特許第6623930号(P6623930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623930
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】コモンモードフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/28 20060101AFI20191216BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20191216BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20191216BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H01F27/28 156
   H01F27/28 K
   H01F27/00 R
   H01F17/04 A
   H01F17/04 N
   H01F41/04 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-101072(P2016-101072)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-208495(P2017-208495A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】北村 和久
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−98045(JP,A)
【文献】 特開2007−180073(JP,A)
【文献】 特開2005−39446(JP,A)
【文献】 特開2013−211330(JP,A)
【文献】 特開2010−36414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/28
H01F 27/00
H01F 17/04
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体コアと、
前記磁性体コアに巻回された第1の導線と第2の導線と
前記磁性体コアに巻回された第3の導線と第4の導線と、
前記第1及び第2の導線によって形成された第1のコイルと、
前記第3及び第4の導線によって形成された第2のコイルと、
前記第1のコイルと第2のコイルと前記磁性体コアを内蔵する素体と、
前記素体の実装面の四隅に、互いに対角線に位置する様に配置された第1電極と第3電極、および、第2電極と第4電極、と
中央に配置され、第1電極及び第2電極と隣接する第5電極と、
中央に配置され、第3電極及び第4電極と隣接する第6電極と、
を備えたコモンモードフィルタにおいて、
前記第1の導線乃至前記第4の導線は断面平角形状の導線で、
第1の導線の長さは第2の導線の長さよりも長く、
第3の導線の長さは第4の導線の長さよりも長く、
前記第1の導線と前記第2の導線は、厚み方向に重ねられて固定され、前記第3の導線と前記第4の導線は、厚み方向に重ねられて固定され、
前記第1の導線の末端と前記第2の導線の末端との間には、導線の長さ方向に所定の間隔が設けられ、
前記第3の導線の末端と前記第4の導線の末端との間には、導線の長さ方向に所定の間隔が設けられ、
前記素体は、前記第1のコイルと前記第2のコイルとを、その巻軸が前記実装面と平行になるように内蔵し、
前記素体の実装面に配置した前記第1電極と前記第6電極に、前記第1の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続し、
前記第4電極と前記第5電極に、前記第2の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続し、
記第3電極と前記第5電極に、前記第3の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続し、
記第2電極と前記第6電極に、前記第4の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続したことを特徴とするコモンモードフィルタ。
【請求項2】
前記第1の導線と前記第3の導線の長さは等しく、前記第2の導線と前記第4の導線の長さは等しいことを特徴とする、請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項3】
