特許第6623936号(P6623936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623936
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】駆動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/36 20071001AFI20191216BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20191216BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20191216BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20191216BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20191216BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20191216BHJP
   F16H 33/02 20060101ALI20191216BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20191216BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20191216BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20191216BHJP
【FI】
   B60K6/36ZHV
   B60K6/48
   B60W10/06 900
   B60W10/08 900
   B60W10/02 900
   B60W20/15
   F16H33/02 A
   F16H33/02 B
   B60K17/04 G
   B60L15/20 K
   B60L50/16
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-107380(P2016-107380)
(22)【出願日】2016年5月30日
(65)【公開番号】特開2017-213932(P2017-213932A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2017年9月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英滋
(72)【発明者】
【氏名】水野 祥宏
(72)【発明者】
【氏名】米澤 紀男
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−183820(JP,A)
【文献】 特開2010−269765(JP,A)
【文献】 特開2000−352431(JP,A)
【文献】 特開2015−020486(JP,A)
【文献】 特開2015−135179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00〜20/50
B60K 6/20〜 6/547
B60L 1/00〜 3/12
B60L 7/00〜13/00
B60L 15/00〜15/42
B60K 17/00〜17/08
F16H 19/00〜37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転部への接続部と、
第2回転部と、
力行及び回生可能な第3回転部への接続部と、
弾性部材と、
振動子と、
制御手段と、
を備え、
弾性部材の一端は、第2回転部に固定され、
弾性部材の他端は、振動子に固定され、
振動子は、第1回転部への接続部を介して、第1回転部と接続される第1状態と、第1回転部との接続が解除される第2状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
振動子は、第3回転部への接続部を介して、第3回転部と接続される第3状態と、第3回転部との接続が解除される第4状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
制御手段は、
振動子を第1状態に制御する第1制御と、
振動子を第2状態に制御する第2制御と、
振動子を第3状態に制御する第3制御と、
振動子を第4状態に制御する第4制御と、
振動子を固定させる第5状態に制御する第5制御と、
振動子の固定を解除させる第6状態に制御する第6制御と、
を行うことが可能であり、
制御手段は、第1回転部および第3回転部から伝達された駆動エネルギーを、第2回転部に伝達する制御Aとして、
第1制御を実行して第1回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第2制御に移行し、
第3制御を実行して、力行状態の第3回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第4制御に移行し、
第5制御を実行して、第1及び第3制御にて蓄積させた弾性部材の弾性エネルギーを第2回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第6制御に移行する、
駆動力伝達装置。
【請求項2】
第1回転部への接続部と、
第2回転部と、
力行及び回生可能な第3回転部への接続部と、
弾性部材と、
振動子と、
制御手段と、
を備え、
弾性部材の一端は、第2回転部に固定され、
弾性部材の他端は、振動子に固定され、
振動子は、第1回転部への接続部を介して、第1回転部と接続される第1状態と、第1回転部との接続が解除される第2状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
振動子は、第3回転部への接続部を介して、第3回転部と接続される第3状態と、第3回転部との接続が解除される第4状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
制御手段は、
振動子を第1状態に制御する第1制御と、
振動子を第2状態に制御する第2制御と、
振動子を第3状態に制御する第3制御と、
振動子を第4状態に制御する第4制御と、
振動子を固定させる第5状態に制御する第5制御と、
振動子の固定を解除させる第6状態に制御する第6制御と、
を行うことが可能であり、
制御手段は、第1回転部から入力された駆動エネルギーを、第2回転部および第3回転部に伝達する制御Bとして、
第1制御を実行して第1回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第2制御に移行し、
第5制御を実行して、蓄積された弾性部材の弾性エネルギーの一部を第2回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第6制御に移行し、
第3制御を実行して、蓄積された弾性部材の弾性エネルギーの他の一部を回生状態の第3回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第4制御に移行する、
駆動力伝達装置。
