(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る移動案内装置をナビゲーション装置に具体化した第1実施形態及び第2実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は第1実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0014】
図1に示すように第1実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や後述の経路探索処理によって探索された経路に関する経路情報等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、を有する。
【0015】
以下に、ナビゲーション装置1が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0016】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31、走行履歴DB32及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12はハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクを有しても良い。また、地図情報DB31や走行履歴DB32は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置1が通信により取得する構成としても良い。
【0017】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、経路の探索に係る処理に用いられる探索データ35、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0018】
また、リンクデータ33としては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。
【0019】
また、ノードデータ34としては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)や各道路に曲率半径等に応じて所定の距離毎に設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0020】
また、探索データ35としては、後述のように出発地(例えば車両の現在位置)から設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理に使用される各種データについて記録されている。具体的には、交差点に対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、交差点コストという)や道路を構成するリンクに対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、リンクコストという)等の探索コストを算出する為に使用するコスト算出データが記憶されている。
【0021】
ここで、交差点コストは、探索コストの算出対象となる経路に含まれる交差点に対応するノード毎に設定され、信号機の有無、交差点を通過する際の自車の走行経路(即ち直進、右折及び左折の種類)等によってその値が算出される。
また、リンクコストは、探索コストの算出対象となる経路に含まれるリンク毎に設定され、リンク長を基本にして、該リンクの道路属性や道路種別、道路幅、車線数、交通状況等を考慮して算出される。
【0022】
一方、走行履歴DB32は、車両(ユーザ)の過去の走行履歴を累積して記憶した記憶手段である。具体的には、ナビゲーション装置1で目的地を設定してから該目的地に到着するまでの時間経過に伴う車両の現在位置の検出点(位置座標)の履歴を、各検出点が検出された時刻(即ち各検出点に車両が位置した時刻)と対応付けて記憶する。また、走行履歴には走行時にナビゲーション装置1に設定されていた目的地(即ち走行履歴の目的地)についても関連付けて記憶される。尚、各検出点が検出された時刻の代わりに出発時刻からの経過時間を対応付けて記憶する構成としても良い。
【0023】
また、ナビゲーション装置1において目的地が設定されていない場合の走行履歴についても記憶対象としても良い。その場合には、例えばACC電源(accessory power supply)がON(あるいはエンジンON)されてからACC電源がOFF(あるいはエンジンOFF)されるまでの時間経過に伴う車両の現在位置の検出点の履歴を、各検出点が検出された時刻と対応付けて記憶する。また、ACC電源がOFFされた地点を目的地として関連付ける。
【0024】
ここで、
図2は走行履歴DB32に記憶されるユーザの走行履歴の一例を示した図である。
図2は車両が出発地51を9時に出発して目的地52まで走行した場合の走行履歴を示す。
図2に示す例では、車両が出発地51を出発して目的地52まで走行した際における車両の現在位置の検出点53の位置座標を、各検出点53が検出された時刻と対応付けて、目的地52へと走行した走行履歴として記憶される。尚、
図2に示す例では5秒間隔で車両の現在位置を検出する構成としているが、検出の時間間隔は適宜変更可能である。
【0025】
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように車両の走行案内を行う場合に、走行履歴DB32に格納された走行履歴の内、同一の目的地へと走行する走行履歴について比較対象として案内する(
図8、
図9参照)。
【0026】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の走行履歴記憶処理プログラム(
図3参照)や走行案内処理プログラム(
