u相(u−o間)の負荷Ruoで消費したい電力は1kW(100V,10A)であるため、不足分の500W(100V,5A)は、図中破線の経路で相電源104uから購入することになる。この例のように、直流電源101が供給する電力と負荷の消費電力が等しいが、u相とv相の消費電力が異なる場合、買電と売電の単価が一致する場合には買電と売電は相殺されるが、売電よりも買電の単価が高いときには買電の費用が発生する。
【0010】
直流電源101が、太陽光発電パネルのような再生可能エネルギーに基づく電源であって、商用電力系統104への逆潮分を売電できる場合は、図15のように直流電源101が供給する電力がu相およびv相の負荷のうち、消費が大きい方の負荷の2倍以上である場合には問題は無い。図16のように直流電源が供給する電力が不足する場合にも売電単価が買電単価と同等以上であれば問題無い。しかし、直流電源101から商用電力系統104への逆潮分を売電できない場合は、逆潮する電力が無駄になる。
【0011】
図15に示すような逆潮流は、直流電源101から負荷の内均等分(Ruv)のみに電力を供給するようにパワーコンディショナ102を制御することにより抑制できる。
図17は、その状態を示す回路図である。図17において、負荷Ruvにはパワーコンディショナ102のみから電力が供給される。一方、不均等分の負荷Ruoにはパワーコンディショナ102から電力を供給しないので、商用電力系統104から例えば図中の点線で示すルートで買電しなければならない。このとき、買電メータ105は10A(電力1kW)を計測する。直流電源101が供給できる電力が、負荷が消費する3kWに対して不足する場合には買電によって不足分を補填する他ないが、図17の電力変換では直流電源101が負荷消費に対して十分な電力を供給できる場合にも、商用電力系統からの買電が発生する。
【0012】
このように、単相2線出力のパワーコンディショナ102では、買電を最小限に抑制することは困難である。
一方、単相3線式の商用電力系統に連系するパワーコンディショナも、既に提案されている(例えば、特許文献4,5参照。)。しかしながら、u相、v相の負荷バランスがとれていない場合に買電を抑制する制御は実現できていない。
【0013】
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、単相3線式の商用電力系統と連系する電力変換システムにおいて、買電を最小限に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は以下の発明を含む。但し、本発明は、特許請求の範囲によって定められるものである。
開示の一形態は、任意の線間に負荷が接続された単相3線の交流電路に対して、3つの電路から電力を出力する電力変換システムであって、直流電源に基づく直流電圧が供給されるDCバスと、前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第1接続点で互いに直列接続して成り、前記第1接続点から第1線が引き出される第1レグと、前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第2接続点で互いに直列接続して成り、前記第2接続点から第2線が引き出される第2レグと、前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第3接続点で互いに直列接続して成り、前記第3接続点から中性線が引き出される中性レグと、前記負荷と商用電力系統との間に設けられ、前記第1線に流れる電流によって生じる第1の有効電力を検出する第1電力検出部と、前記負荷と前記商用電力系統との間に設けられ、前記第2線に流れる電流によって生じる第2の有効電力を検出する第2電力検出部と、前記第1の有効電力と前記第2の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように前記第1線及び前記第2線にそれぞれ流れる電流を制御する機能を有する制御部と、を備えている。
【0015】
また、本開示の他の形態は、任意の線間に負荷が接続された単相3線の交流電路に対して、第1線、第2線、中性線の3つの電路から電力を出力する電力変換システムにおける電力制御方法であって、前記負荷と商用電力系統との間で、前記第1線に流れる電流によって生じる第1の有効電力を検出するとともに、前記負荷と前記商用電力系統との間で、前記第2線に流れる電流によって生じる第2の有効電力を計測し、前記第1の有効電力と前記第2の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように前記第1線及び前記第2線にそれぞれ流れる電流を制御する、電力制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、単相3線式の商用電力系統と連系する電力変換システムにおいて、買電を最小限に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の電力変換システムによって実現しようとする電流(電力)供給のあり方の一例を、主回路中心に簡略に示す回路図である。