【請求項3】
第1回転部への接続部と、
第2回転部と、
第3回転部への接続部と、
弾性部材と、
振動子と、
制御手段と、
を備え、
弾性部材の一端は、第2回転部に固定され、
弾性部材の他端は、振動子に固定され、
振動子は、第1回転部への接続部を介して、第1回転部と接続される第1状態と、第1回転部との接続が解除される第2状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
振動子は、第3回転部への接続部を介して、第3回転部と接続される第3状態と、第3回転部との接続が解除される第4状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
制御手段は、
振動子を第1状態に制御する第1制御と、
振動子を第2状態に制御する第2制御と、
振動子を第3状態に制御する第3制御と、
振動子を第4状態に制御する第4制御と、
振動子を固定させる第5状態に制御する第5制御と、
振動子の固定を解除させる第6状態に制御する第6制御と、
を行うことが可能であり、
制御手段は、第1回転部から入力された駆動エネルギーを、第2回転部および第3回転部に伝達する制御Bとして、
第1制御実行時に、弾性部材を介して第1回転部から第2回転部に伝達されるエネルギー、及び、第5制御実行時に、弾性部材から第2回転部に伝達されるエネルギーの和と、第3制御実行時に、弾性部材を介して第2回転部から第3回転部に伝達されるエネルギーとを釣り合わせる、
駆動力伝達装置。
【請求項4】
第1回転部への接続部と、
第2回転部と、
力行及び回生可能な第3回転部への接続部と、
弾性部材と、
振動子と、
制御手段と、
を備え、
弾性部材の一端は、第2回転部に固定され、
弾性部材の他端は、振動子に固定され、
振動子は、第1回転部への接続部を介して、第1回転部と接続される第1状態と、第1回転部との接続が解除される第2状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
振動子は、第3回転部への接続部を介して、第3回転部と接続される第3状態と、第3回転部との接続が解除される第4状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
制御手段は、
振動子を第1状態に制御する第1制御と、
振動子を第2状態に制御する第2制御と、
振動子を第3状態に制御する第3制御と、
振動子を第4状態に制御する第4制御と、
を行うことが可能であり、
制御手段は、第1回転部および第3回転部から伝達された駆動エネルギーを、第2回転部に伝達する制御Aとして、
第1制御を実行して第1回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第2制御に移行し、
第3制御を実行するとともに第3回転部を力行駆動させ、第1制御によって蓄積された弾性部材の弾性エネルギーと、第3回転部の駆動エネルギーとを第2回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第4制御に移行する、
駆動力伝達装置。
【請求項5】
第1回転部への接続部と、
第2回転部と、
力行及び回生可能な第3回転部への接続部と、
弾性部材と、
振動子と、
制御手段と、
を備え、
弾性部材の一端は、第2回転部に固定され、
弾性部材の他端は、振動子に固定され、
振動子は、第1回転部への接続部を介して、第1回転部と接続される第1状態と、第1回転部との接続が解除される第2状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
振動子は、第3回転部への接続部を介して、第3回転部と接続される第3状態と、第3回転部との接続が解除される第4状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
制御手段は、
振動子を第1状態に制御する第1制御と、
振動子を第2状態に制御する第2制御と、
振動子を第3状態に制御する第3制御と、
振動子を第4状態に制御する第4制御と、
を行うことが可能であり、
制御手段は、第1回転部から入力された駆動エネルギーを、第2回転部および第3回転部に伝達する制御Bとして、
第1制御を実行して第1回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第2制御に移行し、
第3制御を実行して、第1制御によって蓄積された弾性部材の弾性エネルギーの一部を回生状態の第3回転部の駆動エネルギーとして伝達するとともに、弾性エネルギーの他の一部を第2回転部の駆動エネルギーとして伝達し、その後、第4制御に移行する、
駆動力伝達装置。
【請求項6】
第1回転部への接続部と、
第2回転部と、
第3回転部への接続部と、
弾性部材と、
振動子と、
制御手段と、
を備え、
弾性部材の一端は、第2回転部に固定され、
弾性部材の他端は、振動子に固定され、
振動子は、第1回転部への接続部を介して、第1回転部と接続される第1状態と、第1回転部との接続が解除される第2状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
振動子は、第3回転部への接続部を介して、第3回転部と接続される第3状態と、第3回転部との接続が解除される第4状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
制御手段は、
振動子を第1状態に制御する第1制御と、
振動子を第2状態に制御する第2制御と、
振動子を第3状態に制御する第3制御と、
振動子を第4状態に制御する第4制御と、
を行うことが可能であり、
制御手段は、第1回転部から入力された駆動エネルギーを、第2回転部および第3回転部に伝達する制御Bとして、
第1制御実行時に、弾性部材を介して第1回転部から第2回転部に伝達されるエネルギーと、第3制御実行時に、弾性部材を介して第2回転部から第3回転部に伝達されるエネルギーとを釣り合わせる、
駆動力伝達装置。
【請求項7】
第1回転部への接続部と、
第2回転部と、
力行及び回生可能な第3回転部への接続部と、
弾性部材と、
振動子と、
制御手段と、
を備え、
弾性部材の一端は、第2回転部に固定され、
弾性部材の他端は、振動子に固定され、
振動子は、第1回転部への接続部を介して、第1回転部と接続される第1状態と、第1回転部との接続が解除される第2状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
振動子は、第3回転部への接続部を介して、第3回転部と接続される第3状態と、第3回転部との接続が解除される第4状態と、のいずれかの状態になることが可能であり、
制御手段は、
振動子を第1状態に制御する第1制御と、
振動子を第2状態に制御する第2制御と、
振動子を第3状態に制御する第3制御と、
振動子を第4状態に制御する第4制御と、
第1回転部を固定させる第7制御と、
第1回転部の固定を解除させる第8制御と、
を行うことが可能であり、
制御手段は、
第3制御を実行して、力行状態の第3回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第4制御に移行し、