図4参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、目的地設定手段は、目的地を設定する。履歴記憶手段は、ユーザの目的地の設定履歴と設定した目的地に対するユーザの走行履歴とを関連付けて走行履歴DB32に記憶する。移動予定経路取得手段は、ユーザの移動予定経路を取得する。履歴取得手段は、移動予定経路と同一地点を目的地とする走行履歴を走行履歴DB32から取得する。仮想位置表示手段は、ユーザが移動予定経路に沿って走行を開始した場合に、履歴取得手段によって取得された走行履歴により特定される経路に沿って、目的地へ向けて移動するユーザの仮想位置を表示する。
【0027】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
【0028】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に第1実施形態では、案内経路に沿った車両の走行案内を行う場合において、過去に同一の目的地へと走行した走行履歴についても液晶ディスプレイ15に表示する。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0029】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0030】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0031】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された交通情報、プローブ情報、天候情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0032】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてCPU41が実行する走行履歴記憶処理プログラムについて
図3に基づき説明する。
図3は第1実施形態に係る走行履歴記憶処理プログラムのフローチャートである。ここで、走行履歴記憶処理プログラムは車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、車両の走行履歴を記憶するプログラムである。尚、以下の
図3にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0033】
先ず、走行履歴記憶処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、ナビゲーション装置1において案内経路が設定されているか否かを判定する。尚、案内経路はナビゲーション装置1によって設定された出発地から目的地までの推奨経路であり、例えば公知のダイクストラ法を用いて探索される。
【0034】
そして、ナビゲーション装置1において案内経路が設定されていると判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、ナビゲーション装置1において案内経路が設定されていないと判定された場合(S1:NO)には、当該走行履歴記憶処理プログラムを終了する。
【0035】
次に、S2においてCPU41は、ナビゲーション装置1で設定されている案内経路を取得する。第1実施形態では特に案内経路の目的地として設定されている地点又は施設について取得する。また、経由地が設定されている場合には経由地として設定されている地点又は施設について取得しても良い。
【0036】
続いて、S3においてCPU41は、車両の現在位置を現在位置検出部11の検出結果に基づいて取得する。具体的には、車両の現在位置を示す地図上の位置座標を取得する。尚、車両の現在位置を検出する際には、車両の現在位置を地図データにマッチングさせるマップマッチング処理についても行う。更に、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて特定しても良い。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両後方のカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。
【0037】
その後、S4においてCPU41は、前記S3で検出された車両の現在位置の位置座標に対して、該車両の現在位置を検出した時刻を対応付けてメモリ等の記憶媒体に一旦格納する。尚、各車両の現在位置を検出した時刻の代わりに出発時刻からの経過時間を対応付けて記憶する構成としても良い。
【0038】
続いて、S5においてCPU41は、車両が前記S2で取得した案内経路の目的地に到着したか否かを判定する。
【0039】
そして、車両が前記S2で取得した案内経路の目的地に到着したと判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、車両が前記S2で取得した案内経路の目的地に到着していないと判定された場合(S5:NO)には、S3へと戻る。そして、S3及びS4の処理を車両が目的地に到着するまで所定時間間隔(例えば5秒間隔)で繰り返し実行する。
【0040】
S6においてCPU41は、前記S4で累積して記憶された座標列及び時刻を前記S2で取得した目的地と関連付けて、走行履歴として走行履歴DB32に記憶する。その結果、ナビゲーション装置1で目的地を設定してから該目的地に到着するまでの時間経過に伴う車両の現在位置の検出点(位置座標)の履歴が、各検出点が検出された時刻(即ち各検出点に車両が位置した時刻)と対応付けて走行履歴DB32に記憶されることとなる(
図2参照)。また、経由地が設定されている場合には経由地についても関連付けて記憶する構成としても良い。
【0041】
また、第1実施形態ではナビゲーション装置1において目的地が設定されている場合の走行履歴を記憶する構成としているが、ナビゲーション装置1において目的地が設定されていない場合の走行履歴についても記憶する構成とすることが可能である。その場合には、例えばS1においてACC電源がON(あるいはエンジンON)されているか否か判定し、S5ではACC電源がOFF(あるいはエンジンOFF)されているか否かを判定する構成とする。また、ACC電源がOFFされた地点を目的地として関連付ける。
【0042】
また、上記走行履歴記憶処理プログラムは、ナビゲーション装置1の設定画面においてユーザが予め走行履歴を記憶することを選択している状態でのみ実施する構成としても良い。更に、目的地に到着した際に今回の走行履歴を走行履歴DB32に残すか否かをユーザに選択させる構成としても良い。
