特許第6623953号(P6623953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623953
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】車両の上部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20191216BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B62D25/06 B
   B62D25/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-127992(P2016-127992)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-1833(P2018-1833A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】池野 英輔
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0261623(US,A1)
【文献】 特開平07−172169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンの上部の車幅方向の両側部において車両前後方向に延在する左右一対のサイド部材と、
前記左右一対のサイド部材の間に配置され、車幅方向に延在するヘッダ部材と、
前記ヘッダ部材の車幅方向外側の端部と前記サイド部材とをつなぐヘッダサイド部材に設けられ、サンバイザが取付けられる被取付部と、
前記ヘッダサイド部材における前記被取付部の車両前後方向側に設けられ、車幅方向に沿って形成されたビードと、
前記ヘッダサイド部材に設けられ、前記被取付部へ車両上方側への荷重が入力された際に変形起点となる変形起点部と、
を備えた車両の上部構造。
【請求項2】
前記被取付部に形成され、前記サンバイザのブラケットが挿入されるブラケット挿入孔を備え、前記変形起点部は、前記ブラケット挿入孔に対して車幅方向に離れた位置で前記ヘッダサイド部材に形成された開口とされた請求項1に記載の車両の上部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の上部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、キャビンの上部において、サンバイザが台座部を介してフロントヘッダコーナレインフォースメントに支持された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−209136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サンバイザが支持される部材には、サンバイザの支持剛性の確保と乗員がサンバイザに当接した際の乗員保護性能とを両立させることが望まれる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、サンバイザの支持剛性を確保することができると共に乗員がサンバイザに当接した際の乗員保護性能を確保することができる車両の上部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の車両の上部構造は、キャビンの上部の車幅方向の両側部において車両前後方向に延在する左右一対のサイド部材と、前記左右一対のサイド部材の間に配置され、車幅方向に延在するヘッダ部材と、前記ヘッダ部材の車幅方向外側の端部と前記サイド部材とをつなぐヘッダサイド部材に設けられ、サンバイザが取付けられる被取付部と、前記ヘッダサイド部材における前記被取付部の車両前後方向側に設けられ、車幅方向に沿って形成されたビードと、前記ヘッダサイド部材に設けられ、前記被取付部へ車両上方側への荷重が入力された際に変形起点となる変形起点部と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の車両の上部構造によれば、ヘッダ部材が、左右一対のサイド部材との間に設けられている。そして、ヘッダ部材の車幅方向外側の端部とサイド部材とが、ヘッダサイド部材を介してつながれている。
【0008】
また、ヘッダサイド部材においてサンバイザが取付けられる被取付部の車両前後方向側には、車幅方向に沿ってビードが形成されている。これにより、ヘッダサイド部材の車両上下方向への曲げ剛性を向上させることができる。さらに、ヘッダサイド部材には、サンバイザが取付けられる被取付部及び当該被取付部へ車両上方側への荷重が入力された際の変形起点となる変形起点部が設けられている。これにより、乗員がサンバイザに当接することで、車両上方側への荷重がヘッダサイド部材の被取付部に入力された際に、ヘッダサイド部材を当該ヘッダサイド部材に設けられた変形起点部を変形起点として変形させることができる。
請求項2記載の車両の上部構造は、請求項1記載の車両の上部構造において、前記被取付部に形成され、前記サンバイザのブラケットが挿入されるブラケット挿入孔を備え、前記変形起点部は、前記ブラケット挿入孔に対して車幅方向に離れた位置で前記ヘッダサイド部材に形成された開口とされている。
