特許第6623919号(P6623919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6623919導電性組成物、導体の製造方法及び電子部品の配線の形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623919
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】導電性組成物、導体の製造方法及び電子部品の配線の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/16 20060101AFI20191216BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20191216BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20191216BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20191216BHJP
   C03C 8/18 20060101ALI20191216BHJP
   C04B 41/88 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H01B1/16 Z
   H01B1/22 A
   H01B13/00 503D
   H05K1/09 A
   C03C8/18
   C04B41/88 C
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-89119(P2016-89119)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2017-199543(P2017-199543A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100185018
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 亜矢
(72)【発明者】
【氏名】粟ヶ窪 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】川久保 勝弘
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−199544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/16
C03C 8/18
C04B 41/88
H01B 1/22
H01B 13/00
H05K 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅粉末と、酸化第一銅と、無鉛ガラスフリットとを含有する導電性組成物であって、
前記酸化第一銅を、銅粉末100質量部に対し、5.5質量部以上25質量部以下含有し、
前記無鉛ガラスフリットが、
酸化ホウ素、酸化珪素、酸化亜鉛、及び任意に他の成分を含有し、かつ、含有量の多い酸化物成分の上位3種類が酸化ホウ素、酸化珪素及び酸化亜鉛であるホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットと、
酸化バナジウム、酸化亜鉛、及び任意に他の成分を含有し、かつ、含有量の多い酸化物成分の上位2種類が酸化バナジウム及び酸化亜鉛であるバナジウム亜鉛系ガラスフリットと、を含有し、
前記無鉛ガラスフリット100質量%に対して、前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットを10質量%以上90質量%以下含有し、前記バナジウム亜鉛系ガラスフリットを90質量%以下10質量%以上含有し、
前記導電性組成物全体に対して、鉛の含有量が0.01質量%以下である、
ことを特徴とする導電性組成物。
【請求項2】
前記無鉛ガラスフリット100質量%に対して、前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットを20質量%以上80質量%以下、前記バナジウム亜鉛系ガラスフリットを80質量%以下20質量%以上含有することを特徴とする、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記バナジウム亜鉛系ガラスフリットが、前記バナジウム亜鉛系ガラスフリット全体に対し、酸化バナジウムを30質量%以上50質量%以下含有し、酸化亜鉛を30質量%以上50質量%以下含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電性組成物。
【請求項4】
前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットが、前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリット全体に対し、酸化亜鉛を25質量%以上45質量%以下含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【請求項5】
前記無鉛ガラスフリットを、前記銅粉末100質量部に対して、0.2質量部以上8.5質量部以下含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【請求項6】