第7制御の実行中に第1制御を実行し、弾性部材の弾性エネルギーを第2回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第2制御に移行する、
駆動力伝達装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動力伝達装置であって、
第1回転部は内燃機関の駆動軸であって、
第1状態は、振動子と内燃機関の駆動軸とが接続された状態であり、
第2状態は、振動子と内燃機関の駆動軸との接続が解除される状態である、
駆動力伝達装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の駆動力伝達装置であって、
第3回転部は回転電機のロータであって、
第3状態は、振動子とロータとが接続される状態であり、
第4状態は、振動子とロータとの接続が解除される状態である、
駆動力伝達装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の駆動力伝達装置であって、
第2回転部は負荷に連結される出力軸である、
駆動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力軸の駆動力を間欠的に出力軸に伝達する、いわゆるパルスドライブ式の駆動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力軸の駆動力を、角速度やトルクを変化させて間欠的に出力軸に伝達させる駆動力伝達装置が用いられている。例えば特許文献1では、いわゆるパルスドライブ式の駆動力伝達装置が開示されている。
【0003】
当該伝達装置では、出力軸の周廻りに弾性部材が配置される。弾性部材の一端は出力軸に連結され、他端には錘(マス)となる振動子が連結される。振動子は弾性部材の伸縮に伴って、出力軸の周廻りを自由運動(振動)する。所定のタイミング、例えば振動子の角速度が入力軸の回転速度と等しくなるタイミングで、振動子はクラッチにより入力軸と係合される。この係合期間に弾性部材が伸ばされて(または縮められて)弾性エネルギーが蓄積される。その後入力軸との係合が解かれた振動子は自由運動(振動)し、その後所定のタイミング、例えば振動子の角速度がゼロになるタイミングでブレーキによって固定される。このとき、弾性部材が出力軸を付勢することで、出力軸にトルクが伝達される。このように、弾性エネルギを介して入力軸から出力軸にトルクが伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−135179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパルスドライブ式の駆動力伝達装置は、1入力1出力型のものであり、入力や出力が複数の場合には対応が困難である。そこで本発明は、多入力多出力型の、パルスドライブ式駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る駆動力伝達装置は、第1回転部への接続部と、第2回転部と、第3回転部への接続部と、弾性部材と、振動子と、を備える。弾性部材の一端は第2回転部に固定され、他端は振動子に固定される。振動子は、第1回転部への接続部を介して、第1回転部と接続される第1状態と、第1回転部との接続が解除される第2状態と、のいずれかの状態になることが可能である。また振動子は、第3回転部への接続部を介して、第3回転部と接続される第3状態と、第3回転部との接続が解除される第4状態と、のいずれかの状態になることが可能である。
【0007】
また、上記発明において、駆動力伝達装置は制御手段を備えてもよい。制御手段は、振動子を第1状態に制御する第1制御と、振動子を第2状態に制御する第2制御と、振動子を第3状態に制御する第3制御と、振動子を第4状態に制御する第4制御と、を行うことが可能である。
【0008】
また、上記発明において、第1回転部は内燃機関の駆動軸であってよい。この場合において、第1状態は、振動子と内燃機関の駆動軸とが接続された状態であり、第2状態は、振動子と内燃機関の駆動軸との接続が解除される状態である。
【0009】
また、上記発明において、第3回転部は回転電機のロータであってよい。この場合において、第3状態は、振動子とロータとが接続される状態であり、第4状態は、振動子とロータとの接続が解除される状態である。
【0010】
また、上記発明において、第2回転部は負荷に連結される出力軸であってよい。
【0011】
また、上記発明において、制御手段は、第1回転部および第3回転部から伝達された駆動エネルギーを、第2回転部に伝達する制御Aと、第1回転部から入力された駆動エネルギーを、第2回転部および第3回転部に伝達する制御Bと、のうちいずれかを選択的に制御することが可能であってよい。
【0012】
また、上記発明において、制御手段は、振動子を固定させる第5状態に制御する第5制御と、振動子の固定を解除させる第6状態に制御する第6制御と、を行うことが可能であってよい。
【0013】
また、上記発明において、制御手段は、制御Aとして、第1制御を実行して第1回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第2制御に移行し、第3制御を実行して、力行状態の第3回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第4制御に移行し、第5制御を実行して、第1及び第3制御にて蓄積させた弾性部材の弾性エネルギーを第2回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第6制御に移行するようにしてもよい。
【0014】
また、上記発明において、制御手段は、制御Bとして、第1制御を実行して第1回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第2制御に移行し、第5制御を実行して、蓄積された弾性部材の弾性エネルギーの一部を第2回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第6制御に移行し、第3制御を実行して、蓄積された弾性部材の弾性エネルギーの他の一部を回生状態の第3回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第4制御に移行するようにしてもよい。
【0015】
また、上記発明において、制御手段は、制御Bとして、 第1制御実行時に、弾性部材を介して第1回転部から第2回転部に伝達されるエネルギー、及び、第5制御実行時に、弾性部材から第2回転部に伝達されるエネルギーの和と、第3制御実行時に、弾性部材を介して第2回転部から第3回転部に伝達されるエネルギーとを釣り合わせるようにしてもよい。
【0016】
また、上記発明において、制御手段は、制御Aとして、第1制御を実行して第1回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第2制御に移行し、第3制御を実行するとともに第3回転部を力行駆動させ、第1制御によって蓄積された弾性部材の弾性エネルギーと、第3回転部の駆動エネルギーとを第2回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第4制御に移行するようにしてもよい。