図2】単相3線式の商用電力系統に連系する電力変換システムの詳細な回路図の一例である。
図3】交流リアクトルに流れる電流目標値を求める制御ブロック図である。
図4】電圧目標値を求める制御ブロック図である。
図5】u線、v線のレグのゲート駆動信号を求める制御ブロック図である。
図6】o線のレグのゲート駆動信号を求める制御ブロック図である。
図7】u線のレグのゲート駆動信号を求める制御ブロック図である。
図8】v線のレグのゲート駆動信号を求める制御ブロック図である。
図9】o線のレグのゲート駆動信号を求める制御ブロック図である。
図10】(a)は、o線の電位を基準に表したu相電圧及びv相電圧の波形図である。(b)は、交流リアクトルに流れるu線電流、v線電流の波形図であり、実効値20Aの方がu線電流、実効値10Aの方がv線電流である。(c)は、電流センサに流れる商用電力系統側のu線電流及びv線電流の波形図である。
図11】電力計測部で検出される電圧、電流の波形図であり、(a)は、電圧センサによって検出されるu相の電圧、(b)は、電圧センサによって検出されるv相の電圧である。(c)は、電流センサによって検出される電流である。クロスしている2つの波形の一方がu線の電路の電流、他方がv線の電路の電流である。
図12】直流電源からDCバスまでの直流回路を2系統設けた電力変換システムの回路図の例である。
図13】(a)は、o線の電位を基準に表したu相電圧及びv相電圧の波形図である。(b)は、交流リアクトルに流れるu線電流、v線電流、及び、o線電流の波形図であり、振幅の最も大きいのがu線電流(30A)、次に大きいのがv線電流(20A)、そして、振幅が最も小さいのがo線電流(10A)である。(c)は、電流センサに流れる商用電力系統側のu線電流及びv線電流の波形図である。
図14】単相2線出力のパワーコンディショナを単相3線式の商用電力系統に接続した回路図の一例である。
図15図14の回路図からv線−o線間の負荷を削除した回路図である。
図16図15の回路図の構成で直流電源から3kWを出力する状態を示す回路図である。
図17】直流電源から負荷の内均等分のみに電力を供給するようにパワーコンディショナを制御する状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態の要旨]
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
【0019】
(1)これは、任意の線間に負荷が接続された単相3線の交流電路に対して、3つの電路から電力を出力する電力変換システムであって、直流電源に基づく直流電圧が供給されるDCバスと、前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第1接続点で互いに直列接続して成り、前記第1接続点から第1線が引き出される第1レグと、前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第2接続点で互いに直列接続して成り、前記第2接続点から第2線が引き出される第2レグと、前記DCバスの2線間に接続され、上アームの半導体スイッチ及び下アームの半導体スイッチを第3接続点で互いに直列接続して成り、前記第3接続点から中性線が引き出される中性レグと、前記負荷と商用電力系統との間に設けられ、前記第1線に流れる電流によって生じる第1の有効電力を検出する第1電力検出部と、前記負荷と前記商用電力系統との間に設けられ、前記第2線に流れる電流によって生じる第2の有効電力を検出する第2電力検出部と、前記第1の有効電力と前記第2の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように前記第1線及び前記第2線にそれぞれ流れる電流を制御する機能を有する制御部と、を備えている。
【0020】
上記のように構成された電力変換システムでは、単相3線の交流電路における第1線と第2線との間の線間電力を、第1レグ及び第2レグの制御により供給することができる。また、中性線と第1線との間の相電力を、中性レグ及び第1レグの制御により供給することができる。さらに、中性線と第2線との間の相電力を、中性レグ及び第2レグの制御により供給することができる。すなわち、負荷がどの線間に接続されていても、また、中性2つの相電力が不均等であっても、供給可能な範囲内で電力変換システムから自在に電力を供給することができる。
そして制御部は、第1の有効電力と第2の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように、第1線及び第2線にそれぞれ流れる電流を制御する。
【0021】
直流電源が供給可能な電力が、第1相および第2相に接続された負荷が消費する電力よりも大きく、直流電源の電力を売電できる場合には、第1の有効電力と第2の有効電力は一方の大きさが0で他方が逆潮流方向とするか、双方が逆潮流方向とすることができる。
直流電源が供給可能な電力が、第1相および第2相に接続された負荷が消費する電力よりも大きく、直流電源の電力を売電できない場合には、第1の有効電力、第2の有効電力はともに0とすることができる。
