(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)経路表示システムの構成:
(2)経路表示システムの処理
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)車載器の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる経路表示システムとしての車載器10の構成を示すブロック図である。車載器10は車両に搭載されている。車載器10は、CPUとRAMとROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、当該記録媒体30やROMに記憶されたナビゲーションプログラム21を制御部20が実行する。
【0011】
記録媒体30は、地図情報30aと経路情報30bを記録している。地図情報30aには、2個のノード間を接続するリンクを特定するリンクデータと、前記ノードを示すノードデータ等を含む。リンクは車両が走行可能な道路区間を意味し、ノードは道路区間の始点または終点に相当する交差点を意味する。リンクデータには、リンクごとに制限速度や旅行時間やリンク長を示す情報が含まれている。
【0012】
リンクデータには、道路区間におけるレーン構造を示す情報が含まれている。レーン構造を示す情報には、道路区間に設けられたレーンの本数を示す情報と、交差点にて接続する他の道路区間と各レーンとの接続関係を示す情報とが含まれている。なお、レーンの本数は道路区間の途中においても変化し得る。例えば、交差点の手前のレーン増設区間において右左折レーンが増設される場合には、道路区間の途中においてレーンの本数が増加する。地図情報30aには、地表の形状(標高)と、地上に存在する地物(道路、レーン、ペイント、中央分離帯、交通標識、建物、街路樹等)の位置と形状とを3次元空間で定義した描画情報が含まれている。
【0013】
経路情報30bは、予め探索された案内経路を示す情報である。具体的に、経路情報30bは、出発地から目的地までを接続する一連の道路区間と、当該道路区間における推奨レーンとを示す情報である。
【0014】
車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在地を算出するための信号を出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43等の出力信号に基づいて車両の走行軌跡を特定することで車両の現在地を取得する。GPS受信部41の出力信号は、車速センサ42およびジャイロセンサ43等から特定される車両の現在地を補正する等に利用される。
【0015】
ユーザI/F部44は、ユーザに各種の情報を提供し、またはユーザの指示を入力するためのインタフェース部であり、本実施形態においては図示しないタッチパネルディスプレイと音声を出力するスピーカーを備えている。制御部20は、当該ユーザI/F部44に対して制御信号を出力して任意の画像を表示し、任意の音声をスピーカーから出力する。また、制御部20は、ユーザI/F部44のタッチパネルディスプレイに対するタッチ操作に基づいて利用者の設定(出発地、目的地等)を取得する。
【0016】
ナビゲーションプログラム21は、本発明の経路表示プログラムに相当する。ナビゲーションプログラム21は、経路探索モジュール21aと交差点図取得モジュール21bと基準位置取得モジュール21cと表示制御モジュール21dとを含む。交差点図取得モジュール21bと基準位置取得モジュール21cと表示制御モジュール21dは、それぞれコンピュータとしての制御部20を交差点図取得部と基準位置取得部と表示制御部として機能させるプログラムモジュールである。
【0017】
経路探索モジュール21aの機能により制御部20は、案内経路を構成する道路区間の探索コストの総和が小さくなるように、案内経路を探索する。すなわち、制御部20は、出発地(例えば現在地)から目的地までを連続的に接続する一連の道路区間の探索コストの総和が小さくなるように、当該一連の道路区間を探索する。例えば、ダイクストラ法等の公知の探索手法を用いてもよい。例えば、探索コストは、区間長や旅行時間等が大きいほど大きくなるように設定されてもよいし、渋滞度が大きいほど大きくなるように設定されてもよい。経路探索モジュール21aの機能により制御部20は、探索された一連の道路区間におけるレーンの接続関係に基づいて、各道路区間における推奨レーンを設定する。制御部20は、ある道路区間の推奨レーンを設定するにあたり、当該道路区間のレーンのうち次に走行する道路区間へと進入可能なレーンを推奨レーンとして設定する。制御部20は、一連の道路区間と、当該道路区間のそれぞれにおける推奨レーンとを案内経路として取得し、当該案内経路を示す経路情報30bを記録媒体30に記録する。
