特許第6623986号(P6623986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623986
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/00 20060101AFI20191216BHJP
   B65H 29/70 20060101ALI20191216BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20191216BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20191216BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B65H37/00
   B65H29/70
   B41J29/393 103
   G03G15/00 430
   G03G21/00 370
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-175757(P2016-175757)
(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公開番号】特開2018-39626(P2018-39626A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴行
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−052424(JP,A)
【文献】 実開昭61−122256(JP,U)
【文献】 特開2015−117099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00 − 37/06
B65H 45/00 − 45/30
B65H 29/70
B41J 29/393
B41J 29/46
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に凸部を備えた第一ローラと外周面に凹部を備えた第二ローラとにより用紙を挟持可能なローラ対と、前記ローラ対の回転を駆動する駆動部と、を備え、画像が形成された前記用紙に後処理を施す後処理装置であって、
前記用紙に形成された前記画像に不良が検知された場合に、前記駆動部により駆動された前記ローラ対が回転し、前記第一ローラの凸部と前記第二ローラの凹部とにより前記用紙を挟持することで、前記用紙の断裁予定領域で用紙搬送方向に沿った折りを形成する、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記駆動部は、用紙搬送方向に前記折りの範囲を変化させるように前記ローラ対を駆動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記駆動部は、用紙搬送方向に前記折りの範囲を変化させ、前記用紙の端部において前記折りの高低差が最も大きくなるように前記ローラ対を駆動する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記ローラの外周面において回転方向に徐々に高さが変化する逆V字形状の線状突起領域であり、
前記凹部は、前記ローラの外周面において回転方向に徐々に深さが変化するV字形状の溝領域である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記用紙のいずれかの面に形成された前記画像について不良が検知された場合、不良の種類に応じて前記折りが異なった状態になるように前記ローラ対を駆動する、
ことを特徴とする請求項4に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記ローラ対を構成するそれぞれの前記ローラは前記凸部と前記凹部とを備えて構成され、
前記用紙において前記折りの山と谷を形成する面を切り替え可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記駆動部は、前記用紙のいずれかの面に形成された前記画像について不良が検知された場合、不良が存在する面に前記折りの山又は谷のいずれか定められた一方が生じるように前記ローラ対を駆動する、
ことを特徴とする請求項6に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記駆動部は、形成された前記画像について不良が検知された場合、前記用紙上で不良の存在位置が搬送方向先端に近いか搬送方向後端に近いかに応じて、前記用紙の搬送方向先端か搬送方向後端のいずれかに前記折りを形成するように前記ローラ対を駆動する、
ことを特徴とする請求項6に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記折りは、用紙面において用紙搬送方向と垂直な主走査方向に移動可能であり、
前記駆動部は、前記用紙に形成された前記画像について不良が検知された場合、不良が存在する主走査方向の位置で前記折りを形成するように前記ローラ対を移動させて駆動する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項10】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記用紙に形成された前記画像を読み取って読み取り画像データを生成する読み取り部と、
前記読み取り画像データから不良を検知する制御部と、
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の後処理装置と、