【0017】
また、上記発明において、制御手段は、制御Bとして、第1制御を実行して第1回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第2制御に移行し、第3制御を実行して、第1制御によって蓄積された弾性部材の弾性エネルギーの一部を回生状態の第3回転部の駆動エネルギーとして伝達するとともに、弾性エネルギーの他の一部を第2回転部の駆動エネルギーとして伝達し、その後、第4制御に移行するようにしてもよい。
【0018】
また、上記発明において、制御手段は、制御Bとして、第1制御実行時に、弾性部材を介して第1回転部から第2回転部に伝達されるエネルギーと、第3制御実行時に、弾性部材を介して第2回転部から第3回転部に伝達されるエネルギーとを釣り合わせるようにしてもよい。
【0019】
また、上記発明において、制御手段は、第1回転部を固定させる第7制御と、第1回転部の固定を解除させる第8制御と、を行うことが可能であってよい。
【0020】
また、上記発明において、制御手段は、第3制御を実行して、力行状態の第3回転部の駆動エネルギーを弾性部材の弾性エネルギーとして蓄積させた後に第4制御に移行し、第7制御の実行中に第1制御を実行し、弾性部材の弾性エネルギーを第2回転部の駆動エネルギーとして伝達した後に第2制御に移行するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、他入力他出力型の、パルスドライブ式駆動力伝達装置を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の構成を例示する図である。
図2】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御A実行時の駆動力の伝達過程(パワーフロー)を例示する図である。
図3】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御A実行時における振動子の挙動を示す閉曲線図を例示する図である。
図4】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御A実行時におけるトルク伝達過程を説明するグラフである。
図5】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B実行時のパワーフローを例示する図である。
図6】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B実行時における振動子の挙動を示す閉曲線図を例示する図である。
図7】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B実行時におけるトルク伝達過程を説明するグラフである。
図8】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B*実行時のパワーフローを例示する図である。
図9】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B*実行時における振動子の挙動を示す閉曲線図を例示する図である。
図10】第1実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B*実行時におけるトルク伝達過程を説明するグラフである。
図11】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の構成を例示する図である。
図12】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御A実行時のパワーフローを例示する図である。
図13】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御A実行時における振動子の挙動を示す閉曲線図を例示する図である。
図14】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御A実行時におけるトルク伝達過程を説明するグラフである。
図15】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B実行時のパワーフローを例示する図である。
図16】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B実行時における振動子の挙動を示す閉曲線図を例示する図である。
図17】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B実行時におけるトルク伝達過程を説明するグラフである。
図18】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B*実行時のパワーフローを例示する図である。
図19】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B*実行時における振動子の挙動を示す閉曲線図を例示する図である。
図20】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御B*実行時におけるトルク伝達過程を説明するグラフである。
図21】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御C実行時のパワーフローを例示する図である。
図22】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御C実行時における振動子の挙動を示す閉曲線図を例示する図である。
図23】第2実施形態に係る駆動力伝達装置の、制御C実行時におけるトルク伝達過程を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1に、第1実施形態に係る駆動力伝達装置10を例示する。この駆動力伝達装置10は、例えば内燃機関12、及び、回転電機14を駆動源とする、いわゆるハイブリッド車両に搭載される。
【0024】
なお、回転電機14はその駆動状態を力行と回生とに切り替え可能であって、駆動源(力行時)となる他に、被駆動源(回生時)にもなる。このことから、回転電機14が駆動源となるときには、入出力形態は、2入力1出力(入力:内燃機関12及び回転電機14、出力:負荷16)となる。また、回転電機14が被駆動源となるときには、入出力形態は、1入力2出力(入力:内燃機関12、出力:回転電機14及び負荷16)となる。
【0025】
図1に示す駆動力伝達装置10は、内燃機関側クラッチ18(第1回転部への接続部)、回転電機側クラッチ20(第3回転部への接続部)、ブレーキ22、振動子24、弾性部材26、負荷16(車輪)に連結される出力軸28(第2回転部)、及び制御部30(制御手段)を備える。
【0026】
弾性部材26は、その一端が出力軸28に固定され、他端が振動子24に接続される。弾性部材26は例えばねじりばね(トーションスプリング)から構成されてもよい。また、出力軸の周廻りに沿って伸縮するような圧縮/引張ばねから構成されてもよい。
【0027】
振動子24はその一端が弾性部材26に固定され、弾性部材26の伸縮に伴って振動する。振動子24は錘(マス)として機能し、所定の質量を備える。