【0018】
交差点図取得モジュール21bの機能により制御部20は、案内経路上の右左折などの案内が行われる交差点の図である交差点図を取得する。交差点図取得モジュール21bの機能により制御部20は、車両の前方の風景を示す交差点図を地図情報30aに基づいて描画して取得する。具体的に、制御部20は、車両の現在地と進行方向とを取得し、車両から一定の距離だけ後方における上空の位置に視点を設定し、当該視点から一定の俯角で進行方向を見た風景を描画した交差点図を取得する。車両(視点)が案内経路上の交差点に接近して当該交差点が交差点図の視野内に入った状態において、当該交差点図が交差点を示す図となる。
図2A,2Bは、交差点図の例を示す。
図2A,2Bに示すように、交差点図取得モジュール21bの機能により制御部20は、車両の現在地と進行方向(矢印の向き)を示すマーカMを交差点図に重畳する。
図2Bの交差点図においては案内経路上の交差点Cが示されている。
【0019】
基準位置取得モジュール21cの機能により制御部20は、地図情報30aが示す交差点の位置である基準位置を取得する。具体的に、制御部20は、案内経路上の交差点に対応するノードを地図情報30aから取得し、当該ノードの位置を基準位置として取得する。地図情報30aの作成過程におけるノードの位置の設定手法は種々考えられるが、概ね交差点の中央にノードの位置が設定されていることとする。
図2Cは、交差点Cを含む道路の平面図である。同図に示すように、交差点Cのほぼ中央のノードの位置が基準位置P
gとして取得されている。
【0020】
表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、交差点図上に表示する案内経路の図である経路図の各構成部分が、基準位置P
gからの距離に応じて強調表示されるように表示部としてのユーザI/F部44を制御する。まず、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、案内経路の形状を取得する。すなわち、制御部20は、経路情報30b出発地と目的地を接続する一連の道路区間のそれぞれにおける推奨レーン同士を接続した案内経路の形状を取得する。
【0021】
図2Cに示すように、交差点に進入する直前に走行すべき推奨レーンを進入レーンR
inと表記し、交差点から退出した直後に走行すべき推奨レーンを退出レーンR
outと表記する。制御部20は、交差点C内において進入レーンR
inと退出レーンR
outとを滑らかに接続する交差点経路R
crを設定する。
【0022】
交差点Cの領域(
図2Cのグレーの領域)がノードデータにおいて定義されている場合、制御部20は、進入レーンR
inと交差点Cの領域との交点を進入レーンR
inの終点とし、退出レーンR
outと交差点Cの領域との交点を退出レーンR
outの始点として設定する。また、交差点Cの領域がノードデータにおいて定義されていない場合、制御部20は、進入レーンR
in上において基準位置P
gから基準距離L
crだけ進入レーンR
inの方向に離れた地点を進入レーンR
inの終点とし、退出レーンR
out上において基準位置P
gから退出レーンR
outの方向に基準距離L
crだけ離れた地点を退出レーンR
outの始点として設定する。基準距離L
crは、交差点Cの縦横の辺の半分の長さであり、例えば交差点Cの平均的な大きさに基づいて設定されてもよいし、交差点Cにて接続している道路区間の規模(レーン数、幅員等)に基づいて設定されてもよい。さらに、基準距離L
crは、進入レーンR
in側と退出レーンR
out側とで異なる値に設定されてもよい。
【0023】
制御部20は、進入レーンR
inの終点と退出レーンR
outの始点にそれぞれ形状制御点P
c4,P
c6を設定し、形状制御点P
c4,P
c6とを接続する交差点経路R
crを設定する。その際に、制御部20は、交差点経路R
crの中央に形状制御点P
c5を設定する。そして、制御部20は、形状制御点P
c4,P
c5,P
c6を予め決められた関数によって滑らかに接続する交差点経路R
crを設定する。形状制御点P
c4,P
c6は固定であるが、制御部20は、交差点経路R
crが理想的な旋回軌跡の形状となるように中央の形状制御点P
c5の位置を調整する。
【0024】
