(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記交点演算部は、第1交点、前記評価断面に平行な方向にて前記第1交点の座標よりも大きい座標を有する第2交点及び前記方向にて前記第1交点の座標よりも小さい座標を有する第3交点を演算する座標演算部を備え、
前記特徴量演算部は、前記第1交点、第2交点及び第3交点の座標に基づいて、前記第1交点の二階差分を演算する二階差分演算部を備えること
を特徴とする請求項1に記載の加工経路演算装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、モデルの表面形状を生成する為には、高速処理可能な高価な演算装置が必要であり、費用が嵩む。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、モデルを生成することなく、安価にモデル表面の欠陥を認識することができる加工経路演算装置、加工経路演算方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加工経路演算装置は、主軸の位置を指示する複数の指令点に基づいて、ワークを加工する為の加工経路を演算する加工経路演算装置において、前記加工経路に交差する評価断面を設定する設定部と、該設定部にて設定した評価断面及び前記加工経路の交点を演算する交点演算部と、該交点演算部にて演算した交点に関し、加工後のワーク表面の凹凸度合を示す特徴量を演算する特徴量演算部と、該特徴量演算部にて演算した特徴量に対応する画像データを生成する生成部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る加工経路演算装置は、前記交点演算部は、第1交点、前記評価断面に平行な方向にて前記第1交点の座標よりも大きい座標を有する第2交点及び前記方向にて前記第1交点の座標よりも小さい座標を有する第3交点を演算する座標演算部を備え、前記特徴量演算部は、前記第1交点、第2交点及び第3交点の座標に基づいて、前記第1交点の二階差分を演算する二階差分演算部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る加工経路演算装置は、前記交点演算部は複数の交点を演算し、前記特徴量演算部は、一の交点の周囲にある複数の他の交点を用いて曲線を設定し、設定した曲線上に前記一の交点に対応する対応点を投影し、前記対応点と前記一の交点の距離を演算する距離演算部を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る加工経路演算装置は、前記交点演算部は複数の交点を演算し、前記特徴量演算部は、第4交点と、該第4交点の両隣に夫々位置する第5交点及び第6交点とを演算し、前記第4交点及び第5交点を結ぶ線分と前記第4交点及び第6交点を結ぶ線分が形成する角度を演算する角度演算部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る加工経路演算装置は、前記特徴量演算部にて演算した特徴量が予め設定した閾値以下であるか否かを判定する判定部を備え、前記生成部は、前記判定部にて前記特徴量演算部にて演算した特徴量が前記閾値以下であると判定した場合、第1画像データを生成し、前記判定部にて前記特徴量演算部にて演算した特徴量が前記閾値を超過したと判定した場合、前記第1画像データとは異なる形式で前記特徴量を表示する第2画像データを生成することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る加工経路演算方法は、主軸の位置を指示する複数の指令点に基づいて、ワークを加工する為の加工経路を演算する加工経路演算方法において、前記加工経路に交差する評価断面を設定し、設定した評価断面及び前記加工経路の交点を演算し、演算した交点に関し、加工後のワーク表面の凹凸度合を示す特徴量を演算し、演算した特徴量に対応する画像データを生成することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るコンピュータプログラムは、主軸の位置を指示する複数の指令点に基づいて、ワークを加工する為の加工経路を演算する加工経路演算装置で実行可能なコンピュータプログラムにおいて、前記加工経路演算装置に、前記加工経路に交差する評価断面を設定し、設定した評価断面及び前記加工経路の交点を演算し、演算した交点に関し、加工後のワーク表面の凹凸度合を示す特徴量を演算し、演算した特徴量に対応する画像データを生成する処理を実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、評価断面と加工経路との交点に関し、加工後のワーク表面の凹凸度合を示す特徴量を演算し、演算した特徴量に対応する画像データを生成する。