直流電源が供給可能な電力が、第1相および第2相に接続された負荷が消費する電力と一致する場合には、第1の有効電力、第2の有効電力はともに0とすることができる。
直流電源が供給可能な電力が、第1相および第2相に接続された負荷が消費する電力よりも小さい場合には、第1の有効電力と第2の有効電力は一方の大きさが0で、他方が買電方向とするか、双方が買電方向とすることができる。
従って、上記の何れの場合も、相電力が不均等となる負荷接続状態であっても、売電と買電が同時に行われる状態を回避し、商用電力系統からの買電を抑制することができる。
【0022】
(2)また、(1)の電力変換システムにおいて、前記第1接続点、前記第2接続点及び前記第3接続点は、それぞれ、第1のリアクトル、第2のリアクトル及び第3のリアクトルを介して単相3線の各電路に接続され、前記第1線と前記中性線との間、及び、前記第2線と前記中性線との間に、それぞれ第1のコンデンサ及び第2のコンデンサが接続されている、という構成であってもよい。
この場合、リアクトルを流れる電流を各線の電流目標値、コンデンサの両端に生じる電圧を、第1相、第2相の電圧目標値とすることができる。
【0023】
(3)また、(2)の電力変換システムにおいて、前記第1のリアクトルに流れる電流を検出する第1の電流センサと、前記第2のリアクトルに流れる電流を検出する第2の電流センサと、前記第1のコンデンサの両端の電圧を検出する第1の電圧センサと、前記第2のコンデンサの両端の電圧を検出する第2の電圧センサと、を備え、前記制御部は、前記第1電力検出部の検出値を参照して前記第1のリアクトルに流れる第1の電流目標値を設定し、前記第2電力検出部の検出値を参照して前記第2のリアクトルに流れる第2の電流目標値を設定し、前記第1の電流センサが検出する第1の電流検出値が前記第1の電流目標値に一致し、かつ、前記第2の電流センサが検出する第2の電流検出値が前記第2の電流目標値に一致するよう制御するものであってもよい。
この場合、第1線に流れる電流と、第2線に流れる電流とを、互いに独立して正確にフィードバック制御することができる。
【0024】
(4)また、(3)の電力変換システムにおいて、前記制御部は、前記第1の電流目標値と前記第1の電流検出値との差及び前記第1の電圧センサが検出する第1の電圧検出値に基づいて第1の電圧目標値を求め、前記第2の電流目標値と前記第2の電流検出値との差及び前記第2の電圧センサが検出する第2の電圧検出値に基づいて第2の電圧目標値を求め、前記第1の電圧目標値と前記第2の電圧目標値との和に基づいて前記第1レグ及び前記第2レグを制御し、前記第1の電圧目標値と前記第2の電圧目標値との差に基づいて前記中性レグを制御するものであってもよい。
このようにして、各レグの半導体スイッチを制御するゲート駆動信号を生成することができる。中性レグの制御により、不均等な負荷接続状態であっても、買電を抑制して電力変換システムから負荷に必要な電力を供給することができる。
【0025】
(5)また、(1)〜(4)の電力変換システムにおいて、前記直流電源は複数存在し、複数の直流電源からそれぞれに対応して設けられたDC/DCコンバータを経て、共通の前記DCバスに至る直流回路群を備えていてもよい。
このような電力変換システムは、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーに基づく直流電源と、その他の直流電源とを一括制御することができる。
【0026】
(6)また、(5)の電力変換システムにおいて、前記制御部は、当該電力変換システムが設けられる需要家の負荷が消費する電力を、前記複数の直流電源のうち一部の直流電源が出力し、残余の再生可能エネルギーに基づく直流電源の出力に相当する電力を前記商用電力系統に逆潮するよう制御するものであってもよい。
この場合、売電可能な再生可能エネルギーによる発電電力は売電し、その他の直流電源の発電電力によって負荷へ給電することができる。
【0027】
(7)また、(5)の電力変換システムにおいて、前記制御部は、前記複数の直流電源のうち再生可能エネルギーに基づく直流電源から出力される電力を、当該電力変換システムが設けられる需要家の負荷に提供するとともに、余剰電力を他の直流電源の充電に充てるよう制御するものであってもよい。
この場合、再生可能エネルギーの発電電力を無駄なく利用し、また、必要に応じて放電させることにより、買電も抑制することができる。
【0028】
(8)他の観点から見れば、これは、任意の線間に負荷が接続された単相3線の交流電路に対して、第1線、第2線、中性線の3つの電路から電力を出力する電力変換システムにおける電力制御方法であって、前記負荷と商用電力系統との間で、前記第1線に流れる電流によって生じる第1の有効電力を検出するとともに、前記負荷と前記商用電力系統との間で、前記第2線に流れる電流によって生じる第2の有効電力を計測し、前記第1の有効電力と前記第2の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように前記第1線及び前記第2線にそれぞれ流れる電流を制御する、電力制御方法である。
【0029】