を備えて構成されたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや軽印刷装置等の画像形成装置に各種用紙処理を実行する後処理装置、及びこのような後処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置を用いたデジタル印刷システムで、機械内部のインラインに読取りセンサを出力物読取部として配置しておき、画像形成後に用紙を読み取った画像から印刷物の印刷不良検知(以下、ヤレ検知)を行うことが行われている。
このように印刷物の検品処理をインラインの検査装置により自動検品する装置が提案されているが、ヤレと判断する閾値の設定によって、動作に問題が生じる場合がある。例えば、ヤレと判定する閾値を厳密にすると、実際には許容できる品質にも関わらずヤレと判定して生産性が低下することがある。一方、ヤレと判定する閾値を緩くすると、実際には許容できない品質にも関わらず正常と判定してしまう場合がある。
【0003】
以上のような理由から、ヤレ検知については完全に自動化せず、目視チェックも合わせて行うことが一般的である。
ところで、インラインの検査機で不良と判定された印刷物をパージにより正常出力印刷物と分離すると、目視チェックはやりやすい。しかし、インラインの検査機で不良と判定されて正常出力と分離された印刷物について、目視チェックにより正常品と判定された場合には、その印刷物を元の位置に戻す手間がかかる。
【0004】
一方、インラインの検査機で不良を判定された印刷物を正常出力と分離せずに出力し、不良ページの位置を記録し、印刷終了後に目視で検査する方式も存在する。この場合には、検査機で不良と判定された印刷物を正常品のなかから探し出す際に手間がかかる問題が発生する。
【0005】
なお、これらの技術については、以下の特許文献にも提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-205746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の特許文献1では、インラインの検査装置を有した印刷機で判定基準を2つ設け、正常、不良、正常と不良の中間の3種類に判定する。そして、不良と判定した印刷物は正常品と別のトレーに出力し、正常と不良の中間と判定された印刷物は正常品に対してシフトや角度を変えて正常品と同じトレーに出力する。
【0008】
この特許文献1の手法では、不良品を正常品と別トレーに出力することにより、不良品が正常品に混入することを防止することができる。しかし、正常品から落丁している不良品を再印刷する場合に、挿入する場合がすぐには分からない問題がある。一方、正常品と不良品の中間と判定された印刷物はシフトして排出されるので目視対象のページは分かりやすいが、目視チェックにより正常品と判定された場合はシフトされた位置を正常品と揃える手間がかかる問題が発生する。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、印刷物のヤレ検知について、機械検査と目視チェックとを併用して正常/不良を判定する際に、検査機で不良と判定された印刷物の目視チェックを容易に実行可能な後処理装置及び画像形成システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面が反映された後処理装置及び画像形成システムは、以下のように構成される。
(1)上述した目的を実現する後処理装置は、外周面に凸部を備えた第一ローラと外周面に凹部を備えた第二ローラとにより用紙を挟持可能なローラ対と、前記ローラ対の回転を駆動する駆動部と、を備え、画像が形成された前記用紙に後処理を施す後処理装置であって、前記用紙に形成された前記画像に不良が検知された場合に、前記駆動部により駆動された前記ローラ対が回転し、前記第一ローラの凸部と前記第二ローラの凹部とにより前記用紙を挟持することで、前記用紙の断裁予定領域で用紙搬送方向に沿った折りを形成する、ことを特徴とする。
【0011】
また、上述した目的を実現する画像形成システムは、外周面に凸部を備えた第一ローラと外周面に凹部を備えた第二ローラとにより用紙を挟持可能なローラ対と、前記ローラ対の回転を駆動する駆動部と、を備え、前記用紙に形成された前記画像に不良が検知された場合に、前記駆動部により駆動された前記ローラ対が回転し、前記第一ローラの凸部と前記第二ローラの凹部とにより前記用紙を挟持することで、前記用紙の断裁予定領域で用紙搬送方向に沿った折りを形成する後処理装置と、用紙に画像を形成する画像形成部と、前記用紙に形成された前記画像を読み取って読み取り画像データを生成する読み取り部と、前記読み取り画像データから不良を検知する制御部と、を備えて構成される。
【0012】
(2)以上の(1)において、前記駆動部は、用紙搬送方向に前記折りの範囲を変化させるように前記ローラ対を駆動する、ことを特徴とする。
(3)以上の(1)〜(2)において、前記駆動部は、用紙搬送方向に前記折りの範囲を変化させ、前記用紙の端部において前記折りの高低差が最も大きくなるように前記ローラ対を駆動する、ことを特徴とする。
【0013】
(4)以上の(1)〜(3)において、前記凸部は、前記ローラの外周面において回転方向に徐々に高さが変化する逆V字形状の線状突起領域であり、前記凹部は、前記ローラの外周面において回転方向に徐々に深さが変化するV字形状の溝領域である、ことを特徴とする。
【0014】
(5)以上の(4)において、前記駆動部は、前記用紙のいずれかの面に形成された前記画像について不良が検知された場合、不良の種類に応じて前記折りが異なった状態になるように前記ローラ対を駆動する、ことを特徴とする。