前記第1の導線の中央と前記第2の導線の中央とは固定され、前記第3の導線の中央と前記第4の導線の中央とは固定されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項2に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項4】
前記素体の実装面の外形は略長方形であり、前記第1の導線の末端と前記第2の導線の末端との間の間隔、及び、前記第3の導線の末端と前記第4の導線の末端との間の間隔は、前記素体の実装面を構成する長方形の長辺の長さ以下、であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項5】
前記第1の導線の末端と前記第2の導線の末端との間の間隔、及び、前記第3の導線の末端と前記第4の導線の末端との間の間隔は、前記素体の実装面を構成する長方形の短辺の長さ以下、であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項6】
前記第1の導線の末端と前記第2の導線の末端との間の間隔、及び、前記第3の導線の末端と前記第4の導線の末端との間の間隔は、前記第1電極と第3電極との最短距離以下、であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のコモンモードフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に用いられるコモンモードフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コモンモードノイズを除去するフィルタとして、コモンモードフィルタが使用されている。特許文献1に記載のコモンモードフィルタは、トロイダルコアに導線を巻回した構成なので、高い実効透磁率を有し、優れたノイズ除去性能を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−36951
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源装置など、大電流用のコモンモードフィルタに使用する導線は、大きい断面積を確保できる、断面平角形状の導線が望ましい。しかし、トロイダル形状のコアに導線を巻回する場合、機械を用いた自動巻線は困難である。人の手で巻回することは可能だが、手間がかかる上、電気的特性にばらつきが大きくなってしまう。
そこで、上記課題に鑑み、本発明は、断面平角形状の導線を機械で巻回できる構造のコモンモードフィルタの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、磁性体コアと、前記磁性体コアに巻回された第1の導線と第2の導線と前記磁性体コアに巻回された第3の導線と第4の導線と、前記第1及び第2の導線によって形成された第1のコイルと、前記第3及び第4の導線によって形成された第2のコイルと、前記第1のコイルと第2のコイルと前記磁性体コアを内蔵する素体と、前記素体の実装面の四隅に、互いに対角線に位置する様に配置された第1電極と第3電極、および、第2電極と第4電極、と中央に配置され、第1電極及び第2電極と隣接する第5電極と、中央に配置され、第3電極及び第4電極と隣接する第6電極と、を備えたコモンモードフィルタにおいて、前記第1の導線乃至前記第4の導線は断面平角形状の導線で、前記第1の導線と前記第3の導線の長さは等しく、前記第2の導線と前記第4の導線の長さは等しく、前記第1の導線及び前記第3の導線の長さは、前記第2の導線及び前記第4の導線の長さより長く、前記第1の導線と前記第2の導線は、厚み方向に重ねられて固定され、前記第3の導線と前記第4の導線は、厚み方向に重ねられて固定され、前記第1の導線の末端と前記第2の導線の末端との間には、導線の長さ方向に所定の間隔が設けられ、前記第3の導線の末端と前記第4の導線の末端との間には、導線の長さ方向に所定の間隔が設けられ、前記素体は、前記第1のコイルと前記第2のコイルとを、その巻軸が前記実装面と平行になるように内蔵し、前記素体の実装面に配置した前記第1電極と前記第6電極に、前記第1の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続し、前記第4電極と前記第5電極に、前記第2の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続し、記第3電極と前記第5電極に、前記第3の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続し、記第2電極と前記第6電極に、前記第4の導線の末端をそれぞれ引き伸ばして電気的に接続したことを特徴とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、断面平角形状の導線を使用することにより、大電流に対応可能となる。また、機械で巻回できる構造なので、量産する際に電気的特性のばらつきが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例で使用する第1のコイルを巻回する工程を説明する斜視図である。