【0028】
内燃機関側クラッチ18(第1回転部への接続部)は、一対の係合部材(例えば一対のクラッチ板)を含んで構成され、一方の係合部材は振動子24に接続され、他方の係合部材は内燃機関12の駆動軸32(第1回転部)に接続される。内燃機関側クラッチ18は、例えば電磁クラッチから構成される。なお、以下では内燃機関側クラッチ18を、EG側クラッチ18とも呼ぶ。
【0029】
回転電機側クラッチ20(第3回転部への接続部)は、一対の係合部材(例えば一対のクラッチ板)を含んで構成され、一方の係合部材は振動子24に接続される。他方の係合部材は、回転電機14のステータ35及びロータ34(第3回転部)のうち、後者に接続される。回転電機側クラッチ20は、EG側クラッチ18と同様に、例えば電磁クラッチから構成される。なお、以下では回転電機側クラッチ20をMG側クラッチ20とも呼ぶ。
【0030】
ブレーキ22も、EG側クラッチ18及びMG側クラッチ20と同様に、一対の係合部材(例えば一対のブレーキ板)を備え、一方の係合部材は振動子24に接続され、他方の係合部材は駆動力伝達装置10のケース等の固定部に接続される。ブレーキ22は、例えば電磁ブレーキから構成される。
【0031】
制御部30は、駆動力伝達装置10の種々の機器の制御を行う。制御部30は、例えばコンピュータから構成され、図示しないメモリには、後述する駆動伝達制御を実行するプログラムが記憶されている。
【0032】
制御部30は、図示しない速度センサ等を介して、振動子24、出力軸28、内燃機関12の駆動軸32、及びロータ34の回転速度を受信する。また、受信した回転速度や、駆動伝達制御のプログラム内容に応じて、内燃機関12及び回転電機14の速度やトルク制御を行う。また、EG側クラッチ18、MG側クラッチ20、及びブレーキ22の接続(係合)/遮断(解放)制御を行う。
【0033】
<駆動力伝達制御>
図2図10には、第1実施形態に係る駆動力伝達装置10の駆動力伝達制御の例が示されている。駆動力伝達制御にはいくつかのパターンがあり、後述するように、図2図4には制御A、図5図7には制御B、及び図8図10には制御Bの特例(制御B*)の制御パターンがそれぞれ例示されている。なお、図2図10では、図示を簡略化するため、負荷16や制御部30等の図示は適宜省略する。
【0034】
<制御A:内燃機関+回転電機 → 出力軸>
図2には制御Aの概要(パワーフロー)が例示されている。この例では、駆動力伝達装置10を介して、内燃機関12及び回転電機14の駆動力(駆動エネルギー)が出力軸28に伝達される。
【0035】
図3には、制御Aに係る駆動例の閉曲線図が例示されている。この閉曲線図は、振動子24の変位、及びこれに接続される弾性部材26の変位(伸び縮み)を示すものである。線図中、太い実線が振動子24の変位を表すものであり、反時計回りの軌跡が振動子24の挙動を表すものとなる。なお、線図中、横軸は回転速度を表し、縦軸は振動子24(及び弾性部材26)の変位を表す。
【0036】
ここで、横軸の回転速度は標準化処理されている。すなわち、横軸の値は、振動子24の回転速度から(当該振動子24が連結されている)出力軸28の角速度dθ/dtを引いた相対回転速度を、弾性部材26の固有振動数ωで割った値が示されている。したがって図3では、出力軸28の角速度dθO/dtは0に変換され、またケース(速度=0)は−dθO/dt×1/ωの座標にプロットされる。
【0037】
図4には、制御Aの実行時における、駆動力伝達装置10の各部の挙動が時系列で示されている。第1段目のグラフは振動子24の回転速度変化を示すもので、横軸は時間、縦軸は回転速度[rad/sec]を示す。第2段目のグラフは弾性部材26(及び振動子24)の変位を示すもので、横軸は時間、縦軸は変位[rad]を示す。第3段目のグラフはEG側クラッチ18によるトルク変化を示すものである。第4段目のグラフはMG側クラッチ20によるトルク変化を示すものである。第5段目のグラフはブレーキ22によるトルク変化を示すものである。第6段目のグラフは弾性部材26による弾性トルク(ばねトルク)の変化を示すものである。第3段目〜第6段目のグラフは、いずれも横軸は時間、縦軸はトルク[Nm]を示す。また、第1段目から第6段目までのすべてのグラフについて、時間(横軸)は同期を取っている。
【0038】
図4の時刻0が図3の時刻0に対応する。図3にて、時刻0のポイントから反時計回りに軌跡を辿ると、振動子24と内燃機関12の駆動軸32の回転速度が一致する。このとき、制御部30はEG側クラッチ18を開放状態から係合状態に切り替え、振動子24と駆動軸32とを接続させる(第1状態)制御(第1制御)を実行する。
【0039】
振動子24と駆動軸32とが接続されることで、弾性部材26が引っ張られる。つまり、駆動軸32の駆動エネルギーが弾性部材26の弾性エネルギーに変換されて蓄積される(蓄エネ)。
【0040】
加えて、第1状態において、弾性部材26を介して内燃機関12の駆動軸32と出力軸28とが接続される。例えば、弾性部材26がねじりばねから構成されている場合、内燃機関12によってねじりばねにねじりが加えられる際に、その反力としてねじりばねから出力軸28にトルクが伝達される。つまり、弾性部材26を介して、内燃機関12の駆動力の一部が出力軸28にも伝達される。図4の段3段目のグラフには、この(内燃機関12から出力軸28への)伝達トルクの平均値Tin1として1.8[Nm]との数値が例示されている。
【0041】
弾性部材26に弾性エネルギーを蓄積させた後、制御部30はEG側クラッチ18を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24と駆動軸32との接続を解除させる(第2状態)制御(第2制御)を実行する。
【0042】
その後、振動子24の回転速度が力行中の回転電機14のロータ34の回転速度と一致すると、制御部30はMG側クラッチ20を解放状態から係合状態に切り替え、振動子24とロータ34とを接続させる(第3状態)制御(第3制御)を実行する。
【0043】
振動子24と力行中のロータ34とが接続されることで、弾性部材26が更に引っ張られる。つまり、ロータ34(回転電機14)の駆動エネルギーが弾性部材26の弾性エネルギーに変換されて蓄積される(蓄エネ)。
【0044】
また、第3状態において、弾性部材26を介してロータ34と出力軸28とが接続される。このとき、ロータ34の駆動力の一部が(弾性部材26を介して)出力軸28にも伝達される。図4の段4段目のグラフには、この伝達トルクの平均値Tin2として4.7[Nm]との数値が例示されている。
【0045】
弾性部材26に弾性エネルギーを蓄積させた後、制御部30はMG側クラッチ20を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24とロータ34との接続を解除させる(第4状態)制御(第4制御)を実行する。
【0046】
その後、振動子24の回転速度が0になる、つまりケース(固定部)と等速度になると、制御部30はブレーキ22を解放状態から係合状態に切り替え、振動子24を固定する(第5状態)制御(第5制御)を実行する。このとき、内燃機関12及び回転電機14によって弾性部材26に蓄積された弾性エネルギーが出力軸28に伝達される(放エネ)。図4の第5段目には、この伝達トルクの平均値Tin3として、8.3[Nm]との数値が例示されている。