(6)以上の(1)〜(5)において、前記ローラ対を構成するそれぞれの前記ローラは前記凸部と前記凹部とを備えて構成され、前記用紙において前記折りの山と谷を形成する面を切り替え可能である、ことを特徴とする。
【0015】
(7)以上の(6)において、前記駆動部は、前記用紙のいずれかの面に形成された前記画像について不良が検知された場合、不良が存在する面に前記折りの山又は谷のいずれか定められた一方が生じるように前記ローラ対を駆動する、ことを特徴とする。
(8)以上の(6)において、前記駆動部は、形成された前記画像について不良が検知された場合、前記用紙上で不良の存在位置が搬送方向先端に近いか搬送方向後端に近いかに応じて、前記用紙の搬送方向先端か搬送方向後端のいずれかに前記折りを形成するように前記ローラ対を駆動する、ことを特徴とする。
【0016】
(9)以上の(1)〜(8)において、前記折りは、用紙面において用紙搬送方向と垂直な主走査方向に移動可能であり、前記駆動部は、前記用紙に形成された前記画像について不良が検知された場合、不良が存在する主走査方向の位置で前記折りを形成するように前記ローラ対を移動させて駆動する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面が反映された後処理装置及び画像形成システムでは、以下のような効果が得られる。
(1)この後処理装置、又は画像形成システムでは、駆動部は、用紙に形成された画像について不良が検知された場合、画像が不良である場合に用紙に折りを形成するようにローラ対を駆動し、駆動部により駆動されたローラ対が回転しつつ、第一ローラの凸部と第二ローラの凹部とにより用紙を挟持することで、用紙の断裁予定領域で用紙搬送方向に沿った折りを形成する。
【0018】
これにより、機械検査と目視チェックとを併用して印刷物のヤレ検知を行う際に、ローラ対により形成された折りは、用紙端部から目視で認識でき、不良ページの位置を容易に認識することが可能になる。また、ローラ対により形成された折りは、触感チェックでも容易に認識でき、不良ページの位置を容易に認識することが可能になる。また、送風により折りの検出を更に容易にすることも可能である。
【0019】
また、用紙の断裁予定領域に折りが形成されることにより、折りが形成されて目視チェックにより正常と判断された場合にも、当該折りは断裁されるため印刷物の品質が劣化することはない。
また、分離排紙ではないため、機械検査で不良品と判定されたものの目視チェックにより正常品と判定された場合に元の位置に戻す手間がかからない。また、シフト排紙ではないため、機械検査で不良品と判定されたものの目視チェックにより正常品と判定された場合にシフトされた位置を正常品と揃える手間がかからない。
【0020】
(2)以上の(1)において、駆動部は、用紙搬送方向に折りの範囲を変化させるようにローラ対を駆動することにより、折りの最大の高低差も変化するようになり、ローラ対により形成された折りを用紙端部から目視で認識して、不良ページの位置を容易に認識することが可能になる。
【0021】
(3)以上の(1)〜(2)において、駆動部は、用紙搬送方向に折りの範囲を変化させ、用紙の端部において前記折りの高低差が最も大きくなるようにローラ対を駆動することにより、ローラ対により形成された折りを用紙端部から目視で認識して、不良ページの位置を容易に認識することが可能になる。
【0022】
(4)以上の(1)〜(3)において、凸部は、ローラの外周面において回転方向に徐々に高さが変化する逆V字形状の線状突起領域であり、凹部は、ローラの外周面において回転方向に徐々に深さが変化するV字形状の溝領域であるため、用紙に対して搬送方向にV字断面を有する折りを形成して、目視チェックにより不良ページの位置を容易に認識することが可能になる。
【0023】
(5)以上の(4)において、駆動部は、用紙のいずれかの面に形成された画像について不良が検知された場合、不良の種類に応じて折りが異なった状態になるようにローラ対を駆動することにより、目視チェックにより不良ページの位置や不良の種類を容易に認識することが可能になる。
【0024】
(6)以上の(1)〜(5)において、ローラ対を構成するそれぞれのローラは凸部と凹部との両方を備えることで、用紙において折りの山と谷を形成する面を切り替え可能になり、目視チェックにより不良ページの位置を容易に認識することが可能になる。たとえば、連続するページに折りを形成する際には、折りの山と谷を逆に形成することで、それぞれの不良ページの折りが重ならないため、それぞれの不良ページの位置を容易に認識できる。
【0025】
(7)以上の(6)において、駆動部は、用紙のいずれかの面に形成された画像について不良が検知された場合、不良が存在する面に折りの山又は谷のいずれか定められた一方が生じるようにローラ対を駆動することにより、目視により不良ページの位置と面とを容易に認識することが可能になる。
【0026】
(8)以上の(6)において、駆動部は、形成された画像について不良が検知された場合、用紙上で不良の存在位置が搬送方向先端に近いか搬送方向後端に近いかに応じて、用紙の搬送方向先端か搬送方向後端のいずれかに折りを形成するようにローラ対を駆動することにより、目視により不良ページ位置と面内不良搬送方向位置とを容易に認識することが可能になる。
【0027】
(9)以上の(1)〜(8)において、折りは、用紙面において用紙搬送方向と垂直な主走査方向に移動可能であり、駆動部は、用紙に形成された画像について不良が検知された場合、不良が存在する主走査方向の位置で折りを形成するようにローラ対を移動させて駆動することにより、目視により不良ページ位置と面内不良主走査方向位置とを容易に認識することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態の構成を示す構成図である。