上記のような電力制御方法では、単相3線の交流電路に対して第1線、第2線、中性線の3つの電路から電力を出力する電力変換システムにおいて、有効電力の計測に基づいて、第1の有効電力と第2の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように、第1線及び第2線にそれぞれ流れる電流を制御する。従って、相電力が不均等となる負荷接続状態であっても、商用電力系統からの買電を抑制することができる。
【0030】
[実施形態の詳細]
以下、実施形態の詳細について、図面を参照して説明する。
【0031】
《制御の概略イメージ》
図1は、本実施形態の電力変換システムによって実現しようとする電流(電力)供給のあり方の一例を、主回路中心に簡略に示す回路図である。図において、分散型の直流電源1には、パワーコンディショナ2が接続されている。パワーコンディショナ2は、単相3線出力で、u線−v線の線間のみならず、u線と中性線(o線)との線間のu相及びv線とo線との線間のv相にも電力を出力することができる。
【0032】
パワーコンディショナ2の交流出力側には例えば、負荷Ruv、Ruoが接続されている。パワーコンディショナ2の出力電圧は200Vである。負荷Ruvは、u線−v線の間に接続され、例えば2kWであるとする。負荷Ruoは、u線−o線の間に接続され、例えば1kWであるとする。
【0033】
負荷Ruv及びRuoは、買電メータ5及び売電メータ6を介して、商用電力系統4に接続されている。商用電力系統4は、u線とo線との間に相電源4u、v線とo線との間に相電源4vを有している。相電源4u,4vは共に100Vであり、o線を0電位として極性が互いに逆である。従って、u線−v線間には、200Vが印加されている。
【0034】
この状態で、パワーコンディショナ2は、負荷Ruvに対して電流10A(電力2kW)を供給する。また、パワーコンディショナ2は、負荷Ruoに対して電流10A(電力1kW)を供給する。その場合、パワーコンディショナ2の3線出力のうち、u線は20A、v線は10A、o線は10Aの電流を流すことになる。すなわち、u線電流とv線電流とは互いに別の値であり、それぞれ、独立して制御されている。また、o線にも電流が流れている。このようにパワーコンディショナ2から出力することができれば、負荷Ruv及びRuoに必要な電力は全てパワーコンディショナ2から賄われ、買電しない状態となる。
【0035】
すなわち、u線、v線への出力を独立に制御できるパワーコンディショナ2を用いることによって、不均等分も含めて、全ての負荷消費電力を直流電源1から供給することができる。このとき、買電メータ5及び売電メータ6に電流は流れず、電力量を積算しない。
直流電源1が、太陽光発電等の再生可能エネルギーに基づく電源と、その他の電源(例えば、蓄電池)で複合的に構成されているときは、自家消費分に相当する電力をその他の電源が出力すれば、再生可能エネルギーの発電は全て売電することができる。このとき、負荷と商用電力系統との間に、u相の電力を検出するu相電力検出部と、v相の電力を検出するv相電力検出部を設け、u相の有効電力とv相の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態(この場合はパワーコンディショナ2から系統への電力)を維持するようにパワーコンディショナ2のu線、v線の電流をそれぞれ制御すれば、買電メータ5の有効電力値を積算することなく、売電メータ6の有効電力値を積算することができる。
【0036】
なお、u相の有効電力(第1有効電力)と、v相の有効電力(第2有効電力)とは、とり得る状態として、以下のパターンが考えられる。
〈好ましい状態〉
(a)共に0
(b)一方が0、他方が順調流
(c)共に順調流(同値でなくても可)
〈許容できる状態〉
(d)一方が0で、他方が逆潮流=売電(但し、売電が許されるときのみ)
(e)共に逆潮流(同値でなくても可)
〈好ましくない状態〉
(f)一方が逆潮流で他方が順調流
ここで、上記(a)〜(e)は、全て採用できる状態で、(f)が排除しようとする状態となる。(a)〜(e)を総括し、(f)を排除する表現としては、上記の「u相の有効電力とv相の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態」となる。
【0037】
以下、このような制御について詳細に説明する。
【0038】
《電力変換システムの回路構成例》
図2は、単相3線式の商用電力系統4に連系する電力変換システム10の詳細な回路図の一例である。電力変換システム10は、パワーコンディショナ2と、電力計測部3とによって構成される。なお、図1における買電メータ5及び売電メータ6は、電力会社の所有物であり、図2の電力計測部3は、買電メータ5及び売電メータ6とは別に需要家における電力変換システム10の一部として設けられたものである。
【0039】
パワーコンディショナ2は、主回路の電力変換部2Aと、制御部2Cとを備えている。制御部2Cは例えば、コンピュータを含み、ソフトウェア(コンピュータプログラム)をコンピュータが実行することで、必要な制御機能を実現する。ソフトウェアは、制御部2Cの記憶装置(図示せず。)に格納される。但し、コンピュータを含まないハードウェアのみの回路で制御部を構成することも可能ではある。
【0040】