【0043】
次に、ナビゲーション装置1においてCPU41が実行する走行案内処理プログラムについて
図4に基づき説明する。
図4は第1実施形態に係る走行案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、走行案内処理プログラムはユーザによってナビゲーション装置1において所定の操作が行われた後に実行され、案内経路を設定するとともに、設定された案内経路に基づいて車両の走行案内を行うプログラムである。尚、以下の
図4にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0044】
先ず、走行案内処理プログラムではS11において、CPU41は、走行履歴DB32に記憶された走行履歴を読み出す。尚、走行履歴DB32に記憶された全ての走行履歴を読み出しても良いし、所定期間内(例えば直近1か月)の走行履歴のみを読み出しても良い。
【0045】
次に、S12においてCPU41は、前記S11で走行履歴DB32から読み出した走行履歴に含まれる目的地の一覧を液晶ディスプレイ15に表示する。尚、走行履歴は前述したように車両の現在位置の検出点の履歴がその際にナビゲーション装置1において設定されていた目的地と関連付けて記憶される。即ち、前記S12で表示されるのはユーザが過去に走行した経路の目的地、より具体的には過去にナビゲーション装置1において設定された目的地となる。
【0046】
ここで、
図5は前記S12において液晶ディスプレイ15に表示される目的地リスト画面61を示した図である。
図5に示すように目的地リスト画面61には、ユーザが過去に走行した経路の目的地の名称をリスト状に表示する情報表示スペース62が設けられている。また、情報表示スペース62には該当する走行履歴が作成された日時、即ち表示される目的地へと車両が走行した日時についても表示される。更に、情報表示スペース62に表示される目的地の名称は走行履歴の作成された順にソートして表示される。また、走行履歴毎に情報表示スペース62に目的地の名称が表示されるので、同一の目的地の名称が複数表示される場合もある(例えば
図5では同一の目的地である○○会社が2つ表示されている)。尚、
図5に示す例では最終目的地のみを表示しているが、経由地がある場合には経由地についても表示するようにしても良い。
【0047】
また、情報表示スペース62の横にはスクロールバー63が配置される。そして、ユーザはスクロールバー63を上下に操作することによって、情報表示スペース62に表示される目的地の名称をスクロールし、他の名称へと切り替えることが可能となる。また、後述のようにユーザが情報表示スペース62に表示されたいずれかの目的地名称を選択すると、選択された目的地名称に該当する施設や地点をナビゲーション装置1の目的地に設定したり、走行履歴を表示することが可能となる。
【0048】
続いて、S13においてCPU41は、前記S12において表示された目的地リスト画面61において目的地の設定操作が行われたか否かを判定する。ここで、
図6に示すように目的地リスト画面61の情報表示スペース62に表示されたいずれかの目的地の名称をタッチする操作を受け付けると、情報表示スペース62内に目的地設定ボタン64及び履歴表示ボタン65が新たに表示される。そして、目的地設定ボタン64及び履歴表示ボタン65が表示された状態で目的地設定ボタン64を更にタッチする操作を受け付けると、後述のようにタッチされた目的地名称に該当する施設又は地点がナビゲーション装置1の目的地に設定される。一方で、履歴表示ボタン65をタッチする操作を受け付けると、後述のようにタッチされた目的地名称に該当する走行履歴を液晶ディスプレイ15に表示する。
【0049】
そして、前記S12において表示された目的地リスト画面61において目的地の設定操作が行われたと判定された場合(S13:YES)、即ち目的地設定ボタン64が操作されたと判定された場合には、S16へと移行する。それに対して、前記S12において表示された目的地リスト画面61において目的地の設定操作が行われていないと判定された場合(S13:NO)には、S14へと移行する。
【0050】
S14においてCPU41は、前記S12において表示された目的地リスト画面61において走行履歴の閲覧操作が行われたか否かを判定する。具体的には
図6に示す履歴表示ボタン65をタッチする操作を受け付けると、走行履歴の閲覧操作が行われたと判定する。
【0051】
そして、前記S12において表示された目的地リスト画面61において走行履歴の閲覧操作が行われたと判定された場合(S14:YES)、即ち履歴表示ボタン65が操作されたと判定された場合には、S15へと移行する。それに対して、前記S12において表示された目的地リスト画面61において走行履歴の閲覧操作についても行われていないと判定された場合(S14:NO)には、S13へと戻る。
【0052】
S15においてCPU41は、ユーザによって選択された目的地の名称に該当する走行履歴を走行履歴DB32から読み出し、読み出した走行履歴に含まれる車両が移動した経路(以下、履歴経路という)を液晶ディスプレイ15に表示する。尚、履歴経路は過去に車両が目的地にどのような経路を走行して到達したかを示す経路であり、走行履歴に含まれる車両の現在位置の検出点(位置座標)の履歴を時系列で接続した線分が該当する。ここで、
図7は前記S15において履歴経路が液晶ディスプレイ15に表示される履歴案内画面70の一例を示した図である。履歴案内画面70は、履歴経路周辺の地図画像71と、履歴経路72と、履歴経路72の目的地73と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク74とが表示される。尚、
図7に示す例では車両の現在位置が履歴経路72の出発地と一致しているが一致しない場合もある。そして、ユーザは履歴案内画面70を参照することによって、車両の過去の走行履歴を把握することが可能となる。
【0053】