図3】本発明の実施形態の構成を示す構成図である。
図4】本発明の実施形態のプリントの動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態の動作状態を示す説明図である。
図6】本発明の実施形態の動作状態を示す説明図である。
図7】本発明の実施形態の動作状態を示す説明図である。
図8】本発明の実施形態の動作状態を示す説明図である。
図9】本発明の実施形態の動作状態を示す説明図である。
図10】本発明の実施形態の動作状態を示す説明図である。
図11】本発明の実施形態の動作状態を示す説明図である。
図12】本発明の実施形態の動作状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
〔構成〕
図1のブロック図及び図2の構成図を参照して、本実施の形態に係る後処理装置を備える画像形成システム1の構成について説明する。
【0030】
この画像形成システム1は、画像形成装置100と、画像形成装置100の後段にて用紙排出と折り形成の機能とを備える後処理装置200と、を有して構成されている。なお、この画像形成システム1における各装置の接続は一例であって、この接続状態に限定されるものではない。なお、本実施形態の制御は、画像形成制御プログラムや後処理制御プログラムに基づいて行われる。
【0031】
〔画像形成システムの構成〕
ここで、画像形成装置100と後処理装置200とがセットされた画像形成システム1の構成例を、図1図2に基づいて詳細に説明する。
なお、画像形成装置100と後処理装置200とがセットされた画像形成システム1は、画像形成システムの一例を示しており、図示されない他の後処理装置などが接続されていても良い。また、以下の説明において、用紙を搬送しつつ画像を形成する方向を副走査方向、この副走査方向と直交する用紙面内の方向を主走査方向と定義する。
【0032】
画像形成装置100は、制御部101と、通信部102と、制御部201と、記憶部104と、操作表示部105と、画像形成搬送部107と、センサ109と、原稿読取部110と、RIP処理部120と、データ記憶部130と、画像処理部140と、画像形成部150と、定着部160と、を備えて構成されている。
【0033】
制御部101は、画像形成装置100内の各部を制御する。なお、制御部101は、CPUや各種プロセッサにより構成され、画像形成制御プログラムにより制御される。通信部102は、セットされている他の装置(外部機器や給紙装置や後処理装置200等)と通信する。制御部201は、外部機器からページ記述言語で記述されたジョブデータを受信して必要に応じて記憶する。記憶部104は、各種設定を記憶する。操作表示部105は、利用者による操作入力の受け付けと画像形成装置100の状態表示とを行う。画像形成搬送部107は、装置内で用紙を搬送する。センサ109は、画像形成と用紙搬送に関して各種状態を検知する。原稿読取部110は、撮像素子により原稿の画像を読み取って原稿画像データを生成する。
【0034】
RIP処理部120は、制御部201が受信したページ記述言語で記述されたRIP処理前のジョブデータに対してRIP処理を実行し、画像形成可能なビットマップ形式の画像データに変換する。データ記憶部130は、画像形成する際の画像データや各種データを記憶する。なお、データ記憶部130は、画像データを受け入れる読込用画像メモリと、受け入れた画像データを画像形成用に出力するプリント用画像メモリと、を備えて構成されている。画像処理部140は、画像形成に必要な各種画像処理を実行する。画像形成部150は、画像形成命令と、データ記憶部130内のプリント用画像メモリに格納された画像データとに基づいて用紙上に画像を形成する。定着部160は、用紙上に形成されたトナーによる画像を熱と圧力とで安定させる。
【0035】
後処理装置200は、制御部201と、通信部202と、搬送部210と、読み取り部220と、折り部230と、排紙部240と、を備えて構成されている。なお、後処理装置200内に、図示されない他の後処理を実行する後処理部が設けられていても良い。
制御部201は、制御部101の制御に基づいて、後処理装置200内の各部を制御する。また、制御部201は、後述する読み取り画像データから、画像についての不良を検知する。なお、制御部201は、CPUや各種プロセッサにより構成され、後処理制御プログラムにより制御される。通信部202は、接続されている画像形成装置100等の他の装置と通信する。搬送部210は、画像形成装置100から送られて来た用紙を、後述する読み取りや折りの形成に合わせて、後処理装置200内を搬送する。読み取り部220は、画像形成装置100から送られて来た用紙に形成された画像を読み取って、読み取り画像データを生成する。折り部230は、用紙を挟持するローラ対と、このローラ対を駆動する駆動部とを備えて構成される。また、ローラ対は、外周面に凸部を備えた第一ローラと、外周面に凹部を備えた第二ローラとを備えて構成される。そして、折り部230は、用紙に形成された画像に不良が検知された場合に、駆動部により駆動されたローラ対が回転し、第一ローラの凸部と第二ローラの凹部とにより用紙を挟持することで、用紙の断裁予定領域で用紙搬送方向に沿った折りを形成する。排紙部240では、用紙は排紙トレイに排紙される。
【0036】
なお、ローラ対は、外周面に凸部を備えた第一ローラと、外周面に凹部を備えた第二ローラとを有すると説明したが、外周面に凸部と凹部を備えた同形状の2つのローラによりローラ対を構成しても良い。なお、図2におけるローラ231とローラ232とは、外周面に凸部と凹部を備えた同形状のローラである。