加工後のワーク形状を生成すること無く、生成した画像データによって加工後のワーク表面を表示することができる。
【0015】
本発明においては、第1交点、第2交点及び第3交点を演算し、演算した第1交点、第2交点及び第3交点の座標に基づいて、第1交点の二階差分を演算する。演算した二階差分に基づいて、特徴量の演算を実現する。
【0016】
本発明においては、一の交点の周囲にある複数の他の交点を用いて曲線(例えばスプライン曲線、ベジェ曲線、NURBS曲線)を設定する。曲線上に一の交点に対応する対応点を投影し、対応点と一の交点の距離を演算する。演算した距離に基づいて、特徴量の演算を実現する。
【0017】
本発明においては、第4交点、第5交点及び第6交点を演算し、第4交点及び第5交点を結ぶ線分と第4交点及び第6交点を結ぶ線分が形成する角度を演算する。演算した角度に基づいて、特徴量の演算を実現する。
【0018】
本発明においては、特徴量が閾値以下であると判定した場合、第1画像データ(例えば青色の画像データ)を生成し、特徴量が閾値を超過したと判定した場合、第1画像データとは異なる形式で特徴量を表示する第2画像データ(例えば赤色の画像データ)を生成する。作業者は、第1画像データ及び第2画像データによって形成された画像を視認し、欠陥を認識することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る加工経路演算装置、加工経路演算方法及びコンピュータプログラムにあっては、評価断面と加工経路との交点に関し、加工後のワーク表面の凹凸度合を示す特徴量を演算し、演算した特徴量に対応する画像データを生成する。そのため、加工後のワーク形状を生成すること無く、表示装置は、生成した画像データに基づいて、加工後のワーク表面を表示装置に表示することができ、作業者は、ワーク表面の欠陥を視認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では図において矢印で示す上下、左右及び前後を使用する。
図1は工作機械を略示する斜視図である。
【0022】
工作機械は前後に延びた矩形の基台1を備える。基台1上部の前側にワークを保持するワーク保持部3が設けてある。ワーク保持部3は左右方向を軸方向としたA軸及び上下方向を軸方向としたC軸回りに回転可能である。
【0023】
基台1上部の後側に後述するコラム4を支持する為の支持台2が設けてある。支持台2上部に、前後方向に移動するY軸方向移動機構10が設けてある。Y軸方向移動機構10は、前後に延びた二つのレール11と、Y軸螺子軸12と、Y軸モータ13と、ベアリング14とを備える。
【0024】
レール11は支持台2上部の左右夫々に設けてある。Y軸螺子軸12は前後に延び、二つのレール11の間に設けてある。Y軸螺子軸12の前端部及び中途部夫々にベアリング14が設けてある。なお中途部に設けたベアリングの図示は省略する。Y軸モータ13はY軸螺子軸12の後端部に連結している。
【0025】
Y軸螺子軸12には転動体(図示略)を介してナット(図示略)が螺合している。転動体は例えばボールである。各レール11に複数の摺動子15が摺動可能に設けてある。ナット及び摺動子15の上部に移動板16が連結している。移動板16は水平方向に延びる。Y軸モータ13の回転によってY軸螺子軸12は回転し、ナットは前後方向に移動し、移動板16は前後方向に移動する。
【0026】
移動板16上面に左右方向に移動するX軸方向移動機構20が設けてある。X軸方向移動機構20は、左右に延びた二つのレール21と、X軸螺子軸22と、X軸モータ(図示略)と、ベアリング24とを備える。
【0027】