前記酸化第一銅を、前記銅粉末100質量部に対して、5.5質量部以上15質量部以下含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【請求項7】
前記銅粉末が、球状粉末及びフレーク状粉末の少なくとも一方を含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【請求項8】
前記球状粉末の平均粒径が0.2μm以上5μm以下であることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【請求項9】
有機ビヒクルを、導電性組成物100質量%に対して、10質量%以上50質量%以下含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性組成物を750
℃以下の熱処理により焼成する工程を備えることを特徴とする導体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の導電性組成物を基板上に塗布する工程、及び塗布後の前記基板を750℃以下の熱処理により焼成する工程、を備えることを特徴とする電子部品の配線の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物、それを用いた導体の製造方法及び電子部品の配線の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の基板上に回路を形成する方法の一つに、導電性成分を含む導電性組成物を焼成して得られた導体により配線や電極を形成する方法がある。その際、導電性成分としては、金、銀、パラジウム又はこれらの混合物などが多く用いられている。しかし、金やパラジウムは、貴金属であるため価格が高く、需給状況などによって価格変動を受けやすい。よって、これらの金属を用いた場合、製品のコストアップにつながったり、価格が変動したりするなどの問題がある。銀は、金やパラジウムより安価であるが、マイグレーションが起こりやすいという問題がある。また、導電性成分として、貴金属以外ではニッケルが用いられることもあるが、導電性が比較的低いという問題がある。
【0003】
そこで、近年、導電性成分として、導電性に優れ、耐マイグレーション性に優れ、かつ、安価である銅が用いられ始めている。導体は、例えば、有機ビヒクルを配合して粘度を調整したペースト状の導電性組成物(導電性ペースト)を、スクリーン印刷などの印刷法により基板上に塗布し、基板上に塗布した導電性ペーストを乾燥した後、焼成することにより形成される。銅は、酸化されやすい金属であるため、銅を含む導電性ペーストの焼成は、一般的に、還元性雰囲気や不活性ガス雰囲気で行われ、例えば、窒素ガス中で行われる。大気中で焼成すると、銅が酸化されてしまい、その際形成される酸化物により導電性が低下することがある。
【0004】
銅を含む導電性組成物は、主成分として、銅粉末とガラスフリットとを含む場合が多い。ガラスフリットは、導電性成分同士を密着させたり、基板と導電性成分とを密着させたりする効果がある。従来、ガラスフリットは、鉛を含有するガラスフリット(鉛ガラスフリット)が多く用いられてきた。鉛ガラスフリットは、軟化温度が低く、導電性成分や基板との濡れ性に優れるため、鉛ガラスフリットを用いた導電性組成物は、十分な導電性および基板との密着性を有する。
【0005】
しかしながら、近年、環境に有害な化学物質に対する規制が厳しくなっており、鉛はRoHS指令などで規制対象物質になっている。そこで、鉛を含まないガラスフリット(無鉛ガラスフリット)を用いた導電性組成物が求められている。
【0006】
基板上に回路を形成する際、配線や電極などの導体の他に、抵抗体も形成される。回路は、例えば、印刷法により、導電性ペーストや抵抗ペーストを基板上に塗布した後、それぞれ適切な条件で焼成することにより順次形成されたり、印刷法による塗布で基板上に配線、電極、抵抗体等のパターンを連続して形成した後に、一回の熱処理で、同時に焼成することにより形成されたりする。
【0007】
抵抗ペーストは、例えば、酸化ルテニウムとガラスフリットを含む。この様な抵抗ペーストは、窒素雰囲気中で焼成すると、酸化ルテニウムが窒素と反応して所望の抵抗値が得られない場合がある。そこで、導電性ペーストを窒素雰囲気中で焼成する必要がある場合は、抵抗ペーストを塗布し、大気中で焼成して抵抗体を形成した後、導電性ペーストを塗布し、窒素雰囲気中で焼成して導体を形成する方法が用いられている。
【0008】
上記のように先に焼成して抵抗体を形成しておくことにより、導体の形成を窒素雰囲気中で行うことができる。しかし、導体を形成する際の熱処理は、通常、800℃〜1000℃で行われるため、抵抗体に対する窒素の影響は防止できても、高温での熱処理による熱履歴が、抵抗体に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、より低い温度、例えば750℃以下での熱処理により焼成が可能な導電性組成物が求められている。
【0009】
例えば、特許文献1には、銅粉、酸化第一銅粉、酸化第二銅粉およびガラス粉を主成分とする無機成分と有機ビヒクル成分からなる銅ペースト組成物が記載され、この銅ペースト組成物は、特に550〜750℃での低温焼成に適することが記載されている。しかし、その実施例において、この銅ペースト組成物に用いられるガラス粉としては、鉛を含むガラス粉のみが開示されている。
