特許第6623897号(P6623897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623897
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】漏洩流体の流出防止カバー
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/02 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   H01F27/02 E
   H01F27/02 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-67776(P2016-67776)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-183473(P2017-183473A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】井谷 晋平
(72)【発明者】
【氏名】原野 隆晃
(72)【発明者】
【氏名】明石 勝樹
【審査官】 鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−166893(JP,U)
【文献】 実開昭61−137196(JP,U)
【文献】 特開平10−267186(JP,A)
【文献】 特開平04−181095(JP,A)
【文献】 特開2003−074342(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0216901(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/02
F16L 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内部から漏洩した非圧縮性の流体が外部に流出することを防止できる漏洩流体の流出防止カバーであって、
先端金具を一端部に有し、一端部側を係止自在なバックルを他端部に有し、前記管の外周に装着自在な一組の帯状のベルト部材と、
一方の面を開口し、対向する一対の側面及び底面を山折りと谷折りが繰り返す屈曲自在なアコーディオン構造で構成した箱状のカバー部材と、を備え、
前記ベルト部材は、前記先端金具から前記バックルに亘り、当該ベルト部材の長手方向に沿って、幅方向の一方の端部に配置された案内部材を有し、
前記カバー部材は、一対の前記案内部材が対向配置された状態で、前記案内部材に案内される複数のリング部材を一対の前記側面の開口端に有し、
前記カバー部材は、前記流体を内部に回収自在に、前記開口端を前記管の外周に密着できる、漏洩流体の流出防止カバー。
【請求項2】
複数の前記リング部材は、少なくとも、前記カバー部材の開口端の四隅に配置されている、請求項1記載の漏洩流体の流出防止カバー。
【請求項3】
前記ベルト部材は、
その長手方向に沿って配列した複数の係止孔と、
前記バックルに配置され、前記係止孔に施錠自在なピン状の留め金と、を有している、請求項1又は2記載の漏洩流体の流出防止カバー。
【請求項4】
前記案内部材は、屈曲自在な線状体からなる、請求項1から3のいずれかに記載の漏洩流体の流出防止カバー。
【請求項5】
前記案内部材は、前記ベルト部材の一方の面に配置された帯状の補助ベルトからなる、請求項1から3のいずれかに記載の漏洩流体の流出防止カバー。
【請求項6】
前記リング部材は、前記案内部材の外周方向から係脱自在なキーリングからなる、請求項1から5のいずれかに記載の漏洩流体の流出防止カバー。
【請求項7】
前記カバー部材は、前記流体が流出しないように、少なくとも内面を防水処理している、請求項1から6のいずれかに記載の漏洩流体の流出防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の漏洩防止カバーに関する。特に、発電所又は変電所などに設置した管から漏洩した油などの流体が地面などの外部に流出することを防止する、漏洩流体の流出防止カバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、発電所又は変電所などでは、ラジエータ付きの変圧器を設置している。そして、変圧器本体とラジエータを送油管で接続し、変圧器本体とラジエータの間に、ラジエータで冷却した油を循環させることで、変圧器本体を冷却している。
【0003】