図2】本発明の実施例で使用する第2のコイルを巻回する工程を説明する斜視図である。
図3】本発明の実施例で使用する第1のコイルに、磁性体コアを挿入する工程を説明する斜視図である。
図4】本発明の実施例で使用する第2のコイルに、磁性体コアを挿入する工程を説明する斜視図である。
図5】本発明の実施例で使用するコイルを樹脂でコーティングしたときの斜視図である。
図6】本発明の実施例で使用するコイルを、ブロックに封止する工程を説明する斜視図である。
図7】本発明の実施例の素体の斜視図である。
図8】本発明の実施例のコモンモードフィルタの外観図である。図6(a)はコモンモードフィルタの斜視図を示し、図6(b)はコモンモードフィルタの側面からみた平面図を示し、図6(c)はコモンモードフィルタの実装面からみた平面図を示し、図6(d)はコモンモードフィルタの上面からみた平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を、図を参酌しながら説明する。
【実施例】
【0009】
図1図2を用いて、第1のコイルと第2のコイルを巻回する工程を説明する。図1(a)〜(f)は、本発明の実施例のコモンモードフィルタに使用する第1のコイルを巻回する工程を示す斜視図である。図2(a)〜(f)は、本発明の実施例のコモンモードフィルタに使用する第2のコイルを巻回する工程を示す斜視図である。第1のコイルと第2のコイルは、寸法と電気的特性が略同じコイルである。コイルは、巻軸を有する巻線機(図示せず)を使用し、断面平角形状の、第1の導線、第2の導線、第3の導線、第4の導線を巻回して形成する。第1の導線、第2の導線、第3の導線、第4の導線は、加熱することによって皮膜が融着する線材を用いる。
【0010】
第1のコイルを巻回する方法について説明する。巻線機の巻軸2は、図1(a)に示すように、外径の異なる2つの円柱が同心円状に繋がった構造となっている。径の小さい円柱を巻芯21とする。この巻軸2を2つ用い、図1(b)に示すように、巻芯21の先端部が互いに接触するよう配置する。そして、図1(c)に示すように、第1の導線31および第2の導線32を厚み方向に重ねた状態で、導線の幅広面を巻軸2の巻芯21に当接させる。重ねられた2本の導線のうち、内側の導線が第1の導線31、外側の導線が第2の導線32である。巻軸2の巻芯21と接しているのは、第1の導線31の幅広面である。
【0011】
図1(d)に示すように、第1の導線31および第2の導線32を同時に巻回し、巻軸方向に並置される2つの第1の巻回部41を形成する。そして、第1の導線31および第2の導線32の両端を巻芯に沿って、互いに反対方向へとずらし、第1の導線31の幅広面の一部を第1の巻回部41上に当接させる。そして、繰り返し巻回し、第1の巻回部41上に第2の巻回部42を形成する。第2の巻回部42は、最内周の幅広面の一部が第1の巻回部41上に接している状態で形成される。
【0012】
それぞれの第2の巻回部42の外周から、第1の導線31の末端31aと第2の導線32の末端32aを引き出す。第2の導線32の長さは第1の導線31の長さよりも僅かに短いため、第2の導線32の末端32aは、第1の導線31の末端31aから所定の間隔をあけて第2の巻回部42側に位置する。(図1(e))そして、図1(f)に示すように、第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aを、第2の巻回部42の外周から垂直方向に引き伸ばす。そして、第1の巻回部41と第2の巻回部42と第1の導線の末端31aと第2の導線の末端32aを加熱して形状を固定し、コイル4を得る。
【0013】
第2のコイルについても、同様の手順で巻回する。
図2(a)に示す巻軸2を2つ用いる。図2(b)に示すように、巻芯21の先端部が互いに接触するよう配置する。そして、図2(c)に示すように、第3の導線33および第4の導線34を厚み方向に重ねた状態で、導線の幅広面を巻軸2の巻芯21に当接させる。重ねられた2本の導線のうち、内側の導線が第3の導線33、外側の導線が第4の導線34である。巻軸2の巻芯21と接しているのは、第3の導線33の幅広面である。