【0037】
図3では、ローラ対を構成するローラ231とローラ232について、正面図、側面図、斜視図により、凸部と凹部との様子を示している。
ローラ231は、回転駆動される中心軸231aと、ローラ本体部231bと、外周面に設けられた凸部231cと、外周面に設けられた凹部231dと、を備えて構成されている。ここで、凸部231cは、ローラ231の外周面において、回転方向に徐々に高さが変化する逆V字形状の線状突起領域である。また、凹部231dは、ローラ231の外周面において、回転方向に徐々に深さが変化するV字形状の溝領域である。
【0038】
また、ローラ232は、回転駆動される中心軸232aと、ローラ本体部232bと、外周面に設けられた凸部232cと、外周面に設けられた凹部232dと、を備えて構成されている。ここで、凸部232cは、ローラ232の外周面において、回転方向に徐々に高さが変化する逆V字形状の線状突起領域である。また、凹部232dは、ローラ232の外周面において、回転方向に徐々に深さが変化するV字形状の溝領域である。
【0039】
そして、ローラ対が互いに逆回転することで、ローラ231の凹部231dのV字形状における溝領域と、ローラ232の凸部232cにおける逆V字形状の線状突起領域とは、互いに近接することで、凹部と凸部とが噛み合った状態になる。同様に、ローラ対が互いに逆回転することで、ローラ231の凸部231cにおける逆V字形状の線状突起領域と、ローラ232の凹部232dのV字形状における溝領域とは、互いに近接することで、凸部と凹部とが噛み合った状態になる。
【0040】
後処理装置200においては、用紙の搬送に合わせてローラ対を構成するローラ231とローラ232とを回転させることにより、上側のローラ231の凹部231dと下側のローラ232の凸部232cとが噛み合った状態になると、用紙記録紙に逆V型(山=凸部)の折りが形成される。
【0041】
また、用紙の搬送に合わせてローラ対を構成するローラ231とローラ232とを回転させることにより、上側のローラ231の凸部231cと下側のローラ232の凹部232dとが噛み合った状態になると、用紙記録紙にV型(谷=凹部)の折りが形成される。また、ローラ対の回転位相により上下の噛み合わせの深さが変わり、それにより形成される折りの深さを変化させることができる。
【0042】
〔実施形態の動作(1)〕
以下、図4のフローチャート、図5以降の各種動作説明図を用いて、本実施形態の動作説明を行う。ここで、後処理装置200は、画像形成装置100で画像形成された用紙について、画像が不良である場合には、後処理として用紙の断裁予定領域に折りを形成して排紙する。
【0043】
後処理装置200内の制御部201は、画像形成装置100内の制御部101から後処理実行指示の受信を待機している(図4中のステップS100)。
制御部201は、制御部101から後処理実行指示の受信すると(図4中のステップS100でYES)、続いて、制御部101から用紙情報を受信する(図4中のステップS101)。ここで、用紙情報は、用紙枚数、用紙サイズ、断裁予定領域(用紙サイズから画像領域を除いた範囲)、画像形成面などの情報が含まれている。
【0044】
ここで、制御部201は、後処理(不良検知、折り形成、排紙)を実行する用紙について、初期用紙を1枚目,着目用紙をm枚目,最終頁をM枚目,インクリメント単位を1枚と設定する(図4中のステップS102)。
なお、実際の後処理装置200では、用紙の搬送距離の関係で複数枚の用紙が並行して順次後処理されることもあるが、本実施形態ではm枚目について説明を行う。
【0045】
ここで、制御部201は、m枚目用紙を画像形成装置100から後処理装置200に受け入れ、搬送部210によりm枚目用紙を後処理装置200内で所定の速度で搬送する(図4中のステップS103)。
そして、制御部201から指示を受けた読み取り部220は、m枚目用紙の画像を読み取って、読み取り画像データを生成する。
【0046】
なお、読み取り部220はm枚目用紙の画像が形成された面について読み取りを行う。この場合、読み取り部220が用紙の両面を読み取ることが可能であって、用紙の両面に画像が形成されている場合には、読み取り部220は用紙両面の画像を読み取る。一方、読み取り部220が用紙の片面のみを読み取ることが可能であって、搬送される用紙の裏面にも画像が形成されている場合には、搬送部210が用紙を循環させて、読み取り部220は用紙裏面又は用紙両面の読み取りを行う。
【0047】
この読み取り部220で得られた読み取り画像データについて、制御部201は、制御部101と協同して既知の各種の手法により不良(ヤレ)検知を行う(図4中のステップS104)。ここで、不良検知としては、元画像データと読み取り画像データとの比較等の各種手法を用いることができ、また、検出対象となる画像の不良についても汚れやかすれや位置ずれなど各種を任意に定めることができる。
【0048】
また、制御部201は、m枚目用紙の画像の不良について、不良有無、不良程度、不良面、不良位置(主走査方向不良位置、副走査方向不良位置)、などを必要に応じて検知する。なお、m枚目用紙の不良検知を制御部201の代わりに制御部101が担当することも可能であり、その場合には、制御部101で検知された結果が制御部201に通知される。
【0049】
m枚目用紙の画像に不良が存在しない場合(図4中のステップS105でNO)、制御部201は、用紙を搬送部210により搬送して、排紙部240に用紙を排紙する(図4中のステップS111)。そして、以上の処理を最終のM枚目の用紙まで繰り返す(図4中のステップS112)。