レール21は移動板16上面の前後夫々に設けてある。X軸螺子軸22は左右に延び、二つのレール21の間に設けてある。X軸螺子軸22の左端部及び中途部夫々にベアリング24が設けてある。なおX軸螺子軸22の中途部に設けたベアリングの記載は省略する。X軸モータはX軸螺子軸22の右端部に連結している。
【0028】
X軸螺子軸22には転動体(図示略)を介してナット(図示略)が螺合している。X軸螺子軸22にグリスが塗布してある。各レール21に複数の摺動子26が摺動可能に設けてある。ナット及び摺動子26の上部にコラム4が連結している。コラム4は柱状をなす。X軸モータの回転によってX軸螺子軸22は回転し、ナットは左右方向に移動し、コラム4は左右方向に移動する。
【0029】
コラム4の前面に上下方向に移動するZ軸方向移動機構30が設けてある。Z軸方向移動機構30は、上下に延びた二つのレール31と、Z軸螺子軸32と、Z軸モータ33と、ベアリング34とを備える。
【0030】
レール31はコラム4前面の左右夫々に設けてある。Z軸螺子軸32は上下に延び、二つのレール31の間に設けてある。Z軸螺子軸32の下端部及び中途部夫々にベアリング34が設けてある。なお中途部に設けたベアリングの図示は省略する。Z軸モータ33はZ軸螺子軸32の上端部に連結している。
【0031】
Z軸螺子軸32には転動体(図示略)を介してナット(図示略)が螺合している。Z軸螺子軸32にグリスが塗布してある。各レール31に複数の摺動子35が摺動可能に設けてある。ナット及び摺動子35の前部に主軸ヘッド5が連結している。Z軸モータ33の回転によってZ軸螺子軸32は回転し、ナットは上下方向に移動し、主軸ヘッド5は上下方向に移動する。Z軸モータ33、Z軸螺子軸32、ナット及び転動体はボールねじ機構を構成する。
【0032】
上下に延びた主軸5aが主軸ヘッド5内に設けてある。主軸5aは軸回りに回転する。主軸ヘッド5の上端部に主軸モータ6が設けてある。主軸5aの下端部は工具を装着する。主軸モータ6の回転によって主軸5aが回転し、工具が回転する。回転した工具は、ワーク保持部3に保持したワークを加工する。
【0033】
工作機械は工具を交換する工具交換装置(図示略)を備える。工具交換装置は工具マガジン(図示略)に収容した工具と主軸5aに装着した工具を交換する。
【0034】
図2は制御装置50の構成を略示するブロック図である。制御装置50(加工経路演算装置)は、CPU51、記憶部52、RAM53及び入出力インタフェース54を備える。記憶部52は書き換え可能なメモリであり、例えばEPROM、EEPROM等である。制御装置50は記憶部52に記憶した制御プログラムに基づいて、工作機械を制御する。記憶部52は後述する交点テーブル、色テーブル、経路番号i、指令点P
k、交点S
id、kの最終番号等を記憶する(d、i、kは自然数)。制御装置50は予め制御プログラムを格納したROMを備えていてもよい。
【0035】
作業者が操作部7を操作した場合、操作部7から入出力インタフェース54に信号が入力する。操作部7は例えばキーボード、ボタン、タッチパネル等である。入出力インタフェース54は表示部8に信号を出力する。表示部8は文字、図形、記号等を表示する。表示部8は例えば液晶表示パネルである。
【0036】
制御装置50は、X軸モータ23に対応したX軸制御回路55、サーボアンプ55a及び微分器23bを備える。X軸モータ23はエンコーダ23aを備える。X軸制御回路55はCPU51からの指令に基づいて、電流量を示す命令をサーボアンプ55aに出力する。サーボアンプ55aは前記命令を受け、X軸モータ23に駆動電流を出力する。
【0037】
エンコーダ23aはX軸制御回路55に位置フィードバック信号を出力する。X軸制御回路55は位置フィードバック信号に基づいて、位置のフィードバック制御を実行する。
【0038】
エンコーダ23aは微分器23bに位置フィードバック信号を出力し、微分器23bは位置フィードバック信号を速度フィードバック信号に変換して、X軸制御回路55に出力する。X軸制御回路55は、速度フィードバック信号に基づいて、速度のフィードバック制御を実行する。
【0039】
サーボアンプ55aが出力した駆動電流の値を電流検出器55bが検出する。電流検出器55bは駆動電流の値をX軸制御回路55にフィードバックする。X軸制御回路55は駆動電流の値に基づいて、電流制御を実行する。
【0040】