一方、S16においてCPU41は、ユーザによって選択された目的地名称に該当する施設又は地点をナビゲーション装置1の目的地に設定し、出発地から設定された目的地までの推奨経路を探索する経路探索処理を実行する。尚、出発地は車両の現在位置としても良いし、ユーザにより指定された任意の地点としても良い。具体的には、リンクデータ33、ノードデータ34、探索データ35等に基づいて、リンク(道路)に対する経路として適正の程度を数値化したリンクコストや、交差点(ノード)に対する経路として適正の程度を数値化した交差点コストや、走行に必要な費用の程度を数値化した料金コスト等を算出し、算出された各探索コストを用いて推奨経路の探索を行う。例えば公知のダイクストラ法を用い、コスト値の合計が最小となる経路を推奨経路とする。尚、ダイクストラ法を用いた経路探索処理は既に公知であるので詳細は省略する。また、推奨経路以外に探索条件を変えた他の候補経路(例えば距離優先、一般道優先、有料道優先で探索された経路)についても探索するように構成しても良い。また、ユーザによって選択された目的地名称に該当する走行履歴が、経由地も含んでいる場合には目的地以外に経由地についても設定し、経由地を経由した経路を探索するように構成しても良い。
【0054】
続いて、S17においてCPU41は、前記S16の経路探索処理で探索された経路をナビゲーション装置1による走行案内の対象となる案内経路(移動予定経路)に設定する。尚、探索された経路が複数ある場合にはユーザの選択操作によって選択された経路を案内経路に設定する。
【0055】
次に、S18においてCPU41は、目的地リスト画面61(
図6)においてユーザによって選択された目的地の名称に該当する走行履歴を走行履歴DB32から読み出す。尚、出発地の位置や経路探索条件によって同一の目的地であっても目的地までの推奨経路は様々に変化する。従って、前記S18で走行履歴DB32から読み出される走行履歴は、前記S17で設定された案内経路と同一経路を走行した走行履歴であるとは限らない。少なくとも案内経路と同一の目的地である条件を満たす走行履歴である。
【0056】
続いて、S19においてCPU41は、後述の移動開始地点設定処理を行う。尚、移動開始地点設定処理は、後述のように履歴経路に沿って目的地へ移動する車両の仮想位置を示す(S21、S26)場合における仮想位置の移動開始地点(初期位置)を設定する処理である。また、仮想位置の移動を開始するタイミングについても設定する。
【0057】
その後、S20においてCPU41は、前記S17で設定された案内経路とともに、前記S18で走行履歴DB32から読み出された走行履歴に含まれる履歴経路を液晶ディスプレイ15に表示する。尚、履歴経路は過去に車両が目的地にどのような経路を走行して到達したかを示す経路であり、走行履歴に含まれる車両の現在位置の検出点(位置座標)の履歴を時系列で接続した線分が該当する。
【0058】
更に、S21においてCPU41は、車両の現在位置を示す自車位置マークと履歴経路に沿って目的地へ向けて移動する車両の仮想位置を示す仮想位置マークをそれぞれ液晶ディスプレイ15に表示する。尚、仮想位置マークが表示される初期位置は前記S19で設定された移動開始地点となる。尚、移動開始地点は必ずしも履歴経路の出発地になるとは限らない。ここで、
図8は前記S20及びS21において案内経路、履歴経路、自車位置マーク及び仮想位置マークが液晶ディスプレイ15に表示された直後の走行案内画面75の一例を示した図である。走行案内画面75は、自車位置周辺の地図画像71と、履歴経路72と、案内経路76と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク74と、仮想位置マーク77とが表示される。
【0059】
尚、
図8に示す例では仮想位置の移動開始地点は履歴経路の出発地とは異なる地点となっている。また、
図8に示す例では車両の現在位置(案内経路の出発地)が仮想位置の移動開始地点と一致していないが一致する場合もある。尚、車両の現在位置が仮想位置の移動開始地点と一致する場合には、案内開始時点では自車位置マーク74と仮想位置マーク77が重複して表示されることとなる。そして、ユーザは走行案内画面75を参照することによって、案内経路と比較して同一の目的地へと向かう車両の過去の走行履歴を把握することが可能となる。尚、仮想位置マーク77については後述のように仮想位置の移動開始のタイミングを満たした時点(S24:YES)で表示する構成としても良い。
【0060】
その後、S22においてCPU41は、前記S17で設定された案内経路に基づく車両の走行案内を開始する。例えば、車両の進行方向前方に案内交差点が接近すると、案内交差点における右左折の案内を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて行う。
【0061】
次に、S23においてCPU41は、車両が初期位置(案内経路を設定した時点の位置)から移動を開始したか否かを判定する。尚、車両が移動を開始したか否かの判定は、所定間隔でGPS21により検出する車両の位置座標が前回の検出位置に比べて変位した場合に車両が移動を開始したと判定しても良いし、車速センサ22の検出結果を用いて判定しても良い。
【0062】
そして、車両が初期位置から移動を開始したと判定された場合(S23:YES)には、S24へと移行する。それに対して、車両が初期位置から移動を開始していないと判定された場合(S23:NO)には、移動を開始したと判定されるまで待機する。
【0063】
S24においてCPU41は、仮想位置の移動を開始するタイミングとなったか否かを判定する。ここで、仮想位置の移動を開始するタイミングは、前記S19において設定される。具体的には、案内経路上に仮想位置の移動開始地点がある場合には、車両が仮想位置の移動開始地点に到達したタイミングとなる。一方、案内経路上に仮想位置の移動開始地点がない場合には、車両が案内経路上にある仮想位置の移動開始地点と最も接近する地点に到達したタイミングとなる。その結果、後述のように案内経路の出発地と履歴経路の出発地が離れていた場合であっても、車両の現在位置と同位置又は接近した位置から仮想位置が移動を開始することとなり、両者の比較を容易に行うことが可能となる。
【0064】