【0050】
一方、m枚目用紙の画像に不良が存在する場合(図4中のステップS105でYES)、制御部201は、折りを形成する面(用紙表面に山、用紙裏面に山)と、折りを形成する位置(副走査方向位置(用紙先端、用紙後端)、主走査方向位置)を決定する(図4中のステップS106)。
【0051】
図5は用紙における折りの形成面や形成位置を模式的に示す説明図である。ここで、用紙のグレーの領域は画像が形成される画像領域、画像領域の外側が断裁装置により断裁される予定の断裁予定領域である。
図5(a)は、用紙搬送方向の後端(用紙後端)に、用紙表面が山になるように折りfを形成した様子を示す。図5(b)は、用紙搬送方向の先端(用紙先端)に、用紙表面が山になるように折りfを形成した様子を示す。図5(c)は、用紙搬送方向の後端(用紙後端)に、用紙表面が谷になるように折りfを形成した様子を示す。図5(d)は、用紙搬送方向の先端(用紙先端)に、用紙表面が谷になるように折りfを形成した様子を示す。
【0052】
以上の折fとして、山は、後述するローラ対により形成され、用紙端部で最も高くなるように形成されている。同様に、以上の折fとして、谷は、後述するローラ対により形成され、用紙端部で最も深くなるように形成されている。なお、図5において、用紙上での折りfの主走査方向位置は全て中央付近のものを例示しているが、これに限定されるものではない。
【0053】
そして、制御部201は、折りの形成面や形成位置を決定した後に、決定された折りを形成できるように、ローラ対を構成するローラ231とローラ232との初期位置を調整する(図4中のステップS107)。なお、この初期調整については、用紙がローラ対に到達する前に行う。
【0054】
図6以降のローラ対の説明では、用紙Pを右から左に搬送する場合に、用紙Pを上下から挟むように、回転方向に徐々に高さが変化する凸部(逆V字形状の線状突起領域)と、回転方向に徐々に深さが変化する凹部(V字形状の溝領域)をそれぞれの外周面に有するローラ231とローラ232とが配置されている。
【0055】
また、以下の説明では、用紙搬送方向と一致する方向を基準に、ローラの回転位相0°として、ローラを回転位相を説明する。なお、この際に、各ローラにおいて凸部と凹部とがローラの外周面のそれぞれ反対側に設けられているとする。また、以下の説明では、各ローラの回転位相について、凸部の位置により説明する。
【0056】
図6は、上のローラ231側の用紙後端に折りの山(表面:山、裏面:谷)を形成する場合のローラ231とローラ232の回転位相を示している。図7は、上のローラ231側の用紙先端に折りの山を形成する場合のローラ231とローラ232の回転位相を示している。ここで、山が形成される側のローラ231の初期位置は0°(用紙Pの搬送方向)、谷が形成される側のローラ232の初期位置は180°(用紙Pの搬送方向と逆方向)とする(図6(a)、図7(a))。
【0057】
図8は、下のローラ232側の用紙後端に折りの山(表面:谷、裏面:山)を形成する場合のローラ231とローラ232の回転位相を示している。図9は、下のローラ232側の用紙先端に折りの山を形成する場合のローラ231とローラ232の回転位相を示している。ここで、谷が形成される側のローラ231の初期位置は180°(用紙Pの搬送方向と逆方向)、山が形成される側のローラ232の初期位置は0°(用紙Pの搬送方向)とする(図8(a)、図9(a))。
【0058】
そして、制御部201は、以上のローラ対の初期位置調整後にm枚目の用紙Pがローラ対に到達すると(図4中のステップS108でYES)、折り部230内の駆動部によりローラ対を回転駆動して、一方のローラの凸部と他方のローラの凹部とにより用紙Pを挟持することで、用紙Pの断裁予定領域で用紙搬送方向に沿った折りを形成する(図4中のステップS109、ステップS110)。
【0059】
そして、制御部201は、折りを形成したm枚目の用紙を搬送部210により搬送して、排紙部240に用紙を排紙する(図4中のステップS111)。そして、以上の処理を最終のM枚目の用紙まで繰り返す(図4中のステップS112)。
ここで、不良が検知されて折りが形成された用紙も正常な用紙も、同じように積み重ねられた状態で排紙される。すなわち、従来例のような分離排紙やシフト排紙は行わない。
【0060】
以下、折りの形成(図4中のステップS109、ステップS110)について、折りの形成位置や形成面の違いに応じたローラ対の回転駆動として、図6以降を参照して、詳細に説明する。
例えば、用紙Pの後端に山の折り(図5(a))を形成する場合、初期位置(図6(a))のローラ対の間に用紙Pを搬送し、用紙Pの後端側の画像領域と断裁予定領域の境界において、ローラ231の凹部231dの端部とローラ232の凸部232cの端部とが噛み合い始めるように、ローラ231を時計回りに、ローラ232を反時計回りに回転駆動する(図6(b))。そして、用紙Pの後端において、ローラ231の凹部231dの中央部付近とローラ232の凸部232cの中央部付近とが噛み合うように、ローラ231を時計回りに−90°に、ローラ232を反時計回りに270°に回転駆動する(図6(c))。これにより、図5(a)のように、用紙Pの後端側の断裁予定領域に山の折りが形成され、かつ、用紙Pの用紙搬送方向に折りの高低差が変化し、用紙Pの後端において折りの高低差が最も大きくなる。
【0061】