電力変換部2Aの直流側の電路には分散型の直流電源1が接続されている。また、交流側の電路には、負荷Ruv,Ruo,Rvoが接続されている。パワーコンディショナ2の出力電圧は例えば200Vである。負荷Ruvは、u線−v線の間に接続されている。負荷Ruoは、u線−o線の間に接続されている。負荷Rvoは、v線−o線の間に接続されている。また、電力計測部3は、負荷Ruv,Ruo,Rvoと商用電力系統4との間に設けられている。商用電力系統4は、前述のように、相電源4u及び相電源4vを有している。
【0041】
次に電力変換部2Aの内部構成について詳細に説明する。電力変換部2Aは、直流電源1に並列に接続されている平滑用のコンデンサ21と、直流リアクトル22と、ローサイドの半導体スイッチQ、ハイサイドの半導体スイッチQとを備えている。半導体スイッチQ,Qにはそれぞれ逆並列に、ダイオードd,dが接続されている。半導体スイッチQ,Qは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。直流リアクトル22並びに半導体スイッチQ及びQは、DC/DCコンバータ(昇圧回路)20を構成している。
【0042】
2つの半導体スイッチQ,Qの直列体の両端は、DCバス2Bに接続されている。DCバス2Bには、平滑用のコンデンサ23が接続されている。また、DCバス2Bには半導体スイッチQ1〜Q6によって構成されるフルブリッジ回路が接続されている。半導体スイッチQ1〜Q6は、例えばIGBTである。半導体スイッチQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6にはそれぞれ、逆並列にダイオードd1,d2,d3,d4,d5,d6が接続されている。
【0043】
フルブリッジ回路の構成を、DCバス2Bの2線間に接続された3本のレグで定義すると、第1レグL1は、上アームの半導体スイッチQ1及び下アームの半導体スイッチQ2を第1接続点P1で互いに直列接続して成り、第1接続点P1から第1線(u線)の電路が引き出される。第2レグL2は、上アームの半導体スイッチQ3及び下アームの半導体スイッチQ4を第2接続点P2で互いに直列接続して成り、第2接続点P2から第2線(v線)の電路が引き出される。そして、中性レグL3は、上アームの半導体スイッチQ5及び下アームの半導体スイッチQ6を第3接続点P3で互いに直列接続して成り、第3接続点P3から中性線(o線)の電路が引き出される。
【0044】
引き出された電路は、各相の交流リアクトル24,25,26を介して、単相3線式の商用電力系統4と連系可能なu線、v線、o線の電路となる。なお、o線のリアクトル26は、省略することも可能である。u線、o線の電路間には平滑用のコンデンサ27が接続されている。同様に、v線、o線の電路間には平滑用のコンデンサ28が接続されている。
【0045】
計測用の回路要素としては、直流電源1からの入力電圧及びDC/DCコンバータ20に流れる電流をそれぞれ検出する電圧センサ201及び電流センサ202と、DCバス2Bの電圧すなわちコンデンサ23の両端電圧を検出する電圧センサ203と、交流リアクトル24及び25をそれぞれ流れる電流を検出する電流センサ204及び205と、u線−o線間の電圧(u相電圧)を検出する電圧センサ206と、v線−o線間の電圧(v相電圧)を検出する電圧センサ207とが設けられている。これら各センサ(201〜207)の検出出力は、制御部2Cに送られる。
【0046】
一方、電力計測部3には、商用電力系統4と負荷Ruv,Ruo,Rvoとの間の、u線及びv線の各電路にそれぞれ流れる電流を検出する電流センサ31及び32と、これらの電流センサ31,32と同じ場所にあって、u線−o線間の電圧(u相電圧)を検出する電圧センサ33と、v線−o線間の電圧(v相電圧)を検出する電圧センサ34とが設けられている。電流センサ31,32及び電圧センサ33,34の検出出力は、パワーコンディショナ2の制御部2Cに送られる。なお、電力変換部2A内の電圧センサ206および電圧センサ207から電力計測部3までの電路のインピーダンスが小さく、電圧センサ206と電圧センサ33の検出値の差、電圧センサ207と電圧センサ34の検出値の差が無視できる程度である場合には、電力計測部3の電圧センサ33,34は省略して、電圧センサ206,207の検出値で代用することもできる。
【0047】
制御部2Cは、これらの検出出力に基づいて、u相の電力、v相の電力を求める。電流センサ31及び電圧センサ33は、u線に流れる電流によって生じる第1の有効電力を検出する第1電力検出部を構成している。また、電流センサ32及び電圧センサ34は、v線の電路に流れる電流によって生じる第2の有効電力を検出する第2電力検出部を構成している。
また、制御部2Cは、各センサ(201〜207,31〜34)の検出出力に基づいて半導体スイッチQ,Q,Q1〜Q6を制御する。
【0048】
なお、直流電源1が蓄電池である場合は、直流リアクトル22と半導体スイッチQ,Qによって構成されるDC/DCコンバータ20は、逆方向に、降圧回路として動作させることができる。また、第1レグL1、第2レグL2及び中性レグL3は、交流から直流への変換回路として逆方向に変換動作を行うことができる。
【0049】