そして、仮想位置の移動を開始するタイミングとなったと判定された場合(S24:YES)には、S26へと移行する。それに対して、仮想位置の移動を開始するタイミングとなっていないと判定された場合(S24:NO)には、S25へと移行する。
【0065】
S25においてCPU41は、車両の現在位置の変位を現在位置検出部11によって検出する一方で、車両の現在位置の変位に伴って液晶ディスプレイ15に表示された車両の現在位置を示す自車位置マークの地図上の位置を移動させる。具体的には、現在の車両の現在位置に対応する地図上の位置に自車位置マークが位置するように自車位置マークを移動させる。尚、画面上における自車位置マークの位置が固定である場合には相対的に周囲の地図画像がスクロールすることとなる。その後、S24へと戻る。
【0066】
一方、S26においてCPU41は、車両の現在位置を示す自車位置マークとともに車両の仮想位置を示す仮想位置マークについても移動を開始する。具体的には、前記S24の条件を満たしたタイミングで車両の仮想位置が、前記S19で設定される移動開始地点を出発して履歴経路を目的地側へと過去と同一の走行態様で走行すると定義し、現在の仮想位置に対応する地図上の位置に仮想位置マークが位置するように仮想位置マークを移動させる。尚、走行履歴には目的地に到着するまでの時間経過に伴う車両の現在位置の検出点(位置座標)の履歴が記憶されているので、仮想位置が移動開始地点を出発してからの時間経過に伴う位置を特定することが可能である。その結果、車両が過去に履歴経路を走行した際の走行態様(交差点での停車、道路形状に伴う加減速、車速など)を仮想位置マークの動きで再現することが可能となる。
【0067】
ここで、
図9は車両が移動を開始した後に液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面75の一例を示した図である。走行案内画面75は、自車位置マーク74とは別に履歴経路72上を移動する車両の仮想位置を示す仮想位置マーク77が表示される。尚、地図画像71は自車位置の周辺領域を表示対象とするので、仮想位置が車両の現在位置から遠く離れると仮想位置マーク77が表示されなくなる場合もある。そして、ユーザは走行案内画面75を参照した際に、同一目的地へと向かう過去の車両の走行態様を仮想位置マーク77によって把握することが可能となる。
【0068】
また、走行履歴に基づいて車両の仮想位置を特定する際には、履歴経路72を移動した車両の位置座標の履歴の内、出発地から前記S19で設定される移動開始地点までの履歴については除外し、残りの履歴を対象として車両の仮想位置を移動させる。即ち、仮想位置は移動開始地点から履歴経路72に沿って目的地までの間を移動することとなる。
【0069】
その後、S27においてCPU41は、車両が目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、車両の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)になったと判定された場合に、車両が目的地に到着したと判定される。
【0070】
そして、車両が目的地に到着したかと判定された場合(S27:YES)には、当該走行案内処理プログラムを終了する。それに対して、車両が目的地に到着していないと判定された場合(S27:NO)にはS26へと戻り、継続して自車位置マークと仮想位置マークの案内を行う。
【0071】
次に、前記S19において実行される移動開始地点設定処理のサブ処理について
図10に基づき説明する。
図10は移動開始地点設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0072】
先ず、S31においてCPU41は、前記S17で設定された案内経路と履歴経路とを比較し、案内経路と履歴経路の少なくとも一部が重複する(但し目的地のみ重複する場合は除く)か否かを判定する。
【0073】
そして、案内経路と履歴経路とが目的地以外で少なくとも一部が重複すると判定された場合(S31:YES)には、S32へと移行する。それに対して、案内経路と履歴経路が目的地以外において重複しないと判定された場合(S31:NO)には、S33へと移行する。
【0074】
S32においてCPU41は、履歴経路上であって案内経路と重複(即ち、案内経路上を移動する車両と重複)する地点の内、最も出発地側の地点を仮想位置の移動を開始する移動開始地点として設定する。例えば、
図11に示すように案内経路76と履歴経路72とが重複する場合には、地点Xが移動開始地点として設定される。尚、地点Xは、案内経路76上を移動する車両(ユーザ)の位置に対応する地点となる。
【0075】
また、前記S32においてCPU41は、履歴経路上であって案内経路から所定距離(例えば300m)以内(即ち、案内経路上を移動する車両から所定距離以内)の地点の内、最も出発地側の地点を移動開始地点として設定しても良い。例えば、
図12に示すように案内経路76と履歴経路72とが重複する場合には、地点Xを移動開始地点として設定しても良いが、案内経路76からの距離Lが所定距離(例えば300m)以内にある最も出発地側の地点である地点Yを移動開始地点として設定しても良い。尚、地点Yを移動開始地点とすれば、車両の現在位置と同位置から仮想位置を移動開始させることはできないが、地点Xを移動開始地点とする場合よりも仮想位置と車両の現在位置とを比較可能な期間を長くすることが可能となる。その後、S34へと移行する。
【0076】
一方、S33においてCPU41は、履歴経路上であって案内経路から所定距離(例えば300m)以内(即ち、案内経路上を移動する車両から所定距離以内)の地点の内、最も出発地側の地点を移動開始地点に設定する。例えば、
図13に示すように案内経路76と履歴経路72とが目的地を除いて重複しない場合には、案内経路76からの距離Lが所定距離(例えば300m)以内にある最も出発地側の地点である地点Yを移動開始地点として設定する。尚、地点Yは、案内経路76上を移動する車両(ユーザ)の位置に対応する地点となる。その後、S34へと移行する。
【0077】
S34においてCPU41は、前記S32又はS33で設定された移動開始地点が案内経路上にあるか否かを判定する。
【0078】