このような、ラジエータ付きの変圧器は、変圧器本体とラジエータを容易に分離又は連結するために、変圧器本体側から延びる第1の送油管の端部に設けた第1のフランジと、ラジエータ側から延びる第2の送油管の端部に設けた第2のフランジと、を備え、パッキンを介して、第1のフランジと第2のフランジをボルト部材で連結している。
【0004】
ところで、経年変化などでパッキンが劣化してくると、第1のフランジと第2のフランジの間から油が漏洩し、油が地面に流出する心配があった。このような事態になると、油が地中に浸透して、土壌又は水質を汚染する遠因になる心配があった。
【0005】
上述したような事態を防止するため、互いに連結した一組のフランジの周囲を密封自在に覆う一対の半円筒状の透明カバーと、一対の透明カバーの内部に収容自在な油用吸着材で構成した漏油防止カバーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1による漏油防止カバーは、一対の透明カバーの一端部を回動自在に連結し、一対の透明カバーの他端部側を開閉自在に構成し、一方の透明カバーの他端部にロック操作レバーを取り付け、他方の透明カバーの他端部に掛け金錠を取り付けることで、一対の透明カバーを開いて、一組のフランジに素早く導入できる、としている。
【0007】
特許文献1に開示した漏油防止カバーに類似したものとして、絶縁油を内部に収容した柱上変圧器の外周が落雷などで破損し、絶縁油が漏洩した場合に、漏洩部を被って、絶縁油の外部への流出を防止できる、流体漏れ防止カバーが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
特許文献2による流体漏れ防止カバーは、有底筒形の透明カバーと、透明カバーの開口端の周縁部に装着し、柱上変圧器の外周に密着自在なリング状のパッキンと、パッキンの内壁に嵌合した円板状の油吸着マットと、一端部を透明カバーの中間部に係留し、柱上変圧器の外周に延在して密着するように、他端部を互いに係留自在な一組のゴム紐と、を備えている。
【0009】
特許文献2による流体漏れ防止カバーは、油吸着マットを柱上変圧器の漏洩部に当接し、一組のゴム紐の他端部を互いに係留し、漏洩部を油吸着マットで押圧し、油吸着マットを介して、漏洩した絶縁油を透明カバーの内部に収容することで、絶縁油が外部に流出することを防止できる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−100868号公報
【特許文献2】特開2008−34552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発電所又は変電所などに設置した管から漏油が発見又は検出された場合には、漏油が地面などの外部に流出することを直ちに防止する必要がある。この場合、漏油個所の部品を交換して漏油を防止する、いわゆる、完全復旧を即座に実施すことは困難なことが多い。完全復旧を後日に予定し、漏油が地面などの外部に流出すること早急に防止する、いわゆる、応急対策を直ちに実施する必要がある。
【0012】
漏油個所をウエス(布切れ)などで塞ぐ、又は、漏油を回収する受け皿を設置するなどの応急対策も有効である。しかし、特許文献1による漏油防止カバー、又は、特許文献2による流体漏れ防止カバーを用意しておけば、漏油の外部への流出を早急にかつ確実に防止できる、と考えられる。
【0013】
しかし、特許文献1による漏油防止カバーは、一対の透明カバーの内径が送油管の回りに密着するように構成しているので、異なる外径の送油管が混在している現状では、複数種類の漏油防止カバーを用意する必要がある。
【0014】
発電所又は変電所などでは、多数の送油管を配置している。又、これらの送油管の中から漏油を予測することは、一般に困難であり、複数種類の漏油防止カバーを用意しておくことは、経済的な負担が大きいという問題がある。異なる外径の送油管に対応できるように、汎用性のある漏洩流体の流出防止カバーが求められている。
【0015】
一方、特許文献2による流体漏れ防止カバーは、伸縮自在な一組のゴム紐で管体の回りを閉じているので、異なる外径の送油管に対応できる。しかし、特許文献2による流体漏れ防止カバーは、送油管の外径方向に沿って亀裂が生じた場合には、円板状の油吸着マットでは、漏油を阻止すること困難と考えられる。送油管の曲面に油吸着マットの平面が当接しているからである。