請求項2記載の車両の上部構造によれば、ヘッダサイド部材の被取付部にはブラケット挿入孔が形成されており、サンバイザのブラケットがブラケット挿入孔に挿入される。一方、ヘッダサイド部材に形成される変形起点部は、開口とされ、ブラケット挿入孔に対して車幅方向に離れた位置に形成されている。車両上方側への荷重がヘッダサイド部材に入力されると、開口である変形起点部からヘッダサイド部材が変形される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両の上部構造は、サンバイザの支持剛性を確保することができると共に乗員がサンバイザに当接した際の乗員保護性能を確保することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】キャビンの上部におけるフロントピラーとフロントヘッダとの接続部をキャビン側から見た拡大斜視図である。
図2図1に示された2−2線に沿って切断したフロントヘッダサイド等の断面を示す断面図である。
図3図1に示された3−3線に沿って切断したフロントヘッダ等の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図3を用いて本発明の実施形態に係る車両の上部構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは、車両前後方向前側を示しており、矢印UPは、車両上下方向上側を示しており、矢印OUTは、車両幅方向外側を示している。また、以下の説明で特記なく前後、上下、内外及び左右の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両幅方向の内外及び左右を示すものとする。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態の車両の上部構造は、キャビン10に設けられた図示しない前席の上方側に適用されている。具体的には、キャビン10の上部における車幅方向両側部には、車幅方向に間隔をあけて前後方向に延在するサイド部材としての左右一対のルーフサイドレール38が設けられている。また、左右一対のルーフサイドレール38の前方側には、当該左右一対のルーフサイドレール38の前端部から前方側に向かうにつれて下方側に傾斜して延在するサイド部材としての左右一対のフロントピラー12が設けられている。なお、図1には、右側のルーフサイドレール38及びフロントピラー12が図示されている。
【0013】
ルーフサイドレール38は、キャビン10側に配置されたルーフサイドレールインナ40と、車幅方向外側に配置された図示しないルーフサイドレールアウタと、が接合されることにより構成されている。また、フロントピラー12は、ルーフサイドレール38と同様に、キャビン10側に配置されたフロントピラーインナ14と、車幅方向外側に配置された図示しないフロントピラーアウタと、が接合されることにより構成されている。なお、ルーフサイドレール38及びフロントピラー12をその長手方向と直交する方向に沿って切断した断面は、矩形状や多角形状の閉断面とされている。
【0014】
左右一対のフロントピラー12の間には、車幅方向に延在するヘッダ部材としてのフロントヘッダ16が設けられている。図3に示されるように、フロントヘッダ16は、車両前後方向及び上下方向に沿って切断した断面視で上方側が開放されたハット型断面に形成されている。詳述すると、フロントヘッダ16は、車幅方向を長手方向として延びると共に車両前方側に向かうにつれて下方側へ緩やかに傾斜された底壁部16Aと、底壁部16Aの前端及び後端からそれぞれ上方側へ屈曲して延びる前壁部16B及び後壁部16Cと、を備えている。また、フロントヘッダ16は、前壁部16Bの上端部から前方側へ屈曲して延びる前側フランジ部16Dと、後壁部16Cの上端部から後方側へ屈曲して延びる後側フランジ部16Eと、を備えている。前側フランジ部16Dはルーフパネル18の前端部に溶接等により接合されており、後側フランジ部16Eは、図示しない接着剤等を介してルーフパネル18に接合されている。これにより、フロントヘッダ16とルーフパネル18との間には、車両側面視で略矩形状の閉断面が形成されている。なお、ルーフパネル18において前側フランジ部16Dが接合された側とは反対側の面には、図示しない接着剤を介してフロントウィンドシールドガラス20が接合されている。また、フロントヘッダ16の底壁部16Aには、サンバイザ22のサンバイザ本体24に設けられたホルダ係合部26が係合するホルダ28が接合されている。そして、ホルダ係合部26がホルダ28に係合した状態では、サンバイザ本体24をホルダ28まわりに傾動させることが可能となっている。なお、以上説明したフロントヘッダ16及び後述するフロントヘッダサイド32は、ルーフヘッドライニング30に被われることでキャビン10内の乗員から視認されないようになっている。
【0015】
図1に示されるように、フロントヘッダ16の車幅方向外側の端部とフロントピラー12とは、ヘッダサイド部材としてのフロントヘッダサイド32を介してつながれている。図1及び図2に示されるように、フロントヘッダサイド32は、フロントヘッダ16と同様に車両前後方向及び上下方向に沿って切断した断面視で上方側が開放されたハット型断面に形成されている。このフロントヘッダサイド32は、フロントヘッダ16の底壁部16A、前壁部16B、後壁部16C、前側フランジ部16D及び後側フランジ部16Eと対応する底壁部32A、前壁部32B、後壁部32C、前側フランジ部32D及び後側フランジ部32Eを備えている。また、図1に示されるように、フロントヘッダサイド32は、底壁部32A、前壁部32B、後壁部32C、前側フランジ部32D及び後側フランジ部32Eの車幅方向外側の端部からフロントピラーインナ14に沿って延びると共に、その一部がフロントピラーインナ14に溶接等により接合される外壁部32Fを備えている。なお、フロントヘッダサイド32の車幅方向内側の端部は、フロントヘッダ16の車幅方向外側の端部に溶接等により接合されている。