【0010】
鉛を実質的に含まない無鉛ガラスフリットは、鉛ガラスフリットに比べて基板との濡れ性に劣る傾向がある。そのため、無鉛ガラスフリットを用いた導電性組成物は、導体と基板との密着性が十分に得られない場合がある。特に、焼成の際の熱処理温度が低くなるほどその傾向は顕著にあらわれる。そのため、十分な導電性及び密着性を有する導体を形成することのできる、無鉛ガラスフリットを用いた導電性組成物が求められている。
【0011】
例えば、引用文献2には、少なくとも銅粉、無鉛ガラスフリット、酸化第一銅を含有する銅ペースト組成物であって、無鉛ガラスフリットは、少なくともビスマス、ホウ素およびシリコンの各酸化物を含むとともに、軟化開始温度が400℃以下である銅ペースト組成物が開示されている。この銅ペースト組成物は、セラミック基板に対して密着性に優れることが記載されている。
【0012】
また、引用文献3には、外部電極用銅ペーストに用いられるガラスフリットとして、ホウ珪酸系ガラスフリット(SiO−B系)、ホウ珪酸バリウム系ガラスフリット(BaO−SiO−B系)等の無鉛ガラスフリットに、酸化亜鉛を特定の割合で含有するホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットを添加することにより、電気特性および接着強度に優れた銅ペーストが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平03−141502号公報
【特許文献2】特開2012−54113号公報
【特許文献3】特開2002−280248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献2及び3に記載される銅ペーストは、900℃の焼成で導体を形成しており、750℃以下の低温で焼成した際にも、十分な導電性及び密着性を有する導体を得られるかについては検討されていない。
【0015】
本発明は、このような現状に鑑みて検討されたもので、750℃以下の温度でも焼成が可能であり、基板と十分な密着性を有し、導電性に優れる導電性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様では、銅粉末と、酸化第一銅と、無鉛ガラスフリットとを含有する
導電性組成物であって、酸化第一銅を、銅粉末100質量部に対し、5.5質量部以上25質量部以下含有し、無鉛ガラスフリットが、酸化ホウ素、酸化珪素、酸化亜鉛、及び任意に他の成分を含有し、かつ、含有量の多い酸化物成分の上位3種類が酸化ホウ素、酸化珪素及び酸化亜鉛であるホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットと、酸化バナジウム、酸化亜鉛、及び任意に他の成分を含有し、かつ、含有量の多い酸化物成分の上位2種類が酸化バナジウム及び酸化亜鉛であるバナジウム亜鉛系ガラスフリットと、を含有し、無鉛ガラスフリット100質量%に対して、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットを10質量%以上90質量%以下含有し、バナジウム亜鉛系ガラスフリットを90質量%以下10質量%以上含有し、導電性組成物全体に対して、鉛の含有量が0.01質量%以下である、導電性組成物が提供される。
【0017】
また、無鉛ガラスフリット100質量%に対して、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットを20質量%以上80質量%以下、バナジウム亜鉛系ガラスフリットを80質量%以下20質量%以上含有することが好ましい。バナジウム亜鉛系ガラスフリットが、バナジウム亜鉛系ガラスフリット全体に対し、酸化バナジウムを30質量%以上50質量%以下含有し、酸化亜鉛を30質量%以上50質量%以下含有することが好ましい。また、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットが、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリット全体に対し、酸化亜鉛を25質量%以上45質量%以下含有することが好ましい。また、無鉛ガラスフリットを、銅粉末100質量部に対して、0.2質量部以上8.5質量部以下含有することが好ましい。また、酸化第一銅を、銅粉末100質量部に対して、5.5質量部以上15質量部以下含有することが好ましい。また、銅粉末が、球状粉末及びフレーク状粉末の少なくとも一方を含有することが好ましい。また、球状粉末の平均粒径が0.2μm以上5μm以下であることが好ましい。また、有機ビヒクルを、導電性組成物100質量%に対して、10質量%以上50質量%以下含有することが好ましい。
【0018】
本発明の第2の態様では、上記導電性組成物を750℃以下の熱処理により焼成する工程を備える導体の製造方法が提供される。
【0019】