【0014】
図2(d)に示すように、第3の導線33および第4の導線34を同時に巻回し、巻軸方向に並置される2つの第1の巻回部51を形成する。そして、第3の導線33および第4の導線34の両端を巻芯に沿って、互いに反対方向へとずらし、第3の導線33の幅広面の一部を第1の巻回部51上に当接させる。そして、繰り返し巻回し、第1の巻回部51上に第2の巻回部52を形成する。第2の巻回部52は、最内周の幅広面の一部が第1の巻回部51上に接している状態で形成される。
【0015】
それぞれの第2の巻回部52の外周から、第3の導線33の末端33aと第4の導線34の末端34aを引き出す。第4の導線34の長さは第3の導線33の長さよりも僅かに短いため、第4の導線34の末端34aは、第3の導線33の末端33aから所定の間隔をあけて第2の巻回部52側に位置する。(図2(e))そして、図2(f)に示すように、第3の導線の末端33aと第2の導線の末端34aを、第2の巻回部52の外周から垂直方向に引き伸ばす。そして、第1の巻回部51と第2の巻回部52と第3の導線の末端33aと第4の導線の末端34aを加熱して形状を固定し、コイル5を得る。
【0016】
図3図6を用いて、コイルを素体に封止する工程を説明する。図3は、本発明の実施例で使用する第1のコイルに、磁性体コアを挿入する工程を説明する斜視図である。図4は、本発明の実施例で使用する第2のコイルに、磁性体コアを挿入する工程を説明する斜視図である。図5は、本発明の実施例で使用するコイルを樹脂でコーティングしたときの斜視図である。図6は、本発明の実施例で使用するコイルを、ブロックに封止する工程を説明する斜視図である。
【0017】
第1のコイル4に磁性体コア43を挿入する工程について、説明する。磁性体コア43は、円柱を同心円状に二つ繋げた構造である。それぞれの円柱の外径は、第1の巻回部41および第2の巻回部42の内径と略同じである。図3(a)に示すように、第1のコイル4の両側に磁性体コア5を配置し、第1のコイル4の空芯部分に挿入する。磁性体コア5は、図3(b)に示すように、略隙間無く第1のコイル4の内部に収まる。
【0018】
第2のコイル5に磁性体コア53を挿入する工程について、説明する。磁性体コア53は、磁性体コア43と同じ形状である。それぞれの円柱の外径は、第1の巻回部51および第2の巻回部52の内径と略同じである。図4(a)に示すように、第2のコイル5の両側に磁性体コア53を配置し、第2のコイル5の空芯部分に挿入する。磁性体コア53は、図4(b)に示すように、略隙間無く第2のコイル5の内部に収まる。
【0019】
磁性体コア43、53と第1のコイル4、第2のコイル5を樹脂でコーティングする工程について、説明する。図示しない円筒形状の金型に、磁性体コア43が挿入された第1のコイル4と、磁性体コア53が挿入された第2のコイル5とを、第2の巻回部42、52同士が隣り合うように並置して入れる。そして、第1の導線の末端31a、第2の導線の末端32a、第3の導線の末端33a、第4の導線の末端34aを金型から露出するように引き出してから、金型に絶縁性の熱可塑性樹脂を注入する。そして、樹脂を加熱して硬化し、金型から取り出す。以上より、図5に示すように、磁性体コア43、53と第1のコイル4、第2のコイル5を内蔵した、外装体6を得ることができる。第1の導線の末端31a、第2の導線の末端32a、第3の導線の末端33a、第4の導線の末端34aはそれぞれ、外装体6から露出して引き出されている。引き出されたそれぞれの第1の導線の末端31aが互いに対角線上に位置し、それぞれの第2の導線の末端32aが互いに対角線上に位置している。同様に、引き出されたそれぞれの第3の導線の末端33aが互いに対角線上に位置し、それぞれの第4の導線の末端34aが互いに対角線上に位置している。そして、第1の導線の末端31aと第3の導線の末端33aは隣接し、第2の導線の末端32aと第4の導線の末端34aは隣接している。
【0020】
外装体6を素体7に内蔵する工程について説明する。素体7は、箱状のブロック8と、蓋状のブロック9から成り、箱状のブロック8と蓋状のブロック9はそれぞれ、樹脂と磁性粉とを含んだ熱可塑性の封止剤から成る。
箱状のブロック8は、図6(a)に示すように、上面に開口端を備えた立方体形状であり、内部に外装体6を収納するためのスペースを有している。開口端を取り囲む縁は、蓋状のブロックと勘合する凹部81が形成されている。
【0021】