また、単一の道路区間内においてレーン変更が行われる場合、すなわち道路区間の始点における推奨レーンである開始レーンR
chと、道路区間の終点の交差点に進入する進入レーンR
inとが一致しない場合、制御部20は、開始レーンR
chと進入レーンR
inとを滑らかに接続するレーン変更経路R
lcを設定する。制御部20は、進入レーンR
inが交差点Cの手前に増設された右左折レーンである場合、当該右左折レーンの長さである増設距離L
adを取得し、進入レーンR
in上において基準位置P
gから進入レーンR
inに平行な方向に増設距離L
adだけ離れた地点を進入レーンR
inの始点として設定する。さらに、制御部20は、開始レーンR
ch上において進入レーンR
inの始点から進入レーンR
inに平行な方向にレーン変更距離L
lcだけ離れた地点を開始レーンR
chの終点として設定する。すなわち、制御部20は、開始レーンR
ch上において基準位置P
gから進入レーンR
inに平行な方向に増設距離L
adとレーン変更距離L
lcの合計の距離だけ離れた地点を開始レーンR
chの終点として設定する。レーン変更距離L
lcは予め決められた値であり、例えば理想的なレーン変更軌跡の長さであってもよい。本実施形態において、増設距離L
adが地図情報30aのリンクデータに定義されていることとする。増設距離L
adが地図情報30aに定義されていない場合、制御部20は、増設距離L
adとして平均的な距離を用いてもよい。
【0025】
制御部20は、開始レーンR
chの終点と進入レーンR
inの始点にそれぞれ形状制御点P
c1,P
c3を設定し、形状制御点P
c1,P
c3とを接続するレーン変更経路R
lcを設定する。その際に、制御部20は、レーン変更経路R
lcの中央に形状制御点P
c2を設定する。そして、制御部20は、形状制御点P
c1,P
c2,P
c3を予め決められた関数によって滑らかに接続するレーン変更経路R
lcを設定する。形状制御点P
c1,P
c3は固定であるが、制御部20は、レーン変更経路R
lcが理想的なレーン変更軌跡の形状となるように中央の形状制御点P
c2の位置を調整する。
【0026】
図2Cの案内経路Rは、開始レーンR
chとレーン変更経路R
lcと進入レーンR
inと交差点経路R
crと退出レーンR
outとを含んでいる。以上の処理を、案内経路Rを構成する各道路区間について行うことにより、制御部20は、案内経路Rの形状を取得できる。
【0027】
次に、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、案内経路Rを示す経路
図Qを描画する。経路
図Qを描画するにあたり、制御部20は、案内経路Rの色を設定する。具体的に、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、案内経路Rのうち基準位置P
gからの距離が閾値L
in,L
outよりも大きい部分を表す経路
図Qの各構成部分を基本色で表示し、基本色からの色の変化量を大きくすることにより、経路
図Qの各構成部分の強調度を大きくする。
【0028】
本実施形態において、案内経路Rのうち交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inは、交差点Cの手前に増設された右左折レーンの長さである増設距離L
adに応じて設定される。具体的に、制御部20は、増設距離L
adにレーン変更距離L
lcを加算した距離を交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inとして設定する。一方、制御部20は、交差点Cの縦横の辺の半分の長さである基準距離L
crを交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
inとして設定する。従って、案内経路Rのうち交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inは、案内経路のうち交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
outよりも大きくなる。
【0029】
また、案内経路Rのうち交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
outは、交差点Cの大きさが大きいほど大きく設定される。上述したように、交差点Cの領域(
図2Cのグレーの領域)がノードデータにおいて定義されている場合、退出レーンR
outと交差点Cの領域との交点が退出レーンR