本発明の第3の態様では、上記導電性組成物を基板上に塗布する工程、及び塗布後の前記基板を750℃以下の熱処理により焼成する工程、を備える電子部品の配線の形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の導電性組成物を用いることにより、導電性及び基板との密着性に優れた導体を形成することができる。また、本発明の導電性組成物は750℃以下の低温で焼成することが可能であるため、本発明の導電性組成物を用いることにより、電子部品の抵抗体や内部素子等にダメージを与えることなく導体を形成することができる。その結果、従来と同等の電気特性を有する電子部品を無鉛で、かつ少ない不良率少で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.導電性組成物
本実施形態の導電性組成物は、銅粉末と、酸化第一銅と、無鉛ガラスフリットとを含む。導電性組成物は、鉛ガラスフリットを使用しないことにより、実質的に鉛を含まず、環境特性に優れる。なお、無鉛ガラスフリットとは、鉛を含まないか、または、鉛を含む場合でも、その含有量が極めて少ないガラスフリット(例えば、ガラスフリット全体に対して、鉛の含有率が0.1質量%以下)をいう。また、導電性組成物が実質的に鉛を含まない、ということは、例えば、導電性組成物全体に対して、鉛の含有量が0.01質量%以下である状態をいう。
以下、導電性組成物を構成する各成分について説明する。
【0022】
(1)銅粉末
本実施形態の導電性組成物は、導電性成分として銅粉末を含む。銅粉末は、導電性や耐マイグレーション性に優れ、かつ、安価である。銅粉末は、酸化されやすいため、導電性組成物を熱処理する際は、通常、窒素雰囲気中で加熱処理される。
【0023】
銅粉末の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法、例えば、アトマイズ法、湿式還元法、電気分解法などを用いることができる。例えば、アトマイズ法を用いた場合、得られる銅粉中の不純物の残留濃度を小さくすることができると共に、得られる銅粉の粒子の表面から内部に至る細孔を少なくすることができ、銅粉末の酸化を抑制できる。
【0024】
銅粉末の形状および粒径は、特に限定されず、対象電子部品に応じて適宜選択できる。銅粉末の形状は、例えば、球状、フレーク状の銅粉末またはこれらの混合物を用いることができる。銅粉末は、例えば、フレーク状の銅粉末を含むことにより、銅粉末同士の接触面積が大きくなり、導電性に優れる場合がある。
【0025】
銅粉末は、球状の銅粉末及びフレーク状の混合物を用いる場合、球状の銅粉末及びフレーク状の混合割合は、用途に応じて、適宜、選択できる。混合割合は、例えば、銅粉末全体100質量部に対して、球状の銅粉末を10質量部以上90質量部以下、フレーク状の銅粉末を90質量部以下10質量部以上含有させることができる。
【0026】
銅粉末の粒径は、例えば、球状の銅粉末の場合、平均粒径が0.2μm以上5μm以下程度とすることができる。例えば、フレーク状の銅粉末の場合、扁平長粒径は3μm以上30μm以下程度とすることができる。粒径が上記範囲の場合、小型化した電子部品への適用性に優れる。なお、この平均粒径はメジアン径(D50)であり、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定できる。なお、銅粉末は、同一の粒径を有する粉末を用いても、異なる粒径を有する2種以上の粉末を混合して用いてもよい。
【0027】
なお、通常、導電性粉末の粒径を小さくすることにより、焼成を進みやすくすることができるが、例えば、球状の銅粉末の平均粒径を0.2μm未満とした場合、銅粉末が酸化しやすくなり、逆に焼結不良が発生するだけでなく、容量不足や、ペースト粘度の経時変化等の不具合が起こりやすくなる場合がある。本実施形態の導電性組成物は、例えば、銅粉末の粒径が1μm以上であっても、後述する特定の成分を含むことにより、例えば750℃以下の低温の熱処理であっても、十分、銅粉末を焼成させることができる。
【0028】
(2)無鉛ガラスフリット
本実施形態の導電性組成物は、無鉛ガラスフリットとして、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットと、バナジウム亜鉛系ガラスフリットとを含有する。導電性組成物は、上記2種類を組み合わせたガラスフリットを含むことにより、無鉛ガラスフリットを用いた場合においても、銅粉末及び基板への濡れ性にバランスよく優れる。また、この導電性組成物は、750℃以下で焼成した場合でも、導電性及び密着性に非常に優れた導体を得ることができる。
【0029】
ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットとは、酸化ホウ素(B)、酸化珪素(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び任意に他の成分を含み、含有量の多い酸化物成分の上位3種類がB、SiO及びZnOであるガラスフリットのことである。ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットは、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリット100質量%に対し、ZnOを25質量%以上45質量%以下、SiOを5質量%以上15質量%以下、Bを35質量%以上55質量%以下含有することが好ましい。
【0030】
ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットの組成は、上記以外の他の成分を1種類又は2種類以上含むことができ、例えば、NaO等のアルカリ金属の酸化物やAl等を含むことができる。これらの他の成分の添加量はそれぞれ0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0031】
ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットの粒径は、特に限定されないが、例えば、平均粒径1μm以上10μm以下であり、好ましくは1μm以上5μm以下である。粒径が上記範囲であることにより、低温焼成の際にも、流動性に優れる。なお、平均粒径は、レーザー回折・散乱式 粒子径・粒度分布測定装置(マイクロトラック法)により測定した値である。
【0032】
ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットは、軟化点が600℃以下であることが好ましく、より好ましくは400℃以上600℃以下であり、さらに好ましくは500℃以上600℃以下である。軟化点が上記範囲である場合、低温焼成した際でも、導電性及び密着性に優れた導体を得ることができる。軟化点は、例えば、ガラスフリットの組成や粒径などを適宜調整することにより、制御することができる。
【0033】
バナジウム亜鉛系ガラスフリットとは、酸化バナジウム(V)、酸化亜鉛(ZnO)、及び任意に他の成分を含み、含有量の多い酸化物成分の上位2種類がV及びZnOであるガラスフリットのことである。バナジウム亜鉛系ガラスフリットは、好ましくは、ZnOを30質量%以上50質量%以下、Vを30質量%以上50質量%以下含有するのが好ましい。バナジウム亜鉛系ガラスフリットは、Vを含むことにより、低温で熱処理した場合でも流動性に優れ、基板への浸透性に優れる導電性組成物を得ることができる。
【0034】
バナジウム亜鉛系ガラスフリットの組成は、上記以外の他の成分を1種類又は2種類以上含むことができ、例えば、CaO等のアルカリ金属の酸化物や、B、Bi、Al等を含むことができる。これらの他の成分の添加量はそれぞれ0質量%以上10質量%以下とするのが好ましい。
【0035】
バナジウム亜鉛系ガラスフリットの粒径は、特に限定されないが、例えば、平均粒径1μm以上10μm以下であり、好ましくは1μm以上5μm以下である。粒径が上記範囲である場合、低温焼成の際にも、流動性に優れる。なお、この平均粒径は、マイクロトラック法により測定した値である。
【0036】
バナジウム亜鉛系ガラスフリットは、その軟化点が、好ましくは600℃以下であり、より好ましくは300℃以上500℃以下であり、より好ましくは350℃以上450℃以下である。軟化点が上記範囲である場合、流動性に優れた導電性組成物とすることができる。軟化点は、例えば、ガラスフリットの組成や粒径などを適宜調整することにより、制御することができる。
【0037】
また、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットの軟化点は、上記バナジウム亜鉛系ガラスフリットの軟化点より高いものを選択することができる。導電性組成物は、異なる軟化点を有するガラスフリットを含むことにより、流動性に優れ、導電性成分及び基板への濡れ性にバランスよく優れる。また、これらのガラスフリットに含まれるZnOは、乾燥や焼成工程の際、有機ビヒクル由来の残留チャー(煤、カーボン)により還元されて亜鉛となり、この亜鉛により、銅粉末の酸化を抑制することができる。なお、ガラスフリット中のZnOの機能は上記に限定されない。
【0038】
無鉛ガラスフリットの含有量は、例えば、塗布の対象となる電子部品、用いるガラスフリットの種類、銅粉末の含有量により得られる特性等から適宜選択できる。無鉛ガラスフリットの含有量は、例えば、その下限が、銅粉末100質量部に対して、0.2質量部以上であり、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは2質量部以上である。無鉛ガラスフリットの含有量の下限が上記範囲であることにより、基材との密着性により優れる。無鉛ガラスフリットの含有量の上限は、特に限定されないが、例えば、その上限が、銅粉末100質量部に対して、15質量部以下である。本実施形態の導電性組成物を導体パターンの形成に用いる場合、その上限は、好ましくは9質量部以下であり、より好ましくは6質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以下である。無鉛ガラスフリットの含有量の上限が上記範囲であることにより、形成した電極のはんだ接合性により優れる。無鉛ガラスフリットの含有量が多すぎる場合、焼結時に余剰のガラスが導体外部に押し出されることにより、電極の表面に余剰ガラスが残存する状態となり、はんだ接合性が悪くなる。
【0039】
また、無鉛ガラスフリットの含有量は、例えば、導電性ペースト全体に対して、0.5質量%以上10質量%以下の範囲とすることができ、中でも、2質量%以上8質量%以下が好ましい。
【0040】
バナジウム亜鉛系ガラス質フリットの含有量は、無鉛ガラスフリット全体に対し、例えば10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上60質量%以下である。本実施形態において、バナジウム亜鉛系ガラス質フリットの含有量が上記範囲である場合、形成される導体が導電性及び基板との密着性にバランスよく優れる。