また、用紙Pの先端に山の折り(図5(b))を形成する場合、初期位置(図7(a))のローラ対の間に用紙Pを搬送し、用紙Pの先端において、ローラ231の凹部231dの中央部付近とローラ232の凸部232cの中央部付近とが噛み合うように、ローラ231を時計回りに−90°に、ローラ232を反時計回りに270°に回転駆動する(図7(b))。そして、用紙Pの先端側の断裁予定領域と画像領域との境界において、ローラ231の凹部231dの端部とローラ232の凸部232cの端部との噛み合いが終わるように、ローラ231を時計回りに、ローラ232を反時計回りに回転駆動する(図7(c))。これ以後、ローラ対の凸部と凹部の噛み合いが無い状態にして、用紙Pを搬送する。これにより、図5(b)のように、用紙Pの先端側の断裁予定領域に山の折りが形成され、かつ、用紙Pの用紙搬送方向に折りの高低差が変化し、用紙Pの先端において折りの高低差が最も大きくなる。
【0062】
また、用紙Pの後端に谷の折り(図5(c))を形成する場合、初期位置(図8(a))のローラ対の間に用紙Pを搬送し、用紙Pの後端側の画像領域と断裁予定領域の境界において、ローラ231の凸部231cの端部とローラ232の凹部232dの端部とが噛み合い始めるように、ローラ231を時計回りに、ローラ232を反時計回りに回転駆動する(図8(b))。そして、用紙Pの後端において、ローラ231の凸部231cの中央部付近とローラ232の凹部232dの中央部付近とが噛み合うように、ローラ231を時計回りに90°に、ローラ232を反時計回りに90°になるように回転駆動する(図8(c))。これにより、図5(c)のように、用紙Pの後端側の断裁予定領域に谷の折りが形成され、かつ、用紙Pの用紙搬送方向に折りの高低差が変化し、用紙Pの後端において折りの高低差が最も大きくなる。
【0063】
また、用紙Pの先端に谷の折り(図5(d))を形成する場合、初期位置(図9(a))のローラ対の間に用紙Pを搬送し、用紙Pの先端において、ローラ231の凸部231cの中央部付近とローラ232の凹部232dの中央部付近とが噛み合うように、ローラ231を時計回りに90°に、ローラ232を反時計回りに90°になるように回転駆動する(図9(b))。そして、用紙Pの先端側の断裁予定領域と画像領域との境界において、ローラ231の凸部231cの端部とローラ232の凹部232dの端部との噛み合いが終わるように、ローラ231を時計回りに、ローラ232を反時計回りに回転駆動する(図9(c))。これ以後、ローラ対の凸部と凹部の噛み合いが無い状態にして、用紙Pを搬送する。これにより、図5(d)のように、用紙Pの先端側の断裁予定領域に谷の折りが形成され、かつ、用紙Pの用紙搬送方向に折りの高低差が変化し、用紙Pの先端において折りの高低差が最も大きくなる。
【0064】
以上のようにして、図5(a)〜図5(d)のように、用紙Pの先端側又は後端側の断裁予定領域に山や谷の折りが形成され、かつ、用紙Pの用紙搬送方向に折りの高低差が変化し、用紙Pの端部において折りの高低差が最も大きくなる(図10(a)中のf、図10(b)中のfを参照)。
【0065】
これにより、機械検査と目視チェックとを併用して印刷物のヤレ検知を行う際に、ローラ対により形成された折りは、図10(b)のように用紙端部から目視で認識でき、不良ページの位置を容易に認識することが可能になる。
また、ローラ対により形成された折りは、ユーザの手や指による触感チェックでも容易に認識でき、不良ページの位置を容易に認識することが可能になる。
【0066】
また、用紙束の端部に風を当てることで、折りが形成された部分が風を受けて膨らむため、送風により折りの検出を更に容易にすることも可能である。
また、用紙Pの断裁予定領域に折りが形成されることにより、折りが形成されて目視チェックにより正常と判断された場合にも、当該折りは断裁されるため印刷物の品質が劣化することはない。また、分離排紙ではないため、機械検査で不良品と判定されたものの目視チェックにより正常品と判定された場合に元の位置に戻す手間がかからない。また、シフト排紙ではないため、機械検査で不良品と判定されたものの目視チェックにより正常品と判定された場合にシフトされた位置を正常品と揃える手間がかからない。
【0067】
〔実施形態の動作(2)〕
以上の実施形態の説明において、用紙内での不良の副走査方向位置(不良の存在位置が搬送方向先端に近いか、搬送方向後端に近いか)に応じて、制御部201の決定により、折りを形成する副走査方向位置を変えることが可能である。例えば、用紙の搬送方向先端側に不良が存在していれば折りを用紙の先端に形成し(図5(b),(d))、用紙の搬送方向後端側に不良が存在していれば折りを用紙の後端に形成する(図5(a),(c))。これにより、不良が存在する副走査方向位置を容易に把握することが可能になる。
【0068】
また、以上の実施形態の説明において、用紙内での不良の存在面(表面、裏面)に応じて、
制御部201の決定により、折りを形成する際の山になる面を変えることが可能である。例えば、用紙の表面に不良が存在していれば表面に山となる折りを形成し(図5(a),(b))、用紙の裏面に不良が存在していれば裏面に山(表面に谷)となる折りを形成する(図5(c),(d))。これにより、不良が存在する用紙面を容易に把握することが可能になる。
【0069】
また、以上の実施形態の説明において、用紙内での不良の存在面(表面、裏面)と用紙内での不良の副走査方向位置(不良の存在位置が搬送方向先端に近いか、搬送方向後端に近いか)とに応じて、制御部201の決定により、折りを形成する副走査方向位置を変えることが可能である。例えば、用紙の表面で搬送方向後端側に不良が存在していれば、用紙表面の後端に山となる折りを形成する(図5(a))。また、用紙の表面で搬送方向先端側に不良が存在していれば、用紙表面の先端に山となる折りを形成する(図5(b))。また、用紙の裏面で搬送方向後端側に不良が存在していれば、用紙裏面の後端に山(用紙表面の後端に谷)となる折りを形成する(図5(c))。また、用紙の裏面で搬送方向先端側に不良が存在していれば、用紙裏面の先端に山(用紙表面の先端に谷)となる折りを形成する(図5(d))。これにより、不良が存在する用紙面と、不良が存在する副走査方向位置との両方を、容易に把握することが可能になる。