制御装置50は、Y軸モータ13に対応したY軸制御回路56、サーボアンプ56a及び微分器13bを備える。Y軸モータ13はエンコーダ13aを備える。Y軸制御回路56はCPU51からの指令に基づいて、電流量を示す命令をサーボアンプ56aに出力する。サーボアンプ56aは前記命令を受け、Y軸モータ13に駆動電流を出力する。
【0041】
エンコーダ13aはY軸制御回路56に位置フィードバック信号を出力する。Y軸制御回路56は位置フィードバック信号に基づいて、位置のフィードバック制御を実行する。
【0042】
エンコーダ13aは微分器13bに位置フィードバック信号を出力し、微分器13bは位置フィードバック信号を速度フィードバック信号に変換して、Y軸制御回路56に出力する。Y軸制御回路56は、速度フィードバック信号に基づいて、速度のフィードバック制御を実行する。
【0043】
サーボアンプ56aが出力した駆動電流の値を電流検出器56bが検出する。電流検出器56bは駆動電流の値をY軸制御回路56にフィードバックする。Y軸制御回路56は駆動電流の値に基づいて、電流制御を実行する。
【0044】
制御装置50は、Z軸モータ33に対応したZ軸制御回路57、サーボアンプ57a及び微分器33bを備える。Z軸モータ33はエンコーダ33aを備える。Z軸制御回路57はCPU51からの指令に基づいて、電流量を示す命令をサーボアンプ57aに出力する。サーボアンプ57aは前記命令を受け、Z軸モータ33に駆動電流を出力する。
【0045】
エンコーダ33aはZ軸制御回路57に位置フィードバック信号を出力する。Z軸制御回路57は位置フィードバック信号に基づいて、位置のフィードバック制御を実行する。
【0046】
エンコーダ33aは微分器33bに位置フィードバック信号を出力し、微分器33bは位置フィードバック信号を速度フィードバック信号に変換して、Z軸制御回路57に出力する。Z軸制御回路57は、速度フィードバック信号に基づいて、速度のフィードバック制御を実行する。
【0047】
サーボアンプ57aが出力した駆動電流の値を電流検出器57bが検出する。電流検出器57bは駆動電流の値をZ軸制御回路57にフィードバックする。Z軸制御回路57は駆動電流の値に基づいて、電流制御を実行する。
【0048】
制御装置50は主軸モータ6に対しても、X〜Z軸モータ23、13、33と同様なフィードバック制御を実行する。
【0049】
工作機械はマガジンモータ60と、マガジン制御回路58とを備える。マガジンモータ60の回転によって工具マガジンが駆動する。マガジン制御回路58はマガジンモータ60の回転を制御する。
【0050】
記憶部52はワークを加工する加工プログラムを格納する。加工プログラムは、主軸5aの位置を指示する複数の指令点P
k を有する。kは加工プログラムを構成する命令の順番を示す。主軸5aは複数の指令点P
k を順次移動し、主軸5aに装着した工具はワークを加工する。
【0051】
記憶部52は指令点P
k を予め記憶している。制御装置50は複数の指令点P
k に基づいて、主軸5aが移動する経路(加工経路)を設定する。制御装置50は加工経路に基づいて、主軸5aの移動を実行する。
【0052】
加工経路の設定方法について説明する。
図3はワークに対する加工経路及び評価断面を略示する平面図、
図4はワークに対する評価断面を略示する斜視図である。なお図中X方向は左右方向を示し、Y方向は前後方向を示し、Z方向は上下方向を示す。また
図3及び
図4におけるワークの形状は加工後の形状を示している。
【0053】
制御装置50は、ワークに対して評価断面D
d (dは断面番号を示し、自然数である)を設定する。
図3に示すように、主軸5aはX方向に沿って大部分が往復移動する場合、加工経路はX方向に沿った経路となる。
図3に示す如く、制御装置50は加工経路に略直交する方向に沿った評価断面D
d を複数設定する。複数の評価断面はX方向に並ぶ。尚、作業者は、加工経路がX方向であることを予め指示する。
【0054】
図5は指令点P
k と、評価断面D
d 及び加工経路の交点とを略示する模式図、
図6は交点テーブルの一例を示す概念図である。
図5及び6において、「i」(iは自然数)は主軸5aのX方向移動における経路番号を示す。