【0047】
弾性部材26から出力軸28にエネルギーを伝達させた後、制御部30はブレーキ22を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24の固定を解除する(第6状態)制御(第6制御)を実行する。
【0048】
図4の第6段目(最下段)には、弾性部材26を介した、内燃機関12及び回転電機14から出力軸28への伝達トルクの平均値Toutとして、Tin1からTin3の和である14.8との数値が例示されている。
【0049】
以下、順次、第1制御から第6制御までを繰り返すことで、内燃機関12及び回転電機14から間欠的に出力軸28に駆動力(駆動トルク)が伝達される。
【0050】
<制御B:内燃機関 → 回転電機+出力軸>
図5には制御Bの概要(パワーフロー)が例示されている。この例では、駆動力伝達装置10を介して、内燃機関12から、回転電機14及び出力軸28に駆動力(駆動エネルギー)が伝達される。
【0051】
図6には、制御Bに係る駆動例の閉曲線図が例示されている。縦軸、横軸や凡例等は図3と同様である。また、図7には、制御Bの実行時における、駆動力伝達装置10の各部の挙動が時系列で示されている。第1段目〜第6段目のグラフは、第4段目(ブレーキ22のトルク変化)及び第5段目(MG側クラッチ20のトルク変化)が図4のものと入れ替わっている他は、縦軸、横軸の単位及び凡例等は図4と同様である。
【0052】
図6にて、時刻0のポイントから反時計回りに軌跡を辿ると、振動子24と内燃機関12の駆動軸32の回転速度が一致する。このとき、制御部30はEG側クラッチ18を開放状態から係合状態に切り替え、振動子24と駆動軸32とを接続させる(第1制御)。振動子24と駆動軸32とが接続されることで、駆動軸32の駆動エネルギーが弾性部材26の弾性エネルギーに変換されて蓄積される(蓄エネ)。また、内燃機関12の駆動力が弾性部材26を介して出力軸28にも伝達される。図7の段3段目のグラフには、後者の伝達トルクの平均値Tin1として4.4[Nm]との数値が例示されている。
【0053】
弾性部材26に弾性エネルギーを蓄積させた後、制御部30はEG側クラッチ18を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24と駆動軸32との接続を解除させる(第2制御)。
【0054】
その後、振動子24の回転速度が0になる、つまりケース(固定部)と等速度になると、制御部30はブレーキ22を解放状態から係合状態に切り替え、振動子24を固定する(第5制御)。このとき、内燃機関12によって弾性部材26に蓄積された弾性エネルギーの一部が出力軸28に伝達される(放エネ)。図7の第4段目には、この伝達トルクの平均値Tin2として、5[Nm]との数値が例示されている。
【0055】
弾性部材26から出力軸28にエネルギーを伝達させた後、制御部30はブレーキ22を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24の固定を解除する(第6制御)。
【0056】
その後、振動子24の回転速度が回生中の回転電機14のロータ34の回転速度と一致すると、制御部30はMG側クラッチ20を解放状態から係合状態に切り替え、振動子24とロータ34とを接続させる(第3制御)。回転電機14は回生制御中であることから、弾性部材26の弾性エネルギーの一部がロータ34(回転電機14)に伝達される(放エネ)。これにより回転電機14は回生駆動される。
【0057】
なお、第3状態において、弾性部材26を介してロータ34と出力軸28とが接続される。このとき、出力軸28の駆動力の一部が回生中のロータ34に伝達される。図7の段5段目のグラフには、この伝達トルクの平均値Tin3として−3.9[Nm]との数値が例示されている。なお、伝達トルクの正負記号について、出力軸28への伝達は正、出力軸28からの持ち出しは負で表す。
【0058】
弾性部材26からロータ34に駆動力を伝達した後、制御部30はMG側クラッチ20を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24とロータ34との接続を解除させる(第4制御)。
【0059】
図7の第6段目(最下段)には、弾性部材26を介した、内燃機関12及び回転電機14から出力軸28への出力トルクの平均値Toutとして、Tin1からTin3の和である5.5との数値が例示されている。
【0060】
以下、第1制御→第2制御→第5制御→第6制御→第3制御→第4制御との順に制御を切り替えることで、内燃機関12の駆動力(駆動トルク)が、回転電機14の回生駆動力と出力軸28への駆動力とに分配される。なお、駆動力の分配順を入れ替えて、第1制御→第2制御→第3制御→第4制御→第5制御→第6制御との順に制御を実行してもよい。
【0061】
<制御B*:内燃機関 → 回転電機>
図8には制御B*の概要(パワーフロー)が例示されている。制御B*は制御Bの特例として位置付けられる。すなわち、制御の切り替え順(第1制御→第2制御→第5制御→第6制御→第3制御→第4制御)は制御Bと同様であるが、出力軸28及び回転電機14へのトルク分配を調整して、見かけ上、内燃機関12からの駆動力(駆動トルク)が、回転電機14への回生駆動力(駆動トルク)に全て回されるように制御される。
【0062】
図9には、制御B*に係る駆動例の閉曲線図が例示されている。縦軸、横軸や凡例等は図3図6と同様である。また、図10には、制御B*の実行時における、駆動力伝達装置10の各部の挙動が時系列で示されている。第1段目〜第6段目のグラフは、縦軸、横軸及び凡例等は図7と同様である。
【0063】
図10の第3段目には、第1制御(EG側クラッチON)において、内燃機関12の駆動力の一部が弾性部材26を介して出力軸28に伝達される際の平均値Tin1として2.9[Nm]との数値が例示されている。
【0064】
また、図10の第4段目には、第5制御(ブレーキON)において、弾性部材26に蓄積された弾性エネルギーの一部が出力軸28に伝達される際の平均値Tin2として、1.5[Nm]との数値が例示されている。
【0065】
また、図10の第5段目には、第3制御(MG側クラッチON)において、出力軸28の駆動力の一部が回生中のロータ34に伝達される際の平均値Tin3として−4.4[Nm]との数値が例示されている。
【0066】
さらに、これらの値Tin1〜Tin3の和に対応するようにして、図10の第6段目(最下段)には、弾性部材26を介した出力軸28への出力トルクの平均値Toutとして0との数値が例示されている。
【0067】
このように、制御Bにおいて、内燃機関12から直接(第1制御)、または弾性部材26を介して(第5制御)、出力軸28に伝達される駆動トルクと、第3制御において出力軸28から回生中の回転電機14に伝達する駆動トルクとを釣り合わせることで、見かけ上(トルク収支上)、内燃機関12の駆動力が回転電機14の回生駆動に全て回される。
【0068】