そして、移動開始地点が案内経路上にあると判定された場合(S34:YES)には、S35へと移行する。それに対して、移動開始地点が案内経路上にないと判定された場合(S34:NO)には、S36へと移行する。
【0079】
S35においてCPU41は、車両が案内経路上にある移動開始地点に到達したタイミングを、仮想位置の移動を開始するタイミングとして設定する。例えば、
図11に示すように案内経路76と履歴経路72とが重複する地点Xが移動開始地点として設定されている場合には、車両が地点Xに到達したタイミングを、仮想位置の移動を開始するタイミングとして設定する。その結果、その後に車両が案内経路に沿って走行し、地点Xに到達すると仮想位置が同じ地点Xから同時に移動を開始することとなる(S26)。その後、S20へと移行する。
【0080】
一方、S36においてCPU41は、車両が案内経路上の移動開始地点と最も接近する地点に到達したタイミングを、仮想位置の移動を開始するタイミングとして設定する。例えば、
図12、
図13に示すように履歴経路72であって案内経路76と所定距離以内に接近する地点Yが移動開始地点として設定されている場合には、車両が地点Yと最も接近する地点Zに到達したタイミングを、仮想位置の移動を開始するタイミングとして設定する。その結果、その後に車両が案内経路に沿って走行し、地点Zに到達すると仮想位置が地点Yから移動を開始することとなる(S26)。その後、S20へと移行する。
【0081】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るナビゲーション装置1及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザの目的地の設定履歴と設定した目的地に対する車両の走行履歴とを関連付けて走行履歴DB32に記憶する(S6)一方で、車両が案内経路に従って走行を行う場合に、案内経路と同一の目的地へと走行した走行履歴を走行履歴DB32から取得し(S18)、取得された走行履歴によって特定される履歴経路上であって案内経路上を移動する車両の位置に対応する地点を移動開始地点として設定し(S19)、移動開始地点から履歴経路に沿って目的地へ向けて移動する車両の仮想位置を液晶ディスプレイ15に表示する(S26)ので、車両の移動予定経路と同一の経路を移動した走行履歴が存在しない場合であっても、同一の目的地へと向かう車両の走行履歴を比較し易い適切な態様で比較対象として案内することが可能となる。また、仮想位置の移動を開始する移動開始地点を、移動予定経路上を移動する車両の位置に対応する位置に補正するので、移動予定経路と履歴経路の出発地が異なる場合であっても、移動予定経路と履歴経路の比較を容易に行うことが可能となる。そして、ユーザは案内された比較結果を参照することによって、その後に目的地へのより適切な経路を選択することが可能となる。例えば、移動予定経路と履歴経路の出発地となる施設が同一であっても、その施設の面積が広い場合(例えば大型の駐車場である場合)には、互いの出発地が離れるので、移動予定経路と履歴経路の比較が難しくなるが、仮想位置の移動開始地点を補正することによって比較を容易とする。また、ユーザが履歴経路の途中にある地点から移動を開始する場合においても、車両の位置と仮想位置とを合わせることが可能であり、非常に有効である。
【0082】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係るナビゲーション装置について
図14及び
図15に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記
図1乃至
図13の第1実施形態に係るナビゲーション装置1の構成と同一符号は、前記第1実施形態に係るナビゲーション装置1等の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0083】
この第2実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成は、第1実施形態に係るナビゲーション装置1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施形態に係るナビゲーション装置1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第1実施形態にナビゲーション装置1が、履歴経路上であって案内経路と重複する地点又は案内経路から所定距離以内の地点の内、最も出発地側の地点を仮想位置の移動開始地点として設定する(S32、S33)のに対し、第2実施形態に係るナビゲーション装置は、履歴経路上であって目的地から履歴経路に沿って案内経路の経路長だけ離間した地点を仮想位置の移動開始地点とする点で第1実施形態に係るナビゲーション装置1と異なっている。
【0084】
以下に、第2実施形態に係るナビゲーション装置において実行される走行案内処理プログラムの内、前記S19の移動開始地点設定処理のサブ処理について
図14に基づき説明する。
図14は第2実施形態に係る移動開始地点設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0085】
先ず、S41においてCPU41は、前記S17で設定された案内経路の出発地(即ち車両が走行を開始する地点)から目的地までの経路長Tを取得する。
【0086】
次に、S42においてCPU41は、履歴経路上であって目的地から履歴経路に沿って経路長Tだけ離間した地点を、仮想位置の移動を開始する移動開始地点として設定する。例えば、
図15に示すように案内経路76と履歴経路72とが存在する場合には、目的地から出発地側に経路長Tだけ離間した地点Qが移動開始地点として設定される。尚、地点Qは、案内経路76上を移動する車両(ユーザ)の位置に対応する地点となる。
【0087】
ここで、地点Qを移動開始地点とすれば、
図15に示すように案内経路76と履歴経路72とが経路長や形状の大きく異なる経路である場合(例えば一方が高速道路を走行する経路で他方が一般道を走行する経路である場合等)において、案内経路76と履歴経路72とを比較することが可能となる。