《制御ブロック図》
以下、制御部2Cが実行する制御を、図3〜10の制御ブロック図を用いて説明する。
図3の(a)は、交流リアクトル24(u線)に流れる電流目標値を求める制御ブロック図である。
【0050】
図3の(a)において、制御部2Cは、u相の出力電流目標値Iau*を、電流センサ31及び電圧センサ33の検出出力から求めた有効電力Puに従って設定する。
例えば、逆潮をしないで自家消費のみに直流電源1から電力を供給するときには、Puが0になるようにIau*を設定する。つまり、Iau*=Iau*−Pu/Vauとして新しいIau*を設定することができる(Vauはu相電圧)。このIau*にコンデンサ27を流れる無効電流(Vau→sT→K)を加算して、交流リアクトル24に流れる電流の目標値Iinvu*を得る。
【0051】
時間の関数として数式で表現すると、
Iinvu*(t)=Ku・Iau*(t)+
Cau(dVau(t)/dt) ・・・(1)
となる。Kuはフィードフォワード制御のためのゲイン、Cauはコンデンサ27の容量である。
【0052】
同様に、制御部2Cは、v相の出力電流目標値Iav*を、電流センサ32及び電圧センサ34の検出出力から求めた有効電力Pvに従って設定する。
例えば、逆潮をしないで自家消費のみに直流電源1から電力を供給するときには、Pvが0になるようにIav*を設定する。つまり、Iav*=Iav*−Pv/Vavとして新しいIav*を設定することができる(Vavはv相電圧)。このIav*にコンデンサ28を流れる無効電流(Vav→sT→K)を加算して、交流リアクトル25に流れる電流の目標値Iinvv*を得る。
【0053】
時間tの関数として数式で表現すると、
Iinvv*(t)=Kv・Iav*(t)+
Cav(dVav(t)/dt) ・・・(2)
となる。Kvはフィードフォワード制御のためのゲイン、Cavはコンデンサ28の容量である。
【0054】
また、o相の出力電流目標値をIao*又はIao*(t)、交流リアクトル26に流れる電流の目標値をIinvo*又はIinvo*(t)とすると、
Iao*(t)=−Iau*(t)−Iav*(t) ・・・(3)
である。また、
Iinvo*(t)=−Iinvu*(t)−Iinvv*(t) ・・・(4)
である。
【0055】
次に、図4の(a)において、制御部2Cは、Iinvu*と、電流センサ204の検出出力Iinvuとの差を、比例補償器又は比例積分補償器(PI)に入力する。そして、その出力を、電圧センサ206が検出するコンデンサ27の両端電圧、つまり、u線−o線間の電圧検出値Vauに加算して、出力電圧目標値Vinvu*を得る。
【0056】
時間tの関数として数式で表現すると、
Vinvu*(t)=Vau(t)+Kinvu(t)(Iinvu*(t)−Iinvu(t)) ・・・(5)
となる。ここで、Kinvu(t)は、補償関数である。
【0057】
同様に、図4の(b)において、制御部2Cは、Iinvv*と、電流センサ205の検出出力Iinvvとの差を、比例補償器又は比例積分補償器(PI)に入力する。そして、その出力を、電圧センサ207が検出するコンデンサ28の両端電圧、つまり、v線−o線間の電圧検出値Vavに加算して、出力電圧目標値Vinvv*を得る。
【0058】
時間tの関数として数式で表現すると、
Vinvv*(t)=Vav(t)+Kinvv(t)(Iinvv*(t)−Iinvv(t)) ・・・(6)
となる。ここで、Kinvv(t)は、補償関数である。
また、o相の出力電圧目標値をVinvo*又はVinvo*(t)とすると、
Vinvo*(t)=Kinvo(t)(Iinvo*(t)−Iinvo(t))
・・・(7)
である。Kinvo(t)は補償関数である。
【0059】
続いて、図5の(a)において、制御部2Cは、Vinvu*とVinvv*との和を、Vinv*とする。そして(b)において、制御部2Cは、Vinv*を、電圧センサ203が検出するDCバス2Bの電圧検出値Voで割った値を参照値とする。この参照値を搬送波と比較する比較器に入力して、半導体スイッチQ1,Q4のゲート駆動信号G1,G4、その相補信号である、半導体スイッチQ2,Q3のゲート駆動信号G2,G3を得る。
【0060】
また、図6の(a)において、制御部2Cは、Vinvu*とVinvv*との差をVinvo*とする。そして、(b)において、制御部2Cは、Vinvo*を、DCバス2Bの電圧検出値Voで割った値を参照値とする。この参照値を搬送波と比較する比較器に入力して、半導体スイッチQ5のゲート駆動信号G5、その相補信号である、半導体スイッチQ6のゲート駆動信号G6を得る。
【0061】
このようにして、各レグL1,L2,L3の半導体スイッチQ1〜Q6を制御するゲート駆動信号G1〜G6を生成することができる。中性レグL3の制御により、不均等な負荷接続状態であっても、買電を抑制して電力変換システム10から負荷に必要な電力を供給することができる。
【0062】
なお、上記制御ブロックにおける図5の(b)の制御では、半導体スイッチQ1とQ4とを連動させ、半導体スイッチQ2とQ3とを連動させるが、半導体スイッチQ1,Q2はVinvu*、半導体スイッチQ3,Q4はVinvv*を、半導体スイッチQ5,Q6はVinvo*を、それぞれ参照値として以下のように、独立してゲート駆動信号を発生させてもよい。