送油管の外径方向の亀裂に対応できる、汎用性のある漏洩流体の流出防止カバーが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0016】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、管から漏洩した流体が外部に流出することを防止する漏洩流体の流出防止カバーであって、異なる外径の管に対応できるように、汎用性のある漏洩流体の流出防止カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、非圧縮性の流体を内部に有する管の外周に装着自在な一組の帯状のベルト部材と、対向する一対の側面及び底面を山折りと谷折りが繰り返す屈曲自在なアコーディオン構造で構成した箱状のカバー部材で漏洩流体の流出防止カバーを構成し、ベルト部材には、その長手方向に沿って案内部材を配置し、カバー部材には、一対の案内部材に案内される複数のリング部材を開口端に配置し、カバー部材の開口端を管の外周に密着させることで、異なる外径の管に対応できるように、漏洩流体をカバー部材の内部に回収できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな漏洩流体の流出防止カバーを発明するに至った。
【0018】
(1)本発明による漏洩流体の流出防止カバーは、管の内部から漏洩した非圧縮性の流体が外部に流出することを防止できる漏洩流体の流出防止カバーであって、先端金具を一端部に有し、一端部側を係止自在なバックルを他端部に有し、前記管の外周に装着自在な一組の帯状のベルト部材と、一方の面を開口し、対向する一対の側面及び底面を山折りと谷折りが繰り返す屈曲自在なアコーディオン構造で構成した箱状のカバー部材と、を備え、前記ベルト部材は、前記先端金具から前記バックルに亘り、当該ベルト部材の長手方向に沿って、幅方向の一方の端部に配置された案内部材を有し、前記カバー部材は、一対の前記案内部材が対向配置された状態で、前記案内部材に案内される複数のリング部材を一対の前記側面の開口端に有し、前記カバー部材は、前記流体を内部に回収自在に、前記開口端を前記管の外周に密着できる。
【0019】
(2)複数の前記リング部材は、少なくとも、前記カバー部材の開口端の四隅に配置されていることが好ましい。
【0020】
(3)前記ベルト部材は、その長手方向に沿って配列した複数の係止孔と、前記バックルに配置され、前記係止孔に施錠自在なピン状の留め金と、を有していることが好ましい。
【0021】
(4)前記案内部材は、屈曲自在な線状体からなってもよい。
【0022】
(5)前記案内部材は、前記ベルト部材の一方の面に配置された帯状の補助ベルトからなってもよい。
【0023】
(7)前記リング部材は、前記案内部材の外周方向から係脱自在なキーリングからなることが好ましい。
【0024】
(8)前記カバー部材は、前記流体が流出しないように、少なくとも内面を防水処理していることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明による漏洩流体の流出防止カバーは、管の外周に装着自在な一組の帯状のベルト部材と、対向する一対の側面及び底面をアコーディオン構造で構成した箱状のカバー部材を備え、ベルト部材の長手方向に沿って配置された案内部材とカバー部材の開口端を複数のリング部材で連結しているので、異なる外径の管に対応して、漏洩流体をカバー部材の内部に回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による漏洩流体の流出防止カバーの構成を示す平面図である。
図2】前記実施形態による漏洩流体の流出防止カバーの一使用例を示す図であり、図2(A)は、カバー部材の開口端を菅の外周に密着した状態を示す正面図、図2(B)は、図2(A)の下面図である。
図3】前記実施形態による漏洩流体の流出防止カバーの他の使用例を示す斜視図である。
図4】前記実施形態による漏洩流体の流出防止カバーに備わるカバー部材の構成を示す斜視図である。
図5】前記実施形態による漏洩流体の流出防止カバーに備わるカバー部材の構成を示す図であり、図5(A)は、カバー部材の平面図、図5(B)は、カバー部材の正面図、図5(C)は、カバー部材の右側面図、図5(D)は、カバー部材の下面図、図5(E)は、図5(A)のA−A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[漏洩流体の流出防止カバーの構成]
最初に、本発明の一実施形態による漏洩流体の流出防止カバーの構成を説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による漏洩流体の流出防止カバーの構成を示す平面図である。図2は、前記実施形態による漏洩流体の流出防止カバーの一使用例を示す図であり、図2(A)は、カバー部材の開口端を菅の外周に密着した状態を示す正面図、図2(B)は、図2(A)の下面図である。