outの始点として設定され、当該退出レーンR
outの始点と基準位置P
gとの距離が閾値L
outとなるからである。なお、制御部20は、案内経路R上を走行した場合に車両が右左折する交差点C(進行方向の変化角が閾値以上の交差点C)についてのみ閾値L
in,L
outを設定することとする。すなわち、制御部20は、車両が直進する交差点Cについては経路
図Qを強調表示する対象としない。
【0030】
図2Cに示すように、交差点Cの手前において基準位置P
gからの距離が閾値L
inと等しくなる位置は形状制御点P
c1となる。一方、交差点Cの前方において基準位置P
gからの距離が閾値L
outと等しくなる位置は形状制御点P
c6となる。従って、制御部20は、形状制御点P
c1よりも手前の開始レーンR
chの色として基本色としての白を設定し、形状制御点P
c6よりも前方の退出レーンR
outの色として基本色としての白を設定する。開始レーンR
chと退出レーンR
outに基本色を設定することは、開始レーンR
chと退出レーンR
outを強調しないことを意味する。
【0031】
一方、制御部20は、基本色と異なる色を設定することにより、開始レーンR
chと退出レーンR
outの間の部分を強調表示する。具体的に、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、案内経路Rの形状制御点P
c1〜P
c6を取得し、基準位置P
gからの距離に応じて形状制御点P
c1〜P
c6の強調度としての色の変化量を設定する。表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、基準位置P
gからの距離が小さいほど経路
図Qの各構成部分の強調度が大きくなるように、案内経路Rの色の基本色からの変化量を設定する。本実施形態において、案内経路Rの色は無彩色であることとする。そのため、白と黒との間で明度が小さくなるほど基本色としての白からの色の変化量が大きくなる。案内経路Rの色は有彩色であってもよく、色の変化量は彩度の変化量であってもよいし、色相角の変化量であってもよい。
【0032】
ここで、制御部20は、強調表示を行う範囲内の形状制御点P
c1〜P
c6のそれぞれと基準位置P
gとの距離Lを算出し、当該距離Lの最小値L
minを取得する。
図2Cにおいて、形状制御点P
c5と基準位置P
gとの間の距離Lが最小値L
minとなっている。以下、基準位置P
gとの距離が最も小さくなる形状制御点P
c5を最近接形状制御点とも表記する。制御部20は、案内経路Rのうち最近接形状制御点よりも手前の部分の形状制御点P
c1〜P
c4の色の変化量Kを下記の(1)式によって設定する。
K=1−(L−L
min)/(L
in−L
min) ・・(1)
制御部20は、案内経路Rのうち最近接形状制御点よりも前方の部分(最近接形状制御点も含む)の形状制御点P
c5〜P
c6の色の変化量を下記の(2)式によって設定する。
K=1−(L−L
min)/(L
out−L
min) ・・(2)
【0033】
図3Aは、前記の(1)式と(2)式の関係を示すグラフである。(1)式によれば、形状制御点P
c1〜P
c4が交差点Cの手前に離れるほど基本色からの色の変化量Kが小さくなり、案内経路Rのうち強調表示する部分のなかで最も手前に位置する形状制御点P
c1にて色の変化量Kが最小の0となる。(2)式によれば、形状制御点P
c5〜P
c6が交差点Cの前方に離れるほど基本色からの色の変化量Kが小さくなり、案内経路Rのうち強調表示する部分のなかで最も前方に位置する形状制御点P
c6にて色の変化量Kが最小の0となる。また、最近接形状制御点(形状制御点P
c5)の色の変化量Kが最大の1となる。なお、前記の(1)式と(2)式の代わりに非線形の単調減少関数を適用してもよい。
【0034】
制御部20は、形状制御点P
c1〜P
c6について色の変化量Kを設定すると、当該色の変化量Kに基づいて形状制御点P
c1〜P
c6の色を設定する。例えば、基本色としての白の明度の階調値が255(8ビットの最大階調)であるとすると、制御部20は、形状制御点P
c1〜P
c6の明度の階調値を255×(1−K)によって設定する。
【0035】
表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、案内経路Rのうち形状制御点P
c1〜P
c6以外の部分を表す経路
図Qの構成部分の強調度を形状制御点P
c1〜P
c6の強調度に基づいて補間する。例えば、制御部20は、形状制御点P