図5に示すように、例えば経路番号1(i=1)の経路は、左から右に移動する経路を示し、経路番号2(i=2)の経路は経路番号1の経路を右端で折り返して、右から左に移動する経路を示す。経路番号3以下も同様である。主軸5aは経路番号順に移動する。
【0055】
図6に示すように、制御装置50は、各評価断面D
d において、移動経路P
k −P
k+1 との交点S
idを演算し、経路番号i、交点S
idの座標(X座標、Y座標及びZ座標)及び移動経路P
k −P
k+1 を対応付けて、交点テーブルに記憶する。なおX座標はX方向の座標であり、Y座標はY方向の座標であり、Z座標はZ方向の座標である。
【0056】
制御装置50は、評価断面D
d 上における交点の特徴量を例えば第1演算方法で求める。
図7は評価断面D
d 上における交点の特徴量を演算する第1演算方法を説明する説明図である。制御装置50は、対象となる交点S
id(第1交点)のZ座標と、交点S
idの両隣にそれぞれ位置する交点S
i-1d(第2交点)及び交点S
i+1d(第3交点)のZ座標を使用して、交点S
idの二階差分を演算する。交点S
i-1dのZ座標は交点S
idのZ座標よりも大きい。交点S
i+1dのZ座標は交点S
idのZ座標よりも小さい。
【0057】
制御装置50は、交点S
idのZ座標z
idと交点S
i+1dの座標z
i+1dの差分d
a (d
a =z
id−z
i+1d)を演算し、交点S
i-1dの座標z
i-1dと交点S
idの座標z
idの差分d
b (d
b =z
i-1d−z
id)を演算する。制御装置50は、差分d
a と差分d
b の差分d
a −差分d
b (二階差分)を演算する。制御装置50は、特徴量として、各評価断面において、端に位置する交点を除く、全ての交点に対して二階差分を演算する。二階差分の大きさの大/小は、加工後のワーク表面の凹凸度合の大/小に対応する。
【0058】
制御装置50は、評価断面D
d 上における交点の特徴量を例えば第2演算方法で求める。
図8は評価断面D
d 上における交点の特徴量を演算する第2演算方法を説明する説明図である。
図8において、uはXY座標に相当し、vはZ座標に相当する。
【0059】
制御装置50は例えば演算の対象となる交点S
idの周囲にある他の複数の交点を使用して、滑らかな曲線(スプライン曲線、ベジェ曲線、NURBS曲線等)を作成し、該曲線上に交点S
idを投影して、交点S
idに対応する対応点t
idを作成する。
【0060】
滑らかな曲線として四つの交点S
i-2d、S
i-1d、S
i+1d、S
i+2dを使用する場合、評価断面D
d (uv平面)上における区間S
i-2d〜S
i-1d、区間S
i-1d〜S
i+1d、区間S
i+1d〜S
i+2dの夫々の曲線式v
1(u)、v
2(u)、v
3(u)は、以下の式となる。
v
j(u)=a
j (u-u
j )
3 +b
j (u-u
j )
2 +c
j (u-u
j )+d
j
(j=1、2、3)
【0061】
交点S
i-2d、S
i-1d、S
i+1d、S
i+2dを通り、且つ境界点における一次導関数及び二次導関数が連続であることに基づいて、制御装置50はa
j 〜d
j を決定することができる。
【0062】
四つの交点の選択は、上述したように、交点S
idの両隣に位置する連続した二点を使用する場合に限らない。例えば交点S
i-3d、S
i-1d、S
i+1d、S
i+3dのように、二点毎に不連続に交点を選択してもよい。
【0063】
図8に示すように、対応点t
idの位置は、滑らかな曲線上において、交点S
idからの距離が最小となる位置である。
【0064】
制御装置50は、特徴量として、各評価断面において、全ての交点に対して対応点と交点の間の距離を演算する。対応点と交点の間の距離の長/短は、加工後のワーク表面の凹凸度合の大/小に対応する。
【0065】
制御装置50は、評価断面D
d 上における交点の特徴量を例えば第3演算方法で求める。
図9は評価断面D
d 上における交点の特徴量を演算する第3演算方法を説明する説明図である。
【0066】
制御装置50は、例えば演算の対象となる交点S
id(第4交点)及び交点S
idの右隣に位置する交点S
i-1d(第5交点)を結んだ線分と、交点S
id及び交点S
idの左隣に位置する交点S
i+1d(第6交点)を結んだ線分とのなす内角Q
i を演算する。制御装置50は、各交点について、180度と内角Q