【0088】
即ち、
図15に示すように案内経路76と履歴経路72とが出発地は同一であるが経路長や形状が大きく異なる経路である場合において、仮に仮想位置を出発地から移動を開始させると、履歴経路72や仮想位置を示す仮想位置マーク77(
図9参照)は案内開始時点には画面上に表示されるが、その後は目的地に到達するまで画面上にほとんど表示されないので、実質的にユーザにとって有効な案内を行うことができない。一方、仮想位置の移動開始地点を出発地ではなく目的地から出発地側に経路長Tだけ離間した地点Qとすれば、履歴経路72や仮想位置マーク77が画面上にほとんど表示されなかったとしても、履歴経路72が案内経路76と比較して優れた経路であるか否かについてユーザが把握することが可能となる。具体的には、仮想位置が車両よりも先に目的地に到着すれば、履歴経路72は案内経路76に比べて同距離をより速く走行できる優れた経路であることが把握できる。一方で、車両が仮想位置よりも先に目的地に到着すれば、案内経路76は履歴経路72に比べて同距離をより速く走行できる優れた経路であることが把握できる。
【0089】
その後、S43においてCPU41は、車両が移動を開始したタイミングを、仮想位置の移動を開始するタイミングとして設定する。その結果、
図15に示すように履歴経路72上の地点Qが移動開始地点として設定されている場合には、車両が出発地から移動を開始すると同時に、仮想位置が出発地ではなく地点Qから移動を開始することとなる(S26)。
【0090】
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るナビゲーション装置及びナビゲーション装置で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザの目的地の設定履歴と設定した目的地に対する車両の走行履歴とを関連付けて走行履歴DB32に記憶する一方で、車両が案内経路に従って走行を行う場合に、案内経路と同一の目的地へと走行した走行履歴を走行履歴DB32から取得し、取得された走行履歴によって特定される履歴経路上であって特に目的地から履歴経路に沿って案内経路の経路長Tだけ離間した地点を移動開始地点として設定し(S42)、移動開始地点から履歴経路に沿って目的地へ向けて移動する車両の仮想位置を液晶ディスプレイ15に表示するので、車両の移動予定経路と近い経路を走行する走行履歴が存在しない場合であっても、同一の目的地へと向かう車両の走行履歴を比較し易い適切な態様で比較対象として案内することが可能となる。そして、ユーザは案内された比較結果を参照することによって、その後に目的地へのより適切な経路を選択することが可能となる。
【0091】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、車両の走行履歴として目的地と車両の現在位置の検出点(位置座標)の履歴を記憶する構成としているが、出発地や経由地についても記憶する構成としても良い。また、車両の現在位置の検出点(位置座標)ではなく検出点を接続した線分(走行軌跡)を記憶する構成としても良い。
【0092】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、案内経路と同一の目的地である走行履歴を案内対象としているが、目的地と出発地の両方が一致する走行履歴を案内対象としても良い。また、経由地が設定されている場合には経由地についても一致する走行履歴を案内対象としても良い。また、自車両の走行履歴のみでなく他車両の走行履歴についても案内対象としても良い。その場合には外部サーバとの通信や車車間通信により他車両の走行履歴を取得するように構成する。
【0093】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、目的地リスト画面61(
図5)に表示された過去の目的地のリストから目的地を選択し、ナビゲーション装置1の目的地として設定する構成としているが、ジャンルや名称から目的地を検索して設定する構成としても良い。
【0094】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、ナビゲーション装置1において案内経路が設定され、案内経路に基づく走行案内が行われている場合に、車両の仮想位置を表示する構成としているが、車両が今後に移動する移動予定経路が特定できれば案内経路の設定や案内経路に基づく走行案内が行われていない状態であっても車両の仮想位置を表示することは可能である。
【0095】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、ユーザの移動案内機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した走行履歴記憶処理プログラム(
図3)や走行案内処理プログラム(
図4)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、車両以外の移動体、例えば、携帯端末等のユーザや2輪車等の移動履歴を走行履歴DB32へと記憶し、案内するように構成しても良い。
【0096】
また、本発明に係る移動案内装置を具体化した実施例について上記に説明したが、移動案内装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0097】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