c1,P
c2の間の任意の部分の色が、形状制御点P
c1からの距離が小さいほど形状制御点P
c1の色に近づくように補間演算を行う。補間演算は、線形補間であってもよいし、非線形補間であってもよい。
【0036】
以上のようにして案内経路Rの各部分の色を設定すると、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、案内経路Rを示す経路
図Qを描画する。具体的に、制御部20は、交差点図を描画する場合と同じ視点において同じ方向で案内経路Rを見た図を経路
図Qとして描画する。経路
図Qの視点は車両の現在地に追従して目的地側に進行するため、案内経路Rのうち経路
図Qに描画される部分も目的地側に進行することとなる。そして、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、経路
図Qを交差点図上に重畳し、当該交差点図を表示部としてのユーザI/F部44に表示させる。その結果、
図2A,
図2Bに示すような交差点図が表示されることとなる。なお、
図2Aにおいては、前方に交差点Cが迫ってきているが車両が直進する交差点Cであるため、経路
図Qが一様な白色で描画され、強調表示が行われていない。一方、
図2Aにおいては、車両が右折する交差点Cの付近において明度が変化するように経路
図Qが描画され、強調表示が行われている。
【0037】
以上説明した本実施形態において、地図情報30aが示す交差点Cの位置である基準位置P
gからの距離に応じて経路
図Qの各構成部分が強調表示されるため、交差点Cまでの距離感を直感的に認識しやすくすることができる。また、基準位置P
gからの距離が小さいほど経路
図Qの各構成部分の強調度が大きくなるため、構成部分の強調度が大きくなっていること(
図2Bにおいて明度が小さくなること)をもって、交差点に近くなっていると直感的に認識できる。
図2Bのように、経路
図Q上に車両の現在地のマーカMを表示する場合、車両が現在どれぐらい交差点Cに接近しているかを直感的に認識できる。
【0038】
制御部20は、案内経路Rの形状制御点P
c1〜P
c6を取得し、基準位置P
gからの距離Lに応じて形状制御点P
c1〜P
c6の強調度としての色の変化量を設定しているとともに、案内経路Rのうち形状制御点P
c1〜P
c6以外の部分を表す経路
図Qの構成部分の強調度を形状制御点P
c1〜P
c6の強調度に基づいて補間している。これにより、基準位置P
gからの距離Lに応じて経路図の各構成部分の強調度が滑らかに変化するように強調表示をすることができる。
【0039】
さらに、案内経路Rのうち基準位置P
gからの距離が閾値L
in,L
outよりも大きい部分を表す経路
図Qの各構成部分を基本色で表示し、基本色からの色の変化量を大きくすることにより、経路
図Qの各構成部分の強調度を大きくしている。これにより、基本色からの色の変化量によって強調度を表現できる。また、案内経路Rのうち交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inは、案内経路Rのうち交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
outよりも大きいため、交差点Cへの接近を事前に認識しやすくすることができる。一方、案内経路Rのうち交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
outは、交差点Cの大きさが大きいほど大きく設定されるため、大きい交差点Cにおいて当該交差点Cを退出するまでの距離が大きくなることを表現できる。さらに、案内経路Rのうち交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inは、交差点Cの手前に増設された右左折レーンの長さである増設距離L
adに応じて設定されるため、基本色から色が変化し始めたタイミングで右左折レーンにレーン変更すべきことを認識できる。
【0040】
(2)経路表示システムの処理
図3Bは、経路表示処理のフローチャートである。経路表示処理は、案内経路Rが探索された場合に実行される処理である。まず、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、案内経路Rの形状を取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、経路情報30b出発地と目的地を接続する一連の道路区間のそれぞれにおける推奨レーン同士を接続した案内経路Rの形状を取得する。また、