i の差分を特徴量として演算する。180度と内角Q
i の差分の大きさの大/小は、加工後のワーク表面の凹凸度合の大/小に対応する。なお内角に代えて、外角を演算してもよい。
【0067】
また隣接する二つの交点について内角の差分を演算し、前記内角の差分を特徴量としてもよい。ワークを曲面に加工する場合、内角の差分の大/小は、加工後のワーク表面の凹凸度合の大/小に対応する。
【0068】
図10は、特徴量と色の関係を示す色テーブルの一例を示す概念図である。
図10において、「範囲」は特徴量の範囲を示し、「色」は特徴量に対応した色を示す。記憶部52は色テーブルを記憶し、閾値として、−0.4、−0.2、0.0、0.2、0.4を記憶する。例えば「範囲」の欄の「−0.4〜−0.2」は、−0.4を超過し、−0.2以下であることを示す。
【0069】
制御装置50は、各交点に対応付けて、演算した特徴量に対応する色を記憶部52に記憶する。制御装置50は、記憶部52に記憶した色を各交点に付し、表示部8に表示する。なお作業者は操作部7を操作し、前記閾値を変更することができる。
【0070】
図11は制御装置50による特徴量演算処理を説明するフローチャートである。CPU51は評価断面D
d を設定する(ステップS1、
図3及び
図4参照)。次にCPU51は交点テーブルを作成する(
図5及び
図6参照)。具体的には、CPU51は往復動作の経路番号を示す変数i及び加工プログラムを構成する命令の順番を示す変数kに「1」を設定する(ステップS2)。そしてCPU51は移動経路P
k −P
k+1 を読み込む(ステップS3)。なおステップS1は設定部を構成する。
【0071】
CPU51は移動経路P
k −P
k+1 が評価断面D
d と交差するか否かを判定する(ステップS4)。移動経路P
k −P
k+1 が評価断面D
d と交差しない場合(ステップS4:NO)、CPU51はkをインクリメントする(ステップS8)。
【0072】
移動経路P
k −P
k+1 が評価断面D
d と交差する場合(ステップS4:YES)、CPU51は、評価断面D
d と移動経路P
k −P
k+1 との交点S
idが既に存在しているか否かを判定する(ステップS5)。
【0073】
評価断面D
d と移動経路P
k −P
k+1 との交点S
idが既に存在していない場合(ステップS5:NO)、CPU51は記憶部52の交点テーブル(
図6参照)に、経路番号i、交点S
idの座標及び移動経路P
k −P
k+1 を対応付けて記憶する(ステップS7)。
【0074】
評価断面D
d と移動経路P
k −P
k+1 との交点S
idが既に存在している場合(ステップS5:YES)、CPU51はiをインクリメントし(ステップS6)、CPU51は記憶部52の交点テーブルに、経路番号i、交点S
idの座標及び移動経路P
k −P
k+1 を対応付けて記憶し(ステップS7)、kをインクリメントする(ステップS8)。ステップS2〜S8は交点演算部を構成する。
【0075】
kをインクリメントした後、CPU51はkが最終番号であるか否かを判定する(ステップS9)。kが最終番号でない場合(ステップS9:NO)、CPU51はステップS3に処理を戻す。kが最終番号である場合(ステップS9:YES)、CPU51は、上述したように、各交点S
idについて、特徴量を演算する(ステップS10、
図7〜
図9参照)。
【0076】
CPU51は、色テーブルを参照し、演算した特徴量が所属する範囲に対応する色を取得し、取得した色を各交点に対応付けて、記憶部52に記憶する(ステップS11)。CPU51は、記憶部52に記憶した色を各交点に付し、各交点を表示部8に表示する(ステップS12)。なおステップS10は特徴量演算部を構成し、ステップS11は生成部を構成する。
【0077】
なお特徴量演算処理を外部のコンピュータで実行し、各交点に色を付し、コンピュータの表示部に各交点を表示してもよい。
【0078】
実施の形態1に係る工作機械にあっては、評価断面と加工経路との交点に関し、加工後のワーク表面の凹凸度合を示す特徴量を演算し、演算した特徴量に対応する画像データを生成する。そのため、加工後のワーク形状を生成すること無く、表示部は、生成した画像データに基づいて、加工後のワーク表面を表示することができ、作業者は、ワーク表面の欠陥を視認することができる。