【0029】
図3は、前記実施形態による漏洩流体の流出防止カバーの他の使用例を示す斜視図である。図4は、前記実施形態による漏洩流体の流出防止カバーに備わるカバー部材の構成を示す斜視図である。
【0030】
図5は、前記実施形態による漏洩流体の流出防止カバーに備わるカバー部材の構成を示す図であり、図5(A)は、カバー部材の平面図、図5(B)は、カバー部材の正面図、図5(C)は、カバー部材の右側面図、図5(D)は、カバー部材の下面図、図5(E)は、図5(A)のA−A矢視断面図である。
【0031】
(全体構成)
図1から図5を参照すると、本発明の一実施形態による漏洩流体の流出防止カバー(以下、流出防止カバーと略称する)10は、管Pの内部から漏洩した非圧縮性の流体Lが外部に流出することを防止できる。そして、流出防止カバー10は、一組の帯状のベルト部材1・1と箱状のカバー部材2を備えている。
【0032】
図1又は図3を参照すると、ベルト部材1は、先端金具1aを一端部に有している。又、ベルト部材1は、バックル1bを他端部に有している。バックル1bは、ベルト部材1の一端部側を任意の位置で係止できる。そして、ベルト部材1は、管Pの外周に装着できる(図3参照)。
【0033】
図1から図5を参照すると、カバー部材2は、一方の面を開口している。又、カバー部材2は、対向する一対の側面21s・21s及び底面21bを山折りmfと谷折りvfが繰り返す屈曲自在なアコーディオン構造で構成している(図5参照)。
【0034】
図1又は図3を参照すると、ベルト部材1は、屈曲自在な線状体からなる案内部材1gを有している。案内部材1gは、先端金具1aからバックル1bに亘り、ベルト部材1の長手方向に沿って、幅方向の一方の端部に配置されている。
【0035】
図1又は図3及び図5を参照すると、カバー部材2は、複数のリング部材3rを一対の側面21s・21sの開口端20eに有している。これらのリング部材3rは、一対の案内部材1g・1gが対向配置された状態で(図1又は図3参照)、これらの案内部材1g・1gに案内される。
【0036】
図2に示した一使用例では、カバー部材2は、開口端20eを管Pの外周に密着できる。そして、カバー部材2は、管Pから漏洩した流体Lを内部に回収できる。図3に示した他の使用例では、カバー部材2を管Pの下方に配置して、管Pの亀裂Crから漏洩した流体Lを内部に回収できる。
【0037】
図1から図5を参照すると、実施形態による流出防止カバー10は、管Pの外周に装着自在な一組の帯状のベルト部材1・1と、対向する一対の側面21s・21s及び底面21bをアコーディオン構造で構成した箱状のカバー部材2を備え、ベルト部材1の長手方向に沿って配置された案内部材1gとカバー部材2の開口端20eを複数のリング部材3rで連結しているので、異なる外径の管Pに対応して、漏洩流体をカバー部材2の内部に回収できる。
【0038】
(ベルト部材の構成)
次に、実施形態によるベルト部材1の構成を説明する。図1又は図3を参照すると、ベルト部材1は、合成繊維を密に編み込んだ帯状の布製ベルトで構成することができる。又、ベルト部材1は、天然皮革又は合成皮革で構成した革製ベルトも使用できる。
【0039】
図1又は図3を参照すると、ベルト部材1は、複数の係止孔1hとピン状の留め金1cを有している。複数の係止孔1hは、ベルト部材1の長手方向に沿って配列されている。留め金1cは、バックル1bに配置されている。留め金1cは、その基端部をバックル1bと回動自在に連結している。留め金1cを起立させた状態で、任意の位置の係止孔1hに留め金1cを挿通でき、この係止孔1hに施錠できる。
【0040】
図3を参照すると、ベルト部材1は、管Pの外径に対応して、その巻き付け長さを調整できる。又、ベルト部材1は、管Pへの締め付け力も調整できる。図1を参照して、ベルト部材1には、ベルト通し1dを更に配置することが好ましく、ベルト部材1の一端部側をベルト通し1dに挿通することで、ベルト部材1の一端部側を保持できる。
【0041】
図1又は図3を参照すると、実施形態による案内部材1gは、鋼線などの線条体で構成しているが、案内部材1gは、ベルト部材1の一方の面に配置された帯状の補助ベルト(図示せず)で構成することもできる。
【0042】
(カバー部材の構成)
次に、実施形態によるカバー部材2の構成を説明する。図1から図5を参照して、カバー部材2は、シリコーンゴムなどで成形することが好ましい。カバー部材2は、流体Lが流出しないように、少なくとも内面を防水処理しておくことが好ましい。カバー部材2は、図2に示すように、管Pの外周を輪帯状に囲うこともでき、図3に示すように、一方の面を開口した箱形の形状を維持することもできる。