図2Cに示すように、交差点C付近において、案内経路Rは進入レーンR
inと交差点経路R
crと退出レーンR
outとを含む。また、レーン変更を行う道路区間において、案内経路Rは、開始レーンR
chとレーン変更経路R
lcと進入レーンR
inとを含む。
【0041】
次に、基準位置取得モジュール21cの機能により制御部20は、案内経路R上の交差点Cの基準位置P
gを取得する(ステップS110)。具体的に、制御部20は、案内経路R上の交差点Cに対応するノードの位置を地図情報30aから取得し、当該ノードの位置を基準位置P
gとして取得する。
【0042】
次に、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、基本色からの色の変化量が基準位置P
gまでの距離Lが小さいほど大きくなるように案内経路Rの形状制御点P
c1〜P
c6の色を設定する(ステップS120)。ここにおける形状制御点P
c1〜P
c6とは、案内経路Rのうち強調表示を行う部分に存在する形状制御点P
c1〜P
c6である。強調表示を行う部分は、交差点Cの手前において基準位置P
gからの距離が閾値L
inとなる地点から、交差点Cの前方において基準位置P
gからの距離が閾値L
outとなる地点までの部分である。制御部20は、形状制御点P
c1〜P
c6の色の基本色からの色の変化量を前記の(1)式と(2)式に基づいて算出し(
図3A)、当該基本色からの色の変化量に基づいて形状制御点P
c1〜P
c6の明度を設定する。
【0043】
次に、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、強調表示を行う部分のうち形状制御点P
c1〜P
c6以外の構成部分の色を補間演算により設定する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、形状制御点P
c1,P
c2の間の任意の部分の色が、形状制御点P
c1からの距離が小さいほど形状制御点P
c1の色に近づくように補間演算を行う。
【0044】
そして、表示制御モジュール21dの機能により制御部20は、車両の現在地に応じて経路図と交差点図とを描画してユーザI/F部44に表示させる(ステップS140)。すなわち、制御部20は、車両の現在地の後方の上空に視点を設定し、当該視点から進行方向を見た経路
図Qと交差点図とを描画する。そして、制御部20は、交差点図に経路
図Qを重畳し、当該経路
図Qが重畳された交差点図をユーザI/F部44に出力する。
【0045】
(3)他の実施形態:
本発明においては、案内経路の図である経路図の各構成部分を、交差点の基準位置からの距離に応じて強調表示すればよく、以下の実施態様も採用可能である。例えば、案内経路Rのうち交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inは、車速が大きいほど大きく設定されてもよい。具体的に、制御部20は、車速センサ42から得られた車速の単調増加関数によって閾値L
inを算出してもよい。なお、車速は必ずしも車速センサ42から得たものでなくてもよく、制限速度であってもよい。以上の構成において、車速が大きいほど早期に交差点Cへの接近を認識させることができ、交差点Cまで早期に到達する場合に早期に交差点Cへの接近を認識させることができる。この場合、案内経路Rのうち交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inは増設距離L
adに応じて設定されないこととなる。
【0046】
必ずしも、案内経路Rのうち交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inは、案内経路Rのうち交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
outよりも大きくなくてもよい。例えば、案内経路Rのうち交差点Cよりも手前の部分についての閾値L
inは、案内経路Rのうち交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
outと同じ大きさであってもよい。案内経路Rのうち交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
outは、交差点Cの大きさに非依存であってもよい。さらに、必ずしも交差点Cよりも前方の部分についての閾値L
outを設定しなくてもよく、
図2Cに示す最近接形状制御点(形状制御点P