【0079】
また交点S
id(第1交点)、交点S
i-1d(第2交点)及び交点S
i+1d(第3交点)を演算し、演算した第1交点、第2交点及び第3交点の座標に基づいて、第1交点の二階差分を演算する。演算した二階差分に基づいて、特徴量の演算を実現することができる。
【0080】
また一の交点の周囲にある複数の他の交点を用いて曲線(例えばスプライン曲線、ベジェ曲線、NURBS曲線)を設定する。曲線上に交点S
idに対応するt
idを投影し、対応点t
idと一の交点S
idの距離を演算する。演算した距離に基づいて、特徴量の演算を実現することができる。
【0081】
また交点S
id(第4交点)、交点S
i-1d(第5交点)及び交点S
i+1d(第6交点)を演算し、第4交点及び第5交点を結ぶ線分と第4交点及び第6交点を結ぶ線分が形成する角度を演算する。演算した角度に基づいて、特徴量の演算を実現することができる。
【0082】
また特徴量が閾値以下であると判定した場合、第1画像データ(例えば青色の画像データ)を生成し、特徴量が閾値を超過したと判定した場合、第1画像データとは異なる形式で特徴量を表示する第2画像データ(例えば赤色の画像データ)を生成する。作業者は、第1画像データ及び第2画像データによって形成された画像を視認し、欠陥を認識することができる。
【0083】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。
図12は、ワークに対する加工経路及び評価断面を略示する平面図、
図13は、評価断面の設定を説明する説明図である。矢印は加工経路、点線は評価断面D
d を示す。制御装置50は、ワークに対して評価断面D
d を設定する。例えば、
図12に示すように、主軸5aが渦巻き状に周回移動する場合、加工経路は渦巻き方向に沿った経路となる。
【0084】
図12に示す如く、制御装置50は加工経路に略直交する方向に沿った評価断面D
d を複数設定する。複数の評価断面は加工経路の周方向に並ぶ。尚、作業者は、加工経路の方向が周方向であることを予め指示する。
【0085】
制御装置50は例えば以下の如く、評価断面を設定する。
図13に示す如く、制御装置50は、加工経路の最外周経路上に等距離離隔した複数の第1基準点O
m (mは自然数)を設定し、最内周経路上に複数の第2基準点L
m を設定する。制御装置50は、最内周経路上であって、第1基準点O
m から最も近い位置にある点を第2基準点L
m に設定する。
【0086】
図13に示す如く、制御装置50は第1基準点O
m 及び第2基準点L
m が評価断面D
d 上に位置するように、評価断面D
d を演算し、設定する。第2基準点L
m は、第1基準点O
m から最も近い位置にあるので、評価断面D
d は、最内周経路及び最外周経路に対して略垂直になる。
【0087】
制御装置50は、評価断面D
d −D
d+1 の間の指令点数M
d が閾値Tを超過しているか否かを判定する。指令点数M
d が閾値Tを超過している場合、評価断面D
d −D
d+1 の間の中央に新たな評価断面D
new を追加し、全ての評価断面D
d −D
d+1 間に対して、評価断面を追加する為の処理を実行する。
【0088】
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、特徴量演算処理を実行する。実施の形態2においては、評価断面D
d −D
d+1 間に存在する指令点数指令点数M
d が同数になるように、評価断面D
d を設定しているが、隣り合う第1基準点O
m −O
m+1 間の距離が等しくなるように、評価断面D
d を設定してもよい。
【0089】
実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0090】
図14は変更例におけるワークに対する加工経路及び評価断面を略示する平面図である。
図14に示す如く、加工経路が渦巻き状をなす場合、制御装置50は渦巻きの中心及び該中心周りの角度を設定し、渦巻きの中心を基準として放射状に複数の評価断面を設定する。隣り合う二つの評価断面の間に存在する指令点の数が、予め定めた閾値を超過した場合、二つの評価断面の間に新たな評価断面D
new を追加する。なお新たな評価断面を追加しなくてもよい。