なお、各制御フェーズ(第1制御、第3制御、第5制御)におけるエネルギー伝達は、以下の数式を用いてそれぞれ条件設定が可能である。まず、一回のクラッチ係合(EG側クラッチ18及びMG側クラッチ20)におけるエネルギーの伝達は、下記数式(1)(2)のように表すことができる。
【0069】
【数1】
【0070】
数式(1)、(2)中、Einは入力エネルギー、Winは入力側回転速度、Woutは出力側回転速度、ΔEspは弾性部材26に蓄積されるエネルギー、Eoutは出力エネルギーを表す。数式(1)は入力−弾性部材26間のエネルギーのやり取りを表し、数式(2)は入力−出力間のエネルギーのやり取りを表す。制御部30は、これら数式(1)(2)に基づいて、各制御フェース(第1制御、第3制御、第5制御)にてやり取りされるエネルギー収支を求め、これに応じて制御B*を実行する。
【0071】
<第2実施形態>
図11に、第2実施形態に係る駆動力伝達装置10を例示する。この駆動力伝達装置10は、ブレーキ22がEG側クラッチ18と内燃機関12の駆動軸32との間に設けられている点で第1実施形態とは異なり、それ以外の構造は第1実施形態と同様である。また、各構成の機能も基本的には第1実施形態のものと同様であることから、以下では適宜説明を省略する。
【0072】
<駆動力伝達制御>
図12図23には、第2実施形態に係る駆動力伝達装置10の駆動力伝達制御の例が示されている。駆動力伝達制御にはいくつかのパターンがあり、後述するように、図12図14には制御A、図15図17には制御B、図18図20には制御Bの特例である制御B*、及び、図21図23には制御Cの制御パターンがそれぞれ例示されている。なお、図12図23では、図示を簡略化するため、負荷16や制御部30等の図示は適宜省略する。
【0073】
<制御A:内燃機関+回転電機 → 出力軸>
図12には制御Aの概要(パワーフロー)が例示されている。この例では、駆動力伝達装置10を介して、内燃機関12及び回転電機14の駆動力(駆動エネルギー)が出力軸28に伝達される。
【0074】
図13には、制御Aに係る駆動例の閉曲線図が例示されている。縦軸、横軸や凡例等は図3図6図9と同様である。
【0075】
また、図14には、制御Aの実行時における、駆動力伝達装置10の各部の挙動が時系列で示されている。第1段目のグラフは振動子24の回転速度変化を示すもので、横軸は時間、縦軸は回転速度[rad/sec]を示す。第2段目のグラフは弾性部材26(及び振動子24)の変位を示すもので、横軸は時間、縦軸は変位[rad]を示す。第3段目のグラフはEG側クラッチ18によるトルク変化を示すものである。第4段目のグラフはMG側クラッチ20によるトルク変化を示すものである。第5段目のグラフは弾性部材26による弾性トルク(ばねトルク)の変化を示すものである。第3段目〜第5段目のグラフは、いずれも横軸は時間、縦軸はトルク[Nm]を示す。また、第1段目から第5段目までのすべてのグラフについて、時間(横軸)は同期を取っている。
【0076】
図14の時刻0が図13の時刻0に対応する。図13にて、時刻0のポイントから反時計回りに軌跡を辿ると、振動子24と内燃機関12の駆動軸32の回転速度が一致する。このとき、制御部30はEG側クラッチ18を開放状態から係合状態に切り替え、振動子24と駆動軸32とを接続させる(第1制御)。
【0077】
振動子24と駆動軸32とが接続されることで、弾性部材26が引っ張られる。つまり、駆動軸32の駆動エネルギーが弾性部材26の弾性エネルギーに変換されて蓄積される(蓄エネ)。
【0078】
加えて、第1状態において、弾性部材26を介して内燃機関12の駆動軸32と出力軸28とが接続される。図14の段3段目のグラフには、この(内燃機関12から出力軸28への)伝達トルクの平均値Tin1として2.6[Nm]との数値が例示されている。
【0079】
弾性部材26に弾性エネルギーを蓄積させた後、制御部30はEG側クラッチ18を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24と駆動軸32との接続を解除させる(第2制御)。
【0080】
その後、振動子24の回転速度が力行中の回転電機14のロータ34の回転速度と一致すると、制御部30はMG側クラッチ20を解放状態から係合状態に切り替え、振動子24とロータ34とを接続させる(第3制御)。
【0081】
このとき、弾性部材26の弾性エネルギーに加えて(放エネ)、回転電機14の駆動エネルギーが出力軸28に伝達される。例えば、回転電機14のロータ34を固定(ロック)させた場合、第3状態は振動子24がロックされたことになるから、第1実施形態の第5制御(ブレーキオン)と同様の状態となる。このとき、弾性部材26の弾性エネルギーが出力軸28に伝達される。この状態に加えて、回転電機14を力行させると、その駆動力が弾性部材26を介して出力軸28に伝達される。
【0082】
図14の第4段目には、第3状態において出力軸28に伝達されるトルク(駆動エネルギー)の平均値Tin2として5.2[Nm]との数値が例示されている。
【0083】
第3状態の後、制御部30はMG側クラッチ20を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24とロータ34との接続を解除させる(第4制御)。
【0084】
以下、順次、第1制御から第4制御までを繰り返すことで、内燃機関12及び回転電機14から間欠的に出力軸28に駆動力(駆動トルク)が伝達される。図14の第5段目には、弾性部材26を介した、内燃機関12及び回転電機14から出力軸28への出力トルクの平均値Toutとして、Tin1とTin2の和である7.8との数値が例示されている。
【0085】
<制御B:内燃機関 → 回転電機+出力軸>
図15には制御Bの概要(パワーフロー)が例示されている。この例では、駆動力伝達装置10を介して、内燃機関12から、回転電機14及び出力軸28に駆動力(駆動エネルギー)が伝達される。
【0086】
図16には、制御Bに係る駆動例の閉曲線図が例示されている。縦軸、横軸や凡例等は図13と同様である。また、図17には、制御Bの実行時における、駆動力伝達装置10の各部の挙動が時系列で示されている。第1段目〜第5段目のグラフにおける、縦軸、横軸の単位及び凡例等は図14と同様である。
【0087】
図16にて、時刻0のポイントから反時計回りに軌跡を辿ると、振動子24と内燃機関12の駆動軸32の回転速度が一致する。このとき、制御部30はEG側クラッチ18を開放状態から係合状態に切り替え、振動子24と駆動軸32とを接続させる(第1制御)。振動子24と駆動軸32とが接続されることで、駆動軸32の駆動エネルギーが弾性部材26の弾性エネルギーに変換されて蓄積される(蓄エネ)。また、内燃機関12の駆動力が弾性部材26を介して出力軸28にも伝達される。図17の段3段目のグラフには、後者の伝達トルクの平均値Tin1として5.2[Nm]との数値が例示されている。
【0088】
弾性部材26に弾性エネルギーを蓄積させた後、制御部30はEG側クラッチ18を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24と駆動軸32との接続を解除させる(第2制御)。
【0089】