【0016】
フロントヘッダサイド32の底壁部32Aには、サンバイザ22のブラケット34が取付けられる被取付部32Gが設けられている。この被取付部32Gは、その周縁部に対して上方側へ窪んでいる。これにより、底壁部16Aにおける被取付部32Gとその周りとの境目には、段差部32Hが形成されている。また、被取付部32Gの車幅方向及び前後方向の中心部には、ブラケット34の一部が挿入されるブラケット挿入孔32Iが形成されている。さらに、被取付部32Gにおけるブラケット挿入孔32Iのまわりには、ブラケット34を被取付部32Gに取付ける(固定する)ための締結部材36(図2参照)が係合される締結部材係合孔32Jが形成されている。
【0017】
また、フロントヘッダサイド32の底壁部32Aの前端部及び後端部には、車両下方側へ向けて突出すると共に車幅方向に沿って延びるビードとしての前側凸ビード32K及び後側凸ビード32Lがそれぞれ形成されている。この前側凸ビード32K及び後側凸ビード32Lの被取付部32Gに対する下方側への突出高さ(車両下方側への寸法)は、車幅方向外側に向かうにつれて次第に高くなっている。なお、前側凸ビード32K及び後側凸ビード32Lの車幅方向外側の端部は、外壁部32Fにつながっている。また、被取付部32Gは、前側凸ビード32Kの車幅方向内側の端部と後側凸ビード32Lの車幅方向内側の端部との間の前後方向の中央部に配置されている。
【0018】
さらに、フロントヘッダサイド32の底壁部32Aには、変形起点部としての内側開口部32M及び第1外側開口部32Nが形成されている。内側開口部32Mは、被取付部32Gに形成されたブラケット挿入孔32Iに対して車幅方向内側かつ底壁部32Aの前後方向の中間部に形成されており、この内側開口部32Mは、被取付部32Gとその周縁部との境目に形成された段差部32Hの一部を切り欠いている。また、第1外側開口部32Nは、被取付部32Gに形成されたブラケット挿入孔32Iに対して車幅方向外側かつ底壁部32Aの前後方向の中間部に形成されており、この第1外側開口部32Nは、内側開口部32Mと同様に段差部32Hの一部を切り欠いている。
【0019】
さらに、フロントヘッダサイド32の底壁部32Aと外壁部32Fとの境目には、変形起点部としての第2外側開口部32Oが形成されている。第2外側開口部32Oは、底壁部32A及び外壁部32Fの前後方向の中間部に形成されており、この第2外側開口部32Oは、底壁部32Aと外壁部32Fとの境目に形成された稜線32Pの一部を切り欠いている。
【0020】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0021】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の車両の上部構造によれば、フロントヘッダ16が、左右一対のフロントピラー12との間に設けられており、フロントヘッダ16の車幅方向外側の端部とフロントピラー12とが、フロントヘッダサイド32を介してつながれている。
【0022】
また、フロントヘッダサイド32には、前述の前側凸ビード32K及び後側凸ビード32Lが形成されている。これにより、フロントヘッダサイド32の車両上下方向への曲げ剛性を向上させることができる。すなわち、キャビン10の上部においてサンバイザ22が取付けられる部分の剛性を向上させることができる。また、前側凸ビード32K及び後側凸ビード32Lがフロントヘッダサイド32に形成されていることにより、フロントピラー12とフロントヘッダ16との間の部分の剛性が向上され、車体の上部の剛性を向上させることができる。
【0023】
また、本実施形態では、前述の内側開口部32M、第1外側開口部32N及び第2外側開口部32Oがフロントヘッダサイド32に形成されている。これにより、車両の衝突時等において、乗員がサンバイザ22に当接することで、車両上方側への荷重がフロントヘッダサイド32の被取付部32Gに入力された際に、フロントヘッダサイド32を当該フロントヘッダサイド32に形成された内側開口部32M、第1外側開口部32N及び第2外側開口部32Oを変形起点として変形させることができる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態では、サンバイザ22の支持剛性を確保することができると共に乗員がサンバイザ22に当接した際の乗員保護性能を確保することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、フロントヘッダ16とフロントピラー12とをつなぐフロントヘッダサイド32にサンバイザ22を支持させた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フロントヘッダ16とルーフサイドレール38とをつなぐフロントヘッダサイド32にサンバイザ22を支持させてもよいし、フロントヘッダ16とルーフサイドレール38及びフロントピラー12の両方とをつなぐフロントヘッダサイド32にサンバイザ22を支持させてもよい。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
10 キャビン
12 フロントピラー(サイド部材)
16 フロントヘッダ(ヘッダ部材)
32 フロントヘッダサイド(ヘッダサイド部材)
32G 被取付部
32K 前側凸ビード(ビード)
32L 後側凸ビード(ビード)
32M 内側開口部(変形起点部)
32N 外側開口部(変形起点部)
32O 外側開口部(変形起点部)
38 ルーフサイドレール(サイド部材)
図1
図2
図3