【0063】
すなわち図7において、参照値としてのVinvu*を、それぞれDCリンク電圧(DCバス2Bの電圧)指令値Vo*で割って規格化し、搬送波と比較することにより、第1レグL1(半導体スイッチQ1,Q2)のゲート駆動信号G1,G2が得られる。搬送波はリミッタを通した、振幅が1、中点が0の三角波である。従って、参照値が0.5以上のときは、ゲート駆動信号は1に固定される。よって、Vinvu*の絶対値が、リンク電圧指令値Vo*の1/2よりも大きいときには、第1レグL1の半導体スイッチQ1,Q2は、上下いずれか一方がオン、他方がオフに固定される。
【0064】
同様に、図8において、参照値としてのVinvv*を、それぞれDCリンク電圧指令値Vo*で割って規格化し、搬送波と比較することにより、第2レグL2(半導体スイッチQ3,Q4)のゲート駆動信号G3,G4が得られる。搬送波はリミッタを通した、振幅が1、中点が0の三角波である。従って、参照値が0.5以上のときは、ゲート駆動信号は1に固定される。よって、Vinvv*の絶対値が、リンク電圧指令値Vo*の1/2よりも大きいときには、第2レグL2の半導体スイッチQ3,Q4は、上下いずれか一方がオン、他方がオフに固定される。
【0065】
同様に、図9において、参照値としてのVinvo*を、それぞれDCリンク電圧指令値Vo*で割って規格化し、搬送波と比較することにより、中性レグL3(半導体スイッチQ5,Q6)のゲート駆動信号G5,G6が得られる。搬送波はリミッタを通した、振幅が1、中点が0の三角波である。従って、参照値が0.5以上のときは、ゲート駆動信号は1に固定される。よって、Vinvo*の絶対値が、リンク電圧指令値Vo*の1/2よりも大きいときには、中性レグL3の半導体スイッチQ5,Q6は、上下いずれか一方がオン、他方がオフに固定される。
【0066】
《実施例1》
図2の直流電源1を蓄電池として、u線‐o線、v線‐o線、u線‐v線、それぞれの間の電圧実効値は100V、100V、200Vとし、uo間に10Ω、uv間に20Ωの抵抗負荷を接続した。このとき電力計測部3の電流センサ31及び電圧センサ33の検出出力に基づく有効電力検出値P1、及び、電流センサ32及び電圧センサ34の検出出力に基づく有効電力検出値P2がどちらも0になるように、パワーコンディショナ2の出力電流目標値Iau*、Iav*を設定した。
【0067】
図10の(a)は、u相電圧Vau及びv相電圧Vavの波形図である。いずれもo線の電位を基準に表している。(b)は、交流リアクトル24に流れるu線電流、交流リアクトル25に流れるv線電流の波形図であり、実効値20Aの方がu線電流、実効値10Aの方がv線電流で、いずれもパワーコンディショナ2の交流出力端から負荷側に向かって流れる電流を正で表している。(c)は、電流センサ31及び32に流れる商用電力系統側のu線電流及びv線電流の波形図である。電流センサ31及び32に流れるu線の有効電流及びv線の有効電流は、共に、約0Aである。
【0068】
図11は、電力計測部3で検出される電圧、電流の波形図である。(a)は、電圧センサ33によって検出されるu相の電圧、(b)は、電圧センサ34によって検出されるv相の電圧である。(c)は、電流センサ31,32によって検出される電流である。互いにクロスしている2つの波形の一方がu線の電路の電流、他方がv線の電路の電流である。(c)の波形は、ごく僅かに有効電流が含まれるものの、実質的には全て無効電流である。従って、電力計測部3で計測される有効電力は、u相、v相共に、約0である。無効電流に基づく無効電力は、商用電力系統4から供給されている。無効電力は、電力量にカウントされない。
【0069】
《実施例2》
図12は、直流電源からDCバス2Bまでの直流回路を2系統設けた電力変換システム10の回路図の例である。直流電源1を、例えば太陽光発電パネルであるとすると、直流電源1bは、蓄電池である。蓄電池の直流電源1bに接続される回路は、直流電源1側と同様に、直流リアクトル22b、半導体スイッチQLb,QHb,ダイオードdLb,dHb、電圧センサ201b、及び、電流センサ202bを備えている。直流リアクトル22b及び半導体スイッチQLb,QHbは、DC/DCコンバータ20bを構成している。なお、図12では、制御部2Cとの接続線の図示は省略しているが、全ての半導体スイッチ及び計測要素は、制御部2Cと接続されている。
【0070】
図12において、u線‐o線、v線‐o線、u線‐v線、それぞれの間の電圧実効値は100V、100V、200Vとし、uo間に10Ω、uv間に20Ωの抵抗負荷を接続した。このとき電流センサ31、電流センサ32の有効電流検出値I1、I2が太陽光発電パネルである直流電源1の出力2kWに合わせて、どちらも10Aになるように、パワーコンディショナ2の出力電流目標値Iau*、Iav*を設定した。
【0071】