蓋状のブロック9は平板形状を有し、端部に設けられた凸部91と、中央部に設けられた6つの細長い形状のスリット92、93とを備えている。中央の両端に設けられた4つのスリット92はそれぞれ、蓋状のブロック9の中心に対して対称に設けられ、ブロック9の中心側は終端し、外側は開口している。ブロック9の中央には、細長い形状の2つのスリット93が設けられている。そして、両端に設けられた凸部91はそれぞれ、箱状のブロック8の開口端を取り囲む縁の凹部81に勘合する。
【0022】
第1の導線の末端31a、第2の導線の末端32a、第3の導線の末端33a、第4の導線の末端34aが真上に引き出されている外装体6を、箱状のブロック8に内蔵する。そして、図6(b)に示すように、上方から蓋状のブロック9を被せ、スリット92、93からそれぞれ、第1の導線の末端31a、第2の導線の末端32a、第3の導線の末端33a、第4の導線の末端34aを引き出す。第1の導線の末端31aは、互いに対角線上に位置するスリット91、93から引き出す。同様に、第2の導線の末端32a、第3の導線の末端33a、第4の導線の末端34aも、互いに対角線上に位置するスリット91、93から引き出す。そして、引き出された第1の導線の末端31a、第2の導線の末端32a、第3の導線の末端33a、第4の導線の末端34aを、その幅広面が実装面に延在するように折り曲げる。
【0023】
図7図8を用いて、素体を形成する工程を説明する。図7は、本発明の実施例の素体の斜視図である。図8は本発明の実施例のコモンモードフィルタの外観図である。図8(a)はコモンモードフィルタの斜視図を示し、図8(b)はコモンモードフィルタの側面からみた平面図を示し、図8(c)はコモンモードフィルタの実装面からみた平面図を示し、図8(d)はコモンモードフィルタの上面からみた平面図を示す。
【0024】
外装体6を、箱状のブロック8と蓋状のブロック9に内蔵した状態で、図示しない金型を用いて加熱・圧縮し、素体7を得る。素体7は、図7に示すように、実装面に6つの台形71が形成された立方体である。そして、図8に示すように、4つの台形71の上面にそれぞれ、第1電極11、第2電極12、第3電極13、第4電極14、第5電極15、第6電極16を形成する。第1電極11と第3電極13、および、第2電極12と第4電極14はそれぞれ、実装面の四隅に、互いに対角線に位置するように形成する。第5電極15と第6電極16はそれぞれ、実装面の中央にそれぞれ形成され、第5電極15は第1電極11と第2電極12に隣接して形成され、第6電極16は第3電極13と第4電極14に隣接して形成される。
そして、第1電極と末端31aが電気的に接続され、第2電極と末端34aが電気的に接続され、第3電極と末端33aが電気的に接続され、第4電極と末端32aが電気的に接続され、第5電極と末端32aおよび末端33aが電気的に接続され、第6電極と末端31aおよび末端34aが電気的に接続される。
4つの台形71によって延面距離を長くすることができるので、電極間の絶縁性が高い。
【0025】
以上、記載したように、コイルを巻回する工程、磁性体コアを挿入する工程、コイルを樹脂でコーティングする工程、素体にコイルを内蔵する工程、電極を形成する工程を経て、コモンモードフィルタを作製することができる。本実施例のコモンモードフィルタは、断面平角形状の導線を使用しているため大電流にも対応可能で、なおかつ、従来のトロイダルコアを用いるコモンモードフィルタに比べ、機械での製造が容易である。
本実施例では、第1の導線と第3の導線の長さは等しく、第2の導線と第4の導線の長さは等しいが、これに限定されず、第1の導線と第3の導線の長さ、および、第2の導線と第4の導線の長さは異なっていても良い。その結果、第1のコイルと第2のコイルは、寸法と電気的特性が異なっていても良い。本発明のコモンモードフィルタは、第1の導線と第4の導線が電気的に接続され、第2の導線と第3の導線が電気的に接続されるので、第1の電極から第2の電極の線路長と、第3の電極から第4の電極の線路長とは略等しくなる。
【符号の説明】
【0026】
1 コモンモードフィルタ
11 第1の電極
12 第2の電極
13 第3の電極
14 第4の電極
15 第5の電極
16 第6の電極
2 巻軸
21 巻芯
31 第1の導線
31a 第1の導線の末端
32 第2の導線
32a 第2の導線の末端
33 第3の導線
33a 第3の導線の末端
34 第4の導線
34a 第4の導線の末端
4 第1のコイル
41 第1の巻回部
42 第2の巻回部
43 磁性体コア
5 第2のコイル
51 第1の巻回部
52 第2の巻回部
53 磁性体コア
6 外装体
7 素体
71 台形
8 箱状のブロック
81 凹部
9 蓋状のブロック
91 凸部
92 スリット
93 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8