【0041】
ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットの含有量は、例えば、無鉛ガラスフリット全体に対し、90質量%以下10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下20質量%以上であり、より好ましくは60質量%以下40質量%以上である。本実施形態において、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットの含有量が上記範囲である場合、形成される導体が導電性及び基板との密着性にバランスよく優れる。
【0042】
無鉛ガラスフリット全体に対して、ZnOの含有量は、好ましくは30質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは35質量%以上40質量%以下である。ZnOの含有量が上記範囲である場合、より基板との密着性に優れる。
【0043】
また、無鉛ガラスフリット全体に対して、Vの含有量は、好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上30質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上25質量%以下である。V含有量が上記範囲である場合、より基板との密着性に優れる。
【0044】
また、Bの含有量は、無鉛ガラスフリット全体に対して、好ましくは3質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上40質量%以下である。また、SiOの含有量は、無鉛ガラスフリット全体に対して、好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
【0045】
(3)酸化第一銅
本実施形態の導電性組成物は無機結合剤として酸化第一銅(酸化銅(I):CuO)を含むことにより、低温焼成用銅導電ペーストの銅粉同士の焼結を促進させることができる。
【0046】
酸化第一銅の含有量は、例えば、銅粉末100質量部に対し、好ましくは5.5質量部以上25質量部以下とすることができ、より好ましくは6質量部以上25質量部以下、より好ましくは7質量部以上15質量部以下である。酸化銅の含有量が上記範囲である場合、銅粉末同士の焼結を促進させ、優れた導電性及び基材との密着性を有する。なお、酸化第一銅の含有量が多すぎる場合、銅の焼結に寄与しない余分な酸化銅が抵抗となり、導電性が不十分となることがある。
【0047】
無鉛ガラスフリットは、非酸素雰囲気中(例えば、窒素ガス雰囲気中など)で焼成すると基板に対する密着性が不十分となる傾向がある。しかし、無鉛ガラスフリットと酸化第一銅を含む導電性組成物を、例えば、ペースト状に調整した後、非酸素雰囲気中で熱処理すると、熱処理時に微量の酸素が酸化第一銅から焼成雰囲気中に導入されることにより、基板に対する密着性を向上させることができる。本実施形態の導電性組成物によれば、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットと、バナジウム亜鉛系ガラスフリットと、酸化第一銅とを組み合わせることにより、導電性及び基板に対する密着性が顕著に向上した導体を得ることができる。なお、本実施形態の導電性組成物は、上記した効果を阻害しない範囲で、少量の酸化第二銅(酸化銅(II):CuO)を含んでもよい。酸化第二銅は、例えば、銅粉末100質量部に対し、0質量部以上5質量部以下含むことができる。
【0048】
(4)有機ビヒクル
本実施形態の導電性組成物は、有機ビヒクルを含有させてもよい。有機ビヒクルは、導電性組成物の粘度を調整し、適切な印刷性を有するペースト状の組成物とすることができる。
【0049】
有機ビヒクルの組成は、特に限定されず、導電性ペーストに用いられる公知のものを用いることができる。有機ビヒクルは、例えば、樹脂成分と溶剤とを含有する。樹脂成分としては、例えば、セルロース樹脂やアクリル樹脂などを用いることができる。溶剤としては、例えば、ターピネオールやジヒドロターピネオール等のテルペン系溶剤、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤を、単独または複数、混合して用いることができる。
【0050】
有機ビヒクルは、導電性組成物を乾燥又は焼成する際に揮発又は燃焼する成分であるため、導電性組成物における有機ビヒクルの含有量は、特に限定されない。有機ビヒクルは、導電性組成物が適度な粘性および塗布性を有する様に添加すればよく、用途等により適宜、その含有量を調製することができる。例えば、有機ビヒクルは、ペースト状の導電性組成物(導電性ペースト)100質量%に対し、10質量%以上50質量%以下含有されることができる。
【0051】
なお、本実施形態の導電性組成物は、本発明の効果を奏する範囲で、他の成分を含有してもよい。例えば、このような他の成分として、消泡剤、分散剤、カップリング剤等を、導電性組成物に適宜添加してもよい。
【0052】
(5)導電性組成物の特性
本実施形態の導電性組成物は、焼成後の導体の導電性及び基板との接着性に非常に優れるため、導体の形成に好適に用いることができる。また、本実施形態の導電性組成物は、750℃以下の熱処理で焼成することが可能であり、さらに600℃以下の熱処理でも焼成することが可能であり、形成された導体は優れた導電性及び基板との接着性を有することができる。よって、本実施形態の導電性組成物は、低温焼成用の導電性ペーストとして好適に用いることができる。