図13の(a)は、u相電圧Vau及びv相電圧Vavの波形図である。いずれもo線の電位を基準に表している。(b)は、交流リアクトル24に流れるu線電流、交流リアクトル25に流れるv線電流、及び、交流リアクトル26に流れるo線電流の波形図であり、振幅の最も大きいのがu線電流(実効値30A)、次に大きいのがv線電流(実効値20A)、そして、振幅が最も小さいのがo線電流(実効値10A)である。いずれもパワーコンディショナ2の交流出力端から負荷側に向かって流れる電流を正で表している。(c)は、電流センサ31及び32に流れる商用電力系統側のu線電流及びv線電流の波形図である。電流センサ31及び32に流れるu線の有効電流及びv線の逆潮流の有効電流は、共に、10A(実効値)の同値となった。
【0072】
《複合パワーコンディショナについての補足》
なお、図12のように、直流電源が複数存在し、複数の直流電源からそれぞれに対応して設けられたDC/DCコンバータを経て、共通のDCバス2Bに至る直流回路群を備えているパワーコンディショナ及び電力変換システムでは、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーに基づく直流電源と、その他の直流電源とを一括制御することができる。
【0073】
制御部2Cは、当該電力変換システム10が設けられる需要家の負荷が消費する電力に相当する電力を、複数の直流電源のうち一部の直流電源が出力し、残余の再生可能エネルギーに基づく直流電源の出力する電力を商用電力系統に逆潮するよう制御することもできる。この場合、買電可能な再生可能エネルギーによる発電電力は売電し、その他の直流電源の発電電力によって負荷へ給電することができる。
【0074】
また、制御部2Cは、複数の直流電源のうち再生可能エネルギーに基づく直流電源から出力される電力を、当該電力変換システムが設けられる需要家の負荷に提供するとともに、余剰電力を他の直流電源の充電に充てるよう制御することもできる。
この場合、再生可能エネルギーの発電電力を無駄なく利用し、また、必要に応じて放電させることにより、買電も抑制することができる。
【0075】
また、図12の回路構成及び図13に示す制御は、系統連系だけでなく、自立出力にも使える。ただし、自立出力の場合はパワーコンディショナ2の出力と負荷消費とが互いにバランスしていなければならない。すなわち、2つの直流電源が太陽光発電パネルと蓄電池である場合には、太陽光発電で得た電力をまず負荷消費に充当し、さらに余剰電力があれば蓄電池に充電し、逆に、不足であれば蓄電池からの放電で負荷消費の不足分を補う。
【0076】
《まとめ》
以上、詳述したように、この電力変換システム10では、単相3線の交流電路における第1線(u線)と第2線(v線)との間の線間電力を、第1レグL1及び第2レグL2の制御により供給することができる。また、中性線と第1線との間の相電力を、中性レグL3及び第1レグL1の制御により供給することができる。さらに、中性線と第2線との間の相電力を、中性レグL3及び第2レグL2の制御により供給することができる。すなわち、負荷がどの線間に接続されていても、また、中性線から見て相電力が不均等であっても、供給可能な範囲内で電力変換システム10から自在に電力を供給することができる。
【0077】
そして制御部2Cは、電力計測部3における第1の有効電力と第2の有効電力の少なくとも一方の大きさが0であるか、双方の向きが一致している状態を維持するように、第1線(u線)の電路及び第2線(v線)の電路にそれぞれ流れる電流を制御する。このとき、第1の電流センサ(204)が検出する第1の電流検出値(Iinvu)が第1の電流目標値(Iinvu*)に一致し、かつ、第2の電流センサ(205)が検出する第2の電流検出値(Iinvv)が第2の電流目標値(Iinvv*)に一致するよう制御することで、第1線(u線)の電路に流れる電流と、第2線(v線)の電路に流れる電流とを、互いに独立して正確にフィードバック制御することができる。従って、相電力が不均等となる負荷接続状態であっても、商用電力系統からの買電を抑制することができる。
【0078】
《補記》
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
1,1b 直流電源
2 パワーコンディショナ
2A 電力変換部
2B DCバス
2C 制御部
3 電力計測部
4 商用電力系統
4u 相電源
4v 相電源
5 買電メータ
6 売電メータ
10 電力変換システム
20,20b DC/DCコンバータ
21,21b コンデンサ
22,22b 直流リアクトル
23 コンデンサ
24〜26 交流リアクトル
27,28 コンデンサ
31,32 電流センサ
33,34 電圧センサ
101 直流電源
102 パワーコンディショナ
104 商用電力系統
104u 相電源
104v 相電源
105 買電メータ
106 売電メータ
201,201b,203,206,207 電圧センサ
202,202b,204,205 電流センサ
,d,dLb,dHb,d1〜d6 ダイオード
L1 第1レグ
L2 第2レグ
L3 中性レグ
P1 第1接続点
P2 第2接続点
P3 第3接続点
,Q 半導体スイッチ
Lb、QHb 半導体スイッチ
Q1〜Q6 半導体スイッチ
Ruo,Rvo,Ruv 負荷
図1
図2
図3
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