c5)よりも手前の部分のみ強調表示を行うようにしてもよい。
【0047】
交差点図取得部は、交差点の構造を示す交差点図を取得すればよく、交差点図は鳥瞰図であってもよいし、平面図であってもよいし、交差点を撮像した写真であってもよい。交差点図取得部は、作成済みの交差点図を記録媒体等から取得してもよいし、交差点の構造を示すデータに基づいて交差点図を描画して取得してもよい。案内経路とは車両が走行すべき経路であり、案内経路上の交差点とは車両が走行すべき交差点である。また、交差点は3個以上の道路が接続している地点であればよく、高速道路等の分岐地点であってもよい。基準位置とは、地図情報が示す交差点の位置であり、交差点の中央の位置であってもよい。例えば、基準位置は、交差点にて接続している道路(幅方向の中央の線)の交点であってもよいし、平面視における交差点の図形的な中心(重心等)であってもよいし、交差点の中央に形成された菱形ペイントの位置であってもよい。基準位置取得部は、地図情報にて予め定義されている基準位置を記録媒体等から取得してもよいし、交差点の構造を示すデータに基づいて基準位置を算出してもよい。
【0048】
表示制御部は、案内経路の構成部分ごとに強調表示する度合いを基準位置からの距離に応じて変化させればよい。強調表示の手法は種々考えられ、案内経路の線種(実線、破線、鎖線、縁取り、テクスチャー等)を変えることによって強調表示してもよいし、案内経路の太さを変えることによって表徴表示してもよい。経路表示システムは表示部を含んでもよいし、表示部を含まなくてもよい。経路表示システムが表示部を含まない場合、表示制御部は、交差点図と案内経路とを表示させるための表示データを、表示部を備えた装置に送信してもよい。
【0049】
また、表示制御部は、基準位置からの距離が小さいほど経路図の各構成部分の強調度を大きくしてもよい。構成部分の強調度が大きくなっていることをもって、交差点に近くなっていると直感的に認識できる。例えば、経路図上に車両の現在地のマーカを表示する場合、車両が現在どれぐらい交差点に接近しているかを直感的に認識できる。
【0050】
さらに、表示制御部は、案内経路の形状制御点を取得し、基準位置からの距離に応じて形状制御点の強調度を設定し、案内経路のうち形状制御点以外の構成部分の強調度を形状制御点の強調度に基づいて補間してもよい。これにより、基準位置からの距離に応じて経路図の各構成部分の強調度が滑らかに変化するように強調表示をすることができる。
【0051】
また、表示制御部は、案内経路のうち基準位置からの距離が閾値よりも大きい部分を表す経路図の各構成部分を基本色で表示し、基本色からの色の変化量を大きくすることにより、経路図の各構成部分の強調度を大きくしてもよい。これにより、基本色からの色の変化量によって強調度を表現できる。色の変化量とは、少なくとも色相、彩度、明度のいずれか1個の変化量である。
【0052】
さらに、案内経路のうち交差点よりも手前の部分についての閾値は、案内経路のうち交差点よりも前方の部分についての閾値よりも大きくてもよい。すなわち、交差点よりも手前の部分について早めに強調を開始することにより、交差点への接近を事前に認識しやすくすることができる。
【0053】
また、案内経路のうち交差点よりも手前の部分についての閾値は、交差点の手前に増設された右左折レーンの長さに応じて設定されてもよい。これにより、基本色から色が変化し始めたタイミングで右左折レーンにレーン変更すべきことを認識できる。
【0054】
さらに、案内経路のうち交差点よりも手前の部分についての閾値は、車速が大きいほど大きく設定されてもよい。これにより、車速が大きいほど早期に交差点への接近を認識させることができ、交差点まで早期に到達する場合に早期に交差点への接近を認識させることができる。
【0055】
また、案内経路のうち交差点よりも前方の部分についての閾値は、交差点の大きさが大きいほど大きく設定されてもよい。これにより、大きい交差点において当該交差点を退出するまでの距離が大きくなることを表現できる。
【0056】
さらに、本発明のように、案内経路の図である経路図の各構成部分を、交差点の基準位置からの距離に応じて強調表示する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。
また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステム、地図情報表示システムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。