【0053】
本実施形態の導電性組成物は、600℃で焼成した導体の膜厚10μmに換算した面積抵抗値が、好ましくは10mΩ以下であり、より好ましくは5mΩ以下である。なお、この面積抵抗値は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
【0054】
また、本実施形態の導電性組成物は、600℃で焼成した導体のピール強度が、好ましくは20N以上であり、より好ましくは25N以上である。また、上記導電性組成物の各成分の配合割合を調整することにより、30N以上とすることができ、さらに40N以上とすることができる。なお、ピール強度は、例えば、上記導電性組成物を600℃で焼成して作製した銅導体に直径0.6mmのSnめっきCuワイヤーを3Ag−0.5Cu−Snはんだで取り付けた後、前記SnめっきCuワイヤーを引っ張って破壊させた時に測定される値で、電子部品の基板と導体の密着性を評価する値である。
【0055】
なお、本実施形態の導電性組成物は、電子部品の表面に形成する配線や電極などの導体以外にも用いることができ、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極や外部電極、はんだ代替品として電子素子などのチップ部品をリードフレームや各種基板に接着し、電気的又は熱的に導通させる材料として使用してもよい。
【0056】
2.導体の形成方法
以下、本実施形態の導体の形成方法について、説明する。
まず、銅粉末と、酸化第一銅と、無鉛ガラスフリットと、有機ビヒクルとを混合した導電性組成物を製造する。無鉛ガラスフリットは、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットと、バナジウム亜鉛系ガラスフリットとを含有する。導電性組成物は、有機ビヒクル中の溶剤により、適度に粘度が調整されたペースト(導電性ペースト)を形成する。導電性ペースト中の各成分の組成、配合割合等は、上述した通りである。
【0057】
次に、導電性ペーストを焼成して、導体を形成する。焼成は、一般的に、800℃以上1000℃以下の熱処理により行われる。本実施形態の導電性ペーストは、800℃未満の熱処理でも十分に焼成することができ、例えば750℃以下の熱処理でも焼成が可能であり、650℃以下の熱処理でも焼成が可能である。また、本実施形態の導電性ペーストによれば、後述する実施例に示されるように、600℃の熱処理で焼成した場合でも、導電性及び基板との密着性に非常に優れる導体を得ることができる。
【0058】
焼成の熱処理温度の下限は、特に限定されないが、例えば、400℃以上である。また、焼成の処理の時間は、ピーク温度において、例えば、5分以上20分以下である。
【0059】
また、焼成の前に乾燥を行ってもよい。乾燥の条件は特に限定されないが、例えば、50℃〜150℃、5分〜15時間程度で行うことができる。また、焼成炉内のバーンアウトゾーンの酸素濃度は、特に限定されないが、例えば、100ppm程度とすることができる。
【0060】
上記導電性ペーストを電子部品上に塗布すること、及び塗布後の電子部品を焼成すること、により回路形成した電子部品を製造することができる。また、上記導電性ペーストを基板上に塗布すること、及び塗布後の基板を焼成すること、により配線を形成した電子部品を製造することができる。この電子部品の製造方法において、本実施形態の導電性組成物を用いれば、750℃以下の熱処理で焼成させることができるため、抵抗体や内部素子等へのダメージを低減することができる。また、熱処理は、650℃以下で行うこともでき、さらに600℃以下で行うこともできる。この製造方法により形成された導体は、導電性及び基板との密着性に非常に優れる。
【実施例】
【0061】
次に、本発明について実施例と比較例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.原料
(1)銅粉末(球状):アトマイズ法により製造した平均粒径0.3μm、1.0μm、2.5μmの球状の銅粉末を用いた。
(2)銅粉末(フレーク状):上記方法で製造した球状の銅粉末を原料に用いて、湿式ボールミル法によりフレーク化し、平均粒径10μmとしたフレーク状の銅粉末を用いた。
【0062】
(3)無鉛ガラスフリット
・ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリット:軟化点が520〜570℃のZnO−SiO−B系ガラスフリットとして、ZnOを36質量%、SiOを10質量%、Bを45質量%含有し、平均粒径が1.5μmのものを用いた。
・バナジウム亜鉛系ガラスフリット:軟化点が380〜430℃のZnO−V系ガラスフリットとして、ZnOを41質量%、Vを39.5質量%含有し、平均粒径が3.5μmのものを用いた。
・ホウ珪酸ビスマス系ガラスフリット:軟化点が565〜595℃のBi−SiO−B系ガラスフリットとして、Biを34.1質量%、Bを24.4質量%、SiOを17質量%含有し、平均粒径が1.5μmのものを用いた。
用いたそれぞれ無鉛ガラスフリットの組成を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