【0043】
図1から図5を参照すると、カバー部材2は、相反する向きに向かう一対のイヤー(耳片)23・23を備えている。一対のイヤー23・23は、一対の側面21s・21sの開口端20eに連設している。
【0044】
図1から図5を参照すると、イヤー23には、リング部材3rが挿通自在な穴23hを中央部に開口している。リング部材3rは、穴23hに係脱自在なキーリングからなることが好ましい。リング部材3rをキーリングで構成することで、案内部材1gの外周方向からリング部材3rを係脱できる(図1又は図5参照)。
【0045】
図1又は図3を参照すると、複数のリング部材3rは、少なくとも、カバー部材2の開口端20eの四隅に配置されている。図3を参照して、これらのリング部材3rを一対の案内部材1g・1gに連結することで、管Pから漏洩した流体Lを回収する受け皿として、カバー部材2を使用できる。流体Lが油の場合は、カバー部材2の底部に油吸収シート(図示せず)を敷設しておくことが、油を確実に吸収できて好ましい。
【0046】
一方、図1を参照して、全てのイヤー23にリング部材3rを係合し、これらのリング部材3rを一対の案内部材1g・1gに連結し、一組のベルト部材1・1を管Pの外周に装着することで、図2に示すように、管Pの外周を輪帯状に囲うことができる。
【0047】
[漏洩流体の流出防止カバーの作用]
次に、実施形態による流出防止カバー10の作用及び効果を説明する。図1又は図5を参照すると、流出防止カバー10は、非圧縮性の流体Lを内部に有する管Pの外周に装着自在な一組の帯状のベルト部材1・1と、対向する一対の側面21s・21s及び底面21bをアコーディオン構造で構成した箱状のカバー部材2を備え、ベルト部材1の長手方向に沿って配置された案内部材1gとカバー部材2の開口端20eを複数のリング部材3rで連結しているので、異なる外径の管Pに対応して、管Pから漏洩した流体Lをカバー部材2の内部に回収できる。
【0048】
図1又は図2を参照して、図1を参照して、全てのイヤー23にリング部材3rを係合し、これらのリング部材3rを一対の案内部材1g・1gに連結し、一組のベルト部材1・1を管Pの外周に装着することで、図2に示すように、管Pの外周を輪帯状に囲うことができる。そして、管Pから漏洩した流体Lをカバー部材2の内部に回収できる。
【0049】
又、図3を参照して、カバー部材2の開口端20eの四隅に配置されたリング部材3rを一対の案内部材1g・1gに連結し、カバー部材2を管Pの下方に配置して、管Pの亀裂Crから漏洩した流体Lを内部に回収できる。
【0050】
図3を参照して、カバー部材2が延びる方向と管Pが延びる方向が略直交するように、カバー部材2を管Pの下方に配置することで、一対のフランジの間から漏洩した流体をカバー部材2の内部に回収できる。
【0051】
発明による漏洩流体の流出防止カバーは、非圧縮性の流体を内部に有する管の外周に装着自在な一組の帯状のベルト部材と、対向する一対の側面及び底面を山折りと谷折りが繰り返す屈曲自在なアコーディオン構造で構成した箱状のカバー部材を備え、ベルト部材には、その長手方向に沿って案内部材を配置し、カバー部材には、一対の案内部材に案内される複数のリング部材を開口端に配置し、異なる外径の管に対応できるように、漏洩流体をカバー部材の内部に回収できる。
【0052】
本発明による漏洩流体の流出防止カバーは、次のような効果が奏される。
(1)複数種類の漏油防止カバーを用意する必要が無くなり、これにより経済的負担を軽減できる。
(2)流体の漏洩範囲が変化した場合は、カバー部材を伸縮させることで調整できる。
(3)管への着脱が容易であり、応急対策に優れている。
(4)管の外周を覆う、又は管の下方に箱状に配置できるなど、カバー部材の形状を多様に変化できる。
(5)漏油のみでなく漏水にも使用できる。
(6)伸縮自在又は折り畳み自在に部品を構成しているので、保管スペースを縮小できる。
【0053】
本発明は、発電所又は変電所などに設置した管から漏洩した油などの流体が地面などの外部に流出することを防止する漏洩流体の流出防止カバーを開示したが、本発明による漏洩流体の流出防止カバーは、発電所又は変電所以外でも適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 ベルト部材
1a 先端金具
1b バックル
1g 案内部材
2 カバー部材
3r リング部材
10 流出防止カバー(漏洩流体の流出防止カバー)
20e 開口端(カバー部材の開口端)
21b 底面
21s・21s 一対の側面
L 流体
P 管
図1
図2
図3
図4
図5