その後、振動子24の回転速度が回生中の回転電機14のロータ34の回転速度と一致すると、制御部30はMG側クラッチ20を解放状態から係合状態に切り替え、振動子24とロータ34とを接続させる(第3制御)。回転電機14は回生制御中であることから、弾性部材26の弾性エネルギーの一部がロータ34(回転電機14)に伝達される(放エネ)。これにより回転電機14は回生駆動される。
【0090】
なお、第3状態において、弾性部材26を介してロータ34と出力軸28とが接続される。このとき、出力軸28の駆動力の一部が回生中のロータ34に伝達される。図17の段4段目のグラフには、この伝達トルクの平均値Tin2として−2.6[Nm]との数値が例示されている。
【0091】
弾性部材26からロータ34に駆動力を伝達した後、制御部30はMG側クラッチ20を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24とロータ34との接続を解除させる(第4制御)。
【0092】
図17の第5段目(最下段)には、弾性部材26を介した、内燃機関12及び回転電機14から出力軸28への出力トルクの平均値Toutとして、Tin1とTin2の和である2.6との数値が例示されている。
【0093】
以下、第1制御から第4制御との順に制御を切り替えることで、内燃機関12の駆動力(駆動トルク)が、回転電機14の回生駆動力と出力軸28への駆動力とに分配される。
【0094】
<制御B*:内燃機関 → 回転電機>
図18には制御B*の概要(パワーフロー)が例示されている。制御B*は制御Bの特例として位置付けられる。すなわち、制御の切り替え順(第1制御→第2制御→第3制御→第4制御)は制御Bと同様であるが、出力軸28及び回転電機14へのトルク分配を調整して、見かけ上、内燃機関12からの駆動力(駆動トルク)が、回転電機14への回生駆動力(駆動トルク)に全て回されるように制御される。
【0095】
図19には、制御B*に係る駆動例の閉曲線図が例示されている。縦軸、横軸や凡例等は図13図16と同様である。また、図20には、制御B*の実行時における、駆動力伝達装置10の各部の挙動が時系列で示されている。第1段目〜第5段目のグラフは、縦軸、横軸及び凡例等は図14図17と同様である。
【0096】
図20の第3段目には、第1制御(EG側クラッチON)において、内燃機関12の駆動力の一部が弾性部材26を介して出力軸28に伝達される際の平均値Tin1として4.9[Nm]との数値が例示されている。
【0097】
また、図20の第4段目には、第3制御(MG側クラッチON)において、出力軸28の駆動力の一部が回生中のロータ34に伝達される際の平均値Tin2として−4.9[Nm]との数値が例示されている。
【0098】
さらに、これらの値Tin1及びTin2の和に対応するようにして、図20の第5段目(最下段)には、弾性部材26を介した出力軸28への出力トルクの平均値Toutとして0との数値が例示されている。
【0099】
このように、制御Bにおいて、内燃機関12から出力軸28に伝達される駆動トルク(第1制御)と、出力軸28から回生中の回転電機14に伝達する駆動トルク(第3制御)とを釣り合わせることで、見かけ上(トルク収支上)、内燃機関12の駆動力が回転電機14の回生駆動に全て回される。
【0100】
<制御C:回転電機 → 出力軸>
図21には制御Cの概要(パワーフロー)が例示されている。この例では、駆動力伝達装置10を介して、回転電機14から出力軸28に駆動力(駆動トルク)が伝達される。制御Cは、内燃機関12が停止状態(休止状態)であるときに、回転電機14単独で出力軸28に駆動力を伝達する、いわゆるEV走行に対応するものである。
【0101】
制御部30は、ブレーキ22を常時係合(オン)の状態、つまり駆動軸32が固定される状態(第7状態)とする制御(第7制御)と、当該係合(固定)が解除される状態(第8状態)とする制御(第8制御)が可能となっている。制御Cの実行に当たり、制御部30は、第7制御を実行し、駆動軸32を常時ロックする。
【0102】
図22には、制御Cに係る駆動例の閉曲線図が例示されている。縦軸、横軸や凡例等は図19と同様である。また、図23には、制御Cの実行時における、駆動力伝達装置10の各部の挙動が時系列で示されている。また図20と比較して、第1段目〜第5段目のグラフのうち、第3段目と第4段目のグラフが入れ替わっており、図23では、第3段目がMG側クラッチ20によるトルク変化、第4段目がEG側クラッチ18によるトルク変化を示す。なお、それ以外の縦軸、横軸の単位及び凡例等は図20と同様である。
【0103】
図22にて、時刻0のポイントから反時計回りに軌跡を辿ると、振動子24と回転電機14のロータ34の回転速度が一致する。このとき、制御部30はMG側クラッチ20を開放状態から係合状態に切り替え、振動子24とロータ34とを接続させる(第3制御)。振動子24とロータ34とが接続されることで、回転電機14の駆動エネルギーが弾性部材26の弾性エネルギーに変換されて蓄積される(蓄エネ)。また、回転電機14の駆動力が弾性部材26を介して出力軸28にも伝達される。図23の第3段目のグラフには、後者の伝達トルクの平均値Tin1として5.2[Nm]との数値が例示されている。
【0104】
弾性部材26に弾性エネルギーを蓄積させた後、制御部30はMG側クラッチ20を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24とロータ34との接続を解除させる(第4制御)。
【0105】
その後、振動子24の回転速度が0に至ると、制御部30はEG側クラッチ18を解放状態から係合状態に切り替える(第1制御)。このとき、駆動軸32はブレーキ22にロックされており、回転速度は0になっている。
【0106】
このとき、弾性部材26の一端はEG側クラッチ18を介してブレーキ22によって固定されている。これに伴い、弾性部材26の他端に接続された出力軸28に、弾性部材26の弾性エネルギーが伝達される(放エネ)。ブレーキ22にて駆動軸32をロックすることで、第1制御時に弾性エネルギーが内燃機関12に抜けて(逃げて)いくのを防止できる。図23の第4段目のグラフには、このときの伝達トルクの平均値Tin2として2.6[Nm]との数値が例示されている。
【0107】
第1制御の後、制御部30はEG側クラッチ18を係合状態から解放状態に切り替え、振動子24と駆動軸32との接続を解除させる(第2制御)。
【0108】
以下、順次、第3制御→第4制御→第1制御→第2制御との処理を繰り返すことで、回転電機14から間欠的に出力軸28に駆動力(駆動トルク)が伝達される。図23の第5段目には、弾性部材26を介した、回転電機14から出力軸28への出力トルクの平均値Toutとして、Tin1とTin2の和である7.8との数値が例示されている。
【符号の説明】
【0109】
10 駆動力伝達装置、12 内燃機関、14 回転電機、16 負荷、18 内燃機関側クラッチ(第1回転部への接続部)、20 回転電機側クラッチ(第3回転部への接続部)、22 ブレーキ、24 振動子、26 弾性部材、28 出力軸(第2回転部)、30 制御部、32 駆動軸(第1回転部)、34 ロータ(第3回転部)、35 ステータ。
図1
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図22
図23