(4)酸化第一銅:平均粒径1μm〜5μmのCuOを用いた。
【0065】
2.導電性ペーストの製造
(有機ビヒクルの作製)
ターピネオール80質量部に対して、エチルセルロース18質量部、アクリル樹脂2質量部を添加し、軽く分散させ、分散液を得た。その後、この分散液をエアーモーターで撹拌しながら60℃まで加熱し、透明で粘稠な有機ビヒクルを作製した。
【0066】
(導電性ペーストの作製)
銅粉末、ガラスフリット、酸化第一銅および上述のように調整した有機ビヒクルをミキサーで混合し、混合物を得た。各成分の配合比率を表2に示す。この混合物を、三本ロールミルによって混練して、導電性ペーストを作製した。
【0067】
3.評価用の導体の形成
(1)面積抵抗値評価用試料
金ペーストをアルミナ基板に印刷、焼成し、電極間距離50mmの金(Au)電極が形成されたアルミナ基板を準備した。前記基板の表面上に、幅0.5mm、電極間距離50mmとなるパターンを用いて、焼成後の厚みが10μm〜13μmとなるように、得られた導電性ペーストをAu電極間に印刷した。この印刷後のアルミナ基板を、120℃で熱処理し、導電性ペーストを乾燥させた。乾燥処理後のアルミナ基板を、窒素雰囲気ベルト炉で、ピーク温度600℃、ピーク温度持続時間10分、炉入り口から出口まで60分のプロファイルで熱処理し、導電性ペーストを焼成した。炉内の焼成ゾーンの酸素濃度は5ppmとし、炉の前半部(炉入り口から600℃のゾーンまで)に設けられたバーンアウトゾーンには乾燥空気を導入し、酸素濃度を200ppm、400ppmおよび600ppmの各濃度に設定した。なお、酸素濃度は、ジルコニア酸素濃度計(東レ製:型式LC−750)を用いて測定し、各濃度に調整した。
(2)密着性評価用の試料
アルミナ基板上に前述の低温焼成用銅導電性ペーストを2mm×2mmのパターンで印刷し、上述の面積抵抗値評価用試料作製条件と同条件で焼成して、密着性評価用の試料(焼成後の厚み10μm)を作製した。
【0068】
(3)形成した導体の特性評価
3−1)面積抵抗値
上記で得られた面積抵抗値評価用試料のAu電極間にデジタルマルチメータ(株式会社アドバンテスト製)の抵抗値測定用プローブを接触させて、導体の抵抗値R[t]を測定した。続いて、この抵抗値R[t]を面積抵抗値Rs[t](=R(t)×W/L)に換算した。この値を用いて、導体の厚さが10μmである場合の面積抵抗値Rs0(=Rs[t]×t/10)(Ω/□)を算出した。なお、tは導体の厚さ、Wは導体の幅、Lは導体の長さを示す。これらの結果を表2に示す。
【0069】
3−2)基板との密着性
得られた密着性評価用の試料の銅導体に直径0.6mmのSnめっきCuワイヤーを、96.5質量%Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu組成のはんだを用いてはんだ付けし、荷重測定器(アイコーエンジニアリング(株)製、MODEL 2152HTP)を用いて垂直方向に80mm/minの速度で引っ張り、導体を基板から剥離させた際の剥離強度を20点測定し、その平均値で評価した。
【0070】
【表2】
【0071】
[評価結果]
表2に示されるように、実施例の導電性組成物によれば、基板に対する十分な密着性を有し、十分な導電性を有する導体を得ることができる。また、実施例1〜12の導電性組成物は、それぞれ、バナジウム亜鉛系ガラスフリットの含有量が、ガラスフリット全体(100質量%)に対して10質量%〜90質量%の範囲であり、導電性及び密着性がともに優れる。中でも、バナジウム亜鉛系ガラスフリットの含有量が40質量%〜60質量%である実施例3〜実施例7、実施例10〜実施例12では、密着性に非常に優れる。また、球状の銅粉末(平均粒径1.0μm又は2.5μm)とフレーク状の銅粉末を用いた実施例13〜23も同様に良好な結果であり、導電性に優れる傾向があった。
【0072】
これに対して、ガラスフリットとして、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットのみを用いた比較例1は、密着性が非常に悪く、安定した導体を形成することができなかった。また、ガラスフリットとして、バナジウム亜鉛系ガラスフリットのみを用いた比較例2では、ガラス成分が基板に浸透しすぎて、導体の形状(配線形状)を保つことが出来ず、密着性の評価ができなかった。また、ガラスフリットとして、ホウ珪酸亜鉛系ガラスフリットとホウ珪酸ビスマス系ガラスフリットとを用いた比較例3では、ガラスが十分に溶融せず密着性に劣ることが確認された。また、酸化第一銅の含有量が5.5質量部未満である比較例4、5では、密着性が非常に悪く、安定した導体を形成することができなかった。
【0073】
以上の結果から、本実施形態の導電性組成物を用いることにより、750℃以下、例えば600℃程度の低温で焼成させた場合において、導電性及び基板との密着性に非常に優れた導体パターンを形成することができることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本実施形態の導電性組成物は、銅粉末と特定の無鉛ガラスフリットと酸化第一銅とを含むことにより、導電性及び基板との接着強度に非常に優れるため、配線などの回路の形成に好適に用いることができる。また、本実施形態の導電性組成物は、電子部品の内部電極や外部電極、はんだ代替品などとしても用いることができる。