【0070】
また、以上の実施形態の説明において、用紙内に不良が複数存在する場合には、制御部201の決定により、折り部230が用紙先端と用紙後端の両方に折りを形成することも可能である。
〔実施形態の動作(3)〕
また、以上の実施形態の説明において、用紙内に存在する不良の程度(不良の面積、不良の濃度等)に応じて、制御部201が決定することにより、折り部230が形成する折りの副走査方向長y(図11中のf参照)を変更することが可能である。例えば、不良が一定以上の面積や一定以上の濃度である場合には、断裁予定領域の副走査方向全体を使った折を形成する(図11のfにおける、y=y1)。一方、不良が一定未満の面積や一定未満の濃度である場合には、断裁予定領域の副走査方向の一部の領域を使った小さい折を形成する(図11のfにおける、y=y2)。この場合、この場合、用紙の端部におけるローラ対の凸部と凹部との噛み合わせ開始タイミングにおいて、噛み合わせが浅くなるようにローラ対の回転位相を制御することにより実現可能である。
【0071】
〔実施形態の動作(4)〕
以上の実施形態の説明では、図5において用紙上での折りの主走査方向位置は全て中央付近のものを例示しているが、これに限定されるものではない。
ここで、折りの主走査方向位置を可変にする構成を図12に示す。なお、ここでは、ローラ231について示すが、ローラ232も同様な構成である。
【0072】
例えば、図12(a),(b)に示すように、中心軸231aとして、表面にねじ山を設けた雄ねじのねじ軸とする。ローラ本体部231bには、雄ねじの中心軸231aに対応してナット状の雌ねじのねじ穴が設けられているとする。ここで、中心軸231aは、駆動部235により回転駆動される。一方、ローラ本体部231bには切り欠き231eが設けられている。この切り欠き231eには、駆動部235により駆動又は駆動停止が制御されるガイド部231fが接触している。
【0073】
ローラ対の主走査方向位置変更時には、駆動部235の駆動により、中心軸231aが回転するが、ガイド部231fは回転しない。これにより、ローラ231は回転しないが、中心軸231aの雄ねじとローラ本体部231bの雌ねじとの作用により、ローラ231が中心軸231aに沿って主走査方向に直線運動する。
【0074】
また、通常のローラ対駆動時には、駆動部235の駆動により、中心軸231aが回転し、ガイド部231fも中心軸231aの周囲を中心軸231aと同じ回転数で回転する。これにより、ローラ231は中心軸231aやガイド部231fの回転に応じて回転する。
【0075】
この結果、ローラ対は用紙面において用紙搬送方向と垂直な主走査方向に移動可能になる。そして、制御部201により制御された駆動部235は、用紙に形成された画像について不良が検知された場合、不良が存在する主走査方向の位置で折りを形成するようにローラ対を移動させて駆動する。これにより、目視により不良ページ位置と面内不良主走査方向位置pxとを容易に認識することが可能になる(図12中(c)中の折りf)。
【0076】
また、以上の動作(2)〜動作(3)などと組み合わせることで、不良が存在する用紙面、不良が存在する用紙面内の副走査方向位置、不良が存在する用紙面内の主走査方向位置を容易に把握することが可能になる。
〔その他の実施形態〕
以上の実施形態の説明において、ローラ対を構成するローラ231とローラ232とは、外周面に凸部と凹部を備えた同形状のローラであったが、これに限定されるものではない。例えば、外周面に凸部を備えた第一ローラと、外周面に凹部を備えた第二ローラとによりローラ対を構成しても良い。但し、この場合、折りの山と谷が形成される面が固定されることになる。
【0077】
また、以上の後処理装置200は画像形成装置100の後段に接続される場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置100と後処理装置200の間に、他の中間処理装置等が接続されていても良い。また、後処理装置200の後に、他の後処理装置等が接続されていても良い。
【0078】
また、後処理装置200が画像形成装置100の定着部160の後段に内蔵される構成であっても良い。この場合、画像形成装置100の制御部101が折りに関する制御も行えば良い。
また、制御部201、読み取り部220、折り部230の、一部又は全部が異なる装置に配置された状態の画像形成システムも、本実施形態の一態様である。
また、凸部について、逆V字形状の線状突起領域と説明したが、逆U字形状の突起領域としても良い。同様に、凹部は、V字形状の溝領域の代わりに、U字形状の溝領域としても良い。また、これら以外にも、凸部や凹部の断面形状を任意に選択することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
101 制御部
102 通信部
103 プリントコントローラ
104 記憶部
105 操作表示部
107 搬送部
109 センサ
110 原稿読取部
120 RIP処理部
130 データ記憶部
140 画像処理部
150 画像形成部
160 定着部
200 後処理装置
201 制御部
210 搬送部
220 読み取り部
230 折り部
231 ローラ
232 ローラ
240 排紙部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12