目的地を設定する目的地設定手段(13)と、ユーザの目的地の設定履歴と設定した目的地に対する前記ユーザの移動履歴とを関連付けて記憶媒体(32)に記憶する履歴記憶手段(13)と、ユーザの移動予定経路(76)を取得する移動予定経路取得手段(13)と、前記移動予定経路と同一地点を目的地とする前記移動履歴を前記記憶媒体から取得する履歴取得手段(13)と、ユーザが前記移動予定経路に沿って移動を開始した場合に、前記履歴取得手段によって取得された移動履歴により特定される履歴経路(72)に沿って、目的地へ向けて移動する前記ユーザの仮想位置を表示する仮想位置表示手段(13)と、を有し、前記仮想位置表示手段は、前記履歴経路上であって前記移動予定経路上を移動するユーザの位置に対応する地点を移動開始地点として前記目的地に向けて移動する前記ユーザの仮想位置(77)を表示する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、ユーザが目的地へと移動する場合において、ユーザの移動予定経路と同一の経路であるかについては問わずに同一の目的地へと過去に走行したユーザの履歴経路を記憶媒体から取得して、該履歴経路に沿って目的地へと移動するユーザの仮想位置を表示するので、移動予定経路と同一の経路を移動した移動履歴が存在しない場合であっても、同一の目的地へと向かうユーザの移動履歴を比較し易い適切な態様で比較対象として案内することが可能となる。また、仮想位置の移動を開始する移動開始地点を、移動予定経路上を移動するユーザの位置に対応する位置に補正するので、移動予定経路と履歴経路の出発地が異なる場合であっても、移動予定経路と履歴経路の比較を容易に行うことが可能となる。そして、ユーザは案内された比較結果を参照することによって、その後に目的地へのより適切な経路を選択することが可能となる。例えば、移動予定経路と履歴経路の出発地となる施設が同一であっても、その施設の面積が広い場合(例えば大型の駐車場である場合)には、互いの出発地が離れるので、移動予定経路と履歴経路の比較が難しくなるが、仮想位置の移動開始地点を補正することによって比較を容易とする。また、ユーザが履歴経路の途中にある地点から移動を開始する場合においても、車両の位置と仮想位置とを合わせることが可能であり、非常に有効である。
【0098】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記仮想位置表示手段(13)は、前記履歴経路(72)上であって前記移動予定経路(76)上を移動するユーザから所定距離以内の地点の内、最も出発地側の地点を前記移動開始地点とする。
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動予定経路と履歴経路の出発地が離れていた場合においても、ユーザが移動する経路と近接する地点から仮想位置の移動を開始させることができるので、移動予定経路と履歴経路とを容易に比較することが可能となる。また、できる限り出発地側に移動開始地点を設定することによって、より長い期間において移動予定経路と履歴経路とを比較することが可能となる。
【0099】
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記ユーザの現在位置を取得する現在位置取得手段(13)を有し、前記仮想位置表示手段(13)は、前記ユーザが前記移動予定経路(76)上の前記移動開始地点と最も接近する地点に到達したタイミングで、前記移動開始地点から前記ユーザの仮想位置(77)の移動を開始する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動予定経路と履歴経路の出発地が離れていた場合においても、ユーザの現在位置と近接した地点から仮想位置の移動を開始させることができるので、仮想位置の動きから移動予定経路と履歴経路とを容易に比較することが可能となる。
【0100】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記仮想位置表示手段(13)は、前記履歴経路(72)上であって前記移動予定経路(76)上を移動するユーザと重複する地点の内、最も出発地側の地点を前記移動開始地点とする。
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動予定経路と履歴経路の出発地が離れていた場合においても、ユーザが移動する経路と重複する地点から仮想位置の移動を開始させることができるので、移動予定経路と履歴経路とを容易に比較することが可能となる。また、できる限り出発地側に移動開始地点を設定することによって、より長い期間において移動予定経路と履歴経路とを比較することが可能となる。
【0101】
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記ユーザの現在位置を取得する現在位置取得手段(13)を有し、前記仮想位置表示手段(13)は、前記ユーザが前記移動開始地点に到達したタイミングで、前記移動開始地点から前記ユーザの仮想位置(77)の移動を開始する
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動予定経路と履歴経路の出発地が離れていた場合においても、ユーザの現在位置と重複する地点から仮想位置の移動を同時に開始させることができるので、仮想位置の動きから移動予定経路と履歴経路とを容易に比較することが可能となる。
【0102】
また、第6の構成は以下のとおりである。
前記移動予定経路(76)において前記ユーザが移動を開始する地点から目的地までの経路長を取得する経路長取得手段(13)を有し、前記仮想位置表示手段は、前記履歴経路(72)上であって目的地から前記履歴経路に沿って前記経路長だけ離間した地点を前記移動開始地点とする。
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動予定経路と履歴経路とが経路長や形状の大きく異なる経路である場合であっても、仮想位置の移動開始位置を目的地までの移動距離がユーザの移動予定経路と同距離となるように補正することによって、目的地への到達順序を用いた移動予定経路と履歴経路との比較が可能となる。
【0103】
また、第7の構成は以下のとおりである。
前記仮想位置表示手段(13)は、前記ユーザが移動を開始したタイミングで、前記移動開始地点から前記ユーザの仮想位置の移動を開始する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動予定経路と履歴経路とが経路長や形状の大きく異なる経路である場合であっても、ユーザと同じ距離を移動する仮想位置がユーザよりも早く目的地に到着するか否かを特定することによって、履歴経路が移動予定経路に比べて同距離をより速く走行できる優れた経路であるか否かについて把握することが可能となる。